(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のオーダーについての納期、各オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序、各工程で使用する設備、各工程の作業時間、設備間の搬送時間がマスタ情報として記憶されるマスタ情報記憶ステップと、
前記各オーダーの工程毎に、使用する設備と、開始時刻及び終了時刻と、が決定されて既に作成されたスケジュールを前回計画として記憶する前回計画記憶ステップと、
前記前回計画に関して、入力手段を介して複数入力された修正対象となる工程についての開始時刻または設備の変更を、複数の修正指示として記憶する修正指示記憶ステップと、
前記複数の修正指示のそれぞれについて、1台の設備で複数の工程を同時に作業することができない制約、及び、前後工程で使用される設備間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、オーダー単位で通過工程順に工程を抽出し、抽出した工程が前記修正対象となる工程の場合は変更された開始時刻を、抽出した工程が前記修正対象となる工程でない場合は前記前回計画で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を、前記修正対象となる工程の場合は変更された設備に、前記修正対象となる工程でない場合は前記マスタ情報で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成し、前記複数の修正指示のそれぞれに対応する複数の修正計画案として出力する修正計画案作成ステップと、
前記複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前記前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前記前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を、前記複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として計算する評価値算出ステップと、
前記評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択する修正計画決定ステップと、
を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とするスケジューリングプログラム。
複数のオーダーについての納期、各オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序、各工程で使用する設備、各工程の作業時間、設備間の搬送時間がマスタ情報として記憶されるマスタ情報記憶手段と、
前記各オーダーの工程毎に、使用する設備と、開始時刻及び終了時刻と、が決定されて既に作成されたスケジュールを前回計画として記憶する前回計画記憶手段と、
前記前回計画に関して、入力手段を介して複数入力された修正対象となる工程についての開始時刻または設備の変更を、複数の修正指示として記憶する修正指示記憶手段と、
前記複数の修正指示のそれぞれについて、1台の設備で複数の工程を同時に作業することができない制約、及び、前後工程で使用される設備間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、オーダー単位で通過工程順に工程を抽出し、抽出した工程が前記修正対象となる工程の場合は変更された開始時刻を、抽出した工程が前記修正対象となる工程でない場合は前記前回計画で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を、前記修正対象となる工程の場合は変更された設備に、前記修正対象となる工程でない場合は前記マスタ情報で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成し、前記複数の修正指示のそれぞれに対応する複数の修正計画案として出力する修正計画案作成手段と、
前記複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前記前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前記前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を、前記複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として計算する評価値算出手段と、
前記評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択する修正計画決定手段と、
が計算機の演算部に実装されることを特徴とするスケジューリング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前回計画は既に生産現場に配布されており、前回計画に従って作業が行われているため、修正指示が行われて修正されたスケジュールが前回計画と大きく変化してしまい、生産現場が混乱するという問題が生じてしまう。例えば、前回計画から所定の工程の作業順番が大きく変わったり、工程を作業する設備の変更が多くなったりすると、準備していた作業が無駄になってしまったり、作業の準備が間に合わなくなったりしてしまい、生産現場が混乱してしまう。