(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
喫煙時、上述の喫煙物品が内部に水又は香料を含んだ水溶液等の液体を含んでいれば、喫煙物品における主流煙の風味及び味覚の改善や、主流煙に香料の香り付けが可能となる。この場合、上述の液体は一般的にカプセル内に封入され、このカプセルの形態で喫煙物品内に含まれている。
ユーザは喫煙に先立ち、喫煙物品の外側からカプセルに外力を加えることで、カプセルを破壊する。このようなカプセルの破壊はカプセルから喫煙物品内に液体を噴出させ、これにより、噴出された液体が喫煙物品内に含まれることになる。
【0003】
カプセルが円筒形状をなし、2つの端壁を有している場合、例えば、カプセルの一方の端壁は易破壊性を有する(特許文献1の
図2参照)。この易破壊性は、一方の端壁に形成された複数の溝によって提供され、これら溝は例えば一方の端壁の中央から放射状に延びている。カプセルに外力が加えられたとき、溝の幾つかはそれらの底にて破断し、液体は溝の破断箇所から喫煙物品内に噴出される。
【0004】
また、2つカプセル半体から形成されたカプセルも知られており、これらカプセル半体は環状シールを介して互いに接続されている(特許文献2の
図4C参照)。このようなカプセルに外力が加えられたとき、このカプセルは環状シールにて破断し、環状シールの破断箇所から液体を喫煙物品内に噴出する。
【0005】
更に、カプセルを備えた冷却ユニットが知られている(特許文献3の
図3参照)。この冷却ユニットのカプセルは内部に封入された冷却液と、中空且つ脆弱な突起とを有する。このようなカプセルに外力が加えられたとき、カプセルの突起が破裂し、冷却液は突起の破壊箇所から喫煙物品内に噴出され、喫煙物品の残り火を消火する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すれば、喫煙物品として、本発明に係るフィルタシガレット10の基本構造が示されている。このフィルタシガレット10は、シガレット12と、このシガレット12の一端にチップペーパ14の巻付けを介して接続された複合フィルタ16とを含み、この複合フィルタ16は円筒形状をなしている。
【0017】
複合フィルタ16は2つのフィルタ要素18,20を更に有する。これらフィルタ要素18,19は円筒形状をなし、シガレット12の軸線方向に互いに離間している。フィルタ要素18,20は例えばアセテート繊維や紙等のフィルタ材料の束と、この束を包み込む巻取紙とから形成されている。シガレット12側に位置したフィルタ要素18はフィルタ材料の束内に活性炭又は香料等の粒子を含むことができる。
【0018】
複合フィルタ16は本発明の液体を封入したカプセル22を更に有し、このカプセル22は略円筒形状をなし、フィルタ要素18,20間に配置されている。それ故、カプセル22はフィルタ要素18に隣接した先端と、フィルタ要素20に隣接した後端とを有する。これらカプセル22及びフィルタ要素18,20は成形紙(図示しない)に包み込まれることで、複合フィルタ16を形成する。
【0019】
上述したフィルタシガレット10の喫煙に先立ち又はパフ間にて、ユーザはチップペーパ14を介してカプセル22に外力Fを加えることで、カプセル22を破壊することができる。例えば、カプセル22はフィルタ要素18側の先端にて破壊される。このようなカプセル22の破壊は、カプセル22内の液体をカプセル22の破壊位置からフィルタ要素18に向けて噴出させ、噴出した液体はフィルタ要素18内に染み込む。
【0020】
カプセル22内の液体が水である場合、シガレット12の主流煙がフィルタ要素18を通過する際、主流煙に含まれる水溶性成分はフィルタ要素18内に染み込んだ水に溶解され、主流煙中における水溶性成分の含有量が減少する。この結果、主流煙の風味や味覚が変化し、ユーザは変化した風味や味覚を味わうことができる。
一方、液体に香料が含まれていれば、主流煙に香料の香り付けがなされ、ユーザは主流煙の風味や味覚に加えて、香料の香りをも味わうことができる。
【0021】
更に付け加えれば、カプセル22はフィルタ要素20側の後端にて破断されてもよい。この場合、カプセル22が破断されたとき、カプセル22内の液体(水)はフィルタ要素20内に染み込むことになる。このようにフィルタ要素20内に液体(水)が染み込んでも、前述の利点が同様に得られることは言うまでもない。
【0022】
上述したカプセル22には種々の形態が考えられ、カプセル22の具体的な実施例について以下に説明する。
図2〜
図4は第1実施例E1のカプセル22aを示す。
