特許第5885556号(P5885556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885556
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   G07D9/00 461B
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-73158(P2012-73158)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-206037(P2013-206037A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】今泉 浩
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−107753(JP,A)
【文献】 特開2002−217905(JP,A)
【文献】 特開昭62−219162(JP,A)
【文献】 特開2008−107934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力が行われる操作端末部と、
前記操作端末部とは別体であって貨幣の取扱い処理を行う貨幣処理部と、
前記操作端末部と前記貨幣処理部とを通信可能に結合する通信手段と、
を備えた貨幣処理システムであって、
前記操作端末部は、
操作入力が行われると、当該操作入力に関連する通信データを前記通信手段を通して前記貨幣処理部に向けて発行する操作端末部制御手段と、
警報を報知する操作端末部報知手段と、
を備え、
前記貨幣処理部は、
前記操作端末部制御手段から前記通信手段を通して発行された前記通信データを認識する認識手段と、
前記通信データの中の少なくとも一部のデータに対応する認証情報を予め記憶する記憶手段と、
認証情報が入力される入力手段と、
前記認識手段が前記通信データを認識した際に、該通信データの中の前記少なくとも一部のデータに対応して前記記憶手段に記憶された認証情報と、前記入力手段に入力された認証情報とを比較し、これら認証情報の一致を確認した場合のみ、前記認識手段で認識した前記通信データに基づいて前記取扱い処理を制御する貨幣処理部制御手段と、
警報を報知する貨幣処理部報知手段と、
を備え
前記貨幣処理部制御手段は、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定時間内に前記一致を確認しなかった場合、および、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定回数連続して前記一致を確認しなかった場合には、前記貨幣処理部報知手段に警報を報知させるとともに、前記操作端末部制御手段によって前記操作端末部報知手段に警報を報知させることを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
前記操作端末部は、操作者の操作者IDを含む認証を行う認証手段を有し、
前記少なくとも一部のデータは、前記操作者IDであることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも一部のデータは、前記取扱い処理の特定の処理情報であることを特徴とする請求項1記載の貨幣処理システム。
【請求項4】
前記貨幣処理部制御手段は、前記取扱い処理が貨幣を機内から機外へ移動させる処理である場合に限り、前記一致の確認を条件として前記取扱い処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項5】
前記貨幣処理部制御手段は、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定時間内に、前記一致を確認した場合には、前記通信手段を通して前記操作端末部に向けて、前記通信データを正常に受け付けた旨を応答することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項6】
前記認証情報を前記記憶手段に記憶する登録モードの際に、前記認証情報と前記少なくとも一部のデータとを関連付けて前記記憶手段に記憶させる登録手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項記載の貨幣処理システム。
【請求項7】
前記登録モードの実行には、少なくとも管理者IDを必要とすることを特徴とする請求項記載の貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を少なくとも出金可能な貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理機においては、例えば、宅配便のドライバである担当者が顧客から代金引換で回収した代金を入金したり、代金引換のための釣銭準備金を仮払いしたり、また管理者が釣銭準備金を補充したり、売上金を収納したり、さらには警備会社の売上金回収担当者が売上金を回収したり、というように、1台の貨幣処理機を、権限の異なる複数の操作者で複数の操作用途に使用可能とされたものが知られている。このような貨幣処理機では、各操作者ごとに操作可能な権限を予め付与しておき、操作者の認証確認が取得できた場合のみに当該操作者に与えられた権限の範囲内で使用可能な操作を許諾する技術が導入されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−197762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような貨幣処理機においては、一つの筐体内に全すべて組み込まれたスタンドアローンの形態ではなく、貨幣処理部は貨幣処理機メーカー製、操作端末部は上位端末メーカー製というように分離タイプであって、各々を通信にて結合するシステム形態のものも存在する。そして、この分離タイプのものにおいても、上述した技術を採用する際には、通常、上記の操作可能な権限の付与や操作者の認証確認等の操作に係るセキュリティの部分は操作端末部側に担当させ、操作端末部側からの通信データ指令によって貨幣処理部が動作するようになっている。
【0005】
ところで、スタンドアローンの形態では一つの筐体内に貨幣処理部と操作端末部とこれらの通信部とが内蔵されているため問題ないが、貨幣処理部と操作端末部とが分離されていると、通信部が外部にあってアクセス可能であり、上記通信データが通信ラインモニタ等で盗聴され解析されてしまう可能性がある。このような状況が生じると、例えば管理者でしか実行できない貨幣処理機内の貨幣を全て機外へ回収する際に必要な通信データや、例えば警備会社の売上金回収担当者しか実行できない売上金が格納された金庫の抜き取りを行う際に必要な通信データ等を予め用意した通信シミュレータに格納しておいて、上記操作端末部にかえて当該通信シミュレータに通信ケーブルを繋ぎ替えれば、不正な操作が行われてしまう可能性があった。上記のような通信データの盗聴および解析を防止する目的で、通信データを暗号化・複合化する方法も考えられるが、この暗号化・複合化処理で対応すると、操作端末部側および貨幣処理部側でハード面およびソフト面に係る開発工数の大きな負担を伴ってしまう。
【0006】
したがって、本発明は、開発工数の大きな負担を伴うことなく、セキュリティ性を向上させることができる貨幣処理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、操作入力が行われる操作端末部と、前記操作端末部とは別体であって貨幣の取扱い処理を行う貨幣処理部と、前記操作端末部と前記貨幣処理部とを通信可能に結合する通信手段と、を備えた貨幣処理システムであって、前記操作端末部は、操作入力が行われると、当該操作入力に関連する通信データを前記通信手段を通して前記貨幣処理部に向けて発行する操作端末部制御手段と、警報を報知する操作端末部報知手段と、を備え、前記貨幣処理部は、前記操作端末部制御手段から前記通信手段を通して発行された前記通信データを認識する認識手段と、前記通信データの中の少なくとも一部のデータに対応する認証情報を予め記憶する記憶手段と、認証情報が入力される入力手段と、前記認識手段が前記通信データを認識した際に、該通信データの中の前記少なくとも一部のデータに対応して前記記憶手段に記憶された認証情報と、前記入力手段に入力された認証情報とを比較し、これら認証情報の一致を確認した場合のみ、前記認識手段で認識した前記通信データに基づいて前記取扱い処理を制御する貨幣処理部制御手段と、警報を報知する貨幣処理部報知手段と、を備え、前記貨幣処理部制御手段は、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定時間内に前記一致を確認しなかった場合、および、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定回数連続して前記一致を確認しなかった場合には、前記貨幣処理部報知手段に警報を報知させるとともに、前記操作端末部制御手段によって前記操作端末部報知手段に警報を報知させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記操作端末部は、操作者の操作者IDを含む認証を行う認証手段を有し、前記少なくとも一部のデータは、前記操作者IDであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記少なくとも一部のデータは、前記取扱い処理の特定の処理情報であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記取扱い処理が貨幣を機内から機外へ移動させる処理である場合に限り、前記一致の確認を条件として前記取扱い処理を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記制御手段は、前記認識手段が前記通信データを認識した時点から所定時間内に、前記一致を確認した場合には、前記通信手段を通して前記操作端末部に向けて、前記通信データを正常に受け付けた旨を応答することを特徴とする。