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合であっても、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができるスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るスケジューリング方法は、計算機の演算部により実行される処理が、複数のオーダーについての納期、各オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序、各工程で使用する設備、各工程の作業時間、設備間の搬送時間がマスタ情報として記憶されるマスタ情報記憶ステップと、前記各オーダーの工程毎に、使用する設備と、開始時刻及び終了時刻と、が決定されて既に作成されたスケジュールを前回計画として記憶する前回計画記憶ステップと、前記前回計画に関して、入力手段を介して複数入力された修正対象となる工程についての開始時刻または設備の変更を、複数の修正指示として記憶する修正指示記憶ステップと、前記複数の修正指示のそれぞれについて、1台の設備で複数の工程を同時に作業することができない制約、及び、前後工程で使用される設備間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、オーダー単位で通過工程順に工程を抽出し、抽出した工程が前記修正対象となる工程の場合は変更された開始時刻を、抽出した工程が前記修正対象となる工程でない場合は前記前回計画で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を、前記修正対象となる工程の場合は変更された設備に、前記修正対象となる工程でない場合は前記マスタ情報で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成し、前記複数の修正指示のそれぞれに対応する複数の修正計画案として出力する修正計画案作成ステップと、前記複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前記前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前記前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を、前記複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として計算する評価値算出ステップと、前記評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択する修正計画決定ステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るスケジューリングプログラムは、複数のオーダーについての納期、各オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序、各工程で使用する設備、各工程の作業時間、設備間の搬送時間がマスタ情報として記憶されるマスタ情報記憶ステップと、前記各オーダーの工程毎に、使用する設備と、開始時刻及び終了時刻と、が決定されて既に作成されたスケジュールを前回計画として記憶する前回計画記憶ステップと、前記前回計画に関して、入力手段を介して複数入力された修正対象となる工程についての開始時刻または設備の変更を、複数の修正指示として記憶する修正指示記憶ステップと、前記複数の修正指示のそれぞれについて、1台の設備で複数の工程を同時に作業することができない制約、及び、前後工程で使用される設備間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、オーダー単位で通過工程順に工程を抽出し、抽出した工程が前記修正対象となる工程の場合は変更された開始時刻を、抽出した工程が前記修正対象となる工程でない場合は前記前回計画で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を、前記修正対象となる工程の場合は変更された設備に、前記修正対象となる工程でない場合は前記マスタ情報で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成し、前記複数の修正指示のそれぞれに対応する複数の修正計画案として出力する修正計画案作成ステップと、前記複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前記前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前記前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を、前記複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として計算する評価値算出ステップと、前記評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択する修正計画決定ステップと、を有し、計算機において演算部により読み出して各ステップの処理を実行させることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るスケジューリング装置は、複数のオーダーについての納期、各オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序、各工程で使用する設備、各工程の作業時間、設備間の搬送時間がマスタ情報として記憶されるマスタ情報記憶手段と、前記各オーダーの工程毎に、使用する設備と、開始時刻及び終了時刻と、が決定されて既に作成されたスケジュールを前回計画として記憶する前回計画記憶手段と、前記前回計画に関して、入力手段を介して複数入力された修正対象となる工程についての開始時刻または設備の変更を、複数の修正指示として記憶する修正指示記憶手段と、前記複数の修正指示のそれぞれについて、1台の設備で複数の工程を同時に作業することができない制約、及び、前後工程で使用される設備間には前記搬送時間が空いているという制約を考慮して、オーダー単位で通過工程順に工程を抽出し、抽出した工程が前記修正対象となる工程の場合は変更された開始時刻を、抽出した工程が前記修正対象となる工程でない場合は前記前回計画で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を、前記修正対象となる工程の場合は変更された設備に、前記修