特許第5884904号(P5884904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884904
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】中子砂充填方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 15/24 20060101AFI20160301BHJP
   B22C 9/10 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   B22C15/24 Z
   B22C9/10 E
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-516686(P2014-516686)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(86)【国際出願番号】JP2013052931
(87)【国際公開番号】WO2013175814
(87)【国際公開日】20131128
【審査請求日】2015年10月30日
(31)【優先権主張番号】特願2012-119357(P2012-119357)
(32)【優先日】2012年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 繁佳
(72)【発明者】
【氏名】原田 久
【審査官】 酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭31−6413(JP,B1)
【文献】 実公昭31−4119(JP,Y1)
【文献】 実公昭47−41368(JP,Y1)
【文献】 特開平5−305386(JP,A)
【文献】 特開2008−264867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 15/23,15/24,9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂吹き込み室と砂貯留室とを有するブローヘッドから中子型のキャビティ内に中子砂を充填する中子砂充填方法であって、
前記ブローヘッドが前記中子型の下方に位置すると共に、前記ブローヘッドと前記中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が前記砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、前記砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が前記砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した前記砂吹き込み室内の中子砂を前記中子型の前記キャビティ内に充填させる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記砂吹き込み室内及び前記砂貯留室内の圧力に基づいて前記制御部が前記中子砂の前記キャビティ内への充填が完了したか否かを判断し、充填が完了した場合には、前記制御部からの指示に基づいて前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む、中子砂充填方法。
【請求項2】
前記第1の圧力は0.01MPa〜0.1MPaである、請求項1に記載の中子砂充填方法。
【請求項3】
前記第3の工程では、前記砂吹き込み室内の圧力及び前記砂貯留室内の圧力が、第2の圧力に到達した否かを前記制御部が判断する、請求項1に記載の中子砂充填方法。
【請求項4】
前記第3の工程では、前記砂吹き込み室内の圧力及び前記砂貯留室内の圧力が前記第2の圧力以上であるという第1の条件と、前記砂貯留室内の圧力と前記砂吹き込み室内の圧力との差圧が第3の圧力以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを前記制御部が判断する、請求項3に記載の中子砂充填方法。
【請求項5】
前記第3の圧力は0.002MPa〜0.015MPaである、請求項4に記載の中子砂充填方法。
【請求項6】
前記第3の工程では、前記第1の条件と前記第2の条件とが共に満たされた後、所定の第1の時間の間、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作を継続させ、その後、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる、請求項4に記載の中子砂充填方法。
【請求項7】
前記第1の時間は0.3秒〜1秒である、請求項6に記載の中子砂充填方法。
【請求項8】
前記第2の圧力は、前記第1の圧力よりも高く、且つ、前記圧縮エア供給手段から供給される圧縮エアの圧力の75%〜80%の圧力に設定されている、請求項3に記載の中子砂充填方法。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の条件が満たされているか否かを所定の第2の時間内における前記差圧の平均値により評価する、請求項4に記載の中子砂充填方法。
【請求項10】
前記第2の時間は0.05秒〜0.1秒である、請求項9に記載の中子砂充填方法。
【請求項11】
中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、
前記中子砂充填装置は、
中子砂を充填するキャビティを有する前記中子型と、
前記キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、前記砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に前記砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、
前記砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを前記砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、
前記砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、
前記砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、
前記砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、
前記砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、
前記第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段及び前記排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、
前記中子砂充填方法は、
