特許第5885599号(P5885599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885599
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20160301BHJP
【FI】
   A63F5/04 512D
   A63F5/04 512C
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-138282(P2012-138282)
(22)【出願日】2012年6月20日
(65)【公開番号】特開2014-279(P2014-279A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年3月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大澤 友和
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 隆義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義之
(72)【発明者】
【氏名】丸田 智行
(72)【発明者】
【氏名】延武 優
【審査官】 瀬川 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−130871(JP,A)
【文献】 特開平11−290507(JP,A)
【文献】 特開2005−137897(JP,A)
【文献】 特開平11−267272(JP,A)
【文献】 特開2010−057609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコマンドに基づき演出に係る処理を行う制御基板と、前記演出に係る音響を発生する音響装置と、前記制御基板の制御に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、
少なくともひとつのサウンドデータを予め記憶しているサウンドデータ記憶部と、
前記サウンドデータに基づき第1音響信号を発生する第1再生部と、
前記サウンドデータに基づき第2音響信号を発生する第2再生部と、
前記第1音響信号と前記第2音響信号を合成して合成音響信号を出力する合成部と、
前記第1再生部を制御するためのパラメータであって、再生される前記サウンドデータの始点と終点、及び、前記第1音響信号の出力タイミングを指定する第1パラメータと、前記第2再生部を制御するためのパラメータであって、再生される前記サウンドデータの始点と終点、及び、前記第2音響信号の出力タイミングを指定する第2パラメータとを記憶し、前記第1パラメータと前記第2パラメータに基づき前記第1再生部と前記第2再生部を制御する再生制御部とを備え、
前記サウンドデータは、複数の音節を含む音声データであり、
前記第2パラメータにより発生される前記第2音響信号は、第1音節及び第2音節を含む複数の音節を含み、
前記第1パラメータにより発生される前記第1音響信号は、前記第2音響信号の前記第1音節と同じもの(以下「第1音響信号の第1音節」)を含み、
前記第1パラメータ及び前記第2パラメータにより指定される出力タイミングは、前記第1音響信号の前記第1音節と前記第2音響信号の前記第1音節が少なくとも部分的に重なるが、前記第2音節とは重ならないように設定され、かつ、少なくとも前記第1音響信号の前記第1音節と前記第2音響信号の前記第1音節の間で、所定の時間差が生じるように設定されている、ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1パラメータにより指定される始点と終点によって再生される前記サウンドデータの持続時間は、前記第2パラメータにより指定される始点と終点によって再生される前記サウンドデータの持続時間よりも短く、かつ、前記第1パラメータにより指定される出力タイミングは、前記第2パラメータにより指定される出力タイミングよりも早い、ことを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記第1パラメータの始点と終点は、前記音声データの先頭の音節を指定するものであり、
前記第2パラメータの始点と終点は、前記音声データの前記複数の音節全体を指定するものであり、
前記第1パラメータの出力タイミングと前記第2パラメータの出力タイミングの時間差は、前記先頭の音節の持続時間よりも短い、ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置を備えるスロットマシン等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機にはメダルの投入口が設けられており、遊技者は所定の枚数のメダルを投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。
【0003】
従来の遊技機の動作は次のようなものであった。
先ず、スタートスイッチが操作されることにより、スタートスイッチがONとなる。これを受けて遊技機内部の当選判定手段により抽選処理が行われる。ここで所定の役に当選すると当選フラグがセットされる。回転リールの回転が開始する。ストップスイッチが操作されることにより、ストップスイッチがONとなる。そして、対応する回転リールの回転が停止する。全部の回転リールに対応するストップスイッチの操作が行われた後、当選フラグ成立中に当該当選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。入賞が確定したと判定された場合、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0004】
抽選処理の評価が例えば外れの場合は所定の図柄が揃わないように設定され(いわゆる蹴飛ばし)、当たりの場合はストップスイッチが所定のタイミングで押下されることなどを条件に所定の図柄が揃うように設定される(いわゆる引き込み)。つまり、抽選処理において当選しているときのみ所定の条件の下で図柄が揃い入賞することにより、メダルが払い出されるが、当選しないときはストップスイッチをどのように操作してもメダルが払い出されることはない。これはメダルの払い出しを一定確率に保つためである。これを実現するため抽選処理において乱数発生器が用いられている。
【0005】
