特許第5885344号(P5885344)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5885344皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885344
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20160301BHJP
   A61B 5/107 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20160301BHJP
   A61K 8/30 20060101ALI20160301BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   A61B5/00 MZDM
   A61B5/10 300Q
   A61K8/19
   A61K8/30
   A61Q1/02
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-120795(P2012-120795)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2012-245356(P2012-245356A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】1154674
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】FR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502189579
【氏名又は名称】エルブイエムエイチ レシェルシェ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ロドルフィ コリチ
(72)【発明者】
【氏名】サンドリン ステファン
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−245666(JP,A)
【文献】 特開平09−038045(JP,A)
【文献】 特開2004−321793(JP,A)
【文献】 特開2010−061689(JP,A)
【文献】 特表2011−509154(JP,A)
【文献】 特開2007−114076(JP,A)
【文献】 特表2002−501234(JP,A)
【文献】 特表2008−527350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 − 5/22
A61B 5/00 − 5/01
A61K 8/00 − 8/99
A61Q 1/00 − 90/00
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の皮膚又は外皮の色調を決定するための方法において、
a)前記皮膚又は外皮の少なくとも1つの決定されたゾーンの、各々が灰色レベルを有する複数(N個)のピクセルにより定められる少なくとも1つのデジタルカラー画像を、デジタルカメラ又はデジタル写真装置を用いて取り込み、前記少なくとも1つのデジタル画像を処理してそこに記録するデジタル画像処理装置へ前記デジタルカラー画像を送信するステップと、
b)前記記録されたデジタルカラー画像を、前記デジタル画像処理装置でもって、3つの色平面、赤平面R、緑平面G及び青平面Bへと分割するステップと、
c)前記平面R、G、Bの各々を抽出し、各平面に関して、前記N個のピクセルの各々について灰色レベル値を前記デジタル画像処理装置でもって計算して記録し、それによって、前記皮膚の色を特徴付ける灰色値に対応する、各平面についての灰色レベルを特徴付けるグラフ的灰色値、統計的灰色値、及び少なくとも1つの平均灰色値から選択された少なくとも1つの値を得るように、数学的計算手段により数学的に処理されるようなN個の灰色レベル値を与えるステップと、
d1)垂直軸が各色平面R、G及びBについての画像におけるピクセルの数又はピクセルの割合を表し、水平軸が画像のピクセルの灰色レベルの値を表し、又は、その逆であるような平面における曲線の形にて、前記デジタル画像からの各平面R、平面G及び平面Bのヒストグラムをプロットして、それにより、ヒストグラムR、ヒストグラムG及びヒストグラムBのそれぞれを得るステップと、
d2)最も離れたヒストグラムR、G、Bの、(ΔRGB)として示されるタイトネスを計算することにより、前記皮膚又は外皮を特徴付ける色を決定するステップと、
d3)光度Lとして、次の式:(IW)=tan−1(L/(ΔRGB))に従って、皮膚の白さインデックス(IW)を計算するステップとを含み、
e)前記3つの色平面R、G、Bのうちの少なくとも2つの色平面の各色平面について前記画像のN個のピクセルのうちの少なくとも幾つかから生ずる灰色レベルの値から光度Lを評価するステップと、
f)前記皮膚又は外皮の色調を、前記皮膚又は外皮の色を特徴付ける前記値及び前記光度Lの両者の組合せに基づいて特徴付けるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
観察すべき色調を表す画像ゾーンを選択するステップと、
前記ゾーンの少なくとも1つの部分に関して、前記画像の平均灰色レベル、前記灰色レベルの集合表面領域及び灰色レベル変動から選択された少なくとも1つのパラメータを計算するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3つのヒストグラムR、G、Bからの少なくとも2つのヒストグラムの重複領域、
又は、前記3つの平面R、G及びBについて単一灰色レベル値が記録されているピクセルの数、
又は、前記3つの平面について記録された灰色レベルの算術平均、及び任意的なものとしてその平均からの偏差、
又は、それらの任意の組合せ、のうちのいずれかを、前記計算手段により計算することにより、平均色の多少の彩度増大/彩度減少特徴、又は平均色の彩度を決定するステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
同じ個々人の顔の種々な皮膚ゾーンについて、前記ステップa)〜f)を繰り返す、
請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
着色しみを含む着色欠陥を示す少なくとも1つの皮膚ゾーンと、自然に着色された少なくとも1つの他のコントロール皮膚ゾーンと、を選択するステップ、
を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記皮膚の少なくとも1つのゾーンの画像取り込みを、白色光での照明の下で行うステップ、
を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デジタルカメラとして、TRI−CCDデジタルカメラが使用され、又は前記デジタル写真装置として、D70Sデジタル写真装置が使用される、請求項1〜6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記計算手段は、前記皮膚又は外皮の色調を較正するための曲線を構成するため、観察される顔又は外皮の種々なゾーンでそれぞれ得られた種々な画像に関して得られた各パラメータの平均を考慮にいれて、各人について記録され使用される顔の各全体平均パラメータを得る、請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
必要とする少なくとも一人の人に対するケア及びメーキャップに関して化粧料用組成物の化粧有効性を評価するための方法において、
請求項1〜8の何れか一項に記載の方法を実行し、
a)化粧料用組成物を使ってケア又はメーキャップする前に、皮膚又は外皮の色及び光度Lの基準パラメータとして、第1の画像である、少なくとも1つの画像から決定された皮膚又は外皮の色及び光度Lを使用するステップと、
