特許第5885514号(P5885514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885514
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】サイドエアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20160301BHJP
   B60R 21/231 20110101ALI20160301BHJP
【FI】
   B60R21/207
   B60R21/231
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-8419(P2012-8419)
(22)【出願日】2012年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-147119(P2013-147119A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】503175047
【氏名又は名称】オートリブ株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】氏家 亨
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−025909(JP,A)
【文献】 特開2010−132072(JP,A)
【文献】 特開2008−201297(JP,A)
【文献】 特開2003−285709(JP,A)
【文献】 特開2000−052904(JP,A)
【文献】 特開平10−086783(JP,A)
【文献】 特開2000−280853(JP,A)
【文献】 米国特許第05967603(US,A)
【文献】 特開2000−272463(JP,A)
【文献】 特開2006−315453(JP,A)
【文献】 特開2001−163159(JP,A)
【文献】 特開2004−291845(JP,A)
【文献】 特開2010−179821(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/030995(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/014773(WO,A1)
【文献】 特開2013−154786(JP,A)
【文献】 特開2013−147041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16 − 21/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席の側部から乗員とドアトリムとの間に膨張展開するサイドエアバッグであって、
車両上下方向において前記乗員の腰部から脇までにかけて膨張展開するよう縫製によって立体的な形状に形成されていて、
当該サイドエアバッグは、その上部において前記乗員の上腕の下側に沿うよう、車両後方から車両前方へ向かって下方へ傾斜した傾斜面を備え
少なくとも前記傾斜面から側面にわたる領域は、連続した布地で構成されていることを特徴とするサイドエアバッグ。
【請求項2】
座席の側部から乗員とドアトリムとの間に膨張展開するサイドエアバッグであって、
車両上下方向において前記乗員の腰部から脇までにかけて膨張展開するよう縫製によって立体的な形状に形成されていて、
当該サイドエアバッグは、その上部において前記乗員の上腕の下側に沿うよう、車両後方から車両前方へ向かって下方へ傾斜した傾斜面を備え、
前記縫製は、少なくとも前記傾斜面および該傾斜面と側面との間の稜線部を除いて行われていることを特徴とするサイドエアバッグ
【請求項3】
座席の側部から乗員とドアトリムとの間に膨張展開するサイドエアバッグであって、
車両上下方向において前記乗員の腰部から脇までにかけて膨張展開するよう縫製によって立体的な形状に形成されていて、
当該サイドエアバッグは、その上部において前記乗員の上腕の下側に沿うよう、車両後方から車両前方へ向かって下方へ傾斜した傾斜面を備え、
前記傾斜面から両側の側面および前面ならびに上面にわたる領域は、連続した布地で構成されていることを特徴とするサイドエアバッグ
【請求項4】
座席の側部から乗員とドアトリムとの間に膨張展開するサイドエアバッグであって、
車両上下方向において前記乗員の腰部から脇までにかけて膨張展開するよう縫製によって立体的な形状に形成されていて、
当該サイドエアバッグは、その上部において前記乗員の上腕の下側に沿うよう、車両後方から車両前方へ向かって下方へ傾斜した傾斜面を備え、
