(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、前述した基板コネクタ100は、当該基板コネクタ100を回路基板200に取り付ける際に、手間のかかる半田付け作業が必要となるという問題があった。
【0009】
また、外部機器からのケーブルを回路基板200の接点パターンに導通接続させるには、機器側コネクタを基板コネクタ100に嵌合させて、それぞれのコネクタに保持されている端子金具相互を雌雄嵌合させる必要があるが、端子金具相互を雌雄嵌合させる際に、端子相互の衝突やこじりにより端子金具の破損を招くおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、しかも、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれがなく、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることのできる基板コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)回路基板上に所定の配列ピッチで配列された接点パターンに、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を導通接続する基板コネクタであって、
前記端子金具を前記接点パターンの配列ピッチに対応した配列ピッチで収容保持する複数の端子収容孔を備えるコネクタ本体と、
基端には前記端子金具の先端に摺動可能に雌雄嵌合して前記端子金具に導通接続される端子嵌合部を備えると共に先端には前記接点パターンに突き当たることで前記接点パターンに導通接続される当接端子部を備えた中継ピン端子と、
前記コネクタ本体の先端に接続される本体嵌合部と、該本体嵌合部が前記コネクタ本体の先端に接続された時に前記端子金具に嵌合接続された前記中継ピン端子を
直接摺動するように収容する複数のピン端子収容孔と、を備えるフロントホルダと、
前記ピン端子収容孔に配置され、前記中継ピン端子の前記当接端子部が前記フロントホルダの先端から突出するように、前記ピン端子収容孔内の前記中継ピン端子を前記ピン端子収容孔の先端側に付勢するばね部材と、
前記回路基板に固定され、前記コネクタ本体に接続された前記フロントホルダの先端面から突出している前記当接端子部の先端が前記接点パターンに押圧された状態となるように前記コネクタ本体を係止するコネクタ受け部材と、
を備え、前記当接端子部の先端と前記接点パターンとの押圧接触により、前記端子金具と前記接点パターンとを導通接続させることを特徴とする基板コネクタ。
【0012】
(2)
回路基板上に所定の配列ピッチで配列された接点パターンに、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を導通接続する基板コネクタであって、
前記端子金具を前記接点パターンの配列ピッチに対応した配列ピッチで収容保持する複数の端子収容孔を備えるコネクタ本体と、
基端には前記端子金具の先端に摺動可能に雌雄嵌合して前記端子金具に導通接続される端子嵌合部を備えると共に先端には前記接点パターンに突き当たることで前記接点パターンに導通接続される当接端子部を備えた中継ピン端子と、
前記コネクタ本体の先端に接続される本体嵌合部と、該本体嵌合部が前記コネクタ本体の先端に接続された時に前記端子金具に嵌合接続された前記中継ピン端子を摺動可能に収容する複数のピン端子収容孔と、を備えるフロントホルダと、
前記ピン端子収容孔に配置され、前記中継ピン端子の前記当接端子部が前記フロントホルダの先端から突出するように、前記ピン端子収容孔内の前記中継ピン端子を前記ピン端子収容孔の先端側に付勢するばね部材と、
前記回路基板に固定され、前記コネクタ本体に接続された前記フロントホルダの先端面から突出している前記当接端子部の先端が前記接点パターンに押圧された状態となるように前記コネクタ本体を係止するコネクタ受け部材と、
を備え、前記当接端子部の先端と前記接点パターンとの押圧接触により、前記端子金具と前記接点パターンとを導通接続させ、
前記中継ピン端子は、真直な棒状体の中間部に前記ばね部材の付勢力を受ける鍔部が形成された構造で、前記鍔部よりも先端側が前記当接端子部として機能し、前記鍔部よりも基端側が前記端子嵌合部として機能し、
前記端子金具は、前記端子嵌合部が摺動可能に嵌合する雌型の端子金具であることを特徴とす
る基板コネクタ。
【0013】
