(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直流電力を交流電力に変換するインバータと、電力系統からブレーカ及び電流検出器を介して電力が供給される電力負荷に、前記インバータが変換した交流電力が前記電力系統に連系して供給されるように制御する制御部と、前記インバータを前記電力系統から解列するための解列リレーとを備える電力制御装置において、
前記解列リレーに並列に接続されており、前記ブレーカが閉状態のときにオンする接点及び前記ブレーカを介して前記電力系統から印加される制御電圧によってオフする第2の解列リレーを備え、
前記解列リレーは、前記制御電圧によってオンするようにしてあり、
前記制御部は、
自装置が所定の動作状態であるか否かを記憶する記憶手段と、
前記電流検出器が電流を検出したか否かを判定する判定手段と、
前記記憶手段が前記所定の動作状態ではない旨を記憶している場合、自装置を前記所定の動作状態にする指示を受け付ける受付手段とを有し、
該受付手段が前記指示を受け付け、且つ前記判定手段が否と判定した場合、前記第2の解列リレーによって前記インバータを前記電力負荷に接続すると共に前記記憶手段に前記所定の動作状態である旨を記憶するようにしてある
ことを特徴とする電力制御装置。
前記制御部は、前記記憶手段が前記所定の動作状態である旨を記憶しており、且つ前記判定手段が検出したと判定した場合、前記第2の解列リレーによって前記インバータを前記電力系統から解列すると共に前記記憶手段に前記所定の動作状態ではない旨を記憶するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、分電盤内の母線に接続された複数の電力負荷のうち、一部の電力負荷のみが自立運転でバックアップされる対象となっており、一部の電力負荷及び他の電力負荷の間を遮断するリレーと、該リレーによって遮断される母線の一部とが電力変換装置に含まれることによって構成が煩雑になる。更に、電力系統について検出した電圧及び周波数の範囲に基づいて、電力変換装置を連系運転させるか自立運転させるかを切り換えるため、自システム内の異常の内容によっては、自立運転中に電力変換装置を電力系統から確実に解列しておくことができないという問題があった。このため、停電中の電力系統にインバータの電圧が印加されるような危険な状態となったり、電力系統に連系しない電力が電力系統に逆潮流して電力系統の電圧に異常が発生したりして自立運転の安全性が損なわれる虞があった。
【0007】
また、特許文献2に開示された技術では、電力系統の停電が検出されて電源装置の自立運転が開始された場合、発電機が発電した発電電力が自立出力端子から外部に供給されるものの、配電盤(分電盤)内の母線に接続された電気負荷(電力負荷)には発電電力が供給されないという問題があった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自立運転が許容される条件が確実に整った場合にのみ自立運転を実行して、自立運転前に電力系統に接続されていた電力負荷に交流電力を供給することが可能な電力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電力制御装置は、直流電力を交流電力に変換するインバータと、電力系統からブレーカ及び電流検出器を介して電力が供給される電力負荷に、前記インバータが変換した交流電力が前記電力系統に連系して供給されるように制御する制御部と、前記インバータを前記電力系統から解列するための解列リレーとを備える電力制御装置において、前記解列リレーに並列に接続されており、前記ブレーカが閉状態のときにオンする接点及び前記ブレーカを介して前記電力系統から印加される制御電圧によってオフする第2の解列リレーを備え、前記解列リレ
ーは、
前記制御電圧によってオンするようにしてあり、前記制御部は、自装置が所定の動作状態であるか否かを記憶する記憶手段と、前記電流検出器が電流を検出したか否かを判定する判定手段と、前記記憶手段が前記所定の動作状態ではない旨を記憶している場合、自装置を前記所定の動作状態にする指示を受け付ける受付手段とを有し、該受付手段が前記指示を受け付け、且つ前記判定手段が否と判定した場合、前記第2の解列リレーによって前記インバータを前記電力負荷に接続すると共に前記記憶手段に前記所定の動作状態である旨を記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、解列リレーに並列に接続された第2の解列リレーが、ブレーカが閉状態のときに電力系統から印加される制御電圧によってオフとなるように構成してあり、しかも解列リレー及び第2の解列リレーが同時にオンとならないようにしてある。所定の動作状態にない自装置を、前記所定の動作状態にする指示を受け付けた場合、ブレーカが開状態にあり、且つ電力系統との間に流れる電流が検出されないときに、第2の解列リレーによってインバータを電力負荷に接続すると共に自装置を所定の動作状態とする。