【0013】
請求項に係る発明は、請求項1乃至の何れか一項に係る発明において、前記認証情報を前記記憶手段に記憶する登録モードの際に、前記認証情報と前記少なくとも一部のデータとを関連付けて前記記憶手段に記憶させる登録手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項に係る発明は、請求項に係る発明において、前記登録モードの実行には、少なくとも管理者IDを必要とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、操作端末部に操作入力が行われると、操作端末部は、当該操作入力に関連する通信データを発行手段が通信手段を通して貨幣処理部に向けて発行し、貨幣処理部が、その認識手段によって上記の通信データを認識することになる。貨幣処理部には、記憶手段に、通信データの中の少なくとも一部のデータに対応する認証情報が予め記憶されており、入力手段に認証情報が入力されると、制御手段が、認識手段が認識した通信データの中の少なくとも一部のデータに対応して記憶手段に記憶された認証情報と、入力手段に入力された認証情報とを比較し、これら認証情報の一致を確認した場合のみ、認識手段で認識した通信データに基づいて取扱い処理を行うことになる。よって、仮に、操作端末部にかえて通信シミュレータに通信ケーブルを繋ぎ替える等の不正操作があったとしても、貨幣処理部単独での認証がない限り、取扱い処理を行うことはない。したがって、セキュリティ性を向上させることができる。また、貨幣処理部に、通信データの中の少なくとも一部のデータに対応する認証情報を予め記憶する記憶手段と、認証情報が入力される入力手段と、これら認証情報の一致を確認する制御手段とを設ければ良く、通信データを暗号化・複合化する場合等に比べて、開発工数の負担を軽減できる。
所定時間内に上記した認証情報の一致を確認しなかった場合、または所定回数連続して上記した認証情報の一致を確認しなかった場合(不一致を確認した場合)には、報知手段が警報を報知することになる。したがって、それ以上不正に操作されることを防止することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、操作端末部に操作者IDを含んで操作入力が行われると、操作端末部は、当該操作入力に関連する操作者IDを含む通信データを発行手段が通信手段を通して貨幣処理部に向けて発行し、貨幣処理部が、その認識手段によって上記の通信データを認識することになる。貨幣処理部には、記憶手段に、通信データの中の操作者IDに対応する認証情報が予め記憶されており、入力手段に認証情報が入力されると、制御手段が、認識手段が認識した通信データの中の操作者IDに対応して記憶手段に記憶された認証情報と、入力手段に入力された認証情報とを比較し、これら認証情報の一致を確認した場合のみ、認識手段で認識した通信データに基づいて取扱い処理を行うことになる。このように、操作端末部を使用する上で本来必要な操作者IDを用いるため、操作端末部への入力の負担を軽減できる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、操作端末部に取扱い処理の特定の処理情報を含んで操作入力が行われると、操作端末部は、当該操作入力に関連する取扱い処理の特定の処理情報を含む通信データを発行手段が通信手段を通して貨幣処理部に向けて発行し、貨幣処理部が、その認識手段によって上記の通信データを認識することになる。貨幣処理部には、記憶手段に、通信データの中の取扱い処理の特定の処理情報に対応する認証情報が予め記憶されており、入力手段に認証情報が入力されると、制御手段が、認識手段が認識した通信データの中の取扱い処理の特定の処理情報に対応して記憶手段に記憶された認証情報と、入力手段に入力された認証情報とを比較し、これら認証情報の一致を確認した場合のみ、認識手段で認識した通信データに基づいて取扱い処理を行うことになる。操作端末部が貨幣処理部に取扱い処理を行わせるにあたって本来必要な特定の処理情報を用いることにより、操作端末部への入力の負担を軽減できる。
【0018】
請求項4に係る発明によれば、制御手段は、取扱い処理が貨幣を機内から機外へ移動させる処理である場合に限り、上記した認証情報の一致の確認を条件とするため、貨幣処理部の在り高が減少する制御のみが保護対象になる。したがって、簡略化して運用することができる。
【0019】
請求項5に係る発明によれば、認識手段が通信データを認識した時点から所定時間内に、上記した認証情報の一致を確認した場合には、操作端末部に向けて、通信データを正常に受け付けた旨を応答するため、操作端末部側でも操作結果が正常であったことを確認できる。
【0021】
請求項に係る発明によれば、登録モードにおいて、登録手段が、認証情報と通信データの中の少なくとも一部のデータとを関連付けて記憶手段に記憶させるため、登録モードにおいて、明確に認証情報と通信データの少なくとも一部のデータとを関連付けて記憶手段に記憶させることができる。
【0022】
請求項に係る発明によれば、登録モードの実行には、少なくとも管理者IDを必要とするため、登録の際のセキュリティ性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを示す制御系ブロック図である。
図2】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する硬貨入出金部を概略的に示す側断面図である。
図3】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する硬貨入出金部を概略的に示す平断面図である。
図4】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する硬貨入出金部を概略的に示す平断面図である。
図5】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを構成する紙幣入出金部を概略的に示す側断面図である。
図6】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムの運用モードの案内画面を示す正面図である。
図7】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムの通信データを概念的に示す図である。
図8】本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムの登録モードの案内画面を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理システムを図面を参照して以下に説明する。本実施形態の貨幣処理システム1は、例えば、宅配便の基地センタに設置され、宅配便のドライバである担当者が顧客から代金引換で回収した代金を入金したり、代金引換のための釣銭準備金を仮払いしたりする際に用いられるものである。また、本実施形態の貨幣処理システム1は、担当者および貨幣処理システム1の管理者とは別の回収者(例えば警備会社の売上金回収担当者)によって、回収した代金である売上金が金庫の交換によって回収されるようになっている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の貨幣処理システム1は、貨幣のうちの硬貨の取扱い処理を行う硬貨入出金部10と、貨幣のうちの紙幣の取扱い処理を行う紙幣入出金部11とが一体に並設された貨幣処理装置部(貨幣処理部)12と、貨幣処理装置部12とは別に製造され貨幣処理装置部12上に搭載されて、操作者による操作入力が行われる操作端末装置部(操作端末部)13と、操作端末装置部13と貨幣処理装置部12とを通信可能に結合する通信ケーブル(通信手段)14とを有するものである。通信ケーブル14は、一端に設けられたコネクタ部14aで操作端末装置部13のコネクタ部13aに着脱可能に接続され、他端に設けられたコネクタ部14bで貨幣処理装置部12のコネクタ部12aに着脱可能に接続されている。なお、以下の説明において、前は貨幣処理システム1の操作者側(手前側)、後は貨幣処理システム1の操作者に対し反対側(奥側)である。
【0026】
まず、硬貨入出金部10について図1図4を参照して説明する。
【0027】
図2に示すように、硬貨入出金部10には、その前側(図2の左側)の上部に、複数金種が混在する金種混合状態で硬貨が機外から一括投入され、このように投入された硬貨を貯留しつつ一枚ずつ分離して繰り出す硬貨入金口15が設けられており、硬貨入金口15の下側に、機内からリジェクトされたリジェクト硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨リジェクト口16が設けられ、その下側に、機内から出金された硬貨を機外に取出可能に貯留する硬貨出金口17が設けられている。さらに、硬貨入出金部10には、硬貨出金口17の下側に、硬貨を金種混合状態で一時貯留する硬貨一時貯留部18が設けられ、この硬貨一時貯留部18の下側に、返却時に硬貨一時貯留部18から硬貨を受け取って金種混合状態で貯留する返却箱19と、硬貨一時貯留部18から硬貨を受け取って金種混合状態で収納する硬貨収納庫20とが設けられている。これら返却箱19および硬貨収納庫20は、貨幣処理装置部12に対して着脱可能となっている。よって、硬貨一時貯留部18は、硬貨を返却箱19を介して返却可能となるように一時貯留するとともに、一時貯留した硬貨を硬貨収納庫20に収納可能となっている。
【0028】
硬貨入出金部10は、図3に示すように、硬貨入金口15に投入された硬貨を左右方向一側に搬送する第1搬送部25と、この第1搬送部25の下流側に接続され、この第1搬送部25から硬貨を受け取り水平方向において鋭角に折り返しつつ後方に搬送する第2搬送部26とを有する入金硬貨搬送部27を備えている。
【0029】
