(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固体バリア手段が、箔、プラスチック、フィルム、綿毛、詰物材料、キャップ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物理的バリアである、請求項1に記載の方法。
前記第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が、前記第一の組成物を前記第一の複数の毛髪繊維部分に適用することにより形成される、請求項1又は2に記載の方法。
前記会合性増粘ポリマーが、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー、ポリウレタンポリマー、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の全ての実施形態では、特に記述のない限り、全ての百分率は、組成物全体の重量によるものである。全ての比率は、特に記述のない限り、重量比である。例えば、「1部のXと3部のYとの混合物」といった「部」への言及は、特に記載のない限り、重量によるものとする。適量は、100%にするのに十分な量を加えることを意味する。全ての範囲は、包含的であり、かつ組み合わせ可能である。有効数字の数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。
【0015】
全ての数値的な量は、特に指示のない限り、用語「約」によって修飾されることが理解されよう。特に指示がない限り、全ての測定は、23℃において周囲条件で実施されるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%における条件を意味する。列挙された成分に関連する重量は全て、有効濃度に基づいており、特に明記しない限り、市販の材料に含まれ得るキャリア又は副生成物を含まない。本明細書では、「含む」は、最終結果に影響しない他の工程及び他の成分を加えることができることを意味する。この用語は、用語「〜からなる」及び用語「本質的に〜からなる」を包含する。本発明の組成物、方法、使用法、キット、及びプロセスは、本明細書で説明される、本発明の必須要素及び制約、並びに本明細書で説明される、追加成分若しくは任意成分、構成要素、工程、又は制約のいずれをも含み、それらからなり、本質的にそれらからなることができる。
【0016】
用語「実質的に含まない」は、本明細書で使用するとき、組成物又は調合物全体の、約1重量%未満、又は0.8重量%未満、又は0.5重量%未満、又は約0.3重量%未満、又は約0重量%を意味する。
【0017】
「毛髪」とは、本明細書で使用するとき、頭皮の毛、顔面の毛、及び身体の毛を含めた、哺乳類の毛を意味し、より好ましくは、ヒトの頭部及び頭皮上の毛を意味する。「毛幹」又は「毛髪繊維」は、個々の1本1本の毛髪を意味し、用語「毛髪」と互換的に使用され得る。「頭皮の近位」は、本明細書で使用するとき、毛髪の末端への距離よりも頭皮への距離の方が近い広げられた又はほぼ真っ直ぐにした毛幹の部分を意味する。したがって、毛髪の約50%は頭皮の近位とみなされ、毛髪の約50%は頭皮の遠位とみなされる。「頭皮の近位z cm」とは、一方の端点が頭皮上、又は頭皮に直接隣接する位置にあり、他方の端点が、伸ばした、すなわちほぼ真っ直ぐにした毛髪の長さに沿って「z」cmとなる位置にあるような、毛髪に沿った距離「z」のことを意味する。
【0018】
「美容的に許容可能な」とは、本明細書で使用するとき、説明される組成物、処方、又は成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、及びアレルギー反応性などを伴わず、ヒトのケラチン組織と接触させて使用するために好適であることを意味する。本明細書で説明され、ケラチン組織に直接適用するという用途を有する全ての組成物及び調合物は、美容的に許容可能であるよう制限される。
【0019】
本明細書で使用するとき、「誘導体」としては、限定されるものではないが、特定の化合物のアミド誘導体、エーテル誘導体、エステル誘導体、アミノ誘導体、カルボキシル誘導体、アセチル誘導体、酸誘導体及び/又はアルコール誘導体が挙げられる。
【0020】
本明細書で使用するとき、「モノマー」は、反応開始剤の存在下での重合、又は、例えば、重縮合、重付加、アニオン性若しくはカチオン性重合といった巨大分子を作る任意の好適な反応を行うことができる分離性の重合されていない化学部分を意味する。本明細書で使用するとき、「単位」は、既に重合された、すなわち、ポリマーの部分であるモノマーを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、「ポリマー」は、2つ以上のモノマーの重合によって形成される化学物質を意味する。本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、モノマーの重合、並びに天然ポリマーによって作製される全ての材料を含むべきである。1種類だけのモノマーから作製されるポリマーは、ホモポリマーと称される。ポリマーは、少なくとも2つのモノマーを含む。2種以上の異なる種類のモノマーから作製されるポリマーは、コポリマーと称される。異なるモノマーの分布は、ランダム、交互、又はブロック状(すなわち、ブロックコポリマー)であることができる。特に明記される場合を除いて、本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマーを含む、あらゆる種類のポリマーを包含する。
【0022】
「会合性増粘ポリマー」は、水溶性ポリマーをベースとしたポリマーである。これらは、アクリレートポリマー、セルロースエーテル、又はポリエチレングリコールであり得る。これらは、典型的には、例えば、脂肪族アルコールといった、非水溶性疎水基で末端保護された側鎖を含む。水溶液中又はエマルション中で、これらのポリマーは、溶液/エマルションの粘度を増加させるネットワークを形成する。水溶性主鎖ポリマーは、水に溶ける。疎水性末端保護部分は、疎水性エマルションポリマー粒子上に吸着する、又は、他のポリマーからの疎水性物質とミセルを形成する。各会合性増粘ポリマーは少なくとも2個の疎水性末端保護部分を含有するので、エマルション内に三次元ネットワークが生じる。これにより、粘度が上昇する。主に高及び中せん断粘度となる。それゆえに、これは、他の増粘剤全てよりも抗スパッタ性及びブラシ引き込み(brush drag)を改善する。
【0023】
用語「分子量」又は「M.Wt.」は、本明細書で使用するとき、特に記述のない限り、数平均分子量を指す。全ての百分率は、特に明記しない限り、重量で計算される。
【0024】
本明細書で使用するとき、「キット」は、複数の構成要素を含むパッケージを意味する。「キット」は、「パーツのキット(kit-of-parts)」を指す。キットの例は、例えば、第一の組成物及び別個にパッケージ化された第二の組成物及び任意選択の適用説明書である。
【0025】
本明細書で使用される際、「用具」とは、組成物の毛髪への塗布及び/又は毛髪の取り扱いを容易にするために使用される道具を意味する。
【0026】
本発明者らは、互いに両立可能な特徴の具体的な組み合わせを注意深く選択してこれらの相互作用が以下の効果をもたらす方法を得ることにより、上記の必要に答えた。まず、この方法により、スタイリストは、染毛剤の適用中にヘアスタイルを作製することにより、最終的なヘアスタイルに対して染色をデザインすることができるようになる。これができるのは、本明細書に記載の組成物により提供される整形性及び保持効果による。それゆえに、スタイリストは、最終的なヘアスタイル及びそれに最適に合った染毛効果を想起する、より大きな技術的自由を有する。加えて、染色された毛髪の部分を特定の配向にし又は特定の位置に置き、この配向/位置のままにしておくことができるので、組成物による保持はスタイリストに安全及び自信をもたらす。スタイリストは、それゆえに、非常に様々な複雑なヘアスタイルを達成することができ、これは、毛髪が乾燥し、美容院への来店が終わった時に得られるヘアスタイルに関係してもよく、関係しなくても良い。この方法は、組成物によりもたらされる保持/整形性が十分な分離を作り出すので、固体バリア手段(例えば、アルミ箔)の使用が必須ではない。箔がないということはまた、スタイリストが、染毛剤を適用しているところ及びこれが頭髪全体に関連させるとどこなのかをより良好に理解することができる。この方法はまた、箔を用いるよりも迅速に実行できる。この方法はまた、適用手段の美的改善をもたらす−様々なヘアスタイルは、染毛剤の適用中に作製することができる。その上、この方法は、見習い/研修スタイリストが習熟するのに、より容易である−箔でのハイライトは、優れた技術及びかなりの実践を必要とするのに対し、本発明による方法は習熟がはるかに早い。その上、家庭での箔の使用が非実際的であり、一対の手で適用することが困難であることから、この方法は、消費者が簡単なハイライト又はローライトを家庭で作製する方法を提供する。
【0027】
第一の組成物は、第一の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む。理論に束縛されるものではないが、選択された増粘剤がこの組成物の文脈で疎水性相と混合される場合、増粘剤は、疎水性相のレオロジー構造と相互作用し、得られた組成物の粘弾性の変化を生じる、すなわち、より硬く、よりしなやかな組成物を生じる。具体的には、増粘剤は、組成物の層状構造又は組成物中のミセルと相互作用すると考えられる。これらのミセル又は層状構造は、組成物中に疎水性相と親水性相の両方が存在することにより、存在する。組成物のより硬く、よりしなやかな特性は、組成物の移動性が低減したことを意味し、それ自体が流れたり、滑ったりしなくなり、この組成物でコーティングされた毛髪繊維に対して保持及び整形性を提供する。
【0028】
この方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数の毛髪繊維部分から分離するために、固体バリア手段の適用を含まない。理論に束縛されるものではないが、硬さ及び弾性の変化は、染毛剤の混和性を低下させ、また染毛剤の拡散を遅くすると考えられている。このことは、移染が最小限しか又はまったく生じないので、固体バリア手段を使わずに済ませられることを意味する。本明細書で使用するとき、「移染」は、典型的には、染毛剤と毛髪の意図せざる接触による毛髪の意図せざる染色を意味する。移染は、一方の複数の毛髪繊維から別の複数の毛髪繊維への染色剤の移動/移行から生じ得る。
【0029】
第一の態様、他の態様、及び他の関連する構成要素による方法の特徴は、以降本明細書中で詳細に記述されている。
【0030】
第一の態様の方法は、第一の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む、第一の組成物に関する。一実施形態では、この方法は第二の組成物を含み、この第二の組成物は、第二の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む。この方法はまた、第三及び任意選択の第四及び任意選択の第五の組成物を含んでもよく、各組成物は、第三/第四/第五などの染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む。語句「第一の組成物及び/又は第二の組成物」が使用される場合、その後の説明は、上記の第三、第四及び第五の組成物にも当てはまる。
【0031】
第一の組成物は、染毛剤を含む。染毛剤は、直接染料、酸化染料化合物及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、色調合物と増粘調合物と発色調合物とを共に混合することにより、得られる。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、色調合物と発色調合物又は増粘調合物とを共に混合することにより、得られる。