これにより、例えば自装置が自立運転とは異なる動作状態にあるときに自立運転の状態にする指示を受け付けた場合、電力系統に対する電流が検出されないことによって、電力系統からの電流の流入及び電力系統への電流の流出がないことを検出したときに、ブレーカが開状態にある限り、第2の解列リレーによってインバータを電力負荷に接続して自立運転を開始する。つまり、自立運転の開始前に、使用者によるブレーカの開放が必須要件として満たされる必要があるのに加えて、電力系統に対する電流の授受がないことが検出されるため、自立運転の更なる安全性が確保される。また、自立運転中は第2の解列リレーがオンとなることによって解列リレーがオンとなることが禁止されるため、解列リレーを用いてインバータを電力系統に連携させる連系運転を行うこととした場合は、自立運転中に誤った制御によって連系運転が開始されることが防止される。
【0011】
尚、自立運転の状態にする指示を受け付けたときに、例えば自装置が連系運転等の他の動作状態にある場合は、他の動作状態が終了してブレーカの開放が検出され、且つ電力系統との間に流れる電流が検出されなくなるまで、第2の解列リレーがオンとなることはない。
【0012】
本発明に係る電力制御装置は、前記制御部は、前記受付手段が前記指示を受け付け、且つ前記判定手段が否と判定した場合、所定の信号を受け付ける手段を有し、該手段が前記信号を受け付けた場合、前記インバータを前記電力負荷に接続するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、自装置を自立運転の状態にする指示を受け付けて、電力系統との間に流れる電流が検出されないことを検出した場合、更に、所定の信号を受け付けたときに、インバータを電力負荷に接続する。
これにより、電力系統との間に流れる電流が検出されないことを検出した後に、例えば所定時刻が到来したとき、又は使用者による開始指示があったときに、実際の自立運転を開始する。
【0014】
本発明に係る電力制御装置は、前記制御部は、前記記憶手段が前記所定の動作状態である旨を記憶しており、且つ前記判定手段が検出したと判定した場合、前記第2の解列リレーによって前記インバータを前記電力系統から解列すると共に前記記憶手段に前記所定の動作状態ではない旨を記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、自装置が所定の動作状態にあり、且つ、電力系統との間に流れる電流が検出された場合に、第2の解列リレーによってインバータを電力系統から解列すると共に、自装置が所定の動作状態にないものとする。
これにより、例えば自装置が自立運転の状態にある場合、電力系統に対する電流が検出されることによって、電力系統からの電流の流入又は電力系統への電流の流出があることを検出したときに自立運転を停止する。つまり、電力系統に対する電流の授受が検出された場合に、インバータが電力系統から確実に解列されて自立運転が停止されるため、自立運転の安全性が確保される。また、使用者によってブレーカが投入された場合は、その構成上第2の解列リレーが必然的にオフとなるため、自立運転の安全性が二重に確保される。
【0016】
本発明に係る電力制御装置は、前記ブレーカに他のブレーカが直列に接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、電力負荷を電力系統から遮断するブレーカに他のブレーカが直列に接続されているため、自立運転の開始前に使用者によって行われるブレーカの開放が、より確実に行われることが期待される。
【0018】
本発明に係る電力制御装置は、前記ブレーカ及び電力負荷の間にリレースイッチが介装されており、該リレースイッチは、前記制御電圧によってオンするようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、電力負荷を電力系統から遮断するブレーカと電力負荷との間に介装されているリレースイッチをオンさせる制御電圧が、ブレーカが閉状態のときにオンする接点とブレーカ自身の接点とを介して電力系統から印加される。