硬貨入金口15は、硬貨が外から投入されるとともに投入された硬貨を下方に案内する筒状のホッパ部30と、硬貨入金口15の底部を形成するようにホッパ部30の下方に設けられこの位置から側方に延出してこの延出方向に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア31と、ベルトコンベア31の上側に配置され、ベルトコンベア31の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させる図示せぬ分離ローラと、ベルトコンベア31および分離ローラを正逆駆動する共通の駆動源である図1に示す入金硬貨繰出駆動部32とを有している。硬貨入金口15は、ホッパ部30に投入された硬貨を、入金硬貨繰出駆動部32の駆動力で回転するベルトコンベア31によりその延在方向に送り途中位置に設けられた図示せぬ分離ローラで一枚ずつに分離してさらに下流側に繰り出す。
【0030】
硬貨入金口15のベルトコンベア31は、硬貨入金口15を構成する一方で、この硬貨入金口15に投入された硬貨を搬送する上記した第1搬送部25をも構成している。ベルトコンベア31で構成される第1搬送部25の終点部には、ベルトコンベア31から硬貨を受け取って機体後方に搬送する第2搬送部26の搬送路33の始点部が接続されている。
【0031】
第2搬送部26は、第1搬送部25のベルトコンベア31から搬送路33上に移送された硬貨を搬送路33に上側から押し付けながら両側の壁部35,36で案内しつつ搬送路33に沿って搬送する複数の移送ベルト37,38と、これら移送ベルト37,38を駆動する図1に示す入金硬貨搬送駆動部39とを有している。
【0032】
移送ベルト37,38は、直線状に延在する搬送路33に対し若干傾斜する直線状に設けられており、硬貨を幅寄せするように片側の壁部35に押し付けながら搬送するようになっている。
【0033】
搬送路33には、その上流側に、硬貨入金口15から繰り出されて第1搬送部25および第2搬送部26で搬送される硬貨の磁気的性質や画像あるいは外径等を検出することでその金種の識別および金種別の計数等を行う硬貨識別部44が設けられ、この硬貨識別部44の下流側には硬貨識別部44の識別結果に基づいて偽硬貨等の受け入れ不可なリジェクト硬貨を搬送路33から排除可能な開閉リジェクト部45が設けられている。この開閉リジェクト部45は、搬送路33に形成されたリジェクト孔46およびこれを開閉させるシャッタ47を有している。
【0034】
また、搬送路33には、この開閉リジェクト部45の下流側に、硬貨識別部44で正常と識別された受け入れ可能な受入硬貨を搬送路33から落下可能な開閉選別部50が設けられている。この開閉選別部50は、搬送路33に形成された全金種の硬貨を落下可能な選別孔51およびこれを開閉させるシャッタ52を有しており、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨のうち、後述する金種別の硬貨出金収納部70〜75に収納しない非環流の硬貨を、図2に示す硬貨一時貯留部18に貯留させる。つまり、ここでは、出金用として収納しきれないオーバーフロー硬貨を硬貨一時貯留部18に直接貯留させる。
【0035】
搬送路33には、この開閉選別部50の下流側に選別孔53〜58が形成されている。これら選別孔53〜58は硬貨を外径で選別する。つまり、基準面となる左側の壁部35で案内されて移動する硬貨を外径の小さい順に選別するように、硬貨の搬送方向に沿って上流側から下流側に、1円硬貨用の最も小さい選別孔53、選別孔53よりも大きい、50円硬貨用の選別孔54、選別孔54よりも大きい、5円硬貨用の選別孔55、選別孔55よりも大きい、100円硬貨用の選別孔56、選別孔56よりも大きい、10円硬貨用の選別孔57、選別孔57よりも大きい、500円硬貨用の選別孔58が、この順番に形成されている。つまり、選別孔53〜58は、硬貨識別部44で正常と識別された硬貨を金種別に振り分ける。
【0036】
開閉リジェクト部45の上流側の直前位置には通過する硬貨を検出する硬貨検出センサ45Aが設けられており、開閉選別部50の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ50Aが、選別孔53の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ53Aが、選別孔54の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ54Aが、選別孔55の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ55Aが、選別孔56の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ56Aが、選別孔57の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ57Aが、選別孔58の上流側の直前位置には同様の硬貨検出センサ58Aが、それぞれ設けられている。硬貨検出センサ45A,50Aは硬貨の検出数の差から開閉リジェクト部45で落下した硬貨の数を計数することになり、硬貨検出センサ50A,53Aは開閉選別部50で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ53A,54Aは選別孔53で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ54A,55Aは選別孔54で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ55A,56Aは選別孔55で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ56A,57Aは選別孔56で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ57A,58Aは選別孔57で落下した硬貨の数を、硬貨検出センサ58Aは選別孔58で落下した硬貨の数を、それぞれ計数することになる。
【0037】
開閉選別部50の直下には図2に示すシュート59が、選別孔53の直下にはシュート60が、選別孔54の直下にはシュート61が、選別孔55の直下にはシュート62が、選別孔56の直下にはシュート63が、選別孔57の直下にはシュート64が、選別孔58の直下にはシュート65が、それぞれ設けられている。シュート59の下側に硬貨一時貯留部18が設けられており、シュート60〜65の下側には、図4に示すようにそれぞれが前後方向に沿う状態で左右方向に並べられた複数具体的には6カ所の硬貨出金収納部70〜75が設けられている。硬貨出金収納部70〜75は、金種別のもので、選別孔53〜58で振り分けられた硬貨を繰り出し可能に収納する。
【0038】
具体的に、選別孔53から落下された1円硬貨はシュート60を介して左右方向一端の硬貨出金収納部70に、選別孔54で落下された50円硬貨はシュート61を介して硬貨出金収納部71に、選別孔55で落下された5円硬貨はシュート62を介して硬貨出金収納部72に、選別孔56で落下された100円硬貨はシュート63を介して硬貨出金収納部73に、選別孔57で落下された10円硬貨はシュート64を介して硬貨出金収納部74に、選別孔58で落下された500円硬貨はシュート65を介して硬貨出金収納部75に貯留される。なお、開閉リジェクト部45で落下された硬貨は図2に示すリジェクトシュート76で前側の硬貨リジェクト口16に案内される。
【0039】
各硬貨出金収納部70〜75は、それぞれの底部を形成するように前後方向に延在する状態で左右方向に並設されて回転時に硬貨出金口17側に硬貨を搬送する無端のベルトコンベア77と、ベルトコンベア77の搬送方向とは逆方向に対向部分を移動させるように回転する分離ローラ78と、ベルトコンベア77および分離ローラ78を正逆駆動する共通の駆動源である図1に示す出金硬貨搬送駆動部79とを有している。
【0040】
ここで、図2に示すように、ベルトコンベア77は、下流側が上側に位置するように傾斜しており、その上部側所定位置に上記した分離ローラ78が配置されている。
【0041】
そして、硬貨出金収納部70〜75は、出金硬貨搬送駆動部79の駆動力によりすべてのベルトコンベア77を一度に回転させることで硬貨を硬貨出金口17側に搬送することになり、このとき、それぞれの分離ローラ78が、硬貨出金口17側に繰り出される硬貨を一枚ずつに分離する。
【0042】
図4に示すように、硬貨出金収納部70は、分離ローラ78よりも下流側でベルトコンベア77に向けて上から図示せぬピンを進退させることで硬貨の繰り出しを規制および許容するソレノイド80と、ソレノイド80の駆動でベルトコンベア77から硬貨出金口17に向けて繰り出される硬貨の金種を識別しつつ計数する磁気センサからなる出金計数センサ70Aとを有している。同様に、硬貨出金収納部71はソレノイド81および出金計数センサ71Aを、硬貨出金収納部72はソレノイド82および出金計数センサ72Aを、硬貨出金収納部73はソレノイド83および出金計数センサ73Aを、硬貨出金収納部74はソレノイド84および出金計数センサ74Aを、硬貨出金収納部75はソレノイド85および出金計数センサ75Aを、それぞれ有している。
【0043】
硬貨出金収納部70〜75と硬貨出金口17との間には、図2に示すように、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を案内するシュート部90が設けられており、このシュート部90には、シュート部90の下部を開閉する振分部材91を、ソレノイド等の電気的駆動で揺動させることで、閉じて硬貨を硬貨出金口17に案内する状態と、開いて硬貨を下方に落下させる状態とに切り換える振分部92が設けられている。振分部材91を開状態とすることで、シュート部90の硬貨をシュート94で案内して硬貨一時貯留部18に落下させる。よって、硬貨出金口17は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を機外に払い出すことになり、硬貨一時貯留部18は、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を一時貯留することになる。そして、硬貨収納庫20は、硬貨一時貯留部18で一時貯留されることになった、金種別の硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。