【0032】
第一の組成物及び/又は第二の組成物は、直接染料を含んでもよい。一実施形態では、例えば、第一の染毛剤及び/又は第二の染毛剤といった染毛剤は、直接染料である。直接染料は、色調合物又は組成物全体の約0.001重量%〜約4重量%、又は約0.005重量%〜約3重量%、又は約0.01重量%〜約2重量%の量で存在し得る。直接染料の存在及びその配合は、特に強度に関して、着色/染色をもたらす又は増強することができる点で有用である。直接染料は、青色をもたらすニトロ染料、赤色をもたらすニトロ染料、黄色をもたらすニトロ染料、キノン染料、塩基性染料、中性アゾ染料、酸性染料及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、直接染料は、青色をもたらすニトロ染料である。一実施形態では、直接染料は、赤色をもたらすニトロ染料である。一実施形態では、直接染料は、黄色をもたらすニトロ染料である。一実施形態では、直接染料は、キノン染料である。一実施形態では、直接染料は、塩基性染料である。一実施形態では、直接染料は、中性アゾ染料である。一実施形態では、直接染料は、酸性キノン染料である。一実施形態では、直接染料は、アシッドイエロー1、アシッドオレンジ3、アシッドブラック1、アシッドブラック52、アシッドオレンジ7、アシッドレッド33、アシッドイエロー23、アシッドブルー9、アシッドバイオレット43、アシッドブルー16、アシッドブルー62、アシッドブルー25、アシッドレッド4などの酸性染料、例えば、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド118、ベーシックオレンジ69、ベーシックレッド76、ベーシックブラウン16、ベーシックイエロー57、ベーシックバイオレット14、ベーシックブルー7、ベーシックブルー26、ベーシックレッド2、ベーシックブルー99、ベーシックイエロー29、ベーシックレッド51、ベーシックオレンジ31、ベーシックイエロー87などの塩基性染料、4−(3−(4−アミノ−9,10−ジオキソ−9,10−ジヒドロアントラセン−1−イルアミノ)プロピル)−4−メチルモルホリン−4−イウム−メチルサルフェート、(E)−1−(2−(4−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)ジアゼニル)フェニル)(エチル)アミノ)エチル)−3−メチル−1H−イミダゾール−3−イウムクロライド、(E)−4−(2−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)ジアゼニル)−1−メチル−1H−イミダゾール−3−イウム−3−イル)ブタン−1−スルホネート、(E)−4−(4−(2−メチル−2−フェニルヒドラゾノ)メチル)ピリジニウム−1−イル)ブタン−1−スルホネート、N,N−ジメチル−3−(4−(メチルアミノ)−9,10−ジオキソ−4a,9,9a,10−テトラヒドロアントラセン−1−イルアミノ)−N−プロピルプロパン−1−アミニウムブロミド、例えば、ディスパースレッド17、ディスパースバイオレット1、ディスパースレッド15、ディスパースバイオレット1、ディスパースブラック9、ディスパースブルー3、ディスパースブルー23、ディスパースブルー377などの分散染料、例えば、1−(2−(4−ニトロフェニルアミノ)エチル)尿素、2−(4−メチル−2−ニトロフェニルアミノ)エタノール、4−ニトロベンゼン−1,2−ジアミン、2−ニトロベンゼン−1,4−ジアミン、ピクラミン酸、HCレッドNo.13、2,2’−(2−ニトロ−1,4−フェニレン)ビス(アザンジイル(azanediyl))ジエタノール、HCイエローNo.5、HCレッドNo.7、HCブルーNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、2−(4−アミノ−2−クロロ−5−ニトロフェニルアミノ)エタノール、HCレッドNo.3、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−3−ニトロフェノール、2−アミノ−3−ニトロフェノール、2−(3−(メチルアミノ)−4−ニトロフェノキシ)エタノール、3−(3−アミノ−4−ニトロフェニル)プロパン−1,2−ジオール、HCイエローNo.11、HCバイオレットNo.1、HCオレンジNo.2、HCオレンジNo.3、HCイエローNo.9、HCレッドNo.10、HCレッドNo.11、2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−4,6−ジニトロフェノール、HCブルーNo.12、HCイエローNo.6、HCイエローNo.12、HCブルーNo.10、HCイエローNo.7、HCイエローNo.10、HCブルーNo.9、2−クロロ−6−(エチルアミノ)−4−ニトロフェノール、6−ニトロピリジン−2,5−ジアミン、HCバイオレットNo.2、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、4−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−3−ニトロフェノール、HCイエローNo.13、6−ニトロ−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、HCレッドNo.14、HCイエローNo.15、HCイエローNo.14、N2−メチル−6−ニトロピリジン−2,5−ジアミン、N1−アリル−2−ニトロベンゼン−1,4−ジアミン、HCレッドNo.8、HCグリーンNo.1、HCブルーNo.14などのニトロ染料、及び例えば、アナトー、アントシアニン、ビートの根、カロチン、カプサンシン、リコピン、クロロフィル、ヘンナ、インジゴ、コチニールなどの天然染料からなる群から選択される。
【0033】
第一の組成物及び/又は第二の組成物は、酸化染料化合物を含んでもよい。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、染毛剤を含み、この染毛剤は酸化染料化合物である。一実施形態では、第一及び/又は第二の染毛剤は、酸化染料化合物であり、第一及び/又は第二の組成物は酸化剤を含む。酸化染料化合物は、一次中間体、カップラー及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、染毛剤は、少なくとも1つの一次中間体と少なくとも1つのカップラーの混合物である。酸化染料化合物はまた、酸化安定直接染料の形態であり得る。一実施形態では、染毛剤は、少なくとも1つの一次中間体と少なくとも1つのカップラーと少なくとも1つの酸化安定直接染料の混合物である。本明細書に記載の組成物で使用するのに好適な酸化染料は、それらが塩基である場合に限り、遊離塩基として、又は例えば、塩酸、臭化水素酸、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸若しくは硫酸などの有機酸又は無機酸との、生理学的に適合性のある塩の形態で使用してもよく、あるいは、それらが芳香族ヒドロキシル基を有する場合に限り、塩基塩、例えばアルカリフェノレートの形態で使用してもよい。
【0034】
酸化染料化合物は、当該技術分野において既知であり、芳香族ジアミン、アミノフェノール、芳香族ジオール及びこれらの誘導体が挙げられる(酸化染料前駆体の代表的ではあるが非包括的なリストは、Sagarin,「Cosmetic Science and Technology」(Interscience,Special Edn.Vol.2,p.308〜310)に見ることができる)。下記に詳述される一次中間体及びカップラー(また酸化染料前駆体として集合的に知られている)は、あくまでも例示目的であり、本明細書の組成物及びプロセスを制限する意図は全くないことが理解される。一次中間体及びカップラーは、塩の形態で使用されてもよい。
【0035】
一実施形態では、一次中間体は、トルエン−2,5−ジアミン、p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピル−ビス−(N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン)、2−メトキシメチル−p−フェニレンジアミン、2−(1,2−ジヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2,2’−(2−(4−アミノフェニルアミノ)エチルアザンジイル)ジエタノール、2−(2,5−ジアミノ−4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオール、2−(7−アミノ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−4(3H)−イル)エタノール、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、p−(メチルアミノ)フェノール、4−アミノ−m−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾール、5−エチル−o−アミノフェノール、2−メトキシ−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス−4−アミノフェノール、2,4,5,6−テトラミノピリミジン、2,5,6−トリアミノ−4−ピリミジノール、1−ヒドロキシエチル−4,5−ジアミノピラゾール硫酸、4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ブチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ペンチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ベンジルピラゾール、2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1(5H)−オンジメトスルホン酸、4,5−ジアミノ−1−ヘキシルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−ヘプチルピラゾール、メトキシメチル−1,4−ジアミノベンゼン及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、一次中間体は、2−メトキシメチル−1,4−ベンゼンジアミンであり、これは、感作性(sensitisation profile)の改善により、好ましいものであり得る。これは、方法がスタイリング工程を含むので、本発明にとって好ましいものであり得る。
【0036】