これにより、ブレーカが投入された後に電力系統が停電した場合は、その構成上リレースイッチが必然的にオフし、ブレーカが開放された後は電力系統が停電から復電した場合であってもリレースイッチがオンすることがないため、インバータが電力系統から解列された状態となって、自立運転の安全性が確保される。更に、ブレーカが開放された状態で自立運転が開始された後にブレーカが投入された場合、リレースイッチがオンするまでの遅れ時間と、第2の解列リレーによってインバータが電力系統から解列されるまでの遅れ時間とに重なりがあるため、ブレーカが投入されてからインバータが第2の解列リレーによって電力系統から解列されるまでの遅れ時間が減殺される。
【0020】
本発明に係る電力制御装置は、前記電力系統に第2のリレースイッチからなる電圧検出器が接続されており、前記制御部は、前記電圧検出器が所定の電圧を検出した場合、所定の表示を行う表示手段を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、電力系統の電圧が所定電圧より高くなったときに動作するリレースイッチによって電力系統の復電を検出した場合、表示手段に所定の表示を行う。
これにより、例えば自立運転中に電力系統が停電から復電した場合に、復電の旨が表示される。
【0022】
本発明に係る電力制御装置は、前記ブレーカは、蓋を有する分電盤に収容されており、前記制御部は、前記蓋が開かれたことを検出する検出手段を有し、前記記憶手段が前記所定の動作状態である旨を記憶しており、且つ前記検出手段が検出した場合、前記第2の解列リレーによって前記インバータを前記電力系統から解列すると共に前記記憶手段に前記所定の動作状態ではない旨を記憶するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、自装置が所定の動作状態にあり、且つ分電盤の蓋が開かれたことを検出した場合に、第2の解列リレーによってインバータを電力系統から解列すると共に、自装置が所定の動作状態にないものとする。
これにより、例えば自装置が自立運転の状態にある場合、ブレーカの蓋が人為的に開かれたことを検出したときに自立運転を停止するため、自立運転の安全性が確保される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、所定の動作状態にない自装置を、前記所定の動作状態にする指示を受け付けた場合、電力系統に対する電流が検出されないことによって、電力系統からの電流の流入及び電力系統への電流の流出がないことを検出したときに、ブレーカが開状態にある限り、第2の解列リレーによってインバータを電力負荷に接続して自立運転を開始する。また、自立運転中は第2の解列リレーがオンとなることによって解列リレーがオンとなることが禁止されるため、誤った制御による連系運転が開始されることが防止される。
従って、自立運転が許容される条件が確実に整った場合にのみ自立運転を実行して、自立運転前に電力系統に接続されていた電力負荷に交流電力を供給することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力制御装置の接続例を示すブロック図である。
図1はいわゆる単線図で表してある。図中2は電力制御装置であり、電力制御装置2は、電気自動車(EV=Electric Vehicle )1の図示しないバッテリからリレー接点20aを介して供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ21と、該インバータ21が出力した単相2線の交流電圧を単相3線の交流電圧に変圧する変圧器22とを備える。インバータ21は、変圧器22を介して供給される交流電力を直流電力に変換して電気自動車1に供給することが可能な双方向インバータであってもよい。変圧器22の二次側の中性点は、リレー接点23aを介して接地電位に適宜接続される。
【0027】
変圧器22が変圧した交流電圧は、解列リレー24のリレー接点24a又は解列リレー24に並列に接続された第2の解列リレー34のリレー接点34aと漏電ブレーカ25とを介して、分電盤4に収容された漏電ブレーカ40に供給される。漏電ブレーカ25,40は、漏電が検出された場合、過負荷が検出された場合等の異常時を除いて投入されている。漏電ブレーカ40は、中性線欠相保護付きであり、自立運転時に中性線の欠相を検出して負荷6a,6b,6cを過電圧から保護する。漏電ブレーカ40が省略されていてもよい。リレー接点24a,34a及び漏電ブレーカ25間の配線部分に印加される電圧及び前記配線部分を流れる電流が、夫々リレースイッチからなる電圧検出器26及び電流トランス(CT=Current Transformer )27で検出され、検出結果が制御部28に与えられる。
【0028】