また、スロットマシンなどの遊技機は、演出表示を行うための液晶表示装置(LCD)及び音響装置(スピーカー)を備える。液晶表示装置には演出に係るアニメーションなどが表示され、スピーカーからは音楽や効果音とともに当該アニメーションに対応するナレーションや台詞(キャラボイス)などの音声が出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−173584号公報 入力された音響信号を複数の周波数帯域の音響信号に分割して、それぞれに残響効果を付加し、それらの音響信号を混合して、1つの音響信号として出力する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
遊技機は、スピーカーから音響を発生させるサウンドコントローラを備える。これは、例えばひとつ又は複数のICで構成されるものであり、遊技機の基板(サブ基板、制御基板)に搭載されるか、あるいは当該基板から信号を受けて処理を行う。スピーカーはサウンドコントローラにより制御ないし駆動される。
【0008】
サウンドコントローラは、予め記憶された音響のデータ(サウンドフレーズ、フレーズデータ)をデコードすることで音響を再生するものである。ところで、音響のデータはメモリに記憶されるが当該メモリの容量に限りがあること、及び/又は、サウンドコントローラで扱えるフレーズの数に限りがあることにより、発生可能な音響には制限がある。このため、遊技機の演出の設計は当該制限内において行わなければならない。
【0009】
しかし、機種によっては演出の数が多く、この結果サウンドフレーズ数が足りなくなることがある。このため、同じサウンドフレーズを使いまわしたり、フレーズを削減することが迫られる場合もある。これではその作業のための労力が発生するばかりではなく、演出に単調になり深みがなくなるおそれがある。このため、前記音響のデータの容量を抑制でき、かつ、多様な音響を発生できることが望ましい。
【0010】
多様な音響として、例えば、ひとつのフレーズや文の先頭の一言を連続して聞かせたいことがある。「行くぞー」などの「行」の部分を、「行行行行くぞー」のように連続して発声するような再生方法である。「行くぞー」と「行行行行くぞー」それぞれの音響のデータを持つようにすると必要なメモリ容量は2倍以上になる。したがって、上記制限内においては両方を持つことができないことがある。そこで、同じ音響のデータを使用して「行くぞー」を繰り返し発生させるようにすべきである。
【0011】
従来の遊技機において上記ような再生を行うには、ひとつのフレーズのサウンドデータに対して連続して再生を要求するやりかたしかなかった。このやりかたでは、一言を言い切る前に再生要求を連続することになり、先頭の発声はただの雑音のように再生されてしまい、意図した音響を発生できない。これに対し、ひとつのフレーズを言い切るまで待ってから再生要求を連続すると音響が無駄に長くなり勢いが失われ、やはり意図した音響を発生できない。
【0012】
上記問題点について、図12を参照してさらに説明を加える。同図はひとつ(1チャンネル)の音声発生装置による連続再生方法の一例を示す。
【0013】
図12(a)は、サウンドデータの例を示す。この例は「行くぞー」を発声するものであり、音節で表すと「い・く・ぞ・ー」となる。「・」は音節の区切りを示す記号であり、便宜的に定めたものである。
【0014】
図12(a)のサウンドデータは、各音節の持続時間が3Tであるとしている(Tは予め定められた時間、例えば0.03秒)。同図のサウンドデータを再生すると、同図に示すように「い・」は時刻st0からst1にかけて発声され、「く・」は時刻st1からst2にかけて発声され、「ぞ・」は時刻st2からst3にかけて発声され、「ー」は時刻st3からste(これはサウンドデータの終りを示す)にかけて発声される。
【0015】
図12(b)は、同図(a)のサウンドデータのうち先頭の音節を、その音節の持続時間よりも短い間隔Tで繰り返し発生し、これに続いてサウンドデータ全体を再生した例を示す。ひとつの音声発生装置により音節よりも短い間隔で音声発生を繰り返すと、正常な音声発生を完了する前にそれがキャンセルされ、次の音声発生が行われるようになるので、当該音節は正しく再生されず、人間には雑音のように聞こえる。したがって、図12(b)の例では先頭は雑音のように聞こえ、その後「い・く・ぞ・ー」という音声が聞こえることになる。
【0016】
図13は、図12とは異なる例を示す。図13は、ひとつのフレーズを言い切るまで待ってから再生要求を連続して行う例を示す。この例では「い・い・い・い・く・ぞ・ー」のように先頭の音が繰り返され、この部分はちゃんと聞き取ることができる(雑音のようにはならない)。しかし、図13の「い・い・い」は冗長であり無駄に長く勢いが失われ、遊技者の興趣を高めるといった音響を発生できない。
【0017】
また、権利的な問題で加工することが不可能なサウンドがある。著作権などの権利の関係上、権利許諾者からの許諾の下で提供された音響のデータは、これに一切の手を加えることなくそのままの状態で遊技機のメモリに記憶させておかなければならないケースが考えられる。この場合には、当該音響のデータについては特殊な音響効果を及ぼしたものを予め用意してメモリに記憶しておくということはできないから、当該加工不可のデータに基づき何らかの処理を行うことで多様な音響(何らかのエフェクトをかけた音響)を発生できるようにすることが望ましい。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、上記問題を生じさせることなく、先頭の一言を連続して聞かせるのに適した音響を発生でき、これにより多様な演出に対応することのできる音響装置を備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明は、所定のコマンドに基づき演出に係る処理を行う制御基板と、前記演出に係る音響を発生する音響装置と、前記制御基板の制御に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、
少なくともひとつのサウンドデータを予め記憶しているサウンドデータ記憶部と、
前記サウンドデータに基づき第1音響信号を発生する第1再生部と、
前記サウンドデータに基づき第2音響信号を発生する第2再生部と、
前記第1音響信号と前記第2音響信号を合成して合成音響信号を出力する合成部と、
