特許第5884954号(P5884954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5884954マイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5884954
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】マイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   A61M37/00 500
【請求項の数】6
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2015-544241(P2015-544241)
(86)(22)【出願日】2015年2月27日
(86)【国際出願番号】JP2015055979
(87)【国際公開番号】WO2015129894
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2014-36948(P2014-36948)
(32)【優先日】2014年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上野 寿美
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−13558(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107806(WO,A2)
【文献】 国際公開第2007/007128(WO,A1)
【文献】 特表2005−514179(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3152532(JP,U)
【文献】 特開2014−28108(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0018279(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0195035(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードルと、
前記マイクロニードル用容器と、を備え、
前記マイクロニードルは、突起部が形成された突起形成面と、前記突起形成面とは反対側の被支持面とを有する基体を備え、前記突起形成面において前記突起部の位置しない部分が被当接部であり、
前記マイクロニードル用容器は、前記マイクロニードルを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記マイクロニードルを覆う蓋部とを有し、
前記収容部は、前記被支持面を支持する支持部を備え、
前記蓋部は、前記被当接部と対向する当接部と、前記突起部と対向する対向部とを備え、前記当接部と前記対向部との間の距離が、前記突起部の延びる方向である延設方向において、前記被当接部と前記突起部の先端との間の距離よりも大きく、
前記当接部と前記支持部との間の距離が、前記延設方向における前記被当接部と前記被支持面との間の距離と、前記被当接部と前記突起部の先端との間の距離との和よりも小さい
マイクロニードルユニット。
【請求項2】
前記基体に対する前記当接部の密着性と、前記基体に対する前記支持部の密着性とが相互に異なる
請求項1に記載のマイクロニードルユニット。
【請求項3】
前記蓋部および前記収容部の各々は凹状体であり、
各凹状体は、開口部と、前記開口部を囲む接触部とを備え、前記接触部は他方の凹状体の前記接触部と接触し、
前記当接部および前記支持部のうちの一方が、前記当接部および前記支持部のうちの他方よりも前記基体に対して高い密着性を有する密着部であり、
前記蓋部および前記収容部のうちの一方が、前記密着部を有する密着部材であり、
前記密着部材においては、前記密着部が、前記接触部の内側に位置して、かつ、前記延設方向において前記接触部よりも突き出ている
請求項2に記載のマイクロニードルユニット。
【請求項4】
前記蓋部は、2つの蓋筒端を有する蓋筒体と、一方の蓋筒端を塞ぐ板形状を有する蓋底部とを有した凹状体であり、
前記蓋部は、前記蓋底部から開口した蓋筒端に向けて延びる蓋突部を有し、その蓋突部の先端に前記当接部が位置し、
前記収容部は、2つの収容筒端を有する収容筒体と、一方の収容筒端を塞ぐ板形状を有する収容底部とを有した凹状体であり、
前記収容部は、前記収容底部から開口した収容筒端に向けて延びる収容突部を有し、その収容突部の先端に前記支持部が位置し、
前記蓋底部の内側面から前記開口した蓋筒端までの長さが蓋部長さL1であり、
前記蓋底部から、前記蓋突部の前記先端での長さが蓋突部長さM1であり、
前記収容底部の内側面から前記開口した収容筒端までの長さが収容部長さL2であり、
前記収容底部から、前記収容突部の前記先端までの長さが収容突部長さM2であるとき、
(L1+L2)<(M1+M2)を満たす
請求項1に記載のマイクロニードルユニット。
【請求項5】
前記蓋部および前記収容部の各々は、開口部と、前記開口部を囲む接触部とを備え、
前記蓋突部および前記収容突部の少なくとも一方が、前記蓋部の前記接触部と前記収容部の前記接触部とが接触するときと接触しないときとで、前記延設方向における長さが変わる弾性部であり、
前記蓋部と前記収容部との少なくとも一方が、前記弾性部を有する弾性部材であり、
前記弾性部の弾性が、前記弾性部材において前記弾性部以外の部分の弾性よりも高い
請求項4に記載のマイクロニードルユニット。
【請求項6】
マイクロニードルを収容するマイクロニードル用容器であって、
前記マイクロニードル用容器が、請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロニードルユニットが備えるマイクロニードル用容器である
マイクロニードル用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、マイクロニードルとマイクロニードル用容器とを備えるマイクロニードルユニット、および、マイクロニードルを収容するマイクロニードル用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚上から体内に薬剤を浸透させて、体内に薬剤を投与する方法であって、人体に痛みを与えることなく薬剤を投与することのできる経皮吸収法が広く用いられている。経皮吸収法においては、皮膚上から体内に浸透させるのみでは体内に投与される効率の低い薬剤を、マイクロニードルを用いて皮膚に形成した孔から皮膚の内部に投与する方法が注目されている。
【0003】
マイクロニードルのうち、皮膚に刺される部分である突起部は、非常に微細な構造である。そのため、例えば、特許文献1に記載のように、マイクロニードルは、マイクロニードルを収容する容器の内部に位置した状態で、搬送されたり保管されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−13558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した容器の内壁は、マイクロニードルの基体を支持する段差面を有し、容器においては、段差面と、蓋とによって封止される容器の開口部との間の距離が、基体の厚さと、突起部の長さとの和よりも大きい。
【0006】
そのため、マイクロニードルが容器とともに搬送されるとき、容器が突起部の延びる方向での振動を受けると、段差面と蓋とが向かい合う方向において、マイクロニードルの全体が段差面と蓋との間を動く。これにより、マイクロニードルの突起部が、容器の内壁の一部に触れることで、突起部の形状が、皮膚に刺さる上で適しない形状に変わることもある。
【0007】
本開示の技術は、マイクロニードル用容器が突起部の延びる方向の振動を受けたとき、突起部の形状が変わることを抑えるマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの一態様は、マイクロニードルと、前記マイクロニードル用容器とを備える。前記マイクロニードルは、突起部が形成された突起形成面と、前記突起形成面とは反対側の被支持面とを有する基体を備え、前記突起形成面において前記突起部の位置しない部分が被当接部である。前記マイクロニードル用容器は、前記マイクロニードルを収容する収容部と、前記収容部に収容されたマイクロニードルを覆う蓋部とを有する。前記収容部は、前記被支持面を支持する支持部を備える。前記蓋部は、前記被当接部と対向する当接部と、前記突起部と対向する対向部とを備え、前記当接部と前記対向部との間の距離が、前記突起部の延びる方向である延設方向において、前記被当接部と前記突起部の先端との間の距離よりも大きく、前記当接部と前記支持部との間の距離が、前記延設方向における前記被当接部と前記被支持面との間の距離と、前記被当接部と前記突起部の先端との間の距離との和よりも小さい。
【0009】
本開示の技術におけるマイクロニードル用容器の一態様は、マイクロニードルを収容するマイクロニードル用容器であって、前記マイクロニードル用容器が、上述したマイクロニードルユニットが備えるマイクロニードル用容器である。
【0010】
上述した態様によれば、マイクロニードル用容器が延設方向の振動を受けることによって、マイクロニードル用容器の内部に位置するマイクロニードルが移動しても、マイクロニードルの突起部は、対向部に衝突しにくくなる。加えて、マイクロニードルの突起部は、当接部と支持部との間に入りにくくなる。そのため、マイクロニードル用容器が突起部の延びる方向での振動を受けても、マイクロニードルの突起部の形状が変わりにくくなる。
【0011】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様は、前記基体に対する前記当接部の密着性と、前記基体に対する前記支持部の密着性とが相互に異なることが好ましい。
【0012】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様によれば、マイクロニードル用容器が開けられるとき、マイクロニードル用容器のうち、蓋部および収容部のいずれか一方が、マイクロニードルを保持しやすくなる。そのため、マイクロニードルの取り出しが行われやすくなる。
【0013】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様は、前記蓋部および前記収容部の各々は凹状体であり、各凹状体は、開口部と、前記開口部を囲む接触部とを備える。前記接触部は他方の凹状体の前記接触部と接触し、前記当接部および前記支持部のうちの一方が、前記当接部および前記支持部のうちの他方よりも前記基体に対して高い密着性を有する密着部であり、前記蓋部および前記収容部のうちの一方が、前記密着部を有する密着部材であり、前記密着部材においては、前記密着部が、前記接触部の内側に位置して、かつ、前記延設方向において前記接触部よりも突き出ていることが好ましい。
【0014】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様によれば、マイクロニードル用容器が開けられるとき、マイクロニードルが密着部に位置しやすくなり、かつ、密着部に位置するマイクロニードルは、接触部の位置から突き出ている。そのため、密着部材からのマイクロニードルの取り出しが行いやすくなる。
【0015】
本開示の技術におけるマイクロニードル用容器の他の態様は、前記蓋部は、2つの蓋筒端を有する蓋筒体と、一方の蓋筒端を塞ぐ板形状を有する蓋底部とを有した凹状体であり、前記蓋部は、前記蓋底部から開口した蓋筒端に向けて延びる蓋突部を有し、その収容突部の先端に前記当接部が位置する。前記収容部は、2つの収容筒端を有する収容筒体と、一方の収容筒端を塞ぐ板形状を有する収容底部とを有した凹状体であり、前記収容部は、前記収容底部から開口した収容筒端に向けて延びる収容突部を有し、その収容突部の先端に前記支持部が位置する。前記蓋底部の内側面から前記開口した蓋筒端までの長さが蓋部長さL1であり、前記蓋底部から、前記蓋突部の前記先端部までの長さが蓋突部長さM1であり、前記収容底部の内側面から前記開口した収容筒端までの長さが収容部長さL2であり、前記収容底部から、前記先端部までの長さが収容突部長さM2である。このとき、(L1+L2)<(M1+M2)を満たすことが好ましい。
【0016】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様によれば、マイクロニードルがマイクロニードル用容器に収容されるとき、蓋突部と収容突部との各々が、マイクロニードルの基体に同時に接触する。そのため、マイクロニードル用容器が延設方向の振動を受けても、マイクロニードルが、より延設方向に移動しにくくなる。それゆえに、マイクロニードルの突起部がより変形しにくくなる。
【0017】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様は、前記蓋部および前記収容部の各々は、開口部と、前記開口部を囲む接触部とを備える。前記蓋突部および前記収容突部の少なくとも一方が、前記蓋部の前記接触部と、前記収容部の前記接触部とが接触するときと接触しないときとで、前記延設方向における長さが変わる弾性部であり、前記蓋部と前記収容部との少なくとも一方が、前記弾性部を有する弾性部材であり、前記弾性部の弾性が、前記弾性部材において前記弾性部以外の部分よりも高いことが好ましい。
