(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第一クリーニング処理を行う場合と前記第二クリーニング処理を行う場合とで、前記クリーニングガス供給系から供給するクリーニングガスの流量を相違させる請求項1から4のいずれかに記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記第二クリーニング処理を行う際の前記クリーニングガスの流量を前記第一クリーニング処理を行う際の流量よりも大きくする請求項1から5のいずれかに記載の基板処理装置。
前記第一クリーニング工程の前記クリーニングガス流量と、前記第二クリーニング工程の前記クリーニングガス流量とを、異ならせる請求項7から9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
前記第二クリーニング工程の前記クリーニングガス流量を前記第一クリーニング工程の前記クリーニングガス流量よりも大きくする請求項7から10のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
前記第一クリーニング手順の前記クリーニングガス流量と、前記第二クリーニング手順の前記クリーニングガス流量とを、異ならせる手順をコンピュータに実行させる請求項12から14のいずれかに記載のプログラム。
前記第二クリーニング手順の前記クリーニングガス流量を前記第一クリーニング手順の前記クリーニングガス流量よりも大きくさせる請求項12から15のいずれかに記載のプログラム。
前記第一クリーニング手順を所定時間行った後に前記第二クリーニング手順をコンピュータに開始させるプログラムが記録された請求項17または請求項18に記載の記録媒体。
前記第一クリーニング手順の前記クリーニングガス流量と、前記第二クリーニング手順の前記クリーニングガス流量とを、異ならせる手順をコンピュータに実行させるプログラムが記録された請求項17から19のいずれかに記載の記録媒体。
前記第二クリーニング手順の前記クリーニングガス流量を前記第一クリーニング工程の前記クリーニングガス流量よりも大きくさせる請求項17から20のいずれかに記載の記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の第一の実施形態>
以下に、本発明の第一の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態に係る基板処理装置は、処理対象となる基板に対して一枚ずつ処理を行う枚葉式の基板処理装置として構成されている。
処理対象となる基板としては、例えば、半導体装置(半導体デバイス)が作り込まれる半導体ウエハ基板(以下、単に「ウエハ」という。)が挙げられる。
このような基板に対して行う処理としては、エッチング、アッシング、成膜処理等が挙げられるが、本実施形態では特に成膜処理を行うものとする。
【0015】
以下、本実施形態に係る基板処理装置の構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る枚葉式の基板処理装置の概略構成図である。
【0016】
(処理容器)
図1に示すように、基板処理装置100は処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。処理容器202内には、ウエハ200を処理する処理空間201と、ウエハ200を処理空間201に搬送する際にウエハ200が通過する搬送空間203とが形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板204が設けられる。
【0017】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口206を介して図示しない搬送室との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0018】
(基板支持部)
処理空間201の下部には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212に内包された加熱源としてのヒータ213と、を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0019】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217及び基板載置台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217の下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理容器202内は気密に保持されている。
【0020】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口206に対向する位置(ウエハ搬送位置)まで下降し、ウエハ200の処理時には、
図1で示されるように、ウエハ200が処理空間201内の処理位置(ウエハ処理位置)となるまで上昇する。
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0021】
(シャワーヘッド)
処理空間201の上部(ガス供給方向上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230の蓋231にはガス導入孔241が設けられ、当該ガス導入孔241には後述するガス供給系が接続される。ガス導入孔241から導入されるガスは、シャワーヘッド230のバッファ空間232に供給される。
【0022】
シャワーヘッド230の蓋231は、導電性のある金属で形成され、バッファ空間232又は処理空間201内でプラズマを生成するための電極として用いられる。蓋231と上部容器202aとの間には絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と上部容器202aの間を絶縁している。