一実施形態では、カップラーとしては、限定するものではないが、レゾルシノール、4−クロロレゾルシノール、2−クロロレゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4,6−ジクロロベンゼン−1,3−ジオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジオール、m−アミノフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシトルエン、2−メチル−5−ヒドロキシエチルアミノフェノール、3−アミノ−2,6−ジメチルフェノール、3−アミノ−2,4−ジクロロフェノール、5−アミノ−6−クロロ−o−クレゾール、5−アミノ−4−クロロ−o−クレゾール、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、2−アミノ−5−エチルフェノール、2−アミノ−5−フェニルフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−エトキシフェノール、5−メチル−2−(メチルアミノ)フェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2−アミノ−4−ヒドロキシエチルアミノアニソール、1,3−ビス−(2,4−ジアミノフェノキシ)−プロパン、2,2’−(2−メチル−1,3−フェニレン)ビス(アザンジイル)ジエタノール、ベンゼン−1,3−ジアミン、2,2’−(4,6−ジアミノ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ)ジエタノール、3−(ピロリジン−1−イル)アニリン、1−(3−(ジメチルアミノ)フェニル)尿素、1−(3−アミノフェニル)尿素、1−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール又は1−アセトキシ−2−メチルナフタレン、4−クロロ−2−メチルナフタレン−1−オール、4−メトキシ−2−メチルナフタレン−1−オール、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ピリジンジアミン、3−アミノ−2−メチルアミノ−6−メトキシピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、2,6−ジアミノピリジン、ピリジン−2,6−ジオール、5,6−ジヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドリン、3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール−5(4H)−オン、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)エタノール(ヒドロキシエチル−3,4−メチレンジオキシアニリンとしても既知)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0037】
一次中間体及びカップラーは、組成物又は色調合物全体の約0.001重量%〜約12重量%、又は約0.01重量%〜約10重量%、又は約0.05重量%〜約9重量%、又は約1重量%〜約6重量%の量で存在し得る。一実施形態では、組成物及び/又は調合物は、直接染料を実質的に含まない。
【0038】
一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、酸化剤を含む。酸化剤は、毛髪中のメラニン色素を漂白するために、及び/又は酸化染料化合物(存在する場合、一次中間体及び/又はカップラーを含む)から染料発色団の形成を引き起こすために十分な量で存在し得る。一実施形態では、増粘調合物及び/又は発色調合物は、酸化剤を含む。一実施形態では、酸化剤は、増粘調合物又は発色調合物全体の約0.1重量%〜約20重量%、又は約0.5重量%〜約12重量%、又は約1重量%〜約10重量%、又は約3重量%〜約10重量%、又は約5重量%〜約10重量%の量で存在する。一実施形態では、酸化剤は、第一の組成物又は第二の組成物全体の約0.1重量%〜約20重量%、約1重量%〜約10重量%、又は約2重量%〜約5重量%の量で存在する。水性媒質中で過酸化水素を発生できる無機過酸材料が使用されてもよい。一実施形態では、酸化剤は、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物(例えば、過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウム)、有機過酸化物(例えば、過酸化尿素、過酸化メラミン)、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい無機過水和塩漂白化合物(例えば、過ホウ酸、過炭酸、過リン酸、過ケイ酸、及び過硫酸のアルカリ金属塩、特にそれらのナトリウム塩)、アルカリ金属臭素酸塩、酵素、並びにそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、酸化剤は、過炭酸塩(例えば、過炭酸ナトリウム、過炭酸アンモニウム及び過炭酸カリウム)である。一実施形態では、酸化剤は、過炭酸ナトリウムである。一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、過硫酸塩を実質的に含まない。一実施形態では、すべての組成物及び調合物は、過硫酸塩を実質的に含まない。一実施形態では、この方法は、毛髪の漂白を包含しない又は含まない。
【0039】
本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、過酸化水素供給源と炭酸イオン供給源とからその場で形成される少なくとも1つのペルオキソ一炭酸イオン供給源を含んでもよい。それゆえに、組成物/調合物はまた、炭酸イオン又はカルバミン酸イオン又は炭酸水素イオン又はこれらの任意の混合物の供給源を含んでもよい。供給源は、炭酸イオン、カルバミン酸イオン、及び炭酸水素イオンのナトリウム塩、カリウム塩、グアニジン塩、アルギニン塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、又はアンモニウム塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。これらの混合物の例は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン、炭酸水素グアニジン、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及びこれらの混合物である。炭酸イオン供給源及び酸化剤の双方をもたらすために、過炭酸塩を使用してもよい。炭酸イオン、カルバミン酸イオン及び炭酸水素イオンの供給源は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、カルバミン酸アンモニウム及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0040】
本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、酸化漂白又は染色プロセス中に毛髪へのダメージを低減するのに十分な量でラジカルスカベンジャーを含んでもよい。ラジカルスカベンジャーは、アルカリ化剤と同一種にならないように選択するのが好ましい。ラジカルスカベンジャーは、炭酸塩ラジカルと反応してその炭酸ラジカルを一連の高速反応によって、より反応性の低い種に変換させることのできる種である。ラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミド、アミノ糖、アミノ酸及びこれらの混合物の部類から選択され得る。ラジカルスカベンジャーは、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リシン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、セリン、トリプトファン、並びに、上記のもののカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、並びに、これらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、ラジカルスカベンジャー化合物は、ベンジルアミン、グルタミン酸、イミダゾール、ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン、ヒドロキノン、カテコール及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0041】
本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、配合成分(例えば、酸化剤、より具体的には過酸化物)と相互作用するために利用可能な金属を一定量還元するのに十分な量でキレート剤を含んでもよい。キレート剤は、キレート化剤としても知られる。本明細書で使用するためのキレート剤は、ジアミン−N,N’−ジポリ酸、モノアミンモノアミド−N,N’−ジポリ酸及びN,N’−ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン−N,N’−二酢酸キレート剤(例えば、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸))、カルボン酸(例えば、アミノカルボン酸)、ホスホン酸(例えば、アミノホスホン酸)、ポリリン酸(特に直鎖ポリリン酸)、これらの塩及び誘導体、並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はエディトロン酸(editronic acid)である。
【0042】
第一の組成物は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含む。一実施形態では、第二の組成物は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含む。第一の組成物及び/又は第二の組成物は、第一又は第二の組成物全体の約0.001重量%〜約10.0重量%、又は約0.01重量%、又は0.05重量%、又は0.1重量%、又は0.15重量%、又は0.25重量%、又は0.6重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は2.5重量%から、約8重量%、又は7重量%、又は6重量%、又は5重量%、又は4重量%、又は3重量%、又は2重量%、又は1重量%までの、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含み得る。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、約0.6%〜約8%の会合性増粘ポリマーを含む。一実施形態では、増粘剤は、少なくとも1つの疎水性側鎖で置換された親水性主鎖を含む会合性増粘ポリマーであり、組成物は、約0.6%、又は1%、又は2%、又は2.5%から、約8%、又は7%、又は6%、又は5%、又は4%、又は3%、又は2%、又は1%までの、会合性増粘ポリマーを含む。
【0043】
一実施形態では、会合性増粘ポリマーである。一実施形態では、増粘剤は、親水性相と相互作用することができ、並びに、疎水性−疎水性相互作用を進めることができる。一実施形態では、会合性増粘ポリマーであり、疎水性部分と親水性部分を含む。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、非イオン性又はアニオン性ポリマーである。疎水性及び親水性部分は、増粘剤が疎水性相及び親水性相と相互作用するのを助けるので、重要である。一実施形態では、会合性増粘ポリマーの疎水性部分は、それら自身と、並びに、第一及び/又は第二の組成物の疎水性部分と、相互作用することができる。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、疎水性ブロックと親水性ブロックとを含むブロックコポリマーである。一実施形態では、ブロックコポリマーは、ABA−三元ブロックコポリマーである。一実施形態では、ブロックコポリマーは、ポリウレタンコポリマーである。一実施形態では、ブロックコポリマーの親水性ブロックは、脂肪族アルコールを含む。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、側鎖の末端に疎水性部分を含む。一実施形態では、増粘剤の疎水性部分及び/又は疎水性ブロックは、炭素及び水素原子からなる。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、疎水性部分を含み、これらは、炭素及び水素原子からなる飽和炭化水素鎖を含む。会合性増粘ポリマーは、少なくとも1つの疎水性側鎖で置換された親水性主鎖を含み得る。疎水性側鎖は、会合性増粘ポリマーが疎水性相と相互作用するのを助けるので、重要である。