【0018】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニットの他の態様によれば、マイクロニードルがマイクロニードル用容器に収容されるとき、弾性部が、マイクロニードルの基体に押し付けられる。そのため、マイクロニードル用容器におけるマイクロニードルの位置が変わりにくくなるため、マイクロニードル用容器が延設方向の振動を受けても、マイクロニードルの突起部の形状が変わりにくくなる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の技術におけるマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器によれば、マイクロニードル用容器が突起部の延びる方向の振動を受けても、突起部の形状が変わることを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示のマイクロニードルユニットの第1実施形態における斜視構造を分解して示す分解斜視図である。
図2図1における2−2線に沿った断面構造であって、第1実施形態のマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図3】第1実施形態のマイクロニードルユニットにおける蓋対向面を有する壁部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図である。
図4】第1実施形態のマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図5】第1実施形態のマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図6】第1実施形態のマイクロニードルの突起形成面を上面視した上面図である。
図7図6における7−7線に沿った断面構造であって、マイクロニードルの一部断面構造を示す部分断面図である。
図8】(a)変形例における蓋対向面を有する壁部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容対向面を有する壁部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図9】(a)変形例における蓋対向面を有する壁部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容対向面を有する壁部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図10】変形例におけるマイクロニードルの突起形成面を上面視した上面図である。
図11】変形例における蓋対向面を有する壁部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図である。
図12】本開示のマイクロニードルユニットの第2実施形態における斜視構造を分解して示す分解斜視図である。
図13図12における13−13線に沿った断面構造であって、マイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図14】第2実施形態のマイクロニードルユニットにおける蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図である。
図15】第2実施形態のマイクロニードルユニットにおける収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図16】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図17】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図18】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を分解して示す分解断面図である。
図19】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図20】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図21】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図22】第2実施形態におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図23】第2実施形態のマイクロニードルユニットにおける斜視構造を分解して示す分解斜視図である。
図24】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図25】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図26】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図27】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図28】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図29】変形例におけるマイクロニードルユニットの断面構造を示す断面図である。
図30】(a)変形例における蓋底部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図であり、(b)変形例における収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。
図31】変形例におけるマイクロニードルの断面構造を示す断面図である。
図32】変形例におけるマイクロニードルの断面構造を示す断面図である。
図33】変形例におけるマイクロニードルの断面構造を示す断面図である。
図34】変形例におけるマイクロニードルの断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1から図7を参照して、本開示の技術におけるマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器を具体化した第1実施形態を説明する。以下では、マイクロニードルユニットの構成、および、マイクロニードルの構成を順番に説明する。
【0022】
[マイクロニードルユニットの構成]
図1から図5を参照してマイクロニードルユニットの構成を説明する。なお、以下では、第1実施形態のマイクロニードルユニットのうち、互いに異なる複数の例を説明する。また、図3は、マイクロニードルの蓋対向面を有する壁部側から蓋部を見た平面構造を示す平面図である。図3では、蓋部の有する当接面の配置を説明する便宜上、蓋対向面を有する壁部の図示が省略され、かつ、蓋部に形成される当接面が破線で示されている。
【0023】
図1が示すように、マイクロニードルユニット10は、マイクロニードル用容器20と、マイクロニードル30とを備えている。
マイクロニードル30は、板形状を有する基体31と突起部32とを備え、基体31の有する面の中で、突起部32の位置する面が突起形成面31aであり、突起形成面31aとは反対側の面が被支持面31bである。突起形成面31aのうち、突起部32が位置しない部分が、被当接部31a1であり、突起部32が位置する部分が、突起形成部31a2である。突起形成面31aは、例えば複数の突起形成部31a2を有するが、1つの突起形成部31a2のみを有してもよい。
【0024】
マイクロニードル用容器20は、蓋部21と収容部22とを備えている。蓋部21は、基体31の被当接部31a1と対向する当接部21aと、突起部32と対向する対向部21bとを備えている。収容部22は、基体31における被支持面31bを支持する支持部22aを備えている。
【0025】
突起部32が基体31から対向部21bに向けて延びる方向が延設方向であり、延設方向における当接部21aと対向部21bとの間の距離が、突起部32の長さよりも大きい。また、当接部21aと支持部22aとの間の距離が、延設方向における基体31の厚さと、突起部32の長さとの和よりも小さい。
【0026】
すなわち、マイクロニードル用容器20では、延設方向において、当接部21aと対向部21bとの間の距離が、被当接部31a1と突起部32の先端との間の距離よりも大きい。また、当接部21aと支持部22aとの間の距離が、延設方向における被当接部31a1と被支持面31bとの間の距離と、被当接部31a1と突起部32の先端との間の距離との和よりも小さい。
【0027】
図2が示すように、延設方向における当接部21aと対向部21bとの間の距離が対向距離D1であり、対向距離D1が、突起部32の長さLよりも大きい。蓋部21の形状は、例えば、2つの筒端のうち、一方が塞がれた矩形筒形状である。あるいは、蓋部21の形状は、半球形状や半楕円体形状でもよい。なお、蓋部21の形状が筒形状であるとき、筒形状は、多角形筒形状でもよいし、円筒形状でもよい。
【0028】
蓋部21の内側面は段差面であり、内側面は、当接面42、当接側面43、蓋対向面44、および、対向側面45を含む。当接面42は、2つの筒端のうち、収容部22に向けて開口された筒端である蓋開口端41との間で段差を形成する面であり、当接側面43は、蓋開口端41と当接面42との間を繋ぐ面である。蓋対向面44は、当接面42との間で段差を形成する面であり、対向側面45は、当接面42と蓋対向面44との間を繋ぐ面である。当接面42は、当接部21aの一例であり、蓋対向面44は、蓋対向面44の一部として対向部21bを含む。
【0029】
蓋部21の内側面においては、当接面42と蓋対向面44との間の距離である対向距離D1が、延設方向における突起部32の長さLよりも大きい。これにより、当接面42が基体31の被当接部31a1に当接したとき、突起部32の先端が、蓋対向面44に当たらない。そのため、突起部32の先端の形状が、対象に刺される上で適しない形状、例えば、先端が延設方向と交差する方向に曲がった形状に変わりにくくなる。
【0030】
収容部22は、基体31の被支持面31bを支持する支持部22aを備えていればよく、収容部22は、例えば、蓋部21の蓋開口端41を塞ぐ板形状を有している。収容部22の板形状は、矩形板形状、円板形状、平板形状、および、曲板形状でもよい。収容部22における1つの面であって、マイクロニードル30に対向する収容対向面51が支持部22aを含む。
【0031】
図3が示すように、当接面42は、蓋部21の内側面において周方向の一部に位置している。当接面42は、蓋部21の内側面のうち、相互に対向する2つの面の各々から、対向する面に向けて張り出している。2つの当接面42の各々は、上述した2つの面が対向する方向と直交する方向において、各面の全体にわたっている。蓋部21の内側面のうち、周方向において当接面42が位置しない部分には、蓋開口端41と蓋対向面44との間を繋ぐ側面が位置する。
【0032】
なお、2つの当接面42の各々は、各当接面42が張り出す面の一部から張り出してもよく、このとき、2つの当接面42の各々の形成される位置は、各当接面42の張り出す面が対向する方向にて相互に対向していてもよいし、対向していなくてもよい。また、蓋部21の内側面においては、当接面42が蓋部21の周方向の全体に位置してもよい。
【0033】
図2が示すように、蓋部21の当接面42と、収容部22の収容対向面51との間の距離であって、基体31を挟む距離が挟持距離D2であり、挟持距離D2が、マイクロニードル30における突起部32の長さLと、基体31の厚さTとの和よりも小さい。そのため、基体31が厚さ方向に動いても、突起部32がマイクロニードル用容器20の内側面に触れることが抑えられる。それゆえに、マイクロニードル用容器20が基体31の厚さ方向の振動を受けたとき、マイクロニードル30における突起部32の変形を抑えることができる。
【0034】
図4が示すように、収容部22の形状は、2つの筒端のうち、一方が塞がれた矩形筒形状であってもよく、あるいは、蓋部21の形状は、半球形状や半楕円体形状でもよい。蓋部21の形状が筒形状であるとき、筒形状は、多角形筒形状でもよいし、円筒形状でもよい。収容部22の内側面が段差面であり、支持面53、支持側面54、収容対向面55、および、収容側面56を含む。支持面53は、2つの筒端のうち、蓋部21に向けて開口された筒端である収容開口端52との間で段差を形成する面であり、支持側面54は、収容開口端52と支持面53との間を繋ぐ面である。収容対向面55は、支持面53との間で段差を形成する面であり、収容側面56は、支持面53と収容対向面55との間を繋ぐ面である。支持面53は支持部22aの一例である。
【0035】
収容部22の内側面において、蓋部21の当接面42と同様、支持面53は、周方向の一部に位置している。支持面53は、収容部22の内側面のうち、相互に対向する2つの面の各々から、対向する面に向けて張り出している。2つの支持面53の各々は、上述した2つの面が対向する方向と直交する方向において、各面の全体にわたっている。収容部22の内側面のうち、周方向において支持面53が位置しない部位には、収容開口端52と収容対向面55との間を繋ぐ側面が位置する。
【0036】
なお、2つの支持面53の各々は、各支持面53の張り出す面の一部から張り出してもよく、このとき、2つの支持面53の各々の形成される位置は、対向方向にて相互に対向していなくてもよい。また、収容部22の内側面においては、支持面53が周方向の全体に位置してもよい。
【0037】
マイクロニードル用容器20が組み立てられたとき、蓋部21の当接面42の位置と、収容部22の支持面53の位置とは、収容部22と蓋部21との積み重なる方向から見て相互に重なっている。そのため、2つの位置が相互に重ならない構成と比べて、マイクロニードル用容器20は、マイクロニードル30の位置をより安定させることができる。
【0038】
図5が示すように、挟持距離D2は、基体の厚さTと等しくてもよい。すなわち、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器20に収容されるとき、当接面42と支持面53との各々が、基体31に同時に接触する。
【0039】
