【実施例】
【0022】
合成例1(本発明の方法による(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の合成例)
先ず、非特許文献2(J.Org.Chem.,1966,VOL.31,PP3438−3439)に記載された方法に従い、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸を合成した。ピロメリット酸二無水物465g、5重量%ロジウム/カーボン触媒175gおよび蒸留水2,940gを容積5Lの撹拌機付きSUS316製オートクレーブに入れ、反応温度60℃、水素圧5MPaで、酸無水物基の加水分解およびベンゼン環の水素化を行った。1.5時間後、反応液を抜き出し、触媒をろ別して除去した後、反応液をエバポレーターによって乾固し、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸449gを得た。
次いで、還流管を備えた3L三口フラスコ中で上記の(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸260.2g(0.1モル)および無水酢酸1,200gを混合し、窒素雰囲気下、80℃において5時間無水化反応を行って、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物とした。この反応液を140℃まで昇温し、窒素雰囲気下、還流下において、4時間異性化反応を行った。反応後、反応液を30℃まで冷却し、析出した固体をろ取することにより、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物183.8g(0.082モル)を得た。
(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸から(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物にかかるモル収率は82%であった。
上記で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物について、プラズマ質量分析法(ICP−MS)によって測定したナトリウム含量は0.280ppm(重量基準)であった。
【0023】
合成例2(ポリイミドの合成例)
テトラカルボン酸二無水物として上記合成例1で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物11.2g(0.05モル)および2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物11.2g(0.05モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル5.2g(0.01モル)、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン4.9g(0.01モル)およびp−フェニレンジアミン8.7g(0.08モル)をN−メチル−2−ピロリドン165gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は70mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン383gを追加し、ピリジン7.9gおよび無水酢酸10.2gを添加して110℃で4時間脱水閉環を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約48%のポリイミド(PI−1)を約15重量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は99mPa・sであった。
上記で得られたポリイミド(固形分)について、ICP−MSによって測定したナトリウム含量は0.290ppm(重量基準)であった。
この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
【0024】
合成例3(ポリアミック酸の合成例)
テトラカルボン酸二無水物として上記合成例1で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物18.0g(0.08モル)およびピロメリット酸二無水物4.4g(0.02モル)ならびにジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル16g(0.08モル)およびp−フェニレンジアミン11g(0.02モル)をN−メチル−2−ピロリドン230gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PAA−1)を15重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
【0025】
比較合成例1(従来技術の方法による(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の合成例)
特許文献4(特開2009−286706号公報)に記載された方法に従い、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を合成した。
先ず、上記合成例1前段と同様にして、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸449gを得た。
次いで、上記の(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸260.2g(1.0モル)、水酸化ナトリウム164g(4.1モル)および蒸留水740gを容積1,000mLの撹拌機付きSUS316製オートクレーブに入れ、窒素雰囲気下、230℃において5時間、異性化反応を行った。異性化反応後の反応液を30℃まで冷却した後、当該反応液を容積500mLの三つ口フラスコに移して、撹拌しながら35重量%塩酸432g(4.15モル)をゆっくりと滴下したところ、白色の析出物が生じた。さらにそのまま1時間撹拌を続けた。
吸引ろ過法により攪拌後の反応液から回収した白色の析出物を、80℃において5時間、減圧乾燥して、(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸221.2gを得た。
次に、ジムロートを装着した容積200mLのフラスコに上記で得られた(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gおよび無水酢酸800gを入れ、窒素で置換した後攪拌しながら昇温し、3時間還流を行った。その後、反応液を冷却して析出した結晶をろ取してトルエンでリンスした後に減圧にて溶媒を除去することにより、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物121gを得た。
(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸から(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物にかかるモル収率は59.7%であった。
上記で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物について、ICP−MSによって測定したナトリウム含量は1,876ppm(重量基準)であった。
【0026】
比較合成例2(ポリイミドの合成例)