前記ブローヘッドが前記中子型の下方に位置すると共に、前記ブローヘッドと前記中子型とが連通された状態で、前記エアレーションエア供給手段が前記砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、前記砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の圧力センサにより測定される前記砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したか否かを前記制御部が判断して、前記第1の圧力P1に到達した場合には、前記制御部からの指示に基づいて前記圧縮エア供給手段が前記砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した前記砂吹き込み室内の中子砂を前記中子型の前記キャビティ内に充填させる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記砂吹き込み室内の圧力Pf及び前記砂貯留室内の圧力Pcが、前記第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、前記砂貯留室内の圧力Pcと前記砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを前記制御部が判断して、前記第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、前記制御部からの指示に基づいて前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記制御部が前記排気弁に指示して前記排気弁を開放させ、前記砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む、中子砂充填方法。
【請求項12】
前記第1の圧力P1は0.01MPa〜0.1MPaである、請求項11に記載の中子砂充填方法。
【請求項13】
前記第2の圧力P2は、前記圧縮エア供給手段から供給される圧縮エアの圧力の75%〜80%の圧力に設定されている、請求項11に記載の中子砂充填方法。
【請求項14】
前記第3の圧力は、0.002MPa〜0.015MPaである、請求項11に記載の中子砂充填方法。
【請求項15】
前記第3の工程では、前記第1の条件と前記第2の条件とが共に満たされた後、所定の時間T1の間、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作を継続させ、その後、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる、請求項11に記載の中子砂充填方法。
【請求項16】
前記所定の時間T1は0.3秒〜1秒である、請求項15に記載の中子砂充填方法。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1の工程が開始してから所定の時間T3が経過するまでに前記第1〜第4のそれぞれの工程が終了したか否かを判断し、前記第1〜第4のそれぞれの工程が終了する前に前記所定の時間T3が到来した場合には、前記中子砂充填装置の動作を停止させる、請求項11に記載の中子砂充填方法。
【請求項18】
中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、
前記中子砂充填装置は、
中子砂を充填するキャビティを有する前記中子型と、
前記キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、前記砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に前記砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、
前記砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを前記砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、
前記砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、
前記砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、
前記砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、
前記砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、
前記第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段及び前記排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、
前記中子砂充填方法は、
前記ブローヘッドが前記中子型の下方に位置すると共に、前記ブローヘッドと前記中子型とが連通された状態で、前記エアレーションエア供給手段が前記砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、前記砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、前記第1の圧力センサにより測定される前記砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したことを示す所定の時間が経過したか否かを前記制御部が判断して、前記所定の時間が到来した場合には、前記制御部からの指示に基づいて前記圧縮エア供給手段が前記砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した前記砂吹き込み室内の中子砂を前記中子型の前記キャビティ内に充填させる第2の工程と、
前記第2の工程の後に、前記砂吹き込み室内の圧力Pf及び前記砂貯留室内の圧力Pcが、前記第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、前記砂貯留室内の圧力Pcと前記砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを前記制御部が判断して、前記第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、前記制御部からの指示に基づいて前記エアレーションエア供給手段及び前記圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、
前記第3の工程の後に、前記制御部が前記排気弁に指示して前記排気弁を開放させ、前記砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む、中子砂充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中子造型機において中子型に中子砂を充填する中子砂充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中子型の上方にブローヘッドを配置して該中子型の上方から下方の中子型に向かって中子砂を吹き込む、いわゆるトップブロー式の中子造型機が用いられている(例えば、特許文献1)。トップブロー式の中子造型機は、中子型の上方にブローヘッドが配置され、更にその上に中子砂ホッパが配置されるため、装置の背丈が高くなり、装置が大型化してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭47−013179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装置の背丈をできるだけ低くし、装置を小型化するために、中子型の下方にブローヘッドを配置して該中子型の下方から上方の中子型に向かって中子砂を吹き込む、いわゆるアンダーブロー式の中子造型機の使用が考えられる。