リレー接点24a,34a夫々を駆動する制御コイル24c,34cの一端は、接点35a(a接点),35b(b接点)と、接点36b(b接点),36a(a接点)と、接点37a(a接点),37b(b接点)とを直列に介して制御部28に各接続されている。制御部28には、リレー接点20a,23a,接点35a(及び35b),36a(及び36b)夫々を駆動する制御コイル20c,23c,35c,36cの一端が各接続されている。制御コイル20c,23c,35c,36c夫々の図示しない他端は、例えば電力制御装置2のDC電源に接続されている。図から明らかなように、接点35a(又は接点36a)がオンしている場合、接点35b(又は接点36b)がオフしているため、制御コイル24c,34cを同時に励磁することが禁止される構成になっている。
【0029】
接点37a,37bを駆動する制御コイル37cの一端は、主幹ブレーカ42が閉状態のときにオンする接点42aの一端に接続されている。接点42aの他端は、例えば電力系統5のL1線に主幹ブレーカ42を介して接続される。制御コイル37cの図示しない他端は、例えば電力系統5のL2線に主幹ブレーカ42を介して接続される。従って、主幹ブレーカ42が投入された場合、接点42aがオンすることによって、制御コイル37cの一端,他端夫々が、電力系統5のL2線,L1線に接続される。これにより、制御コイル37cが励磁されて接点37aがオンし、接点37bがオフする。つまり、主幹ブレーカ42が投入(又は開放)された場合、第2の解列リレー34の制御コイル34c(又は解列リレー24の制御コイル24c)の励磁が禁止される。
【0030】
制御部28には、また、使用者による指示及び各種操作を押し釦及び/又はタッチパネルによって受け付けるための操作・表示部29と、分電盤4に収容された主幹ブレーカ(請求項に記載のブレーカ)42及び電力系統5の間に流れる電流を検出する電流トランス(請求項に記載の電流検出器)43の検出端子と、電力系統5の電圧を検出する電圧検出器44の検出端子とが接続されている。操作・表示部29の図示しないLCDには、後述する動作状態を初めとする各種の情報が表示される。電圧検出器44には、電力系統5が停電から復電したときに点灯する復電表示ランプ45が接続されている。
【0031】
制御部28はCPU281を有しており、CPU281は、プログラム等の情報を記憶するROM、一時的に発生した情報を記憶するRAM、及び各種の入出力を行うI/Oポート(何れも図示せず)と互いにバス接続されている。CPU281は、上記ROMに予め格納されている制御プログラムに従って、電力制御装置2がその機能を発揮するための各種処理を実行する。これらの処理を実行する中で、CPU281は、電圧検出器26,44及び電流トランス27,43から検出結果を取り込むと共に、I/Oポートで制御コイル20c,23c,24c,34c,35c,36c夫々を励磁してリレー接点20a,23a,24a,34a,35a(又は35b),36a(又は36b)をオン(又はオフ)する。CPU281は、また、インバータ21の動作(出力電圧及び/又は出力電流、並びに変換方向)を制御し、操作・表示部29から与えられる指示及び各種操作に対応する信号を受け付ける。
【0032】
上述した構成において、主幹ブレーカ42を介して電力系統5から供給される交流電圧、及び/又は漏電ブレーカ40を介して電力制御装置2から供給される交流電圧は、分岐ブレーカ41a,41b,41c夫々を介して負荷(請求項に記載の電力負荷)6a,6b,6cに供給されるようになっている。例えば、負荷6a,6b,6cに商用電力のみが供給される場合、使用者によって主幹ブレーカ42及び分岐ブレーカ41a,41b,41cが投入され、制御部28で解列リレー24(のリレー接点24a:以下同様)及び第2の解列リレー34がオフされる。詳細については後述する。
【0033】
さて、制御部28は、自装置の動作状態を示す状態番号又は状態を表すフラグを、図示しないRAMに記憶する(請求項に記載の記憶手段)。本実施の形態1で定義する動作状態には、電力系統5に連系して動作する連系運転の状態と、主幹ブレーカ42によって電力系統5から遮断されて動作する自立運転の状態とがある。インバータ21が双方向インバータであって、電力系統5から供給される交流電力を直流電力に変換可能な場合は、変換した直流電力で電気自動車1を充電する充電運転の状態が定義されていてもよい。自装置を各動作状態に変更する指示は、使用者によって操作・表示部29から与えられる。
【0034】
