特許第5885539号(P5885539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885539
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20160301BHJP
   B41J 25/34 20060101ALI20160301BHJP
【FI】
   B41J2/32 C
   B41J25/34
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-43619(P2012-43619)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180403(P2013-180403A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 仁
【審査官】 大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−299279(JP,A)
【文献】 特開平06−143736(JP,A)
【文献】 実開昭62−121943(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32
B41J 25/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームがプリンタ本体から脱着可能なサーマルプリンタであって、
一端に設けられた凸部及び他端に設けられた爪部を有するサーマルヘッドフレームと、
前記凸部および前記爪部を除いた前記サーマルヘッドフレームの幅よりも広く、かつ、前記凸部および前記爪部を含めた前記サーマルヘッドフレームの幅より狭い間隔で対向してプリンタ本体に設けられ、前記凸部が入る穴及び前記爪部が入る穴が形成された一対のサーマルヘッドフレーム取付部と、
前記一対のサーマルヘッドフレーム取付部の間で前記プリンタ本体と前記サーマルヘッドフレームに当接するように設けられ、前記爪部が前記サーマルヘッドフレーム取付部に係合する方向にサーマルヘッドフレームを付勢するスプリング部材と、を有するサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記サーマルヘッドフレームには、前記爪部が前記サーマルヘッドフレーム取付部に係合する位置からスライドさせて取り外す際に常に前記スプリング部材と当たる位置に渡って突起部が設けられている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記突起部は、前記一対のサーマルヘッドフレーム取付部の間における垂直断面が円弧状である請求項2に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルヘッドを用いて用紙に印字するサーマルプリンタに係り、特にサーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームがプリンタ本体から脱着可能なサーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーマルヘッドを用いて印字するサーマルプリンタがある。サーマルヘッドは、基板上に多数の発熱体が一列に並べられて形成されたいわゆるラインサーマルヘッドで、発熱体の並び方向を用紙搬送方向に直交させて配設される。
【0003】
サーマルヘッドには、プラテンローラが対向して配置され、サーマルヘッドがプラテンローラに付勢されて圧接している。用紙が搬送される用紙搬送路は、サーマルヘッドとプラテンローラとの間に形成される。
【0004】
用紙は、プラテンローラが回転することによって搬送されながら、サーマルヘッドによって印字される。
【0005】
ところで、特許文献1に示されているように、サーマルヘッドはヘッドフレームに固定されており、ヘッドフレームはヘッドフレームに設けられたヘッドフレーム軸やコイルばね等を介してサーマルプリンタ本体に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−143736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引用文献1のようなサーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームは、組み立てやメンテナンスやサーマルヘッド交換の際に、サーマルプリンタ本体からの脱着が煩雑であるという問題があった。特に、サーマルヘッドは長期間の使用により磨耗や断線などで損傷するため、サーマルヘッドを交換する必要が生じる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームの脱着作業をコストアップすることなく容易に行うことができるサーマルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るサーマルプリンタは、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームがプリンタ本体から脱着可能なサーマルプリンタであって、一端に設けられた凸部34a及び他端に設けられた爪部36bを有するサーマルヘッドフレームと、前記サーマルヘッドフレームの幅より狭い間隔で対向してプリンタ本体に設けられた、前記凸部が入る穴及び前記爪部が入る穴が形成された一対のサーマルヘッドフレーム取付部と、前記一対のサーマルヘッドフレーム取付部の間に設けられたスプリング部材と、を有する。
本発明によれば、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームの着脱には専用工具などを必要とせず、サーマルプリンタのコストアップとなることのない安価な構成により、サーマルヘッドフレームの脱着作業を容易にすることができる。