カプセル22aはカプセル本体24を含み、このカプセル本体24は略カップ形状をなし、弾性変形可能である。それ故、カプセル本体24は、カプセル22aの先端を形成する端壁26及び開口端28をそれぞれ有する。
【0023】
カプセル本体24が複合フィルタ16内に配置可能なサイズを有することは言うまでもない。例えば、カプセル本体24の長さは、フィルタ要素18,20間に確保されたキャビティ19の長さよりも1〜3mm程度短いのが好ましい。また、カプセル本体24の直径は、フィルタ要素18,20、即ち、キャビティ19の直径よりも0.5〜2mm程度短いのが好ましい。
【0024】
なお、カプセル本体24は必ずしも円形の横断面に限らず、楕円形状の横断面を有することができる。この場合には、カプセル本体24の最大直径がキャビティ19の直径よりも0.5〜2mm程度短くされる。
より具体的には、シガレット12の直径が8mmである場合、カプセル本体24の最大外径は例えば6mm程度である。
【0025】
カプセル本体24、即ち、カプセル22aが上述のサイズを有していれば、複合フィルタ16の製造、即ち、フィルタ要素18,20内へのカプセル22aの配置が容易になるばかりでなく、ユーザによる複合フィルタ16内のカプセル22aの認知が容易となり、更には、キャビティ19内でのカプセル22aの位置及び姿勢が安定する。
【0026】
なお、カプセル本体24は合成樹脂で射出成形でき、ここでの合成樹脂には例えば低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社性のノバテックLD)を使用することができる。
カプセル本体24は周壁30を更に有する。この周壁30の外径、内径及び厚さは開口端28から端壁26に向けて僅かであるが徐々に減少されている。厳密に言えば、周壁30はテーパ形状をなしている。
【0027】
図2から明らかなように端壁26は凹壁の形態を有する。例えば、第1実施例E1の場合、端壁26は、環状の外周部32と、この外周部32よりもカプセル本体24内に凹んだ中央部34とを有する。
図3から明らかなように、外周部32は周壁30の延長部を形成し、中央部34からカプセル本体24の軸線方向に例えば0.8mm程度突出している。ここで、外周部32の厚さが外周部32に隣接する周壁30の先端の厚さよりも厚いことに留意すべきである。
【0028】
中央部34は平坦な壁ではなく、カプセル本体24の外側からみて、偏平な雌型の円錐形状を有する。それ故、中央部34の中心は中央部34の外周よりもカプセル本体24内に僅かに凹んでいる。
中央部34の内面には複数のV字溝36が薄肉域として形成されている。これらV字溝36は中央部34の中心の回りに放射状に配置され、カプセル本体24の周方向に一様に分布されている。各V字溝36は中央部34の中心から外周部32まで延びている。なお、
図3中、V字溝36は1個のみが示されている。
【0029】
各V字溝36のV字角は例えば90°であり、各V字溝36の底の厚みTvは、端壁26及び周壁30の最小厚さよりも薄く、例えば0.12mmである。更に付け加えれば、中央部34の厚さは例えば、前述した外周部32の厚さと同一、例えば0.3mmである。
カプセル本体24の開口端28はその外周にフランジ38を有し、このフランジ38の厚み及び外径は例えば0.3mm、6.4mmである。
【0030】
図3に示されるように開口端28はシール部材40によって液密に閉塞されている。このシール部材40は前述したカプセル22aの後端を形成する。例えば、シール部材40は可撓性を有したシートによって形成され、開口端28のフランジ38に接着されている。このようにシール部材40が可撓性を有していれば、シール部材40がカプセル本体24の弾性変形を阻害することはない。
【0031】
より具体的には、シール部材40はポリアミド/低密度ポリエチレンラミネートシート(タマポリ株式会社製、NY #15 /DL /LC-21,50μm)によって形成可能である。この場合、シール部材40はフランジ38にヒートシールされている。このようにシール部材40がフランジ38にてヒートシールされていれば、開口端28とシール部材40との間のヒートシール面積が広く確保され、シール部材40のシール強度は増大する。
【0032】
更に、カプセル本体24は複数のリブ42を有し、これらリブ42はカプセル本体24の外周面に一体に形成されている。例えば、リブ42は端壁26における外周部32の先端からフランジ38までカプセル本体24の軸線方向に沿って延び、且つ、カプセル本体24の周方向に等間隔を存して配置されている。付け加えれば、リブ42の厚みは例えば0.3mm程度である。
