(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5885801
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】バックアップピン装置並びにバックアップピン配置方法及び配置装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-199612(P2014-199612)
(22)【出願日】2014年9月30日
(62)【分割の表示】特願2010-103216(P2010-103216)の分割
【原出願日】2010年4月28日
(65)【公開番号】特開2014-241455(P2014-241455A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】富士機械製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】前田 文隆
【審査官】
遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−335973(JP,A)
【文献】
特開2002−319800(JP,A)
【文献】
特開2009−32825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装機に備えられたバックアッププレート上の複数の指示位置に夫々着脱自在に位置決め配置され、基板の上面に部品を装着する際に、前記基板を既に部品が実装された下面から支持するバックアップピン装置であって、
前記各バックアップピン装置は、
前記バックアッププレート上に着脱自在に載置される金属材料でなる基部と、
前記基部に複数設けられ、上端が前記基板の下面に当接して該基板を支持する可撓性材料でなる支持ピンと、
を備えるバックアップピン装置。
【請求項2】
前記基部は、前記バックアッププレート上に粘着力又は磁力により着脱自在に載置される、請求項1のバックアップピン装置。
【請求項3】
前記バックアップピン装置は、前記基部に設けられ、ピックアップされる金属材料でなる支柱を備える、請求項1又は2のバックアップピン装置。
【請求項4】
前記支柱の上端には、前記バックアップピン装置の種類を識別する識別マーク及び前記基部が前記バックアッププレート上に配置される際の位置決めの基準となる位置マークの少なくとも一方が標記される、請求項1〜3の何れか一項のバックアップピン装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項のバックアップピン装置と、
前記部品を部品供給装置からピックアップし、当該部品を前記基板の上面に移動して装着する部品移載装置と、
を備え、
前記部品移載装置を動作させることで、前記バックアップピン装置を自動でピックアップし、当該バックアップピン装置を前記基板の下方に配設されたバックアッププレート上に自動で移動して配置する、バックアップピン配置装置。
【請求項6】
部品実装機により基板の上面に部品を装着する際に、前記基板を下面から支持するバックアップピン装置を、前記基板の下方に配設されたバックアッププレート上に自動で配置するバックアップピン配置方法であって、
ストッカに配置されている請求項4に記載のバックアップピン装置の前記識別マーク及び前記位置マークを撮像するステップと、
前記撮像した識別マーク及び位置マークに基づいて、該当する種類の前記バックアップピン装置を前記ストッカからピックアップし、前記バックアッププレート上の該当する配置位置に移動して配置するステップと、
を含むバックアップピン配置方法。
【請求項7】
部品実装機に備えられたバックアッププレート上に載置される基部と、前記基部に複数設けられ、前記部品実装機に搬送位置決めされた基板の上面に部品を装着する際に、上端が前記基板の下面に当接して該基板を既に部品が実装された下面から支持する支持ピンと、前記基部に設けられ、ピックアップされる支柱と、を備え、前記バックアッププレート上の複数の指示位置に夫々着脱自在に位置決め配置されるバックアップピン装置と、
前記部品を部品供給装置からピックアップし、当該部品を前記基板の上面に移動して装着する部品移載装置と、
を備え、
前記部品移載装置を動作させることで、前記バックアップピン装置を自動でピックアップし、当該バックアップピン装置を前記基板の下方に配設されたバックアッププレート上に自動で移動して配置する、バックアップピン配置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装機に備えられたバックアッププレート上の複数の指示位置に夫々着脱自在に位置決め配置され、基板の上面に部品を装着する際に、基板を既に部品が実装された下面から支持するバックアップピン装置並びにバックアップピン配置方法及び配置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、磁性体で構成した基部(座部)に1本の支持ピンが立設されたバックアップピン装置(サポートピン)と、該支持ピンが並列配置されるストッカ(サポートピン供給ボックス)と、該支持ピンが搭載されるマグネットで構成したバックアッププレート(サポートフレーム)とを備えた部品実装機(表面実装機)のバックアップピン配置装置(基板バックアップ装置)が開示されている。このバックアップピン配置装置においては、部品吸着ノズルによりバックアップピン装置をストッカからバックアッププレート上に吸着移動させて自由配置するようになっている。