【0023】
シャワーヘッド230は、ガス導入孔241を介して供給系から供給されるガスを分散させるための分散板234を備えている。この分散板234の上流側がバッファ空間232であり、下流側が処理空間201である。分散板234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、基板載置面211と対向するように配置されている。
【0024】
バッファ空間232には、供給されたガスの流れを形成するガスガイド235が設けられる。ガスガイド235は、ガス導入孔241を頂点として分散板234方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235は、その下端が、分散板234の最も外周側に形成される貫通孔234aよりも更に外周側に位置するように形成される。
【0025】
(プラズマ生成部)
シャワーヘッド230の蓋231には、整合器251、高周波電源252が接続されている。そして、高周波電源252、整合器251でインピーダンスを調整することで、シャワーヘッド230、処理空間201にプラズマが生成されるようになっている。
【0026】
(ガス供給系)
シャワーヘッド230の蓋231に設けられたガス導入孔241には、共通ガス供給管242が接続されている。共通ガス供給管242は、ガス導入孔241への接続によって、シャワーヘッド230内のバッファ空間232に連通することになる。また、共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243aと、第二ガス供給管244aと、第三ガス供給管245aと、接続管249aと、が接続されている。第二ガス供給管244aは、リモートプラズマユニット(RPU)244eを介して共通ガス供給管242に接続される。
【0027】
これらのうち、第一ガス供給管243aを含む原料ガス供給系243からは原料ガスが主に供給され、第二ガス供給管244aを含む反応ガス供給系244からは主に反応ガスが供給される。第三ガス供給管245aを含むパージガス供給系245からは、ウエハを処理する際には主に不活性ガスが供給され、シャワーヘッド230や処理空間201をクリーニングする際はクリーニングガスが主に供給される。
【0028】
(原料ガス供給系)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、原料ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。そして、第一ガス供給管243aからは、原料ガスが、MFC243c、バルブ243d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0029】
原料ガスは、処理ガスの一つであり、例えばTi(チタニウム)元素を含む金属液体原料であるTiCl
4(Titanium Tetrachloride)を気化させて得られる原料ガス(すなわちTiCl
4ガス)である。なお、原料ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良い。原料ガスが常温常圧で液体の場合は、第一ガス供給源243bとマスフローコントローラ243cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは気体として説明する。
【0030】
主に、第一ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、原料ガス供給系243が構成される。なお、原料ガス供給系243は、原料ガス供給源243b、後述する第一不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、原料ガス供給系243は、処理ガスの一つである原料ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の一つに該当することになる。
【0031】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)246c、及び開閉弁であるバルブ246dが設けられている。そして、第一不活性ガス供給管246aからは、不活性ガスが、MFC246c、バルブ246d、第一ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0032】
不活性ガスは、原料ガスのキャリアガスとして作用するもので、原料とは反応しないガスを用いることが好ましい。具体的には、例えば、窒素(N
2)ガスを用いることができる。また、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0033】
主に、第一不活性ガス供給管246a、MFC246c及びバルブ246dにより、第一不活性ガス供給系が構成される。なお、第一不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源236b、第一ガス供給管243aを含めて考えてもよい。また、第一不活性ガス供給系は、原料ガス供給系243に含めて考えてもよい。
【0034】
(反応ガス供給系)
第二ガス供給管244aには、上流方向から順に、反応ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)244c、及び開閉弁であるバルブ244dが設けられている。第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、RPU244eが設けられている。そして、第二ガス供給管244aからは、反応ガスが、MFC244c、バルブ244d、RPU244e、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。反応ガスは、リモートプラズマユニット244eによりプラズマ状態とされ、ウエハ200上に照射される。
