【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明に係る二次電池は、陽極/分離膜/陰極構造のゼリーロールが円筒形電池ケースに装着されている構造の二次電池であって、前記ゼリーロールの上端に搭載される板状構造の絶縁部材は、ガス排出及び電極端子の貫通のために絶縁部材上に穿孔されている開口と、電解液は通過するが、100μmサイズ以上の異物は通過できない各微細気孔とを含む構造となっている。
【0016】
したがって、本発明に係る二次電池は、電解液の注入時に100μmサイズ以上の各異物がゼリーロール内に流入するおそれがないので、これら各異物を選別して除去する工程を省略することができ、製造工程性を大いに向上させ、各異物の流入によるショート発生のおそれがないので、安全性が向上するという効果を有する。
【0017】
また、各微細気孔を介して電解液が注液される結果、注液経路が分散されるので注液時間を減少させることができ、結果的に注液性が向上する。
【0018】
前記微細気孔は、絶縁部材の本然の機能である電気的絶縁状態を提供しながら、電解液の注入時に電解液に対する高い透過率を有し、100μmサイズ以上の各異物の透過を防止するために1μmないし100μmの範囲で形成されていることが望ましい。
【0019】
前記各微細気孔の位置、相互間の間隔は、異物の流入防止、電解液の注液性及びガス排出性を阻害しない範囲内で非制限的である。
【0020】
一つの具体的な例において、前記各微細気孔は、100μmサイズ以上の各異物の流入を防止し、電解液の注液性及びガス排出性を向上させるために互いに同一の間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている構造であり得る。ここで、前記間隔は、各微細気孔間の間隔を意味し、互いに同一の間隔は、例えば、10μmないし100μmのサイズであり得る。
【0021】
前記のように絶縁部材の全面にわたって形成されている各微細気孔に電解液が注液される場合は、注液経路がさらに分散され得るので、注液性が向上する結果、注液時間を減少させることができ、各微細気孔の相互間の各間隔が同一である場合は、注液速度が一定になり、電解液がゼリーロールを均一に含浸させ得るので、結果的に電池特性が向上するという効果がある。
【0022】
また、互いに同一の間隔で絶縁部材の全面にわたって形成されている各微細気孔は、例えば、電解液の分解によって発生したガスの排出経路になり、ガスの拡散性を考慮すると、分散された排出経路を介して排出される場合に排気速度が向上し得る。
【0023】
前記各微細気孔は、上下方向に均一な直径を有する貫通口形状からなるものであるか、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状からなるものである。前記貫通口形状及び連通口形状は、絶縁部材内での電解液及びガスの移動経路と関連している。
【0024】
具体的に、均一な直径を有する貫通口形状は2次元の移動経路を形成させる一方、不均一な直径を有する連通口形状は3次元の移動経路を形成させる。電解液の均一な注入とガスの拡散性の面で、前記各微細気孔は、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状であることがさらに望ましい。
【0025】
前記絶縁部材は、絶縁性素材であれば特別に制限されなく、多様な素材からなり得るので、電気絶縁性高分子樹脂又は電気絶縁性高分子複合体からなり得る。具体的に、前記高分子樹脂は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、天然ゴム及び合成ゴムからなる群より選ばれる一つ以上であり得る。
【0026】
本発明に係る絶縁部材は多様な形態であり得る。
【0027】
一つの望ましい例において、絶縁部材は、高分子樹脂又は高分子複合体の成形体からなっており、前記成形体を貫通して各微細気孔が穿孔されている構造であり得る。このとき、前記各微細気孔は、上下方向に均一な直径を有する貫通口形状からなり得る。
【0028】
他の望ましい例において、絶縁部材は、素材自体の特性又はシートの形態的特性によって電解液が容易に浸透されるように、多孔性の織布又は不織布構造であり得る。このとき、各微細気孔は、上下方向に不均一な直径を有する連通口形状からなり得る。しかし、多孔性織布構造において、各微細気孔が上下方向に均一な直径を有する貫通口形状をなし得ることも当然である。
【0029】
一般に、円筒形二次電池の製造工程中に、前記絶縁部材は、所定の押出シートを円筒形電池ケース内に挿入できる形状及びサイズに裁断されるが、織布又は不織布構造の絶縁部材シートは、押出シートでもたらされる反り現象が起きないので、製造工程性を向上させるという効果も有する。このような側面で、織布又は不織布構造の絶縁部材がさらに望ましい。
【0030】
具体的に、前記絶縁部材は、高分子樹脂又は高分子複合体の各長繊維が各微細気孔を形成しながら織布形態をなし得る。
【0031】
また、前記絶縁部材は、高分子樹脂又は高分子複合体の各短繊維が各微細気孔を形成しながら不織布形態をなし、前記各短繊維がニードルパンチング、熱融着又は接着剤によって部分的に結合されることによって前記不織布形態をなし得る。
【0032】
一つの具体的な例において、前記絶縁部材は、各短繊維の不織布形態からなっており、絶縁部材の全面に等間隔で熱融着による各結合部位が分布されており、前記各結合部位間に絶縁部材の機械的剛性を向上させる熱融着されていない隔壁形状の各突起部が位置しているものであり得る。
【0033】
前記絶縁部材の厚さは0.1mmないし0.5mmのサイズを有することが望ましい。前記絶縁部材の厚さが過度に薄い場合は、絶縁部材の本然の電気的絶縁機能を十分に発揮しにくく、その一方、前記絶縁部材が過度に厚い場合は、同一規格の電池ケースでゼリーロールのサイズ減少を誘発し、電池容量が減少するので望ましくない。
【0034】
本発明に係る二次電池は、前記ゼリーロールにリチウム含有電解液を含浸させて製造されるリチウム二次電池に望ましく適用することができる。
【0035】
一般に、リチウム二次電池は、陽極、陰極、分離膜、リチウム塩含有非水電解液などで構成されている。
【0036】
前記陽極は、陽極活物質と選択的に導電剤、バインダー、充填剤などを含む陽極合剤をNMPなどの溶媒に混合して作られたスラリーを陽極集電体上に塗布した後、これを乾燥及び圧延することによって製造することができる。
【0037】
前記陽極活物質としては、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や1又はそれ以上の転移金属に置換された化合物;化学式Li
1+yMn
2−yO
4(ここで、yは、0〜0.33である。)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−yM
yO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B又はGaで、y=0.01〜0.3である。)で表現されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−yM
yO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn又はTaで、y=0.01〜0.1である。)又はLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、Cu又はZnである。)で表現されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンに置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などを挙げることができるが、これらのみに限定されることはない。
【0038】
