【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の2−(メトキシフェニル)イミダゾール化合物は、
4−(2,3−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,5−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−4−(1−ナフチル)イミダゾール、
2−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−4−(2−ナフチル)イミダゾール、
4−(2,3−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,5−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
4−(3,5−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−4−(1−ナフチル)イミダゾール、
2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチル−4−(2−ナフチル)イミダゾール及び
2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(1−ナフチル)イミダゾールである。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン及び4−メトキシベンズアミジン塩酸塩の合成例を、参考例1及び2に示す。
【0033】
〔参考例1〕
<2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液の調製>
2′,4′−ジクロロプロピオフェノン50.7g(0.250mol)及びメタノール56gからなる溶液に、50〜55℃にて、臭素40.3g(0.252mol)を1時間20分かけて滴下した。次いで、反応液を冷却後、濃縮物が75.0gになるまで減圧濃縮した。濃縮物をトルエン97g及び水130gに分配し、トルエン層を水130gで洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥して、黄褐色透明の2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン(0.250mol)/トルエン溶液を得た。
【0034】
〔参考例2〕
<4−メトキシベンズアミジン塩酸塩の合成>
4−メトキシベンゾニトリル51.1g(0.384mol)を脱水エタノール18.6g(0.404mol)及び脱水ジクロロメタン103gに溶解させ、冷却下3〜10℃にて、塩化水素ガス20.1g(0.551mol)を1時間30分間かけて吹き込んだ。次いで、同温度で5時間撹拌した後、冷蔵庫に4℃/5日間放置して得られた粘性のある溶液を減圧乾固して、白色結晶性固体の4−メトキシベンゾイミド酸エチル塩酸塩72.8g(0.338mol、収率87.9%)を得た。
該固体を粉砕し、氷冷下に振とうしながら、アンモニア14.2g(0.833mol)及び脱水エタノール90.3gからなる溶液を少量ずつ加えた。その後、氷冷下にて3時間撹拌し、更に室温に戻して一晩撹拌した。
得られた懸濁液を減圧濃縮して92.9gの結晶を得た。該結晶にヘキサン/ジクロロメタン溶液(1:1体積比)150mlを加えて分散洗浄し、結晶をろ取した。そして、同ヘキサン/ジクロロメタン溶液でケーキ洗浄し、減圧下に乾燥して白色結晶の4−メトキシベンズアミジン塩酸塩46.5g(0.249mol、収率64.8%)を得た。
【0035】
〔実施例1〕
<4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールの合成>
4−メトキシベンズアミジン塩酸塩46.5g(0.249mol)をN,N−ジメチルアセトアミド130gに43℃にて加温懸濁させ、炭酸カリウム95g(0.687mol)を加えて5分間撹拌後、参考例1で調製した2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液を43〜52℃にて70分間かけて滴下した。滴下終了後、66〜70℃にて3時間撹拌した。
次いで、反応懸濁液を冷却後、水600mlと撹拌し、分液した有機層を水600mlで洗浄し結晶を析出させた。該結晶をろ取し、トルエンでケーキ洗浄し、減圧下に乾燥してクリーム色粉末を得た。該粉末をアセトニトリル547g及びN,N−ジメチルホルムアミド246gの混合溶媒より再結晶して、乳白色粉末44.1gを得た。
【0036】
得られた粉末の融点、薄層クロマトグラフィーのRf値、
1H NMR及びマススペクトルデータは、以下のとおりであった。
・mp227−229℃
・TLC(シリカゲル,アセトン):Rf=0.74
・
1H NMR(DMSO-d
6):δ=3.40(s,3H),4.28(s,3H),7.00−7.87(m,7H).
・MS(EI):m/z(%)=334(M+2,65),332(M
+,100),317(36),289(8),253(2),186(2),166(5),149(2),134(4),119(5),102(3).
これらのスペクトルデータから、得られた粉末は、化学式(IV)で示される4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールであるものと同定した。収率52.9%。
【0037】
【化6】
【0038】
〔実施例2〕
<4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールの合成>
まず、参考例2の4−メトキシベンゾニトリルを3,4−ジメトキシベンゾニトリルに代えて、参考例2の方法に準拠して3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩を調製した。
次いで、実施例1の4−メトキシベンズアミジン塩酸塩を3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩に代えて、実施例1の方法に準拠して合成試験を行い、白色粉末を得た。
【0039】
得られた粉末の融点、薄層クロマトグラフィーのRf値、
1H NMR及びマススペクトルデータは、以下のとおりであった。
・mp211−213℃
・TLC(シリカゲル,アセトン):Rf=0.67
・
1H NMR(DMSO-d
6):δ=2.08(s,3H),3.80(s,3H),3.82(s,3H),7.02−7.67(m,6H).
・MS(EI):m/z(%)=364(M+2,67),362(M
+,100),347(21),319(11),304(3),291(4),276(4),181(7),165(9),149(3),137(3),123(2),102(3).