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、アクリレート基と、疎水性相互作用を形成することができる側鎖(特に、炭素及び水素原子からなる飽和炭化水素鎖を含む側鎖)と、を含む単位を含む。一実施形態では、アクリレート基は、ビニル基の重合から得られる。一実施形態では、主鎖は、アクリレート、イタコネート及び/又はウレタン基を含む。一実施形態では、親水性部分は、ウレタン単位を含む。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、少なくとも10個の炭素原子、又は12〜24個の炭素原子を含む疎水性側鎖で置換される。疎水性側鎖は、少なくとも約8個の炭素原子、又は少なくとも約10個の炭素原子、又は約10〜約30個の炭素原子、又は約15〜約25個の炭素原子、又は約18〜約20個の炭素原子を含み得る。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、例えば、鎖間架橋を介して、架橋される。一実施形態では、増粘剤は、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー、ポリウレタン−39ポリマー、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー、ポリウレタン−39ポリマー、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/C10〜30アクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー、ポリウレタンポリマー(例えば、ポリウレタン−39)、アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、ポリウレタンポリマーは、ポリウレタン−39ポリマーである。一実施形態では、増粘剤又は会合性増粘ポリマーは、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーではない。実際、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーは、ポリマーそれ自身の内部に疎水性相と相互作用することができる部分を含まない。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマーである。一実施形態では、会合性増粘ポリマーは、アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマーではない。好適な増粘剤としては、Luvigel(登録商標)Star(BASF製)、Structure(登録商標)3001(Akzo Nobel製)、Structure(登録商標)2001(Akzo Nobel製)、Aculyn(商標)28(Dow Personal Care製)、Pemulen(商標)TR1(Lubrizol製)、Pemulen(商標)TR2(Lubrizol製)、Carbopol(登録商標)Ultrez 20(Lubrizol製)、Carbopol(登録商標)Ultrez 21(Lubrizol製)、Carbopol(登録商標)Ultrez 10(Lubrizol製)、ViscUp(登録商標)EZ(Arch Chemicals製)及びこれらの混合物を挙げてもよい。
【0044】
一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は少なくとも約3300Pa、又は少なくとも約3500Pa、又は少なくとも約4000Pa、又は少なくとも約4500Pa、又は少なくとも約5000Paの貯蔵弾性率を有する。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は少なくとも約3300Pa、又は少なくとも約3500Pa、又は少なくとも約4000Pa、又は少なくとも約4500Pa、又は少なくとも約5000Paの貯蔵弾性率を有し;増粘剤は、会合性増粘ポリマーであり、疎水性部分と親水性部分とを含み;第一及び/又は第二の組成物は、約0.6%〜約8%の会合性増粘ポリマーを含む。
【0045】
第一の組成物は、疎水性相を含む。一実施形態では、第二の組成物は、疎水性相を含む。一実施形態では、疎水性相は、脂肪族アルコール、脂肪酸又はこれらの混合物を含む。一実施形態では、脂肪族アルコール及び/又は脂肪酸は、10〜30個、又は12〜20個、又は16〜18個の炭素原子を含む。一実施形態では、色調合物は、疎水性相を含む。一実施形態では、疎水性相は、2つの異なる脂肪族アルコールを含む。一実施形態では、疎水性相は、2つの異なる脂肪族アルコールを含み、これらはどちらも約10〜約14個の炭素原子を含む。
【0046】
第一の組成物は、親水性相を含む。一実施形態では、第二の組成物は、親水性相を含む。親水性相は、例えば、水性の美容的に許容可能なキャリアといった、美容的に許容可能なキャリアの形態である。本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、美容的に許容可能なキャリアを含んでもよい。本組成物/調合物は、本組成物又は調合物全体の約60重量%〜約99.9重量%、又は約70重量%〜約95重量%、又は約80重量%〜約90重量%の美容的に許容可能なキャリアを含み得る。美容的に許容可能なキャリアは、水;揮発性シリコーン、アミノ系若しくは非アミノ系シリコーンガムなどのシリコーン;C
2〜C
10のアルカン、アセトン、メチルエチルケトン、揮発性のC
1〜C
12の有機アルコール;酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルなどのC
1〜C
20の酸とC
1〜C
8のアルコールとのエステル;ジメトキシエタン、ジエトキシエタン;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びベヘニルアルコールなどのC
10〜C
30の脂肪アルコール;ラウリン酸及びステアリン酸などのC
10〜C
30の脂肪酸;ラウリルジエタノールアミドなどのC
10〜C
30の脂肪アミド;C
10〜C
30の脂肪アルキル安息香酸エステルなどのC
10〜C
30の脂肪アルキルエステル、ヒドロキシプロピルセルロース、及びこれらの混合物などの有機化合物を含んでもよい。一実施形態では、キャリアは水、脂肪族アルコール、揮発性有機アルコール、及びこれらの混合物を含む。一実施形態では、美容的に許容可能なキャリアは、水である。
【0047】
本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、約3〜約13、又は約7〜約12、又は約11まで、又は約10まで、又は約9まで、又は約8までの範囲内に収まるように組成物/調合物のpHを調整するのに十分に有効である量でpH調整剤及び/又は緩衝剤を含んでもよい。一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、約7〜約9のpHを有する。一部の実施形態では、本明細書で後述する炭酸イオン供給源のpH範囲は、約8.5〜約9.5、又は約8.0〜約9.0である。本明細書で使用するのに好適なpH調整剤及び/又は緩衝剤としては、アンモニア、アルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3,−プロパンジオール並びにグアニジウム塩)、水酸化アルカリ金属及び水酸化アンモニウム並びに炭酸アルカリ金属及び炭酸アンモニウム、好ましくは水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及び炭酸アンモニウム、並びに無機及び無機酸などの弱酸性物質、例えば、ホスホン酸、酢酸、アスコルビン酸、クエン酸、又は酒石酸、塩酸、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、アルカリ化剤を含んでもよい。「アルカリ化剤」は、pHをアルカリレベルに上昇させる、特に、9〜11のpHに上昇させるのに好適な1つ以上の化合物を意味する。概して、当該技術分野において最も一般的に使用されるアルカリ化剤は、アンモニアである。非アンモニアのアルカリ化剤もまた既知であり、嗅覚刺激が少ないので、好ましい。例えば、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンが挙げられる。本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、モノエタノールアミン(MEA)、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(アミノメチルプロパノール、AMPとしても知られている)、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール及びこれらの混合物からなる群から選択される非アンモニアのアルカリ化剤を含んでもよい。モノエタノールアミン(MEA)又はアミノメチルプロパノール(AMP)は、アンモニアを含まない毛髪染料製品において一般的に用いられており、アルカリ化剤として単独で又は互いに若しくは他のアルカリ化剤と組み合わせることが好ましい場合がある。モノエタノールアミンは、特に、単独で又は他の非アンモニアアルカリ化剤と組み合わせて用いることが好ましい場合がある。本明細書に記載の組成物及び/又は調合物は、非アンモニアアルカリ化剤に加えてアンモニア、例えば、0.5%未満のアンモニア、を含んでもよい。一実施形態では、アルカリ化剤は、モノエタノールアミン(MEA)である。一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物はアルカリ化剤モノエタノールアミン(MEA)を含み、酸化染料化合物は2−メトキシメチル−1,4−ベンゼンジアミンである。
【0049】
一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、界面活性剤を含む。第一の組成物及び/又は第二の組成物は、第一又は第二の組成物全体の約0.001重量%〜約10重量%、又は約0.1重量%〜約8重量%、又は約0.5重量%〜約5重量%、又は約0.4重量%〜約2重量%、又は約0.8重量%〜約1.5重量%の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。界面活性剤は、組成物中の疎水性相を安定化させるのに、例えば、ゲルネットワーク及び/又は層状構造を安定化させるのに、有用である。一実施形態では、アニオン性補助界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。一実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤は、ラノリンアルコール、及び脂肪族アルコールのポリオキシエチレンエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、セテアレス−nであり、nは約2〜約100、又は約10〜約30である。
【0050】
一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、増粘剤と中性複合体を形成可能な成分、及び/又はカチオン性ポリマー、及び/又はカチオン性界面活性剤を実質的に含まない。
【0051】
第一の組成物及び/又は第二の組成物は、クリーム又はエマルションの形態であり得る。一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、層状構造を有する、及び/又は、ゲルネットワークを有する。一実施形態では、第一の組成物及び/又は第二の組成物は、疎水性相を含むミセルを含む。
【0052】
一実施形態では、「毛髪繊維部分」は、人形の頭部又はマネキンの頭部のものである。一実施形態では、「毛髪繊維部分」は、合成の毛髪のものである。一実施形態では、「毛髪繊維部分」は、ケラチン繊維に由来する。