正対象となる工程でない場合は前記マスタ情報で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成し、前記複数の修正指示のそれぞれに対応する複数の修正計画案として出力する修正計画案作成手段と、前記複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前記前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前記前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を、前記複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として計算する評価値算出手段と、前記評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択する修正計画決定手段と、が計算機の演算部に実装されることを特徴とする。
【0010】
これによると、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合に、複数の修正指示のそれぞれについて修正計画案を作成し、修正計画案のそれぞれについて前回計画と比較し、3種類の変化
の度合い(設備の中で作業する予定である作業を同じ設備の中で順序のみ変更する。設備の中で作業する予定である作業以外の作業が追加される。設備の中で作業する予定であった作業を削除する。)に基づいて算出された評価値によって修正計画案のそれぞれの前回計画からの乖離度が算出される。そして、評価値が最も小さく前回計画から乖離度が少ない修正計画案が修正された計画として選択される。従って、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合であっても、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができる。
【0011】
ここで、本発明に係るスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置では、前記修正指示は、修正対象となる工程についての開始時刻及び設備の変更を含んで良い。
【0012】
これにより、多様な修正指示に対応しつつ、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができる。
【0013】
尚、本発明に係るスケジューリングプログラムは、リムーバブル型記録媒体やハードディスクなどの固定型記録媒体に記録して配布可能である他、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して配布可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置は、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合であっても、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置を実施するための形態について、具体的な一例に即して説明する。
【0017】
尚、以下に説明するものは、例示したものにすぎず、本発明に係るスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置の適用限界を示すものではない。すなわち、本発明に係るスケジューリング方法及びスケジューリングプログラム、並びにスケジューリング装置は、下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0018】
本実施形態では、既に作成されたスケジュールである前回計画が存在し、前回計画において修正が必要となる所定のオーダーの工程について、使用する設備や開始時刻を修正する修正指示が行われる場合を想定している。
【0019】
まず、本実施形態に係るスケジューリング装置について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るスケジューリング装置のブロック図である。スケジューリング装置1は、演算部と、記憶部と、入力部と、出力部と、から構成されて、計算機上に実装される。ここで、
図1に示されているスケジューリング装置1の各部(演算部、記憶部、入力部、及び、出力部)は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等の計算機によって構成されている。かかる計算機には、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、CD−ROMの駆動装置などのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、プログラム(このプログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々なコンピュータにインストールすることが可能である)を含む各種のソフトウェアが記録されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、上述の各部が構築されている。
【0020】
図1に示すように、スケジューリング装置1は、マスタ情報11と、修正指示12と、修正計画案13と、前回計画14と、評価値15と、修正計画16と、マスタ情報記憶部21と、修正指示入力部22と、計画エンジン部(修正計画案作成手段)23と、評価値算出部24と、修正計画決定部25と、修正計画出力部26と、から構成される。
【0021】
マスタ情報記憶部21は、受注した複数のオーダーについて、納期と、オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とを、マスタ情報11として外部から登録されて記憶するためのものである。ここで、マスタ情報記憶部21は、前回計画におけるスケジューリング時に、図示しない入力部(キーボード等)から入力されたり、リムーバブルな記憶媒体に記録されて与えられたり、有線又は無線の電気通信手段によってインターネットなどの通信ネットワークを介して与えられたりして、マスタ情報11が記憶装置や補助記憶装置等に記憶される。