例えば、主幹ブレーカ42が投入されているときに連系運転の状態にする指示が与えられて、CPU281がこれを受け付けた場合、CPU281は、リレー接点20aをオンしてインバータ21の入力に電気自動車1を接続し、更に制御コイル35cを励磁して接点35aをオンする。制御コイル36cは励磁されていないため、接点36bがオンしている。上述したように主幹ブレーカ42が投入されている場合は接点37aがオンしているため、CPU281が接点37a,36b,35aを介して制御コイル24cを励磁したときにリレー接点24aがオンする(即ち解列リレー24がオンとなる)。これにより、インバータ21の出力が負荷6a,6b,6cに接続される。
【0035】
次いで、CPU281はインバータ21を起動して、インバータ21から電力系統5に連系する交流電力が出力されるように制御する。この場合、CPU281は、電流トランス27で検出されるインバータ21の出力電流が適当な大きさとなるように、インバータ21に対して電流制御を行うように設定する。
【0036】
また、連系運転中に、図示しない停電検出器によって電力系統5の停電を検出した場合、即ちいわゆる単独運転を検出した場合、CPU281は、接点37a,36b,35aを介して実行している制御コイル24cの励磁を停止して解列リレー24をオフする。その他具体的な連系運転の方法については公知であるため、その詳細な説明を省略する。
【0037】
一方、主幹ブレーカ42が開放されている場合、上述したように制御コイル37cが励磁されないため、接点37bがオンしている。また、連系運転中に励磁される制御コイル35cは励磁されていないため、接点35bがオンしている。この状態でCPU281が制御コイル36cを励磁して接点36aをオンすると共に、接点37b,36a,35bを介して制御コイル34cを励磁したときにリレー接点34aがオンして(即ち第2の解列リレー34がオンとなって)自立運転を開始する準備が整う。
【0038】
つまり、自立運転を開始する前に、主幹ブレーカ42が開放されている状態で、制御コイル36c,34cを励磁する必要がある。但し、自立運転を開始する際に、使用者による指示及び各種操作に対応する信号を受け付ける処理を除いて、CPU281が検出すべき要件が1つしかない場合は、例えば接点37b,36a,35bを介して制御コイル34cを励磁する制御部28の出力を先にオンしておいてもよい。
【0039】
以下では、自立運転についてフローチャートを用いて説明する。
図2は、自立運転を開始するCPU281の処理手順を示すフローチャートであり、
図3は、自立運転を停止するCPU281の処理手順を示すフローチャートである。
図2の処理は、RAMに記憶されている状態番号又は状態を表すフラグが、自立運転の状態ではない旨を示す場合に、操作・表示部29から与えられる動作状態の変更指示を受け付け可能となったときに起動される。また
図3の処理は、RAMに記憶されている状態番号又は状態を表すフラグが、自立運転の状態である旨を示すようになったとき、即ち自立運転の状態となったときに起動される。以下に示す処理は、上述のROMに予め格納された制御プログラムに従ってCPU281により実行される。
【0040】
図2の処理が起動された場合、CPU281は、操作・表示部29から変更指示が有ったか否かを判定し(S11)、変更指示が有るまで待機する(S11:NO)。変更指示が有った場合(S11:YES)、CPU281は、その変更指示が自立運転の状態への変更指示であるか否かを判定する(S12)。自立運転の状態への変更指示ではない場合(S12:NO)、CPU281は、他の動作状態(例えば連系運転、充電運転等の状態)への変更処理を実行して(S13)
図2の処理を終了する。
【0041】
操作・表示部29からの変更指示が自立運転への変更指示である場合(S12:YES)、即ちその変更指示を受け付けた(請求項に記載の受付手段)場合、CPU281は、電流トランス43が電流を検出したか否かを判定し(S15:請求項に記載の判定手段)、検出した場合(S15:YES)、ステップS15の処理を繰り返す。これにより、CPU281は、主幹ブレーカ42が使用者によって開放されて、主幹ブレーカ42及び電力系統5の間に電流が流れなくなるまで待機する。
【0042】
電流トランス43が電流を検出していない場合(S15:NO)、CPU281は、操作・表示部29から与えられる信号によって、図示しないスタート釦が押下されたか否かを判定し(S17)、押下されていない場合(S17:NO)、ステップS17の処理を繰り返す。これにより、CPU281は、使用者が自立運転を開始させる旨の明確な意志表示をするまで待機する。この待機中にもステップS15における判定を継続するために、破線で示すように、処理をステップS15に戻すようにしてもよい。