【0044】
硬貨一時貯留部18は、上下に開口する筒状の囲壁部95と、囲壁部95の下部開口を閉塞可能な底板96とを有している。囲壁部95は、図1に示す壁スライド部97の駆動で前後方向にスライドし、底板96は底板スライド部98の駆動で前後方向にスライドすることになる。
【0045】
図2に示すように、硬貨一時貯留部18の下側には、硬貨一時貯留部18の硬貨を返却する上記した返却箱19と、上下に開口する筒状のシュート99とが前後に並設されており、シュート99の下側に、硬貨一時貯留部18の硬貨を収納する上記した硬貨収納庫20が配置されている。
【0046】
硬貨一時貯留部18は、囲壁部95および底板96が可動範囲の中央位置にある待機状態では、シュート94で案内されて落下する硬貨を受け取って貯留することになり、この待機状態から、囲壁部95が返却箱19の方向にスライドし、底板96が返却箱19とは反対方向にスライドすることで、硬貨を返却箱19に放出する一方、待機状態から、囲壁部95がシュート99の方向にスライドし、底板96がシュート99とは反対方向にスライドすることで、硬貨をシュート99に放出しシュート99を介して硬貨収納庫20に収納する。
【0047】
硬貨収納庫20は、硬貨入出金部10内で入金のみが可能な金種混合の収納庫であり、硬貨入出金部10に取り付けられた状態でシュート99を介して上部の開口部100から硬貨を受け入れる。つまり、硬貨収納庫20は、硬貨出金収納部70〜75から繰り出された硬貨を収納する。ここで、開口部100には、これを開閉するシャッタ101が設けられており、このシャッタ101は、硬貨収納庫20が硬貨入出金部10に装填されると、この装填動作に連動して開口部100を開き、硬貨収納庫20が硬貨入出金部10から取り外されると、この取り外し動作に連動して開口部100を閉じる。また、取り出された硬貨収納庫20は、図示せぬキーのキー操作によって、図示せぬ扉を開くことにより中に収納された硬貨が取り出し可能となる。硬貨入出金部10の硬貨収納庫20の下方には、棒金を収納する棒金保管庫102が設けられている。
【0048】
次に、紙幣入出金部11について主に図1および図5を参照して説明する。
【0049】
紙幣入出金部11は、図5に示すように、前側(図5の左側)の上部に、複数金種が混在する金種混合状態で紙幣が一括投入され、投入された紙幣を貯留する紙幣入金口121が設けられており、その下側に、機内から繰り出された紙幣を機外に取出可能に貯留する紙幣出金口122が設けられている。さらに、この紙幣出金口122の下側には、機体に対して引き出し可能であり紙幣を返却可能に金種混合状態で一時貯留する紙幣一時貯留部124と、この紙幣一時貯留部124から紙幣を受け取って金種混合状態で収納する、機体に対して着脱可能な紙幣収納庫125とが設けられている。よって、紙幣一時貯留部124は、紙幣を返却可能に一時貯留するとともに、一時貯留した紙幣を紙幣収納庫125に収納可能となっている。
【0050】
紙幣入出金部11は、紙幣入金口121に投入された紙幣を一枚ずつに分離して繰り出す入金紙幣繰出部130と、この入金紙幣繰出部130で繰り出された紙幣を搬送する入金紙幣搬送路131と、入金紙幣搬送路131の途中に設けられて搬送中の紙幣を識別し、正常と識別された紙幣を金種毎に計数する紙幣識別部132とを有している。
【0051】
また、紙幣入出金部11は、入金紙幣搬送路131の紙幣識別部132よりも下流側に設けられた振分部134と、入金紙幣搬送路131の振分部134の位置から分岐するリジェクト紙幣搬送路135とを有している。リジェクト紙幣搬送路135は紙幣出金口122に接続する出金紙幣搬送路136に合流しており、振分部134は、紙幣識別部132の識別結果に応じて、識別不能券および搬送異常券とされた異常紙幣を振分部材134Aによってリジェクト紙幣搬送路135側へと振り分ける。そして、異常紙幣は、リジェクト紙幣搬送路135から出金紙幣搬送路136を介して機外へ取出可能となるように紙幣出金口122に繰り出される。一方、振分部134は、真券且つ正常搬送券と識別された受入紙幣(正常と識別された紙幣)を振分部材134Aによってそのまま入金紙幣搬送路131の下流側へと導く。紙幣入出金部11は、この入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、紙幣識別部132の識別結果に基づいて選別された紙幣を繰り出し可能に収納する入出金可能な複数具体的には三つの金種別のスタッカ138〜140を有している。
【0052】
つまり、紙幣入出金部11は、入金紙幣搬送路131の振分部134よりも下流側に、振分部材142Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路143側に振り分けて最も上流側のスタッカ138へと導く振分部142を有しており、入金紙幣搬送路131の振分部142よりも下流側に、振分部材144Aによって紙幣を分岐紙幣搬送路145側に振り分けて中間のスタッカ139へと導く振分部144を有している。そして、入金紙幣搬送路131の振分部144よりも下流側には最も下流側のスタッカ140が接続されている。振分部142,144は、紙幣識別部132で正常と識別された貨幣を金種別にスタッカ138〜140に振り分ける。
【0053】
スタッカ138は、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部138aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路150に繰り出す。スタッカ139も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部139aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路151に繰り出す。スタッカ140も、上部から紙幣が一枚ずつ入金され、出金紙幣繰出部140aが下部から紙幣を一枚ずつ分離して繰出紙幣搬送路152に繰り出す。
【0054】
繰出紙幣搬送路150〜152は、上記した紙幣出金口122につながる出金紙幣搬送路136に接続されている。
【0055】
紙幣入出金部11は、出金紙幣搬送路136におけるリジェクト紙幣搬送路135の合流位置よりも下流側に設けられた振分部154と、出金紙幣搬送路136の振分部154の位置から分岐する分岐紙幣搬送路155とを有しており、この分岐紙幣搬送路155には上記した紙幣一時貯留部124が接続されている。振分部154は、振分部材154Aによって紙幣一時貯留部124に一時貯留させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路155側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側へと振り分ける。具体的に、金種別のスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を振分部154が紙幣一時貯留部124に一時貯留させたり、紙幣入金口121から繰り出され、紙幣識別部132で正常と識別された紙幣のうち金種別のスタッカ138〜140に、環流しない非環流の紙幣を振分部134および振分部154が紙幣一時貯留部124に一時貯留させたりする。つまり、ここでは、紙幣識別部132で正常と識別された紙幣のうち出金用として収納しきれないオーバーフロー紙幣、出金用として使用しない1万円紙幣、取り扱いの少ない2千円紙幣および汚損紙幣を非環流の紙幣として紙幣一時貯留部124に直接案内する。
【0056】
また、紙幣入出金部11は、出金紙幣搬送路136における振分部154よりも下流側に設けられた振分部157と、出金紙幣搬送路136の振分部157の位置から分岐する分岐紙幣搬送路158とを有しており、この分岐紙幣搬送路158には紙幣を貯留する紙幣リジェクト庫159が接続されている。振分部157は、振分部材157Aによって紙幣リジェクト庫159に収納させるべき紙幣を分岐紙幣搬送路158側へ、またそれ以外の紙幣をそのまま出金紙幣搬送路136の下流側つまり紙幣出金口122側へと振り分ける。
【0057】
紙幣一時貯留部124は、上下に開口する略筒状の囲壁部170と、囲壁部170の下部開口を閉塞可能な一対の底板171とを有している。一対の底板171は、図1に示す開閉スライド部172によって水平状態を維持したまま、互いに近接・離間可能に設けられており、互いに離間する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を開き、互いに近接する方向にスライドすることで、囲壁部170の下部開口を閉じる。紙幣一時貯留部124には、昇降するプッシャ173と、このプッシャ173を昇降させる図1に示すプッシャ昇降部174とが設けられている。また、紙幣一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171は、紙幣の返却のため、一対の底板171を閉じた状態で機体から引き出し可能となっている。
【0058】
紙幣一時貯留部124に一時貯留した紙幣を収納する紙幣収納庫125は、箱状の収納庫本体180と、紙幣一時貯留部124から落下する紙幣を収納庫本体180の上部の開口部181を介して受け取る揺動可能な一対のフラッパ182と、一対のフラッパ182の下側で昇降可能に設けられた載置板183とを有している。一対のフラッパ182は、図示略のスプリングの付勢力により水平状態に維持され、この状態から相互近接側が下方に位置するように揺動して開く。また、載置板183は図示略のスプリングによって上昇方向に付勢されており、紙幣を閉状態のフラッパ182との間に挟んで保持する。
【0059】