基体31に対する当接面42の密着性と、基体31に対する支持面53の密着性とは、相互に同じであってもよいし、相互に異なってもよい。基体31に対する当接面42の密着性と、基体31に対する支持面53の密着性とが異なるとき、マイクロニードル用容器20においては、蓋部21および収容部22のいずれか一方が、マイクロニードル30を保持しやすくなり、他方が、マイクロニードル30から離れやすくなる。そのため、マイクロニードル30の取り出しが行われやすくなる。
【0040】
基体31に対する当接面42の密着性と、基体31に対する支持面53の密着性とが相互に異なるとき、当接面42が支持面53よりも基体31に対して高い密着性を有してもよいし、支持面53が当接面42よりも基体31に対して高い密着性を有してもよい。例えば、図5が示すように、当接面42が支持面53よりも基体31に対して高い密着性を有するとき、蓋部21は、当接面42を形成する部位の少なくとも一部に、密着部46を有していればよい。
【0041】
密着部46は、支持面53と比べて、基体31に対して滑りにくい構造を有する部位であってもよいし、滑りにくい形成材料で形成された部位であってもよいし、粘着性の高い形成材料で形成された部位であってもよい。密着部46が基体31に対して滑りにくい構造を有する部位であるとき、密着部46は、例えば、支持面53よりも表面粗さが大きい部位である。
【0042】
密着部46が基体31に対して滑りにくい形成材料、あるいは、粘着性の高い形成材料で形成されるとき、支持面53を含む収容部22の形成材料は、樹脂、硬脆性材料、金属、セラミックスなどである。形成材料が樹脂であるとき、形成材料は、熱可塑性樹脂、UV加工樹脂、および、シリコーン樹脂などである。形成材料が熱可塑性樹脂であるとき、形成材料は、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、および、環状オレフィンコポリマーなどである。形成材料が硬脆性材料であるとき、形成材料は、シリコン、ガラス、および、石英などであり、形成材料が金属であるとき、形成材料は、ニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮、および、チタンなどである。形成材料がセラミックスであるとき、形成材料は、アルミナ、窒化アルミニウム、および、マシナブルセラミックスなどである。
【0043】
密着部46の形成材料が、基体31に対して滑りにくい形成材料であるとき、密着部46の形成材料は、例えば、シリコーン樹脂であり、密着部46の形成材料がシリコーン樹脂であるとき、収容部22の形成材料は、上述した形成材料のうち、シリコーン樹脂以外の材料であることが好ましい。もしくは、収容部22の形成材料がシリコーン樹脂であれば、支持面53の少なくとも一部が、シリコーン樹脂よりも基体31に対して滑りやすい材料で形成されていればよい。
【0044】
密着部46の形成材料が、支持面53の形成材料よりも粘着性の高い形成材料であるとき、密着部46の形成材料は、例えば、ウレタン樹脂であり、密着部46の形成材料がウレタン樹脂であるとき、収容部22の形成材料は、上述した形成材料のうちのいずれかであればよい。
【0045】
なお、蓋部21の形成材料は、収容部22の形成材料と同じであってもよいし、異なってもよい。マイクロニードル用容器20における形成材料の種類を少なくする上では、蓋部21の形成材料は、収容部22の形成材料と同じであることが好ましい。
【0046】
なお、支持面53が当接面42よりも基体31に対して高い密着性を有するときにも、当接面42を含む蓋部21の形成材料が、上述した収容部22の形成材料のいずれかであり、支持面53の少なくとも一部が、上述した密着部46のうちのいずれかと同じ構成であればよい。
【0047】
図5が示すように、当接面42および支持面53の各々が基体31に接触し、かつ、当接面42および支持面53の一方、例えば、当接面42が、支持面53よりも基体31に対して高い密着性を有する密着部46を有するとき、以下の構成であることが好ましい。
【0048】
すなわち、密着部材の一例である蓋部21は凹状体であり、開口部47を囲む蓋開口端41を有する。蓋開口端41は、当接面42と、当接面42との間に段差を形成する接触面48と、当接面42と接触面48との間を繋ぐ開口側面49とを備えている。蓋開口端41においては、当接面42が接触面48の内側に位置し、当接面42は、延設方向において接触面48よりも突き出ている。蓋開口端41においては、当接面42が、周方向の全体に位置してもよいし、周方向の一部に位置してもよい。当接面42が蓋開口端41の周方向の一部に位置するとき、蓋開口端41においては、接触面48よりも内側であって、かつ、当接面42が位置しない部分に、接触面48と同じ平面に含まれる面が位置していればよい。
【0049】
当接面42が蓋開口端41における周方向の一部に位置するとき、当接面42の位置する部位が、2つ以上であることが好ましい。当接面42が2つ以上の部位に位置するとき、複数の部位は、等しい間隔を空けて位置してもよいし、周方向にて偏りを有して位置してもよい。
【0050】
マイクロニードル用容器20が開けられるとき、マイクロニードル30が密着部46に位置しやすくなり、かつ、密着部46に位置するマイクロニードル30は、接触面48の位置から延設方向において突き出ている。そのため、蓋部21からのマイクロニードル30の取り出しが行いやすくなる。
【0051】
蓋部21においては、内側面が、当接面42との間で段差を形成する蓋対向面44と、当接面42と蓋対向面44との間を繋ぐ対向側面45とを有する。なお、当接面42が蓋開口端41における周方向の一部に位置するとき、当接面42の位置しない部位では、対向側面45は、上述した接触面48と同じ平面に含まれる面と、蓋対向面44との間を繋ぐ。
【0052】
収容部22は、蓋部21と同様、凹状体であり、開口部57を囲む収容開口端52が、蓋部21の接触面48と接触する接触部の一例である。蓋部21の接触面48と、収容部22の収容開口端52とが接触するとき、挟持距離D2が、マイクロニードル30の厚さTと等しい。
【0053】
[マイクロニードルの構成]
図6および図7を参照して、マイクロニードル用容器20に収容されるマイクロニードル30の構成をより詳しく説明する。
【0054】
図6が示すように、マイクロニードル30は、基体31と、基体31の突起形成面31aから延設方向に向けて突き出た突起部32を備えている。マイクロニードル30における複数の突起部32は、格子状に並んでいるが、例えば、最密充填状、および、同心円状などの所定の規則に従って並んでもよい。あるいは、複数の突起部32は、不規則に並んでいてもよい。
【0055】
突起部32は、例えば錐体形状を有しているが、柱形状や、錘台形状を有していてもよい。突起部32が錐体形状を有するとき、錐体形状は、円錐形状あるいは多角錐形状であり、突起部32が柱形状であるとき、柱形状は、円柱形状あるいは多角柱形状であり、突起部32が錘台形状を有するとき、錘台形状は、円錐台形状あるいは多角錘台形状である。複数の突起部32は、相互に同じ形状を有してもよいし、相互に異なる形状を有してもよい。
【0056】
突起部32は、延設方向において、相互に異なる2つ以上の形状を有してもよい。例えば、突起部32の形状は、マイクロニードル30の基体31から順番に柱形状と錐台形状とを組み合わせた鉛筆型形状であってもよい。また、突起部32が相互に異なる2つ以上の形状を有するとき、上述した形状の群のうち、少なくとも2つの形状を有していればよい。突起部32の外側面は、捻れや段差を有してもよい。
【0057】
突起部32においては、マイクロニードル30の用途に応じて形状および寸法などが選択されればよい。例えば、マイクロニードル30の用途は、対象の体内に送達される送達物の皮膚を経た吸収を促進することや、皮膚を通じて生体内の物質を生体外へ取り出すことである。
【0058】
あるいは、突起部32においては、皮膚に対する穿刺の性能の観点から形状および寸法などが選択される。例えば、突起部32が形成する孔の深さが、角質層を貫通し、かつ、神経層に到達しない深さであるとき、送達物や化粧品組成物が、皮膚における角質層よりも深い位置に送達される。角質層に形成された孔は時間の経過とともに塞がるため、角質層よりも深い位置に送達された送達物や化粧品組成物は、角質層によって外部から守られた状態で生体内に保持される。
【0059】
そのため、送達物や化粧品組成物は、角質層の新陳代謝や、スキンケアなどの皮膚の洗浄によって皮膚から外部に排出されることが抑えられる。それゆえに、例えば、化粧品組成物が投与されるとき、孔の深さが角質層の内部に留まる深さであるときと比べて、皮膚が化粧品組成物によって化粧された状態が、より長い時間にわたって維持される。
【0060】
例えば、突起部32が形成する孔の深さが角質層の内部に留まる深さであるとき、送達物や化粧品組成物が、角質層の内部に留まる。角質層は、たえず新陳代謝により新規に生成されるため、角質層の内部に位置する送達物や化粧品組成物は、時間の経過とともに体外に排出される。そのため、皮膚の洗浄や皮膚をピーリングすることなどにより、例えば、皮膚が化粧品組成物によって化粧された状態、および、皮膚に送達物などが付与された状態が容易に解除される。
【0061】
図7を参照して、突起部32における皮膚に対する穿刺の性能と、突起部32の長さとの関係を説明する。
図7が示すように、突起部32が形成する孔の深さが、角質層を貫通し、かつ、神経層に到達しない深さであるとき、突起部32の長さLは、200μm以上700μm以下の範囲に含まれることが好ましく、200μm以上500μm以下の範囲に含まれることがより好ましい。また、突起部32の長さLは、200μm以上300μm以下の範囲に含まれることがさらに好ましい。
【0062】
突起部32が形成する孔の深さが、角質層の内部に留まる深さであるとき、突起部32の長さLは、30μm以上300μm以下の範囲に含まれることが好ましく、30μm以上250μm以下の範囲に含まれることがより好ましい。また、突起部32の長さLは、30μm以上40μm以下の範囲に含まれることがさらに好ましい。
【0063】
マイクロニードル30が複数の突起部32を備えるとき、各突起部32の長さは、相互に同じであってもよく、相互に異なってもよい。各突起部32の長さが相互に異なるとき、例えば、所定の状態に配列された複数の突起部32のうち、突起形成部31a2の外周を形成する突起部32の長さLが、他の突起部32の長さLよりも大きくてもよい。これにより、マイクロニードル30の刺される対象が曲面であるとき、複数の突起部32の各々が、対象に対して接触することができる。
【0064】
各突起部32の長さが相互に異なるとき、例えば、所定の状態に配列された複数の突起部32のうち、突起形成部31a2の外周を形成する突起部32の長さLが、他の突起部32の長さLよりも小さくてもよい。ここで、突起部32のうち、突起形成部31a2の外周に位置する突起部32は、突起形成部31a2における他の部位に位置する突起部32と比べて、形状が変わりやすい。この点で、突起形成部31a2の外周に位置する突起部32の長さLが、他の突起部32の長さLよりも小さい構成であれば、突起形成部31a2の外周に位置する突起部32の機械的な強度を高くすることができる。結果として、突起形成部31a2の外周に位置する突起部32の形状が変わりにくくなる。
【0065】
なお、各突起部32の長さが相互に異なるとき、上述した対向距離D1は、複数の突起部32のうちで、延設方向における長さが最も大きい突起部32の長さLよりも大きければよい。
【0066】
突起部32の幅Wは、1μm以上300μm以下の範囲に含まれることが好ましい。突起部32の幅Wは、上述した範囲に含まれ、かつ、突起部32が対象に刺されたときに形成される孔が、皮膚の内部のうちで、いずれの位置まで形成されるかなどを考慮して選択されることが好ましい。
【0067】
なお、突起部32の幅Wは、突起部32が基体31の突起形成面31aに対して平行に投影されたとき、基体31に投影された投影図のうちで、突起形成面31aに沿った長さの最大値である。例えば、突起部32が円錐形状を有するとき、突起部32のうち、基体31の突起形成面31aと接している基端における円の直径が幅Wである。突起部32が正四角錐形状を有するとき、突起部32の基端における正方形の対角線が幅Wである。突起部32が円柱形状を有するとき、突起部32の基端における円の直径が幅Wである。突起部32が正四角柱形状を有するとき、突起部32の基端における正方形の対角線が幅Wである。
【0068】
突起部32は、例えば錐体形状のように先端に鋭角を形成するとき、マイクロニードル30の突起部32が対象に刺されたときに、突起部32が角質層を貫通する場合には、突起部32の先端角θは、5°以上30°以下の範囲に含まれることが好ましい。また、突起部32の先端角θは、10°以上20°以下の範囲に含まれることがより好ましい。
【0069】
マイクロニードル30が対象に刺されたときに、突起部32が角質層の内部に留まる場合には、突起部32の先端角θは、30°以上であることが好ましく、45°以上であることがより好ましい。なお、突起部32の先端角θは、基体31における突起形成面31aと直交する方向に沿った断面にて、突起部32が形成する角度の最大値である。
【0070】
マイクロニードル30の形成材料は、生体適合性を有する材料である適合材料であり、適合材料は、生体に害を与えることなく、目的とする機能を発現することのできる性質を有した材料である。適合材料は、例えば、生体に害を与えない水溶性高分子、非水溶性高分子、生体高分子、非金属、金属、および、樹脂などである。
【0071】