b)所定の時間期間に亘る前記化粧料用組成物の前記皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンへの1回以上の付与を含む前記ケア又はメーキャップを行うステップと、
c)前記皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの第2のデジタル画像を、前記所定の時間期間後に取り込み、トリートメント後の色及び光度Lの現在のパラメータを、前記第2のデジタル画像に関して、前記b)で示されるようにして決定するステップと、
d)トリートメント後に得られた前記第2のデジタル画像の色及び光度Lの前記現在のパラメータを、トリートメント前の前記第1の画像の色及び光度Lの前記基準パラメータと比較するステップと、
e)前記化粧料用組成物の有効性又は非有効性を、前記色及び光度Lの基準パラメータと相当に異なる前記色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として結論付けるステップと、
を含む方法。
【請求項10】
赤平面R、緑平面G及び青平面Bの3つの平面に分割されたそれぞれのデジタル画像に関して色パラメータを決定するステップ、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記3つのヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つのヒストグラムの重複のレベルを計算することにより、平均色値を決定するステップ、
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
最も離れた前記ヒストグラムR、G、Bの(ΔRGB)として示されるタイトネスを計算することにより、前記化粧料用組成物の有効性を決定するステップ、
を含む、請求項9〜11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
同じ人の種々な皮膚ゾーンに関して前記方法を繰り返す、請求項9〜12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
着色しみを含む着色欠陥を示す皮膚又は外皮の少なくとも1つのゾーン及び自然に着色された少なくとも1つの他のコントロール皮膚ゾーンを選択するステップ、
を含む、請求項9〜13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンに対してホワイトニングケアを行うステップと、
前記色及び光度Lの基準パラメータとは相当に異なる色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として、前記化粧料用組成物のホワイトニングの有効性又は非有効性について結論付けるため、前記所定の時間期間中に化粧ホワイトニング組成物を付与するステップと、
を含む、請求項9〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
次の式:(IW)=tan−1(L/(ΔRGB))に従って白さインデックスを計算し、前記白さインデックスの傾斜が相当に正である場合、前記化粧料用組成物の有効性を結論付け、白さインデックスの傾斜がそれほどには正ではない場合、前記化粧料用組成物の非有効性を結論付けるステップ、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンに対し、前記所定の時間期間中に化粧タンニング組成物を付与することを含むタンニングを行うステップであって、前記色及び光度Lの基準パラメータとは相当に異なる色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として、前記化粧料用組成物のタンニングの有効性又は非有効性について結論付けるようにする当該ステップ、
を含む、請求項9〜14の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記相当に異なるとは、誤差の確率が5%以下であるときに得られるものである、請求項15又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための方法、及びこの方法を、ケア又はメーキャップに関して化粧料用組成物の化粧有効性を評価するための方法において実施することに関する。
【背景技術】
【0002】
個々人の皮膚の色は、主として、特にメラノサイトによるメラニンの分泌に関連した遺伝性素因からくるものである。しかしながら、この皮膚の色は、太陽光への露出、多かれ少なかれ血液微小循環を示す表皮の細かさ、飲食物、病気の発生又は薬の服用の如き多くの要因により、色合いが変わってくるものである。
【0003】
この色の観察者による視覚的認識は、皮膚が光を散乱させる仕方により影響を受けるものでもあり、この皮膚が光を散乱させる仕方は、それらの要因のうちの1つの影響の下で変化するようなある光沢を誘引する水和の状態又は汚染物質の存在により影響されるものである。
【0004】
このように、数値ツールを用いて原色の組合せへと変えることのできる「皮膚の色」と、皮膚の色及びその光沢から生ずる視覚的認識を表すより主観的な記法である「皮膚の色調」と、を区別することが可能である。
【0005】
従って、皮膚又は外皮の色調を考察することを可能とする特徴付けのツール及び方法を使用することができることは重要である。
【0006】
コンピュータ化したツールに頼って皮膚を考察する手法が知られている。
【0007】
700ナノメートルから2500ナノメートルの範囲内の波長を使用する、いわゆるNIR、近赤外線手法に基づいて人の相対的年令を非侵入的に推定する手法及び装置が、米国特許6,551,982B1から知られている。
【0008】
更に又、皮膚の欠陥を可視化する目的で種々なデジタル画像を取得し生成し、その後にそれら皮膚の欠陥を含むサブ画像を考察することにより皮膚を分析するための画像システム及び手法が、PCT公報WO00/67398A1から知られている。
【0009】
更に又、特に、一方では、着色しみ又は毛穴を評価するように、他方では、しわを評価するために皮膚の色を評価することになるかに従って、異なる実施形態を含むカラーデジタル画像分析方法及び装置が、2004年11月4日に発行された米国特許公開公報2004/0218810から知られている。
【0010】
皮膚の色を評価することについて言えば、当該米国特許公開公報2004/0218810の図3において参照符号320で示される専用モジュールが意図されており、又、白色光により照明された額F、ほおCの如き顔の皮膚のゾーンの平面部分における画像の取り込みを、一定の距離に配設された(段落0009)デジタル装置(段落0007)で実施する図6から図10に示された種々なステップが意図されている。その明細書においては、段落0052から段落0060にて、信号R(赤)G(緑)、B(青)(図4において参照符号445)が抽出され、それら信号は、各画像取り込みゾーンにおいて、信号H(「色相」又は色調)、S(彩度)、V(値)(段落0035の定義を参照)へと変換されることが記載されている。
【0011】
そのモジュール320は、図10Aに示されるように、H、S及びVの各階級を有するピクセルの数を計数することにより、各HSV信号に基づくヒストグラムを生成することができる(図4の参照符号470)。図10Aのスクリーン155上の各ヒストグラムは、過去及び現在の判定の結果を示している。こうして、オペレータは、皮膚に対するホワイトニング化粧品の効果を確認することができる(段落0054参照)。
【0012】
最後に、色又は変色、油っぽさ、テクスチャー、しわ又は筋及び毛穴の如き皮膚の特定の特徴を決定するように、パブリックドメインソフトウエアの中から選択することのできる画像分析ソフトウエアを実施して人の皮膚ゾーンのデジタルカラー画像を取り込むための方法及び装置が、文献KERN氏の米国特許公開公報2007/0040907から知られている(セクション43から48参照)。これらの特徴は、その後に、使用されるべきケア製品についてその人にアドバイスするのに使用される。実際に、この文献は、特に、デジタル画像取り込み装置の特定の構造に関連している(図1から図14を参照)。