紙幣の収納時には、開閉スライド部172によって一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させる。すると、この紙幣は、開口部181を介して紙幣収納庫125の閉状態のフラッパ182上に載置される。次に、プッシャ昇降部174がプッシャ173を下降させることになり、これにより、プッシャ173は、紙幣を介してフラッパ182を図示略のスプリングの付勢力に抗して開いて、紙幣をフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ173が上昇すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。なお、紙幣収納庫125には、収納庫本体180の上部の開口部181を閉塞可能なシャッタ184が設けられており、紙幣収納庫125が紙幣入出金部11に装填されると、この装填動作に連動してシャッタ184が開口部181を開き、紙幣収納庫125が紙幣入出金部11から取り外されると、この取り外し動作に連動してシャッタ184が開口部181を閉じることになる。紙幣収納庫125は、この状態から図示せぬキーのキー操作によって図示せぬ扉を開くことにより中に収納された紙幣が取り出し可能となる。
【0060】
さらに、紙幣入出金部11は、紙幣搬送路131,135,136,143,145,150〜152,155,158に設けられて、搬送される紙幣の状態やタイミングを確認するための複数の紙幣検出センサ191〜202を有している。
【0061】
紙幣検出センサ191は、入金紙幣搬送路131における入金紙幣繰出部130と紙幣識別部132との間にあって、入金紙幣繰出部130によって入金紙幣搬送路131上に一枚ずつ繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ192は、リジェクト紙幣搬送路135における振分部134の直後位置にあって振分部134でリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられた紙幣を検出するものである。
【0062】
また、紙幣検出センサ193はスタッカ138の直前位置の分岐紙幣搬送路143にあって振分部142で振り分けられてスタッカ138に入金される紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ194はスタッカ139の直前位置の分岐紙幣搬送路145にあって振分部144で振り分けられてスタッカ139に入金される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ195はスタッカ140の直前位置の入金紙幣搬送路131にあってスタッカ140に入金される紙幣を検出するものである。
【0063】
さらに、紙幣検出センサ196はスタッカ138の直後位置の繰出紙幣搬送路150にあってスタッカ138から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ197はスタッカ139の直後位置の繰出紙幣搬送路151にあってスタッカ139から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ198はスタッカ140の直後位置の繰出紙幣搬送路152にあってスタッカ140から繰り出された紙幣を検出するものである。
【0064】
加えて、紙幣検出センサ199は出金紙幣搬送路136の繰出紙幣搬送路150〜152よりも下流側にあってすべてのスタッカ138〜140から繰り出された紙幣を検出するものであり、紙幣検出センサ200は紙幣一時貯留部124の直前位置の分岐紙幣搬送路155にあって振分部154で振り分けられて紙幣一時貯留部124に導入される紙幣を検出するものであって、紙幣検出センサ201は紙幣リジェクト庫159の直前位置の分岐紙幣搬送路158にあって振分部157で振り分けられて紙幣リジェクト庫159に導入される紙幣を検出するものである。さらに、紙幣検出センサ(確定手段,枚数判定手段)202は、出金紙幣搬送路136の紙幣出金口122と振分部157との間、つまり紙幣出金口122の近傍にあって、紙幣出金口122に繰り出される紙幣を検出するものである。言い換えれば、紙幣検出センサ202は、紙幣出金口122の近傍で紙幣の通過を検出して枚数を判定する。
【0065】
紙幣検出センサ191〜202は、光学式センサであって、配置された場所における紙幣の残留検知のみならず、タイミングを計ったり、搬送の状況(重送、斜行等)を見たり、計数を行ったりと、複数の機能を有する。
【0066】
紙幣入出金部11には、図1に示すように、入金紙幣搬送路131および分岐紙幣搬送路143,145を駆動する入金紙幣搬送駆動部205と、出金紙幣搬送路136および繰出紙幣搬送路150〜152を駆動する出金紙幣搬送駆動部206と、リジェクト紙幣搬送路135および分岐紙幣搬送路155を駆動するリジェクト紙幣搬送駆動部207とが設けられている。
【0067】
ここで、三つのスタッカ138〜140はすべて金種別とされ、例えば、千円券が、いずれも千円券専用のスタッカ138,139に、5千円券が5千円券専用のスタッカ140にそれぞれ収納されるようになっている。なお、スタッカ138〜140の金種設定はこれに限らず変更可能である。
【0068】
図1に示すように、上記した硬貨入出金部10と紙幣入出金部11とを有する貨幣処理装置部12には、これらの各部に接続されて各部を制御する処理装置制御部(認識手段,制御手段,登録手段)210と、制御データ等が記憶される処理装置記憶部(記憶手段)211と、認証操作等、操作者による操作入力が行われる処理装置操作部(入力手段)212と、操作者への表示を行う処理装置表示部213と、操作者への音声報知を行う処理装置報知部214と、コネクタ部12aに接続されて外部との通信を行う通信部(通信手段)215とが設けられている。処理装置操作部212には、操作を認証するための認証情報としての暗証番号等のパスワードや各種情報が入力される操作キーボードが設けられている。
【0069】
操作端末装置部13には、コネクタ部13aに接続され通信ケーブル14を介して貨幣処理装置部12の通信部215と通信する通信部(通信手段)219と、通信部219に接続される端末装置制御部(発行手段,認証手段,登録手段)220と、制御データ等が記憶される端末装置記憶部221と、貨幣の取引操作等、操作者による操作入力が行われる端末装置操作部(認証手段,登録手段)222と、操作者への表示を行う端末装置表示部223と、操作者への音声報知を行う端末装置報知部224と、紙面に印字を行うプリンタ225とが設けられている。
【0070】
端末装置操作部222には、IDカードに記憶された操作者IDを読み取るカードリーダあるいは生体情報からなる操作者IDを読み取る生体認証装置が設けられている。また、端末装置操作部222には、認証情報としてのパスワード等の各種情報が入力される操作キーボードが設けられている。
【0071】
貨幣処理システム1は、運用モードと登録モードとで使用されることになるが、まず、運用モードについて説明する。
【0072】
操作端末装置部13では、端末装置表示部223に運用モードの初期画面として、図6(a)に示すように、操作者IDの入力を促す表示を表示させている。この貨幣処理システム1を用いて後述する貨幣の各取扱い処理を行うにあたって、操作者は、上記運用モードでの初期画面の表示にしたがって、操作端末装置部13の端末装置操作部222に、IDカードを通すことでIDカードに記憶された操作者ID(例えば「A001」)を入力したり、あるいは生体情報からなる操作者IDを入力することになる。
【0073】
端末装置記憶部221には、貨幣処理システム1の運用モードでの操作が許諾された操作者IDの一覧が記憶されており、また、操作者ID毎に、操作が許可される取扱い処理が予め記憶されている。端末装置制御部220は、端末装置操作部222に入力された操作者ID(例えば「A001」)が、端末装置記憶部221の、運用モードでの操作が許諾された操作者IDの一覧に記憶されているか否を判断する。つまり、端末装置制御部220は、端末装置操作部222に入力された操作者の操作者IDを含む認証を行う。操作者IDが端末装置記憶部221の、操作が許諾された操作者IDの一覧に記憶されている場合には、この操作者IDに対応して端末装置記憶部221に記憶されている、操作が許可される取扱い処理を読み出し、これら取扱い処理の中から実行する取扱い処理を選択させる選択画面を端末装置表示部223に表示させて、端末装置操作部222への選択操作を待つ。
【0074】
ここで、貨幣処理システム1で行う貨幣の取扱い処理は、基本的には、貨幣処理装置部12内に貨幣を入金する入金処理と、貨幣処理装置部12内から貨幣を外部に出金する出金処理と、これら入金処理および出金処理の組み合わせとに大別される。入金処理としては、担当者が顧客から代金引換で回収した代金を入金する代金入金処理、管理者が釣銭準備金を補充する釣銭準備金補充処理、担当者が売上金を収納する売上金収納処理等がある。出金処理としては、担当者が代金引換のための釣銭準備金を仮払いする仮払い処理、管理者が貨幣処理装置部12内の貨幣を回収のためすべて出金する貨幣全回収処理、警備会社の売上金回収担当者が売上金を回収するため金庫ごと交換する金庫交換処理等がある。入金処理および出金処理の組み合わせとしては、管理者が入金した貨幣と同額の貨幣を出金する両替処理等がある。そして、操作者IDによって操作が許可される取扱い処理が予め決められている。図6(b)は、操作者IDが管理者レベルであった場合の端末装置表示部223の選択画面であり、操作が許可される取扱い処理として、釣銭準備金補充処理と両替処理と貨幣全回収処理とが選択可能となっている。
【0075】
端末装置表示部223の表示に基づいて、端末装置操作部222へ取扱い処理の選択がなされると、端末装置制御部220は、取扱い処理の種類に応じて設定されている必要情報の入力を促す画面を端末装置表示部223に表示させて、端末装置操作部222への必要情報の入力を待機する。必要情報としては、例えば、取扱い処理が出金処理である場合の出金させる貨幣の種別および種別毎の枚数等である。