リブ42の幅はカプセル本体24の軸線方向に沿って一定ではなく、
図4から明らかなように、フランジ38から外周部32の先端に向けて徐々に減少されている。それ故、カプセル本体24の径方向の剛性は、フランジ38から端壁26に向かうに連れて減少する。
【0033】
上述したカプセル本体24及びシール部材40はカプセル22aを形成する。このようなカプセル22aはその内部に液体を封入することができる。例えば、封入される液体としては蒸留水、この蒸留水に香料等の添加剤を溶解した水溶液等が考えられる。
例えば、カプセル22aは130mgの液体を収容している。カプセル22aが複合フィルタ16内に配置される場合、
図1に係る前述の説明から明らかなように、カプセル22aは端壁26をシガレット12側のフィルタ要素18に向けて、フィルタ要素18,20間のキャビティ19内に配置される。
【0034】
カプセル22aを備えたフィルタシガレット10によれば、ユーザは喫煙に先立ち又はパフ間にて、チップペーパ14を介して複合フィルタ16のカプセル22aを指間に挟み込むことで、
図1に示す外力Fをカプセル22aの直径方向両側からカプセル22aに加えることができる。
このような外力Fはカプセル本体24を弾性変形させながら押し潰し、カプセル22aの内圧を上昇させる。
【0035】
前述したようにカプセル本体24の端壁26は外周部32を備え、この外周部32は中央部34を囲み且つ中央部34から突出している。それ故、端壁26は外周部32を備えていない平坦な端壁に比べて、高い剛性を有する。それ故、外力Fが端壁26に伝達されたとき、端壁26は
図5に示されるように楕円形に弾性変形される。
【0036】
ここでの弾性変形は、
図5中の矢印Tで示されるように端壁26の中央部34に引っ張り力を加える。このような引っ張り力Tは楕円形に変形した端壁26の長軸に沿って端壁26に働き、前記長軸に沿う特定のV字溝36の底(線状部位)をそのV字溝36の溝方向に沿って伸ばす。この結果、特定のV字溝36における底の厚みは特に、中央部34の中心位置にて大きく減少する。
【0037】
このようにして特定のV字溝36における底の厚みが減少する一方、前述したように、上昇したカプセル22aの内圧が端壁26に加われば、特定のV字溝36の底は中央部34の中心位置にて正確且つ容易に破断し、カプセル22a内の液体はV字溝36の破断箇所からフィルタ要素18の中央に向けて噴出する。即ち、カプセル22aの易破壊性が改善される一方、端壁26の破断位置を特定することができる。
【0038】
前述したように中央部34は外周部32よりも凹んでいる一方、扁平な雌型の円錐形状に形成され、しかも、V字溝36は中央部34の内面に形成されている。それ故、端壁26が楕円形に変形されれば、中央部34はカプセル本体24内に向けて更に凹むように変形する。このような中央部34の変形は、特定のV字溝36の溝幅を大きく広げることになり、特定のV字溝36の破断を促進し、カプセル22aの易破壊性を更に改善する。
【0039】
V字溝36の破断後、ユーザがカプセル22aを更に押し潰せば、カプセル22a内の液体はV字溝36の破断箇所からフィルタ要素18に向けて噴出し続ける。それ故、噴出した液体はフィルタ要素18の中央に染み込まれ、
図1に示されるように、フィルタ要素18内に液体の染み込み域LAが形成される。このような染み込み域LAはフィルタ要素18内の中央部分に留まり、カプセル22aから噴出された液体が複合フィルタ16の成形紙やチップペーパを濡らすことはない。
【0040】
この点に関して詳述すれば、特定のV字溝36がその底にて破断し、破断箇所から液体が一旦噴出されると、カプセル22a内の内圧は急減に減少する。それ故、この後、破断個所が拡大することはなく、液体は破断箇所、即ち、端壁26における中央部34の中央からフィルタ要素18内の中央部分に向けてのみ噴出される。
一方、上述した内圧の急激な低下はユーザの指を通じてユーザに感知され、ユーザはカプセル22aの破壊、即ち、液体の噴出を確認することができる。
【0041】
フィルタ要素18内に液体が染み込んでいれば、前述したよう主流煙がフィルタ要素18内を通過する際、主流煙に含まれる水溶性成分はフィルタ要素18内の液体、即ち、蒸溜水に溶解される。この結果、ユーザが実際に吸い込む主流煙中の水溶性成分が減少されるので、主流煙の風味や味覚が変化する。
一方、液体に香料が含まれていれば、主流煙に香料の香り付けがなされ、ユーザは香味の香りもまた同時に味わうことができる。
【0042】