【0003】
また、特許文献2には、複数の支持ピン(バックアップピン)が着脱可能にセットされると共に異なる識別情報がそれぞれ記録された複数の基部(小型プレート)と、複数の支持ピンを基部にセットするための外段取り装置と、複数の基部の識別情報に対応する位置情報がそれぞれ記録された複数のプレート配置部を有するバックアッププレート(マザープレート)とを備えた部品実装機のバックアップピン配置装置(バックアッププレート形成装置)が開示されている。
【0004】
このバックアップピン配置装置においては、先ず、セット位置座標データに基づいて専用チャック装置により複数の支持ピンを基部上に把持移動させてセットしバックアップピン装置(支持ピンがセットされた基部)を形成する。次に、識別情報及び位置情報に基づいて専用吸着ノズルによりバックアップピン装置をバックアッププレート上のプレート配置部に吸着移動させて配置する。そして、識別情報及び位置情報を基板カメラにより確認してバックアップピン装置が正規のプレート配置部に配置されたか否かを判定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−283197号公報(段落番号0017,0026、
図1,2)
【特許文献2】特開2009−32825号公報(段落番号0038〜0047、
図5〜7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、基板においては部品実装密度を高めるため、基板の上下両面に部品を実装するようになってきているが、基板の上面に部品を装着する際に基板の下面に既に部品が実装されている場合は、既実装部品を回避するように支持ピンを配置する必要がある。ところが、特許文献1に記載のバックアップピン配置装置では、基板の下面の既実装部品を回避したバックアッププレート上の位置に1本の支持ピンが立設されたバックアップピン装置を1つずつ配置しなければならないため工数が増大し、実装効率の低下を招いている。また、特許文献2に記載のバックアップピン配置装置では、基板の下面の既実装部品を回避した基部上の位置に支持ピンを1本ずつ配置してバックアップピン装置を形成し、さらに予め定められたバックアッププレート上のプレート配置部にバックアップピン装置を配置しなければならないため工数がさらに増大し、実装効率のより一層の低下を招いている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バックアッププレート上の指示位置に容易に配置可能なバックアップピン装置並びにバックアップピン配置方法及びバックアップピン配置装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、
部品実装機に備えられたバックアッププレート上の複数の指示位置に夫々着脱自在に位置決め配置され、基板の上面に部品を装着する際に、前記基板を既に部品が実装された下面から支持するバックアップピン装置であって、前記各バックアップピン装置は、前記バックアッププレート上に着脱自在に載置される金属材料でなる基部と、前記基部に複数設けられ、上端が前記基板の下面に当接して該基板を支持する可撓性材料でなる支持ピンと、を備える。
【0009】
これにより、基部が金属材料により形成されてバックアップピン装置の重心が低くなるので、バックアップピン装置はバックアッププレート上に安定して配置される。また、支持ピンが可撓性材料により形成されているので、バックアップピン装置を基板の下面の既実装部品を回避できないバックアッププレート上の位置に配置する場合でも、支持ピンが既実装部品に圧縮されて基板の下面と既実装部品の下面との高さの差を吸収することができ、バックアップピン装置は基板を水平状態で高精度に支持することができる。そして、バックアップピン装置は、配置の自由度が高められる。よって、バックアップピン装置の配置作業効率を高めることができ、基板に対する部品の実装効率を大幅に向上させることができる。
【0010】
また、バックアップピン配置装置は、前記バックアップピン装置と、前記部品を部品供給装置からピックアップし、当該部品を前記基板の上面に移動して装着する部品移載装置と、を備え、前記部品移載装置を動作させることで、前記バックアップピン装置を自動でピックアップし、当該バックアップピン装置を前記基板の下方に配設されたバックアッププレート上に自動で移動して配置する。
【0011】