【0043】
スタート釦が押下された場合(S17:YES)、即ちスタート釦に対応する信号を受け付けた(請求項に記載の所定の信号を受け付ける手段)場合、CPU281は、自立運転を開始する処理に移る。具体的には、CPU281は、先ず変圧器22の二次側の中性点を接地する(S18)。これにより、3線式による二次側の電圧のバランスが崩れないようにする。
尚、スタート釦の押下待ちに代えて、所定時間の経過、所定時刻の到来、所定信号の取得等の他の条件が成立したときに自立運転を開始させるようにしてもよい。
【0044】
次にCPU281は、リレー接点20aをオンしてインバータ21及び電気自動車(EV)1間を接続する(S19)と共に、制御コイル36c,34cを励磁することにより第2の解列リレー34をオンして(S20)インバータ21の出力を負荷6a,6b,6cに接続する。更にCPU281は、インバータ21を起動して(S21)、インバータ21から負荷6a,6b,6cに交流電力が供給されるように制御する。
【0045】
この場合、CPU281は、電圧検出器26で検出されるインバータ21の出力電圧が、一定の交流電圧となるように、インバータ21に対して電圧制御を行うように設定する。その後、CPU281は、自立運転中である旨を示す状態番号又はフラグをRAMに記憶して(S22)
図2の処理を終了する。
図2の処理を終了する前に、自立運転を開始した旨を操作・表示部29に表示してもよい。
尚、ステップS18からS21までの処理を実行する順序は、
図2に示す順序に限定されず、例えば各部の電圧を滑らかに立ち上げて突入電流の発生が防止できるように適宜変更してもよい。
【0046】
次に
図3の処理について説明する。
図3の処理が起動された場合、CPU281は、電流トランス43が電流を検出したか否かを判定し(S31)、検出した場合(S31:YES)、自立運転を停止するために、後述するステップS33に処理を移す。例えば、この段階で先に制御コイル36cの励磁を停止するようにしてもよい。電流トランス43が電流を検出していない場合(S31:NO)、CPU281は、ステップS31の処理を繰り返す。これにより、主幹ブレーカ42が開放されており、且つ電流トランス43が電流を検出していない場合に自立運転が継続される。自立運転中に電力系統5の電圧が所定電圧以上となったときに、電圧検出器44によって電力系統5の復電を検出した場合、CPU281は、復電の旨を操作・表示部29に表示する(請求項に記載の表示手段:フローチャートには図示せず)。
【0047】
電流トランス43が電流を検出した場合(S31:YES)、CPU281は、自立運転を停止する処理に移る。具体的には、CPU281は、先ずインバータ21を停止し(S33)、更に制御コイル36c,34cの励磁を停止することにより第2の解列リレー34をオフして(S34)インバータ21を電力系統5から確実に解列する。CPU281は、また、リレー接点20aをオフしてインバータ21及び電気自動車(EV)1間を遮断し(S35)、変圧器22の二次側の中性点を開放し(S36)、更に自立運転中でない旨を示す状態番号又はフラグをRAMに記憶して(S37)
図3の処理を終了する。
図3の処理を終了する前に、自立運転を停止した旨を操作・表示部29に表示してもよい。
尚、ステップS33からS36までの処理を実行する順序は、
図3に示す順序に限定されず、漏電ブレーカ40を介して電力制御装置2から分電盤4に供給される交流電圧が最も早く低下するように適宜変更してもよい。
【0048】
以上のように本実施の形態1によれば、解列リレーに並列に接続された第2の解列リレーが、主幹ブレーカが閉状態のときに電力系統のL1線及びL3線から印加される制御電圧によってオフとなり、且つ、解列リレー及び第2の解列リレーが同時にオンとならないような回路構成にしてある。自装置を自立運転の状態に変更する指示を受け付けた場合、ブレーカが開状態にあり、且つ主幹ブレーカ及び電力系統の間に流れる電流が検出されない場合に、第2の解列リレーによってインバータを電力負荷に接続して自立運転を開始する。つまり、自立運転の開始前に、使用者によるブレーカの開放が必須要件として満たされる必要があるのに加えて、電力系統に対する電流の授受がないことが検出されるため、自立運転の更なる安全性が確保される。また、解列リレーを用いてインバータを電力系統に連携させる連系運転を行うこととした場合は、自立運転中に誤った制御によって連系運転が開始されることが防止される。
従って、自立運転が許容される条件が確実に整った場合にのみ自立運転を実行して、自立運転前に電力系統に接続されていた電力負荷に交流電力を供給することが可能となる。