テトラカルボン酸二無水物として上記比較合成例2で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物112g(0.50モル)および2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物112g(0.50モル)ならびにジアミンとして3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル52g(0.10モル)、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン49g(0.10モル)およびp−フェニレンジアミン87g(0.80モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,652gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えて重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は78mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン3,835gを追加し、ピリジン79gおよび無水酢酸102gを添加して110℃で4時間脱水閉環を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約48%のポリイミド(PI−2)を約15重量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は101mPa・sであった。
上記で得られたポリイミド(固形分)について、ICP−MSによって測定したナトリウム含量は1,675ppm(重量基準)であった。
【0027】
比較合成例3((1S,2R,3S,4R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の合成例)
先ず、非特許文献3(Bull.Chem.Soc.Jpn.,41(1),1968,p265)の記載に従って、(1S,2R,3S,4R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸を合成した。始めに、50℃において、1,3−シクロヘキサンジエンとマレイン酸無水物とのディールスアルダー反応を行って、ビシクロ[2,2,2]−5−オクテン−2,3−酸無水物を得た。次に、五酸化二バナジウム存在下、上記で得られたビシクロ[2,2,2]−5−オクテン−2,3−酸無水物を硝酸と55℃において12時間反応させることにより、(1S,2R,3S,4R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸を得た。
次いで、非特許文献1(polymer,45,2004,pp2539−2549)の記載に従って、上記で得られた(1S,2R,3S,4R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸を無水酢酸中で4時間還流することにより、(1S,2R,3R,4S)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を得た。
【0028】
比較合成例4(ポリアミック酸の合成)
テトラカルボン酸二無水物として上記比較合成例3で得られた(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物112g(0.80モル)およびピロメリット酸二無水物44g(0.20モル)ならびにジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル160g(0.80モル)およびp−フェニレンジアミン110g(0.20モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,300gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PAA−2)を15重量%含有する溶液を得た。この溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は58mPa・sであった。
この重合体溶液を20℃において3日間静置したところ、ゲル化することはなく、保存安定性は良好であった。
【0029】
参考例1
<液晶配向剤の調製および評価>
[印刷性評価用液晶配向剤の調製]
重合体として、上記合成例2で得られたポリイミド(PI−1)を含有する溶液に、N−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加え、さらにエポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンを、使用した重合体の100重量部に対して5重量部加えて十分に攪拌し、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、印刷性評価用液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤につき、25℃で測定した溶液粘度は20mPa・sであった。
[印刷性の評価]
液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製、型式「オングストローマーS40L−532」)を用い、アニロックスロールへの液晶配向剤滴下量が往復20滴(約0.2g)である条件で、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に上記で調製した印刷性評価用液晶配向剤を塗布した。上記の液晶配向剤の滴下量は、同型の印刷機について通常採用される滴下量(往復30滴(約0.3g))と比較して液量が少なく、より厳しい印刷条件である。
塗布後の基板につき、80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、180℃で10分間加熱(ポストベーク)することにより、膜厚約80nmの塗膜を形成した。この塗膜を目視で観察してハジキおよび塗布ムラの有無を調べたところ、塗膜の全領域について印刷ムラおよびピンホールとも観察されず、上記液晶配向剤の印刷性は「良好」であった。
【0030】
<垂直配向型液晶配向剤の調製および評価>
[液晶配向剤の調製]
上記「印刷性評価用液晶配向剤の調製」において、溶液の固形分濃度を3.5重量%とした以外は「印刷性評価用液晶配向剤の調製」と同様にして、液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製した。
[垂直配向型液晶表示素子の製造]
厚さ1mmのガラス基板の片面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記で調製した液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、ホットプレート上80℃で1分間のプレベークを行い、次いでホットプレート上210℃で30分間ポストベークすることにより、膜厚80nmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を2枚(一対)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布し、一対の基板を各液晶配向膜が相対するように対向させて圧着した後、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板間に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、液晶セルを製造した。