前記陽極集電体は、一般に3μmないし500μmの厚さで作られる。このような陽極集電体としては、当該電池に化学的変化を誘発しないとともに、導電性を有するものであれば特別に制限されなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、又はアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成することによって陽極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で形成可能である。
【0039】
前記導電剤は、通常、陽極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして1重量%ないし30重量%で添加される。このような導電剤としては、当該電池に化学的変化を誘発しないとともに、導電性を有するものであれば特別に制限されなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。
【0040】
前記バインダーは、活物質と導電剤などの結合と集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、陽極活物質を含む混合物の全体重量を基準にして1重量%ないし30重量%で添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―プロピレン―ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合剤などを挙げることができる。
【0041】
前記充填剤は、陽極の膨張を抑制する成分として選択的に使用されており、当該電池に化学的変化を誘発しないとともに、繊維状材料であれば特別に制限されなく、前記充填剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が使用される。
【0042】
前記分離膜は、陽極と陰極との間に介在し、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄い薄膜が使用される。分離膜の気孔直径は、一般に0.01μmないし10μmであって、厚さは一般に5μmないし300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維又はポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合は、固体電解質が分離膜としての役割を兼ねることもできる。
【0043】
前記陰極は、例えば、陰極集電体上に陰極活物質を含んでいる陰極合剤を塗布した後、これを乾燥することによって製造され、前記陰極合剤には、必要に応じて、上述したような各成分を含ませることができる。
【0044】
前記陰極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;Li
xFe
2O
3
、Li
xWO
2
、Sn
xMe
1−xMe’
yO
z(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期律表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;
)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;錫系合金;SnO、SnO
2、PbO、PbO
2、Pb
2O
3、Pb
3O
4、Sb
2O
3、Sb
2O
4、Sb
2O
5、GeO、GeO
2、Bi
2O
3、Bi
2O
4、Bi
2O
5などの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li―Co―Ni系材料などを使用することができる。
【0045】
前記陰極集電体は、一般に3μmないし500μmの厚さで作る。このような陰極集電体としては、当該電池に化学的変化を誘発しないとともに、高い導電性を有するものであれば特別に制限されなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム―カドミウム合金などを使用することができる。また、陽極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成することによって陰極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用することができる。
【0046】
一方、前記電解液は、電解液とリチウム塩からなっているリチウム塩含有非水系電解液であることが望ましい。前記電解液としては、非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0047】
前記非水系有機溶媒としては、例えば、N―メチル―2―ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ガンマ―ブチロラクトン、1,2―ジメトキシエタン、テトラヒドロキシフラン(franc)、2―メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3―ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3―ジメチル―2―イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。
【0048】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合剤などを使用することができる。
【0049】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N―LiI―LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4―LiI―LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4―LiI―LiOH、Li
3PO
4―Li
2S―SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを使用することができる。
【0050】
前記リチウム塩は、前記非水係電解質に溶解されやすい物質であって、前記リチウム塩としては、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドなどを使用することができる。
【0051】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善の目的で、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n―グリム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N―置換オキサゾリジノン、N,N―置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2―メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどを添加することもできる。場合に応じては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(Fluoro―Ethylene carbonate)、PRS(Propene sultone)、FPC(Fluoro―Propylene carbonate)などをさらに含ませることができる。
【0052】
また、本発明は、前記二次電池を電源として含むデバイスを提供し、本発明に係るデバイスは、携帯電話、携帯用コンピューターなどのモバイル機器のみならず、優れた寿命特性と安全性などを考慮すると、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車及び電力貯蔵装置などに望ましく使用することができる。
【0053】
このようなリチウム二次電池、これを単位電池として含む中大型電池モジュール及びデバイスの構造と製造方法は当業界に公知となっているので、それについての詳細な説明を本明細書では省略する。