更に、第1実施例E1の場合、カプセル本体24の周壁30は前述したような複数のリブ42を有しているので、周壁30の剛性は全体的に比較的高いものの、周壁30の剛性はフランジ38から端壁26の外周部32に向かうに連れて減少する。
それ故、
図6に示されるようにカプセル本体24に外力Fが加えられも、カプセル本体24の周壁30が局所的に凹むことはなく、外力Fは扁平な円錐形状の端壁26に効率良く伝達される。この結果、前述したように端壁26は楕円形に確実に変形され、薄肉域としての特定のV字溝36は小さな外力Fにて容易に破断される。
【0043】
図7及び
図8は、比較例のカプセル23の端壁26c及びカプセル23の側面図をそれぞれ示す。この場合、端壁26cは平坦であり、カプセル23のカプセル本体24に前述したようなリブ42は備えられていない。
カプセル23に外力Fが加えられることで、カプセル23の内圧が上昇されたとき、端壁26cは
図7及び
図8に示されるようにカプセル23の外に向けて一様に膨出し、楕円形に変形されることはない。
【0044】
それ故、破断されるべきV字溝36が特定されることはなく、また、何れかのV字溝36が破断されたとしても、ここでの破断は容易ではない。
更に、カプセル23にリブ42が備えられていなければ、
図8に示されるように周壁30は外力Fにより局所的に大きく変形されてしまい、外力Fは端壁26cに効果的に伝達されず、V字溝36の破断は困難になる。
【0045】
本発明は上述した第1実施例E1のカプセル22aに制約されるものではない。
それ故、他の実施例のカプセル22に関して、以下に順次説明する。
なお、他の実施例を説明するにあたり、既に説明した実施例と同一の機能を発揮する部材及び部位には同一の参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0046】
図9〜
図11は第2実施例E2のカプセル22bを示す。
カプセル22bは、カプセル本体24における周壁30及び端壁26の構造に関し、第1実施例E1のカプセル22aと以下の点にて相違する。
先ず、カプセル22bの周壁30は前述したリブ42を備えていない。
一方、カプセル22bの端壁26もまた全体的にみて凹壁に形成されている。しかしながら、カプセル22bの場合、端壁26の円形の外周部32は、カプセル本体24の径方向内側に向けて延出している。更に、端壁26の中央部34は半球状部44に形成され、この半球状部44はカプセル本体24内に向け凹んでいる。
【0047】
更に、半球状部44の中央は円形の薄肉域46として形成され、この薄肉域46はカプセル本体24の端壁26及び周壁30の厚さよも薄い厚さを有する。例えば、薄肉域46の厚さTcは例えば、前述のV字溝36の底の厚さTvと同一である。
半球状部44は、外周部32と薄肉域46との間に薄肉域46を囲む環状部分47を含む。この環状部分47は、薄肉域46から外周部32に近づくにつれて徐々に増加された厚さを有し、外周部32における内側の角に接続されている。
【0048】
図10から明らかなように、外周部32の厚さは環状部分47における外周の厚さよりも厚い。一方、周壁30の厚さはカプセル本体24の軸線方向に沿って一定であり、且つ、実施例E1のカプセル22aにおける周壁30の最大の厚さよりも厚い。
上述した実施例E2のカプセル22bの場合でも、カプセル本体24に外力Fが加えられたとき、カプセル本体24の端壁26は楕円形に弾性変形される。それ故、楕円形状に変形された端壁26の長軸に沿う薄肉域46の特定の線状部位は特に大きく引っ張られ、この結果、特定の線状部位にて端壁26は破断する。
【0049】
図12及び
図13は第3実施例E3のカプセル22cを示し、
図14及び
図15は第4実施例E4のカプセル22dを示す。
第3及び第4実施例E3,E4のカプセル22c,22dは、第1及び第2実施例E1,E2のカプセル22a,22bにそれぞれ類似する。しかしながら、カプセル22c,22dは棒状の突起48をそれぞれ更に備えている点にて、カプセル22a,22bとは相違する。
【0050】
詳しくは、第3実施例E3のカプセル22cの場合、突起48は端壁26における中央部34の中心からカプセル本体24の外側に向けて突出している。一方、第4実施例E4のカプセル22dの場合、突起48は半球状部44の中央、つまり、薄肉域46からカプセル本体24の外側に向けて突出している。
第3及び第4実施例E3,E4の何れの場合でも、
図13及び
図15から明らかなように、突起48の先端面と端壁26(外周部32)の外端面とは同一の仮想面上に位置付けられている。なお、突起48の直径及び長さは例えば、0.4〜0.5mm程度である。