【0035】
反応ガスは、処理ガスの一つであり、例えばアンモニア(NH
3)ガスが用いられる。
【0036】
主に、第二ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、反応ガス供給系244が構成される。なお、反応ガス供給系244は、反応ガス供給源244b、RPU244e、後述する第二不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、反応ガス供給系244は、処理ガスの一つである反応ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の他の一つに該当することになる。
【0037】
第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第二不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)247c、及び開閉弁であるバルブ247dが設けられている。そして、第二不活性ガス供給管247aからは、不活性ガスが、MFC247c、バルブ247d、第二ガス供給管244a、RPU244e、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0038】
不活性ガスは、反応ガスのキャリアガス又は希釈ガスとして作用するものである。具体的には、例えば、窒素(N
2)ガスを用いることができる。また、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0039】
主に、第二不活性ガス供給管247a、MFC247c、及びバルブ247dにより、第二不活性ガス供給系が構成される。なお、第二不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源247b、第二ガス供給管243a、RPU244eを含めて考えてもよい。また、第二不活性ガス供給系は、反応ガス供給系244に含めて考えてもよい。
【0040】
(パージガス供給系)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、パージガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)245c、及び開閉弁であるバルブ245dが設けられている。そして、第三ガス供給管245aからは、基板処理工程では、パージガスとしての不活性ガスが、MFC245c、バルブ245d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。また、クリーニング工程では、必要に応じて、クリーニングガスのキャリアガス又は希釈ガスとしての不活性ガスが、MFC245c、バルブ245d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0041】
パージガス供給源245bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。また、クリーニング工程では、クリーニングガスのキャリアガス或いは希釈ガスとして作用しても良い。具体的には、不活性ガスとして、例えば、窒素(N
2)ガスを用いることができる。また、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0042】
主に、第三ガス供給管245a、MFC245c、バルブ245dにより、パージガス供給系245が構成される。なお、パージガス供給系245は、パージガス供給源245b、後述するクリーニングガス供給系を含めて考えてもよい。
【0043】
(クリーニングガス供給系)
第三ガス供給管245aのバルブ245dよりも下流側には、クリーニングガス供給管248aの下流端が接続されている。クリーニングガス供給管248aには、上流方向から順に、クリーニングガス供給源248b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248c、及び開閉弁であるバルブ248dが設けられている。そして、第三ガス供給管245aからは、クリーニング工程では、クリーニングガスが、MFC248c、バルブ248d、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
なお、クリーニングガス供給系は、共通ガス供給管242と後述する接続管249aとを介して、後述する第二排気管262にも接続される。クリーニング工程では、クリーニングガスが、共通ガス供給管242、接続管249a及び第二排気管262を通過する経路からもシャワーヘッド230内に供給される。
【0044】
クリーニングガス供給源248bから供給されるクリーニングガスは、クリーニング工程ではシャワーヘッド230や処理容器202に付着した副生成物等を除去するクリーニングガスとして作用する。具体的には、クリーニングガスとして、例えば三フッ化窒素(NF
3)ガスを用いることが考えられる。また、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素(ClF
3)ガス、フッ素(F
2)ガス等を用いても良く、またこれらを組合せて用いても良い。
【0045】
主に、クリーニングガス供給管248a、MFC248c、及びバルブ248dにより、クリーニングガス供給系が構成される。なお、クリーニングガス供給系は、クリーニングガス供給源248b、第三ガス供給管245aを含めて考えてもよい。また、クリーニングガス供給系は、パージガス供給系245に含めて考えてもよい。