前記第1再生部を制御するためのパラメータであって、再生される前記サウンドデータの始点と終点、及び、前記第1音響信号の出力タイミングを指定する第1パラメータと、前記第2再生部を制御するためのパラメータであって、再生される前記サウンドデータの始点と終点、及び、前記第2音響信号の出力タイミングを指定する第2パラメータとを記憶し、前記第1パラメータと前記第2パラメータに基づき前記第1再生部と前記第2再生部を制御する再生制御部とを備え、
前記第1パラメータ及び/又は前記第2パラメータにより指定される前記始点と終点は、再生される前記サウンドデータが雑音でないと認識される程度にその期間が長くなるように設定され、
前記第1パラメータ及び前記第2パラメータにより指定される前記出力タイミングは、少なくとも前記第1音響信号の一部と前記第2音響信号の一部が重なるように設定されている、ことを特徴とするものである。
【0020】
例えば、前記第1パラメータにより指定される始点と終点によって再生される前記サウンドデータの持続時間は、前記第2パラメータにより指定される始点と終点によって再生される前記サウンドデータの持続時間よりも短く、かつ、前記第1パラメータにより指定される出力タイミングは、前記第2パラメータにより指定される出力タイミングよりも早くなるように設定されている。
【0021】
前記サウンドデータは、複数の音節を含む音声データであり、
前記第1パラメータの始点と終点は、前記音声データの先頭の音節を指定するものであり、
前記第2パラメータの始点と終点は、前記音声データの前記複数の音節全体を指定するものであり、
前記第1パラメータの出力タイミングと前記第2パラメータの出力タイミングの時間差は、前記先頭の音節の持続時間よりも短い(あるいは「対応している」)ようにしてもよい。
【0022】
さらに、前記サウンドデータに基づき第3音響信号を発生する第3再生部を備え、
前記合成部は、前記第1音響信号乃至前記第3音響信号を合成して合成音響信号を出力し、
前記再生制御部は、前記第3再生部を制御するためのパラメータであって、再生される前記サウンドデータの始点と終点、及び、前記第3音響信号の前記出力タイミングを指定する、前記第1パラメータ及び前記第2パラメータとは異なる第3パラメータを予め記憶し、
前記第3パラメータが指定する始点と終点は、前記音声データの複数の音節の一部であって前記第1パラメータとは異なるものを指定するものであり、
前記第3パラメータが指定する前記第3音響信号の出力タイミングは、前記第1パラメータが指定する前記第1音響信号の出力タイミングと前記第2パラメータが指定する前記第2音響信号の出力タイミングの間であるようにしてもよい。
【0023】
前記サウンドデータは改変不能とされるものであり、当該改変不能性は、前記サウンドデータのチェックサムの判定により担保され、
前記再生制御部は、前記チェックサムに基づき前記サウンドデータの再生の可否を判定するようにしてもよい。
【0024】
当該サウンドデータは、例えば改変不能とされている。
このために、前記サウンドデータは、音響に係る複数のデータとともに、当該複数のデータの全部又は一部について予め求められた固有の特徴値(チェックサム、ハッシュ値、排他的論理和などの論理演算による値、ヘッダの値など)を含み、
前記再生制御部は、前記サウンドデータの前記固有の特徴値を予め記憶しており、
再生を開始するときに、前記サウンドデータに基づき前記固有の特徴値を取得し、これを予め記憶していた前記固有の特徴値と比較し、両者が一致したときに再生を開始するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、前記第1パラメータの始点と終点により指定される前記サウンドデータを、前記第2パラメータの始点と終点により指定される前記サウンドデータよりも短く、かつ、前記第1パラメータの出力タイミングを、前記第2パラメータの出力タイミングよりも早くしているので、ひとつのサウンドデータに基づき、一部の音響を繰り返し聞かせることができ、これにより多様な音響を発生することができる。音響の種類ごとにサウンドデータを用意する場合と比べて、データ量が少なくて済みメモリを有効に使用することができる。また、改変不能とされているサウンドデータであっても、さまざまな音響を発生することができ、改変可能とされているサウンドデータと同様の演出効果を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図である。
図2】前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図である。
図3】スロットマシンのブロック図である。
図4】遊技機の音響発生系統のブロック図である。
図5】発明の実施の形態に係るサウンドコントローラのブロック図である。
図6】発明の実施の形態に係るサウンドエフェクト(例1:音響信号の一部が重なっている例)の説明図である。図6(a)はサウンドデータの説明図、同図(b)はタイミングチャート、同図(c)はパラメータの説明図である。
図7】発明の実施の形態に係る他のサウンドエフェクトの例である。
図8】発明の実施の形態に係る他のサウンドエフェクト(例2)の説明図である。図8(a)はタイミングチャート、同図(b)はパラメータの説明図である。
図9】発明の実施の形態に係る他のサウンドエフェクト(例3:音響信号の一部が重なっている例)の説明図である。図9(a)はタイミングチャート、同図(b)はパラメータの説明図である。
図10】発明の実施の形態に係る他のサウンドエフェクト(例4:音響信号の一部が重なっている例)の説明図である。図10(a)はタイミングチャート、同図(b)はパラメータの説明図である。
図11】発明の実施の形態に係る再生処理のフローチャートである。
図12】従来の音響発生の説明図(一例)である。
図13】従来の音響発生の説明図(他の例)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
【0028】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0029】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0030】
スロットマシン本体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0031】
前記前扉130の裏面には、図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0032】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0033】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