前記縫製は、少なくとも前記傾斜面および該傾斜面と該傾斜面の周囲の面との間における稜線部を除いて行われていることを特徴とするサイドエアバッグ
【請求項5】
当該サイドエアバッグはその下部が、前記ドアトリムの下部に配置され該ドアトリムの他の領域よりも乗員側へ突出しているアームレストの突出量に応じ、該サイドエアバッグの上部よりも薄い厚みに形成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のサイドエアバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内において主に緊急時における乗員保護を目的として膨張展開するサイドエアバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、車両にはエアバッグがほぼ標準装備されている。エアバッグは、車両衝突などの緊急時に作動する安全装置であって、膨張展開して乗員を受け止め保護する。エアバッグには、設置箇所や用途に応じて様々な種類がある。例えば、前後方向からの衝突から運転者を守るために、ステアリングの中央にはフロントエアバッグが設けられている。また、側面衝突やそれに続いて起こるロールオーバ(横転)から乗員を守るために、壁部の天井付近からサイドウィンドウに沿って膨張展開するカーテンエアバッグや、座席の側部から乗員のすぐ脇へ膨張展開するサイドエアバッグなどが設けられている。
【0003】
サイドエアバッグは、主に座席の側部に設置されていて、乗員とドアトリムとの間に向かって膨張展開するエアバッグである。サイドエアバッグは、乗員の身体のうち特に上半身の保護を想定して構成されている。例えば、特許文献1に記載のサイドエアバッグは、シートクッションの上面から乗員の肩口までにかけて膨張展開している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−194936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1のサイドエアバッグでは、その外周の部分に縫合部が設けられている。通常、サイドエアバッグは乗員に接触しながら展開する。その際、上記の縫合部のような突起している部分や硬い部分があると、乗員との間の摩擦が大きくなり、乗員に擦り傷などを負わせる可能性が高くなる。特に、乗員の皮膚が露出している場合など、酷い場合では火傷のような擦過傷を生じさせるおそれがある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑み、展開時における安全性能を高め、かつ、コスト上昇を抑えたサイドエアバッグを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかるサイドエアバッグの代表的な構成は、座席の側部から乗員とドアトリムとの間に膨張展開するサイドエアバッグであって、車両上下方向において乗員の腰部から脇までにかけて膨張展開するよう形成されていて、当該サイドエアバッグは、その上部において乗員の上腕の下側に沿うよう、車両後方から車両前方へ向かって下方へ傾斜した傾斜面を備えることを特徴とする。
【0008】
当該サイドエアバッグは、乗員の身体のうち、脇から腰部にかけてとドアトリムとの間に膨張展開する。特に、上記構成では、傾斜面を設けることで、上腕への直接的な接触を避けている。この構成によって、膨張展開時において、身体の中でも皮膚が露出している場合の多い上腕に対して擦過傷等を負わせることを防ぎ、安全性能を高めることができる。
【0009】
当該サイドエアバッグでは、肩部から上腕にかけての部位をあえて直接的には保護しておらず、保護対象を脇から腰部にかけての部位に限定した、従来の構成に比べて小型化した構成となっている。しかし、身体のなかでも特にドアトリムからの距離が遠い胸部および腹部を拘束することで、乗員の身体全体の移動量を効率よく抑えることが可能であるため、乗員の拘束性能は低下していない。そして、このように小型化することで、材料となる布地の量を節約し、かつ低出力で安価なインフレータの使用が可能になるため、コスト低下に資することが可能になる。
【0010】
当該サイドエアバッグは、縫製によって立体的な形状に形成されていて、少なくとも傾斜面から側面にわたる領域は、連続した布地で構成されていてもよい。連続した布地とは、傾斜面から側面にわたる領域に繋ぎ目が存在しないこと、すなわち乗員の上腕に接触しやすい領域に縫製ラインが存在しないことを意味している。縫製ラインは、他の領域に比べてやや硬く、かつ、凹凸がある。このような縫製ラインは乗員に接触した際の摩擦が大きくなりやすいため、上記構成であれば乗員へ擦過傷等を負わせる可能性を減らすことができる。