【0053】
一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、色調合物と増粘調合物と発色調合物とを共に混合することから得られる。上記色調合物、増粘調合物及び発色調合物は、上述のものであり得る。一実施形態では、色調合物は染毛剤と疎水性相と親水性相とを含み、発色調合物は酸化剤を含み、増粘調合物は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーを含み、会合性増粘ポリマーは、アクリレート基を含む親水性主鎖を含む。一実施形態では、増粘調合物は酸化剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーと、を含み、会合性増粘ポリマーは、アクリレート基を含む親水性主鎖を含む。
【0054】
一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、色調合物と発色調合物と増粘調合物とを特定の比で共に混合することから、得られる。一実施形態では、色調合物と発色調合物の重量比(すなわち、色配合物:発色調合物)は、約1:5〜約5:1である。色調合物が三成分混合物の一部である場合、この重量比もまた有効である。一実施形態では、色調合物と発色調合物と増粘調合物の重量比(すなわち、色調合物:発色調合物:増粘調合物)は、約10:10:0.5〜約10:10:2、又は約10:20:0.5〜約10:20:2である。増粘調合物が過酸化水素などの酸化剤を含む一実施形態では、第一及び/又は第二の組成物は、色調合物と増粘調合物とを特定の比で共に混合することから、得られる。この実施形態では、色調合物と増粘調合物の重量比(すなわち、色調合物:増粘調合物)は、約10:5〜約10:25、又は約10:8〜約10:22、又は約10:15〜約10:20、又は約10:8〜約10:12、又は約10:12〜約10:18である。
【0055】
本方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程に関する。本明細書で使用するとき、「毛髪繊維部分」は、根部から先端までの毛髪の繊維全体であってもよく、あるいは、この繊維の部分(例えば、根部分のみ又は先端部分のみ)のみに関してもよい。本明細書で使用するとき、「複数の毛髪繊維部分」は、2つ以上の毛髪繊維部分に関する。典型的には、複数の毛髪繊維部分は、ごく近接して、すなわち束としてとも集合した一束の毛髪繊維部分に関する。束が端を発するそれぞれの根部もまた、ごく近接していてもよい。しかしながら、より長い髪に関しては、これが当てはまらなくてもよい。複数の毛髪繊維部分は、例えば、約10本の根部から先端までの毛髪繊維全体の束に関する。あるいは、複数の毛髪繊維部分は、約50本の毛髪繊維の根部分の束に関し得る。上記説明の選択肢は、特定のヘアスタイルを作製するために必要とされる染色効果のバリエーションに起因するものである。例えば、目標の最終的な毛髪効果は、第一の染毛剤が根部分の約50%に適用され、第二の染毛剤が根部分の残りの50%に適用され、第三の染毛剤が先端部分すべてに適用されることを必要とし得る。本明細書で使用するとき、用語「コーティングされた毛髪繊維部分」は、好ましくは表面積の大半にわたって組成物で覆われた又はコーティングされた毛髪繊維の部分を意味する。一実施形態では、語句「コーティングされた毛髪繊維部分であって、コーティングが組成物を含む、部分」は、「組成物でコーティングされた毛髪繊維部分」を意味する。本方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程と、それに続いて、毛髪をスタイリングする工程であって、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が第二の複数の毛髪繊維部分に接触する、工程と、を含む。本明細書で使用するとき、「接触する」は、2つの要素が互いに触れるようにごく近接して配置することを意味する。第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が第二の複数の毛髪繊維部分に接触するとき、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分上のコーティングの一部のみが第二の複数の毛髪繊維部分に触れてもよい。
【0056】
一実施形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、第一の組成物を第一の複数の毛髪繊維部分に適用することにより、形成される。この実施形態では、第一の染毛剤と会合性増粘ポリマー(上記を参照されたい)とを含む第一の組成物が準備され、それに続いて、第一の複数の毛髪繊維部分に適用され、それゆえに、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成し得る。
【0057】
別の実施形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、第一の染毛剤を第一の複数の毛髪繊維部分に適用し、それに続いて、会合性増粘ポリマーを(同じ)第一の複数の毛髪繊維部分に適用することにより、形成される。この実施形態は、層化と呼ばれ得る。層化の別の形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、会合性増粘ポリマーを第一の複数の毛髪繊維部分に適用し、それに続いて、第一の染毛剤を第一の複数の毛髪繊維部分に適用することにより、形成される。
【0058】
一実施形態では、本方法は、更に以下の工程を含む:
−第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程であって、コーティングが第二の組成物を含み、第二の組成物が、第二の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む、工程と;それに続いて、
−第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分と接触させる工程。
【0059】
第二の染毛剤は第一の染毛剤とは異なり、すなわち、第一の染毛剤は、第二の染毛剤が呈する色とは異なる色を呈する。一実施形態では、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、第二の組成物を第二の複数の毛髪繊維部分に適用することにより、形成される。第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、代替的に、本明細書に記載の「層化」により形成されてもよい。
【0060】
一実施形態では、第一の複数の毛髪繊維部分及び第二の複数の毛髪繊維部分は、実質的に同じ複数の毛髪繊維根部に由来しない。
【0061】
代替的実施形態では、第一の複数の毛髪繊維部分及び第二の複数の毛髪繊維部分は、実質的に同じ複数の毛髪繊維根部に由来する。例えば、この同じ複数の毛髪繊維部分は、第一の組成物と第二の組成物の両方でコーティングされてもよい。これは、この同じ複数の毛髪繊維部分が異なる色で染められることを意味する。例えば、第一の複数の毛髪繊維部分は複数の毛髪繊維の根部分であり得、この根部分は、第一の染毛剤と会合性増粘ポリマーとを含む第一の組成物でコーティングされ得、第二の複数の毛髪繊維部分は、先端部分を含む複数の毛髪繊維の残りの部分であり得、この残りの部分は、第二の染毛剤と会合性増粘ポリマーとを含む第二の組成物でコーティングされ得る。
【0062】
一実施形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、第一の組成物を第一の複数の毛髪繊維部分に適用し、それに続いて、第二の組成物を第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分に適用することにより、形成され、第二の組成物は、第二の染毛剤と会合性増粘ポリマーとを含む。この実施形態では、実質的に同じ複数のコーティングされた毛髪繊維部分が、第一の組成物と第二の組成物の両方でコーティングされる。この実施形態では、第一の組成物及び第二の組成物は、毛髪繊維部分上で共にブレンドされ得る。
【0063】
一実施形態では、第一、第二、第三及び第四の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が形成され、コーティングは、染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性層と相互作用することができる増粘剤と、を含む。一実施形態では、各コーティングについての組成物は、2つ以上の異なる染毛剤を含み、染毛剤は異なる色結果をもたらし得る。
【0064】
一実施形態では、複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、頭部上に平たく置かれる。一実施形態では、複数のコーティングされた毛髪繊維部分は、スライス形状である。一実施形態では、第一のコーティングされた毛髪繊維部分は、整形されて、カールを形成する。
【0065】
本明細書で使用するとき、「実質的に同じ」は、少なくとも50%同じ、又は60%超同じ、又は70%超同じ、又は80%超同じ、又は90%超同じ、又は95%超同じを意味する。
【0066】
一実施形態では、本方法は、ヘアスタイルをもたらし、このヘアスタイルは、ターバン(turban)、三つ編み(plait)、編み込み(braid)、ラフな巻き毛(tousel)、ウェーブ(wave)、クリスクロス(criss-cross)、ブレンディング(blending)、2ステップ(2-step)、スカルプティング(sculpting)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0067】
一実施形態では、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する前に、第一の複数の毛髪繊維部分をスタイリングして、ヘアスタイルを形成する。一実施形態では、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分の形成に続いて、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分をスタイリングして、ヘアスタイルを形成する。
【0068】
一実施形態では、第一の染毛剤(及び、適用される場合には、第二の染毛剤)を発色時間にわたって毛髪上にそのまま置いておく。発色時間は、約1分〜約90分、又は約5分〜約70分、又は約10分〜約60分、又は約10分〜約40分であり得る。
【0069】
一実施形態では、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する前に、毛髪は、処置を施される。処置は、20℃〜45℃、又は30℃〜42℃の温度に少なくとも0.5分、又は少なくとも1分、又は少なくとも3分、又は少なくとも5分、あるいは、20%〜80%、又は40%〜70%の相対湿度に少なくとも0.5分、少なくとも1分、又は少なくとも3分、又は少なくとも5分毛髪を曝露すること、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0070】
本方法の一実施形態では、第一の組成物の適用後、及び、適用される場合には、第二の組成物の適用後、それに続いて、組成物を毛髪からすすぎ流す。
【0071】
毛髪をすすいだ後、毛髪は、毛髪染色効果を呈する。毛髪染色効果は、毛髪ストランド効果(hair strand effects)、ハイライト、ローライト、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0072】