適合材料が水溶性高分子であるとき、適合材料は、例えば、アルギン酸塩、カードラン、キチン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸、コラーゲン、コラーゲンペプチド、ヒドロキシプロピルセルロース、および、ゼラチンなどである。適合材料が非金属であるとき、適合材料は例えばシリコンなどであり、適合材料が金属であるとき、適合材料は例えばチタンなどである。適合材料が樹脂であるとき、適合材料は、例えば、シリコーンおよびポリグリコール酸などである。
【0072】
適合材料のうち、キチン、キトサン、および、キトサン誘導体は、蟹およびエビなどの甲殻類に由来するもの、菌糸類や微生物が産生したもの、および、これらを出発原料とするものなどを含む。キトサン、キチンとキトサンとの混合物、および、キチンとキトサン誘導体との混合物の各々は、皮膚に対する美容効果、殺菌効果、および、抗菌効果を有するため、マイクロニードル30の形成材料として好ましい。
【0073】
なお、キチンとキトサンとの間に明確な境界はないものの、一般的には、キチンのうちで脱アセチル化が70%以上であるものがキトサンである。キチンの脱アセチル化は、公知の手法を用いて行うことができる。
【0074】
基体31の形成材料と突起部32の形成材料とは、相互に同じであってもよいし、相互に異なってもよい。基体31と突起部32とが一体成形される上では、基体31の形成材料と突起部32の形成材料とが同じであることが好ましい。
【0075】
マイクロニードル30は、送達物を内部に含んでもよいし、外側面に塗布された送達物を保持してもよい。マイクロニードル30が送達物を含むとき、送達物は、例えば、生理活性物質や化粧品組成物などである。送達物は芳香を有する材料であってもよく、送達物が芳香を有する材料であれば、マイクロニードル30が使用されるときに対象に匂いを与えることができるため、マイクロニードル30が美容品として用いられる上で好ましい。送達物は、生物製剤であってもよい。生物製剤は、ヒトや動物の細胞および細胞組織などに由来する材料を用いた薬物である。
【0076】
一方、マイクロニードル30が対象に刺された後に、送達物が孔の形成された皮膚の上に塗布されてもよい。これにより、マイクロニードル30が形成した孔によって、送達物が対象の身体の内部に投与される。このとき、マイクロニードル30は、送達物を内部に含んでもよいし、外表面に保持してもよい。あるいは、マイクロニードル30においては、突起部32が、対象の皮膚に埋没させられてもよい。
【0077】
以上説明したように、第1実施形態のマイクロニードルユニット10、および、マイクロニードル用容器20によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)マイクロニードル用容器20が延設方向の振動を受けることによって、マイクロニードル用容器20の内部に位置するマイクロニードル30が移動しても、マイクロニードル30の突起部32は、蓋対向面44に衝突しにくくなる。加えて、マイクロニードル30の突起部32は、当接面42と支持面53との間に入りにくくなる。そのため、マイクロニードル用容器20が突起部32の延びる方向での振動を受けても、マイクロニードル30の突起部32の形状が変わりにくくなる。
【0078】
(2)当接面42の密着性と、支持面53との密着性とが、相互に異なってもよい。この場合には、マイクロニードル用容器20が開けられるときに、マイクロニードル30が密着性の高い面と接していれば、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器20に保持されやすくなる。
【0079】
(3)当接面42の少なくとも一部に密着部46が位置し、かつ、密着部46が、密着部46の外側に位置する接触面48よりも延設方向において突き出ていてもよい。この場合には、マイクロニードル用容器20が開けられるとき、マイクロニードル30が密着部46に位置しやすくなり、かつ、密着部46に位置するマイクロニードル30は、接触面48の位置から延設方向において突き出ている。そのため、密着部材の一例である蓋部21からのマイクロニードル30の取り出しが行いやすくなる。
【0080】
[第1実施形態の変形例]
以上説明した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。なお、以下で説明する図8(a)、図9(a)、および、図11の各々は、図3と同様、蓋対向面44を有する壁部側から蓋部21を見た平面構造を示す平面図である。また、図8(b)、および、図9(b)は、収容対向面55を有する壁部側から収容部22を見た平面構造を示す平面図である。図8(a)、図9(a)、および、図11の各々では、蓋部21の有する当接面42の配置を説明する便宜上、蓋対向面44を有する壁部の図示が省略され、かつ、蓋部21に形成される当接面42が破線で示されている。図8(b)および図9(b)の各々では、収容部22の有する支持面53の配置を説明する便宜上、収容対向面55を有する壁部の図示が省略され、かつ、収容部22に形成される支持面53が破線で示されている。
【0081】
図8を参照して、収容部22と蓋部21との積み重なる方向から見た、蓋部21の当接面42の位置と、収容部22の支持面53の位置とを説明する。
図8(a)が示すように、当接面42は、蓋部21の内側面のうち、相互に対向する2つの面の各々から、対向する面に向けて張り出している。2つの当接面42の各々は、上述した2つの面が対向する方向と直交する方向において、各面の全体にわたっている。
【0082】
これに対して、図8(b)が示すように、支持面53は、収容部22の内側面のうち、相互に対向する2つの面の各々から、対向する面に向けて張り出している。しかも、各支持面53の張り出す面が対向する方向は、マイクロニードル用容器20が組み立てられたとき、各当接面42が張り出す面が対向する方向と直交する方向である。
【0083】
そのため、マイクロニードル用容器20が組み立てられたとき、各当接面42の一部は、蓋部21と収容部22との積み重なる方向から見て、各支持面53の一部と相互に重なる。一方、各支持面53の一部は、蓋部21と収容部22との積み重なる方向から見て、各当接面42の一部と相互に重なる。つまり、マイクロニードル30を支持する各当接面42と支持面53とは、マイクロニードル30の位置する面を対称面とするとき、面対称の状態で配置されなくてもよい。
【0084】
図9(a)が示すように、図1が示す蓋部21は、蓋部21の外周面から外側に向けて突き出た蓋突出部23を備えてもよい。蓋部21は、例えば2つの蓋突出部23を備え、2つの蓋突出部23は、平面視において、2つの当接面42とは重ならない位置に配置され、かつ、上述した対向方向とは直交する方向において相互に対向している。
【0085】
図9(b)が示すように、収容部22は、底部と、段差面を有しない側壁部とから構成されてもよい。また、こうした収容部22は、収容部22の外周面から外側に向けて突き出た収容突出部24を備えてもよい。収容部22は、例えば2つの収容突出部24を備え、2つの収容突出部24は、平面視において、上述した対向方向とは直交する方向において相互に対向している。そのため、マイクロニードル用容器20が組み立てられたとき、蓋部21と収容部22とが積み重なる方向から見て、各蓋突出部23の位置は、相互に異なる1つの収容突出部24の位置と重なる。
【0086】
これにより、例えば、マイクロニードル用容器20が開けられた状態で、マイクロニードル30が蓋部21に配置されるとき、マイクロニードル30の使用者は、各蓋突出部23によって囲まれる空間に指を配置することができる。そのため、使用者が2本の指でマイクロニードル30を挟む操作が行いやすくなる。結果として、蓋部21からマイクロニードル30を容易に取り出すことができる。
【0087】
また、マイクロニードル用容器20が開けられた状態で、マイクロニードル30が収容部22に配置されるときであっても、マイクロニードル30の使用者は、各収容突出部24によって囲まれる空間に指を配置することができる。それゆえに、使用者は、マイクロニードル30が蓋部21に配置されるときと同様の方法でマイクロニードル30を挟むことができる。結果として、収容部22からマイクロニードル30を容易に取り出すことができる。
【0088】
なお、蓋部21は、1つの蓋突出部23を有してもよいし、3つ以上の蓋突出部23を有してもよい。また、収容部22は、1つの収容突出部24を有してもよいし、3つ以上の収容突出部24を有してもよい。
【0089】
図10が示すように、マイクロニードル30は、基体31における被当接部31a1に、被当接部31a1の外縁から内側に向けて切り欠かれた切り欠き部33を有してもよい。マイクロニードル30は、例えば、2つの切り欠き部33を有している。各切り欠き部33は、矩形板形状を有する基体31のうち、基体31の外縁を構成する1つの辺の中央に位置し、2つの切り欠き部33は、複数の突起部32を挟んで相互に対向している。
【0090】
図11が示すように、図1が示すマイクロニードル用容器20にマイクロニードル30が収容されるとき、マイクロニードル30の各切り欠き部33は、上述した対向方向において、2つの当接面42の間に位置する。そのため、例えば、マイクロニードル用容器20が開けられた状態で、マイクロニードル30が蓋部21に配置されるとき、マイクロニードル30の使用者は、各切り欠き部33に配置した指でマイクロニードル30を挟むことができる。それゆえに、蓋部21からマイクロニードル30を容易に取り出すことができる。
【0091】
また、マイクロニードル用容器20が開けられた状態で、マイクロニードル30が収容部22に配置されるときであっても、マイクロニードル30の使用者は、マイクロニードル30が蓋部21に配置されるときと同様の方法でマイクロニードル30を摘むことができる。それゆえに、収容部22からマイクロニードル30を容易に取り出すことができる。
【0092】
なお、マイクロニードル30は、1つの切り欠き部33を有してもよいし、3つ以上の切り欠き部33を有してもよい。また、各切り欠き部33は、基体31の外縁を構成する1つの辺の中央に限らず、1つの辺の端や、2つの辺によって形成される角部などに位置してもよい。さらには、マイクロニードル30が2つ以上の切り欠き部33を有するとき、2つの切り欠き部33は、複数の突起部32を挟んで相互に対向する位置に位置していなくてもよい。
【0093】
また、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器20に収容されるとき、切り欠き部33は、対向方向において1つの当接面42と重なる位置に配置されてもよい。こうした構成であっても、マイクロニードル30が切り欠き部33を有するため、蓋部21からマイクロニードル30を取り出すことが少なからず容易にはなる。
【0094】
[第2実施形態]
図12から図23を参照して、本開示の技術におけるマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器を具体化した第2実施形態を説明する。第2実施形態のマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器は、第1実施形態のマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器と比べて、マイクロニードル用容器における当接部および支持部の構成が異なる。そのため、以下では、こうした相違点を詳しく説明し、かつ、その他の構成についての詳しい説明を省略しながら、マイクロニードルユニットの構成における複数の例、および、実施例を順番に説明する。また、以下に示される図12から図23では、第1実施形態にて説明された構成と同等の構成に対して、同一の符号が付されている。
【0095】
[マイクロニードルユニットの構成]
図12から図23を参照してマイクロニードルユニットの構成を説明する。なお、図14は、マイクロニードル用容器20の蓋部21の蓋底部側から蓋部を見た平面構造示す平面図であり、図15は、マイクロニードル用容器の収容部の収容底部側から収容部を見た平面構造を示す平面図である。図14では、蓋部の有する蓋突部の配置を説明する便宜上、蓋底部の図示が省略され、図15では、収容部の有する収容突部の配置を説明する便宜上、収容底部の図示が省略されている。
【0096】
図12が示すように、マイクロニードルユニット10は、マイクロニードル用容器60と、マイクロニードル30とを備えている。
マイクロニードル用容器60は、蓋部61と収容部62とを備えている。蓋部61は、蓋突部61aと、突起部32と対向する対向部61bとを備え、蓋突部61aの先端に基体31の被当接部31a1と対向する当接部が位置している。収容部62は、収容突部62aを備え、収容突部62aの先端に基体31の被支持面31bを支持する支持部が位置している。
【0097】
蓋部61においては、蓋突部61aの先端と、対向部61bとの間の距離が、延設方向での突起部32の長さよりも大きい。また、蓋突部61aの先端と、収容突部62aの先端との間の距離が、延設方向における基体31の厚さと、突起部32の長さとの和よりも小さい。
【0098】
すなわち、マイクロニードル用容器60では、延設方向において、蓋突部61aの先端と対向部21bとの間の距離が、被当接部31a1と突起部32の先端との間の距離よりも大きい。また、蓋突部61aの先端と収容突部62aの先端との間の距離が、延設方向における被当接部31a1と被支持面31bとの間の距離と、被当接部31a1と突起部32の先端との間の距離との和よりも小さい。
【0099】
図13が示すように、マイクロニードル用容器60の蓋部61は凹状体であり、蓋部61の形状は、例えば、2つの筒端のうち、一方が塞がれた矩形筒形状であるが、半球形状、半楕円形状、および、円筒形状などでもよい。
【0100】
蓋部61は、2つの蓋筒端を有する蓋筒体71と、蓋筒体71の一方の蓋筒端を塞ぐ板形状を有する蓋底部72とを備え、蓋底部72は、マイクロニードル30の突起部32と対向する対向部61bを含む。蓋底部72は、平板形状を有しているが、蓋底部72は、曲板形状を有してもよい。