【0034】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0035】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、リールの回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0036】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0037】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リールユニット(リール駆動装置を含む)203,リール位置検出回路71、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0038】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0039】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0040】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0041】
投入受付部1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1リール〜第3リールの回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1リール〜第3リールの回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0042】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10はベットスイッチBETの有効/無効を制御する。ベットスイッチBETが有効になっていないときは(許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0043】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0044】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1050から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0045】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0046】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0047】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0048】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0049】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。リプレイ処理手段1600については、後に再度説明を加える。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0050】
リール制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1リール〜第3リールをステッピングモータにより回転駆動して、第1リール〜第3リールの回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中のリールにそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リールを抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0051】
また、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、そのリール停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール〜第3リールの各リールを停止させる制御を行う。
【0052】
すなわち、リール制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1リール〜第3リールのうち押下されたボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1リール〜第3リールの停止位置を決定し、決定された停止位置で第1リール〜第3リールを停止させる制御を行う。
【0053】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1リール〜第3リールの位置(押下検出位置)と、第1リール〜第3リールの実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1リール〜第3リールの停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0054】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるリールインデックス(図示せず)を備えており、リール制御手段1300は、リールが1回転する毎にリールインデックスで検出される基準位置信号に基づいて、リールの基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在のリールの回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時におけるリールの位置を、リールの基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0055】
リール制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールを停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)リールを停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)リールを停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止しているリールの停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各リールの停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1リール〜第3リールを停止させる制御を行っている。