【0005】
本発明の目的は、上方に位置する中子型に向かって下方から中子砂を吹き込むアンダーブロー式を採用した場合において、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上に寄与する中子砂充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ところで、アンダーブロー式の中子造型機の場合、中子型に中子砂を充填するために、中子型の下方に配置されたブローヘッド内にエアレーションエアを導入して、中子砂を十分に浮遊流動化させた状態とする工程と、ブローヘッド内に圧縮エアを導入してブローヘッドの上方に位置する中子型のキャビティに向かって中子砂を吹き込む工程とが行われる。しかしながら、本発明者らが鋭意研究を行ったところ、ブローヘッド内へのエアの供給状況によっては、中子砂の中子型への充填が良好に行えない場合があることが判明した。例えば、製造された中子に中子砂の充填密度の低い部分が存在してしまったり、製造された中子の表面に皺が発生してしまったり、といった充填不良が生じうる。そこで、本研究者らがさらなる検討を行ったところ、ブローヘッド内の圧力に着目し、当該圧力に応じたエアの供給制御を行うことにより、中子型に中子砂を良好に充填することができることを見出だした。
【0007】
すなわち、本発明の一側面に係る中子砂充填方法は、砂吹き込み室と砂貯留室とを有するブローヘッドから中子型のキャビティ内に中子砂を充填する中子砂充填方法であって、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内及び砂貯留室内の圧力に基づいて制御部が中子砂のキャビティ内への充填が完了したか否かを判断し、充填が完了した場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む。
【0008】
本発明の一側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の一側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力に基づいて制御部が中子砂のキャビティ内への充填が完了したか否かを判断し、充填が完了した場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。なお、砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達したかの判断は、砂吹き込み室内の圧力を測定して判断してもよいし、第1の圧力に到達したことを示す所定の時間が経過したか否かによって判断してもよい。
【0009】
第1の圧力は、中子砂を浮遊流動化させ且つキャビティ内に中子砂を吹き込むために適した状態にすることができる圧力であってもよい。この場合、砂吹き込み室内の圧力と第1の圧力とを比較することにより、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化され且つキャビティ内に中子砂を吹き込むために適した状態であるか否かを検知することができる。 第1の圧力は、例えば0.01MPa〜0.1MPaから選択してもよい。
【0010】
第3の工程では、砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力が、第2の圧力に到達した否かを制御部が判断してもよい。この場合、砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力と第2の圧力とを比較することで、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されているかどうかを検知することができる。
【0011】
第3の工程では、砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力が第2の圧力以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力と砂吹き込み室内の圧力との差圧が第3の圧力以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを制御部が判断してもよい。この場合、中子型のキャビティ内が中子砂で充填されていくと、砂吹き込み室内の圧力が上昇して砂貯留室内の圧力に近づき、差圧が減少する。そのため、この差圧に基づく第2の条件を満たしているか否かを判断することにより、中子砂の中子型のキャビティ内への中子砂の充填完了を自動的に判断できる。第3の圧力は、例えば0.002MPa〜0.015MPaの範囲から選択してもよい。
【0012】
第3の工程では、第1の条件と第2の条件とが共に満たされた後、所定の第1の時間の間、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作を継続させ、その後、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させてもよい。この場合、第1の条件と第2の条件とが共に満たされた後、エアレーションエアと圧縮エアの供給を所定の時間継続することで、中子型のキャビティ内に充填された中子砂の状態を安定させることができる。第1の時間は例えば0.3秒〜1秒の範囲から選択してもよい。
【0013】
第2の圧力は、第1の圧力よりも高く、且つ、圧縮エア供給手段から供給される圧縮エアの圧力の75%〜80%の圧力に設定されていてもよい。この場合、砂吹き込み室内および砂吹き込み室内の圧力を計測して第2の圧力と比較することにより、砂吹き込み室及び砂貯留室に確実に圧縮エアが供給される。そのため、中子型のキャビティに中子砂を必要十分に吹き込むことができる。
【0014】
制御部は、第2の条件が満たされているか否かを所定の第2の時間内における差圧の平均値により評価してもよい。この場合、圧力センサにノイズが生じても第2の条件を満たしているか否かの判断を精度よく行うことができる。第2の時間は例えば0.05秒〜0.1秒の範囲から選択してもよい。
【0015】
本発明の他の側面に係る中子砂充填方法は、中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、中子砂充填装置は、中子砂を充填するキャビティを有する中子型と、キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段及び排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、中子砂充填方法は、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、第1の圧力センサにより測定される砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したか否かを制御部が判断して、第1の圧力P1に到達した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室内の圧力Pcが、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを制御部が判断して、第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、制御部が排気弁に指示して排気弁を開放させ、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む。