【0101】
蓋部61は、2つの蓋突部61aを備え、蓋突部61aは、蓋底部72から蓋筒体71における開口した蓋筒端に向けて延びる。蓋突部61aにおいて、蓋底部72に接触する端部が基端であり、蓋底部72から離れた端部が先端であり、蓋突部61aの先端が、基体31の被当接部31a1に当接する当接部である。
【0102】
各蓋突部61aは、例えば、円柱形状を有している。なお、各蓋突部61aは、円柱形状に限らず、錐体形状、あるいは、錘台形状を有してもよい。各蓋突部61aが錐体形状を有するとき、錐体形状は、角錐形状でもよいし、円錐形状でもよい。また、各蓋突部61aが錐体形状を有するとき、錐体形状のうちの底面が、蓋底部72に接触することが好ましい。各蓋突部61aが錘台形状を有するとき、錘台形状は、角錘台形状でもよいし、円錐台形状でもよい。また、各蓋突部61aは、角柱形状を有してもよい。2つの蓋突部61aは、相互に同じ形状を有してもよいし、相互に異なる形状を有してもよい。
【0103】
蓋突部61aの先端と、蓋底部72との間の距離が対向距離D1であり、対向距離D1が、延設方向における突起部32の長さLよりも大きい。そのため、マイクロニードル用容器60が延設方向の振動を受けることによって、マイクロニードル用容器60の内部に位置するマイクロニードル30が移動しても、マイクロニードル30の突起部32は、蓋底部72に衝突しにくくなる。
【0104】
図14が示すように、2つの蓋突部61aのうち、一方の蓋突部61aが、蓋底部72の内側面における1つの角部に位置し、他方の蓋突部61aが、一方の蓋突部61aが配置された角部を通る対角線上の角部に位置している。なお、各蓋突部61aは、蓋底部72のうち、基体31の被当接部31a1と対向する部位であれば、いずれの部位に位置してもよい。
【0105】
図13が示すように、収容部62は凹状体であり、収容部62の形状は、例えば、2つの筒端のうち、一方が塞がれた矩形筒形状であるが、半球形状、半楕円形状、および、円筒形状などでもよい。
【0106】
収容部62は、2つの収容筒端を有する収容筒体81と、一方の収容筒端を塞ぐ板形状を有する収容底部82とを備えている。収容底部82は、平板形状を有しているが、曲板形状を有してもよい。
【0107】
収容部62は、2つの収容突部62aを備え、収容突部62aは、収容底部82から収容筒体81における開口した収容筒端に向けて延びる。収容突部62aにおいて、収容底部82に接触する端部が基端であり、収容底部82から離れた端部が先端であり、収容突部62aの先端が、基体31の被支持面31bを支持する支持部である。
【0108】
各収容突部62aは、例えば、円柱形状を有している。なお、各収容突部62aは、円柱形状に限らず、錐体形状を有してもよいし、錘台形状を有してもよい。各収容突部62aが錐体形状を有するとき、錐体形状は、角錐形状でもよいし、円錐形状でもよい。また、各収容突部62aが錐体形状を有するとき、錐体形状のうちの底面が、収容底部82に接触することが好ましい。各収容突部62aが錘台形状を有するとき、錘台形状は、角錘台形状でもよいし、円錐台形状でもよい。また、各収容突部62aは、角柱形状を有してもよい。2つの収容突部62aは、相互に同じ形状を有してもよいし、相互に異なる形状を有してもよい。
【0109】
蓋突部61aの先端と、収容突部62aの先端との間の距離が挟持距離D2であり、挟持距離D2が、突起部32の長さLと、基体31の厚さTとの和よりも小さい。そのため、基体31が厚さ方向に動いても、突起部32がマイクロニードル用容器60の内側面に触れることが抑えられる。それゆえに、マイクロニードル用容器20が基体31の厚さ方向の振動を受けたとき、マイクロニードル30における突起部32の変形を抑えることができる。
【0110】
図15が示すように、2つの収容突部62aのうち、一方の収容突部62aが、収容底部82の内側面における1つの角部に位置し、他方の収容突部62aが、一方の収容突部62aが配置された角部を通る対角線上に位置する角部に位置している。
【0111】
収容部62においては、マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、収容部62と蓋部61との積み重なる方向から見て、収容突部62aの位置が、蓋突部61aの位置と相互に重なる。そのため、収容部62と蓋部61との積み重なる方向から見て、収容突部62aの位置と蓋突部61aの位置とが重ならない構成と比べて、マイクロニードル30の位置をより安定させることができる。
【0112】
なお、各収容突部62aは、収容底部82のうち、基体31の被支持面31bと対向する部位であれば、いずれの部位に位置してもよい。
図16が示すように、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されるとき、蓋突部61aの先端と、収容突部62aの先端との各々が、同時に基体31に接触する構成であってもよい。
【0113】
蓋底部72の内側面から収容部62に向けて開口した蓋筒端73までの長さが蓋部長さL1であり、蓋底部72の内側面、すなわち、蓋突部61aの基端から先端までの長さが蓋突部長さM1である。一方、収容底部82の内側面から蓋部61に向けて開口した収容筒端83までの長さが収容部長さL2であり、収容底部82の内側面、すなわち、収容突部62aの基端から先端までの長さが収容突部長さM2である。
【0114】
このとき、蓋部長さL1、蓋突部長さM1、収容部長さL2、および、収容突部長さM2が、以下の式1を満たすことで、蓋突部61aの先端と、収容突部62aの先端との各々が、同時に基体31に接触する。
【0115】
(L1+L2)<(M1+M2) … (式1)
なお、上述の関係が満たされていれば、蓋部長さL1は、蓋突部長さM1と相互に等しくてもよいし、蓋突部長さM1よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。あるいは、蓋部長さL1は、収容部長さL2と相互に等しくてもよいし、収容部長さL2よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。一方、収容部長さL2は、収容突部長さM2と相互に等しくてもよいし、収容突部長さM2よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。あるいは、収容突部長さM2は、蓋突部長さM1と相互に等しくてもよいし、蓋突部長さM1よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0116】
上述した式1が満たされる構成において、蓋突部61aの剛性が、蓋部61における蓋突部61a以外の部分の剛性とほぼ等しく、かつ、収容突部62aの剛性が、収容部62における収容突部62a以外の部分の剛性とほぼ等しくてもよい。このとき、マイクロニードル用容器60がマイクロニードル30を収容した状態で、蓋部61の蓋筒端73と、収容部62の収容筒端83との間に隙間が生じる。ただし、挟持距離D2と、基体31の厚さTとが等しいため、挟持距離D2が厚さTよりも大きい構成と比べて、マイクロニードル30が、より安定に支持される。
【0117】
蓋部長さL1、蓋突部長さM1、収容部長さL2、および、収容突部長さM2は、マイクロニードル30の基体31の厚さTも加えた以下の式2を満たすことがさらに好ましい。
【0118】
(L1+L2)≦(M1+M2+T) … (式2)
式2においては、式1における右辺が厚さTをさらに含むため、式1と比べて、蓋部長さL1と収容部長さL2との和と、蓋突部長さM1と収容突部長さM2との和との差分が小さくても、式2が満たされる。そのため、蓋部61の蓋筒端73と、収容部62の収容筒端83との間に隙間が生じにくくなる。それゆえに、マイクロニードル用容器60の内部に収容されたマイクロニードル30が外部に曝されにくくなるため、式2を満たす構成がより好ましい。
【0119】
図17が示すように、上述した式1あるいは式2が満たされるとき、蓋突部61aおよび収容突部62aの少なくとも一方の形成材料が、弾性を有する形成材料であることが好ましい。そして、蓋突部61aの形成材料が弾性を有する形成材料であるとき、蓋突部61aの弾性が、蓋部61において蓋突部61a以外の部分の弾性よりも高いことが好ましい。一方、収容突部62aの形成材料が弾性を有する形成材料であるとき、収容突部62aの弾性が、収容部62において収容突部62a以外の部分の弾性よりも高いことが好ましい。
【0120】
蓋突部61aの形成材料が弾性を有する形成材料であるとき、蓋突部61aが弾性部の一例であり、蓋部61が弾性部材の一例である。収容突部62aの形成材料が弾性を有する形成材料であるとき、収容突部62aが弾性部の一例であり、収容部62が弾性部材の一例である。
【0121】
蓋突部61aの形成材料が弾性を有する形成材料であるとき、蓋部61の形成材料は、上述した蓋部21の形成材料の群から選択されるいずれかの材料である。
蓋突部61aの形成材料は、例えば、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、および、多孔質材料などであり、形成材料が多孔質材料であるとき、多孔質材料はスポンジなどである。蓋突部61aの形成材料がシリコーン樹脂であるとき、蓋部61の形成材料は、上述した形成材料のうちで、シリコーン樹脂以外の材料であり、かつ、シリコーン樹脂よりも弾性の低い形成材料のいずれかであればよい。蓋突部61aの形成材料がウレタン樹脂、および、多孔質材料であるとき、蓋部61の形成材料は、上述した形成材料のうちで、これらよりも弾性の低い形成材料のいずれかであればよい。
【0122】
蓋突部61aの形成材料が弾性を有する形成材料であって、かつ、上述した式1が満たされるとき、蓋筒端73と収容筒端83とが接触すると、蓋突部61aが基体31に押し付けられることで、蓋突部61aの先端の形状が変わる。すなわち、蓋突部61aは、蓋筒端73と収容筒端83とが接触するときと接触しないときとで、延設方向における長さが変わる。こまた、上述した式2において、右辺が左辺よりも大きくなる場合にも、蓋突部61aの先端の形状が変わる。これにより、蓋突部61aが基体31に対してより密着するため、マイクロニードル30が、マイクロニードル用容器60によってより安定に保持される。蓋筒端73と収容筒端83とが、接触部の一例である。
【0123】
さらに、マイクロニードル用容器60がマイクロニードル30を収容したとき、蓋突部61aの先端の形状が変わることで、蓋部61における開口した蓋筒端73と、収容部62における開口した収容筒端83との間に隙間が生じることが抑えられる。それゆえに、マイクロニードル30が、マイクロニードル用容器60の形成する収容空間の外部に曝されにくくなる。
【0124】
なお、蓋部長さL1、蓋突部長さM1、収容部長さL2、および、収容突部長さM2は、マイクロニードル30の基体31の厚さTも加えた以下の式3を満たすことがさらに好ましい。
【0125】
(L1+L2)<(M1+M2+T) … (式3)
式3においては、式2と同様、式1と比べて、蓋部長さL1と収容部長さL2との和と、蓋突部長さM1と収容突部長さM2との和との差分が小さくても、式3が満たされる。そのため、蓋突部61aが基体31に対してより密着し、かつ、蓋部61の蓋筒端73と、収容部62の収容筒端83との間にさらに隙間が生じにくくなる。
【0126】
なお、蓋部61が複数の蓋突部61aを有するとき、全ての蓋突部61aの形成材料が、上述した弾性を有する形成材料であってもよいし、複数の蓋突部61aの一部の形成材料が、上述した弾性を有する形成材料であってもよい。
【0127】
また、収容突部62aの形成材料が、弾性を有する形成材料であるときには、蓋突部61aの形成材料が弾性を有する形成材料であるときと同様、収容突部62aの形成材料が上述したいずれかの形成材料であり、収容部62の形成材料が上述したいずれかの形成材料であればよい。そして、収容部62が複数の収容突部62aを有するとき、全ての収容突部62aの形成材料が、上述した弾性を有する形成材料であってもよいし、複数の収容突部62aの一部の形成材料が、上述した弾性を有する形成材料であってもよい。あるいは、蓋突部61aの形成材料と、収容突部62aの形成材料との両方が、弾性を有する形成材料であってもよい。
【0128】
図18が示すように、上述した式1が満たされるとき、蓋突部61aおよび収容突部62aの少なくとも一方が、弾性を有する機構を含む弾性部であることが好ましい。そして、蓋突部61aの弾性が、蓋部61において蓋突部61a以外の部分の弾性よりも高いことが好ましい。一方、収容突部62aが弾性部であるとき、収容突部62aの弾性が、収容部62において収容突部62a以外の部分の弾性よりも高いことが好ましい。蓋突部61aが弾性部であるとき、蓋部61が弾性部材の一例であり、収容突部62aが弾性部であるとき、収容部62が弾性部材の一例である。
【0129】
蓋部61の形成材料は、上述したいずれかの形成材料であればよい。蓋突部61aは、例えば、蓋底部72に接触して弾性を有しない底部接触部74、弾性機構75、および、基体31に接触し、かつ、弾性を有しない基体接触部76を備えている。底部接触部74および基体接触部76の形成材料は、例えば、上述した蓋部61の形成材料と同じであってもよい。弾性機構75は、例えば、ばね機構、および、ピストン機構などである。なお、蓋突部61aは、弾性を有してない部分を備えていなくともよく、すなわち、蓋突部61aの全体が、弾性機構から構成されてもよい。
【0130】