【0056】
本実施形態の遊技機では、第1リール〜第3リールが、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各リールの停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各リールが停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0057】
入賞判定手段1400は、第1リール〜第3リールの停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1リール〜第3リールの全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0058】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0059】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0060】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0061】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0062】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0063】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0064】
リールユニット203は、図示しない3つのリールを備えるが、3つのリールそれぞれにひとつづつステッピングモータが取り付けられている。ステッピングモータは、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンのリールの回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0065】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0066】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0067】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0068】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0069】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0070】
スロットマシンでは、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0071】
前述のように、サブ基板20にはスピーカ基板201が接続されている。図4に、遊技機の音響発生系統のブロック図を示す。
【0072】
図4において、SCは、スピーカーSPから音響を発声させるサウンドコントローラである。サウンドコントローラSCは、サブ基板20からの指令に基づき所定の音響(台詞、音楽、効果音など)をスピーカーSPから出力させる。
【0073】
本発明の実施の形態では、サウンドコントローラSCは、例えばスピーカ基板201に内蔵されているが、サブ基板20に内蔵されていてもよい。
【0074】
図5は、サウンドコントローラSCの内部ブロック図を示す。同図は概念図であり、発明の実施の形態に係る音響系統の動作説明に必要な部分のみを示している。
【0075】
SC1は、少なくともひとつのサウンドデータ(例えばWAV)を予め記憶しているサウンドデータ記憶部である。なお、サウンドデータ記憶部SC1を、サウンドコントローラSCの外部に設けるようにしてもよい。この場合、サウンドコントローラSCとは別個独立の記憶部(ROM)を設け、これをサウンドデータ記憶部SC1とする。
【0076】
当該サウンドデータは例えば改変不能なものである。改変不能の場合、後述の図10の処理によるチェックサムによる判定が行われることがある。記憶されているサウンドデータが改変されていないことは、当該サウンドデータのチェックサムによって担保されている(この点はさらに後述する)。このために、再生制御部SC4は、サウンドデータ記憶部SC1のサウンドデータのチェックサムを求めることができるようになっている。
【0077】
SC2−1乃至SC2−4は、前記サウンドデータに基づきそれぞれ音響信号を発生する複数の再生部である。各再生部SC2−1乃至SC2−4が発生する音響信号は互いに異なるものであり、その内容は後述のパラメータで指定される。なお、以下に説明するエフェクトを音響にかけない場合は、複数の再生部のいずれかのみを動作させるようにすればよい。この場合、合成処理は不要である。各再生部SC2−1乃至SC2−4が同じ音響を発生するようにもできるが、以下の説明は複数の音響信号が互いに異なることを前提としている。
【0078】
各再生部SC2−1乃至SC2−4は、それぞれ、前記サウンドデータの一部又は全部を取得するサウンドデータ取得部と、前記サウンドデータ取得部で取得されたデータに基づく音響信号の出力タイミングを制御する遅延処理部とを含んでいる。さらに、前記音響信号の音量を制御する音量調整部と、前記前記音響信号の再生速度を制御する再生速度調整部とを含んでいてもよい。図5では図面を見やすくする関係上、再生部SC2−1のみ、サウンドデータ取得部、遅延処理部、音量調整部、再生速度調整部を示しているが、他の再生部SC2−2乃至SC2−4も同様である。
【0079】
SC3は、前記複数の音響信号を合成してひとつの合成音響信号を出力する合成部である。図5は4つのチャンネルのサウンドデータを合成してひとつにする装置を示している。合成部SC3はデジタル回路又はアナログ回路で構成される。その入力がデジタル信号のときはデジタル回路、例えば加算器で構成される。その入力がアナログ信号のときはアナログ回路、例えば増幅器(演算増幅器による加算回路)で構成される。合成部SC3の出力はスピーカーSPへ送られる。