【0016】
本発明の他の側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力Pfが第1の圧力P1に到達した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の他の側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室Pc内の圧力が第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされた場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。また中子型のキャビティ内が中子砂で充填されていくと、砂吹き込み室Pf内の圧力が上昇して砂貯留室Pc内の圧力に近づき、差圧ΔPが減少する。そのため、この差圧ΔPに基づく第2の条件を満たしているか否かを判断することにより、中子型のキャビティ内への中子砂の充填完了を自動的に判断できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、中子砂の充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。
【0017】
第1の圧力P1は、中子砂を浮遊流動化させ且つキャビティ内に中子砂を吹き込むために適した状態にすることができる圧力であってもよい。この場合、砂吹き込み室内の圧力と第1の圧力P1とを比較することにより、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化され且つキャビティ内に中子砂を吹き込むために適した状態であるか否かを検知することができる。第1の圧力P1は、例えば0.01MPa〜0.1MPaの範囲から選択してもよい。第3の圧力は、例えば0.002MPa〜0.015MPaの範囲から選択してもよい。
【0018】
第2の圧力P2は、圧縮エア供給手段から供給される圧縮エアの圧力の75%〜80%の圧力に設定されていてもよい。この場合、砂吹き込み室内および砂吹き込み室内の圧力を計測して第2の圧力と比較することにより、砂吹き込み室及び砂貯留室に確実に圧縮エアが供給される。そのため、中子型のキャビティに中子砂を必要十分に吹き込むことができる。
【0019】
制御部は、第2の条件が満たされているか否かを所定時間内における差圧ΔPの平均値により評価してもよい。この場合、圧力センサにノイズが生じても第2の条件を満たしているか否かの判断を精度よく行うことができる。制御部は、第2の条件が満たされているか否かを例えば0.05秒〜0.1秒間における差圧ΔPの平均値により評価してもよい。
【0020】
第3の工程では、第1の条件と第2の条件とが共に満たされた後、所定の時間T1の間、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作を継続させ、その後、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させてもよい。この場合、第1の条件と第2の条件とが共に満たされた後、エアレーションエアと圧縮エアの供給を所定の時間継続することで、中子型のキャビティ内に充填された中子砂の状態を安定させることができる。所定の時間T1は、例えば0.3秒〜1秒の範囲から選択してもよい。
【0021】
制御部は、第1の工程が開始してから所定の時間T3が経過するまでに第1〜第4のそれぞれの工程が終了したか否かを判断し、第1〜第4のそれぞれの工程が終了する前に所定の時間T3が到来した場合には、中子砂充填装置の動作を停止させてもよい。この場合、圧縮空気の供給不足や、ブローヘッドからの圧縮空気の漏れなどの異常が発生したと判断して、自動的に中子砂充填装置の動作を停止できる。
【0022】
本発明の他の側面に係る中子砂充填方法は、中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、中子砂充填装置は、中子砂を充填するキャビティを有する中子型と、キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段及び排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、中子砂充填方法は、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、第1の圧力センサにより測定される砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したことを示す所定の時間が経過したか否かを制御部が判断して、所定の時間が到来した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室内の圧力Pcが、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを制御部が判断して、第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、制御部が排気弁に指示して排気弁を開放させ、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程とを含む。
【0023】
本発明の他の側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したことを示す所定の時間が経過した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の他の側面に係る中子砂充填方法では、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室Pc内の圧力が第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされた場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。また中子型のキャビティ内が中子砂で充填されていくと、砂吹き込み室Pf内の圧力が上昇して砂貯留室Pc内の圧力に近づき、差圧ΔPが減少する。そのため、この差圧ΔPに基づく第2の条件を満たしているか否かを判断することにより、中子型のキャビティ内への中子砂の充填完了を自動的に判断できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、中子砂の充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。
【0024】