【0013】
更に又、デジタル画像の生成及びその後に画像品質の改善のための処理ソフトウエアによって処理される皮膚の特徴を検出するための画像におけるトラフ及びピークの検出を含む画像分析のための方法及び装置を実施して皮膚のテクスチャーを改善するための方法及び装置が、米国特許7,082,211B1から知られている。その図5Cは、色分類器を示している。(第10欄の31行から45行)。
【0014】
2007年1月発行の「SKIN RESEARCH AND TECHNOLOGY」第14巻、第11号の65頁から70頁に掲載された、XP55020236におけるPLADELLORENS氏等による論文には、カラー画像からの光度Lの測定に重点をおいた記載がなされており、分光光度計を使用することが記載されている。
【0015】
要するに、従来技術は、初期デジタル画像に基づく色及び光度のパラメータに基づいて皮膚又は外皮の色調を決定するための本格的な手法及び装置を提供しておらず、以下に説明する本発明と対比して、皮膚又は外皮のケア又はメーキャップに関して化粧料用組成物の有効性を客観的に評価するのにそれらを適用することに、依然としてあまり関連したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許6,551,982B1
【特許文献2】PCT公報WO00/67398A1
【特許文献3】米国特許公開公報2004/0218810
【特許文献4】米国特許公開公報2007/0040907
【特許文献5】米国特許7,082,211B1
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】XP55020236におけるPLADELLORENS氏等による論文、2007年1月発行、「SKIN RESEARCH AND TECHNOLOGY」第14巻、第11号の65頁から70頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、比較的に容易に実施でき、得られた結果に関して保証でき信頼性のあるような、客観的な仕方にて皮膚又は外皮の色調を決定するための新規な方法及び新規な装置を提供することを含めて、前述の技術的課題を解決することである。
【0019】
又、本発明の目的は、市販されてもいるような簡単なソフトウエアを含むデジタル画像を処理するためのシステムにより、得られたデジタル画像の処理ステップを最少として、カラーデジタル画像に基づき皮膚又は外皮の色調を決定するための新規な方法及び新規な装置を提供することを含めて、前述の技術的課題を解決することである。
【0020】
更に又、本発明の目的は、皮膚又は外皮の色調を決定するための前記方法又は装置を実施して化粧品の化粧有効性を評価するための方法を提供することを含めて、前述の技術的課題を解決することである。
【0021】
本発明は、これら2つの技術的課題に対する満足のいく解決法を与えるものである。
【0022】
[定義]
表現「皮膚又は外皮の色調」は、皮膚又は外皮の色合い又は色及びその光度又は光沢の両者から生ずる個々人の皮膚又は外皮の視覚的認識を意味せんとするものである。
【0023】
表現「皮膚又は外皮の色合い又は色」は、前記皮膚又は外皮のデジタル画像の分析から生じ、その色成分、即ち、Rとして示される色、赤、Gとして示される色、緑、及びBとして示される色、青の組合せにより得られるような全色を意味せんとするものである。
【0024】
表現「光度」は、R、G、B値を、D65発光物及び10度での観察者に対するCIE Lベンチマークへと変換するための手順による得られるような光度値Lを意味せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
第1の態様によれば、本発明は、人の皮膚又は外皮の色調を決定するための方法において、
前記皮膚又は外皮の少なくとも1つのゾーンのN個のピクセルを含むデジタルカラー画像を取り込むステップと、
前記カラーデジタル画像の3つの色平面、赤(R)、緑(G)及び青(B)を抽出するステップと、
少なくとも2つの平面について、特に、前記3つの平面R、G、Bについて、前記画像の前記N個のピクセルのうちの少なくとも幾つかからの各ピクセルの灰色レベルの値に基づき前記皮膚又は外皮の色を評価するステップと、
少なくとも2つの平面について、特に、前記3つの平面R、G、Bについて、前記画像の前記N個のピクセルのうちの少なくとも幾つかからの各ピクセルの灰色レベルの値に基づき光度Lを評価するステップと、
前記皮膚又は外皮の色の前記評価及び前記光度Lの前記評価の結果として前記皮膚又は外皮の色調を特徴付けるステップと、
を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0026】
前記方法の特定の実施形態によれば、前記方法は、
a)前記皮膚又は外皮の少なくとも1つの決定されたゾーンの、複数(N)のピクセルにより定められる少なくとも1つのデジタルカラー画像を、デジタルカメラ又はデジタル写真装置を用いて取り込み、デジタル画像を処理しそれを記録する装置へ前記デジタルカラー画像を送信するステップと、
b)前記記録されたデジタルカラー画像を、前記画像処理装置を用いてR、G、Bと称される3つの色平面、赤(R)、緑(G)、青(B)へと分割するステップと、
c)前記平面R、G、Bの各々を抽出し、各平面に関して、前記ピクセルの各々について灰色レベル値、即ち、N個の値を記録し、前記皮膚の色を特徴付ける値に対応する、各平面R、G、Bについての前記灰色レベルを特徴付ける少なくとも1つのグラフ的又は統計的値及び/又は少なくとも1つの値、並びに、光度値Lを得るように、適当な計算手段により数学的に前記N個の値を任意的に処理するステップと、
d)前記皮膚又は外皮の色調を、前記皮膚又は外皮の色を特徴付ける前記値及び前記光度値Lの組合せに基づいて特徴付けるステップと、
を含むことを特徴とする。
【0027】
特定の変形実施形態によれば、前記方法は、観察すべき色調を表す画像ゾーンを選択し、前記ゾーンの少なくとも1つの部分に関して、前記画像の平均灰色レベル、前記灰色レベルの集合表面領域及び変動、並びに光度L*の中から選択された少なくとも1つのパラメータのパラメータ化を実施することを特徴とする。
【0028】
前記方法の別の特定の実施形態によれば、前記方法は、例えば、垂直軸が各色平面R、G及びBについての画像におけるピクセルの数又はピクセルの割合を表し、水平軸が画像の灰色レベルの値のセットを表し、又は、その逆であるような平面において、各デジタル画像のヒストグラムを曲線の形にてプロットし、それにより、ヒストグラムR、ヒストグラムG及びヒストグラムBを得ることを特徴とする。
【0029】
前記方法の更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、最も離れたヒストグラムR、G、B、又は前記ヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つの、いずれかの(ΔRGB)として示されるタイトネスを計算することにより、前記皮膚又は外皮の色を決定することを特徴とする。
【0030】
前記方法の更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、
次のパラメータ:
少なくとも2つのヒストグラム、好ましくは、前記3つのヒストグラムR、G及びBの重複領域、
又は、前記3つの平面R、G及びBについて単一灰色レベル値が記録されているピクセルの数、
又は、前記3つの平面R、G及びBについて記録された灰色レベルの算術平均、及び任意的なものとしてその平均からの偏差、
又は、それらの組合せ、
のうちの少なくとも1つのパラメータを用いて前記色の多少の彩度減少特徴を決定することを特徴とする。