上記(1)の構成によれば、まず、ピン端子収容孔に中継ピン端子とばね部材とを収容したフロントホルダを、コネクタ本体の先端に接続して、基端が端子金具に雌雄嵌合する中継ピン端子の先端が、フロントホルダの先端から突出した状態のコネクタ組立体を得る。次いで、このコネクタ組立体を、回路基板に固定されているコネクタ受け部材に係止させると、中継ピン端子の先端が回路基板上の接点パターンに押圧され、中継ピン端子を介して、コネクタ本体内の端子金具と回路基板上の接点パターンとが導通接続された状態が得られる。
【0014】
即ち、上記(1)の構成によれば、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、基端が端子金具に摺動可能に嵌合した中継ピン端子の先端を、接点パターンに押圧接触させることにより実現する。
【0015】
そのため、外部機器からのケーブルを回路基板の接点パターンに導通接続する際に、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0016】
しかも、中継ピン端子と回路基板上の接点パターンとの導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれもない。
【0017】
従って、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることができる。
【0018】
また、端子金具に摺動可能に嵌合接続される中継ピン端子には、ばね部材による付勢力が作用していて、接点パターンに対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体の寸法誤差や、組立誤差をばね部材の変形によって吸収することができ、寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターンと端子金具との接続信頼性を向上させることができる。
【0019】
上記(2)の構成によれば、中継ピン端子は、棒状体の中間部に鍔部を形成した単純構造であるため、製造が容易で、製造コストの増加を抑止することができる。
【0020】
しかも、ケーブルに接続される端子金具には、棒状体が嵌合可能な既存の雌型端子金具を流用することができ、既存部品の流用による製造コストの低減を図ることもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明による基板コネクタによれば、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、基端が端子金具に摺動可能に嵌合した中継ピン端子の先端を、接点パターンに押圧接触させることにより実現する。
【0022】
そのため、外部機器からのケーブルを回路基板の接点パターンに導通接続する際に、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0023】
しかも、中継ピン端子と回路基板上の接点パターンとの導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれもない。
【0024】
従って、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることができる。
【0025】
また、端子金具に摺動可能に嵌合接続される中継ピン端子には、ばね部材による付勢力が作用していて、接点パターンに対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体の寸法誤差や、組立誤差をばね部材の変形によって吸収することができ、寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターンと端子金具との接続信頼性を向上させることができる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る基板コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1〜
図26は本発明に係る基板コネクタの一実施形態を示したもので、
図1は本発明の一実施形態の基板コネクタの分解斜視図、
図2は
図1に示した端子金具、ばね部材、中継ピン端子の拡大斜視図、
図3は
図1に示したコネクタ本体、中継ピン端子、ばね部材、フロントホルダを斜め前方から見た斜視図、
図4は
図1に示したフロントホルダの正面図、
図5は
図4のA−A断面図、