本発明の他の側面に係る中子製造方法は、砂吹き込み室と砂貯留室とを有するブローヘッドから中子型のキャビティ内に中子砂を充填することで中子を製造する中子製造方法であって、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内及び砂貯留室内の圧力に基づいて制御部が中子砂のキャビティ内への充填が完了したか否かを判断し、充填が完了砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力が、第1の圧力よりも高い第2の圧力に到達したか否かを制御部が判断して、第2の圧力に到達した場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程と、中子型のキャビティ内の中子砂を固化して中子を造型する第5の工程とを含む。
【0025】
本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力が第1の圧力に到達した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力及び砂貯留室内の圧力に基づいて制御部が中子砂のキャビティ内への充填が完了したか否かを判断し、充填が完了した場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。
【0026】
本発明の他の側面に係る中子製造方法は、中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、中子砂充填装置は、中子砂を充填するキャビティを有する中子型と、キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段及び排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、中子砂充填方法は、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、第1の圧力センサにより測定される砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したか否かを制御部が判断して、第1の圧力P1に到達した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアし、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室内の圧力Pcが、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを制御部が判断して、第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、制御部が排気弁に指示して排気弁を開放させ、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程と、中子型のキャビティ内の中子砂を固化して中子を造型する第5の工程とを含む。
【0027】
本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力Pfが第1の圧力P1に到達した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室Pc内の圧力が第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされた場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。また中子型のキャビティ内が中子砂で充填されていくと、砂吹き込み室Pf内の圧力が上昇して砂貯留室Pc内の圧力に近づき、差圧ΔPが減少する。そのため、この差圧ΔPに基づく第2の条件を満たしているか否かを判断することにより、中子型のキャビティ内への中子砂の充填完了を自動的に判断できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、中子砂の充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。
【0028】
本発明の他の側面に係る中子製造方法は、中子砂を中子型の下方から吹き込んで充填するアンダーブロー式の中子砂充填装置を用いた中子造型機における中子砂充填方法であって、中子砂充填装置は、中子砂を充填するキャビティを有する中子型と、キャビティ内に中子砂を吹き込む砂吹き込み室と、砂吹き込み室に供給する中子砂を貯留すると共に砂吹き込み室に連通された砂貯留室とを有するブローヘッドと、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させるためのエアレーションエアを砂吹き込み室に供給するエアレーションエア供給手段と、砂貯留室に圧縮エアを供給する圧縮エア供給手段と、砂吹き込み室内に残存する圧縮エアを排気する排気弁と、砂吹き込み室内の圧力Pfを測定する第1の圧力センサと、砂貯留室内の圧力Pcを測定する第2の圧力センサと、第1及び第2の圧力センサからの信号に基づいて、エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段及び排気弁の各動作を制御する制御部とを備えており、中子砂充填方法は、ブローヘッドが中子型の下方に位置すると共に、ブローヘッドと中子型とが連通された状態で、エアレーションエア供給手段が砂吹き込み室内にエアレーションエアを供給し、砂吹き込み室内の中子砂を浮遊流動化させる第1の工程と、第1の工程の後に、第1の圧力センサにより測定される砂吹き込み室の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したことを示す所定の時間が経過したか否かを制御部が判断して、所定の時間が到来した場合には、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる第2の工程と、第2の工程の後に、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室内の圧力Pcが、第1の圧力P1よりも高い第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされているか否かを制御部が判断して、第1及び第2の条件が共に満たされている場合には、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる第3の工程と、第3の工程の後に、制御部が排気弁に指示して排気弁を開放させ、砂吹き込み室内の圧縮エアを排気する第4の工程と、中子型のキャビティ内の中子砂を固化して中子を造型する第5の工程とを含む。
【0029】