【0011】
当該サイドエアバッグは、縫製によって立体的な形状に形成されていて、縫製は、少なくとも傾斜面および傾斜面と側面との間の稜線部を除いて行われていてもよい。この構成も、上腕に接触しやすい領域である傾斜面および傾斜面と側面の間の稜線部(側面部と側面との角)に縫製ラインを設けないこととしていて、これによって乗員へ擦過傷等を負わせる可能性を減らすことができる。
【0012】
当該サイドエアバッグは、縫製によって立体的な形状に形成されていて、傾斜面から側面および前面ならびに上面にわたる領域は、連続した布地で構成されていてもよい。すなわち、このサイドエアバッグは、傾斜面からその周囲の面にわたる領域に縫製ラインが存在しない構成となっている。この構成によれば、乗員へ擦過傷等を負わせる可能性を効率よく減らすことができる。
【0013】
サイドエアバッグは、縫製によって立体的な形状に形成されていて、縫製は、少なくとも傾斜面および傾斜面と傾斜面の周囲の面との間における稜線部を除いて行われていてもよい。この構成によっても、上腕に接触しやすい領域に縫製ラインを設けないこととしていて、これによって乗員へ擦過傷等を追わせる可能性を効率よく減らすことができる。
【0014】
当該サイドエアバッグはその下部が、ドアトリムの下部に配置されドアトリムの他の領域よりも乗員側へ突出しているアームレストの突出量に応じ、サイドエアバッグの上部よりも薄い厚みに形成されていてもよい。このような立体的な形状にすることで、乗員の身体を効率よく拘束することが可能になり、乗員の車外放出防止性能がさらに向上する。
【0015】
上記の傾斜面の傾斜角度は、水平線に対して30°から70°の範囲で設定されてもよい。この角度設定であれば、乗員の姿勢に多少の変動があっても広く対応することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、展開時における安全性能を高め、かつ、コスト上昇を抑えたサイドエアバッグを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態にかかるサイドエアバッグを例示した図である。
図2図1のサイドエアバッグと乗員との関係を例示した図である。
図3図1のサイドエアバッグを単独で例示した図である。
図4図1のサイドエアバッグの変形例を挙げた図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態にかかるサイドエアバッグ100を例示した図である。この図1では、サイドエアバッグ100の車両への取付け後の状態を表している。図1の座席102は、左前部座席を想定したものである。サイドエアバッグ100は、この座席102の側部に設置され、座席102に座っている乗員104と車両壁部のドアトリム110(図2(b)参照)との間に向かって膨張展開する。
【0020】
サイドエアバッグ100は袋状に形成されていて、その製造には例えば表裏の面を構成する計2枚の基布から縫製する方法や、OPW(One-Piece Woven)を用いて紡織する方法などが用いられている。サイドエアバッグ100の内部には、インフレータ(図示省略)と呼ばれるガス発生装置が備えられている。このサイドエアバッグ100は、膨張展開前は座席側部のハウジング(図示省略)の内部に収納されていて、さらに座席102の外装材に覆われているために視認できない。そして、車両衝突などの緊急時において、センサ(図示省略)衝撃の検知に起因してインフレータからガスが供給され、外装材を押しのけて膨張展開する。
【0021】
当該サイドエアバッグ100は、コスト上昇を抑えたまま、安全性能の向上が図れるよう工夫がなされている。以下、サイドエアバッグ100の構成についてさらに説明する。
【0022】
図2は、図1のサイドエアバッグ100と乗員104との関係を例示した図である。図2(a)は、サイドエアバッグ100と乗員104とを、車両外側(ドア側)から見た状態で表している。図2(a)では、乗員104をいわゆるダミー人形として図示している。詳しくはAM50と称されるモデルのダミー人形であって、このAM50とは、成人男性の50%に適合する体格(身長178cm、体重72kg)を想定したモデルである。本実施形態では乗員104をAM50としているが、これ以外のモデルやこれと異なる体格の人物を想定しそれに合わせてサイドエアバッグの設計をすることも可能である。
【0023】