これにより、基部には支持ピンが予め設けられてバックアップピン装置を構成しているので、バックアップピン配置装置は、従来のように支持ピンを基部に配置する作業を行う必要は無く、バックアップピン装置をバックアッププレート上の指示位置に配置する制御を行えば良い。よって、バックアップピン配置装置を簡易な構成とすることができ、バックアップピン配置装置のコストを大幅に低減させることができる。
【0012】
また、部品実装機により基板の上面に部品を装着する際に、ピックアップされる金属材料でなる支柱を備える前記バックアップピン装置を、前記基板の下方に配設されたバックアッププレート上に自動で配置するバックアップピン配置方法であって、ストッカに配置されている前記バックアップピン装置の前記支柱の上端に標記される、前記バックアップピン装置の種類を識別する識別マーク及び前記基部が前記バックアッププレート上に配置される際の位置決めの基準となる位置マークを撮像するステップと、前記撮像した識別マーク及び位置マークに基づいて、該当する種類の前記バックアップピン装置を前記ストッカからピックアップし、前記バックアッププレート上の該当する配置位置に移動して配置するステップと、を含む。
【0013】
これにより、バックアップピン装置の基部に任意の数の支持ピンが立設されているとともに、識別マーク及び位置マークが標記されているので、複数種類のバックアップピン装置を用意しておくことにより、支持ピンが基板の下面の既実装部品を回避するように各マークに従ってバックアップピン装置をバックアッププレート上の指示位置に効率良く配置することができる。また、基部には支持ピンが予め立設されてバックアップピン装置を構成しているので、従来のように支持ピンを基部に配置する作業を行う必要は無く、バックアップピン装置をバックアッププレート上の指示位置に効率良く配置することができる。よって、バックアップピン装置の配置作業工数を低減することができ、基板に対する部品の実装効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るバックアップピン配置装置の一実施の形態を備えた部品実装機を示す斜視図である。
【
図2】
図1の部品実装機の部品移載装置の主要部を示す斜視図である。
【
図3】
図1の部品実装機の基板搬送装置及びバックアップ装置の主要部を示す側面図である。
【
図4】
図1の部品実装機の部品供給装置、基板搬送装置及びバックアップ装置の主要部を示す平面図である。
【
図5】(A),(B)は、本発明の実施の形態によるバックアップピン装置の平面図及び側面図である。
【
図6】
図1の部品実装機の制御装置を示すブロック図である。
【
図7】
図3に示すバックアップ装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るバックアップピン配置装置の一実施の形態を備えた部品実装機について説明する。
図1に示すように、部品実装機1は、部品供給装置10、部品移載装置20、基板搬送装置30、バックアップ装置40及び制御装置50を備えている。なお、
図1においては2台の部品実装機1を1つの架台2に並べて搭載した状態を示しているが、部品装着ラインにおいては複数台の部品実装機1が並設されている。以下の説明において、2台の部品実装機1が並ぶ方向、すなわち基板の搬送方向をX軸方向と称し、水平面内においてX軸方向に直角な方向をY軸方向と称し、X軸方向とY軸方向とに直角な方向をZ軸方向と称する。
【0016】
部品供給装置10は、基枠3上に複数のフィーダ11を並設して構成したカセットタイプのものである。フィーダ11は、基枠3に離脱可能に取付けた本体12と、本体12の後部に着脱可能に装着した供給リール13と、本体12の先端に設けた部品供給部14とを備えている。供給リール13には、部品が所定ピッチで封入されたキャリアテープが巻回保持される。このような構成の部品供給装置10においては、スプロケット(図示省略)により供給リール13からキャリアテープが所定ピッチで引き出され、封入状態を解除された部品が部品供給部14に順次送り込まれるようになっている。
【0017】
部品移載装置20は、基枠3上部に装架されて部品供給装置10及び基板搬送装置30の上方に配設されたXYロボットタイプのものである。部品移載装置20は、Y軸サーボモータ21YによりY軸方向に移動されるY軸スライダ22Yと、X軸サーボモータ21XによりX軸方向に移動されるX軸スライダ22Xとを備えている。このX軸スライダ22Xは、Y軸スライダ22YにX軸方向に移動可能に案内されている。
図1及び
図2に示すように、X軸スライダ22Xには、部品を基板に装着する部品装着ヘッド24が取付けられている。
【0018】