図6は
図4のB−B断面図、
図7は一実施形態のフロントホルダがコネクタ本体の先端に仮係止された状態の斜視図、
図8は
図7に示したフロントホルダの正面図、
図9は
図8のC−C断面図、
図10は
図8のD−D断面図、
図11は
図10のE部の拡大図、
図12は先端にフロントホルダを仮係止させたコネクタ本体に端子金具を装着する前の斜視図、
図13は端子金具が装着されたコネクタ本体にフロントホルダが本係止された組立体の斜視図である。また、
図14は
図13に示した組立体の正面図、
図15は
図14のF−F断面図、
図16は
図14のG−G断面図、
図17は
図16のH部の拡大図、
図18は
図1に示したコネクタ受け部材が回路基板に固定された状態の斜視図、
図19は
図18に示したコネクタ受け部材の側面図、
図20は
図19のI−I断面図、
図21は
図20のJ部の拡大図、
図22はフロントホルダが本係止されたコネクタ本体を回路基板上のコネクタ受け部材に接続する前の状態を示す斜視図、
図23はフロントホルダが本係止されたコネクタ本体を回路基板上のコネクタ受け部材に接続した状態を示す斜視図、
図24は
図23に示した基板コネクタの後面図、
図25は
図24のK−K断面図、
図26は
図25のL部の拡大図である。
【0030】
この一実施形態の基板コネクタ1は、回路基板10上に所定の配列ピッチで配列された複数の接点パターン11に、外部機器からのケーブル20に接続された複数の端子金具30を導通接続するコネクタである。
【0031】
本実施形態の基板コネクタ1が接続される回路基板10は、例えば多層の回路基板で、中間層に回路パターンや電子回路が形成されている。また、
図1に示すように、片側の表面に、複数の接点パターン11が所定の配列ピッチで配列されている。更に、
図1に示すように、複数の接点パターン11が装備された領域A1を挟む両側に、基板コネクタ1を取り付けるための取付孔12が貫通形成されている。
【0032】
外部機器からのケーブル20に接続される端子金具30は、金属板のプレス成形品で、
図2に示すように、ケーブル20の被覆部21に加締め付けられる被覆固定片31と、ケーブル20の導体22に加締め付けられる導体圧着片32と、棒状の雄端子が摺動可能に嵌合する雌端子として機能する箱部33と、を備えている。
【0033】
箱部33は、棒状の雄端子が嵌入する角筒状の構造である。この箱部33の内周には、挿入された棒状の雄端子の側面が摺動可能に接触して、雄端子との導通接続を実現するばね片33aが装備されている。ばね片33aは、
図17に示すように、箱部33の側壁の一部を折り曲げて形成されている。
【0034】
本実施形態の場合、箱部33に摺動可能に嵌合する雄端子は、後述の中継ピン端子50の端子嵌合部51である。
【0035】
本実施形態における端子金具30は、端的に言えば、端子嵌合部51が摺動可能に嵌合する雌型の端子金具である。
【0036】
本実施形態の基板コネクタ1は、
図1に示すように、コネクタ本体40と、複数の中継ピン端子50と、フロントホルダ60と、複数のばね部材70と、コネクタ受け部材80と、を備えている。
【0037】
コネクタ本体40は、
図1及び
図3に示すように、端子金具30を接点パターン11の配列ピッチに対応した配列ピッチで収容保持する複数の端子収容孔41と、後述のフロントホルダ60を仮係止位置及び本係止位置に位置決め可能なホルダ係止機構42と、後述のコネクタ受け部材80と結合するための受け部材連結突起43と、を備えている。
【0038】
端子収容孔41には、
図16及び
図17に示すように、挿入された端子金具30の箱部33の後端の段差に当接して、該端子金具30の抜け止めを行うランス44が装備されている。
【0039】
ホルダ係止機構42は、
図3に示すように、後述するフロントホルダ60との嵌合方向(
図3の矢印X1方向)に沿って突出して装備された仮係止片421と、同じくフロントホルダ60との嵌合方向に沿って突出して装備された本係止片422と、を備える。
【0040】
仮係止片421と本係止片422は、所定の離間間隔で、フロントホルダ60との嵌合方向に突出している。そして互いに対向する内壁面に、係止突起421a,422aを有している。但し、仮係止片421の係止突起421aは、本係止片422における係止突起422aよりも、嵌合方向の先端側に装備されている。
【0041】
仮係止片421の係止突起421aは、コネクタ本体40に対するフロントホルダ60の嵌合長が第1の基準値に達した時に、