この方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数の毛髪繊維部分から分離するために、固体バリア手段の適用を含まない。本明細書で使用するとき、「固体バリア手段」は、毛髪部分が互いに接触せず、これにより移染が全く生じないように、固体物質が毛髪上に配置されることを意味する。箔は、固体バリア手段の例であり、典型的には、毛髪部分が個々に箔の中に覆われるように、使用される。固体バリア手段の別の例は、孔を備えるキャップである。このようなキャップは、欧州特許出願第1969961(A2)号(2008年3月10日出願、Procter & Gamble Co.名義、2008年9月17日公開)の
図2及びp.2の§0004に具体的に記載されている。
【0073】
一実施形態では、固体バリア手段は、箔、プラスチック、フィルム、綿毛、詰物材料、キャップ及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物理的バリアである。
【0074】
一実施形態では、本方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数の毛髪繊維部分から分離し、移染が全く生じないように、液体バリア手段の適用を含む。液体バリア手段は、コンディショニング調合物であってもよい。
【0075】
別の実施形態では、本方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数の毛髪繊維部分から分離するために、いかなるバリア手段の適用も含まない。「いかなるバリア手段」は、液体バリア手段及び固体バリア手段を含む。
【0076】
第一の態様の一実施形態は、毛髪の染色方法に関し、この方法は、
(i)第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程であって、コーティングが第一の組成物を含み、第一の組成物が、第一の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーと、を含む、工程と、それに続いて、
(ii)第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程であって、コーティングが第二の組成物を含み、第二の組成物が、第二の染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーと、を含む、工程と、それに続いて、
(iii)任意選択で第三、これもまた任意選択で第四、これもまた任意選択で第五、これもまた任意選択で第六の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程であって、組成物が、染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーと、を含む、工程と、それに続いて、
(iv)複数のコーティングされた毛髪繊維部分を互いに接触させる、毛髪をスタイリングする工程と、
を含み、この方法は、複数のコーティングされた毛髪繊維分を互いに分離するために固体バリア手段の適用を含まず、会合性増粘ポリマーは、アクリレート基を含む親水性主鎖を含み、少なくとも第一の組成物及び/又は第二の組成物は、過硫酸塩を実質的に含まない。一実施形態では、すべての組成物は、過硫酸塩を実質的に含まない。一実施形態では、第一及び第二の組成物はどちらも、過硫酸塩を実質的に含まず、第一の組成物及び第二の組成物はどちらも、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は3300Pa、又は3500Pa、又は4000Pa、又は4500Pa、又は5000Paの貯蔵弾性率を有する。
【0077】
本明細書に記載の第一の態様の範囲内に収まらない代替的方法は、毛髪の染色方法に関し、この方法は、
(i)第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程であって、コーティングが、第一の染毛剤と会合性増粘ポリマーとを含む第一の組成物を含む、工程と、それに続いて、
(ii)毛髪をスタイリングする工程であって、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が第二の複数の毛髪繊維部分に実質的に接触しない、工程と、を含み、
この方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を第二の複数の毛髪繊維部分から分離するために、固体バリア手段の適用を含まない。代替的方法の一実施形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分をスタイリングして、スパイク(spikes)及び/又は結び目(knots)を形成してもよい。この代替的方法は、ショートヘアに特に好適である。一実施形態では、本方法は、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程に続いて、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分を形成する工程を含み、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分上のコーティングは、第二の染毛剤と会合性増粘ポリマーとを含む第二の組成物を含む。一実施形態では、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分をスタイリングして、スパイク及び/又は結び目を形成してもよい。
【0078】
本明細書で使用するとき、「実質的に接触しない」は、互いに接触するように意図せずに2つの要素をごく近接して配置すること、あるいは、互いに接触しないように2つの要素をごく近接して存在しないようにすることを意味する。この代替的方法の一実施形態では、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分が第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分と実質的に接触していない場合、第一の複数のコーティングされた毛髪繊維部分は理想的には第二の複数の毛髪繊維部分に接触しない。しかしながら、第一の複数の毛髪繊維部分の小さく軽微な部分は、第二の複数のコーティングされた毛髪繊維部分に接触し得る。
【0079】
第二の態様によれば、本発明は、染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む、毛髪染色用組成物に関し、この組成物は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は少なくとも約3300Pa、又は少なくとも約3500Pa、又は少なくとも約4000Pa、又は少なくとも約4500Pa、又は少なくとも約5000Paの貯蔵弾性率を有し、増粘剤は、会合性増粘ポリマーであり、疎水性部分と親水性部分とを含む。一実施形態では、貯蔵弾性率は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、10kPa、又は9kPa、又は8kPa、又は7kPa、又は6kPa以下である。一実施形態では、親水性部分は、ウレタン単位を含む。
【0080】
第二の代替的実施形態は、染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を含む、毛髪を着色するための組成物に関し、この組成物は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、約0.68以下、又は約0.66以下、又は約0.65以下、又は約0.64以下、又は約0.63以下、又は約0.62以下、又は約0.61以下、又は約0.60以下、又は約0.58以下のタンジェントデルタを有する。タンジェントデルタ=tan δ=損失係数。一実施形態では、この代替的実施形態の組成物も、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は少なくとも約3300Pa、又は少なくとも約3500Pa、又は少なくとも約4000Pa、又は少なくとも約4500Pa、又は少なくとも約5000Paの貯蔵弾性率を有する。一実施形態では、本明細書に記載の貯蔵弾性率及び/又はタンジェントデルタは、TA−InstrumentsのAR2000レオメーターを使用して、測定される。第一の態様の第一及び/又は第二の組成物に関して本明細書に開示されている詳細は、第二の態様にも適用可能である。
【0081】
第三の態様によれば、本発明は、毛髪を染色及び/又はスタイリングするために第二の態様による組成物を使用することに関する。第一及び第二の態様の組成物に関して本明細書に開示されている詳細は、第三の態様にも適用可能である。
【0082】
第四の態様によれば、本発明は、(a)第一の態様による方法を含む適用説明書と、(b)組成物と、を含む、キットに関する。一実施形態では、組成物は、本明細書に記載の第一の組成物(第一の態様を参照されたい)及び本明細書に記載の増粘調合物(第七の代用を参照されたい)からなる群から選択される。一実施形態では、キットは、本明細書に記載の第二の組成物(第一の態様を参照されたい)を更に含み、これは第一の組成物とは別個にパッケージ化されている。一実施形態では、キットは、(a)第一の態様による方法を含む適用説明書と、(b)本明細書に記載の第一の組成物を含む製品と、(c)本明細書に記載の第二の組成物を含む製品と、を含む。一実施形態では、キットは、以下のもののうちの1つ以上を更に含む:(d)用具、(e)装置。第一及び第二の態様の組成物に関して上記に開示されている詳細は、第四の態様にも適用可能である。
【0083】
第五の態様によれば、本発明は、染毛剤と、疎水性相と、親水性相と、界面活性剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤と、を混合する工程を含む、毛髪染色用組成物の製造プロセスに関し、この組成物は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、少なくとも約3000Pa、又は少なくとも約3300Pa、又は少なくとも約3500Pa、又は少なくとも約4000Pa、又は少なくとも約4500Pa、又は少なくとも約5000Paの貯蔵弾性率を有する。第五の態様の実施形態では、増粘剤は、本明細書に記載の会合性増粘ポリマーである。他の態様の組成物及び調合物に関して上記に開示されている詳細は、第五の態様にも適用可能である。
【0084】
第六の態様によれば、本発明は、2種の液体の非混和性を立証するための方法に関し、液体は異なる色を呈し、この方法は、(I)第一の色調合物を準備する工程であって、第一の色調合物が疎水性相と第一の着色料とアルカリ化剤とを含む、工程と、(II)第二の調合物を準備する工程であって、第二の調合物が疎水性相と第二の着色料とアルカリ化剤とを含む、工程と、(III)増粘調合物を準備する工程であって、増粘調合物が、疎水性層と相互作用することができ、疎水性−疎水性相互作用を行うことができる、増粘剤を含む、工程と、(IV)第一の調合物を増粘調合物と混合して第一の色を呈する第一の液体を形成し、第二の調合物を第三の調合物と混合して第二の色を呈する第二の液体を形成する工程と、それに続いて、(VI)第一の液体と第二の液体を容器内又は上に、互いに隣り合うように適用する工程と、それに続いて、(VII)容器を撹拌する工程と、(VIII)第一の組成物と第二の組成物の非混和性を観察する工程と、(IX)任意選択で、上記液体が上記増粘剤を含まない対照実験と上記容器を比較する工程と、を含む。「非混和性」により、これらの液体は、第三の色を呈する第三の液体が観察可能であるように、融合しない、混合しない又は組み合わさらない。非混和性を立証するためのこの方法は、移染の防止において第一の態様による方法の有効性を立証するために使用される。第六の態様の方法の技術的効果は、2種の異なる着色料が混合するのを防止することにおける増粘剤の効果を立証することである。第六の態様の一実施形態では、第一の液体は、本明細書に記載の第一の態様による第一の組成物であり、第二の液体は、本明細書に記載の第一の態様による第二の組成物である。一実施形態では、工程(I)〜(III)は、工程(IV)に先行する限り、任意の順番で生じ得る。他の態様の組成物及び調合物に関して本明細書に開示されている詳細は、第六の態様にも適用可能である。