【0080】
SC4は、再生部SC2−1乃至SC2−4を制御する再生制御部である。
【0081】
再生制御部SC4は、各再生部SC2−1乃至SC2−4にどのような態様で音響再生を行わせるかを指定するためのパラメータを記憶するパラメータ記憶部SC4−1及びSC4−2を含む。図5の例では、パラメータとして、パラメータAとパラメータBを示している。
【0082】
各パラメータA及びBは、各再生部SC2−1乃至SC2−4の前記サウンドデータから取得すべきデータを示すパラメータ、前記サウンドデータ取得部で取得されたデータに基づく音響信号の出力タイミングを指定するためのパラメータである。例えば、図6乃至図10のパラメータA1は再生部SC2−1用のパラメータ(先立って発生される音響のパラメータ)であり、パラメータA2は再生部SC2−2用のパラメータであり、パラメータA3は再生部SC2−3用のパラメータであり、パラメータBは再生部SC2−4用のパラメータ(最後に発生されるパラメータ)である。
【0083】
再生制御部SC4は、例えば図6乃至図10の各パラメータA1乃至A3,及びBを再生部SC2−1乃至SC2−4へそれぞれ送る。各再生部SC2−1乃至SC2−4は、与えられたパラメータに従ってサウンドデータ記憶部SC1からのサウンドデータを再生する。各再生部SC2−1乃至SC2−4は、所定のサウンドデータ(例えばWAV)を音響に戻すものである。この処理は公知であるので説明は省略する。
【0084】
再生制御部SC4は、さらに、サウンドデータSC1のサウンドデータのチェックサムを記憶しているチェックサム記憶部SC4−4を含む。当該チェックサムは、サウンドデータ記憶SC1に記憶されているサウンドデータが改変されていないことを担保するためのものである(このための処理は後述する)。
【0085】
次に、図6乃至図10を参照して発明の実施の形態に係る装置の動作について説明する。
【0086】
図6(a)は、サウンドデータの例を示す。この例は図6乃至図10に共通のものである。この例は「行くぞー」を発声するものであり、音節で表すと「い・く・ぞ・ー」となる。「・」は音節の区切りを示す記号であり、便宜的に定めたものである。
【0087】
図6(a)のサウンドデータは、各音節の持続時間が3Tであるとしている(Tは予め定められた時間、例えば0.03秒)。同図のサウンドデータを再生すると、同図に示すように「い・」は時刻st0からst1にかけて発声され、「く・」は時刻st1からst2にかけて発声され、「ぞ・」は時刻st2からst3にかけて発声され、「ー」は時刻st3からste(これはサウンドデータの終りを示す)にかけて発声される。
【0088】
ここで、サウンドデータ取得部は、パラメータの指定により任意のひとつ又は複数の音節を選択できるものとする。例えば、時刻st0とst1を指定することにより、「い・」の音節のデータを取得し、再生させることができる。以下の説明ではパラメータとして時刻st0〜steを使用するが、他のパラメータも使用できる。例えば、サウンドデータが記憶されているメモリのアドレスを使用できる。
【0089】
図6(b)は、発明の実施の形態による再生サウンド(例1)の説明図である。符号α〜δは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4で発生する音響(音声)を示す。同図は4つの音量が同じものとしているが、これは任意に変更し得る。例えば、符号α〜δの音量を100%、80%、60%、40%のように逓減させること、あるいは、逆に40%、60%、80%、100%のように逓増させることができる(パラメータの表示は省略する)。また、音声の再生速度を音声α〜δについてそれぞれ異なるようにもできる。このことは、図8図10についても同様である。
【0090】
図6(c)は、同図(b)の再生サウンド(例1)に対応するパラメータの説明図である。パラメータA1、A2、A3、Bは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4に与えられるものである。
【0091】
パラメータA1は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを所定のタイミングで再生するように再生部SC2−1を制御するものである(この再生開始タイミングを基準=0とする)。
【0092】
パラメータA2は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを基準=0から時間Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−2を制御するものである。
【0093】
パラメータA3は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを基準=0から時間2Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−3を制御するものである。
【0094】
パラメータBは、サウンドデータのst0からsteまでのデータ、つまりサウンドデータの全部である「い・く・ぞ・ー」を取得し、それを基準=0から時間3Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−3を制御するものである。
【0095】
以上のパラメータにより、図6(b)に示すように「いいいい・く・ぞ・ー」という、ひとつのフレーズや文の先頭の一言を連続して聞かせる音声を発声することができる。
【0096】
図6の例では、パラメータ間の遅延時間が、「い・」の持続時間である3Tよりも短いTであるので、音節の区切りは認識されず、「いいいい」のように同じ音が重なって認識される。
【0097】
なお、図6の持続時間を3TからTに変更すると、図7のように各再生部SC2−1乃至SC2−4の音声が重ならないようにできる(点線の部分は図6と比較して発声されない部分を示す)。本発明の実施の形態によれば、パラメータで持続時間を短くするように設定することにより図7のような再生も可能である。図6(a)で示したst0、・・・を単位として長さを指定できるだけではなく、任意の長さを指定することができる。
【0098】
図7によれば、図12と同じ音響を発生することになるが、本発明の実施の形態はこのような使い方を排除するものではない。図7では、一言を言い切る前に再生要求を連続することになり、先頭の発声はただの雑音のように再生されてしまうが、演出の作用としてそのような効果をあえて発生させることもあり得る。本発明の実施の形態はこのような用途にも使用できる。