【0049】
また、自立運転を実際に開始する前に、スタート釦が押下されるまで待機する。
従って、使用者が自立運転を開始させる旨の明確な意志表示をするのを待ち受けて、実際の自立運転を開始することが可能となる。
【0050】
更に、電力系統の電圧が所定電圧より高くなったときに動作するリレースイッチからなる電圧検出器によって電力系統の復電を検出した場合、表示手段に所定の表示を行う。
従って、例えば自立運転中に電力系統が停電から復電した旨を表示して使用者に何らかの処置を促すことが可能となる。
【0051】
更にまた、自装置が自立運転の状態にあり、且つ、電力系統との間に流れる電流が検出された場合に、第2の解列リレーによってインバータを電力系統から解列して自立運転を停止する。つまり、電力系統に対する電流の授受が検出された場合にインバータが電力系統から確実に解列されて自立運転が停止される。また、使用者によって主幹ブレーカが投入された場合は、その構成上第2の解列リレーが必然的にオフとなるため、自立運転の安全性を二重に確保することが可能となる。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態1が、電力系統5及び解列リレー24の間に、漏電ブレーカ25,40を除いて、手動で開放及び投入が可能なブレーカを1つ(主幹ブレーカ42のみ)備える形態であるのに対し、実施の形態2は、そのようなブレーカを2つ備える形態である。
図4は、本発明の実施の形態2に係る電力制御装置2の接続例を示すブロック図である。
【0053】
図4において、主幹ブレーカ42及び漏電ブレーカ40の間に第2の主幹ブレーカ(請求項に記載の他のブレーカ)46が主幹ブレーカ42と直列に接続されている。前記第2の主幹ブレーカ46の開/閉状態を示す接点信号を出力する接点46aの両端が、制御部28に接続されている。制御部28には、また、分電盤4の図示しない蓋が開かれたことを示す接点信号を出力する接点47が接続されている。その他の構成は、実施の形態1における
図1と同様である。
【0054】
第2の主幹ブレーカ46は、自立運転を開始する際に、使用者に、電力系統5からの遮断をより確実に行わせるためのものである。例えば、使用者が電力制御装置2に自立運転を開始させる場合は、主幹ブレーカ42に加えて第2の主幹ブレーカ46を開放することが義務付けられる。
従って、自立運転の開始前に使用者によって行われるブレーカの開放が、より確実に行われることが期待されるため、自立運転の安全性を高めることが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態2のように、接点46aを備えて該接点46aの両端を制御部28に接続する場合は、接点46aが出力する接点信号をCPU281が取り込んで、自立運転の開始及び停止の際の判定に用いることができる。例えば、前述の
図2のステップS15,S17の間に第2の主幹ブレーカ46が開放されているか否かの判定(S16)を追加して、第2の主幹ブレーカ46の開放が検出されない場合(S16:NO)に処理をステップS15に戻すことにより、自立運転の開始が留保される。また、
図3のステップS31で電流を検出していない場合(S31:NO)、第2の主幹ブレーカ46が開放されているか否かの判定(S32)を追加して、第2の主幹ブレーカ46の開放が検出されない場合(S32:NO)に処理をステップS33に移すことにより、自立運転が停止される。
従って、本実施の形態2によれば自立運転の安全性を更に高めることが可能となる。
【0056】
さて、接点47は、使用者による誤操作が発生する可能性があることを、事前に検出するのに用いられる。具体的には、前述の
図3のステップS31で電流を検出していない場合(S31:NO)、CPU281が、接点47から出力される接点信号を取り込み、該接点信号によって蓋が開かれたことを検出する(請求項に記載の検出手段)。蓋が開かれたことを検出した場合、(又は開かれたことを検出しなかった場合)、CPU281が処理をステップS33(又はS31)に移す。これにより、人為的に蓋が開かれたことが検出されて自立運転が停止される。
従って、本実施の形態2によれば、自立運転の安全性を確保することが可能となる。
【0057】
その他、実施の形態1と対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
(実施の形態3)
実施の形態1が、主幹ブレーカ42及び負荷6a,6b,6c間が分岐ブレーカ41a,41b,41cを介して接続されている形態であるのに対し、実施の形態3は、主幹ブレーカ42及び負荷6a,6b,6c間にリレースイッチ(電磁接触器)48が介装されている形態である。