【0051】
上述した突起48は、V字溝36又は薄肉域46が破断される際、破断位置を決定するうえで役立つ。詳しくは、カプセル本体24に外力Fが加えられ、特定のV字溝36又は薄肉域46における特定の線状部位が引っ張られるとき、引っ張り応力は突起48の根元に集中する。この結果、突起48は破断の切掛けとなり、破断位置を決定する。また、突起48は端壁26からカプセル22の外側に突出していないので、突起48に不所望な衝撃が加わり難く、また、このような衝撃に起因して、端壁26が突起48の根元から不所望に破断する可能性も低い。
【0052】
図14は、第1〜第4実施例E1〜E4のカプセル22a〜22dに外力Fが加えられ、これらカプセル22a〜22dがV字溝36又は薄肉域46にて破断した時点でのカプセル22a〜22dの破断荷重の平均値をそれぞれ測定した結果を示す。また、
図14は、比較例C及び参考例Rのカプセルに係る破断荷重の平均値の測定結果を併せて示す。
【0053】
破断荷重を測定するにあたり、各カプセルには容積の94%を占める液体(蒸留水)が充填され、破断荷重の測定にはクリープメータ(株式会社山電製、RHEONER II(商品名))が使用された。
図14の測定結果について言及する前に、比較例C及び参考例Rのカプセルについて簡単に説明する。
【0054】
比較例Cのカプセルは前述した特許文献1のカプセルに相当し、参考例Rのカプセルは市販のフィルタシガレットに組み込まれているシームレスカプセルに相当する。
図14から明らかなように、第1〜第4実施例E1〜E4のカプセル22a〜22dの破断荷重は比較例Cのカプセルの破断荷重よりも大幅に小さく、また、参考例Rのカプセルの破断荷重に近似している。従って、第1〜第4実施例E1〜E4のカプセル22a〜22dは比較例Cのカプセルよりも容易に破断することが分かる。
【0055】
また、同一タイプである第1及び第3実施例のカプセル22a,22cを対比したとき、カプセル22cの破断荷重はカプセル22aの破断荷重よりも小さい。また、同様に同一タイプである第2及び第4実施例のカプセル22b,22dを対比したとき、カプセル22dの破断荷重はカプセル22bの破断荷重よりも小さい。
このことは、前述した突起48が端壁26での破断位置を決定するのみならず、カプセル22c,22dの破断を更に容易にすることを明瞭に示す。
【0056】
最後に、本発明は前述した第1〜第4実施例E1〜E4にも制約を受けるものではない。
例えば、前述の実施例のカプセル本体24や閉鎖壁としてのシール部材40は何れも低密度ポリエチレンによって形成されている。しかしながら、本発明のカプセル本体及び閉鎖壁は低密度ポリエチレン以外の合成樹脂によっても形成でき、更には合成樹脂以外の他の材料によっても形成可能である。
【0057】
例えば、第1実施例E1のカプセル本体24は端壁26に向けて先細のテーパ形状をなした周壁30を有する。しかしながら、本発明の場合、カプセル本体はストレートな円筒形状、又は、逆向きのテーパ形状をなした周壁を有することも可能である。
また、本発明のカプセル本体の端壁は、前述した第1〜第4実施例の端壁26とは異なる形態の凹壁であってもよい。例えば、第1及び第3実施例E1,E3の場合、端壁26は平坦な中央部34を有していてもよい。
【0058】
更に、第2及び第4実施例の場合、半球状部44の全域が薄肉域として形成されていてもよいし、第1及び第2実施例の場合、薄肉域はV字形以外の形状を有した溝として形成されていてもよい。更に、これら溝の配置も放射状に限られるものではない。
薄肉域での厚さはカプセル本体の端壁や周壁の厚さよりも薄いことを前提として、0.1mm以上且つ0.2mm未満であるのが好ましい。更に好ましくは、薄肉域の厚さは0.12mm以上且つ0.17mm未満である。
【0059】
例えば、第1及び第3実施例E1,E3のカプセル本体24はその外周面に複数のリブ42を有する。しかしながら、これらリブ42はカプセル本体24の内周面に設けられていてもよいし、また、このようなリブ42は第2及び第4実施例E2,E4におけるカプセル本体24の外周面又は内周面にも同様に適用可能である。
【0060】
要は、本発明のカプセルは、カプセル本体、このカプセル本体の凹状の端壁、この端壁に形成された薄肉域及びカプセル本体の開口端を閉じる閉鎖壁とを含む基本構造を備えていれば、各実施例のカプセルが有する他の構成要素(形状や配置等をも含む)は他の実施例に任意に組合せて適用可能である。
更にまた、本発明のカプセルはフィルタシガレットへの組込みのみならず、種々の喫煙物品にも組込み可能であることは言うまでもない。