【0031】
前記方法の更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、次の式:
(I)=tan-1(L/(ΔRGB))
に従って、皮膚の白さインデックス(I)を計算することを特徴とする。
【0032】
前記方法の更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、前記同じ個々人の皮膚又は外皮の種々なゾーン、特に、顔の種々な皮膚ゾーンに関して、前記方法を繰り返すことを特徴とする。
【0033】
前記方法の更に特定の実施形態によれば、前記方法は、各ゾーンについて、前記光度L、前記インデックス(ΔRGB)及びインデックス(I)についての値を計算することを特徴とする。
【0034】
前記方法の特定の実施形態によれば、前記方法は、少なくとも1つの皮膚ゾーンが着色しみの着色欠陥を示し、少なくとも1つの他の「コントロール」皮膚ゾーンが通常に着色されていることを特徴とする。
【0035】
前記方法の特定の実施形態によれば、前記方法は、皮膚又は外皮の少なくとも1つのゾーンの画像取り込みが白色光での照明の下で実施されることを特徴とする。
【0036】
前記方法の別の特定の実施形態によれば、前記灰色レベルのしきい値化を実施することが可能であり、即ち、スプリアス要素を除去するように、特定の所定の灰色レベルしきい値より下の灰色レベルを除去することができる。
【0037】
前記方法の更に別の特定の実施形態によれば、その全体に関して特徴付けを行うことができるかについて、分析すべき皮膚又は外皮の限定された領域を選択することが可能である。
【0038】
特定の変形実施形態によれば、前記限定された領域は、約1cmから10cmの領域を表すことができる。
【0039】
本発明の方法の特定の特徴によれば、オペレータが観察されるゾーンをより良好に可視化できるように、又、任意的なものとして、灰色レベルのしきい値化を評価してスプリアス要素又はアーチファクトを除去することができるように、カメラ又は写真装置によって得られた前記デジタル画像の拡大を行うことが可能である。
【0040】
本発明による方法の効果的な実施形態によれば、前記方法は、TRI-CCDタイプのデジタルカラーカメラ又はカラーデジタル写真装置が使用されることを特徴とする。このようなデジタルカラーカメラは、特に、会社SONY(登録商標)から市販されており、又、例えば、D70Sタイプのこのようなデジタル写真装置は、会社NIKON(登録商標)から市販されている。カラーデジタル画像を取得するため、会社Canfield(登録商標)からのVISIA-CRシステムを使用することもできる。このような取得は、標準白色光において半横向きの顔面に関して効果的に行うことができる。
【0041】
本発明の方法の特定の実施形態によれば、前記方法は、1人及び同じ人の皮膚の少なくとも1つの画像又は複数の画像が、特に、幾つかの異なるゾーンについて、デジタルデータを記録するための装置に記録されることを特徴とする。
【0042】
特定の変形実施形態によれば、前記画像取り込みゾーンは、顔、身体又は外皮を表す任意の皮膚のゾーンに対応する。効果的には、これは、額の中央ゾーン、及び/又はほおのゾーン、及び/又はつめのゾーンからなるグループの中から選択されたゾーンである。
【0043】
第2の態様によれば、本発明は、人の皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための装置において、
a)前記皮膚又は外皮の少なくとも1つの決定されたゾーンの、デジタル画像処理装置へと送信される複数(N)のピクセルにより定められる少なくとも1つのデジタルカラー画像を取り込むことのできるデジタルカメラ又はデジタル写真装置と、
b)前記デジタル画像を、前記画像処理装置を用いてR、G、Bと称される3つの色平面、赤、緑、青へと分割するための手段と、
c)前記平面R、G、Bの各々を抽出するための手段及び各平面に関して、前記ピクセルの各々について灰色レベル値、即ち、N個の値を記録し、前記皮膚の色を特徴付ける値に対応する、各平面についての灰色レベルを特徴付ける少なくとも1つのグラフ的又は統計的値及び/又は少なくとも1つの値、並びに、光度値Lを得るように、適当な計算手段により数学的に前記N個の値を任意的に処理するようにする計算手段と、
d)前記皮膚又は外皮の色調を、前記皮膚又は外皮の色を特徴付ける前記値及び前記光度値Lの組合せに基づいて特徴付ける手段と、
を備えることを特徴とする装置を提供する。
【0044】
特定の実施形態によれば、前記装置は、観察すべき色調を表す画像ゾーンに関して、及び前記ゾーンの少なくとも1つの部分に関して、前記計算手段は、前記画像の平均灰色レベル、前記灰色レベルの集合表面領域及びその変形又はそれらの組合せの中から選択された少なくとも1つのパラメータのパラメータ化を実施することを特徴とする。
【0045】
特定の実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、例えば、垂直軸が各色平面R、G及びBについての画像におけるピクセルの数又はピクセルの割合を表し、水平軸が画像のピクセルの灰色レベルのセットを表すような平面において、各デジタル画像のヒストグラムを曲線の形にてプロットし、それにより、ヒストグラムR、ヒストグラムG及びヒストグラムBを得るようにすることを特徴とする。
【0046】
特定の実施形態によれば、前記装置は、最も離れたヒストグラムR、G、B、又は前記ヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つ、のいずれかの(ΔRGB)として示されるタイトネスを計算することにより、前記皮膚又は外皮の色の彩度減少を決定することを特徴とする。
【0047】
別の特定の実施形態によれば、前記装置は、更に、
次のパラメータ:
少なくとも2つのヒストグラム、好ましくは、前記3つのヒストグラムR、G及びBの重複領域、
又は、前記3つの平面R、G及びBについて単一灰色レベル値が記録されているピクセルの数、
又は、前記3つの平面について記録された灰色レベルの算術平均、及び任意的なものとしてその平均からの偏差、
又は、それらの組合せ、
のうちの少なくとも1つのパラメータを計算することにより前記色の多少の彩度増大/彩度減少特徴を決定することを特徴とする。
【0048】
更に別の特定の実施形態によれば、前記装置は、次の式:
(I)=tan-1(L/(ΔRGB))
に従って、皮膚の白さインデックス(I)を計算することを特徴とする。
【0049】
特定の実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、各ゾーンについて、前記光度L、前記インデックス(ΔRGB)及びインデックス(I)についての値を、特に、前記皮膚又は外皮の幾つかの選択されたゾーンについて計算することを特徴とする。
【0050】
別の特定の実施形態によれば、前記装置は、更に、白色光で照明し、このような照明の下で前記皮膚の少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの画像を取り込めるようにする装置を更に備えることを特徴とする。
【0051】
別の特定の実施形態によれば、特に、会社SONY(登録商標)から市販されているTRI-CCDタイプのデジタルカラーカメラ又は会社NIKON(登録商標)から市販されているD70Sタイプのデジタル写真装置を使用することが考えられる。画像を取得するため、会社Canfield(登録商標)からのVISIA-CRシステムを使用することもできる。このような取得は、標準白色光で半横向きに位置した顔の少なくとも1つのほおの少なくとも1つのゾーンに関して行うことができる。
【0052】
更に別の特定の実施形態によれば、前記装置は、スクリーン、キーボード及びマウスを備えるモニターと組み合わされるコンピュータであって、
デジタル画像をR、G、Bと称される3つの色平面、赤、緑、青へと分割するための手段と、
前記平面R、G、Bの各々を抽出するための手段と、