本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力Pfが第1の圧力P1に到達したことを示す所定の時間が経過した場合に、制御部からの指示に基づいて圧縮エア供給手段が砂貯留室内に圧縮エアを供給し、浮遊流動化した砂吹き込み室内の中子砂を中子型のキャビティ内に充填させる。そのため、砂吹き込み室内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段を動作させ、中子砂を短時間に中子型のキャビティ内に充填できる。本発明の他の側面に係る中子製造方法では、砂吹き込み室内の圧力Pf及び砂貯留室Pc内の圧力が第2の圧力P2以上であるという第1の条件と、砂貯留室内の圧力Pcと砂吹き込み室内の圧力Pfとの差圧ΔP=Pc−Pfが第3の圧力P3以下であるという第2の条件とが満たされた場合に、制御部からの指示に基づいてエアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段の動作をそれぞれ停止させる。そのため、中子砂が中子型のキャビティ内に充填されたかどうかを、圧力を測定することで検出できる。また中子型のキャビティ内が中子砂で充填されていくと、砂吹き込み室Pf内の圧力が上昇して砂貯留室Pc内の圧力に近づき、差圧ΔPが減少する。そのため、この差圧ΔPに基づく第2の条件を満たしているか否かを判断することにより、中子型のキャビティ内への中子砂の充填完了を自動的に判断できる。以上のように、ブローヘッド内の圧力に応じたエアの供給制御を行うことで、中子砂を十分に浮遊流動化させつつ中子砂を中子型のキャビティ内へ充填させることと、中子砂の充填を適切に完了させることとを共に実現できる。その結果、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、上方に位置する中子型に向かって中子砂を吹き込むアンダーブロー式を採用した場合において、中子型に中子砂を良好に充填することができ、それにより中子の製造効率の向上に寄与する中子砂充填方法及び中子製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の中子砂充填方法を用いる中子砂充填装置の構造を示す断面説明図である。
図2図2は、図1におけるA−A矢視断面説明図である。
図3図3は、図1におけるB−B矢視説明図である。
図4図4は、図1におけるC−C矢視説明図である。
図5図5は、本発明の中子砂充填方法の工程を示す説明図である。
図6図6は、エアレーションエア供給手段、圧縮エア供給手段及び排気弁の作動タイミングを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本実施形態に係る中子砂充填方法及び中子製造方法について、図を参照して説明する。本実施形態において中子造型機とは、金型に中子砂を吹き込んで中子(主型を造型する場合は、主型も含まれる。)を造型(製造)するものをいい、例えば、シェルマシン、コ−ルドボックス造型機、生型中子造型機等をいう。本実施形態では、中子造型機として、熱した金型にレジンコーテッドサンドを吹き込み充填し、シェル中子を造型するシェル中子造型機を用いた例を示す。また、中子砂充填装置は、中子型の下方から上方の中子型に向かって中子砂を吹き込むアンダーブロー式の中子砂充填装置である。図では、主に中子造型機における中子砂充填装置を示しており、中子砂充填装置以外の中子造型機の構成要素については適宜図示を省略している。
【0033】
図1図4に示すように、中子砂充填装置Mにおいて、型合せされた中子型1の下方には、中子型1に対して相対的に昇降可能にされたブローヘッド2が配設されている。ブローヘッド2は、図示されない昇降シリンダに連結されており、本実施形態では、所定位置に配置された中子型1に対してブローヘッド2が昇降可能に構成されている。
【0034】
ブローヘッド2は中間位置に設けられた仕切り板3により、中子型1のキャビティ1aに中子砂を吹き込んで充填するための砂吹き込み室4と、砂吹き込み室4に中子砂を供給するための砂貯留室5と、の2室に区画されている。
【0035】
砂吹き込み室4の上端には、中子型1と密着するプレート4aが付属されている。プレート4aには、砂吹き込み室4内の中子砂Sを中子型1のキャビティ1aに吹き込むための砂吹き込み孔4bが穿設されている。中子型1には、キャビティ1aに連通するベントホール1bが穿設されている。
【0036】
砂吹き込み孔4bの下端には、砂吹き込み室4と中子型1のキャビティ1aとを連通する砂吹き込みノズル6が設けられている。
【0037】
仕切り板3の下位中央には、開口部3a(図2参照)が設けられている。砂吹き込み室4と砂貯留室5は、開口部3aを介して互いに連通されている。砂貯留室5は、底面の一部が砂吹き込み室4に向かって傾斜する傾斜面5a(図1参照)にされている。砂貯留室5の天井板5bの上面は、砂吹き込み室4におけるプレート4aの上面よりも低い位置にされている。
【0038】
砂貯留室5における傾斜面5aの下位部には、圧縮エアを砂貯留室5内に供給する圧縮エア供給口7が、砂貯留室5に連通するように装着されている。圧縮エア供給口7の先端には、青銅(ブロンズ)からなる多孔質の焼結体7aが装着されている。圧縮エア供給口7は、開閉弁8を介して、例えば、コンプレッサやエアタンクを備えた圧縮エア供給源19に接続されている。本実施形態においては、圧縮エア供給口7、焼結体7a、開閉弁8及び圧縮エア供給源19により、圧縮エア供給手段7Aが構成されている。
【0039】
砂吹き込み室4における側壁の上位部には、板部材4dを介して、エアレーションエア供給口9が砂吹き込み室4に連通するように装着されている。エアレーションエア供給口9は、砂吹き込み室4内の中子砂を浮遊流動化させるエアレーションエアを砂吹き込み室4内に供給する。エアレーションエア供給口9の先端には青銅(ブロンズ)からなる多孔質の焼結体9aが装着されている。エアレーションエア供給口9は、エア配管10及び開閉弁11を介して圧縮エア供給源19に接続されている。本実施形態においては、エアレーションエア供給口9、焼結体9a、エア配管10、開閉弁11及び圧縮エア供給源19により、エアレーションエア供給手段9Aが構成されている。エア配管10の途中には、砂吹き込み室4内に残存する圧縮エアを排気する排気弁13と接続された分岐エア配管12が設けられている。
【0040】
砂吹き込み室4において、エアレーションエア供給口9が装着されている側壁と直交する側壁の上位部には、砂吹き込み室4内の圧力を測定する第1の圧力センサ14が装着されている。砂貯留室5における側壁の上位部には、砂貯留室5内の圧力を測定する第2の圧力センサ15が装着されている。
【0041】
砂貯留室5の上端には、板材5cが付属されている。砂貯留室5の天井板5b及び板材5cには、砂入れ孔5dが穿設されている。板材5cの上方には、通し孔16aが穿設されたフランジ16が配設されている。フランジ16の上端には、通し孔16aと連通する砂供給管17が固着されている。砂供給管17は、図示しない砂供給ホースを介して、中子砂を貯留・供給する砂ホッパ(図示せず)に接続されている。
【0042】
板材5cとフランジ16との間には、連通孔18aが穿設された開閉ゲート18が配設されている。開閉ゲート18は、図示されないシリンダにより開閉される(左右に動く)ように構成されている。図示されない昇降シリンダによりブローヘッド2が昇降する際、板材5c、開閉ゲート18、フランジ16及び砂供給管17も共に昇降する。
【0043】
制御装置20は、制御部20aと、タイマー20bと、判断部20cとを有する。制御部20aは、中子砂充填装置Mの各部の動作を制御する。タイマー20bは、中子砂充填装置Mの動作時間を計測する。判断部20cは、第1の圧力センサ14による測定圧力、第2の圧力センサ15による測定圧力、タイマー20bにより計測された時間などに基づいて判断を行い、制御部20aに指令信号を出力する。本実施形態において、制御装置20は、例えばパーソナルコンピュータであってもよいし、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)や多くの他のタイプの電子式の計算・処理装置でもよい。また、タイマー20bは、制御装置20とは別に設けてもよい。
【0044】
(中子砂充填装置における中子砂充填方法)