部品装着ヘッド24には、ヘッド本体25から下方に突出して設けられた第1ノズルホルダー部261と、該第1ノズルホルダー部261の下端部に設けられて部品を吸着保持する部品吸着ノズル26と、ヘッド本体25から下方に突出して設けられて基板位置を認識するため基板を撮像するCCD等の基板撮像カメラ27とが取り付けられている。部品吸着ノズル26は、部品装着ヘッド24にサーボモータ(図示省略)によりZ軸方向に昇降可能に且つZ軸周りで回転可能に支承された第1ノズルホルダー部261の下端部に取り付けられている。そして、部品吸着ノズル26は、ノズル先端で部品を吸引可能なように真空ポンプ(図示省略)に接続されている。また、部品供給装置10と基板搬送装置30の間には、部品吸着ノズル26に吸着保持された部品の保持位置を認識するため部品を撮像するCCD等の部品撮像カメラ28が設けられている。
【0019】
部品移載装置20においては、部品装着ヘッド24はY軸スライダ22Y及びX軸スライダ22Xにより待機状態のときは
図1に示すように基枠3の後方に移動されているが、部品を基板に装着する際には基枠3の前方に移動される。そして、部品吸着ノズル26に部品が吸着保持され、基板搬送装置30により搬送された基板に部品が装着されるようになっている。
【0020】
基板搬送装置30は、基枠3上に搬送装置31を2列並設し、さらに各搬送装置31の下方の基枠3上にバックアップ装置40を2台並設して構成した所謂ダブルコンベアタイプのものである。
図1、
図3及び
図4に示すように、搬送装置31は、基枠3上で互いに平行に対向させてX軸方向に延在するように並設した一対のガイドレール33a,33bと、これらガイドレール33a,33bの下方に並設した一対のコンベアベルト34a,34bとを備えている。
【0021】
バックアップ装置40は、基板搬送装置30の下方の基枠3上にバックアッププレート41及び昇降装置42を上下に配設して構成したものである。このバックアップ装置40は、基板搬送装置30により所定位置に搬送された基板を下面から支持するバックアップピン装置60を備えている。バックアッププレート41には、バックアップピン装置60が配置される矩形板状の配置部41aと、バックアップピン装置60がストックされる矩形板状のストッカ41bが設けられている。ストッカ41bは、配置部41aの両側に配置部41aの高さよりも低い高さで一体的に形成されている。このようにストッカ41bをバックアッププレート41上に設けているので、後述するバックアップピン配置装置70の小型化を図ることができる。なお、ストッカ41bをバックアッププレート41上に設けずに部品撮像カメラ28の両サイドに固定配置するように構成してもよい。これにより、バックアッププレート41のプレート面が広くなるので、より大型の基板を支持することが可能となる。昇降装置42は、エアシリンダを備えており、バックアッププレート41の四隅が組み付けられるロッド42aと、ロッド42aを上下に進退させるシリンダ42bとからなる。
【0022】
このような構成の基板搬送装置30においては、コンベアベルト34a,34bにより支持された基板は、ガイドレール33a、33bにより案内されつつコンベアベルト34a,34bによりX軸方向に所定の実装位置(バックアッププレート41の上方の位置)まで搬送される。そして、バックアッププレート41が昇降装置42により上昇され、基板がバックアッププレート41の配置部41a上に配置されたバックアップピン装置60によりコンベアベルト34a,34bから押し上げられ、ガイドレール33a、33bの上端に内側に突設された押え部との間でクランプされ位置決め固定されるようになっている。
【0023】
ここで、バックアップ装置40においてバックアップピン装置60をバックアッププレート41のストッカ41bから配置部41aに移動して配置し、あるいは配置部41aからストッカ41bに移動してストックする際には、部品移載装置20が用いられる。すなわち、部品移載装置20は、部品の移動手段とバックアップピン装置60の移動手段を兼ねている。よって、本実施形態のバックアップピン配置装置70は、バックアップ装置40及び部品移載装置20により構成されている。
【0024】
バックアップピン装置60は、
図3及び
図5に示すように、バックアッププレート41の配置部41a上に着脱自在に載置される基部61と、該基部61に立設され、上端が基板の下面に当接して該基板を支持する複数(図の例では4本)の支持ピン62とを備えている。さらに、基部61における配置部41a上への載置面に貼着された滑り止め部材63と、基部61に立設され、上端が吸着されてピックアップされる支柱64とを備えている。そして、支柱64の上端には、バックアップピン装置60の種類を識別する識別マーク65と、基部61が配置部41a上に配置される際の位置決めの基準となる位置マーク66とが標記されている。なお、識別マーク65及び位置マーク66は、何れか一方のみを支柱64の上端に標記するように構成してもよい。
【0025】