マスタ情報11として、具体的には、表1に例示する納期、表2に例示する通過する工程とその通過工程の順序及び各工程で使用する設備、表3に例示する工程の作業時間、表4に例示する設備間の搬送時間が記憶される。また、オーダーの製品を製造するために通過する工程の順序と、各工程の作業時間と、設備間(即ち、前後工程で使用される設備間)の搬送時間を例示すると、
図3に示すような関係になる。
【0026】
修正指示入力部22は、図示しない入力部を介して、前回計画14において修正を行う必要がある修正対象となる
所定のオーダーの工程について、使用する設備や開始時刻を修正する複数の修正指示を入力し、複数の修正指示12として記憶するためのものである。ここで、前回計画14は、既に作成されたスケジュールであって、予め記憶されているものであり、前回計画14として、スケジューリングの対象となったオーダーの各工程について、使用する設備、開始時刻(即ち、前回計画の開始時刻)、終了時刻が記憶されている。
本実施形態において、修正指示は、複数入力されることを前提としており、修正対象となる所定のオーダーの工程について、同一設備内における開始時刻の変更と、作業する設備の変更の2種類を想定している。また、修正指示は、修正対象となる所定のオーダーの工程についての同一設備内における開始時刻の変更と、修正対象となる所定のオーダーの工程についての作業する設備の変更と、修正対象となる所定のオーダーの工程についての開始時刻の変更及び作業する設備の変更と、を含むものである。更に、修正指示入力部22は、前回計画14において修正対象となる所定のオーダーの工程と、変更する開始時刻や作業する設備とを、キーボードなどの入力部により書き込まれることにより入力されるように構成されていても良いし、ディスプレイなどの出力部に表示された前回計画14のガントチャートに対して、修正対象となる所定のオーダーの工程を、マウスなどの入力部により変更する開始時刻や設備に移動されることにより入力されるように構成されても良い。尚、修正指示が修正対象となる所定のオーダーの工程についての開始時刻の変更である場合、マスタ情報11に記憶された同一オーダー内の通過工程の順序の制約に従い、修正指示として変更される開始時刻は、修正対象となる所定のオーダーの工程と同一のオーダーにおいて通過工程が前後となる工程の間の時間に限定しても良い。
【0027】
ここで、本実施形態の一例として、
図4〜
図6で示す具体例を用いて、修正指示入力部22の作用について説明する。ここで、
図4〜6に示す例においては、オーダーはオーダー1〜3の3種類、設備は設備M1〜M3の3種類存在するものとしており、工程をW(オーダー番号)_(通過工程の順番)/(当該工程で使用する設備)として表現している。
図4は、前回計画の一例を示すガントチャート図であり、上段の3列はオーダー毎のガントチャートであり、下段の3列は設備毎のガントチャートである。そして、
図4に示す前回計画において、オーダー3の第4工程である工程W3_4/M1の優先度を高くする必要があるとする。
かかる場合に、
図5に示すように、工程W3_4を設備M1から設備M2に設備変更するべく、入力部を介してガントチャート上で工程W3_4を、開始時刻はそのまま同じにして、設備M1(工程W3_4/M1)から設備M2(工程W3_4/M2)に移動させることにより、修正指示Aを入力する。
図5は、
図4に示す前回計画に対する修正指示Aを示すガントチャート図であり、上段の3列はオーダー毎のガントチャートであり、下段の3列は設備毎のガントチャートである。そして、修正指示入力部22からなされた修正指示Aとして、工程W3_4に使用する設備を設備M2に変更する情報が、修正指示12に記憶される。
また、
図6に示すように、工程W3_4/M1の順序を同一設備M1内における前の工程である工程W2_3/M1の前になるように変更するべく、入力部を介してガントチャート上で同一設備M1内において工程W3_4/M1を工程W2_3/M1の前に移動させことにより、修正指示2を入力する。
図6は、
図4に示す前回計画に対する修正指示Bを示すガントチャート図であり、上段の3列はオーダー毎のガントチャートであり、下段の3列は設備毎のガントチャートである。そして、修正指示入力部22からなされた修正指示Bとして、工程W3_4/M1の開始時刻を移動後の開始時刻に変更する情報が、修正指示12に記憶される。
【0028】
計画エンジン部(修正計画案作成手段)23は、いわゆるスケジューラであって、複数の修正指示12のそれぞれについてスケジュールを作成し、複数の修正指示12のそれぞれに対応する修正計画案13として記憶するためのものである。即ち、計画エンジン部23は、オーダー単位で通過工程順に(即ち、通過順序が早い順に)工程を抽出する。これにより、複数のオーダーのそれぞれについて、通過順序が早い工程が抽出される。そして、抽出した工程が修正対象となる工程である場合は修正指示12で変更された開始時刻を、抽出した工程が修正対象となる工程でない場合は前回計画14で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を選択し、所定の制約を考慮して、選択された工程が修正対象となる工程である場合は修正指示12で変更された設備に、選択された工程が修正対象となる工程でない場合はマスタ情報11で記憶された設備に割り付けてスケジュールを作成する作業を複数の修正指示12のそれぞれについて行い、複数の修正指示12のそれぞれに対応する修正計画案13を作成する。ここで、所定の制約条件とは、1台の設備で、複数の工程を同時に作業することができない制約と、前後工程で使用される設備間には、最低搬送時間(設備間の搬送時間)が空いているという制約である。
【0029】
ここで、本実施形態の一例として、
図7〜
図10で示す具体例を用いて、計画エンジン部23の作用について説明する。ここで、上述した