【0076】
操作者が、上記画面の表示にしたがって、端末装置操作部222に必要情報の入力を行うと、端末装置制御部220は、端末装置操作部222への操作入力に関連する操作者ID(例えば「A001」)と、貨幣の取扱い処理の種別を示すコマンドコード(例えば貨幣全回収処理を示すコマンドコード「5B」)と、入力された必要情報とを関連付けした通信データを、通信部219から通信ケーブル14を通して貨幣処理装置部12の通信部215に向けて発行する。
【0077】
ここで、上記した操作端末装置部13から貨幣処理装置部12への通信データは、例えば、図7(a)に示すように、開始符号、コマンドコード、操作者ID、データフィールドおよび終了符号からなる電文データとなり、認証情報としてのパスワードは含まない。コマンドコードとしては、出金処理の金庫交換コマンドコードや、出金処理の貨幣全回収コマンドコード等がある。また、データフィールドには、出金処理にて出金させる貨幣の種別および種別毎の枚数等の指示データが適宜セットされる。
【0078】
処理装置制御部210は、端末装置制御部220から通信ケーブル14を通して発行され通信部215で受信した上記通信データを認識した際に、処理装置表示部213に、認証情報としてのパスワードの入力操作を促す表示を表示させる。操作者は、上記画面の表示にしたがって、処理装置操作部212に、認証情報としてのパスワード(例えば「5678」)を入力することになる。例えば、図6(c)では、通信データに貨幣の取扱い処理としての貨幣全回収処理を示すコマンドコード(例えば「5B」)が含まれていた場合を示しており、貨幣全回収処理を実行する旨の表示と、パスワードの入力を促す表示とを表示させている。
【0079】
ここで、処理装置記憶部211には、上記した通信データの中の少なくとも一部のデータである操作者IDと、操作者ID毎に設定された認証情報であるパスワードとが予め関連付けされて記憶されている。そして、上記表示にしたがって処理装置操作部212にパスワードが入力されると、処理装置制御部210は、このパスワードの入力直前に認識した通信データの操作者ID(例えば「A001」)に対応して処理装置記憶部211に記憶されているパスワード(例えば「5678」)と、処理装置操作部212に入力されたパスワードとを比較し、これらが一致するか否かを判断する。
【0080】
これらのパスワードが一致する場合、処理装置制御部210は、認識した通信データに基づいて貨幣の取扱い処理を制御する。例えば、通信データに貨幣の取扱い処理として貨幣全回収処理を示すコマンドコードが含まれていた場合は、貨幣全回収処理を行うことになる。ここで、処理装置制御部210は、端末装置制御部220から出力された通信データを認識した時点から所定時間内に、パスワードの一致を確認した場合には、通信ケーブル14を通して操作端末装置部13の端末装置制御部220に向けて、通信データを正常に受け付けた旨を応答する。
【0081】
ここで、貨幣処理装置部12から操作端末装置部13への通信データは、例えば、図7(b)に示すように、開始符号、レスポンス、データフィールドおよび終了符号からなる電文データとなり、パスワードは含まれない。レスポンスは、通信データを正常に受け付けた旨や、操作端末装置部13から受けたコマンドコードに対する例えば肯定応答や否定応答等の応答結果や動作ステータス等がセットされる。データフィールドには、計数枚数等の結果データがある場合に、このデータがセットされる。
【0082】
他方、パスワードが一致しない場合は、その旨のアラーム表示を処理装置表示部213に表示させて、パスワードの再入力を待機する。処理装置制御部210は、端末装置制御部220から出力された通信データを認識した時点から所定時間経過するまでにパスワードの一致を確認しなかった場合と、所定時間内であっても所定回数(例えば3回)連続してパスワードの一致を確認しなかった場合(不一致を確認した場合)とについては、認識した通信データに基づいての貨幣の取扱い処理を行うことなく、処理装置報知部214に警報を報知させるとともに、貨幣処理装置部12から操作端末装置部13への通信データにも通信データを正常に受け付けなかった旨を応答する。これを受けて、端末装置制御部220も端末装置報知部224に警報を報知させる。以上により、処理装置制御部210は、上記パスワードの一致を確認した場合のみ、認識した通信データに基づいて取扱い処理を制御することになる。
【0083】
以下においては、上記した貨幣の取扱い処理を入金処理と出金処理とに分けて説明する。
【0084】
〔入金処理〕
処理装置制御部210は、上記パスワードの一致を確認すると、端末装置制御部220を介して端末装置表示部223に、硬貨入金口15への硬貨の投入、紙幣入金口121への紙幣の投入を促す表示を表示させる。硬貨入金口15に硬貨が投入され、紙幣入金口121に紙幣が投入された状態で、端末装置操作部222に入金処理の開始操作が入力されると、端末装置制御部220を介してその旨の信号を受けて、処理装置制御部210は、硬貨入出金部10については硬貨入金処理の硬貨入金案内処理を開始することになり、紙幣入出金部11については紙幣入金処理の紙幣入金案内処理を開始することになる。
【0085】
「硬貨入金案内処理」
処理装置制御部210は、入金硬貨繰出駆動部32,39を駆動して、ベルトコンベア31および移送ベルト37,38を作動させ、硬貨入金口15の硬貨をベルトコンベア31および図示せぬ分離ローラで一枚ずつ分離して入金硬貨搬送部27に繰り出し、移送ベルト37,38で入金硬貨搬送部27に沿って搬送しつつ硬貨識別部44で識別する。そして、硬貨識別部44の識別結果に基づき、識別異常とされたリジェクト硬貨を、開閉リジェクト部45によりリジェクト孔46から落下させ硬貨リジェクト口16に繰り出させることで、機外にリジェクトする。
【0086】
他方、硬貨識別部44の識別結果に基づき、正常な硬貨と識別された受入硬貨を、閉状態の開閉リジェクト部45によってそのまま入金硬貨搬送部27の下流側に移動させる。その結果、受入硬貨を、選別孔53〜58の対応するもので選別して硬貨出金収納部70〜75の対応するものに貯留する。つまり、1円硬貨であれば選別孔53で硬貨出金収納部70に貯留し、50円硬貨であれば選別孔54で硬貨出金収納部71に貯留し、5円硬貨であれば選別孔55で硬貨出金収納部72に貯留し、100円硬貨であれば選別孔56で硬貨出金収納部73に貯留し、10円硬貨であれば選別孔57で硬貨出金収納部74に貯留し、500円硬貨であれば選別孔58で硬貨出金収納部75に貯留する。なお、硬貨出金収納部70〜75の対応するものに貯留し切れないオーバーフロー硬貨は、開閉選別部50を開いて硬貨一時貯留部18に貯留させる。そして、処理装置制御部210は、硬貨識別部44の識別結果つまり受入硬貨の金種毎の計数値をこの一の取引の取引識別情報に関連付けて処理装置記憶部211に一時的に記憶させる。
【0087】
処理装置制御部210は、硬貨入金案内処理中に、入金硬貨繰出駆動部32および入金硬貨搬送駆動部39が駆動状態にあっても硬貨識別部44によって硬貨が検出されない状態が所定時間以上になると、硬貨入金口15に投入されたすべての硬貨を排出して硬貨出金収納部70〜75、硬貨一時貯留部18および硬貨リジェクト口16のいずれかに案内する硬貨入金案内処理が終了したと判定する。
【0088】
「紙幣入金案内処理」
処理装置制御部210は、入金紙幣搬送駆動部205、リジェクト紙幣搬送駆動部207を駆動して、入金紙幣搬送路131、分岐紙幣搬送路143,145、リジェクト紙幣搬送路135、分岐紙幣搬送路155および出金紙幣搬送路136を作動させ、紙幣入金口121の紙幣を入金紙幣繰出部130で一枚ずつ分離して入金紙幣搬送路131に繰り出し、紙幣識別部132で識別する。そして、紙幣識別部132の識別結果に基づき、判別不能券または重送等の搬送異常券と識別された異常紙幣は、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分けられ、さらに振分部154および振分部157にて出金紙幣搬送路136を介して紙幣出金口122に繰り出されることで、機外に取出可能にリジェクトされる。
【0089】
他方、紙幣識別部132の識別結果に基づき、振分部134は、真券かつ搬送正常券と識別された受入紙幣のうち千円券および五千円券をそのまま入金紙幣搬送路131の下流側に導き、スタッカ138〜140および紙幣一時貯留部124のうちの対応するいずれかに上部から収納する。つまり、千円券であれば、振分部142で振り分けて分岐紙幣搬送路143からスタッカ138に収納し、または振分部142および振分部144で振り分けて分岐紙幣搬送路145からスタッカ139に収納し、5千円券であれば、振分部142および振分部144で振り分けて入金紙幣搬送路131を介してスタッカ140に収納する。なお、スタッカ138〜140に収納しきれないオーバーフロー紙幣と、環流使用しない万円券と、取り扱い数が最少の2千円券と、汚損券とについては、振分部134にて入金紙幣搬送路131からリジェクト紙幣搬送路135に振り分け、さらに振分部154にて分岐紙幣搬送路155に振り分けて、紙幣一時貯留部124に一時貯留する。ここで、処理装置制御部210は、紙幣識別部132の識別結果つまり受入紙幣の金種毎の紙幣の計数値をこの一の取引の取引識別情報に関連付けて処理装置記憶部211に一時的に記憶させる。
【0090】
そして、処理装置制御部210は、紙幣入金案内処理中に、紙幣検出センサ191〜195,200,202のいずれによっても紙幣が検出されない状態が所定時間以上になると、紙幣入金口121からすべての紙幣を排出してスタッカ138〜140、紙幣一時貯留部124および紙幣出金口122のいずれかに案内する紙幣入金案内処理が終了したと判定する。
【0091】
硬貨入金案内処理および紙幣入金案内処理が共に終了したと判定すると、処理装置制御部210は、今回の一の取引での硬貨入金案内処理における硬貨識別部44の計数結果と、今回の一の取引での紙幣入金案内処理の紙幣識別部132の計数結果とを端末装置制御部220に送信する。すると、端末装置制御部220は、これらの計数結果を端末装置表示部223に表示させ、その後の処理を促す表示を行う。すなわち、入金取消処理をするか、入金確定処理をするかを問う。