当該サイドエアバッグ100は、車両上下方向において、乗員104の腰部E1から脇E4までにかけて膨張展開するよう形成されている。特に、サイドエアバッグ100は、上腕E6および肩部E5をあえて直接の保護対象にはせず、保護対象を腰部E1から脇E4にかけての部位、特に胸部E3および腹部E2に限定している。これは、主に、膨張展開時において、身体の中でも皮膚が露出している場合の多い上腕E6に対して負傷を負わせることを防ぐための構成である。
【0024】
サイドエアバッグ100の傾斜面108は、上腕E6への直接的な接触を避けるために形成された部位である。傾斜面108は、車両後方から車両前方へ向かって、乗員104の上腕E6の下側に沿って下方へ傾斜するよう形成されている。この傾斜面108によって、膨張展開時において、上腕E6に擦過傷等を負わせることを防ぎ、安全性能を高めることができる。
【0025】
傾斜面108の傾斜角度αの例として、本実施形態では、水平線H1に対して45°に設定している。すなわち、乗員104の上腕E6が水平線H1に対して45°の角度となっているときを想定し、この上腕E6に沿わせるよう角度設定している。しかし、傾斜面108の角度はこれに限らず、乗員104の体格や姿勢等に合わせて適宜設定してよい。その場合、30°から70°の範囲で角度設定するとよい。車両に搭乗している際には乗員104の上腕E6は様々な角度をとり得るが、この角度範囲の傾斜面108であれば、上腕E6の角度に多少の変動があっても広く対応することが可能になる。一方、傾斜面108の角度が30°よりも小さいと、展開時に傾斜面108の前側が上腕E6を押圧してしまい、これを避けるために傾斜面108の位置を下げてしまうと脇E4の保護が疎かになってしまう。また、傾斜面108の角度が70°より大きい場合にも傾斜面108の上部が上腕E6を押圧してしまうおそれがある。いずれの場合にも、傾斜面108が上腕E6を押圧してしまうと、擦過傷等を負わせるおそれ、または乗員の姿勢を乱してシートベルト等による拘束に支障をきたすおそれがあり、好ましくない。
【0026】
当該サイドエアバッグ100では、車両前後方向の幅W1が、このサイドエアバッグ100の後端109から腹部E2の前面までの幅W2よりも小さく形成されている(W2>W1)。これらのように、サイドエアバッグ100は、乗員104を安全に拘束するための最小限の形状に形成されていて、これによって乗員104の拘束性能を低下させることなく材料費およびガス容量が効率よく抑えられている。
【0027】
図2(b)は、図2(a)のサイドエアバッグ100および乗員104を車両前方から見た状態で表している。上記説明したように、サイドエアバッグ100は、脇E4から腰部E1にかけてとドアトリム110との間に膨張展開する。この脇E4から腰部E1にかけての部位のうち、例えば腹部E2とドアトリム110との距離D1は、肩部E5とドアトリム110との距離D2よりも遠い。すなわち、胸部E3等は、車両に衝撃が加えられた場合において、肩部E5に比べて移動の起こり得る余地が多い。この点を鑑みて、上記構成では、胸部E3等を直接に拘束することで、乗員104の身体全体の移動量を効率よく抑えることを可能にし、これによって肩部E5の移動量をも間接的に抑えることが可能となっている。
【0028】
上記構成の当該サイドエアバッグ100であれば、胸部E3等を拘束することで、肩部E5への荷重の集中を防ぐことができるため、肩部E5がドアトリム110に接触したとしても比較的安全である。これらのように、サイドエアバッグ100は、胸部E3等を直接的に保護し、肩部E5の移動量も間接的に抑えかつ肩部E5を安全にドアトリム110に接触させ、これらをもって乗員104の車外放出を防ぐことが可能になっている。このように、サイドエアバッグ100は、従来の構成に比べて小型化しているものの、乗員104の拘束性能は低下していない。そして、小型化することで材料となる布地の量を節約し、低出力で安価なインフレータの使用を可能にしているため、コスト低下に資することが可能になっている。
【0029】
図3は、図1のサイドエアバッグ100を単独で例示した図である。図3(a)は、サイドエアバッグ100のうち、縫製ラインL1を強調した図である。当該サイドエアバッグ100は、縫製によって立体的な形状に形成されているが、安全性能に配慮して縫製ラインL1を設けている。
【0030】
サイドエアバッグ100では、乗員104(図2(a)参照)の上腕E6に擦過傷等を負わせる可能性を減らすために、上腕E6に接触しやすい傾斜面108の周囲には縫製ラインL1を設けていない。詳しくは、傾斜面108自体に加え、傾斜面108と側面パネル部116a(116b)(側面)との間の稜線部117a・117b(角)、傾斜面108と前面パネル部118(前面)との間の稜線部119、および傾斜面108と上面パネル部120(上面)との間の稜線部121を除いて、縫製を行っている。縫製ラインL1は、他の領域に比べてやや硬く、かつ、凹凸がある。このような縫製ラインL1は乗員104に接触した際の摩擦が大きくなりやすいため、当該サイドエアバッグ100では、傾斜面108の周囲では縫製を行っていない。