【0099】
図8(a)は、発明の実施の形態による再生サウンド(例2)の説明図である。符号α〜δは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4で発生する音響(音声)を示す。
【0100】
図8(b)は、同図(a)の再生サウンド(例2)に対応するパラメータの説明図である。パラメータA1、A2、A3、Bは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4に与えられるものである。
【0101】
パラメータA1は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを所定のタイミングで再生するように再生部SC2−1を制御するものである(この再生開始タイミングを基準=0とする)。
【0102】
パラメータA2は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを基準=0から時間3Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−2を制御するものである。
【0103】
パラメータA3は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを基準=0から時間6Tだけ遅れて(パラメータA2による音声との比較では時間3Tだけ遅れて)再生するように再生部SC2−3を制御するものである。
【0104】
パラメータBは、サウンドデータのst0からsteまでのデータ、つまりサウンドデータの全部である「い・く・ぞ・ー」を取得し、それを基準=0から時間9Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−4を制御するものである。
【0105】
以上のパラメータにより、図8(a)に示すように「い・い・い・い・く・ぞ・ー」という、ひとつのフレーズや文の先頭の一言を連続して聞かせる音声を発声することができる。
【0106】
図8の例では、パラメータ間の遅延時間が、「い・」の持続時間である3Tと同じ3Tであるので、符号α〜δの音響は互いに重ならず、音節の区切りが認識される。図8の例では、先頭の音節がはっきりと認識される。
【0107】
図8の例は繰り返し間隔が音節の持続時間に相当しているので、ひとつ(1チャンネル)の音声発生装置によっても図8の例の連続再生を行うことができる。言い換えれば、本発明の実施の形態によってもパラメータを図8のように選択することにより、1チャンネルの音声発生装置による連続再生と同様の再生を行うことができる。図8により発生されるサウンドは、従来技術である図13のサウンドと同様のものである。
【0108】
図9(a)は、発明の実施の形態による再生サウンド(例3)の説明図である。符号α〜δは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4で発生する音響(音声)を示す。
【0109】
図9(b)は、同図(a)の再生サウンド(例3)に対応するパラメータの説明図である。パラメータA1、A2、A3、Bは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4に与えられるものである。
【0110】
パラメータA1は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを所定のタイミングで再生するように再生部SC2−1を制御するものである(この再生開始タイミングを基準=0とする)。
【0111】
パラメータA2は、サウンドデータのst0からst2までのデータ、つまり「い・く・」を取得し、それを基準=0から時間Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−2を制御するものである。
【0112】
パラメータA3は、サウンドデータのst0からst2までのデータ、つまり「い・く・」を取得し、それを基準=0から時間3Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−3を制御するものである。
【0113】
パラメータBは、サウンドデータのst0からsteまでのデータ、つまりサウンドデータの全部である「い・く・ぞ・ー」を取得し、それを基準=0から時間6Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−4を制御するものである。
【0114】
図9の例は、図6及び図8とは異なり繰り返し聴かせる3つの音節が同じではない。また、隣接する音声α〜δの間の間隔(遅延)が異なっている(遅延量がT、2T、3Tとなっている)。
【0115】
図9(b)のパラメータにより、図9(a)に示すように「いいくいくい・く・ぞ・ー」という、繰り返す音節を増やしつつ、先頭の一言を連続して聞かせる音声を発声することができる。
【0116】
図9の例では、音声αと音声βの間隔が3Tよりも短いので「いい」のように先頭の音節が重なって認識される。音声βと音声γの間隔が2Tであるので「い」は若干重なり、「く・」は完全に重なっている。図9によれば、サウンドの前半において音節の区切りは認識されず、音が重なって認識される。
【0117】
図10(a)は、発明の実施の形態による再生サウンド(例4)の説明図である。符号α〜δは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4で発生する音響(音声)を示す。
【0118】
図10(b)は、同図(a)の再生サウンド(例4)に対応するパラメータの説明図である。パラメータA1、A2、A3、Bは、それぞれ再生部SC2−1〜SC2−4に与えられるものである。
【0119】
パラメータA1は、サウンドデータのst0からst1までのデータ、つまり「い・」を取得し、それを所定のタイミングで再生するように再生部SC2−1を制御するものである(この再生開始タイミングを基準=0とする)。
【0120】
パラメータA2は、サウンドデータのst1からst2までのデータ、つまり「く・」を取得し、それを基準=0から時間Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−2を制御するものである。
【0121】