数学的計算をする適当な手段と、
前記皮膚または外皮の少なくとも1つの画像又は複数の画像を記録するための手段と、
を含む前記手段の全てを統合するソフトウエアを含むようなコンピュータを備える。
【0053】
特定の実施形態によれば、前記計算手段は、効果的に記録され、変形実施形態により皮膚の色調を較正するための曲線を構成するのに各人について使用されるような各全体平均パラメータを得るように、観察される皮膚又は外皮の種々なゾーンでそれぞれ種々な画像に関して得られた各パラメータの平均を考慮する。
【0054】
特定の実施形態によれば、前記装置は、特に1つのほおの、特に幾つかのゾーンに関して、1人及び同じ人の皮膚又は外皮の少なくとも1つの画像又は複数の画像を記録するための手段を備える。
【0055】
第3の態様によれば、本発明は、更に、それを必要とする少なくとも一人の人に対するケア又はメーキャップに関して化粧料用組成物の化粧有効性を評価するための方法において、
a)少なくとも1つの第1のカラーデジタル画像が、皮膚又は外皮の少なくとも1つの決定されたゾーンへ前記化粧品を付与する前に取り込まれ、
b)前記第1のデジタルカラー画像が、トリートメント前の前記皮膚又は外皮の色及び光度Lの基準パラメータとして、前記皮膚又は外皮の色を決定し、並びに、光度Lの値を決定するように、3つの色平面、赤(R)、緑(G)及び青(B)に分解され、
c)所定の時間期間に亘る前記化粧料用組成物の前記皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンへの1回以上の付与を含む前記ケア又はメーキャップが行われ、
d)前記皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンの少なくとも1つの第2のデジタル画像が、前記所定の時間期間後に取り込まれ、トリートメント後の色及び光度Lの現在のパラメータが、前記第2の画像に関して、前記b)で示されるようにして決定され、
e)トリートメント後に得られた前記第2の画像の色及び光度Lの前記現在のパラメータが、トリートメント前の前記第1の画像の色及び光度Lの前記基準パラメータと比較され、
f)前記化粧料用組成物の有効性又は非有効性が、前記色及び光度Lの基準パラメータと相当に異なる前記色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として結論付けられる、
ことを特徴とする方法に関する。
【0056】
特定の実施形態によれば、前記方法は、前記色パラメータが、R平面、G平面、B平面と称される、色、赤R、色、緑G、及び色、青Bのそれぞれの3つの平面に分解された各デジタル画像に関して決定されることを特徴とする。
【0057】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、ヒストグラムR、ヒストグラムG及びヒストグラムBを得るように、例えば、垂直軸が各色平面R、G及びBについての前記画像におけるピクセルの数又はピクセルの割合を表し、水平軸が前記画像のピクセルの灰色レベルの値のセットを表すような平面に、各デジタル画像のヒストグラムがプロットされることを特徴とする。
【0058】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、前記平均色の多少の彩度減少特徴が、少なくとも2つのヒストグラム、好ましくは、前記3つのヒストグラムR、G、Bの重複のレベルを計算することにより決定されることを特徴とする。
【0059】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、前記化粧料用組成物の有効性が、最も離れたヒストグラム、又は前記ヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つのヒストグラム、のいずれかの(ΔRGB)として示されるタイトネスを計算することにより決定されることを特徴とする。
【0060】
更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、次の式:
(I)=tan-1(L/(ΔRGB))
に従って、皮膚の白さインデックス(I)が計算されることを特徴とする。
【0061】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、前記方法が同じ個々人の皮膚又は外皮の種々なゾーンに関して繰り返されることを特徴とする。
【0062】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、光度L、インデックス(ΔRGB)及びインデックス(I)の値が各ゾーンについて計算されることを特徴とする。
【0063】
更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、少なくとも1つの皮膚ゾーンが着色しみの如き着色欠陥を示し、少なくとも1つの他の「コントロール」皮膚ゾーンが通常に着色されていることを特徴とする。
【0064】
別の特定の実施形態によれば、前記方法は、皮膚又は外皮の少なくとも前記ゾーンに対してホワイトニングケアが実施され、前記色及び光度Lの基準パラメータとは相当に異なる色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として、前記化粧料用組成物の有効性又は非有効性について結論付けるように、前記所定の時間期間中に化粧ホワイトニング組成物が付与され、そして、特に、前記白さインデックスが計算され、前記化粧料用組成物の有効性又は非有効性が、前記白さインデックスの傾斜が相当に正であるか、又はそれほどには正ではないかに従って結論付けられることを特徴とする。
【0065】
更に別の特定の実施形態によれば、前記方法は、皮膚又は外皮の少なくとも前記ゾーンに対してタンニングケアが実施され、前記色及び光度Lの基準パラメータとは相当に異なる色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として、前記化粧料用組成物のタンニングの有効性又は非有効性について結論付けるように、前記所定の時間期間中に化粧タンニング組成物が付与されることを特徴とする。
【0066】
前記方法の効果的な実施形態によれば、前記方法は、5%以下の誤差の確率でもって相当の減少が得られることを特徴とする。
【0067】
本発明による方法及び装置によれば、前述したような技術的課題は、簡単で、保証でき且つ信頼できる仕方にて解決される。
【0068】
本発明の他の目的、特徴及び効果は、本発明の現在において好ましい実施形態に関して以下になされる説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】本発明による前述の方法を実施することを可能とする、人の皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための装置を示す図である。
図2】正規直交基準フレームにおける赤色平面、緑色平面、青色平面それぞれについて額のゾーンにおいて取られた皮膚の典型的なヒストグラムを表す図である。
図3】皮膚の自然の白さ又は白さインデックスのレベルの分類を正規直交基準フレームとして表す図である。
図4】正規直交基準フレームにおいて、化粧ホワイトニング組成物の付与の後の皮膚の白さレベルの傾斜の曲線を表す図である。
図5】肌色又は皮膚の着色の度合いを表す図である。
図6】女性の2つのグループのホワイトニング化粧料用組成物での化粧トリートメントの過程における縦座標として偏差ΔRGBの傾斜、横座標として光度Lの曲線を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、人の皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための装置を示しており、この装置は、皮膚又は外皮の色調を特徴付けるための前述の方法及びそれを必要とする少なくとも一人の人に対するケア又はメーキャップに関して化粧料用組成物の化粧有効性を評価するための方法を実施することを可能とするものであり、ここで、第1の実施形態では、例えば、特に、額、ほおの如き、その色調について特定的に分析せねばならない少なくとも1つの決定された皮膚ゾーンの画像を取り込むものである。