【0031】
図3(b)は、図3(a)のサイドエアバッグ100の展開図である。上記図3(a)を参照して説明した構成を実現するために、図3(b)に例示するように、サイドエアバッグ100は、一枚の布地(ファブリック)から構成されている。そのうち、傾斜面108から側面パネル部116a・116b、および傾斜面108から前面パネル部118または上面パネル部120にわたる領域は、連続した布地で構成されている。このようにしてサイドエアバッグ100は、上腕E6(図2(a)参照)に接触しやすい傾斜面108およびその周囲に布地の繋ぎ目である縫製ラインL1が存在しない構成となっていて、これにより乗員へ擦過傷等を負わせる可能性を効率よく減らしている。
【0032】
なお、膨張展開に利用したガスの排出口であるベントホール112は、ガスが乗員104に当たらないよう車両前側下部に設けていて、ここにおいても安全性能を配慮している。
【0033】
(変形例)
図4は、図1のサイドエアバッグ100の変形例を挙げた図である。図4(a)は、サイドエアバッグ200の図1に対応した斜視図である。このサイドエアバッグ200は、特に車外側の形状において、図1のサイドエアバッグ100と異なっている。なお、サイドエアバッグ100と同じ構成については、同一の符号を記すことでその説明を省略する。
【0034】
図4(b)は、図2(b)に対応して、サイドエアバッグ200を車両前方から見た図である。通常、ドアトリム110はその下部に、他の領域よりも乗員104側へ突出しているアームレスト114を有している。このことに応じて、サイドエアバッグ200では、その下部200aにおいてアームレスト114の突出量D3に応じて厚みW3を薄く形成し、上部200bは厚みW4を厚みW3よりも厚く形成している。このような立体的な形状にすることで、サイドエアバッグ200は車外側をドアトリム110により好適に支えられることになる。これによって、サイドエアバッグ200は、全体としては小型化を達成しつつ、乗員104の身体をさらに効率よく拘束することが可能になっていて、これによって乗員104の車外放出防止性能がさらに向上されている。
【0035】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、以上に述べた実施形態は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定される主旨の記載がない限り、この発明は、添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨の記載がない限り、それに限定されるものではない。
【0036】
したがって、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0037】
また、上記実施形態においては本発明にかかるサイドエアバッグ100を自動車に適用した例を説明したが、その技術的思想はサイドエアバッグ100以外のエアバッグ装置にも適用可能であり、またそのエアバッグ装置は自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であって、同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両内において主に緊急時における乗員保護を目的として膨張展開するサイドエアバッグに利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
D1 …腹部とドアトリムとの距離、D2 …肩部とドアトリムとの距離、D3 …アームレストの突出量、E1 …腰部、E2 …腹部、E3 …胸部、E4 …脇、E5 …肩部、E6 …上腕、L1 …縫製ライン、W1 …サイドエアバッグの車両前後方向の幅、W2 …サイドエアバッグの後端から腹部の前面までの幅、100 …サイドエアバッグ、102 …座席、104 …乗員、108 …傾斜面、109 …サイドエアバッグの後端、110 …ドアトリム、112 …ベントホール、114 …アームレスト、116a・116b …側面パネル部、117a・117b・119・121 …稜線部、118 …前面パネル部、120 …上面パネル部、200 …サイドエアバッグ、200a …サイドエアバッグの下部、200b …サイドエアバッグの上部
図1
図2
図3
図4