このように、バックアップピン装置60の基部61に任意の数の支持ピン62が立設されているとともに、識別マーク65又は位置マーク66が標記されているので、複数種類のバックアップピン装置60を用意しておくことにより、支持ピン62が基板の下面の既実装部品を回避するようにバックアップピン装置60はマーク65,66に従ってバックアッププレート41の配置部41a上の指示位置に効率良く配置される。また、基部61に支持ピン62が予め立設されているので、従来のように支持ピンを基部に配置する作業を行う必要は無く、バックアップピン装置60はバックアッププレート41の配置部41a上の指示位置に効率良く配置される。よって、バックアップピン装置60の配置作業工数を低減することができ、基板に対する部品の実装効率を大幅に向上させることができる。
【0026】
基部61は、例えばステンレス等の金属材料により矩形板状に形成されている。これにより、バックアップピン装置60の重心が低くなるので、バックアップピン装置60はバックアッププレート41の配置部41a上に安定して配置される。支持ピン62は、例えば発泡ウエレタン等の可撓性材料により尖頭円柱状に形成されて基部61の上面に貼着されている。なお、支持ピン62を、例えばステンレス等の金属材料により尖頭円柱状に形成してもよい。
【0027】
支持ピン62を可撓性材料で形成することにより、バックアップピン装置60を基板の下面の既実装部品を回避できない位置に配置する場合でも、支持ピン62が既実装部品に圧縮されて基板の下面と既実装部品の下面との高さの差を吸収することができ、バックアップピン装置60は基板を水平状態で高精度に支持することができる。よって、金属材料でなる支持ピン62を有するバックアップピン装置60よりも、可撓性材料でなる支持ピン62を有するバックアップピン装置60の方が多種類の基板に対応することができ、該バックアップピン装置60は配置の自由度が高められる。なお、任意の本数の支持ピン62を基部61の上面に立設したバックアップピン装置60を用意しておくことにより、バックアップピン装置60はさらに多種類の基板に対応することができる。
【0028】
滑り止め部材63は、例えばシリコン樹脂等の粘性材料により形成されて基部61におけるバックアッププレート41の配置部41a上への載置面、すなわち基部61の下面に貼着されている。これにより、バックアップピン装置60を配置部41a上に配置したとき、滑り止め部材63はバックアップピン装置60の位置ズレを防止することができ、バックアップピン装置60の配置部41a上における位置決め精度は高精度な状態に維持される。さらに、バックアッププレートの配置部41a上41にも例えばシリコン樹脂等の粘性材料でなる滑り止めシート43を貼着しておくことにより、特に支持ピン62が基板の下面の既実装部品に圧縮されて基部61に水平方向の力が加わった場合でも、滑り止めシート43はバックアップピン装置60の位置ズレを防止することができる。なお、滑り止め部材63及び滑り止めシート43は何れか一方が貼着されていればよく、これによりバックアップピン装置60の位置ズレ防止効果を得ることができる。
【0029】
支柱64は、例えばステンレス等の金属材料により支持ピン62の高さよりも低い高さの円柱状に形成されている。そして、支柱64は、下端部が基部61の中央に穿設された穴61aに嵌着されることにより基部61に立設されている。このように、基部61には支柱64が立設されているので、バックアップピン装置60は既存の部品吸着ノズル26により支柱64の上端を吸着されてピックアップされる。よって、バックアップピン装置60をピックアップするための専用吸着ノズルを設ける必要が無く、バックアップピン装置60をピックアップして指示位置に配置するためのバックアップピン配置装置70は簡易な構成となる。また、支柱64は支持ピン62の高さよりも低い高さに形成されているため、支持ピン62が基板の下面の既実装部品に圧縮されても、支柱64の基板及び既実装部品への接触を回避させるように構成することができる。よって、バックアップピン装置60は基板を支柱64と干渉することなく支持ピン62で水平状態に支持することができる。
【0030】
識別マーク65及び位置マーク66は、支柱64の上端面が平坦となるように印刷や打ち込み等により形成されている。これにより、支柱64の上端面の吸着性は損なわれることはない。識別マーク65は、バックアップピン装置60の種類、例えば基部61の大きさや支持ピン62の本数、高さ等を識別するためのものであり、例えばアルファベットや数字の組み合わせ等により標記されている。位置マーク66は、基部61がバックアッププレート41の配置部41a上に配置される際の位置決めの基準、例えば配置位置や配置方向(基部61に複数本の支持ピン62が立設されているとき)の基準となるものであり、例えば+や−等により標記されている。配置位置はバックアッププレート41の配置部41a上のX,Y座標で表されているので、該座標位置と+の交点とが一致するように基部61を配置部41a上に配置することで位置決めすることができる。また、配置方向は配置位置における例えばX軸からの時計回りの角度で表されているので、該角度に−が向くように基部61を配置部41a上に配置することで位置決めすることができる。
【0031】