図9に示すように、フロントホルダ60に装備されている仮係止突部631aと係合することで、フロントホルダ60を仮係止位置に抜け止めする。
【0042】
本係止片422の係止突起422aは、
図9に示した状態から矢印X2方向に更にコネクタ本体40が押し込まれて、コネクタ本体40に対するフロントホルダ60の嵌合長が第2の基準値に達した時に、
図15に示すように、フロントホルダ60に装備されている本係止突部631bと係合することで、フロントホルダ60を本係止位置に抜け止めする。
【0043】
受け部材連結突起43は、後述するコネクタ受け部材80にコネクタ本体40を嵌合接続した際に、両者の嵌合長が所定長に達した時に、
図23に示すようにフコネクタ受け部材80に装備されているコネクタ連結部83に係合する突起である。受け部材連結突起43がコネクタ受け部材80のコネクタ連結部83に係合することで、コネクタ本体40がコネクタ受け部材80に固定される。
【0044】
中継ピン端子50は、
図2に示したように、基端(
図2では右側の端部)側に形成された端子嵌合部51と、先端(
図2では左側の端部)側に形成された当接端子部52と、これらの端子嵌合部51と当接端子部52の間に形成されたばね受け用の鍔部53と、を備える。
【0045】
端子嵌合部51は、端子金具30の先端の箱部33に摺動可能に雌雄嵌合して端子金具30に導通接続される部位である。この端子嵌合部51は、
図11及び
図17に示すように、フロントホルダ60をコネクタ本体40に嵌合接続させた際に、コネクタ本体40の端子収容孔41内に突入し、端子収容孔41内の端子金具30の箱部33に雌雄嵌合する。
【0046】
また、当接端子部52は、先端52aが回路基板10の接点パターン11に突き当たることで、接点パターン11に導通接続される部位である。
【0047】
ばね受け用の鍔部53は、端子嵌合部51の外周に遊嵌したばね部材70の一端が着座して、ばね部材70の付勢力を受ける部位である。
【0048】
本実施形態の場合、中継ピン端子50は、横断面形状が円形の真直な棒状体の中間部にばね部材70の付勢力を受ける鍔部53が形成された構造で、鍔部53よりも先端側が当接端子部52として機能し、鍔部53よりも基端側が端子嵌合部51として機能する。
【0049】
フロントホルダ60は、
図4〜
図7に示すように、コネクタ本体40の先端に嵌合接続される本体嵌合部61と、複数のピン端子収容孔62と、コネクタ本体40のホルダ係止機構42に係合するコネクタ係合機構63と、を備える。
【0050】
本体嵌合部61は、コネクタ本体40の先端部に嵌合する筒状構造である。
【0051】
複数のピン端子収容孔62は、本体嵌合部61内に装備される。ピン端子収容孔62は、本体嵌合部61がコネクタ本体40の先端に嵌合接続された時に、端子金具30に嵌合接続された中継ピン端子50を摺動可能に収容する孔である。ピン端子収容孔62は、中継ピン端子50の当接端子部52が本体嵌合部61の先端面から突出可能なように、コネクタ本体40との嵌合方向に沿って貫通形成されている。
【0052】
また、ピン端子収容孔62は、
図11に示すように、当接端子部52が挿通可能な小径孔部62aと、この小径孔部62aよりも内径が大きく設定されて鍔部53及びばね部材70を摺動可能に収容する中径孔部62bと、を有している。
【0053】
小径孔部62aは、内径が鍔部53の外径よりも小さく設定されており、鍔部53が当接することで、中継ピン端子50の突出方向(
図11の矢印X3方向)への移動を規制する。
【0054】
コネクタ係合機構63は、
図5に示すように、コネクタ本体40との嵌合方向に延出して設けられたコネクタ係合片631と、このコネクタ係合片631と平行に延出するようにコネクタ係合片631の両側に配置された撓み規制片632,633と、を備えている。
【0055】
コネクタ係合片631は、フロントホルダ60にコネクタ本体40の先端が挿入された時に、
図9に示すように仮係止片421と本係止片422との間に嵌入する。コネクタ係合片631は、その両側面に、仮係止突部631aと、本係止突部631bと、が形成されている。
【0056】
仮係止突部631aは、コネクタ本体40に対するフロントホルダ60の嵌合長が第1の基準値に達した時に、
図9に示すように、コネクタ本体40の係止突起421aと係合することで、フロントホルダ60を仮係止位置に抜け止めする。また、撓み規制片632は、
図9に示すように、コネクタ係合片631との間に仮係止片421を挟んで、仮係止片421の係脱方向への撓み変形を規制する。