【0092】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力である入金確定処理の選択操作を端末装置操作部222に入力すると、端末装置制御部220が処理装置制御部210にその旨の信号を出力し、これを受けて処理装置制御部210は、硬貨入出金部10において硬貨収納案内処理を行い、紙幣入出金部11において紙幣収納案内処理を行って、処理装置記憶部211に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨および紙幣の計数値を確定して処理装置記憶部211に記憶するとともに、端末装置制御部220に出力し、端末装置制御部220がこれらの計数値を端末装置記憶部221に記憶する。
【0093】
「硬貨収納案内処理」
処理装置制御部210は、硬貨一時貯留部18に硬貨がある場合、硬貨一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95をシュート99側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96をシュート99とは反対方向にスライドさせることで、硬貨をシュート99を介して硬貨収納庫20に収納する。その後、処理装置制御部210は、硬貨一時貯留部18を待機位置に戻して硬貨入出金部10における硬貨入金処理を終了する。
【0094】
「紙幣収納案内処理」
処理装置制御部210は、紙幣一時貯留部124に紙幣があれば、開閉スライド部172によって一対の底板171を離間方向にスライドさせることで、一対の底板171上に一時貯留していた紙幣を囲壁部170の下部開口から落下させてフラッパ182上に載置させる。次に、処理装置制御部210は、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を下降させ、プッシャ173により一対のフラッパ182上の紙幣を下方に押圧して、一対のフラッパ182を開き、紙幣を一対のフラッパ182より下側に移動させて載置板183上またはその上にすでに収納されている紙幣上に載置させることになり、その後、プッシャ昇降部174によりプッシャ173を待機位置まで上昇させる。すると、載置板183が図示略のスプリングの付勢力で紙幣を閉状態のフラッパ182との間で挟んで保持する。処理装置制御部210は、プッシャ173が待機位置に戻ると、紙幣入出金部11における紙幣入金処理を終了する。
【0095】
上記した入金取消処理をするか、入金確定処理をするかの問いに対して、操作者が、承認操作入力ではない入金取消処理の選択操作を端末装置操作部222に入力すると、端末装置制御部220が処理装置制御部210にその旨の信号を出力し、これを受けて処理装置制御部210は、硬貨入出金部10について硬貨返却案内処理を行うとともに、紙幣入出金部11について紙幣返却案内処理を行う。
【0096】
「硬貨返却案内処理」
処理装置制御部210は出金硬貨搬送駆動部79を駆動してベルトコンベア77を作動させ、硬貨出金収納部70〜75に入金された金額と同金額の入金された硬貨とは別の硬貨を硬貨出金収納部70〜75から出金計数センサ70A〜75Aで金種を識別し計数しつつ出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、振分部92で硬貨出金口17に繰り出させるとともに、硬貨一時貯留部18に硬貨がある場合、硬貨一時貯留部18の壁スライド部97により囲壁部95を返却箱19側にスライドさせ、底板スライド部98により底板96を返却箱19とは反対方向にスライドさせることで、硬貨を返却箱19に返却する。そして、返却に必要な枚数の硬貨が硬貨出金口17に繰り出され貯留されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出され、硬貨一時貯留部18に硬貨がある場合、その硬貨が返却箱19に返却されるのに十分な時間が経過すると、処理装置制御部210は、硬貨返却案内処理が終了したと判定し、処理装置記憶部211に一時的に記憶させていた今回の入金処理の硬貨の計数値を消去して、硬貨入金処理を終了する。これに対し、操作者は、硬貨出金口17および返却箱19に返却された硬貨を取り出すことになる。
【0097】
「紙幣返却案内処理」
処理装置制御部210は、リジェクト紙幣搬送駆動部207および出金紙幣搬送駆動部206を駆動して、リジェクト紙幣搬送路135、出金紙幣搬送路136および繰出紙幣搬送路150〜152を作動させ、スタッカ138〜140に入金された金額と同金額の入金された紙幣とは別の紙幣をスタッカ138〜140から出金紙幣繰出部138a,139a,140aによって出金紙幣搬送路136に繰り出させ、振分部154および振分部157で振り分けて紙幣出金口122に繰り出させるとともに、紙幣一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171を、機体から引き出し可能とする。これに対し、操作者は、紙幣出金口122および紙幣一時貯留部124から紙幣を取り出すことになる。なお、返却動作中に紙幣検出センサ196〜199でスタッカ138〜140から繰り出される紙幣の中に重送等の搬送異常券が検出されると、搬送異常券を振分部157で分岐紙幣搬送路158側に振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納する。そして、返却に必要な枚数の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことが紙幣検出センサ202の計数により検出され、紙幣一時貯留部124の囲壁部170および一対の底板171から紙幣が取り出されたことが検出されると、処理装置制御部210は、紙幣返却案内処理が終了したと判定し、処理装置記憶部211に一時的に記憶させていた今回の入金処理の紙幣の計数値を消去して、紙幣入金処理を終了する。これに対し、操作者は、紙幣出金口122に返却された紙幣を取り出すとともに、紙幣一時貯留部124から紙幣を取り出すことになる。
【0098】
〔出金処理〕
処理装置制御部210は、上記パスワードの一致を確認すると、端末装置制御部220から発行された通信データに基づき、硬貨入出金部10については硬貨出金処理を開始することになり、紙幣入出金部11については紙幣出金処理を開始することになる。
【0099】
「硬貨出金処理」
処理装置制御部210は、出金硬貨搬送駆動部79を駆動して、ベルトコンベア77を作動させ、端末装置制御部220から発行された通信データに含まれる金種および数量で硬貨を出金させるように、出金計数センサ70A〜75Aで金種を識別し計数しつつ硬貨出金収納部70〜75の対応するものから硬貨を出金硬貨搬送駆動部79およびソレノイド80〜85によってシュート部90に繰り出させ、閉状態の振分部92で硬貨出金口17に案内する。そして、端末装置制御部220から発行された通信データに含まれる金種および数量の硬貨が硬貨出金口17に繰り出されたことが出金計数センサ70A〜75Aの計数により検出されると、処理装置制御部210は、硬貨出金処理が終了したと判定する。
【0100】
「紙幣出金処理」
処理装置制御部210は、リジェクト紙幣搬送駆動部207および出金紙幣搬送駆動部206を駆動して、リジェクト紙幣搬送路135、出金紙幣搬送路136および繰出紙幣搬送路150〜152を作動させ、端末装置制御部220から発行された通信データに含まれる金種および数量の紙幣を出金させるように、紙幣検出センサ196〜198で計数しつつスタッカ138〜140の対応するものから紙幣を、出金紙幣繰出部138a〜140aで、繰出紙幣搬送路150〜152の対応するものに繰り出させて、振分部154および振分部157で振り分けて、出金紙幣搬送路136およびリジェクト紙幣搬送路135によって紙幣出金口122に案内する。なお、出金動作中に紙幣検出センサ197〜199で多重搬送等の搬送異常紙幣が検出されると、この搬送異常紙幣を振分部157で振り分けて紙幣リジェクト庫159に収納させる。そして、端末装置制御部220から発行された通信データに含まれる金種および数量の紙幣が紙幣出金口122に繰り出され貯留されたことが紙幣検出センサ202の計数により検出されると、処理装置制御部210は、紙幣出金処理が終了したと判定する。
【0101】
次に、登録モードについて説明する。操作端末装置部13の端末装置操作部222によって登録モードが選択操作されると、貨幣処理装置部12では、処理装置記憶部211に、上記した通信データの中の少なくとも一部のデータである操作者IDと、操作者ID毎に設定された認証情報であるパスワードとを予め関連付けて記憶することになる。つまり、端末装置操作部222において、登録モードを実行する旨の操作入力がなされると、端末装置制御部220は、登録モードの初期画面として、図8(a)に示すように、端末装置表示部223に操作者ID(例えば「A001」)の入力を促す表示を表示させる。操作者は、上記表示にしたがって、端末装置操作部222に、IDカードに記憶された操作者IDあるいは生体情報からなる操作者IDを入力することになる。
【0102】
ここで、端末装置記憶部221には、登録モードの実行が許諾された操作者IDの一覧が予め記憶されており、端末装置制御部220は、端末装置操作部222に入力された操作者IDが、端末装置記憶部221の登録モードの実行が許諾された操作者IDの一覧に記憶されているか否を判断する。入力された操作者IDが、登録モードの実行が許諾された操作者IDの一覧に記憶されている場合に、端末装置制御部220は、端末装置表示部223に、図8(b)に示すように、入力された操作者ID(例えば「A001」)を表示させるとともに、この操作者IDに一対一で対応するパスワードの設定入力を促す表示を表示させる。すると、操作者は、パスワード(例えば「5678」)を端末装置操作部222に入力することになる。