【0085】
第七の態様によれば、本発明は、酸化剤と、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる会合性増粘ポリマーと、を含む増粘調合物に関し、会合性増粘ポリマーは疎水性部分と親水性部分とを含み;増粘調合物は少なくとも1.2%の会合性増粘ポリマーを含み;増粘調合物は約1%〜約12%の酸化剤を含む。一実施形態では、酸化剤は過酸化水素であり、親水性部分は、ウレタン単位、アクリレート単位及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、増粘調合物は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含み、増粘調合物は、増粘調合物全体の約0.001重量%〜約10.0重量%、あるいは、約0.01重量%、又は0.05重量%、又は0.1重量%、又は0.15重量%、又は0.25重量%、又は0.6重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は2.5重量%から、約8重量%、又は7重量%、6重量%、又は5重量%、又は4重量%、又は3重量%、又は2重量%、又は1重量%までの増粘剤を含む。増粘調合物は酸化剤を更に含んでもよく、酸化剤は過酸化水素であってもよい。一実施形態では、増粘調合物は、増粘調合物全体の約2重量%、又は3重量%、又は4重量%、又は4.5重量%、又は5重量%、又は5.5重量%、又は6重量%〜約12重量%、又は10重量%、又は9重量%、又は8重量%、又は7重量%の酸化剤を含む。一実施形態では、増粘調合物は、増粘調合物全体の約0.1重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は2.5重量%、又は3重量%から、約10重量%、又は約9重量%、又は8重量%、又は7重量%、又は6重量%、又は5重量%、又は4重量%までの、脂肪族アルコールを含む。一実施形態では、脂肪族アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、増粘調合物は、ヒマシ油を含む。一実施形態では、増粘配合物は、約0.1%〜約1%のヒマシ油を含む。一実施形態では、ヒマシ油は、PEG硬化ヒマシ油である。第一の態様に関して述べられる増粘配合物に関して本明細書に開示されている詳細は、第七の態様にも適用可能である。
【実施例】
【0086】
以下の実施例は、本明細書に記載の第一及び/又は第二の組成物を得るための、色調合物、発色調合物及び増粘調合物である。
【0087】
【表1】
注:
§=記載の数字は、色調合物の%(重量/重量)計算量である。
【0088】
【表2】
注:
§=記載の数字は、発色調合物の%(重量/重量)計算量である。
【0089】
【表3】
注:
§=記載の数字は、増粘調合物の%(重量/重量)計算量である。
1=45%の活性物質(=アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、水素添加ポリデセン、ソルビタンラウレート及びトリデセス−6)を含み、Arch Personal Care Productsから入手可能である。
2=30%の活性物質(=アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー)を含み、AkzoNobelから入手可能である。
3=20%の活性物質(=ポリウレタン−39)を含み、BASFから入手可能である。
4=20%の活性物質(=アクリレート/ベヘネス−25メタクリレートコポリマー)を含み、Rohm & Haasから入手可能である。
5=セテアレス−25(INCI名)、PEG−25セチルステアリルエーテル(化学名)。
【0090】
選択された色調合物と選択された発色調合物と選択された増粘調合物を、本明細書に記載の第一及び/又は第二等の組成物を得るために共に混合する。その後、ヘアスタイルが作製され得る。
【0091】
ヘアスタイル:ターバン
ターバンヘアスタイルに好適な本発明による組成物としては、例えば、色調合物Dと発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む第一の組成物、この第一の組成物を、色調合物Gと発色調合物IVと増粘調合物5とを含む組成物と組み合わせたもの、並びに、この第一の組成物を、色調合物Cと発色IVと増粘調合物5とを含む第二の組成物と組み合わせたものが挙げられる。
【0092】
方法:組成物(1種又は複数種)を頭部の頂部に、首に向かって下方に、最後に頭部の前側に向かって下方に、適用を開始する。複数の毛髪繊維部分のサイズ、及び第一、第二又は更なる組成物の適用のサイズは、好み/所望に応じて変動し得る。根部、丈部及び端部に組成物を直接適用し、ターバンを構築する(
図20、21、22を参照されたい)。この場合の複数の毛髪繊維部分は、根部から実質的に同じ根部に由来する先端までの複数の毛髪繊維である。複数の毛髪繊維部分はそれぞれ、(例えば、得られる毛髪の色が異なる)異なる組成物を適用することができる。毛髪の長さに応じて、複数の毛髪繊維部分を頭部の頂部又は後ろ側に実質的に平らに配置する。この毛髪を、選択された組成物に好適な発色時間にわたってそのままにしておく。
【0093】
ヘアスタイル:ブレンディング
ブレンディングヘアスタイルに好適な本発明による組成物としては、例えば、色調合物Bと発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む第一の組成物、この第一の組成物を、色調合物Eと発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む第二組成物と組み合わせたものが挙げられる。
【0094】
方法:この場合の複数の毛髪繊維部分は、根部から先端までの複数の毛髪繊維ではなく、その代わり、これらの一部分のみ(例えば、根部分又は先端部分)である。根部の染色:頭部の頂部の根部を、首に向かって下方に、最後に頭部の前側に向かって、染色を開始する。薄い複数の毛髪繊維部分を使用し、根部に、但し、頭皮に最も近接した部分のみに、組成物を適用する。頭皮に近接した部分の延び、すなわち、染色する根部を何cmにするかを決定すべきである(例えば、1cm〜10cm)。丈部及び端部の染色:次に、組成物を丈部及び端部に、その後、上下に直接適用する。既に染色された根部にも組成物を適用する。良好な色を根部から先端まで得るために、複数の毛髪繊維部分の全体を櫛で梳く。ブレンディングヘアスタイルを
図28に示す。
【0095】
ヘアスタイル:クリスクロス
クリスクロスヘアスタイルに好適な本発明による組成物としては、例えば、色調合物Gと発色調合物IVと増粘調合物5とを含む第一の組成物、この第一の組成物を、色調合物Dと発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む第二の組成物と組み合わせたもの、並びに、この第一の組成物を、色調合物Cと発色IVと増粘調合物5とを含む第三の組成物と組み合わせたものが挙げられる。
【0096】
方法:首において染色プロセスを開始し、頭部の頂部に向かって上方に染色を続ける。複数の毛髪繊維部分は、形状がスライス状であるべきであり、これらのスライスは、三角形として対角線状に適用されるとき、約0.5cm〜1cmの厚さを有するべきである。組成物をスライス毎に根部から先端に向けて直ちに適用する。各スライスは、特に染毛剤により異なる、より好ましくは得られる毛髪の色により異なる、本発明による異なる組成物でコーティングされるようにすることができる。すべての染色されたスライスを、更に圧力を加えずに、他のものの後方に互いに配置する。クロスクロス(cross-cross)ヘアスタイルを
図23及び26に示す。発色時間は、通常、熱を適用せずに、すなわち、室温にて、約30分である。
【0097】
ヘアスタイル:2ステップ
2ステップヘアスタイルに好適な本発明による組成物としては、例えば、色調合物Eと発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む第一の組成物、この第一の組成物を、色調合物Mと発色調合物IIIと組み合わせたものが挙げられる。
【0098】
方法:第一の組成物を頭髪全体に適用する、すなわち、複数の毛髪繊維部分は頭髪全体である。しかしながら、選択された複数の毛髪繊維部分は、その後、第一の組成物の上に第二の組成物を受容する。この2ステップを利用して、第一の組成物の適用に続いて毛髪をスタイリングした後で、明るい色の染料によりハイライトを適用する又は作製された形成済み毛髪形状において漂白することができる。例えば、第一の組成物の整形性を用いて、カールを作製することができ、その後、明るい色の染料/漂白剤をカールの外側表面上に適用する。明るい色の染料は、本明細書に記載の第二の組成物であり得る。まず、第一の組成物を用いて、頭部の頂部に、首に向かって下方に、最後に頭部の前側に向かって適用を開始する。その後、創造性を用いて整形された構造[例えば、ウォーターウェーブ(water wave)、ツイスター(twister)、編み込み]を作製する。ブラシ又は特別なアプリケータ(例えば、薄型ブラシ)を選択して、明るい色の染料/漂白剤を適用する。明るい色の染料/漂白剤を「構造」上に所望に応じて適用を開始する。2ステップヘアスタイルを
図27に示す。
【0099】
データ
実験1−レオロジー測定
この実験では、使用される具体的な増粘剤が異なる本発明による異なる組成物を、本発明によらない組成物と比較した。周波数掃引で線形の粘弾性領域における時間依存性粘弾特性を測定し、比較した。
【0100】
装置:化学天秤、上載せ、精度0.01g(Mettler)程度;アプリケータブラシ及びボウル又はこれらに類するもの;5分〜1秒表示測定可能なストップウォッチ;高性能(Advanced)レオメーター(TA−Instruments AR2000又はAR2000ex)又はこれに類するもの。
【0101】
サンプル調製:ボウルを天秤の上に載せ、風袋の重さを量り、30g(±1g)の染料を加える。重量を記録し、再び風袋の重さを量り、同じ量の発色剤(±0.1g)を加える。ブラシを使用して、サンプルを10秒間混合する。天秤の風袋の重さを再び量り、3gの増粘剤を加え、1分間混合する。混合物を4分間発色させ、その後、これをレオメーターに載せる。
【0102】
周波数掃引:組成物を2つのレオメータープレートの間に配置し、振動せん断応力を適用し、0.05%の振動ひずみ応答を得、一方、角周波数を0.1rad/sから10rad/sまで段階的に上昇させる。適用される正弦波形状応力と得られるひずみ応答との間の関係、並びに、時間軸における両方の測定値間の移り変わりをモニターする。
【0103】
周波数掃引:40mmの平らなアクリルプレート;ペルチェプレート;間隙形状:1000μm;温度:23℃;機器内のコンディショニング:60s。
【0104】
結果の報告:周波数掃引について、貯蔵弾性率[G’]、損失弾性率[G”]、損失係数[tan δ]を報告する。
【0105】
実験1−試験された組成物
以下の組成物を実験1で試験した。
【0106】
【表4】
*=上記の実施例の項を参照されたい。
#=疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤。
【0107】
組成物[a]及び[f]は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含まないので、本発明によらない。結果として、組成物[a]及び[f]は、対照組成物である。
【0108】
実験1−結果
実験1のレオロジー実験の結果を
図12〜19及び
図29〜30に示す。