図4〜6で示す具体例と同様に、
図7〜10に示す例においては、オーダーはオーダー1〜3の3種類、設備は設備M1〜M3の3種類存在するものとしており、工程をW(オーダー番号)_(通過工程の順番)/(当該工程で使用する設備)として表現している。
具体的には、計画エンジン部23は、
図7に例示するように、まず、オーダー単位で、通過順序が最も早い工程を抽出して割付リストに登録する(
図7では、オーダー1の第1工程W1_1/M1、オーダー2の第1工程W2_1/M1、オーダー3の第1工程W3_1/M3)。そして、割付リストの中で、抽出した工程が修正対象となる工程である場合は修正指示12で変更された開始時刻を、抽出した工程が修正対象となる工程でない場合は前回計画14で記憶された開始時刻を比較し、開始時刻が最も早い工程を選択する。次に、選択した工程を、「前工程の終了時刻+前後工程で使用される設備間の搬送時間」(第1工程の場合、着手時刻(まだ着手していない場合は計画開始時刻))以降に、選択された工程が修正対象となる工程である場合は修正指示12で変更された設備に、選択された工程が修正対象となる工程でない場合はマスタ情報11で登録された設備に割り付ける。即ち、選択された工程について、使用する設備、開始時刻、終了時刻が決定される。そして、
図8に例示するように、選択された工程の次の工程(
図8では、オーダー1の工程W1_1/M1の次工程である工程W1_2/M3)が割付リストに登録される。このように、全ての工程を通過工程の順番に割り付けていく。このようにして、修正指示12に記憶された複数の修正指示のそれぞれに対応する修正計画案(具体例として、修正指示Aに対する修正計画案が
図9、修正指示Bに対する修正計画案が
図10)が作成され(全オーダーの各工程について、使用する設備、開始時刻、終了時刻が決定され)、修正計画案13として記憶される。
【0030】
評価値算出部24は、複数の修正計画案13のそれぞれについて、工程毎に前回計画14と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前回計画14と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を計算し、複数の修正計画案13のそれぞれに対応する評価値15として記憶するためのものである。
ここで、本実施形態において、評価値は修正計画案13が前回計画14からどれだけ乖離しているかの乖離度を示している。そして、修正計画案は、前回計画に対する次の3種類の操作で変化があったと考え、乖離度は当該3種類の操作による変化の度合いに基づいて算出する。
I.設備の中で作業する予定であった工程を同じ設備の中で開始時刻のみ変更する。
II.設備の中で作業する予定であった工程以外の工程が追加される。
III.設備の中で作業する予定であった工程を削除する。
具体的には、
図11に示すような前回計画(設備M1に関してのみ例示)が有った場合に、修正指示αが上記Iの操作に該当し、修正指示βが上記IIの操作に該当し、修正指示γが上記IIIの操作に該当する。そして、全設備に関して上記3種類の操作による変化の度合いの総和を取ることにより、評価値を算出し、評価値15として記憶する。
【0031】
ここで、I〜IIIの3種類の操作に関して変化の度合いを算出する方法について説明する。
Iの操作に関して変化の度合いは、各設備の工程毎に当該工程の開始時刻を前回計画14と修正計画案13とで比較し、次順の工程の開始時刻が当該工程よりも前に変化している工程の数をカウントすることにより求める。具体的には、
図11に示す修正指示α(同じ設備の中で工程の開始時刻のみ変更)に対する修正計画案13が
図12であるとすると、
図12に示すように修正計画案13における工程を開始時刻が早い順に左から並べた上で、前回計画14の順序通りに工程を矢印で結んだ際に、左向き(過去方向)の矢印が出ている工程の「リンク数」を1に設定し、そうでなければ0に設定する。そして、上述した
図4に示す前回計画と
図9に示す修正指示Aに対する修正計画案に関する具体例において、設備M1〜M3の各設備の工程毎のリンク数は、
図13に示すような結果となる。
IIの操作に関して変化の度合いは、設備毎に作業する予定である工程を前回計画14と修正計画案13とで比較し、追加されている工程の数をカウントすることにより求める。具体的には、追加された作業に対して「追加フラグ」を1に設定する。そして、上述した
図4に示す前回計画と
図9に示す修正指示Aに対する修正計画案に関する具体例において、設備M1〜M3の各設備の追加フラグは、
図13に示すような結果となる。
IIIの操作に関して変化の度合いは、設備毎に作業する予定である工程を前回計画14と修正計画案13とで比較し、削除されている工程の数をカウントすることにより求める。具体的には、削除された作業に対して「削除フラグ」を1に設定する。そして、上述した
図4に示す前回計画と
図9に示す修正指示Aに対する修正計画案に関する具体例において、設備M1〜M3の各設備の削除フラグは、
図13に示すような結果となる。
以上により、全設備に関して、I〜IIIの操作による変化の度合いである「リンク数」「追加フラグ」「削除フラグ」の総和を取ることにより、評価値を算出する。そして、上述した
図4に示す前回計画と
図9に示す修正指示Aに対する修正計画案に関する具体例である
図13では、設備M1〜M3の全設備に関して、「リンク数」「追加フラグ」「削除フラグ」の総和を取ると評価値が「3」となり、評価値15に記憶される。尚、説明を省略するが、上述した
図4に示す前回計画と
図10に示す修正指示Bに対する修正計画案に関しても同様に評価値を計算する。
【0032】
修正計画決定部25は、評価値15が最も小さい修正計画案13を、修正計画16として選択して記憶するものである。即ち、本実施形態において、評価値算出部24において、評価値15は修正計画案13が前回計画14からどれだけ乖離しているかの乖離度を計算しているものであるから、評価値15が最も小さい修正計画案13が前回計画14から最も乖離度が小さいということがいえる。尚、評価値が最も小さい修正計画案が複数ある場合は、評価値が