図19が示すように、蓋部61が収容部62に接触して、蓋筒端73と収容筒端83とが接触すると、蓋突部61aが基体31の被当接部31a1に押し付けられることで、蓋突部61aにおける弾性機構75の形状が変わる。これにより、蓋突部61aにおける延設方向の長さが、蓋筒端73と収容筒端83とが接触しないときの長さよりも小さくなることで、蓋突部61aが基体31に対してより密着する。結果として、マイクロニードル30が、マイクロニードル用容器60によってより安定に支持される。
【0131】
さらに、蓋部61における開口した蓋筒端73と、収容部62における開口した収容筒端83との間に隙間が生じることが抑えられるため、マイクロニードル30が、マイクロニードル用容器60の形成する収容空間の外部に曝されにくくなる。
【0132】
図20が示すように、以下の式4が満たされるとき、蓋部長さL1と収容部長さL2とが相互に等しく、かつ、蓋突部長さM1と収容突部長さM2とが相互に等しいことが好ましい。
【0133】
(L1+L2)=(M1+M2+T) … (式4)
これにより、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されるとき、マイクロニードル30の突起部32が、収容底部82と対向しても、マイクロニードル30の突起部32が、収容部62に接触しない。そのため、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されるとき、基体31のうち、蓋底部72と対向する面が、突起形成面31aおよび被支持面31bのいずれであってもよい。それゆえに、マイクロニードル用容器60に対するマイクロニードル30の収容が簡単になる。
【0134】
蓋部長さL1と収容部長さL2とが相互に等しく、かつ、蓋突部長さM1と収容突部長さM2とが相互に等しいとき、蓋部61における蓋突部61aの位置と、収容部62における収容突部62aの位置も相互に等しいことが好ましい。すなわち、蓋部61と収容部62とが、相互に同じ形状であることが好ましい。これにより、蓋部と収容部とが、相互に異なる形状を有する構成と比べて、マイクロニードル用容器60の製造と取り扱いが容易である。具体的には、マイクロニードル用容器60を製造する際に、蓋部61と収容部62を識別する必要がないため、蓋部61と収容部62とを識別する必要がある構成と比べて製造上有利である。また、蓋部61と収容部62とのいずれか片方の部材だけが不足するといったことがないため、マイクロニードル用容器60を構成する部材の在庫を管理する上でも有利である。
【0135】
図21が示すように、上述した式4がほぼ満たされるとき、2つの蓋突部61aの長さが相互に異なり、かつ、2つの収容突部62aの長さが相互に異なってもよい。第1蓋突部61a1の長さが第1蓋突部長さM1aであり、第2蓋突部61a2の長さが第2蓋突部長さM1bである。第1蓋突部長さM1aは、第2蓋突部長さM1bよりも大きい。一方、第1収容突部62a1の長さが第1収容突部長さM2aであり、第2収容突部62a2の長さが第2収容突部長さM2bである。第1収容突部長さM2aは、第2収容突部長さM2bよりも小さい。
【0136】
マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、収容部62と蓋部61との積み重なる方向から見て、第1蓋突部61a1の位置と、第1収容突部62a1の位置とが相互に重なり、第2蓋突部61a2の位置と、第2収容突部62a2の位置とが相互に重なる。そして、第1蓋突部長さM1a、第2蓋突部長さM1b、第1収容突部長さM2a、第2収容突部長さM2b、および、基体31の厚さTは、以下の式5をほぼ満たす。
【0137】
(M1a+M2a+T)=(M1b+M2b+T) … (式5)
そのため、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されるとき、マイクロニードル30の基体31が、収容底部82と所定の角度を形成する。それゆえに、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されたとき、マイクロニードル30の基体31と収容底部82とが平行である構成と比べて、マイクロニードル30が取り出しやすくなる。
【0138】
図22が示すように、蓋突部61aの先端、および、収容突部62aの先端の少なくとも一方に、基体31に対する密着性が他の部分よりも高い密着部が位置してもよい。蓋突部61aの先端に密着部が位置するとき、密着部は、蓋部61における他の部分よりも基体31に対する密着性が高ければよく、収容突部62aの先端に密着部が位置するとき、密着部は、収容部62における他の部分よりも基体31に対する密着性が高ければよい。
【0139】
蓋突部61aが密着部77を有するとき、密着部77は、蓋部61における他の部分と比べて、基体31に対して滑りにくい構造を有する部位であってもよいし、滑りにくい形成材料で形成された部位であってもよいし、粘着性の高い形成材料で形成された部位であってもよい。密着部77の構造や形成材料は、上述した密着部46のうちのいずれかであればよい。
【0140】
なお、蓋突部61aのみが密着部77を有するとき、密着部77における基体31に対する密着性は、収容突部62aにおける基体31に対する密着性よりも高いことが好ましい。密着部77の密着性が収容突部62aの密着性よりも高いとき、蓋突部長さM1が、蓋部長さL1よりも大きいことが好ましい。これにより、マイクロニードル30が取り出されるとき、マイクロニードル30が密着部77に位置しやすくなり、かつ、密着部77に位置するマイクロニードル30は、蓋筒体71の位置から突き出ている。そのため、蓋部21からのマイクロニードル30の取り出しが行いやすくなる。
【0141】
図23が示すように、蓋部61の外形と、収容部62の外形とは、相互に異なってもよい。例えば、収容部62の収容外側面62sが、平坦面である一方、蓋部61の蓋外側面61sが、平坦面と、段差面などの所定の形状を有した面とを含んでもよい。これにより、蓋部61の外形と収容部62の外形とが同じである構成と比べて、蓋部61と収容部62とを区別することが容易になる。また、使用者がマイクロニードル用容器を保持したり、取り扱ったりしやすい形状とすることもできる。
【0142】
具体的には、図23が示すように、蓋部61が段差面を有する構成であれば、マイクロニードルユニット10の使用者は、蓋部61を下にしてマイクロニードルユニット10取り扱いにくい。すなわち、使用者は、蓋部61の上に収容部62が積み重なった状態でマイクロニードルユニット10を取り扱いにくい。そのため、使用者がマイクロニードル用容器60の上下方向を意識しなくとも、マイクロニードル用容器60は、マイクロニードル用容器60の上下を間違わずに取り扱われやすくなる。
【0143】
また、蓋部61の外形と、収容部62の外形とが相互に異なることによって、蓋部61の外形と、収容部62の外形との相互作用によって、マイクロニードル用容器60の外観の意匠性を高めることもできる。
【0144】
なお、マイクロニードル用容器60の製造方法は、例えば、射出成形法、押出成形法、3Dプリンターを用いる方法、切削加工法、および、レーザー加工法などのいずれかであればよい。また、蓋部61と蓋突部61aとは、一体に成形されてもよいし、各別に成形された後、蓋突部61aと蓋部61とが、所定の方法で一体化されてもよい。そして、収容部62と収容突部62aも、蓋部61と蓋突部61aと同様、一体に成形されてもよいし、各別に成形された後、収容部62と収容突部62aとが、所定の方法で一体化されてもよい。
【0145】
[実施例]
以下、マイクロニードルユニット10、および、マイクロニードル用容器60の実施例、および、比較例を説明する。
【0146】
[実施例1]
精密機械加工を用いて、正四角錐形状を有する突起部であって、高さが120μmであり、底面の一辺の長さが38μmである突起部をシリコン基板に形成した。このとき、シリコン基板には、相互に隣り合う突起部の間隔を1mmとし、10列10行の格子状に100本の突起部を並べた。これにより、一辺の長さが約9mmである正方形形状を有した突起形成部の内部に100本の突起部を配置した。
【0147】
そして、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂を用いて、マイクロニードルにおける突起部の凹凸を反転させたパターンを転写し、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂から構成される凹版を形成した。
【0148】
また、ヒドロキシプロピルセルロースを水に溶解した後、真空下でヒドロキシプロピルセルロース水溶液を脱気し、マイクロニードルを形成するための材料を調製した。このとき、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液におけるヒドロキシプロピルセルロースの濃度を5重量%とした。
【0149】
インクジェット法を用いて、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂から構成される凹版の上に調整したヒドロキシプロピルセルロース水溶液を供給して、凹版の凹部に充填した。そして、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を、温度が20℃であり、かつ、相対湿度が60%である環境に静置して乾燥させた後、乾燥したヒドロキシプロピルセルロースを凹版から剥離して、マイクロニードルを得た。得られたマイクロニードルにおいては、基体の厚さが1mmであった。
【0150】
一方、ポリアセタール製の凹状容器であって、凹状容器の底部における内側面と、開口した筒端との間の長さが5mmである有底筒体形状を有する凹状容器を蓋部と収容部として準備した。蓋部における蓋底部の内側面と、収容部における収容底部の内側面との各々における1つの対角線上にて対向する2つの角部に、高さが5mmであり、幅が3mmである円柱形状を有したウレタン製の突部を接着した。蓋部の蓋突部と、収容部の収容突部とは、収容部と蓋部とが積み重なる方向から見て、相互に重なる位置に配置した。これにより、2つの蓋突部を有する蓋部と、2つの収容突部を有する収容部とを備えるマイクロニードル用容器を作製した。
【0151】
基体の被支持面に収容部の収容突部が位置するように、マイクロニードルを収容部の内部に配置し、蓋部の蓋突部が収容部の収容突部と延設方向にて対向する状態で、収容部に対して蓋部を接触させた。このとき、蓋突部は、基体における突起形成面の被当接部に押し付けられることで、先端の形状が変わり、収容突部は、基体の被支持面に押し付けられることで、先端の形状が変わることが認められた。
【0152】
マイクロニードルを収容したマイクロニードル用容器を手で保持し、1分間にわたって突起部の延設方向の振動をマイクロニードル用容器に与えた。結果として、マイクロニードル用容器に対するマイクロニードルの位置は、マイクロニードル用容器が振動を与えられる前と同じの位置に保持されていることが認められた。また、収容部と蓋部とを離すことによるマイクロニードル用容器の開放と、収容部と蓋部とを接触させることによるマイクロニードル用容器の閉塞は、いずれも可能であることが認められた。さらには、マイクロニードルの突起部をマイクロスコープによって観察したところ、突起部の先端が鋭さを保ち、突起部の形状が変わることが抑えられることが認められた。
【0153】
[実施例2]
実施例1と同じ方法を用いて、マイクロニードルを作製した。
一方、実施例1と同じポリアセタール製の凹状容器を蓋部および収容部として準備した。そして、蓋部における蓋底部の内側面と、収容部における収容底部の内側面との各々における1つの対角線上にて対向する2つの角部に、高さが4.5mmであり、幅が3mmである円柱形状を有したウレタン製の突部を接着した。蓋部の蓋突部と、収容部の収容突部とは、収容部と蓋部とが積み重なる方向から見て相互に重なる位置に配置した。これにより、2つの蓋突部を有する蓋部と、2つの収容突部を有する収容部とを備えるマイクロニードル用容器を作製した。
【0154】
基体の被支持面に収容部の収容突部が位置するように、マイクロニードルを収容部の内部に配置し、蓋部の蓋突部が収容部の収容突部と延設方向にて対向する状態で、収容部に対して蓋部を接触させた。このとき、収容突部が、基体の被支持面に接触し、かつ、蓋突部が、基体における突起形成面の被当接部に接触していることが認められた。
【0155】
マイクロニードルを収容したマイクロニードル用容器を手で保持し、マイクロニードル用容器を1分間にわたって突起部の延設方向である上下方向、および、突起部の並ぶ方向である左右に強く振動を与えた。結果として、マイクロニードル用容器に対するマイクロニードルの位置は、マイクロニードル用容器が振動を与えられる前と同じの位置に保持されていることが認められた。また、収容部と蓋部とを離すことによるマイクロニードル用容器の開放と、収容部と蓋部とを接触させることによるマイクロニードル用容器の閉塞は、いずれも可能であることが認められた。さらには、マイクロニードルの突起部をマイクロスコープによって観察したところ、突起部の先端が鋭さを保ち、突起部の形状が変わることが抑えられることが認められた。
【0156】
[実施例3]
実施例1と同じ方法を用いて、マイクロニードルを作製した。
一方、実施例1と同じポリアセタール製の凹状容器を蓋部および収容部として準備した。そして、蓋部のうち、蓋底部の内側面における1つの対角線上にて対向する2つの角部に、高さが4.5mmであり、幅が3mmである円柱形状を有したウレタン製の突部を接着した。そして、収容部のうち、収容底部の内側面における対向する2つの角部に、高さが4.4mmであり、幅が3mmである円柱形状を有したウレタン製の突部を接着し、蓋部の蓋突部と、収容部の収容突部とは、収容部と蓋部とが積み重なる方向から見て相互に重なる位置に配置した。これにより、2つの蓋突部を有する蓋部と、2つの収容突部を有する収容部とを備えるマイクロニードル用容器を作製した。
【0157】