図5は、本発明の実施の形態3に係る電力制御装置2と外部との接続例を示すブロック図である。前述の
図1,4が単線図で表されているのに対し、
図5は複線図で表されている。尚、
図1,4に対し、
図5では、分岐ブレーカ41a,41b,41cの図示を省略してある。
【0059】
図5において、電流トランス43a,43b夫々は、主幹ブレーカ42及び電力系統5のL1線,L2線に流れる電流を検出して制御部28に与える。Nは中性線である。電圧検出器44はL1線及びL2線間の電圧を検出して制御部28に与える。主幹ブレーカ42は、該主幹ブレーカ42が閉状態のときにオンする接点42aを有する。
【0060】
主幹ブレーカ42と負荷6a,6b,6c及び漏電ブレーカ40との間には、リレースイッチ48のリレー接点が介装されており、該リレー接点は、制御コイル48cが励磁されたときにオンするようになっている。接点42aは、一端が主幹ブレーカ42及びリレースイッチ48間のL1線に接続されており、他端が制御コイル48cの一端に接続されている。制御コイル48cの他端は、主幹ブレーカ42及びリレースイッチ48間のL2線に接続されている。
【0061】
図5の構成において、自立運転中は主幹ブレーカ42が開放されて開状態となっており、接点42aがオフしているため、制御コイル48cの一端には、電力系統5のL1線から主幹ブレーカ42及び接点42aを介して印加されるべき制御電圧が印加されない。また制御コイル48cの他端には、電力系統5のL2線から主幹ブレーカ42を介して印加されるべき制御電圧が印加されない。これにより、リレースイッチ48がオフし、主幹ブレーカ42と負荷6a,6b,6c及び漏電ブレーカ40との間が遮断される。
【0062】
次に、自立運転中に誤って主幹ブレーカ42が投入された場合、接点42aがオンして制御コイル48cの一端にL1線から制御電圧が印加され、制御コイル48cの他端に電力系統5のL2線から主幹ブレーカ42を介して制御電圧が印加されるため、リレースイッチ48がオンして主幹ブレーカ42と負荷6a,6b,6c及び漏電ブレーカ40との間が接続される。但し、主幹ブレーカ42が投入されてからリレースイッチ48がオンするまでには、接点42aがオンするまでの時間と、リレースイッチ48の制御コイル48cが励磁されてリレー接点がオンするまでの時間とを要するため、第2の解列リレー34によってインバータ21を電力系統5から解列するまでの遅れ時間が減殺される。
【0063】
その他、実施の形態1と対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0064】
以上のように本実施の形態3によれば、負荷(電力負荷)を電力系統から遮断する主幹ブレーカと負荷及び漏電ブレーカとの間に介装されているリレースイッチをオンさせる制御電圧が、主幹ブレーカが閉状態のときにオンする接点と主幹ブレーカ自身の接点とを介して電力系統から印加される。
従って、主幹ブレーカが投入された後に電力系統が停電した場合は、リレースイッチがオフし、主幹ブレーカが開放された後は電力系統が停電から復電した場合であってもリレースイッチがオンすることがないため、インバータが電力系統から解列された状態となって、自立運転の安全性を確保することが可能となる。
更に、主幹ブレーカが開放された状態で自立運転が開始された後にブレーカが投入された場合は、主幹ブレーカが閉状態となったときにオンする接点の遅れ時間、及びリレースイッチの制御コイルによってリレー接点がオンするまでの遅れ時間を加算した時間と、第2の解列リレーによってインバータが電力系統から解列されるまでの遅れ時間とに重なりがあるため、インバータが第2の解列リレーによって電力系統から解列されるまでの遅れ時間を減殺することが可能となる。
【0065】
尚、本実施の形態3にあっては、主幹ブレーカ42及びリレースイッチ48が直列に接続されている場合について説明したが、実施の形態2で示したように、主幹ブレーカ42に第2の主幹ブレーカ46を直列に接続し、更にリレースイッチ48を直列に接続してもよい。この場合、第2の主幹ブレーカ46が閉状態のときにオンする接点(実施の形態2の接点46aとは異なる接点)を用意し、この接点と上述の接点42aとを直列に接続しておくことにより、主幹ブレーカ42及び第2の主幹ブレーカ46の両方が投入されたときに初めてリレースイッチ48がオンするようになるため、自立運転の安全性が向上する。
【0066】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。