【0057】
本係止突部631bは、コネクタ本体40に対するフロントホルダ60の嵌合長が第2の基準値に達した時に、
図15に示すように、コネクタ本体40の係止突起422aと係合することで、フロントホルダ60を本係止位置に抜け止めする。また、撓み規制片633は、
図15に示すように、コネクタ係合片631との間に本係止片422を挟んで、本係止片422の係脱方向への撓み変形を規制する。
【0058】
ばね部材70は、中継ピン端子50の端子嵌合部51に遊嵌される圧縮コイルばねである。このばね部材70は、中継ピン端子50に装着された状態で、ピン端子収容孔62の中径孔部62bに配置される。このばね部材70は、
図16に示すように、コネクタ本体40の先端にフロントホルダ60を本係止させた時に、
図17に示すようにコネクタ本体40の先端面40aと中継ピン端子50の鍔部53との間に挟持され、中継ピン端子50の当接端子部52がフロントホルダ60の先端から突出するように、ピン端子収容孔62内の中継ピン端子50をピン端子収容孔62の先端側に付勢する。
【0059】
コネクタ受け部材80は、
図1に示すように、基板固定手段81と、コネクタ嵌合部82と、を備えている。
【0060】
基板固定手段81は、
図20及び
図21に示すように、回路基板10の取付孔12に係合することで、コネクタ受け部材80を回路基板10に固定する。基板固定手段81は、
図1にも示すように、コネクタ嵌合部82の下端に突設されている。
【0061】
コネクタ嵌合部82は、先端にフロントホルダ60が接続(本係止)されたコネクタ本体40を嵌合接続させる角筒状の構造である。このコネクタ嵌合部82は、
図1に示した回路基板10の接点パターン11を含む領域A1の周囲を囲う筒状構造でもある。コネクタ嵌合部82には、
図1に示すように、コネクタ連結部83が装備されている。このコネクタ連結部83は、コネクタ本体40の受け部材連結突起43と係合することで、コネクタ本体40を係止する。
【0062】
コネクタ受け部材80は、
図18に示すように基板固定手段81を回路基板10の取付孔12に係合させることによって、回路基板10に固定される。また、コネクタ嵌合部82にコネクタ本体40を嵌合させて、
図23に示すように、コネクタ本体40の受け部材連結突起43をコネクタ受け部材80のコネクタ連結部83に係合させると、コネクタ本体40がコネクタ受け部材80に固定される。
【0063】
コネクタ受け部材80は、
図25及び
図26に示すように、コネクタ本体40に接続されたフロントホルダ60の先端面から突出している当接端子部52の先端が接点パターン11に押圧された状態となるように、コネクタ本体40を係止する。
【0064】
即ち、本実施形態の基板コネクタ1は、当接端子部52の先端と接点パターン11との押圧接触により、中継ピン端子50を介して端子金具30と接点パターン11とを導通接続させる。
【0065】
次に、本実施形態の基板コネクタ1の回路基板10への組み付け手順を説明する。
まず、フロントホルダ60のピン端子収容孔62に、中継ピン端子50及びばね部材70を装着する。
【0066】
次いで、中継ピン端子50及びばね部材70を装着したフロントホルダ60を、
図7〜
図11に示すように、コネクタ本体40の先端に仮係止させる。このとき、コネクタ本体40には、端子金具30は装着されていない。従って、コネクタ本体40の先端にフロントホルダ60を仮係止する際には、大きな操作力は必要なく、容易に仮係止状態にすることができる。
【0067】
次いで、
図12に示すように、フロントホルダ60が仮係止されているコネクタ本体40に、ケーブル20が接続されている端子金具30を挿入装着する。端子金具30の挿入は、端子金具30が端子収容孔41内のランス44に係止されるまで、行う。端子金具30の装着が完了したら、コネクタ本体40を更にフロントホルダ60内に押し込んで、
図13〜
図15に示すようフロントホルダ60がコネクタ本体40に本係止された状態にする。
【0068】
フロントホルダ60がコネクタ本体40に本係止された状態では、
図17に示すように、端子嵌合部51が所定の深さまで箱部33内に挿入された状態になり、端子嵌合部51とばね片33aとの間に、安定した電気的接続に必要となる充分な接触面が確保される。また、本係止状態では、
図17に示すように、コネクタ本体40の先端面40aが、ピン端子収容孔62内のばね部材70に当接し、ばね部材70がコネクタ本体40の先端面と鍔部53との間に挟まれた状態になる。ばね部材70は、