本発明においては、前記サーマルヘッドフレームには、脱着時に前記スプリング部材が該サーマルヘッドフレームと当たる部分に、突起部が設けられていることが好ましい。更に、前記突起部は、前記一対のサーマルヘッドフレーム取付部の間における垂直断面が円弧状であることが好ましい。
本発明によれば、サーマルヘッドフレームのスプリング部材がサーマルヘッドフレームと当たる部分においてスプリング部材との摩擦を脱着時に減少させることができるので、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームのプリンタ本体から脱着が更に容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るサーマルプリンタによれば、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレームの脱着作業をコストアップすることなく容易に行うことができるサーマルプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの概略側面構成図
図2】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタのサーマルヘッドを取り付けたサーマルヘッドフレームを示す斜視図
図3】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタの概略正面図
図4】本発明の実施形態のサーマルプリンタの着脱工程を示す概略正面図
図5】本発明の実施形態に係るサーマルプリンタのサーマルヘッドを取り付けたサーマルヘッドフレームの裏面を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係るサーマルプリンタの好ましい実施の形態を詳説する。
【0013】
図1は、本発明に係るサーマルプリンタ10の概略側面構成図である。このサーマルプリンタ10は、ラベル12のラベル表面に、所定の情報を印字して発行するプリンタである。
【0014】
本発明に係るサーマルプリンタ10において、ラベル12が、上ガイド板20と下ガイド板22,23とから成るラベルガイドに案内され、サーマルヘッド26とプラテンローラ28から成る印字部30に給紙される。プラテンローラ28の回転軸はタイミングベルト又はギヤ(不図示)を介して正逆回転可能なモータの駆動軸に連結されている。駆動軸を回転させると、その回転力がタイミングベルト又はギヤを介してプラテンローラ28まで伝達され、ラベル12が同図中矢印A方向(搬送方向上流側から下流側に)に搬送される。
【0015】
サーマルプリンタ10のプリンタ本体16は、一般的に、プリンタ下部16aとプリンタ上部16bとからなり、プリンタ上部16bは開閉可能となっている。
【0016】
印字部30は、ラベル搬送路32を間にして対向配置されたサーマルヘッド26とプラテンローラ28とにより形成されている。
【0017】
サーマルヘッド26は、基板(不図示)上に多数の発熱体(不図示)が一列に並べられて形成されたいわゆるラインサーマルヘッドで、発熱体の並び方向をラベル搬送方向に直交させて配設される。基板の発熱体が形成された面の反対側の面には、金属で形成されて導電性を有する放熱板が貼り付けられている。
【0018】
また、サーマルヘッド26は、電源及び印字信号用のコネクタ(不図示)が設けられ、このコネクタにプリンタ本体16からの配線コネクタ(不図示)が連結される。
【0019】
図2に示すように、本発明に係るサーマルヘッド26は、サーマルヘッド26を固定するサーマルヘッドフレーム34に取り付けられている。
【0020】
そして、サーマルヘッド26が取り付けられたサーマルヘッドフレーム34には、サーマルヘッドフレーム34の一端は平坦な凸部34a、他端はL字に形成された爪部34bが設けられている。
【0021】
また、図3に示すように、プリンタ本体16のプリンタ上部16bには、一対のサーマルヘッドフレーム取付部40a,40bが取り付けられている。一対のサーマルヘッドフレーム取付部40a,40bには、サーマルヘッドフレーム34の平坦な凸部34aが入る穴42a及びL字に形成された爪部34bが入る穴42bが形成されている。
【0022】
なお、一対のサーマルヘッドフレーム取付部40a,40bは、サーマルヘッドフレーム34の幅より狭い間隔で対向して設けられている。詳しくは、一対のサーマルヘッドフレーム取付部40a,40bは、サーマルヘッドフレーム34の幅から凸部34aの幅を除いた幅以上の間隔で設けることも必要である。
【0023】
そして、プリンタ本体16には、スプリング部材44,44が一対のサーマルヘッドフレーム取付部40a,40bの間に設けられている。
【0024】
このように構成された本実施形態のサーマルプリンタの作用を説明する。
【0025】
まず、サーマルヘッド26を取り付けるには、サーマルヘッド26が取り付けられたサーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34を取り付けることにより行われる(図4参照)。
【0026】
サーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34の取り付けは、プリンタ上部16bを開き、サーマルヘッド26をプラテンローラ28から離間した状態で行う。
【0027】
初め、サーマルヘッドフレーム34の平坦な凸部34aをプリンタ上部16bに設けられたサーマルヘッドフレーム取付部40の穴42aに挿入する(図4(A))。次いで、サーマルヘッドフレーム34の裏面35に形成された後述の突起部36,36でスプリング部材44,44の付勢力に抗してスプリング部材44,44を押し上げながらサーマルヘッドフレーム34をサーマルヘッドフレーム取付部40bの穴42bの方向にずらし、サーマルヘッドフレーム34のL字に形成された爪部34bをサーマルヘッドフレーム取付部40bの穴42bに挿入する(図4(B))。これによりサーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34をプリンタ本体16に取り付けできる(図4(C))。すなわち、L字形状に形成された爪部34bが穴42bに係合することで、サーマルヘッドフレーム取付部40a、40bに対してサーマルヘッドフレーム34の発熱体の並び方向の移動が規制される。また、サーマルヘッドフレーム34の裏面35からスプリング部材44,44によって付勢力を与えているため、爪部34bが穴42bの内壁に当接した状態で係合した状態で固定される。
