(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885440
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】併用薬剤感受性検査法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20160301BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20160301BHJP
C12Q 1/08 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
C12M1/34 A
C12Q1/02
C12Q1/08
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-206696(P2011-206696)
(22)【出願日】2011年9月22日
(62)【分割の表示】特願2005-150600(P2005-150600)の分割
【原出願日】2005年5月24日
(65)【公開番号】特開2011-250808(P2011-250808A)
(43)【公開日】2011年12月15日
【審査請求日】2011年9月22日
【審判番号】不服2014-13803(P2014-13803/J1)
【審判請求日】2014年7月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 平成17年4月18日 第53回日本化学療法学会総会事務局発行の「第53回 日本化学療法学会総会特集号」に発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000120456
【氏名又は名称】栄研化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】舘田 一博
(72)【発明者】
【氏名】山口 惠三
(72)【発明者】
【氏名】石井 良和
【合議体】
【審判長】
鈴木 恵理子
【審判官】
▲高▼ 美葉子
【審判官】
長井 啓子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−116399(JP,A)
【文献】
特開平04−197198(JP,A)
【文献】
特開昭61−43116(JP,A)
【文献】
特開2000−128801(JP,A)
【文献】
感染症学雑誌(1997),Vol.71,No.1,p.72−82
【文献】
結核(1992),Vol.67,No.11,p.735−738
【文献】
化学療法の領域(1997),Vol.13,No.4,p.757−766
【文献】
Diseases of Aquatic Organisms(2005.05.20),Vol.64,p.211−222
【文献】
日本化学療法学会雑誌(2003),Vol.51,No.10,p.631−637
【文献】
Biosci.Biotechnol.Biochem.(2003),Vol.67,No.2,p.393−395
【文献】
J.Immunological Methods(1990),Vol.132,p.147−149
【文献】
日本食品科学工学会誌(2000)、Vol.47,No.6,p.465−469
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q1/00
C12M1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE/CAplus/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌薬に対する薬剤感受性および/または薬剤耐性の判断基準となる1乃至3の薬剤濃度と、2もしくはそれ以上の種類の任意の抗菌薬を組み合わせて1組の液体培地群とし、抗菌薬の組合せが異なる前記液体培地群を10組以上配置してなるマイクロプレートを含む、被験菌を増殖させて抗菌薬の併用効果を試験するための薬剤感受性検査キット。
【請求項2】
前記薬剤濃度が日本化学療法学会抗菌薬感受性測定法検討委員会報告により算出されたブレイクポイント近傍の濃度である、請求項1記載の薬剤感受性検査キット。
【請求項3】
前記薬剤濃度がClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)のガイドライン記載のSusceptibility(S:感性)、Intermediate(I:中間)、Resistance(R:耐性)の中の濃度である、請求項1記載の薬剤感受性検査キット。
【請求項4】
前記マイクロプレートが96穴マイクロプレートである、請求項1〜3記載の薬剤感受性検査キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌薬を併用投与する際の菌に対する薬剤併用効果の適否を判定する、薬剤感受性検査法に関する。
【背景技術】
【0002】
感染症における化学療法は、原則として抗菌薬を単剤で用いる治療が行われている。そのため、治療に用いる抗菌薬を選定するために、その候補となる抗菌薬の単剤での抗菌活性を薬剤感受性検査法で測定し、抗菌薬の効果の適否を判定している。その試験方法としては、微量液体希釈法、寒天平板希釈法、ディスク拡散法などが知られている。
【0003】
この試験結果の評価として、抗菌薬の治療対象となる微生物に対した発育を阻止する最小濃度(MIC:minimum inhibitory concentration)を基に、投与した時にその抗菌薬が有効に作用するか否かを判断する基準の世界的なガイドラインが、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)から公表されている(非特許文献1)。
【0004】
この判断基準は、感性(S:治療効果が期待できる)、中間(I:投与量により治療効果が期待できる、効果の有無の緩衝域)、耐性(R:治療効果が期待できない)の3種類に区分され、感染症の起因菌に対して抗菌薬のMICが感性の値であれば投与することで治療効果が期待でき、耐性の値であれば投与しても治療効果は見込まれず、該起因菌は該抗菌薬に対して耐性菌と呼ばれる。
【0005】
一方、日本国内においては、抗菌薬の国内での常用投与量を基準にして、呼吸器感染症および敗血症(非特許文献2)ならびに尿路感染症(非特許文献3)を対象とした抗菌薬のブレイクポイントを算定するガイドラインが、日本化学療法学会抗菌薬感受性測定法検討委員会から報告されている。
【0006】
このガイドラインでは、CLSIが設定しているS、IおよびRの区分は行わず、CLSIでSに相当する治療効果が期待できるMICが記載されている。また、患者背景より投与可能な薬剤量を定め、独自のブレイクポイントを設定することも考慮されている。なお、いずれの方法においても、有効な治療方針の策定の指針となっている。
【0007】
一方、長年にわたって抗菌薬を多用してきた結果、抗菌薬に対する耐性菌が多く出現した。更に、近年、医療現場で問題になっている多剤耐性菌が出現し、ほとんどの抗菌薬のMICが耐性を示している。それゆえ、多剤耐性菌が起因となっている感染症に対して単剤の抗菌薬による治療の効果はほとんど期待できず、有効な治療方法が無いという問題が生じている。
【0008】
この状況の中、これらの多剤耐性菌に対して単剤では治療の効果が期待できない抗菌薬も、同様に単剤では治療の効果が期待できない別の抗菌薬と併用することによって治療効果を発揮する組み合わせがあることが知られている。それゆえ、医療現場において、多剤耐性菌に起因する感染症に対して、このような抗菌薬の併用による治療の実施が望まれている。
【0009】
しかし、この抗菌薬の併用治療を行うには、予め薬剤感受性検査による抗菌活性の確認が必要である。一般的には、この抗菌薬の併用による効果の適否を判定するために、微量液体希釈法によるチェッカーボード法(非特許文献4)が行われている。
【0010】
この微量液体希釈法によるチェッカーボード法は、2種類の抗菌薬の2倍連続希釈系列を各々混合してそれらの抗菌活性の有無を調べ、その結果からFIC係数(fractional inhibitory concentration index)を算定して抗菌薬の併用による効果を評価する。
【0011】
抗菌薬の併用による効果は、期待される相乗的もしくは相加的な抗菌活性の上昇の他に、併用する抗菌薬同士の拮抗作用によって期待された抗菌活性が得られない場合があることが知られている。それゆえ、複数種類の抗菌薬を併用する治療を行う際には、微量液体希釈法によるチェッカーボード法によって得られたFIC係数を基に、抗菌薬の併用効果を確認する必要がある。
【0012】
この微量液体希釈法によるチェッカーボード法を実施するための一般的な方法としては、96穴マイクロプレートの各々のウェルに各濃度の抗菌薬の混合物と被験菌を注入し、各々のウェルでの抗菌活性の有無を調べることが知られている。しかし、2種類の抗菌薬の組み合わせは多いため、1枚の96穴マイクロプレートを使用して、1菌株に対する抗菌薬の1通りの組み合わせしか併用効果の評価ができない。
【0013】
しかし、感染症の治療に用いる有効な組み合わせの抗菌薬を選択するためには、多種類の抗菌薬の組み合わせを検討する必要がある。それゆえ、微量液体希釈法によるチェッカーボード法を用いて抗菌薬の併用効果を評価する場合には、検討する組み合わせと同数の96穴マイクロプレートを用いて試験を実施し、その成績を解析する必要があり、適確な試験結果を得るために相当な時間と費用を費やすこととなる。そのため、この検査を頻繁に実施することは容易なことではない。
【0014】
また、微量液体希釈法によるチェッカーボード法を実施する目的は、抗菌薬の組み合わせによる治療効果の確認より、むしろ、抗菌薬の組み合わせによる相乗、相加効果もしくは拮抗作用の情報を得る、いわば薬理学的な効果を確認することにある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically; Approved Standard M7−A6
【非特許文献2】日本化学療法学会抗菌薬感受性試験検討委員会報告 呼吸器および敗血症におけるブレイクポイント Chemotherapy Vol.42 p.905〜914 1994
【非特許文献3】日本化学療法学会抗菌薬感受性試験検討委員会報告 尿路感染症における抗菌薬のブレイクポイント 日本化学療法学会雑誌 Vol.45 p.711〜726 1997
【非特許文献4】小栗豊子 抗菌薬の併用効果検査法 臨床と微生物 Vol.29 p.689〜698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
感染症の治療において抗菌薬を併用して用いることの重要性が増している中、有効な抗菌薬の組み合わせを選択するための薬剤感受性検査法の実施が必須となっている。しかし、現在行われている微量液体希釈法によるチェッカーボード法では、適確な試験結果を得るために相当な時間と費用を費やすこととなる。
【0017】
本発明はこれらの点を鑑み、感染症の治療における有効な抗菌薬の組み合わせを選定する際に、簡易にかつ経済的に抗菌薬併用効果を判定する薬剤感受性検査法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、広範囲の2倍連続希釈系列の薬剤濃度で試験を実施していた微量液体希釈法によるチェッカーボード法の煩雑さを改め、定められた薬剤濃度として単剤での抗菌薬の治療効果を判断する際に一般的に用いる薬剤濃度を用いて、抗菌薬の併用による効果を評価することを特徴とする。
【0019】
その評価方法として、例えばCLSIのガイドラインのS、I、Rの濃度、日本化学療法学会のガイドラインのブレイクポイントおよびその近傍の濃度等、抗菌薬の有効性の判断基準となる濃度全てもしくはその一部を用いて、微量液体希釈法によるチェッカーボード法と同等の試験を行うことが、効率良くかつ安価に抗菌薬の併用による治療効果の有効な情報が得られると想到した。
【0020】
そして、本発明者らは、多剤耐性菌に対する抗菌薬の併用療法の効果に関する情報を効率よく得る方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)
2もしくはそれ以上の、抗菌薬に対する薬剤感受性および/または薬剤耐性の判断基準となる1乃至3の薬剤濃度を用いて2もしくはそれ以上の抗菌薬の併用効果を試験する薬剤感受性検査法を組み合わせた、薬剤感受性検査キット
(2)
前記薬剤濃度が日本化学療法学会抗菌薬感受性測定法検討委員会報告により算出されたブレイクポイント近傍の濃度である、(1)記載の薬剤感受性検査キット
(3)
前記薬剤濃度がClinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)のガイドライン記載のSusceptibility(S:感性)、Intermediate(I:中間)、Resistance(R:耐性)の中の濃度である、(1)記載の薬剤感受性検査キット
(4)
液体培地を用いて被検菌を増殖させることを特徴とする、(1)〜(3)記載の薬剤感受性検査キット
(5)
マイクロプレートを用いて被検菌を増殖させることを特徴とする、(1)〜(4)記載の薬剤感受性検査キット
(6)
前記マイクロプレートが96穴マイクロプレートである、(1)〜(5)記載の薬剤感受性検査キット
【発明の効果】
【0022】
複数の抗菌薬による併用療法の治療効果を予測する場合、試験方法として主に微量液体希釈法によるチェッカーボード法が行われている。この試験方法は、例えば2種類の抗菌薬の併用療法の治療効果を予測するために実施する時、各々の抗菌薬の2倍連続希釈系列を9濃度評価するならば、合計81種類の組み合わせを評価しなければならない。これに比較して、本発明の方法を用いれば、各々の抗菌薬の最大3濃度を評価しても、合計9種類の組み合わせを評価するに過ぎない。
【0023】
さらに、試験器具として96穴マイクロプレートを用いた場合、微量液体希釈法によるチェッカーボード法では抗菌薬の1通りの組み合わせしか評価できないのに対し、本発明の方法では抗菌薬の10通りの組み合わせが評価できる。すなわち、本発明の実施により、効率良くかつ安価に抗菌薬の併用による治療効果の有効な情報を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1で用いた、96穴マイクロプレート上の抗菌薬の配置例
【
図2】実施例1での試験菌株EKN5112の検査結果
【
図3】実施例1での試験菌株EKN7116の検査結果
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明内容の微量液体希釈法を96穴マイクロプレートに適用する場合、併用療法の治療効果を予測したい被験菌の標準株に対する2種類の抗菌薬のS、IおよびRの3濃度を組み合わせた合計9ウェルを用意し、各々のウェルに被験菌を接種して培養し、ウェル内での被験菌の発育の有無を調べることにより、2種類の抗菌薬による併用療法の治療効果の情報が得られる。この試験系において、Rの濃度は元来治療効果が期待出来ない濃度であるため、SおよびIの2濃度で試験を行っても同等の試験成績が得られるので、4ウェルでも試験の実施が可能である。
【0026】
また、寒天平板希釈法でも、同様に4枚の抗菌薬を添加した寒天平板培地を準備することで試験の実施が可能となる。さらに、寒天平板培地の広さにもよるが、1枚の寒天平板培地で20菌株以上の被験菌を試験することが可能である。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0028】
実施例1.微量液体希釈法を用いた多剤耐性緑膿菌に対する有効抗菌薬併用効果の確認
(1)試験用マイクロプレートの調製
抗菌薬は、シプロフロキサシン(CPFX)、メロペネム(MEPM)、セフタジジム(CAZ)、ピペラシリン(PIPC)、アズトレオナム(AZT)、ゲンタマイシン(GM)、リファンピシン(REP)およびコリスチン(CL)を用いた。
【0029】
薬剤濃度を2濃度とし、主にCLSIに記載されているIおよびSの濃度を用いて抗菌薬の1通りの組み合わせ当たり2×2の4ウェルを使用し、96穴マイクロプレートに配置した。なお、具体的な薬剤濃度は、CPFX(1および2μg/mL)、MEPM(4および8μg/mL)、CAZ(8および16μg/mL)、PIPC(16および32μg/mL)、AZT(8および16μg/mL)、GM(4および8μg/mL)、REP(2および4μg/mL)、ならびにCL(0.5および1μg/mL)とした。
【0030】
本実施例での96穴マイクロプレートの抗菌薬の配置を
図1に示す。AおよびBにCPFXとMEPM、CAZ、PIPCおよびAZTの4通りの組み合わせ、CAZとAZTの1通りの組み合わせ、ならびに対照を、CおよびDにGMとMEPM、CAZ、PIPC、AZT、CPFXおよびREPの6通りの組み合わせ、EおよびFにREPとMEPM、CAZ、PIPC、AZT、CPFXおよびCLの6通りの組み合わせ、
GおよびHにCLとMEPM、CAZ、PIPC、AZT、CPFXおよびGMの6通りの組み合わせを各々配置した。なお、接種菌の増殖のための培地は、ミュラーヒントンブイヨンを使用した。
【0031】
(2)試験菌株
多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)として、保存菌株であるEKN5112およびEKN7116の2株を用いた。これら2株に対する各抗菌薬のMICを表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
(3)試験法
CLSIの微量液体希釈法に準拠して、試験菌を各ウェルに5×10
5colony forming units(CFU)/mLになるように接種し、35℃で18〜24時間培養後、各ウェルの発育の有無を観察した。
【0034】
(4)結果
使用した8種の抗菌薬の濃度はいずれも試験菌株のMICより低いため、ほとんどのウェルで発育が阻害されることはなかった。しかし、EKN5112では、GM(8)+AZT(8)、GM(8)+AZT(16)およびREP(4)+CL(1)のウェルで発育が阻止された(
図2)。それゆえ、本菌株に対してはGMとAZTおよびREPとCLの併用での効果が認められた。EKN7116では、REP(2)+CL(1)およびREP(4)+CL(1)のウェルで発育が阻止された(
図3)。それゆえ、本菌株に対してはREPとCLの併用での効果が認められた。このように、96穴マイクロプレート1枚で8薬剤の23通りの組み合わせの併用効果を試験することができた。
【0035】
実施例2.寒天平板希釈法を用いた多剤耐性緑膿菌に対する有効抗菌薬併用効果の確認
(1)試験用寒天培地の調製
抗菌薬は、シプロフロキサシン(CPFX)、メロペネム(MEPM)、セフタジジム(CAZ)、ピペラシリン(PIPC)、アズトレオナム(AZT)、ゲンタマイシン(GM)、リファンピシン(REP)およびコリスチン(CL)を用いた。
【0036】
薬剤濃度を2濃度とし、主にCLSIに記載されているIおよびSの濃度を用いて抗菌薬の1通りの組み合わせ当たり2×2の4枚の寒天平板を作成した。なお、具体的な薬剤濃度は、CPFX(1および2μg/mL)、MEPM(4および8μg/mL)、CAZ(8および16μg/mL)、PIPC(16および32μg/mL)、AZT(8および16μg/mL)、GM(4および8μg/mL)、REP(2および4μg/mL)、ならびにCL(0.5および1μg/mL)とした。
【0037】
抗菌薬の組み合わせは、CPFXとMEPM、CPFXとCAZ、CPFXとPIPC、CPFXとAZT、CPFXとGM、CPFXとREP、CPFXとCL、GMとMEPM、GMとCAZ、GMとPIPC、GMとAZT、GMとREP、GMとCL、REPとMEPM、REPとCAZ、REPとPIPC、REPとAZT、REPとCL、CLとMEPM、CLとCAZ、CLとPIPC、CLとAZTおよびCAZとAZTの合計23通りの組み合わせを用いた。また、対照として薬剤未添加の培地も用いた。なお、培地は、ミュラーヒントン寒天培地を使用した。
【0038】
(2)試験菌株
実施例1と同様に多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)として、保存菌株であるEKN5112とEKN7116の2株を用いた。
【0039】
(3)試験法
CLSIの寒天平板希釈法に準拠して、1×10
7CFU/mLの濃度になるように試験菌の懸濁液を調製し、専用の接種器を使用して平板培地上に3μLを接種し、35℃で18〜24時間培養後、接種した菌の発育の有無を観察した。この方法では、培地一枚あたり32〜36菌株の試験が可能である。
【0040】
(4)結果
使用した8種の抗菌薬の濃度はいずれも試験菌株のMICより低いため、ほとんどの培地で発育が認められた。しかし、EKN5112では、GM(8)+AZT(8)、GM(8)+AZT(16)およびREP(4)+CL(1)の培地で発育が阻止された。それゆえ、本菌株に対してはGMとAZTおよびREPとCLの併用での効果が認められた。EKN7116では、REP(2)+CL(1)およびREP(4)+CL(1)の培地で発育が阻止された。それゆえ、本菌株に対してはREPとCLの併用での効果が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0041】
多剤耐性菌に起因する感染症を治療するため、複数の抗菌薬の併用療法を行う際に、使用する抗菌薬を選定するための薬剤感受性検査法を提供する。また、この薬剤感受性検査法のキットを製造し、医療機関の検査室等での簡便な検査の実施に寄与する。