図17に示すように、当接端子部52が最大限にフロントホルダ60の先端から突出するように、中継ピン端子50を突出方向に付勢する。
【0069】
次いで、
図18〜
図21に示すように、回路基板10にコネクタ受け部材80を固定する。
【0070】
次いで、
図22に矢印Y1で示すように、フロントホルダ60が本係止されたコネクタ本体40を、コネクタ受け部材80に挿入し、コネクタ本体40の受け部材連結突起43をコネクタ受け部材80のコネクタ連結部83に係合させることで、コネクタ本体40をコネクタ受け部材80に係止させる。これで、コネクタ本体40の回路基板10への接続は完了である。
【0071】
コネクタ本体40がコネクタ受け部材80に係止されると、フロントホルダ60の先端から突出していた中継ピン端子50の当接端子部52は、
図24〜
図26に示すように、先端を回路基板10の接点パターン11に押圧接触して、接点パターン11に導通接続された状態になる。また、当接端子部52が接点パターン11に押圧接触する際には、ばね部材70が
図26の矢印Y2で示す方向に圧縮変形し、中継ピン端子50を接点パターン11と押圧状態に保つ所定の付勢力を発生する。
【0072】
以上に説明した一実施形態の基板コネクタ1によれば、まず、ピン端子収容孔62に中継ピン端子50とばね部材70とを収容したフロントホルダ60を、コネクタ本体40の先端に接続して、端子金具30が雌雄嵌合する中継ピン端子50の先端がフロントホルダ60の先端から突出した状態のコネクタ組立体を得る。
【0073】
次いで、このコネクタ組立体を、回路基板10に固定されているコネクタ受け部材80に係止させると、中継ピン端子50の先端が回路基板10上の接点パターン11に押圧され、中継ピン端子50を介して、コネクタ本体40内の端子金具30と回路基板10上の接点パターン11とが導通接続された状態が得られる。
【0074】
即ち、一実施形態の基板コネクタ1によれば、外部機器からのケーブル20に接続された端子金具30と、回路基板10上の接点パターン11との導通接続は、端子金具30に摺動可能に嵌合した中継ピン端子50の先端を接点パターン11に押圧接触させることにより実現する。
【0075】
そのため、外部機器からのケーブル20を回路基板10の接点パターン11に導通接続する際に、回路基板10に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0076】
しかも、中継ピン端子50と回路基板10上の接点パターン11との導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれもない。
【0077】
従って、外部機器からのケーブル20に接続された端子金具30を簡単に回路基板10上の接点パターン11に導通接続させることができる。
【0078】
また、端子金具30に摺動可能に嵌合接続される中継ピン端子50にはばね部材70による付勢力が作用していて、接点パターン11に対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体40の寸法誤差や、組立誤差をばね部材70の変形によって吸収することができ、寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターン11と端子金具30との接続信頼性を向上させることができる。
【0079】
更に、一実施形態の基板コネクタ1によれば、中継ピン端子50は、棒状体の中間部に鍔部53を形成した単純構造であるため、製造が容易で、製造コストの増加を抑止することができる。
【0080】
しかも、ケーブル20に接続される端子金具30には、棒状体が嵌合可能な既存の雌型端子金具を流用することができ、既存部品の流用による製造コストの低減を図ることもできる。
【0081】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0082】
例えば、本発明に係る基板コネクタが接続される回路基板は、基板コネクタの接続箇所が複数箇所に設定されるものであっても良い。
【0083】
また、回路基板に取り付けられるコネクタ受け部材80の具体的な構造も、上記実施形態に示した構造に限らない。
【0084】
また、本発明に係る基板コネクタにおいて、コネクタ本体40が収容保持する端子金具30の数量は、単一でも、複数でも良く、必要に応じて、任意の数量に設定することができる。