【0071】
図2は、正規直交基準フレームにおける各赤、緑又は青色平面について額のゾーンにおいて取られた皮膚の典型的なヒストグラムR、G、Bを表しており、ここでは、水平軸又は横座標として、画像のピクセルの灰色レベルの値のセットが、最も暗い(左側)ものから最も明るい(右側)ものへと並べられ、0(真っ黒)から255(真っ白)までのスケールにて階級分けされており、又、縦座標又は垂直軸として、各成分R、G及びBについての画像におけるこれらのピクセルの数又は割合が示されている。
【0072】
図3は、皮膚の自然の白さ又は白さインデックスのレベルの分類を正規直交基準フレームとして表しており、この白さインデックスは、白さ角度式=tan-1(L/ΔRGB)により与えられる「角度」を用いて量子化されており、ここでは、横座標又は水平軸として、ΔRGBの値が取られ、垂直軸又は縦座標として、光度Lが取られており、それにより、色黒皮膚、中間皮膚及び色白皮膚への分類を示している。
【0073】
図4は、正規直交基準フレームにおいて、化粧ホワイトニング組成物の付与の後の皮膚の白さレベルの傾斜の曲線を表している。横座標又は水平軸として、ΔRGB(Tn-T0)がプロットされており、又、T0は、ホワイトニング化粧品の付与の開始の瞬時Tであり、瞬時Tnは、付与の終了の日であり、ホワイトニング化粧トリートメントのn番目の日に対応している。垂直又は縦座標軸は、式L(Tn-T0)での光度Lを表している。
【0074】
従って、もし、白さ角度tan-1(L:ΔRGB)の2つの点の間の傾斜が正である場合には、ホワイトニング製品は、有効性があるものとして考えられることが、観察されよう。
【0075】
図5は、肌色又は皮膚の着色の度合いを表しており、この度合いは、式ITA=[tan-1(L−50):b]×180/nに従って計算された個々の類型学的角度により確立されている。ここで、横座標軸又は水平軸にて、0から26までの範囲に亘る値のスケールに従ってb(クロムイエロー)の値が示されており、縦座標軸又は垂直軸は、50から80までの範囲に亘るスケールにて光度又は光度Lを表している。
【0076】
個々の類型学的角度ITAが0°と10°との間にあるときには、その皮膚は、茶色がかった色調であり、この角度が10°と28°との間にあるときには、その皮膚は、日焼け色の色調又は着色を示しており、この角度が28°と41°との間にあるときには、その皮膚は、中間の色調を示しており、この角度が41°と55°との間にあるときには、その皮膚は、色白であり、この角度が55°より大きいときには、その皮膚は、非常に色白である。
【0077】
図6は、女性の2つのグループのホワイトニング化粧料用組成物での化粧トリートメントの過程における縦座標として偏差ΔRGBの傾斜、横座標として光度Lの曲線を表しており、それら2つのグループのうちの1つのグループは、非常に色白な肌の色から色白な肌の色までのCとして示された皮膚を有するグループとして階級付けられたものであり、もう1つのグループは、中間の肌の色から色白の肌の色までのFとして示される皮膚を有するグループとして階級付けられたものであり、ここで、トリートメント時間の過程に亘るT4(4週間)及びT8(8週間)におけるRGB偏差の相当の減少を、光度Lの増大と並べて示している。
【0078】
実施例1
図1に示した装置の説明
図を参照するに、特に、図1に関しては、本発明による装置の現時点において好ましい実施形態が示されており、この装置は、全体として参照符号10で示されている。
【0079】
この装置10は、人の皮膚又は外皮の色調の特徴付けを実施するように設計されており、この装置10は、
a)少なくとも1つの決定された皮膚ゾーン36、40の、デジタル画像処理装置へと送信される複数(N)のピクセルにより定められる少なくとも1つのデジタル画像14を取り込むができるようにするデジタルカメラ又はデジタル写真装置12、
を備えることを特徴とする。
【0080】
このような画像取り込みの必要性のため、皮膚の決定されたゾーンは、図示していない照明装置により、白色光又は紫外線光で照明される。
【0081】
本発明による装置の特定の実施形態によれば、特に、会社SONY(登録商標)から市販されているカラーカメラの如きTRI-CCDタイプのデジタルカラーカメラ12、又は会社NIKON(登録商標)から市販されているD70Sタイプのデジタル写真装置を使用することが考えられる。この実施例では、画像の取得のため、会社Canfield(登録商標)からのVISIA-CRシステムが使用される。これらの取得は、標準白色光でもって、図1に示されるように半横向きに位置した顔の少なくとも1つのほおの少なくとも1つのゾーンに対して行うことができる。
【0082】
特定の変形実施形態によれば、前記カメラ又は前記写真装置12は、約1cmから10cmを有する皮膚の領域の画像を取り込むことができる。
【0083】
又、当業者にはよく知られているように、デジタル画像を処理するためのこのような装置は、適当なコード13により前記カメラ12に接続されるコンピュータ50に統合されるような、例えば、ソフトウエアの形において市販されている。前記コンピュータ50は、普通、スクリーン54及びキーボード56、及びマウス58と共に、モニター52と組み合わされている。
【0084】
b)前記デジタル画像を処理するための装置は、R、G、Bと称される3つの色平面、赤、緑、青、へそのデジタル画像を分割するための手段を備えており、
c)前記デジタル画像を処理するための装置は、又、これらの平面R、G、Bの各々を抽出するための手段と、
d)各平面に関して、前記ピクセルの各々について灰色レベル値、即ち、N個の値を記録し、前記皮膚の色又は色調を特徴付ける値に対応する、各平面についての灰色レベルを特徴付ける少なくとも1つのグラフ的又は統計的値及び/又は少なくとも1つの値、並びに、光度値Lを得るように、適当な計算手段により数学的に前記N個の値を任意的に処理するようにする、ここでは前記ソフトウエアにより実現される計算手段と、
d)前記皮膚又は外皮の色調を、前記皮膚又は外皮の色を特徴付ける前記値及び前記光度値Lの組合せに基づいて特徴付ける手段と、を備える。
【0085】
本発明の別の特定の実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、例えば、垂直軸が各色平面R、G及びBについての画像におけるピクセルの数又はピクセルの割合を表し、水平軸が画像のピクセルの灰色レベルの値を表すような平面において、各デジタル画像のヒストグラムを曲線の形にてプロットし、それにより、図2に示されるように、ヒストグラムR、ヒストグラムG及びヒストグラムBを得るようにすることを特徴とする。
【0086】
その画像から抽出された各平面に対して、任意的に、画像から反射の如きスプリアスノイズを除去するように、画像分析ソフトウエアにて実現される数学的フィルタを適用することができる。
【0087】
本発明の装置の可能な特徴によれば、前記装置は、カメラにより得られた前記画像の、例えば、額36の中央ゾーン及び/又はほお40の中央ゾーンの細部を拡大するように、例えば、4倍の倍率を有する拡大手段を備えることができ、これらもまた、前記ソフトウエアにより統合されていて、オペレータが、皮膚欠陥をよりよく見ることができるようにし、そして、灰色レベルのしきい値化を評価できるようにし、これにより、スプリアス要素又はアーチファクトを排除することが可能とされる。
【0088】
本発明の装置の別の効果的な特徴によれば、前記装置は、これもまたソフトウエアに統合される灰色レベルのしきい値化を考察するための手段、即ち、特定の所定の灰色レベルしきい値より下の灰色レベルを除去して、スプリアス要素を除去し、それにより、この場合においてスプリアス要素のない画像を生成することができるようにする手段を備えることができる。