最も小さい複数の修正計画案を修正計画16として選択するものとする。
具体的には、上述した
図9に示す修正指示Aに対する修正計画案と
図10に示す修正指示Bに対する修正計画案に関する評価値を比較し、評価値が小さい修正計画案を修正計画16として選択する。
【0033】
修正計画出力部26は、記憶された修正計画16(全オーダーの各工程について決定された、使用する設備、開始時刻、終了時刻)を図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力するためのものである。
【0034】
次に、本実施形態に係るスケジューリング方法の処理の手順について、
図2に基づいて、説明する。
図2は、本実施形態に係るスケジューリング方法の処理の手順について説明したフローチャートである。
尚、以下で説明する本実施形態に係るスケジューリング方法の処理は、計算機においても同様に、スケジューリングプログラムとしてCPUにより読み出して実行することができる。また、このスケジューリングプログラムは、リムーバブルな記憶媒体に記録しておくことにより、様々な計算機の記憶装置にインストールすることが可能である。
【0035】
図2に示すように、計算機において、受注した複数のオーダーについて、納期と、オーダーの製品を製造するために通過する工程とその通過工程の順序と、各工程で使用する設備と、各工程の作業時間と、設備間の搬送時間とを、マスタ情報として外部から登録されて記憶する。(S1:マスタ情報記憶ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1のマスタ情報記憶部21及びマスタ情報11に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
そして、図示しない入力部を介して、予め記憶されている前回計画において修正を行う必要がある修正対象となる複数のオーダーの工程について、使用する設備や開始時刻を修正する複数の修正指示を入力し、複数の修正指示として記憶する(S2:修正指示入力ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1の修正指示入力部22と及び修正指示12に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0037】
次に、複数の修正指示のそれぞれについてスケジュールを作成し、複数の修正指示のそれぞれに対応する修正計画案として記憶する(S3:修正計画案作成ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1の計画エンジン部(修正計画案作成手段)23及び修正計画案13に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
そして、複数の修正計画案のそれぞれについて、工程毎に前回計画と比較して、次順の工程が当該工程よりも前に変化している工程の数と、設備毎に前回計画と比較して、当該設備に追加された工程の数と当該設備から削除された工程の数と、の総和を計算し、複数の修正計画案のそれぞれに対応する評価値として記憶する(S4:評価値算出ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1の評価値算出部24及び評価値15に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0039】
次に、評価値が最も小さい修正計画案を、修正計画として選択して記憶する(S5:修正計画決定ステップ)。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1の修正計画決定部25及び修正計画16に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
最後に、記憶された修正計画(全オーダーの各工程について決定された、使用する設備、開始時刻、終了時刻)を図示しないディスプレイ、プリンタ等の出力部に出力し(S6:修正計画出力ステップ)、スケジューリング方法の処理を終了する。尚、本ステップは、上述したスケジューリング装置1の修正計画出力部26に相当し、その詳細な説明を省略する。
【0041】
このように、本実施形態のスケジューリング装置及びスケジューリング方法、並びにスケジューリングプログラムによれば、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合に、複数の修正指示のそれぞれについて修正計画案を作成し、修正計画案のそれぞれについて前回計画と比較し、3種類の変化(設備の中で作業する予定である作業を同じ設備の中で順序のみ変更する。設備の中で作業する予定である作業以外の作業が追加される。設備の中で作業する予定であった作業を削除する。)に基づいて算出された評価値によって修正計画案のそれぞれの前回計画からの乖離度が算出される。そして、評価値が最も小さく前回計画から乖離度が少ない修正計画案が修正された計画として選択される。従って、前回計画に対して複数の修正指示が行われた場合であっても、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいてさまざまな変更が可能なものである。
【0043】
例えば、上記実施形態の具体例では、修正対象となる所定の工程についての開始時刻の変更と、修正対象となる所定の工程についての設備の変更とを別々に行う複数の修正指示として入力されているが、これに限らない。即ち、修正指示が複数入力されればよく、修正対象となる所定の工程についての開始時刻の変更と、修正対象となる所定の工程についての設備の変更とを別々に行う修正指示のほか、修正対象となる所定の工程についての開始時刻の変更及び設備の変更とを同時に行う修正指示が含まれていても良い。これによって、多様な修正指示に対応しつつ、既存の前回計画
に対する変化の度合いに基づい
て、前回計画を
修正することができる。