【0028】
なお、図3及び図4において、サーマルヘッドフレーム取付部40bとサーマルヘッド26の端面との隙間(図4(C)参照)が生じているが、実際には、サーマルヘッドフレーム取付部40の厚みとL字に形成された爪部34bとは隙間が殆ど生じないように、L字に形成された爪部34bとサーマルヘッド26の端面との隙間Bとサーマルヘッドフレーム取付部40の厚みは略一致していることが好ましく、このような構造とすることでサーマルヘッドフレーム34の発熱体の並び方向への移動がしっかりと規制することができる。
【0029】
サーマルヘッドフレーム34は、スプリング部材44,44の付勢作用によって常に付勢力が付与され、サーマルヘッド26の長手方向及び長手方向に直行する方向のガタの発生が防止できる。この後、プリンタ上部16bを閉じれば、サーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34を取り付け作業が終了し、このスプリング部材44,44の付勢力がプラテンローラ28側に作用し、適正な印字圧が与えられる。
【0030】
次に、サーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34の取り外しも、プリンタ上部16bを開き、サーマルヘッド26をプラテンローラ28から離間した状態で行う。この状態で、図4(C)におけるL字に形成された爪部34bを押し込んだ状態でサーマルヘッドフレーム取付部40bをサーマルヘッドフレーム取付部40a側にスライドさせて爪部34bを穴42bから取り外す。これによりL字に形成された爪部34bとサーマルヘッドフレーム取付部40bとの係合が解かれ、サーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34を図4の(C)、(B)、(A)の順に作業を行うことで取り外すことができる。
【0031】
このように、本発明のサーマルプリンタによれば、サーマルヘッド26をプリンタ本体16に極めて容易に脱着作業を行うことができ、また、サーマルヘッド26の位置決めも容易に行うことができる。特に、サーマルヘッド26が取り付けられたサーマルヘッドフレーム34の着脱には専用工具などを必要としない。また、本発明に係るサーマルヘッド26付きのサーマルヘッドフレーム34は、サーマルプリンタのコストアップとなることのない安価な構成である。
【0032】
なお、本発明においては、図3図4に示したように、サーマルヘッドフレーム34の裏面35には、サーマルヘッドフレーム34の脱着時にスプリング部材44,44がサーマルヘッドフレーム34と当たる部分に、突起部36,36が設けられていることが好ましい。更に、突起部36,36は、図5に示すように、垂直断面A−Aが円弧状となる突起であることが好ましい。また、突起部36,36はサーマルヘッドフレーム34の脱着時において、サーマルヘッドフレーム34をスライドさせたときにスプリング部材44,44が当接する部位に渡ってその長さを形成するのが好ましい。
【0033】
このように、脱着時にスプリング部材44,44がサーマルヘッドフレーム34と当たる部分に、突起部36,36が設けられていることで、サーマルヘッドフレーム34のスプリング部材44,44がサーマルヘッドフレーム34と当たる部分においてスプリング部材との摩擦を脱着時に減少させることができるので、サーマルヘッドが取り付けられたサーマルヘッドフレーム34のプリンタ本体16から脱着が更に容易となる。すなわち、図4(B)に示すように突起部36,36によって、スプリング部材44,44の付勢力に抗した状態でサーマルヘッドフレーム34を穴42b側にずらすことになる。このときスプリング部材44,44の先端と垂直断面が円弧状の突起部36,36の頂点とが接触するためサーマルヘッドフレーム34を穴42b側にずらす際の摩擦を減少させることによって、容易にサーマルヘッドフレーム34を装着することができる。また、取り外す際も同様に摩擦を減少させることができ、容易に着脱が可能となる。
【0034】
なお、上述したような実施の形態に示したサーマルプリンタの構成は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態の図では、スプリング部材44は2個で示しているが、1個でも良く、2個より多くても良い。また、本実施形態の図では、スプリング部材44は、バネからなる部材を示しているが、例えば、板バネであっても良い。
【0035】
また、本実施形態では、サーマルプリンタはラベルがサーマルプリンタ外部から給紙される例で説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、例えば、ラベルロールがサーマルプリンタ本体に支持されたものであっても良いのは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
10…サーマルプリンタ、12…ラベル、16…プリンタ本体、16a…プリンタ下部、16b…プリンタ上部、20…上ガイド板、22…下ガイド板、23…下ガイド板、26…サーマルヘッド、28…プラテンローラ、30…印字部、32…ラベル搬送路、34…サーマルヘッドフレーム、34a…凸部、34b…爪部、35…サーマルヘッドフレームの裏面、40a,40b…サーマルヘッドフレーム取付部、42a,42b…穴、44…スプリング部材
図1
図2
図3
図4
図5