【0089】
本発明の装置の特定の実施形態によれば、前記装置は、ソフトウエアに統合されたデジタルデータを記録するための装置において、一人の同じ人の、特に、ここでは、額のゾーン36及び各ほお40のそのような幾つかの異なるゾーンの皮膚又は外皮の少なくとも1つの画像又は複数の画像を記録するための、ソフトウエアに統合された手段を備える。
【0090】
本発明の別の特定の変形実施形態によれば、前記計算手段は、最も離れたヒストグラムR、G、B、又は前記ヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つ、のいずれかのΔRGBとして示されるタイトネスを計算することにより皮膚又は外皮を特徴付ける色を決定する。
【0091】
本発明の別の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、
少なくとも2つのヒストグラム、好ましくは、前記3つのヒストグラムR、G及びBの重複領域、
又は、前記3つの平面R、G及びBについて灰色レベルの単一値が記録されているピクセルの数、
又は、前記3つの平面について記録された灰色レベルの算術平均、及び任意的なものとしてその平均からの偏差、
又は、それらの組合せ、
のいずれかを計算することにより、画像の彩度減少を決定することを特徴とする。
【0092】
本発明の別の特定の変形実施形態によれば、前記計算手段は、次の式:
(I)=tan-1(L/(ΔRGB))
に従って、皮膚の白さインデックス(I)を計算する。
【0093】
本発明の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、各ゾーンについて、特に、皮膚又は外皮の幾つかの選択されたゾーンについての光度L、インデックス(ΔRGB)及びインデックス(I)の値を計算することを特徴とする。
【0094】
本発明の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、皮膚又は外皮の少なくとも1つの選択されたゾーンが着色しみの如き着色欠陥を示し、少なくとも1つの他の「コントロール」皮膚ゾーンが通常に着色されていることを特徴とする。
【0095】
本発明の更に別の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、分析される人の皮膚又は外皮の限定された領域を前記デジタル画像14から抽出するための手段を備えており、前記計算手段が、この限定された領域の全体に亘って色及び光度Lの分析を行い、特に、パラメータの計算及び灰色レベルのしきい値化の実施を行うことを特徴とする。
【0096】
特定の変形例によれば、前記皮膚の限定された領域は、約1cmから10cmの領域を表している。
【0097】
本発明の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、スクリーン(54)、キーボード(56)及びマウス(58)を備えるモニター(52)と組み合わされ、且つソフトウエアを含むコンピュータ(50)を備えることを特徴としており、そのソフトウエアは、デジタル画像を分析するためのオフザシェルフソフトウエアであって、次の手段を含めて前述した手段の全てを統合しているようなオフザシェルフソフトウエアであることができる。
【0098】
デジタル画像をR、G、Bと称される3つの色平面、赤、緑、青、へと分割するための手段
これら平面R、G、Bの各々を抽出するための手段
この平面に基づいて以下のパラメータのうちの少なくとも1つを計算するための手段:
画像の平均灰色レベル
前記画像の皮膚又は外皮の色の領域
前記3つの平面R。G、Bの灰色レベルの値に基づく光度Lの計算
前記3つの平面R、G、Bの灰色レベルの値に基づく色相角度ITAの計算
2次元曲線の形にての各平面、赤、緑、青、における画像のヒストグラムのプロット
ここで、その2次元曲線においては、図2に従って、その垂直軸は、各成分R、G
及びBについての画像におけるピクセルの数又はこれらピクセルの割合を表してお
り、一方、水平軸は、最も暗い(左側)から最も明るい(右側)へと順序付けられ
且つ0(真っ黒)から225(真っ白)までのスケールで階級付けられた画像のピ
クセルの灰色レベルの値のセットを表している。
【0099】
前記装置は、更に、皮膚又は外皮の少なくとも1つの画像又は複数の画像を記録する手段を備えると効果的である。
【0100】
別の特定の変形実施形態によれば、前記装置は、前記計算手段が、種々な画像に関して得られ、人の決定されたパネルの一人以上の人の観察されるべき皮膚又は外皮の種々なゾーンでそれぞれ得られた各パラメータの平均を考慮して、変形実施形態により効果的に記録され、各人について皮膚の色調を較正するための曲線を構成するのに使用できるような各全平均パラメータを得るようにすることを特徴とする。
【0101】
これらデータは、図3に示されるような正規直交曲線に従って、皮膚の色調を決定し、分類を実施するのにも使用することができる。
【0102】
本発明によれば、平均灰色の光度に近い光度Lは、図2に表されたヒストグラムの中央に位置していることが理解されよう。
【0103】
更に又、これら3つのヒストグラムR、G、Bの重複のレベルは、画像の多少の相当な彩度減少の符号を構成してもいる。
【0104】
従って、ヒストグラムが類似していればいるほど、その画像は、彩度増大がより少ない。
【0105】
例えば、白は、3つの曲線R、G、Bの重複により生成される。
【0106】
イエロー、マゼンタ及びシアンは、それら曲線R、G、Bのうちの2つが重複するときに現れる。
【0107】
イエローは、曲線R及びGの重ねにより生成される。マゼンタは、曲線R及びBの重ねにより生成される。そして、シアンは、曲線G及びBの重ねにより生成される。
【0108】
これらヒストグラムの重複は、非常に明るい、又は非常に暗い色相が強度な彩度増大とはされないことを意味するようなHSL(色相、彩度、明るさ)システムとの相関として解釈することもできる。
【0109】
ヒストグラムR、G、B及び光度Lの組合せから出発する本発明の構想内において、白さの角度を計算して、皮膚の自然白さのレベル及び/又はホワイトニング化粧品での化粧トリートメント後の皮膚の白さレベルの傾斜を分類することが可能であることは、当業者であれば、前述のことから理解できよう。
【0110】
そのとき、皮膚の白さレベルを、次の式:
白さ角度=tan-1(L/ΔRGB))
による「角度」を用いて量子化することができる。
【0111】
図3において表されたような正規直交軸における分類は、このようにして得られ、色黒皮膚、中間皮膚及び色白皮膚を、その白さ角度の値の関数として階級付けすることができる。
【0112】
前述したような本発明による方法の装置の応用の2つの実施例について、それを必要とする少なくとも一人の人に対するメーキャップケアに関しての化粧料用組成物の化粧有効性の形での典型的な評価の実施枠内で以下説明する。
【0113】
実施例2
それを必要とする人に対するケア又はメーキャップに関して化粧料用組成物の化粧有効性を評価するためのテスト
【0114】
化粧ケア組成物の有効性を評価するために、活性ホワイトニング剤を含む水中油型乳剤が使用される。
【0115】
この組成物は、次のような配合を示す。
a)ホワイトニング剤(重量%)
アスコルグルコシド 2%
DNAナプタラムの水溶液 0.6%
パルマリアパルマータの抽出物の水溶液 0.6%
マルバシルベスリスの抽出物の水溶液 3%
クエン酸 0.02%
100%に足るだけの量の乳剤の化粧的に許容できる付形剤
【0116】
この化粧料用組成物の有効性を評価するため、次のような手順を進める。
a)皮膚又は外皮の少なくとも1つの決定されたゾーンへ化粧料用組成物を付与する前
に、カメラ12を用いて少なくとも1つの第1のカラーデジタル画像を取り込む
b)トリートメント前の皮膚又は外皮の色及び光度Lの基準パラメータとして、その