次に、中子砂充填装置Mにより、中子砂を中子型1のキャビティ1aに充填する方法について図5及び図6を参照して説明する。図6において、上図はエアレーションエア供給手段9A、圧縮エア供給手段7A及び排気弁13の作動タイミング(ハッチング部で作動)を示す説明図であり、下図は砂吹き込み室4及び砂貯留室5内の圧力変化を示す説明図である。
【0045】
まず、後述する圧力P1、P2、P3、時間T1、T3などを、制御装置20に登録しておく。ステップS1では、制御部20aが中子砂充填装置Mに指示して、中子型1を所定位置に配置すると共に、図示されないシリンダにより開閉ゲート18を閉鎖する。その後、制御部20aが中子砂充填装置Mに指示して、図示されない昇降シリンダによりブローヘッド2を上昇させ、中子型1とプレート4aとが密着した図1の状態とする。このとき、砂入れ孔5dは開閉ゲート18で塞がれており、ブローヘッド2内は密閉空間にされている。また、砂吹き込み室4内と砂貯留室5内には各々、必要量の中子砂Sが入っている。
【0046】
続くステップS2では、制御部20aがエアレーションエア供給手段9Aに指示して開閉弁11を開放すると共に、タイマー20bによる経過時間の計測を開始する。これにより、エアレーションエア供給口9の先端に装着された焼結体9aから圧縮エア(エアレーションエア)が噴出され、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化される。エアレーションエア供給手段を作動させると、図6に示すように、砂吹き込み室4に装着された第1の圧力センサ14による測定圧力Pfが上昇し、砂貯留室5に装着された第2の圧力センサ15の測定圧力Pcが追従して上昇する。
【0047】
エアレーションエア供給手段9Aが動作して開閉弁11が開放されると、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化されるが、一部の中子砂は、砂吹き込み室4内から中子型1のキャビティ1aに吹き込まれる。この状態が長く続くと、中子砂が中途半端にキャビティ1aに充填され、中子に中子砂の充填密度の低いところが発生したり、中子表面に皺が発生したりする。従って、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段7Aを作動させ、短時間にキャビティ1aへの充填を行ってもよい。
【0048】
続くステップS3では、制御装置20(制御部20a)により、第1の圧力センサ14の測定圧力Pfがあらかじめ設定した第1の圧力P1に達したか否かを判断する。ここで、第1の圧力P1は、砂吹き込み室4内の中子砂が十分に浮遊流動化され、キャビティ1a内に中子砂を吹き込むために適した圧力であり、0.01〜0.1MPaに設定してもよく、さらには0.03〜0.07MPaに設定してもよい。
【0049】
制御装置20(制御部20a)において、第1の圧力センサ14の測定圧力Pfが第1の圧力P1に達したと判断した場合(ステップS3:YES)には、ステップS4に進み、第1の圧力センサ14の測定圧力Pfが第1の圧力P1に達していないと判断した場合(ステップS3:NO)には、ステップS12に進む。
【0050】
ステップS12では、制御装置(制御部20a)20により、エアレーションエア供給手段9Aが作動してからあらかじめ設定した時間(第3の時間T3)が経過したか否かを判断する。経過時間が第3の時間T3未満である(ステップS12:NO)と判断した場合には、ステップS3に戻る。エアレーションエア供給手段9Aを作動させてから所定の時間(T3)の経過後も、第1の圧力センサ14の測定圧力Pfが所定の圧力(P1)に達しない場合(ステップS12:YES)は、圧縮空気の供給不足や、ブローヘッド2からの圧縮空気漏れ等の異常が考えられるため、ステップS15に進む。ステップS15では、例えば、制御装置20が備えたディスプレーに異常表示と警報を発して、ステップS8に進み、中子砂の充填動作を終了する。ここで、第3の時間T3は4〜10秒に設定してもよい。
【0051】
ステップS4では、制御部20aが圧縮エア供給手段7Aに指示して、開閉弁8を開放する。これにより、圧縮エア供給口7の先端に装着された焼結体7aから圧縮エアが噴出され、砂貯留室5内の中子砂が砂吹き込み室4に送り込まれる。これに伴い、砂吹き込み室4内の中子砂が砂吹き込みノズル6及び砂吹き込み孔4bを介して中子型1のキャビティ1aに吹き込まれる。このとき、中子砂とともにキャビティ1a内に吹き込まれた圧縮エアは、ベントホール1bから排気される。中子砂が十分に浮遊流動化されているので、確実にキャビティ1aに充填することができる。また、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段7Aを作動させ短時間にキャビティ1aへの充填を行うことができるので、安定して良品の中子を造型(製造)できる。
【0052】
このときの第1の圧力センサ14と第2の圧力センサ15の測定圧力を見ると、図6に示すように、砂貯留室5の圧力、つまり第2の圧力センサ15の測定圧力Pcが急速に上昇し、砂吹き込み室4の圧力、つまり第1の圧力センサ14の測定圧力Pcより高くなる。
【0053】
続くステップS5では、制御装置20(制御部20a)により、第1の圧力センサ14の測定圧力Pf及び第2の圧力センサ15の測定圧力Pcがあらかじめ設定された第2の圧力P2に達したか否かを判断する。ここで、第2の圧力P2は、砂吹き込み室4及び砂貯留室5に確実に圧縮エアが供給され、中子型1のキャビティ1aに中子砂が吹き込まれていることを確認するための検出圧力である。第2の圧力P2は、圧縮エア供給源19から供給される圧縮エアの圧力の75〜80%程度に設定してもよい。
【0054】
制御装置20(制御部20a)において、第1の圧力センサ14の測定圧力Pf及び第2の圧力センサ15の測定圧力Pcが第2の圧力P2に達したと判断した場合(ステップS5:YES)には、ステップS6に進み、第2の圧力P2に達していないと判断した場合(ステップS5:NO)には、ステップS13に進む。
【0055】
ステップS13では、ステップS12同様に、制御装置20(制御部20a)により第3の時間T3が経過したか否かを判断する。第3の時間T3が経過していない(ステップS13:NO)と判断した場合には、ステップS5に戻る。第3の時間T3が経過した後も、第1の圧力センサ14の測定圧力Pf及び第2の圧力センサ15の測定圧力Pcが第2の圧力P2に達しない場合(ステップS13:YES)は、圧縮空気の供給不足や、ブローヘッド2からの圧縮空気漏れ等の異常が考えられるため、ステップS15に進む。ステップS15では、例えば制御装置20が備えたディスプレーに異常表示と警報を発して、ステップS8に進み、中子砂の充填動作を終了する。
【0056】
続くステップS6では、制御装置20(制御部20a)において、第1の圧力センサ14の測定圧力Pf及び第2の圧力センサ15の測定圧力Pcの差圧ΔP=Pc−Pfがあらかじめ設定された第3の圧力P3以下であるか否かを判断する。第1の圧力センサ14の測定圧力Pf及び第2の圧力センサ15の測定圧力Pcは、圧縮エア供給源19から供給される圧縮エアの圧力、例えば、圧縮エアを供給しているエアタンクの圧力に近づくと上昇が止まる。砂貯留室5内には引き続き圧縮エアが供給されるので、ベントホール1bを介して排気される側の砂吹き込み室4に装着された第1の圧力センサ14の測定圧力Pfよりも、第2の圧力センサ15の測定圧力Pcが高い圧力となる。従って、第1の圧力センサ14の測定圧力Pcと第2の圧力センサ15の測定圧力Pfとの間に差圧ΔPが生じる。中子型1のキャビティ1aが吹き込まれた中子砂で充填され、次いでノズル6及び砂吹き込み孔4bも中子砂で充填されると、この間の圧縮エアの通気抵抗が増し、ベントホール1bからの排気量が減少する。そのため、砂吹き込み室4内の圧力が上昇して、砂貯留室5内の圧力に近づいて、差圧ΔPが減少する。従って、この差圧ΔPにより中子砂の充填が完了したことを検知することができる。第3の圧力P3は、0.002MPa〜0.015MPaに設定してもよい。差圧ΔPの判断は微小な圧力差で行うので、圧力センサのノイズを考慮し、例えば、制御装置20において、所定の時間(第2の時間T2)の平均値(例えば、0.05〜0.1秒間の測定値の平均値)により評価することにより検出精度を向上させることができる。