図12〜19からの結論としては、本発明による組成物と比較可能な組成物[a]及び[f]の間に有意な違いが見出されたということが挙げられる。このデータはまた、低い標準偏差で信頼性が高いということも分かった。貯蔵弾性率は、変形に対する組成物の弾性耐性、及び、組成物が有する弾性のレベルの損失係数に関する。これらの測定値は、本発明による組成物により呈された優れた「保持」を立証している。
図29及び30は、組成物[l]と[h]の間(
図29)、並びに、[k]と[c]の間(
図30)にほとんど違いがないことを示している。それゆえに、増粘調合物1を用いて作製される最終組成物と増粘調合物5を用いて作製される最終組成物の間の違いは明らかにほとんどない。増粘調合物1は、この調合物中に存在する高濃度の酸化剤が第三の調合物(すなわち、別個の発色調合物)に混合する必要性をゼロにするという利点を有する。
【0109】
実験2−長期持続保持評価
実験1で使用された組成物[a]〜[j]を使用して、得られた保持力を評価した。実験1と同様、組成物[a]及び[f]は、疎水性相及び親水性相と相互作用することができる増粘剤を含まないので、本発明によらない。結果として、組成物[a]及び[f]は、対照組成物である。長期持続保持測定は、高い湿度(20℃及び相対湿度65%の湿度)での経時的な毛髪束の高さの変化の観察である。これらの方法は、本発明による組成物で処置された毛髪束の形状安定性、すなわち、保持量を測定するために、行われる。レーザーを含む高さ計測器を用いて、毛髪束の高さの変化を検出し、これは、本発明による組成物により提供される保持量を示す。以下の方法を使用した:
カラーブラシを用いて又はアプリケータフラスコにおいて、各組成物による処置:各組成物[a]〜[j]を合計で少なくとも20g十分に混合した。170mmの長さ及び2.00g〜2.02gの乾燥重量を有する5本の乾燥した毛髪束をプレキシグラスプレート上に置く。組成物を毛髪束に適用する。毛髪束の毛髪が真っ直ぐ及び平行に梳かれるのを保つようにしてブラシを用いて、組成物を毛髪束上に等しく分散させる。各毛髪束の最終重量は、6.20g〜6.23gである。
【0110】
測定手順:毛髪束はそれぞれ、一方の端部にゴムまとめ具(rubber gatherer)を有し、処置された毛髪束のこれらのゴム末端をラック上に水平に載せる。ラックの55mm前には細幅のバーがあり、これは、ベンチと平行であり、ラックと同じ高さだけベンチよりも高い。各毛髪束は、ラックから細幅のバーに向かって水平に位置する。細幅のバーの後、各毛髪束に対して102mmの突出長さが残される。濡れた毛髪束(50%の湿度を含み、これは乾燥した毛髪をタオルで拭くことを反映したものであり得る)は細幅のバーからゆるく垂れ下がる。毛髪束に適用した組成物は、毛髪束の突き出た長さに対して剛性(すなわち、保持)をもたらし、その結果、これらは細幅のバーからゆるく垂れ下がらない。毛髪束の先端の高さを測定することにより、毛髪束の突き出た長さが保持される程度を測定する。接近した半導体レーザーを有する高度測量器を用いて、毛髪束の先端の突出高さを判定する。0分後、10分後、及び30分後に測定を行う。得られる保持に毛髪束の長さを考慮して以下のように計算する:
保持[%]=100−((l
t/102)×100)
式中、l
t=水平に突出した毛髪束の高さ、及び
102mm=毛髪束の突出している長さ。
【0111】
水平のままであった毛髪束であれば、0mmのl
tを有し、それゆえに、100%の保持百分率を有し、すなわち、これらは可能な中で最良の結果であり得る。ゆるく垂れ下がった濡れた毛髪束であれば、102mmのl
tを有し、それゆえに、0%の保持百分率を有し、すなわち、これらは可能な中で最悪の結果であり得る。
【0112】
保持評価の結果を下記に示す。各保持値は、各組成物について5本の毛髪束を利用したので、5回の繰り返しの平均である。
【0113】
【表5】
*=実験1で試験された組成物を参照されたい。
【0114】
結論:使用された色調合物は同じであったので、組成物[a]、[b]、[c]、[d]及び[e]についての結果は、互いに比較することができる。組成物[b]〜[e]は、組成物[a]よりも良好な保持をもたらした。結論:使用された色調合物は同じであったので、組成物[f]〜[j]についての結果は、互いに比較することができる。組成物[h]〜[j]は、組成物[f]よりも良好な保持をもたらした。これらのデータは、スタイリストの仕事にも当てはまる。例えば、0分での測定は、これが適用段階、すなわち、組成物が頭髪に適用されたときに生じるので、スタイリストの仕事に最も当てはまる。結果として、これらのデータは、非常に現実的である。10分及び30分での測定は、発色段階により多く関係する。
【0115】
実験3−色移染実験
色移染実験は、本発明による及びよらない組成物に含まれる染色剤の移染挙動の試験である。各実験について、染毛剤を含む第一の組成物を選択し、第一の染毛剤とは異なる第二の染毛剤を含む第二の組成物を選択する。試験のための境界層を得るために、2つの組成物を混合直後に顕微鏡スライドに適用する。所望の発色時間後、巨視的レンズ器具を有するデジタルカメラシステムを使用することにより、2つの塊の境界層を可視化する。照明による光沢を防ぐために、冷光源を有する積分球を用いる。適切な色チャネル(R、G、B)において関心領域(ROI)を画像捕捉した後、周囲の境界層を計算のために画定する。定量的分析のために、ROIの画定された厚さを有する層に対して垂直なラインプロファイルを画像解析ソフトで得、これは色移染挙動を計算又は可視化するために使用することができる。ラインプロファイルは、全長にわたって各ピクセルについての強度値を検出し、それゆえに、「層領域」における勾配の分析は、色移染についての情報を与える:各色の平均値の間の勾配が急峻であればあるほど、第一の組成物から第二の組成物への色移染は少ない。色移染実験の定性的結果を
図1〜11に示す。
【0116】
実験3からの結論としては、固体バリア手段が第一の態様の方法に関して必要とされないことが挙げられる。
図1〜7と
図8〜11の比較。本発明に記載の増粘剤は、2つの組成物の間に明らかな境界面が観察できるという効果を有し、これは移染をほとんど又は全く有さないことに相関し得る。
【0117】
実験4−人形頭部についてのスタイリストの評価
本発明による4つの組成物を提供する。色調合物は、色調合物E、B、G及びDである。4つの組成物はすべて、発色調合物IIIと増粘調合物5を混合することにより、得る。すべての色調合物は、酸化染料化合物を含む。色調合物:発色調合物:増粘調合物の混合比は、10:10:1である。人形頭部でクリスクロスヘアスタイルを作製する。各人形頭部の一方の片側で、色調合物E(強い赤)と発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む組成物、及び、色調合物B(ニュートラルダークブラウン)と発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む組成物を使用して、クリスクロスヘアスタイルを作製する。他方の片側で、色調合物G(ゴールドブロンド)と発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む組成物、及び、色調合物D(ライトブラウン)と発色調合物IIIと増粘調合物5とを含む組成物を使用して、クリスクロスヘアスタイルを作製する。合計で3つの人形頭部を用い、各人形頭部を異なるスタイリスト(すなわち、合計で3名のスタイリスト)が処置する。人形頭部を処置するスタイリストは、以下の基準に対して、適用及び発色時間中の彼らの経験を評価する。
【0118】
【表6】
【0119】
加えて、組成物を洗浄し、毛髪を乾燥させた後、毛髪染色の結果を、各人形頭部のそれぞれの片側について合計で11名のスタイリストが評価する。10名のスタイリストのうちの1名(1 of the 10 stylists)は、人形頭部の染色の実行者である。残りの10名のスタイリストは、予備知識を与えられずに審査する人(blind assessors)である。各スタイリストは、人形頭部の結果に下表に基づいた評価を下す。
【0120】
【表7】
【0121】
実験4の結果を下表に示す。
【0122】
【表8】
【0123】
実験4からの結論:スタイリストは、本発明による組成物の効果を全体に一貫して良好〜優れていると評価した。
【0124】
実験5−生体モデルについてのスタイリスト評価
本発明による組成物を準備する、本明細書に記載の組成物を本物の頭髪に適用する。組成物を様々に作製するのに利用される色調合物(染毛剤を含む)は、作製されるヘアスタイルに依存し、色調合物に好適な発色調合物を選択する。非常に様々な染毛剤を選択する。選択される増粘剤は、増粘調合物5である(実施例の項を参照されたい)。1つのブレンディングヘアスタイル、6つのターバンヘアスタイル及び1つのペインティング(painting)ヘアスタイルをスタイリストにより作製する。毛髪から組成物をすすぎ落とし、毛髪を乾燥させた後、スタイリストは、下記の5ポイントの尺度により色結果を評価する。
【0125】
【表9】
【0126】
【表10】
【0127】
実験5からの結論としては、本明細書に記載の方法により作製されたヘアスタイルについて、及び、本明細書に記載の方法から得られる毛髪効果についての両方に、優れた結果が得られた。
【0128】
実験6−アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマーの減量についての比較
実験6(i)は、比較組成物ガンマの、上記実験1の方法に従って行ったレオロジー測定に関する。実験6(ii)は、比較組成物ガンマの、上記実験2に従って行った長期持続保持評価の測定に関する。比較組成物ガンマ(γ)は、配合物アルファ(α)と配合物ベータ(β)を1:1の比で共に混合することにより、作製される。
【0129】
【表11】
注:
1=オレイン酸。
2=ポリソルベート81。
3=ソルビタンオレエート。
4=PEG−40ソルビタンラノレート。
5=レシチン。
6=エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム。
7=亜硫酸ナトリウム。
8=アンモニア(25%水溶液)。
9=酸化染料化合物。
10=過酸化水素、35%水溶液。
11=30%の活性物質(=アクリレート/セテス−20イタコネートコポリマー)を含む(AkzoNobel製)。
【0130】
組成物ベータ中の増粘活性剤の量は1%であり、組成物ガンマ中の増粘活性剤の量はそれゆえに0.5%である。
【0131】
レオロジー実験(実験6[i])の結果を
図31及び32に示す。これらの実験から、組成物ガンマ[γ]と組成物[h]及び[c]のレオロジー挙動において有意な違いが存在すると結論付けることができる。それゆえに、組成物ガンマ[γ]は、23℃における0.6rad/sの角周波数での周波数掃引により測定すると、貯蔵弾性率が3000Paよりもはるかに下になるので、第二の態様による組成物の範囲内に収まらない。
【0132】
保持評価(実験6[ii])の結果を下記に示す。各保持値は、各組成物について5本の毛髪束を利用したので、5回の繰り返しの平均である。
【0133】
【表12】
*=実験1で試験された組成物を参照されたい。
【0134】
これらのデータの統計的有意性を分析した。一元配置分散分析法(one-way ANOVA)を用いると、[c]と[γ]の違い及び[h]と[γ]の違いが有意であることが分かった。[a]と[γ]については、違いが有意であることが分かった。[f]と[γ]については、違いが有意でないことが分かった。それゆえに、比較組成物[γ]がより高濃度の増粘活性剤を含む組成物よりも有意に低い保持をもたらすと結論付けることができる。
【0135】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らないかぎり、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものである。