(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項5〜8いずれかに記載のフィルムインサート成形用積層体を変形し、その後、該積層体を挿入した金型に、溶融状態の射出樹脂を流し込み、積層体と射出樹脂を一体化させることを特徴とする加飾成形体の製造方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる従来技術を鑑み、フィルムインサート成形に用いる積層体に適したバインダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0007】
(1)一般式(1)で示されるジオール化合物を全ジオール成分中30〜70モル%含有
し、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸とイソフタル酸を含有するポリエステルと架橋剤とを含有するフィルムインサート成形用バインダー。
【化1】
(式中、R
1およびR
2は、炭素数2〜8のアルキル基を示す。)
(2)架橋剤の含有量が、ポリエステル100質量部に対して、5〜40質量部である(1)記載のフィルムインサート成形用バインダー。
(3)架橋剤がイソシアネートである(1)または(2)記載のフィルムインサート成形用バインダー。
(4)ポリエステルの数平均分子量が5000〜15000である(1)〜(3)いずれかに記載のフィルムインサート成形用バインダー。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載のバインダーを用いた接着層と、意匠付与層とからなるフィルムインサート成形用積層体。
(6)意匠付与層が透明基材層と金属層からなり、金属層が接着層と隣接している(5)記載のフィルムインサート成形用積層体。
(7)金属層が金属蒸着層である(6)記載のフィルムインサート成形用積層体。
(8)積層体の接着層の上に、さらに粘着層を有する(5)〜(7)いずれかに記載のフィルムインサート成形用積層体。
(9)(5)〜(8)いずれかに記載のフィルムインサート成形用積層体を変形して得られる成形体。
(10)(9)記載の成形体の意匠付与層の反対面に射出樹脂を一体成形して得られる加飾成形体。
(11)(5)〜(8)いずれかに記載のフィルムインサート成形用積層体を変形し、その後、該積層体を挿入した金型に、溶融状態の射出樹脂を流し込み、積層体と射出樹脂を一体化させることを特徴とする加飾成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィルムインサート成形に用いる積層体に適したバインダーを提供することができる。本発明のバインダーを用いた積層体は、変形させたり、射出樹脂と一体成形させた際に、意匠付与層のひび割れや色ムラの発生が少なく、意匠付与層と射出樹脂が剥離しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明について以下に詳細を説明する。
【0010】
本発明のバインダーは、ポリエステルと架橋剤から構成される。
本発明に用いるポリエステルは、ジカルボン酸成分とジオール成分から構成される。
【0011】
ジオール成分としては、一般式(1)で示される化合物を含有させる必要がある。一般式(1)において、R
1およびR
2は炭素数2〜8のアルキル基であることが必要である。一般式(1)で示される化合物において、R
1またはR
2のアルキル基の炭素数が1の場合、積層体を変形させたり、射出樹脂と一体成形させた際に、ひび割れや色ムラが発生するので好ましくない。一方、R
1またはR
2のアルキル基の炭素数が9以上の場合、重合性が低下するので好ましくない。一般式(1)で示される化合物としては、例えば、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2,2−ジブチルプロパンジオールが挙げられる。中でも、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオールが好ましい。一般式(1)で示される化合物の含有量は、全ジオール成分中30〜70モル%とすることが必要で、40〜60モル%とすることが好ましい。下記式(1)で示される化合物の含有量が30モル%未満である場合、積層体の変形や射出樹脂との一体成形の際に、ひび割れや色ムラが発生するので好ましくない。一方、含有量が70モル%を超える場合、高分子量のポリエステルを重合することができず、意匠付与層と接着層との密着性が低下するので好ましくない。
【化2】
【0012】
ジオール成分を構成する他のジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコール、ダイマージオールが挙げられる。中でも、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、スピログリコールが好ましい。
【0013】
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸を含有させることが好ましく、テレフタル酸とイソフタル酸を含有させることがより好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸を含有させることで、耐熱性を向上させることができる。テレフタル酸とイソフタル酸を併用する場合、それらの合計の含有量は、全ジカルボン酸成分中70モル%以上とすることが好ましく、90モル%以上とすることがより好ましい。
【0014】
ジカルボン酸成分を構成する他のジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ドコサン二酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4’−ジカルボキシビフェニル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ヒドロキシ−イソフタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸が挙げられる。これらは、無水物であってもよい。
【0015】
また、ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒドロキシカルボン酸を含有させてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、オキシラン、グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、4−(β-ヒドロキシ)エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の脂肪族ラクトンが挙げられる。
【0016】
ポリエステルには、少量であれば、モノカルボン酸、モノアルコール、3官能以上のカルボン酸、3官能以上のアルコールを共重合してもよい。モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、リノール酸、リノレン酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸が挙げられ、モノアルコールとしては、例えば、セチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、2−フェノキシエタノールが挙げられる。3官能以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸が挙げられ、3官能以上のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、α−メチルグルコース、マニトール、ソルビトールが挙げられる。
【0017】
ポリエステルの数平均分子量は、5000〜15000とすることが好ましく、6000〜12000とすることがより好ましく、7000〜10000とすることがさらに好ましい。数平均分子量を5000〜15000の範囲とすることで、意匠付与層と射出樹脂との密着性をより一層向上させることができる。
【0018】
ポリエステルは、直接エステル化法、エステル交換法等の公知の製造方法によって製造される。直接エステル化法としては、例えば、必要なモノマー原料を反応缶内に注入し、エステル化反応をおこなった後、重縮合反応をおこなう方法が挙げられる。エステル化反応では、窒素雰囲気下、160℃以上の温度で4時間以上、加熱溶融して反応させる。重縮合反応では、130Pa以下の減圧下で、220〜280℃の温度で所望の分子量に達するまで重縮合反応を進行させる。エステル化反応および重縮合反応の際には、触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛、酢酸マグネシウム等の金属の酢酸塩、三酸化アンチモン、ヒドロキシブチルスズオキサイド、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物が挙げられる。触媒の使用量は、ジカルボン酸成分1モルに対し、0.1×10
−4〜100×10
−4モルとすることが好ましい。
【0019】
本発明のバインダーには、架橋剤を含有させることが必要である。架橋剤としては、ポリエステルと反応可能な官能基を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、イソシアネート、エポキシ化合物、カルボジイミドが挙げられ、中でも、イソシアネートが好ましい。架橋剤を含有させることで、ポリエステルとの架橋を進行させ、意匠付与層と射出樹脂との密着性を向上させることができる。イソシアネートとしては、2価以上のものが好ましく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシナネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4′−ジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネートが挙げられる。これらは、前記イソシアネートのブロックイソシアネートであってもよい。架橋剤の含有量は、ポリエステル100質量部に対して、5〜40質量部とすることが好ましく、5〜30質量部とすることがより好ましい。架橋剤の含有量を5〜40質量部とすることで、積層体の変形や、積層体と射出樹脂との一体成形の際に発生する意匠付与層のひび割れや色ムラを効果的に抑制することができる。
【0020】
本発明のバインダーは、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液として、接着層の形成に用いることができる。
【0021】
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ソルベッソ等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ノルマルブチル等のエステル系溶剤、セロソルブアセテート、メトキシアセテート等のアセテート系溶剤が挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
樹脂溶液の固形分濃度は、例えば、10〜60質量%とすることで、ポリエステルや架橋剤を溶け残すことなく溶解することができ、適切な乾燥時間で溶媒を乾燥することができる。樹脂溶液の25℃での溶液粘度は、5000mPa・s以下とすることが好ましく、3000mPa・s以下とすることがより好ましく、2000mPa・s以下とすることがさらに好ましい。
【0023】
樹脂溶液には、必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤、発泡剤等の添加剤を配合してもよい。
【0024】
本発明のバインダーからなる接着層を、意匠付与層の上に設けることにより、これらの層からなる積層体を変形させたり、射出樹脂と一体成形させた際に、意匠付与層のひび割れや色ムラの発生を低減することができる。意匠付与層の上に接着層を設ける方法としては、樹脂溶液を、公知の塗布方法により、意匠付与層に塗布し乾燥する方法が挙げられる。樹脂溶液の塗布方法としては、例えば、ディッピング法、はけ塗り法、スプレーコート法、カーテンフローコート法が挙げられる。乾燥方法は、特に限定されないが、加熱乾燥する方法が好ましい。加熱装置としては、例えば、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒータが挙げられる。加熱温度や加熱時間は、架橋剤、意匠付与層の種類等により適宜選択される。加熱温度は、経済性を考慮した場合、60〜250℃とすることが好ましく、70〜230℃とすることがより好ましく、80〜200℃とすることがさらに好ましい。加熱時間は、1秒〜30分間とすることが好ましく、5秒〜20分とすることがより好ましく、10秒〜10分とすることがさらに好ましい。接着層の厚さは、その目的や用途によって適宜選択されるが、0.01〜40μmとすることが好ましく、0.1〜30μmとすることがより好ましく、0.5〜20μmとすることがさらに好ましい。
【0025】
また、架橋剤とポリエステルとの架橋反応を完結させるため、40〜80℃で、48〜96時間エージングをおこなってもよい。
【0026】
本発明に用いる意匠付与層としては、意匠性を有する層であれば特に限定されないが、金属調を表現した意匠層、木目調を表現した意匠層、絵柄を表現した意匠層が挙げられる。
金属調の意匠を表現するには、透明基材と金属層からなるものが好ましい。
【0027】
透明基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、ポリウレタンフィルムが挙げられる。中でも、透明性の観点からポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく、耐候性、耐擦傷性の観点から、アクリルフィルムが好ましい。透明基材は、金属層との密着性を向上させるため、その表面に、コロナ処理またはプライマー塗工等をおこなってもよい。透明基材の厚さは、特に限定されないが、35〜190μmとすることが好ましく、50〜125μmとすることがより好ましい
【0028】
金属層は、金属調の意匠を付与することができれば特に限定されない。金属調の意匠を付与するため方法としては、例えば、透明基材上に、金属蒸着をおこなう方法や、金属薄膜の小片を、アクリルや塩化ビニル等の塗料とともに塗布する方法が挙げられるが、中でも、工業的に用いることが容易な前者がより好ましい。
【0029】
金属蒸着する場合、金属蒸着層の成分としては、例えば、アルミニウム、金 、白金 、銀、銅、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、インジウム、モリブデン、タングステン、パラジウム、イリジウム、シリコン、タンタル、ニッケルクロム、ステンレス鋼、クロム銅、アルミニウムシリコンが挙げられる。金属蒸着層が薄すぎると隠蔽性に劣り意匠性が損なわれる場合があり、厚すぎると、積層体の変形や、積層体と射出樹脂との一体成形の際にひび割れや色ムラが発生しやすい。金属蒸着層の厚さは、0.01〜0.10μmとすることが好ましく、0.02〜0.08μmとすることがより好ましい 。
【0030】
なお、意匠付与層として、透明基材と金属層からなるものを用いる場合、金属層が接着層と隣接するように用いる。
【0031】
本発明の積層体を変形して得られる成形体の意匠付与層の反対面に、溶融状態の射出樹脂を流し込ませて一体化することにより、加飾成形体とすることができる。変形する方法としては、例えば、積層体を加熱軟化させ、冷却固化前に金型にセットし、真空成形等により最終形状にする方法が挙げられる。射出樹脂は、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂が挙げられる。
【0032】
本発明の積層体には、フィルムインサート成形時の射出樹脂との密着性を向上させるため、接着層の上に、さらに粘着層を設けてもよい。粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤が挙げられ、中でも、耐熱性が高いため、アクリル樹脂系粘着剤が好ましい。
【0033】
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸およびそのエステル化物と、共重合可能な不飽和単量体(例えば、酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル)との共重合体が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸ブチルから選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよび酢酸ビニルの中から選ばれる1種以上との共重合体がより好ましい。アクリル系粘着材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。アクリル系粘着剤の塗布方法、乾燥条件は、接着層を設ける際と同等の条件でおこなうことができる。アクリル系粘着層を設ける場合、その厚さは、特に限定されないが、0.5〜50μmとすることが好ましく、0.5〜20μmとすることがより好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、各種物性測定は以下の方法によりおこなった。
(1)樹脂組成
高分解能核磁気共鳴装置(日本電子社製JNM−LA400)を用いて、
1H−NMR分析することにより、それぞれの共重合成分のピーク強度からポリエステルの樹脂組成を求めた。(周波数:400MHz、溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸、温度:25℃)
【0035】
(2)数平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件でポリスチレン換算の数平均分子量を測定した。
送液ユニット:島津製作所社製LC−10ADvp
紫外−可視分光光度計:島津製作所社製SPD−6AV、検出波長:254nm
カラム:Shodex社製KF−803 1本、Shodex社製KF−804 2本を直列に接続して使用
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
【0036】
(3)ガラス転移温度
JIS K−7121に準拠して、入力補償型示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSC)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定をおこない、得られた昇温曲線中のガラス転移に由来する2つの折曲点の温度の中間値をガラス転移温度とした。
【0037】
(4)金属密着性
アルミ板上に、実施例で用いた樹脂溶液を、乾燥後の樹脂厚みが25μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、100℃で30秒間乾燥し、接着層を設けた。
接着層に、JIS K5600−5−6に規定されたクロスカット法に準拠して切込みを入れ、マス目を100個形成した。その後、JIS Z1522に規定された粘着テープ(幅18mm)を、切り込み方向の一方向に平行な方向に、端部を残して貼りつけ、その上から消しゴムでこすって十分に接着させ、貼付面に対して60度の角度の方向に瞬間的に引き剥がした。引き剥がした後、接着層に残るマス目の数を目視で確認した。
実用上、接着層に残るマス目の数が95個以上になることが好ましい。
【0038】
(5)金属接着性
積層体を、幅25mm×長さ100mmに切断し、評価用試験品を作製した。
得られた評価用試験品を、引張試験機(インテスコ株式会社製「インテスコ精密万能材料試験機2020型」)を用いて、20℃の雰囲気下、金属蒸着層と接着層との間の180度剥離試験をおこなった。引張速度は50mm/分でおこなった。
実用上、材料破壊するか、金属蒸着層/接着層の界面で剥離した場合でも剥離強度が20N/25mm以上であることが好ましい。
◎:金属蒸着層/接着層の界面で剥離せず、積層体が破れた(材料破壊)。
○:金属蒸着層/接着層の界面で剥離し、剥離強度が20N/25mm以上であった。
△:金属蒸着層/接着層の界面で剥離し、剥離強度が10N/25mm以上、20N/25mm未満であった。
×:金属蒸着層/接着層の界面で剥離し、剥離強度が10N/25mm未満であった。
【0039】
(6)変形時外観
(5)で得られた評価用試験品の長さ方向の両端を、引張試験機(インテスコ株式会社製「インテスコ精密万能材料試験機2020型」)を用いて、20℃の雰囲気下、評価用試験品の長さが200mmになるまで引張り、外観を観察した。
○:金属蒸着層に、ひび割れおよび色ムラがいずれも見られない。
×:金属蒸着層に、ひび割れまたは色ムラいずれかが見られる。
【0040】
実施例および比較例で用いたポリエステルは、下記のようにして製造した。
【0041】
実施例1
ジカルボン酸成分として、テレフタル酸(TPA)87g、イソフタル酸(IPA)96g、ジオール成分として、エチレングリコール(EG)46g、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(BEPG)76gをオートクレーブ中に仕込んで、240℃で0.35MPa制圧下、5時間エステル化反応をおこなった。仕込樹脂組成は、TPA/IPA/EG/BEPG=50:50:70:65(モル比)であった。ついで、触媒として、チタン酸−n−ブチルモノマーを0.2g(TPA1モルあたり6.0×10
−4モル)を添加した後、系の温度を245℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1時間後に13Paとした。この条件下でさらに3時間縮重合反応を続け、ポリエステルを得た。
【0042】
得られたポリエステル100質量部とヘキサメチレンジイソシアネート5質量部を、トルエン/メチルエチルケトンの8/2(質量比)の混合溶媒245質量部に溶解し、樹脂溶液を作製した。
【0043】
一方、38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、厚みが10μmになるようにアルミ蒸着をおこなった。その後、アルミ蒸着面に、先に得られた樹脂溶液を、乾燥後の樹脂厚みが25μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、100℃で30秒間乾燥し、積層体を得た。
【0044】
実施例2〜13、比較例1〜4
ポリエステルの仕込樹脂組成、重縮合反応時間を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこない、積層体を作製した。
【0045】
実施例14〜17
実施例1の積層体の接着層の上に、粘着層としてメタクリル酸とメタクリル酸ヒドロキシエチルの共重合体[メタクリル酸:メタクリル酸ヒドロキシエチル=50:50(モル比)]を、乾燥後の樹脂厚みが10μmになるようにバーコーターを用いて塗布し、その後、100℃で30秒間乾燥し、積層体を得た。
【0046】
実施例18
用いる架橋剤を、ヘキサメチレンジイソシアネートに代えて日清紡ケミカル社製カルボジライトLA−1(カルボジイミド)とし、乾燥条件を100℃で10分とする以外は、実施例1と同様の操作をおこない、積層体を作製した。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1〜18の積層体は、金属密着性が高く、変形試験においても、金属蒸着面にひび割れや色ムラが発生しなかった。
【0049】
比較例1、2の積層体は、ポリエステルのジオール成分として、一般式(1)で示される化合物を用いていなかったため、金属密着性が低く、変形試験において、金属蒸着面にひび割れや色ムラが発生した。
比較例3の積層体は、ポリエステルのジオール成分において、一般式(1)で示される化合物の含有量が少なかったため、金属密着性が低く、変形試験において、金属蒸着面にひび割れや色ムラが発生した。
比較例4の積層体は、ポリエステルのジオール成分において、一般式(1)で示される化合物の含有量が多かったため、金属密着性が低かった。