皮膚又は外皮の色を決定し、並びに、光度Lの値を決定するように、前記第1のデ
ジタルカラー画像を3つの色平面R(赤)、G(緑)、B(青)へと分解する
c)所定の時間期間に亘って、皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンへ前記化粧
料用組成物の1回以上の付与を含むケア又はメーキャップを行う
d)前記所定の時間期間後に、皮膚又は外皮の前記少なくとも1つのゾーンの少なくと
も1つの第2のデジタル画像を取り込み、前記第2の画像に関して、b)に示された
ようにして、トリートメント後の色及び光度の現在のパラメータを決定する
e)トリートメント後に得られた第2の画像の色及び光度の現在のパラメータを、ト
リートメント前の第1の画像の基準色パラメータ及び光度パラメータLと比較する
f)色及び光度Lの基準パラメータと相当に異なる色及び光度Lの現在のパラメータ
の取得又は非取得の関数として、前記化粧料用組成物の有効性又は非有効性を結論付
ける。
【0117】
皮膚の色調又は外皮の色調を決定するための装置及び方法の前述したような説明にも関連付けられる方法の特定の変形実施形態によれば、R、G、B平面と称される赤色R、緑色G、青色Bのそれぞれの3つの平面へと分解された各デジタル画像に関して色パラメータが決定される。
【0118】
その後、図2に関して示されたような正規直交平面における曲線の形にて、各デジタル色平面のヒストグラムをプロットし、それにより、Gとして示される緑色ヒストグラム、Bとして示される青色ヒストグラム、及びRとして示される赤色ヒストグラムを得る。
【0119】
更に又、図2に示された如く、少なくとも2つのヒストグラム、好ましくは、3つのヒストグラムR、G、Bの重複のレベルを計算することにより、平均色値を効果的に決定することができる。
【0120】
この方法によれば、最も離れたヒストグラムR、G、B、又は前記ヒストグラムR、G、Bのうちの少なくとも2つ、のいずれかのΔRGBとして示されるタイトネスを計算することにより、化粧料用組成物の有効性を決定することもできる。
【0121】
次の式により皮膚の白さインデックス(I)を計算することもできる。
(I)=tan-1(L/(ΔRGB))
このような白さインデックスは、図3に関して示されるようにプロットすることができる。
【0122】
図4に示されるように、T0として示されるトリートメント開始日とTnとして示されるトリートメントのn番目の日との間に得られたΔRGBの値及びLの値を、正規直交軸にプロットすることもできる。
【0123】
一般的に、トリートメント前にT0で及びトリートメント後にTnで測定されたL及びΔRGBの値が、図4に示されるように、それらの座標が0よりも大きな軸L(Tn−T0)により示される空間内にあるような点を記述することができ且つΔRGB(Tn−T0)が零よりも小さい場合には、ホワイトニング製品は、有効性があると考えられる。
【0124】
更に又、2つの決定された時間期間、例えば、トリートメント前の時間T0とトリートメントの特定の日数後の時間Tnとの間での白さ角度tan-1(L/(ΔRGB))の傾斜が正の場合には、そのホワイトニング効果についてテストされている化粧品は有効性があると考えられる。
【0125】
一般的に、化粧料用組成物の付与は、8週間に亘って実施される。そして、時間T0、時間T=28日(4週間)、及び時間T=56日(8週間)で測定が行われる。
【0126】
実施例3
ITAベースの肌色に従って募集された女性の2つの非常に異なるグループに分けられた40人の女性の全パネルに関して8週間に亘る、実施例2に記載されたような化粧品の有効性の考察
ホワイトニング有効性を考察するため、実施例2のような化粧料用組成物の有効性の大規模考察の実施枠の中で、ITAベースの肌色に従って募集された女性の2つの非常に異なるグループ分けが中国において行われた。
【0127】
かくして、グループFとして示される中間の肌色から色白の肌色までの皮膚を有する20人の女性のパネルと、グループCとして示される色白から非常に色白までの肌色を有する20人の女性のパネルが募集された。
【0128】
このような分類を実施するため、皮膚の着色の度合を定める個々の類型学的角度ITAが測定された。このITAが低ければ低い程、その皮膚は、より着色されているということに注意されたい。この角度ITAは、式ITA=tan-1(L−50):b]×180:Πにより得られることを思い出されたい。
【0129】
かくして、種々な測定時間、即ち、開始日0又はT0、4週間又はT4及び8週間又はT8で、半横向きの顔のデジタル画像が、標準白色光でもって会社Canfield(登録商標)により市販されているVISIA-CR装置を使用して取り込まれる。
【0130】
前述したような方法により取り込まれたこれらのデジタル画像について、前述したような2つのパラメータ、ΔRGB及びLが、計算手段により計算された。
【0131】
これと併行して、承認された階級に従った皮膚又は顔全体の色のシェードの臨床的評価、及びCL400熱量計による熱量測定が行われた。
【0132】
このような考察から生ずるような典型的な表示を、図5に示している。
【0133】
ΔRGB及びLによる皮膚の自然ホワイトニングの測定により、女性の2つのグループの階級分けを確認することができることが認められる。
【0134】
以下の表IにおいてFとして示された中間の肌色から色白の肌色までの皮膚を有する女性のグループは、以下の表においてCとして示された色白の肌色から非常に色白の肌色までの皮膚を有する女性のグループより、より低い白さ角度を有する。
【0135】
ΔRGB及びLにより行われる女性の2つのグループへの分類は、皮膚化学の分類に強く相関付けられており、熱量測定(又は色相角度ITA)に完全に一致しているように見える。
【表1】

時間T=4週間及び時間T=8週間で測定された実施例2の化粧料用組成物での化粧トリートメントの過程におけるΔRGB及びLにおける傾斜により、図6に示されたようにテストされた製品のホワイトニング作用をそれら2つの女性のグループについて確認することができる。
【0136】
それらの結果は、以下の表II、III、IV及びVにも示されている。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

色の彩度減少を示す偏差R、G、Bの相当の減少、それと並んで、光度Lの増大は、図6及び表IIから表Vに基づいて認められる。
【0137】
こうして、白さ角度の傾斜により化粧トリートメントのこのような正の傾斜を導き出すことができる。
【0138】
こうして、ホワイトニング効果が、臨床的評価及び色相角度ITAの測定により確認された。
【0139】
従って、本発明によれば、化粧品の有効性又は非有効性を、安全且つ高い再現性をもって測定することができる。本発明は、化粧品のホワイトにイング効果の測定に限定されるものではないことは、当業者には明らかであろう。
【0140】
本発明は、所定の時間期間において化粧タンニング組成物の付与によるタンニングケアにも応用でき、色及び光度Lの現在のパラメータの取得又は非取得の関数として、その化粧料用組成物のタンニングの有効性又は非有効性に関する結論をなすことができるものである。
【0141】
従って、本発明は、その範囲から逸脱せずに、種々な変形態様により実施することができるものであることは、理解されよう。
【0142】
本発明は、又、前述したような手段の技術的に等価物を構成する手段並びにそれらの種々な組合せの全てをカバーするものでもある。
【符号の説明】
【0143】
10…本発明による装置、12…デジタルカメラ(デジタルカラーカメラ)又はデジタル写真装置、13…コード、14…デジタル画像、36…皮膚ゾーン(額)、38…皮膚ゾーン、40…皮膚ゾーン(ほお)、50…コンピュータ、52…モニター、54…スクリーン、56…キーボード、58…マウス。
図2
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図1