このように、支柱64の上端に識別マーク65及び位置マーク66が標記されているので、各マーク65,66を撮像する際には基部61の支持ピン62の根元部分に各マーク65,66が標記されている場合と比較して支持ピン62による影響を受け難い。例えば支持ピン62の影により各マーク65,66の画像が不鮮明となることを防止できる。よって、各マーク65,66の画像を高精度に撮像処理して各マーク65,66を確実に認識することができ、バックアップピン装置60はバックアッププレート41の配置部41a上に正確に配置される。
【0032】
図6に示すように、制御装置50は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM及びROM(いずれも図示省略)を備えている。この制御装置50には、入力装置51、通信装置52、記憶装置53、出力装置54、部品供給装置10、部品移載装置20、基板搬送装置30及びバックアップ装置40が接続されている。
【0033】
入力装置51は、部品実装機1の運転を開始させる開始スイッチ、停止させる停止スイッチ等を備えている。通信装置52は、LAN(図示省略)を介してホストコンピュータ(図示省略)に接続されて信号を送受信する。記憶装置53は、部品実装機1全体を制御するシステムプログラム、システムプログラム上で部品実装機1の各要素をそれぞれ個別に制御する制御プログラム、ホストコンピュータから送信された生産プログラム等を記憶する。出力装置54は、部品実装機1の状態情報、警告等を表示する。
【0034】
以上のような構成の部品実装機1において、バックアップピン配置装置70によるバックアップピン装置60の配置動作について説明する。なお、作業者は、事前準備としてバックアップピン装置60を複数種類用意してバックアッププレート41のストッカ41b上の予め決められた位置に並列配置しておくものとする。
【0035】
制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24をストッカ41b上に移動し、基板撮像カメラ27を撮像制御してストッカ41b上の予め決められた位置に並列配置されている各バックアップピン装置60の識別マーク65及び位置マーク66を撮像する。そして、制御装置50は、撮像した識別マーク65及び位置マーク66の画像を処理して各バックアップピン装置60の種類又は位置決めの基準をストッカ41b上における位置に対応させて認識する。また、制御装置50は、部品装着する基板を支持するのに必要なバックアップピン装置60の種類又はバックアッププレート41の配置部41a上の配置位置に関する情報をホストコンピュータから取得して記憶する。
【0036】
制御装置50は、記憶したバックアップピン装置60の種類に関する情報と、認識したバックアップピン装置60の識別マーク65とに基づいて、該当するバックアップピン装置60を認識したバックアップピン装置60の中から選択し、選択したバックアップピン装置60のストッカ41b上における位置を特定する。そして、制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24をストッカ41b上における特定した位置に移動し、第1ノズルホルダー部261を駆動制御してZ軸方向に下降させ、部品吸着ノズル26を吸引制御してストッカ41bから選択したバックアップピン装置60をピックアップする。このときバックアップピン装置60は第1ノズルホルダー部261のZ軸方向の昇降のみによりピックアップされるので、バックアップピン装置60の位置マーク66のずれは生じない。
【0037】
制御装置50は、記憶したバックアップピン装置60の配置位置に関する情報に基づいて、ピックアップしたバックアップピン装置60の配置部41a上における配置位置を特定する。そして、制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24をバックアッププレート41の配置部41a上における特定した配置位置に移動し、必要があれば認識した該バックアップピン装置60の位置マーク66に基づいて、第1ノズルホルダー部261を駆動制御して部品吸着ノズル26に吸着されているバックアップピン装置60をZ軸回りに所定角度回転させる。そして、制御装置50は、第1ノズルホルダー部261を駆動制御してZ軸方向に下降させ、部品吸着ノズル26に吸着されているバックアップピン装置60を認識した該バックアップピン装置60の位置マーク66と配置部41a上における特定した配置位置とが合致するように配置する。以上の動作を部品装着する基板に必要な全てのバックアップピン装置60に対して実行することにより、バックアップピン配置装置70によるバックアップピン装置60の配置動作が完了する。
バックアッププレート41上におけるバックアップピン装置60の配置部とストッカ41bとの距離が短いため、バックアップピン装置60の配置作業効率を高めることができ、基板に対する部品の実装効率を大幅に向上させることができる。
【0038】
その後、