基体の被支持面に収容部の収容突部が位置するように、マイクロニードルを収容部の内部に配置し、蓋部の蓋突部が収容部の収容突部と延設方向にて対向する状態で、収容部に対して蓋部を接触させた。このとき、収容突部は、基体の被支持面に接触する一方、蓋突部は、基体に接触しないことが認められた。また、蓋突部の先端と収容突部の先端との間の距離は、1.1mmであって、マイクロニードルにおける基体の厚さと、突起部の長さとの和よりも小さいことが認められた。
【0158】
マイクロニードルを収容したマイクロニードル用容器を手で保持し、1分間にわたって突起部の延設方向の振動をマイクロニードル用容器に与えた。結果として、マイクロニードル用容器に対するマイクロニードルの位置は、マイクロニードル用容器が振動を与えられる前と同じ位置に保持されていることが認められた。また、収容部と蓋部とを離すことによるマイクロニードル用容器の開放と、収容部と蓋部とを接触させることによるマイクロニードル用容器の閉塞は、いずれも可能であることが認められた。さらには、マイクロニードルの突起部をマイクロスコープによって観察したところ、突起部の先端が鋭さを保ち、突起部の形状が変わることが抑えられることが認められた。
【0159】
[比較例1]
実施例1と同じ方法を用いて、マイクロニードルを作製した。
一方、実施例1と同じポリアセタール製の凹状容器を蓋部および収容部として準備した。そして、蓋部における蓋底部の内側面と、収容部における収容底部の内側面との各々における1つの対角線上にて対向する2つの角部に、高さが3mmであり、幅が3mmである円柱形状を有したウレタン製の突部を接着した。蓋部の蓋突部と、収容部の収容突部とは、収容部と蓋部とが積み重なる方向から見て相互に重なる位置に配置した。これにより、2つの蓋突部を有する蓋部と、2つの収容突部を有する収容部とを備えるマイクロニードル用容器を作製した。
【0160】
基体の被支持面に収容部の収容突部が位置するように、マイクロニードルを収容部の内部に配置し、蓋部の蓋突部が収容部の収容突部と延設方向にて対向する状態で、収容部に対して蓋部を接触させた。このとき、収容突部は、基体の被支持面に接触する一方、蓋突部は、基体に接触しないことが認められた。また、蓋突部の先端と収容突部の先端との間の距離は、4mmであって、マイクロニードルにおける基体の厚さと、突起部の長さとの和よりも大きいことが認められた。
【0161】
マイクロニードルを収容したマイクロニードル用容器を手で保持し、1分間にわたって突起部の延設方向の振動をマイクロニードル用容器に与えた。結果として、マイクロニードル用容器に対するマイクロニードルの位置が変わることで、突起部が蓋突部に接触する位置まで移動していることが認められた。また、マイクロニードルの突起部をマイクロスコープによって観察したところ、突起部の先端が延設方向と交差する方向に曲がっていることが認められた。
【0162】
以上説明したように、第2実施形態のマイクロニードルユニット、および、マイクロニードル用容器によれば、第1実施形態にて得られる効果に加えて、以下に列挙する効果を得ることができる。
【0163】
(4)上述した式1が満たされるとき、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されることで、蓋突部61aと収容突部62aとの各々が、マイクロニードル30の基体31に接触する。そのため、マイクロニードル用容器60が延設方向の振動を受けても、マイクロニードル30が、より延設方向に移動しにくくなる。それゆえに、マイクロニードル30の突起部32がより変形しにくくなる。
【0164】
(5)蓋突部61aおよび収容突部62aの少なくとも一方が弾性部であるとき、蓋部61と収容部62とが相互に接触することで、弾性部が、マイクロニードル30の基体31に押し付けられる。そのため、マイクロニードル用容器60におけるマイクロニードル30の位置が変わりにくくなるため、マイクロニードル用容器60が延設方向の振動を受けても、マイクロニードル30の突起部32の形状が変わりにくくなる。
【0165】
(6)蓋部61と収容部62とが相互に同じ形状であるとき、蓋部と収容部とが、相互に異なる形状を有する構成と比べて、マイクロニードル用容器60の製造が容易である。
(7)蓋部61の外形と収容部62の外形とが相互に異なるとき、蓋部61の外形と収容部62の外形とが相互に同じである構成と比べて、蓋部61と収容部62とを区別することが容易になる。
【0166】
[第2実施形態の変形例]
以上説明した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。なお、以下で参照する図24(a)、図25(a)、図26(a)、図27(a)、および、図28(a)の各々は、図14と同様、マイクロニードル用容器60における蓋部61の蓋底部72側から蓋部61を見た平面構造示す平面図である。また、図24(b)、図25(b)、図26(b)、図27(b)、図28(b)、および、図30(b)の各々は、図15と同様、マイクロニードル用容器60における収容部62の収容底部82側から収容部62を見た平面構造を示す平面図である。そして、図30(a)は、図3と同様、蓋対向面44を有する壁部側から蓋部21を見た平面構造を示す平面図である。
【0167】
図24(a)、図25(a)、図26(a)、図27(a)、および、図28(a)の各々では、蓋部61の有する蓋突部61aの配置を説明する便宜上、蓋底部72の図示が省略されている。また、図24(b)、図25(b)、図26(b)、図27(b)、図28(b)、および、図30(b)の各々では、収容部62の有する収容突部62aの配置を説明する便宜上、収容底部82の図示が省略されている。図30(a)では、蓋部21の有する当接面42の配置を説明する便宜上、蓋対向面44を有する壁部の図示が省略され、かつ、蓋部21に形成される当接面42が破線で示されている。
【0168】
図24を参照して、収容部62と蓋部61との積み重なる方向から見た、蓋突部61aの位置と、収容突部62aの位置とを説明する。なお、図24(a)には、マイクロニードル用容器60が組み立てられたときの収容突部62aの位置が二点鎖線で示され、図24(b)には、マイクロニードル用容器60が組み立てられたときの蓋突部61aの位置が二点鎖線で示されている。
【0169】
図24(a)が示すように、蓋部61の備える2つの蓋突部61aは、図14に示される蓋部61と同様、一方の蓋突部61aが、蓋底部72の内側面における1つの角部に位置し、他方の蓋突部61aが、一方の蓋突部61aが配置された角部を通る対角線上の角部に位置している。
【0170】
一方、図24(b)が示すように、収容部62の備える2つの収容突部62aは、一方の収容突部62aが、収容底部82の内側面における1つの角部に位置し、他方の収容突部62aが、一方の収容突部62aが配置された角部を通る対角線上の角部に位置している。ただし、図24(b)に示される2つの収容突部62aは、収容底部82の内側面のうち、図15に示される2つの収容突部62aが配置される対角線と交差する対角線上に位置している。
【0171】
そのため、マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、蓋部61の位置と収容部62の位置とが重ならない。つまり、各蓋突部61aは、マイクロニードル用容器60の内部に収容されたマイクロニードル30を挟んで、いずれの収容突部62aとも対向していない。
【0172】
図25(a)が示すように、蓋部61の備える2つの蓋突部61aは、図14に示される蓋部61と同様、一方の蓋突部61aが、蓋底部72の内側面における1つの角部に位置し、他方の蓋突部61aが、一方の蓋突部61aが位置する角部を通る対角線上の角部に位置している。
【0173】
一方、図25(b)が示すように、収容部62は、5つの収容突部62aを備え、5つの収容突部62aのうち、4つの収容突部62aの各々は、収容底部82の内側面における相互に異なる角部に位置している。そして、1つの収容突部62aは、収容底部82の内側面のほぼ中央であって、基体31の突起形成部31a2の裏面と対向する位置に配置されている。
【0174】
そのため、マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、2つの収容突部62aの各々の位置が、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て1つの蓋突部61aの位置と相互に重なる。一方、3つの収容突部62aの各々の位置は、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見ていずれの蓋突部61aの位置とも重ならない。
【0175】
このように、収容部62は3つ以上の収容突部62aを備えてもよいし、収容部62に限らず、蓋部61も3つ以上の蓋突部61aを備えてもよい。
図26(a)が示すように、蓋部61の備える2つの蓋突部61aは、図14に示される蓋部61と同様、一方の蓋突部61aが、蓋底部72の内側面における1つの角部に位置し、他方の蓋突部61aが、一方の蓋突部61aが位置する角部を通る対角線上の角部に位置している。
【0176】
一方、図26(b)が示すように、収容部62は、1つの収容突部91を備え、1つの収容突部91は、収容底部82の内側面のほぼ中央であって、基体31の突起形成部31a2の裏面と対向する位置に配置されている。そして、収容突部91の直径は、2つの蓋突部61aの間の距離よりも小さい。
【0177】
そのため、マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、1つの収容突部91の位置は、2つの蓋突部61aの位置のいずれとも重ならない。
【0178】
このように、収容部62は1つの収容突部91のみを備えてもよいし、収容部62に限らず、蓋部61も1つの蓋突部61aのみを備えてもよい。
図27(a)が示すように、蓋部61は2つの蓋突部92を備え、各蓋突部92は、蓋底部72の外縁を構成する1つの辺に沿って延びる直方体形状を有してもよい。そして、2つの蓋突部92は、例えば、蓋底部72の外縁を構成する4つの辺のうちで、相互に平行な2つの辺の各々に沿って延びている。
【0179】
一方、図27(b)が示すように、収容部62は2つの収容突部93を備え、各収容突部93は、収容底部82の外縁を構成する2つの辺に沿って延びる直方体形状を有する。そして、2つの収容突部93は、例えば、収容底部82の外縁を構成する4つの辺のうちで、相互に平行な2つの辺の各々に沿って延びている。
【0180】
マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、2つの収容突部93の各々の位置は、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、相互に異なる蓋突部92の位置と重なっている。
【0181】
なお、2つの蓋突部92の各々の位置は、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、相互に異なる収容突部93の位置と重ならなくともよい。また、2つの蓋突部92は、蓋底部72の外縁を構成する4つの辺のうち、相互に平行でない2つの辺の各々に沿って延びてもよい。さらには、2つの収容突部93も、収容底部82の外縁を構成する4つの辺のうち、相互に平行でない2つの辺の各々に沿って延びてもよい。
【0182】
図28(a)が示すように、蓋部61が1つの蓋突部94を備えるとき、蓋突部94は、蓋底部72の外縁の一部に沿った有端の環形状を有してもよい。蓋突部94において、2つの端部の間には、離間部95が形成されている。一方、収容部62が1つの収容突部96を備えるとき、収容突部96は、蓋突部94と同様、収容底部82の外縁の一部に沿った有端の環形状を有してもよい。収容突部96において、2つの端部の間には、離間部97が形成されている。
【0183】
そして、マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、ほぼ全体が相互に重なっているものの、蓋部61における離間部95の位置と、収容部62における離間部97の位置とは相互に重なっていない。
【0184】
なお、蓋部61と収容部62とが積み重なる方向から見て、蓋部61における離間部95の位置と、収容部62における離間部97の位置とが相互に重なってもよい。また、蓋突部94と収容突部96とは、無端の環形状を有してもよい。
【0185】
図21が示すマイクロニードル用容器60において、図29が示すように、第1蓋突部61a1の形状、第2蓋突部61a2、第1収容突部62a1、および、第2収容突部62a2の形状が以下のように変更されてもよい。
【0186】
すなわち、図29が示すように、蓋部61は、第1蓋突部61a1と第2蓋突部61a2とを備え、第1蓋突部61a1の長さが、第2蓋突部61a2の長さよりも大きい。一方、収容部62は、第1収容突部62a1と第2収容突部62a2とを備え、第1収容突部62a1の長さは、第2収容突部62a2の長さよりも小さい。
【0187】
そして、第1蓋突部61a1の先端と、第2蓋突部61a2の先端との各々は、蓋底部72に対して所定の角度で傾斜する傾斜面によって構成されている。一方、第1収容突部62a1の先端と、第2収容突部62a2の先端との各々は、収容底部82に対して所定の角度で傾斜する傾斜面によって構成されている。
【0188】
第1蓋突部61a1において、最も長さの大きい最大部分の長さが第1蓋突部最大長さM3aであり、最も長さの小さい最小部分の長さが第1蓋突部最小長さM4aである。第2蓋突部61a2において、最も長さの大きい最大部分の長さが第2蓋突部最大長さM3bであり、第2蓋突部61a2において、最も長さの小さい最小部分の長さが第2蓋突部最小長さM4bである。
【0189】