パラメータA3は、サウンドデータのst2からst3までのデータ、つまり「ぞ・」を取得し、それを基準=0から時間2Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−3を制御するものである。
【0122】
パラメータBは、サウンドデータのst0からsteまでのデータ、つまりサウンドデータの全部である「い・く・ぞ・ー」を取得し、それを基準=0から時間5Tだけ遅れて再生するように再生部SC2−4を制御するものである。
【0123】
図10の例は、繰り返し聴かせる音節が3つとも異なるものである。また、音声δについてのみ、隣接する音声γとの間の間隔(遅延)が異なっている(直近の音声に対する遅延量が3Tと長い)。
【0124】
図10(b)のパラメータにより、図10(a)に示すように「いくぞ・い・く・ぞ・ー」という、先頭の一言を連続して聞かせる音声をそれぞれ異なるようにできる。また、図10の例は「いくぞ」と各音節を重ねつつ再生した後に、「い・く・ぞ・ー」と音節の区切りを明確にしつつ再度再生したものと見ることができる。
【0125】
以上の処理は、同じサウンドデータの読み出し方・再生の仕方を変えることによって、再生サウンドに特殊な効果を与えるものである。したがって、サウンドデータが改変の許されないものであっても、以上の処理を適用することができる。
【0126】
発明の実施の形態によれば、パラメータを指定してサウンドを再生することにより、ひとつのサウンドデータに基づき多様な音響を発生することができる。音響の種類ごとにサウンドデータを用意する場合と比べて、データ量が少なくて済みメモリを有効に使用することができる。
【0127】
なお、各パラメータの再生開始位置st0及び再生終了位置st1などは、これに基づき再生されるサウンドデータ(音響)が雑音でないと認識される程度にその期間が長くなるように設定されている。
【0128】
例えば、図10では「いくぞ・い・く・ぞ・ー」となるが、パラメータA2のst1とst2は「く=ku」の「k」だけでなく「ku」全体を切り出す程度に長く設定されている。「k」だけを切り出すと単なる雑音のように聞こえてしまうおそれがある。同様に、パラメータA3のst2とst3は「ぞ=zo」の「z」だけでなく「zo」全体を切り出す程度に長く設定されている。なお、「く=ku」の「u」、「ぞ=zo」の「o」についてその後半をカットして音節を短くすることは可能である。例えば、「く=kuuu」のように長い発音の場合に、「く=ku」のように短く切り出すことができる。
【0129】
これに対し、パラメータA1が切り出すのは母音「い=i」であるので、そのst0とst1は、子音ほどはその持続時間に関する制約は強くない。
【0130】
雑音でないと認識される程度にパラメータを設定することにより、繰り返される音が雑音にしか聞こえなくなることを解消することができる。
【0131】
また、発明の実施の形態によれば、改変不能(改変不可)とされているサウンドデータであっても、さまざまな音響を発生することができ、改変可能とされているサウンドデータを同様の演出効果を提供できる。
【0132】
ところで、権利的な問題で加工することが不可能なサウンドデータであっても、技術的には加工可能である。したがって、一切の手を加えることなくそのままの状態で遊技機のメモリに記憶させておかなければならないという契約が存在する場合において、その実効性を担保する技術的手段を設けておくことが好ましい。
【0133】
図11は、そのための処理を示す。同図は、サウンドデータの加工の有無をチェックサムに基づき判定している。加工不可のサウンドデータのチェックサムは常に同じであるが、もし加工されるとチェックサムは変化する。そこで、再生制御部SC4にメモリSC4−4を用意し、オリジナルのサウンドデータのチェックサムをそこに記憶しておき、再生処理を開始する際に当該チェックサムを検査するようにすることで加工されたサウンドの再生を不可能にする。
【0134】
S1:再生制御部SC4は、サウンドデータ記憶部SC1のサウンドデータのチェックサムを求める。
サウンドデータの先頭から最後までのデータについて、あるいは予め定められた範囲のデータについてチェックサムを求める。チェックサムの対象となるデータの範囲は予め定められており、これに対応するチェックサムがメモリSC4−4に記憶されている。チェックサムの求め方は公知であるのでその説明は省略する。
【0135】
S2:再生制御部SC4は、S1で求めたチェックサムがメモリSC4−4のチェックサムと一致するかどうか判定する。
一致したときは(YES)、当該サウンドデータは改変されていないから処理を継続する。不一致のときは(NO)、当該サウンドデータは改変されたから再生処理S3乃至S5を行うことなく処理を終了する。
【0136】
S3:再生制御部SC4は所定のパラメータを読み出す。
【0137】
S4:再生制御部SC4は読み出したパラメータを再生部SC2−1乃至SC2−4へ送る。
【0138】
S5:再生部SC2−1乃至SC2−4は、受けたパラメータに従ってサウンドデータをデコードして音響信号を生成する。
【0139】
なお、図11の処理は必須ではなく、再生制御部SC4はチェックサムの判定を行うことなく各再生部を制御するようにしてもよく。この場合、再生制御部SC4はチェックサムを記憶しておく必要はない。
【0140】
上記例ではチェックサムを用いていたが、これ以外のものも使用することができる。要するに、サウンドデータに含まれる音響に係る複数のデータの全部又は一部について予め求められた固有の特徴値で、当該サウンドデータを他のサウンドデータと区別できるものであればよい。例えば、公知のハッシュ値、排他的論理和などの論理演算による値を用いることができる。あるいは、サウンドデータの特定のアドレスのデータ(例えばサウンドデータの先頭データ(ヘッダに含まれるサウンドを特定するための固有のデジタルデータなど)を固有の特徴値として扱うことができる。
【0141】
以上の説明においてスロットマシンを例に取り上げたが、本発明の実施の形態はこれに限らずパチンコ機のようなほかの遊技機にも適用できることは言うまでもない。
【0142】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0143】
20 サブ基板(制御基板)
SC サウンドコントローラ(音響制御部)
SC1 サウンドデータ記憶部
SC2−1乃至SC2−4 再生部(第1再生部、第2再生部)
SC3 合成部
SC4 再生制御部
SP スピーカー
図1
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