図7に示すように、制御装置50は、搬送装置31を駆動制御して部品装着する基板Pを部品実装機1の実装位置まで搬送し、昇降装置42を駆動制御してバックアップピン装置60が配置されたバックアッププレート41を上昇させる。これにより、基板Pはバックアッププレート41の配置部41a上に配置されたバックアップピン装置60によりコンベアベルト34a,34bから押し上げられ、ガイドレール33a、33bの上端に内側に突設された押え部との間でクランプされ位置決め固定される。このとき、バックアップピン装置60の支持ピン62が可撓性材料により形成されている場合は、基板Pの下面に既実装部品Dがあっても、支持ピン62が既実装部品に圧縮されて基板Pの下面と既実装部品Dの下面との高さの差を吸収することができ、基板Pを水平状態で高精度に支持することができる。
【0039】
制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24をフィーダ11の部品供給部14上に移動し、第1ノズルホルダー部261を駆動制御してZ軸方向に下降させ、部品吸着ノズル26を吸引制御して部品をピックアップする。そして、制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24を部品撮像カメラ28上に移動し、部品撮像カメラ28を撮像制御してピックアップした部品を撮像する。
【0040】
そして、制御装置50は、必要があれば撮像した部品の画像を処理して認識した部品姿勢に基づいて、Y軸及びX軸スライダ22Y,22X並びに第1ノズルホルダー部261を駆動制御して部品吸着ノズル26に対する部品のY軸方向及びX軸方向並びにZ軸回りにおけるずれを補正する。そして、制御装置50は、Y軸及びX軸スライダ22Y,22Xを駆動制御して部品装着ヘッド24を基板上に移動し、第1ノズルホルダー部261を駆動制御してZ軸方向に下降させ、部品吸着ノズルに吸着されている部品を基板上における所定の装着位置に装着する。以上の部品の装着が全て完了したら、制御装置50は、搬送装置31を駆動制御して部品装着する基板を次の部品実装機1の実装位置まで搬送して部品の装着を実行する。
【0041】
なお、上述の実施の形態においては、1つの部品吸着ノズル26によりバックアップピン装置60を吸着保持するように構成したが、複数の部品吸着ノズル26を回転可能な円盤上に配置したロータリー式とすることにより、バックアッププレート41の配置部41a上の指示位置にさらに効率良く配置することができる。また、部品吸着ノズル26の代わりに把持装置を別途設けて該把持装置によりバックアップピン装置60を把持して保持するように構成してもよい。
【0042】
また、上述の実施の形態においては、バックアッププレート41には配置部41aとストッカ41bとを段差を付けて一体で設けたが、バックアッププレート41を平面状に形成し、このバックアッププレート41の平面形状よりも小さい平面形状を有するブロックを配置部としてバックアッププレート41上に載置し、バックアッププレート41の空きスペースをストッカ41bとして利用するように構成してもよい。また、バックアッププレート41には配置部41aのみを設け、ストッカ41bを別部材で形成して基枠3上の空きスペースに設けるようにしてもよい。
【0043】
また、上述の実施の形態においては、バックアップピン装置60の基部61におけるバックアッププレート41の配置部41a上への載置面に滑り止め部材63を貼着し、バックアップピン装置60の位置ズレを粘着力により防止するように構成したが、基部61及びバックアッププレート41の配置部41aの一方を磁石又は磁性材料で形成し、他方を磁性材料又は磁石で形成することにより、バックアップピン装置60の位置ズレを磁力により防止するように構成してもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態においては、作業者が別途用意されている保管箱に保管されているバックアップピン装置60を保管箱から手作業により取り出してバックアッププレート41のストッカ41b上に並列配置してストックするようにしたが、制御装置50により部品装着ヘッド24もしくは別途設けられた吸着ヘッドを駆動制御して保管箱に保管されているバックアップピン装置60を保管箱から自動的に取り出してバックアッププレート41のストッカ41b上に自動的に並列配置するよう構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…部品実装機、10…部品供給装置、20…部品移載装置、22…Y軸スライダ、23…X軸スライダ、24…部品装着ヘッド、26…部品吸着ノズル、261…第1ノズルホルダー部、27…基板撮像カメラ、30…基板搬送装置、40…バックアップ装置、41…バックアッププレート、41a…配置部、41b…ストッカ、42…昇降装置、43…滑り止めシート、50…制御装置、60…バックアップピン装置、61…基部、62…支持ピン、63…滑り止め部材、64…支柱、65…識別マーク、66…位置マーク、70…バックアップピン配置装置。