【0031】
[液晶配向性の評価]
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した垂直配向型液晶表示素子につき、クロスニコル下で電圧をオン・オフしたときの異常ドメインの有無を、顕微鏡により観察し、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として評価したところ、この垂直配向型液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(2)残像特性の評価
上記と同様にして製造した液晶表示素子につき、100℃の環境温度において直流17Vの電圧を20時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)を、フリッカー消去法により求めた。この液晶表示素子の残留DC電圧の値は800mVであった。
この残留DC電圧の値が500mV以下であるとき、残像特性が良好であることが経験的に明らかになっている。
【0032】
比較
参考例1
上記
参考例1において、ポリイミド(PI−1)を含有する溶液の代わりに上記比較合成例2で得たポリイミド(PI−2)を含有する溶液を用いたほかは
参考例1と同様にして印刷性評価用液晶配向剤を調製して印刷性を評価し、さらに液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製し、これを用いて垂直配向型液晶表示素子を製造して評価した。
その結果、印刷性および垂直配向型液晶表示素子の液晶配向性は共に良好であり、一方、残留DC電圧は5,000mVであった。この大きな残留DC電圧の値は、比較合成例1の異性化工程において使用した水酸化ナトリウムに由来するナトリウム原子に起因するものと推測される。
上記
参考例1および比較
参考例1の結果から、本発明の方法
により製造された(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用いて製造された液晶表示素子は、従来技術の液晶表示素子に比べて残留DC電圧値が小さく、従って残像特性が良好であり、高い表示品位を有することが確認された。
【0033】
参考例2
<横電界型液晶配向剤の調製および評価>
[液晶配向剤の調製]
重合体として上記合成例3で得られたポリアミック酸(PAA−1)を含有する溶液に、N−メチル−2−ピロリドンおよびγ−ブチロラクトンを加え、さらにエポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(分子量約400)を、上記溶液に含有される重合体の100重量部に対して5重量加え、N−メチル−2−ピロリドン:γ−ブチロラクトンの重量比が80:20、固形分濃度が4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製した。
【0034】
[横電界方式の液晶表示素子の製造]
片面にそれぞれが櫛歯状である一対のクロム電極を有する厚さ1mmのガラス基板上に、上記で調製した液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)した後、230℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、膜厚約800Åの塗膜を形成した。次いで、形成された塗膜面に対し、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いて、ロールの回転数1,000rpm、ステージの移動速度25mm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmにてラビング処理を行い、塗膜に液晶配向能を付与した。さらにこの基板を超純水中で1分間超音波洗浄した後、100℃のクリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、クロム電極を有する面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。
これとは別に、電極を有さない厚さ1mmのガラス基板の片面に、上記と同様にして液晶配向膜形成用組成物の塗膜を形成し、ラビング処理を行い、洗浄、乾燥して、片面上に液晶配向膜を有する基板を製造した。
続いて上記のうちの1枚の基板の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、各液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接して圧着して接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社、MLC−2042)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、さらに基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、横電界方式の液晶表示素子を得た。
【0035】
[横電界方式液晶表示素子の評価]
(1)リタデーションの測定
上記で製造した液晶表示素子につき、(株)モリテックス製の配向膜検査システム「LayScan」を使用してリタデーション(nm)を測定し、得られた値が0.025nm以上であった場合リタデーション「良好」、0.025nm未満であった場合リタデーション「不良」として評価した。その結果、この液晶表示素子のリタデーションの値は0.036nmであり、「良好」と評価された。
(2)最小相対透過率の測定
光源と光量検出器との間に偏光子および検光子を配置した装置を使用して、下記数式(1)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B0)/(B100−B0)×100 (1)
(数式(1)中、B0はクロスニコル下におけるブランクの光の透過量であり;
B100はパラニコル下におけるブランクの光の透過量であり;そして
βは偏光子と検光子との間に液晶表示素子を挟んだ場合のクロスニコル下における光透過量の最小値である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、横電界方式の場合は暗状態における黒レベル(最小相対透過率)が小さいほどコントラストが優れる。最小相対透過率が0.5%未満であった場合最少相対透過率「良好」、0.5%以上であった場合最少相対透過率「不良」として評価した。その結果、この液晶表示素子の最小相対透過率は0.2%であり、「良好」と評価された。
【0036】
比較
参考例2
上記
参考例2において、ポリアミック酸(PAA−1)を含有する溶液の代わりに上記比較合成例4で得たポリアミック酸(PAA−2)を含有する溶液を用いたほかは
参考例2と同様にして液晶表示素子製造用液晶配向剤を調製し、これを用いて横電界型液晶表示素子を製造して評価した。
その結果、この液晶表示素子のリタデーションの値は0.019nmであり、最小相対透過率は0.55%であった。
上記
参考例2および比較
参考例2の結果から、本発明の方法
により製造された(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を用いて製造された横電界方式液晶表示素子は、従来技術の横電界方式液晶表示素子に比べてリタデーション値が大きく、最少相対透過率が小さいことから、液晶の応答速度が速く、明暗のコントラストが向上されたものであることが確認された。