これらのスペクトルデータから、得られた粉末は、化学式(V)で示される4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールであるものと同定した。収率31.9%。
【0040】
【化7】
【0041】
〔実施例3〕
<4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールの合成>
まず、参考例1の2′,4′−ジクロロプロピオフェノンを3′,4′−ジクロロプロピオフェノンに代えて、参考例1の方法に準拠して2−ブロモ−3′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液を調製し、参考例2の4−メトキシベンゾニトリルを3,4−ジメトキシベンゾニトリルに代えて、参考例2の方法に準拠して3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩を調製した。
次いで、実施例1の4−メトキシベンズアミジン塩酸塩を3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩に代えて、2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液を2−ブロモ−3′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液に代えて、実施例1の方法に準拠して合成試験を行い、乳白色粉末を得た。
【0042】
得られた粉末の融点、薄層クロマトグラフィーのRf値、
1H NMR及びマススペクトルデータは、以下のとおりであった。
・mp113−115℃
・TLC(シリカゲル,アセトン):Rf=0.71
・
1H NMR(DMSO-d
6):δ=2.38(s,3H),3.74(s,3H),3.86(s,3H),6.81−7.77(m,6H).
・MS(EI):m/z(%)=364(M+2,68),362(M
+,100),347(18),319(11),304(4),291(4),276(5),181(8),165(9),149(3),137(2),124(2),102(3).
これらのスペクトルデータから、得られた粉末は、化学式(VI)で示される4−(3,4−ジクロロフェニル)−2−(3,4−ジメトキシフェニル)−5−メチルイミダゾールであるものと同定した。収率41.2%。
【0043】
【化8】
【0044】
〔実施例4〕
<2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(1−ナフチル)イミダゾールの合成>
まず、参考例1の2′,4′−ジクロロプロピオフェノンを1−アセトナフトンに代えて、参考例1の方法に準拠して2−ブロモ−1′−アセトナフトン/トルエン溶液を調製し、参考例2の4−メトキシベンゾニトリルを3,4−ジメトキシベンゾニトリルに代えて、参考例2の方法に準拠して3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩を調製した。
次いで、実施例1の4−メトキシベンズアミジン塩酸塩を3,4−ジメトキシベンズアミジン塩酸塩に代えて、2−ブロモ−2′,4′−ジクロロプロピオフェノン/トルエン溶液を2−ブロモ−1′−アセトナフトン/トルエン溶液に代えて、実施例1の方法に準拠して合成試験を行い、暗ベージュ色粉末を得た。
【0045】
得られた粉末の融点、薄層クロマトグラフィーのRf値、
1H NMR及びマススペクトルデータは、以下のとおりであった。
・mp186−188℃
・TLC(シリカゲル,アセトン):Rf=0.59
・
1H NMR(DMSO-d
6):δ=3.82(s,3H),3.86(s,3H),7.07−8.66(m,10H).
・MS(EI):m/z(%)=330(M
+,100),315(9),287(4),271(4),257(2),243(6),167(47),152(3),139(11),122(4).
これらのスペクトルデータから、得られた粉末は、化学式(VII)で示される2−(3,4−ジメトキシフェニル)−4−(1−ナフチル)イミダゾールであるものと同定した。収率24.8%。
【0046】
【化9】
【0047】
〔実施例5〕
まず、実施例1〜4において合成した2−(メトキシフェニル)イミダゾール化合物と、これらとは別に2−フェニルイミダゾール(2PZ、四国化成工業製)を有効成分とする銅の酸化防止剤を各々調製した。次いで、該防止剤に銅を接触させることにより銅の表面に化成皮膜を形成させた。そして、銅に対する溶融半田の濡れ時間を測定して、イミダゾール化合物が作用する銅表面への酸化防止性能を評価した。この場合、溶融半田の濡れ時間が短い程、イミダゾール化合物の酸化防止性能が優れているものと判定される。
評価試験の詳細は、次のとおりである。
(1)酸化防止剤の調製
イミダゾール化合物、酸、金属塩及びハロゲン化合物を、表1記載の組成となるようにイオン交換水に溶解させた後、アンモニア水でpHを調整して酸化防止剤を調製した。
(2)表面処理方法
材質が金属銅の試験片(5mm×50mm×0.3mmの銅版)を脱脂し、次いでソフトエッチングを行い、所定温度の酸化防止剤に所定時間浸漬して、銅の表面に化成皮膜を形成させた後、水洗して乾燥した。
(3)濡れ時間の測定
表面処理を行った試験片を、ポストフラックス(JS−64MSS、弘輝製)に浸漬して、半田濡れ性試験器(SAT−2000、レスカ製)を使用して半田濡れ時間(秒)を測定した。使用した半田は錫−鉛系共晶半田(H63A−B20、千住金属工業製)であり、測定条件は半田温度240℃、浸漬深さ2mm、浸漬スピード16mm/秒とした。
なお、半田濡れ時間を測定した試験片は、(A)表面処理直後のものと、(B)温度40℃、湿度90%RHの恒温恒湿器に入れて96時間放置したものと、(C)さらに200℃で10分間加熱したものである。
得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示した試験結果によれば、本願発明の2−(メトキシフェニル)イミダゾール化合物を有効成分として含有する酸化防止剤は、銅の表面に耐湿性及び耐熱性に優れた化成皮膜を形成させることができるので、銅表面の酸化防止に有用である。