一方、第1収容突部62a1において、最も長さの小さい最小部分の長さが第1収容突部最小長さM5aであり、最も長さの大きい最大部分の長さが第1収容突部最大長さM6aである。第2収容突部62a2において、最も長さの小さい最小部分の長さが第2収容突部最小長さM5bであり、最も長さの大きい最大部分の長さが第2収容突部最大長さM6bである。
【0190】
マイクロニードル用容器60が組み立てられたとき、収容部62と蓋部61との積み重なる方向から見て、第1蓋突部61a1の位置と、第1収容突部62a1の位置とが相互に重なり、第2蓋突部61a2の位置と、第2収容突部62a2の位置とが相互に重なる。さらに、第1蓋突部61a1と第1収容突部62a1とにおいて、第1蓋突部61a1における最大部分の位置と、第1収容突部62a1における最小部分の位置とが重なり、第1蓋突部61a1における最小部分の位置と、第1収容突部62a1における最大部分の位置とが重なる。また、第2蓋突部61a2と第2収容突部62a2とにおいて、第2蓋突部61a2の最大部分の位置と、第2収容突部62a2における最小部分の位置とが重なり、第2蓋突部61a2における最小部分の位置と、第2収容突部62a2における最大部分の位置とが重なる。
【0191】
また、第1蓋突部61a1の先端と、第2蓋突部61a2の先端との各々は、蓋底部72に対して所定の角度x1で傾斜する傾斜面によって構成されているとする。一方、第1収容突部62a1の先端と、第2収容突部62a2の先端との各々は、収容底部82に対して所定の角度x2で傾斜する傾斜面によって構成されているとする。そして、第1蓋突部61a1の傾斜面、および、第2蓋突部61a2の傾斜面の各々が、基体31の突起形成面に沿い、かつ、第1収容突部62a1の傾斜面、および、第2収容突部62a2の傾斜面の各々が基体31の被支持面31bに沿うとする。
【0192】
このとき、第1蓋突部最大長さM3a、第1蓋突部最小長さM4a、第2蓋突部最大長さM3b、第2蓋突部最小長さM4b、第1収容突部最小長さM5a、第1収容突部最大長さM6a、第2収容突部最小長さM5b、第2収容突部最大長さM6b、および、基体31の厚さTは、以下の式6、および、式7を満たす。
【0193】
(M3a+M5a+T/cos(x1))
=(M4a+M6a+T/cos(x1)) … (式6)
(M3b+M5b+T/cos(x2))
=(M4b+M6b+T/cos(x2)) … (式7)
また、蓋部61において、第1蓋突部61a1の最大部分における先端、第1蓋突部61a1における最小部分の先端、第2蓋突部61a2の最大部分における先端、および、第2蓋突部61a2における最小部分の先端は、1つの直線である蓋部直線上に位置している。さらに、収容部62において、第1収容突部62a1の最小部分における先端、第1収容突部62a1の最大部分における先端、第2収容突部62a2の最小部分における先端、および、第2収容突部62a2の最大部分における先端は、1つの直線である収容部直線上に位置している。そして、蓋部直線と収容部直線とは、相互に平行であり、延設方向における蓋部直線と収容部直線との間の距離は、基体31の厚さTに等しい。
【0194】
そのため、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されるとき、マイクロニードル30の基体31が、収容底部82と所定の角度を形成する。それゆえに、マイクロニードル30がマイクロニードル用容器60に収容されたとき、マイクロニードル30の基体31と収容底部82とが平行である構成と比べて、マイクロニードル30が取り出しやすくなる。
【0195】
さらに、第1蓋突部61a1の先端と、第2蓋突部61a2の先端とは、マイクロニードル30における突起形成面31aに沿って配置され、かつ、第1収容突部62a1の先端と、第2収容突部62a2の先端とは、マイクロニードル30における被支持面31bに沿って配置される。そのため、マイクロニードル用容器60におけるマイクロニードル30の位置が、より変わりにくくなる。
【0196】
・上述した第2実施形態、および、第2実施形態の変形例における蓋部61も、第1実施形態の変形例のように、蓋部61の外周面から外側に向けて突き出た蓋突出部を備えてもよい。また、収容部62も、第1実施形態の変形例のように、収容部62の外周面から外側に向けて突き出た収容突出部を備えてもよい。こうした構成によっても、上述した第1実施形態の変形例と同等の効果を得ることができる。
【0197】
・上述した第2実施形態、および、第2実施形態の変形例におけるマイクロニードル用容器60に収容されるマイクロニードル30も、第1実施形態の変形例のように、基体31における被当接部31a1に、切り欠き部33を有したマイクロニードル30であってもよい。こうした構成によっても、上述した第1実施形態の変形例と同等の効果を得ることができる。
【0198】
・第2実施形態、および、第2実施形態の変形例に記載の蓋部は、第2実施形態、および、第2実施形態の変形例に記載した収容部と適宜組み合わせることができる。
図30(a)が示すように、蓋部21が、図3に示される蓋部21と同様、マイクロニードル30と当接する2つの当接面42を備えている。一方、図30(b)が示すように、収容部62は、1つの収容突部98を備えている。収容突部98は、矩形柱形状を有し、収容底部82の内側面のほぼ中央であって、マイクロニードル30における基体31の突起形成部31a2の裏面と対向する位置に配置されている。
【0199】
そして、マイクロニードル用容器が組み立てられるとき、蓋部21と収容部62とが積み重なる方向から見て、当接面42の一部と、収容突部98の一部とが相互に重ならない。
【0200】
このように、マイクロニードル用容器において、第1実施形態、および、第1実施形態の変形例の蓋部21と、第2実施形態、および、第2実施形態の変形例の収容部62とは、適宜組み合わせることが可能である。また、第2実施形態、および、第2実施形態の変形例の蓋部61と、第1実施形態、および、第1実施形態の変形例の収容部22とは、適宜組み合わせることが可能である。
【0201】
[他の変形例]
第1実施形態および第2実施形態にて説明したマイクロニードル30の構成は、以下のように変更してもよい。
【0202】
図31が示すように、マイクロニードル100は、複数の突起部101と、突起形成部102と、粘着シート103とを備える構成であってもよい。突起形成部102は、複数の突起部101が形成される形成面102aを有した板形状を有し、粘着シート103は、突起形成部102のうち、形成面102aとは反対側の面に接着している。粘着シート103は、突起形成部102よりも大きい板形状を有し、突起形成部102に接着する粘着層104と、粘着層104を支持する基材シート105とを備えている。
【0203】
粘着層104は、マイクロニードル100が皮膚に穿刺された際に、マイクロニードル100が皮膚と接触した状態を保持するように皮膚に貼着される。粘着シート103は、突起形成部102の周縁部と接着し、かつ、粘着層104は、マイクロニードルが皮膚に穿刺された際に皮膚に貼着できるように、突起形成部102の周縁部よりも外側に露出していればよい。
【0204】
マイクロニードル100では、突起形成部102と粘着シート103とがマイクロニードル100における基体110を構成している。基体110において、突起形成部102の形成面102aと、粘着層104において突起形成部102に接着する面のうち、突起形成部102によって覆われていない部分とが、段差を有する突起形成面110aを構成している。基体110において、突起形成面110aとは反対側の面、すなわち、基材シート105における粘着層104に接する面とは反対側の面が、被支持面110bである。
【0205】
そして、突起形成面110aのうち、粘着層104の一部であって、突起部101の位置しない部分、言い換えれば、複数の突起部101を囲む部分が被当接部110cである。
【0206】
マイクロニードル100がマイクロニードル用容器20,60に収容されたとき、被当接部110cが、マイクロニードル用容器20,60の当接部と対向し、被支持面110bが、マイクロニードル用容器20,60の支持部によって支持される。
【0207】
上述したマイクロニードル用容器20,60が、マイクロニードル100を収容する場合であっても、マイクロニードル用容器20,60における当接部と対向部との間の距離が、被当接部110cと突起部101の先端101aとの間の距離よりも大きければよい。また、マイクロニードル用容器20,60において、当接部と支持部との間の距離が、延設方向における被当接部110cと被支持面110bとの間の距離と、被当接部110cと突起部101の先端101aとの間の距離との和よりも小さければよい。
【0208】
図32が示すように、マイクロニードル100は、図31を用いて説明された構成に加えて、粘着層104のうち、突起形成部102によって覆われた部分以外の部分を覆う剥離シート106を備える構成であってもよい。剥離シート106は、粘着シート103のうち、基材シート105に接する面とは反対側の面に位置して、突起形成部102を囲んでいる。
【0209】
マイクロニードル100では、突起形成部102、粘着シート103、および、剥離シート106が基体120を構成している。基体120において、突起形成部102の形成面102aと、剥離シート106における粘着シート103に接する面とは反対側の面と、粘着シート103における突起形成部102および剥離シート106に覆われていない部分とが、突起形成面120aを構成している。基体120において、基材シート105における粘着層104に接する面とは反対側の面が、被支持面120bである。
【0210】
そして、突起形成面120aのうち、剥離シート106の一部であって、突起部101の位置しない部分、言い換えれば、複数の突起部101を囲む部分が被当接部120cである。
【0211】
マイクロニードル100がマイクロニードル用容器20,60に収容されたとき、被当接部120cが、マイクロニードル用容器20,60の当接部と対向し、被支持面120bが、マイクロニードル用容器20,60の支持部によって支持される。
【0212】
上述したマイクロニードル用容器20,60が、マイクロニードル100を収容する場合であっても、マイクロニードル用容器20,60における当接部と対向部との間の距離が、被当接部120cと突起部101の先端101aとの間の距離よりも大きければよい。また、マイクロニードル用容器20,60において、当接部と支持部との間の距離が、延設方向における被当接部120cと被支持面120bとの間の距離と、被当接部120cと突起部101の先端101aとの距離との和よりも小さければよい。
【0213】
図33が示すように、図31に示されるマイクロニードル100において、粘着シート103は、基材シート105と対向する方向から見て、突起形成部102を露出させる開口部103aを有してもよい。開口部103aは、粘着シート103内に形成された孔であってもよいし、粘着シート103に沿って延びるスリットであってもよく、開口部103aは、例えば、突起部101と対向する方向から見て、突起部101と重なっている。また、粘着シート103は、突起形成部102の周縁部と接着し、かつ、粘着層104は、マイクロニードル100が皮膚に穿刺された際に皮膚に貼着できるように、周縁部よりも外側に露出していればよい。すなわち、粘着層104は、突起形成部102の周縁部の全体にわたって周縁部よりも外側に露出していてもよいし、突起形成部102の周縁部の一部において周縁部よりも外側に露出していてもよい。
【0214】
図34が示すように、図32に示されるマイクロニードル100において、粘着シート103は、基材シート105と対向する方向から見て、突起形成部102を露出させる開口部103aを有してもよい。開口部103aは、粘着シート103内に形成された孔であってもよいし、粘着シート103に沿って延びるスリットであってもよく、開口部103aは、例えば、突起部101と対向する方向から見て、突起部101と重なっている。また、粘着シート103は、突起形成部102の周縁部と接着し、かつ、粘着層104は、マイクロニードル100が皮膚に穿刺された際に皮膚に貼着できるように、周縁部よりも外側に露出していればよい。すなわち、粘着層104は、突起形成部102の周縁部の全体にわたって周縁部よりも外側に露出していてもよいし、突起形成部102の周縁部の一部において周縁部よりも外側に露出していてもよい。
【符号の説明】
【0215】
10…マイクロニードルユニット、20,60…マイクロニードル用容器、21,61…蓋部、21a…当接部、21b,61b…対向部、22,62…収容部、22a…支持部、23…蓋突出部、24…収容突出部、30,100…マイクロニードル、31,110,120…基体、31a,110a,120a…突起形成面、31b,110b,120b…被支持面、31a1,110c…被当接部、31a2,102…突起形成部、32,101…突起部、33…切り欠き部、41…蓋開口端、42…当接面、43…当接側面、44…蓋対向面、45…対向側面、46,77…密着部、47,57,103a…開口部、48…接触面、49…開口側面、51,55…収容対向面、52…収容開口端、53…支持面、54…支持側面、56…収容側面、61a,92,94…蓋突部、61s…蓋外側面、61a1…第1蓋突部、61a2…第2蓋突部、62a,91,93,96,98…収容突部、62s…収容外側面、62a1…第1収容突部、62a2…第2収容突部、71…蓋筒体、72…蓋底部、73…蓋筒端、74…底部接触部、75…弾性機構、76…基体接触部、81…収容筒体、82…収容底部、83…収容筒端、95,97…離間部、101a…先端、102a…形成面、103…粘着シート、104…粘着層、105…基材シート、106…剥離シート。
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