【0057】
制御装置20(制御部20a)において、差圧ΔPが第3の圧力P3以下であると判断した場合(ステップS6:YES)には、ステップS7に進み、差圧ΔPが第3の圧力P3以下ではないと判断した場合(ステップS6:NO)には、ステップS14に進む。
【0058】
ステップS14では、ステップS12同様に、制御装置20(制御部20a)により第3の時間T3が経過したか否かを判断する。第3の時間T3が経過していない(ステップS14:NO)と判断した場合には、ステップS6に戻る。第3の時間T3経過後も、差圧ΔPが第3の圧力P3以下にならない場合(ステップS14:YES)は、圧縮空気の供給不足や、ブローヘッド2からの圧縮空気漏れ等の異常が考えられるため、ステップS15に進む。ステップS15では、例えば制御装置20が備えたディスプレーに異常表示と警報を発して、ステップS8に進み、中子砂の充填動作を終了する。
【0059】
続くステップS7では、差圧ΔPが第3の圧力P3以下になってから所定時間(第1の時間T1)だけエアレーションエア供給手段9A及び圧縮エア供給手段7Aの作動を継続する。これにより、キャビティ1aに充填された中子砂の状態を安定させることができる。ここで、T2は0.3〜1秒程度に設定してもよい。
【0060】
続くステップS8では、制御部20aがエアレーションエア供給手段9A及び圧縮エア供給手段7Aに指示して、開閉弁11及び開閉弁8を閉鎖し、エアレーションエア供給手段9A及び圧縮エア供給手段7Aの作動を停止させる。このとき、ベントホール1bからの排気により、キャビティ1a内の圧力は、砂吹き込み室4内の圧力より低くなっている。このため、砂吹き込み室4内及び砂貯留室5内の中子砂には、中子型1のキャビティ1a内へ移動しようとする圧力が作用するため、キャビティ1a内に充填された中子砂が落下することはない。
【0061】
続くステップ9では、制御部20aが排気弁13に指示して、排気弁13を開放する。これにより、砂吹き込み室4内に残存する圧縮エアが排気される。砂吹き込み室4内に残存する圧縮エアは、焼結体9aからエアレーションエア供給口9に入り、エア配管10、分岐エア配管12を通って排気弁13から排気される。このとき、砂吹き込み室4内及び砂貯留室5内に残存する圧縮エアが焼結体9aからエアレーションエア供給口9に入っていくというエアの流れができるため、その流れにのって砂貯留室5内の中子砂が砂吹き込み室4内に移動し、砂吹き込み室4内が中子砂で充填される。
【0062】
続くステップ10では、制御装置20(制御部20a)により、第1の圧力センサ14及び第2の圧力センサ15の測定圧力が相対圧力(ゲージ圧)でほぼゼロであるか否かを判断する。第1の圧力センサ14及び第2の圧力センサ15の測定圧力がゼロであると判断した場合(ステップS10:YES)には、ステップS11に進み、ゼロではないと判断した場合(ステップS10:NO)には、ゼロになるまで待機する。
【0063】
続くステップ11では、排気弁13を閉じて一連の中子砂充填処理を終了する。
【0064】
その後、制御部20aが中子砂充填装置Mに指示して、図示されない昇降シリンダによりブローヘッド2を下降させ、中子型1とブローヘッド2を分離する。そして、制御部20aが中子砂充填装置Mに指示して、中子型1を水平移動した後に型開きを行い、製造された中子を取り出す。続いて、開閉ゲート18が開かれ、砂ホッパ内の中子砂が砂供給管17、通し孔16a、連通孔18a及び砂入れ孔5dを通って砂貯留室5内に供給され、次の中子砂充填処理に備えられる。
【0065】
(実施形態の効果)
本発明の中子砂充填方法によれば、第1の圧力センサ14により測定された砂吹き込み室4の圧力Pfがあらかじめ設定された第1の圧力P1に到達すると、圧縮エア供給手段7Aを作動させる工程(ステップS3)により、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段7Aを作動させ短時間にキャビティ1aへの充填を行うことができる。また、中子型を取り替えた場合、中子型のキャビティ容積が変化するので充填完了までの時間が変化するが、このような場合でも、充填不良のない良品の中子を安定して造型できる。
【0066】
また、砂吹き込み室4内の圧力Pf及び砂貯留室5内の圧力Pcがあらかじめ設定された第2の圧力P2以上(ステップS5)、かつ、砂吹き込み室4内の圧力と砂貯留室5内の圧力との差圧ΔP=Pc−Pfがあらかじめ設定された第3の圧力P3以下(ステップS6)になることで、中子型のキャビティへの中子砂の充填が完了したことを検出し、所定の時間(第1の時間T1)エアレーションエア供給手段及び圧縮エア供給手段7Aの作動を継続させた後(ステップS7)、エアレーションエア供給手段9A及び圧縮エア供給手段7Aの作動を停止させることができる(ステップS8)。これにより、中子砂を充填する工程の時間を短縮することができるとともに、圧縮エアの使用量を低減することができる。
【0067】
また、シェルモールド法では金型を加熱しているが、中子砂が充填完了した後も圧縮エアを供給すると、その圧縮エアは中子型1のキャビティ1aを通過して排気されるため、中子型1の熱を奪い中子の焼成時間が長くなり余分な加熱エネルギーを必要としていた。しかしながら、本実施形態に係る中子砂充填方法及び中子製造方法によれば、そのような余分な加熱エネルギーをなくすことができる。
【0068】
(その他の実施形態)
ステップS3に変えて、第1の圧力センサ14の測定圧力Pfが第1の圧力P1に到達する時間に対応する時間を求めてあらかじめ設定しておき、エアレーションエア供給手段9Aが作動してからのタイマー20bによる経過時間が当該あらかじめ設定しておいた時間に到達すると、制御部20aが圧縮エア供給手段7Aに指示して、開閉弁8を開放させるようにしてもよい。これによっても、砂吹き込み室4内の中子砂が浮遊流動化した時点で、速やかに圧縮エア供給手段7Aを作動させ短時間にキャビティ1aへの充填を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1…中子型、1a…キャビティ、1b…ベントホール、2…ブローヘッド、3…仕切り板、4…砂吹き込み室、5…砂貯留室、7A…圧縮エア供給手段、8…開閉弁、9A…エアレーションエア供給手段、10…エア配管、11…開閉弁、13…排気弁、14…第1の圧力センサ、15…第2の圧力センサ、16…フランジ、17…砂供給管、18…開閉ゲート、19…圧縮エア供給源、20…制御装置、20a…制御部、20b…タイマー、20c…判断部、M…中子砂充填装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6