【0103】
パスワードが端末装置操作部222に入力されると、端末装置制御部220は、操作者IDとパスワードとを関連付けて貨幣処理装置部12に送信する。すると、処理装置制御部210が、処理装置記憶部211に、今回の登録モードで入力された操作者ID(例えば「A001」)とパスワード(例えば「5678」)とを関連付けて記憶する。
【0104】
他方、端末装置操作部222に入力された操作者IDが、端末装置記憶部221の登録モードの実行が許諾された操作者IDの一覧に記憶されていない場合には、その旨のアラーム表示を端末装置表示部223に表示させた後、端末装置表示部223を登録モードの初期画面に戻す。なお、登録モードの実行が許諾された操作者IDは、一般の担当者IDよりもレベルが高い管理者の管理者IDとなっており、よって、登録モードの実行には、少なくとも管理者IDを必要とすることになる。
【0105】
なお、登録モードとして、貨幣処理装置部12において、処理装置表示部213を用いて上記と同様に案内しつつ、処理装置操作部212で操作者IDの入力を行わせ、入力された操作者IDが、処理装置記憶部211に記憶された登録モードの実行が許諾された操作者IDと一致する場合にパスワードの入力を行わせて、これら操作者IDおよびパスワードを処理装置記憶部211に記憶するようにしても良い。
【0106】
以上に述べた本実施形態の貨幣処理システム1によれば、操作端末装置部13に操作入力が行われると、操作端末装置部13は、当該操作入力に関連する通信データを端末装置制御部220が通信部219および通信ケーブル14を通して貨幣処理装置部12に向けて発行し、貨幣処理装置部12が、通信部215を介して処理装置制御部210によって上記の通信データを認識することになる。貨幣処理装置部12には、処理装置記憶部211に、通信データの中の少なくとも一部のデータである操作者IDに対応する認証情報としてのパスワードが予め記憶されており、処理装置操作部212に認証情報であるパスワードが入力されると、処理装置制御部210が、認識した通信データの中の操作者IDに対応して処理装置記憶部211に記憶されたパスワードと、処理装置操作部212に入力されたパスワードとを比較し、これらパスワードの一致を確認した場合のみ、認識した通信データに基づいて取扱い処理を行うことになる。つまり、本実施形態の貨幣処理システム1では、通信データに対応して登録された認証情報であるパスワードの一致確認の仕組みを貨幣処理装置部12側に設けている。よって、仮に、操作端末装置部13にかえて通信シミュレータに通信ケーブル14を繋ぎ替えて通信データを盗聴し解析する等の不正操作があったとしても、貨幣処理装置部12単独での認証がない限り、取扱い処理を行うことはない。つまり、不正な操作を完遂できなくなり、セキュリティ性を向上させることができる。また、貨幣処理装置部12に、通信データの中の操作者IDに対応するパスワードを予め記憶する処理装置記憶部211と、パスワードが入力される処理装置操作部212とを設けるとともに、処理装置制御部210に、これらパスワードの一致を確認する機能を持たせれば良く、通信データを暗号化・複合化する等に比べて、比較的小さな開発工数によってセキュリティ性を向上させることができ、開発工数の負担を軽減できる。勿論、複数の担当者、管理者、警備会社の担当者等の各々全員の操作者IDに対応して、セキュリティ効果が生じることになる。
【0107】
また、パスワードと関連付けされる通信データの中の少なくとも一部として、操作端末装置部13を使用する上で本来必要な操作者IDを用いるため、パスワードと関連付けされる専用のデータが不要であり、操作端末装置部13への入力の負担を軽減できる。
【0108】
また、処理装置制御部210が、操作端末装置部13から通信データを認識した時点から所定時間内に、上記した認証情報であるパスワードの一致を確認した場合には、操作端末装置部13に向けて、通信データを正常に受け付けた旨を応答するため、操作端末装置部13側でも操作結果が正常であったを確認でき、異常時には異常を報知できる。
【0109】
また、処理装置制御部210が、操作端末装置部13から通信データを認識した時点から、所定時間内に上記した認証情報であるパスワードの一致を確認しなかった場合、または所定回数連続して上記した認証情報であるパスワードの一致を確認しなかった場合(不一致を確認した場合)には、処理装置報知部214が警報を報知することになる。したがって、それ以上不正に操作されることを防止することができる。
【0110】
また、登録モードにおいて、処理装置制御部210が、認証情報であるパスワードと通信データの中の少なくとも一部のデータである操作者IDとを関連付けて処理装置記憶部211に記憶させるため、登録モードにおいて、明確に認証情報であるパスワードと通信データの少なくとも一部のデータである操作者IDとを関連付けて処理装置記憶部211に記憶させることができる。
【0111】
また、登録モードの実行には、少なくとも管理者IDを必要とするため、登録の際のセキュリティ性が高まる。
【0112】
なお、以上の実施形態においては、処理装置制御部210が、端末装置制御部220が発行する通信データの中の少なくとも一部のデータとしての操作者IDに対応して処理装置記憶部211に記憶されたパスワードと、処理装置操作部212に入力された認証情報であるパスワードとの一致を確認する場合を例にとり説明したが、通信データの中の少なくとも一部のデータに対応して処理装置記憶部211に記憶されたパスワードと、処理装置操作部212に入力された認証情報であるパスワードとの一致を確認すれば良い。例えば、通信データの中の少なくとも一部のデータとして、操作者ID以外に、上記した取扱い処理の種類を示す特定の処理情報であるコマンドコードを用いても良い。
【0113】
この場合は、上記した登録モードにおいて、操作者IDが端末装置操作部222に入力されると、この操作者IDが、登録モードの実行が許諾された操作者IDである場合に、端末装置制御部220は、端末装置表示部223に、操作者ID(例えば「A001」)を表示させるとともに、この操作者IDに対して許可された各取扱い処理を表示させて、選択入力を促す表示を表示させる。例えば、操作者IDが管理者レベルの場合、「釣銭準備金補充処理」、「両替処理」および「貨幣全回収処理」を表示させ、これらの中から選択入力を促す表示を表示させる。表示された各取扱い処理の中から、適宜の取扱い処理(例えば「貨幣全回収処理」)が選択されると、端末装置制御部220は、選択された取扱い処理のコマンドコード(例えば「貨幣全回収処理」を示す「5B」)と、端末装置操作部222に入力された認証情報であるパスワード(例えば「5678」)とを関連付けして処理装置制御部210に出力し、処理装置制御部210がこれらコマンドコードおよびパスワードを関連付けして処理装置記憶部211に記憶する。つまり、認証情報であるパスワードと通信データの中の少なくとも一部のデータであるコマンドコードとを関連付けて処理装置記憶部211に記憶させることになる。
【0114】
そして、処理装置制御部210は、端末装置制御部220が発行する通信データを認識した際に、この通信データの中のコマンドコードに対応して処理装置記憶部211に記憶されているパスワードと、処理装置操作部212に入力されたパスワードとを比較し、これらの一致を確認した場合のみ、端末装置制御部220が発行した通信データに基づいて上記コマンドコードの取扱い処理を制御することになる。この場合も、認証情報であるパスワードと関連付けされる専用のデータが不要となり、操作端末装置部13への入力の負担を軽減できる。この場合には、操作端末装置部13から貨幣処理装置部12への通信データに操作者IDが含まなくても良い。
【0115】
また、上記のように、処理装置制御部210が、端末装置制御部220が発行する通信データを認識すると、通信データの中の少なくとも一部のデータとしての操作者IDに対応して処理装置記憶部211に記憶されたパスワードと、処理装置操作部212に入力されたパスワードとの一致を確認し、その後、例えば、出金処理の金庫交換処理時や貨幣の全回収処理時等、必要な処理を実行する際に、再度、上記コマンドコードに対応するパスワードの一致を確認するようにしても良い。
【0116】
また、認証情報としてパスワードにかえて指紋認証や静脈認証等の生体認証IDを用いても良い。つまり、通信データの中の少なくとも一部のデータである操作者IDに対応して処理装置記憶部211に記憶された生体認証IDと、処理装置操作部212に入力された認証情報である生体認証IDとを比較し、これらの一致を確認した場合のみ、端末装置制御部220が発行した通信データに基づいて取扱い処理を制御するようにしても良い。
【0117】
また、以上の実施形態においては、入金処理および出金処理の両方の処理において、処理装置制御部210が、端末装置制御部220が発行する通信データの中の操作者IDに対応して処理装置記憶部211に記憶されたパスワードと、処理装置操作部212に入力されたパスワードとの一致を確認する場合を例にとり説明したが、処理装置制御部210は、入金処理および出金処理のうち、貨幣を機内から機外へ移動させる出金処理である場合に限り、上記した認証情報であるパスワードの一致の確認を行い、パスワードの一致を条件として出金処理を行うようにしても良い。このように構成すれば、貨幣処理装置部12の在り高が減少する制御のみが保護対象になり、簡略化して運用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 貨幣処理システム
12 貨幣処理装置部(貨幣処理部)
13 操作端末装置部(操作端末部)
14 通信ケーブル(通信手段)
210 処理装置制御部(認識手段,制御手段,登録手段)
211 処理装置記憶部(記憶手段)
212 処理装置操作部(入力手段)
215 通信部(通信手段)
219 通信部(通信手段)
220 端末装置制御部(発行手段,認証手段,登録手段)
222 端末装置操作部(認証手段,登録手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8