【0046】
(ガス排気系)
処理容器202の雰囲気を排気する排気系は、処理容器202に接続された複数の排気管を有する。具体的には、搬送空間203に接続される排気管(第一排気管)261と、バッファ空間232に接続される排気管(第二排気管)262と、処理空間201に接続される排気管(第三排気管)263とを有する。また、各排気管261,262,263の下流側には、排気管(第四排気管)264が接続される。
【0047】
(第一ガス排気系)
第一排気管261は、搬送空間203の側面あるいは底面に接続される。第一排気管261には、高真空あるいは超高真空を実現する真空ポンプとして、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)265が設けられる。第一排気管261において、TMP265の下流側には、バルブ266が設けられる。また、第一排気管261において、TMP265の上流側には、バルブ267が設けられる。また、第一排気管261において、バルブ267の上流側には、バイパス管261aが接続される。バイパス管261aには、バルブ261bが設けられる。バイパス管261aの下流側は、第四排気管264に接続される。
【0048】
主に、第一排気管261、TMP265、バルブ266,267、バイパス管261a、及びバルブ261bによって、第一ガス排気系が構成される。
【0049】
(第二ガス排気系)
第二排気管262は、バッファ空間232の上面(具体的にはガスガイド235の上方の位置)に接続される。つまり、第二排気管262は、シャワーヘッド230に接続され、これによりシャワーヘッド230内のバッファ空間232に連通することになる。また、第二排気管262には、バルブ268が設けられる。このバルブ268は、第二排気管262のガス流路開閉を行うものである。なお、バルブ268は、ガス流路開閉の開度調整機能に対応したものであってもよい。
【0050】
主に、第二排気管262、及びバルブ268によって、第二ガス排気系が構成される。
【0051】
(第三ガス排気系)
第三排気管263は、処理空間201の側方に接続される。第三排気管263には、処理空間201内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)269が設けられる。APC269は、開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、後述するコントローラからの指示に応じて第三排気管263のコンダクタンスを調整する。第三排気管263において、APC269の上流側には、バルブ271が設けられる。
【0052】
主に、第三排気管263、APC269、及びバルブ271によって、第三ガス排気系が構成される。
【0053】
第四排気管264は、ドライポンプ(DP:Dry Pump)272が設けられる。図示のように、第四排気管264には、その上流側から第二排気管262、第三排気管263、第一排気管261、バイパス管261aが接続され、さらにそれらの下流にDP272が設けられる。DP272は、第二排気管262、第三排気管263、第一排気管261及びバイパス管261aのそれぞれを介して、バッファ空間232、処理空間201及び搬送空間203のそれぞれの雰囲気を排気する。また、DP272は、TMP265が動作するときに、その補助ポンプとしても機能する。
【0054】
(接続管(分岐管))
ガス供給系における共通ガス供給管242には、接続管249aが接続されている。接続管249aは、共通ガス供給管242と第二排気管262とを接続する。
接続管249aは、クリーニングガス供給系(具体的には、クリーニング工程でクリーニングガスが供給されることになる第三ガス供給管245a)の共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向下流側で、共通ガス供給管242に接続される。なお、接続管249aは、共通ガス供給管242から分岐した分岐管とも考えることができる。
【0055】
一端側が共通ガス供給管242に接続される接続管249aは、他端側が第二ガス排気系における第二排気管262に接続される。ただし、接続管249aは、第二排気管262に設けられたバルブ268よりもガス排気方向上流側で、第二排気管262に接続されている。つまり、第二ガス排気系におけるバルブ268は、接続管249aの第二排気管262への接続箇所よりもガス排気方向下流側にてガス流路開閉を行うことになる。
【0056】
このように、接続管249aは、シャワーヘッド230内のバッファ空間232を経ることなく、共通ガス供給管242(特にクリーニングガス供給系よりもガス供給方向下流側)と第二排気管262(特にバルブ268よりもガス排気方向上流側)とを連通させ得るように構成されている。
【0057】
また、接続管249aには、バルブ249bが設けられる。このバルブ249bは、接続管249aのガス流路開閉を行うものである。なお、バルブ249bは、ガス流路開閉の開度調整機能に対応したものであってもよい。
【0058】
主に、接続管249a、及びバルブ249bによって、クリーニングガス補助供給系249が構成される。かかる構成のクリーニングガス補助供給系249は、クリーニング工程において、クリーニングガス供給系が行うシャワーヘッド230内へのクリーニングガスの供給を、必要に応じて補助するものである。
【0059】
(コントローラ)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、演算部281及び記憶部282を少なくとも有する。コントローラ280は、上記した各構成に接続され、上位コントローラや使用者の指示に応じて記憶部282からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御する。具体的には、コントローラ280は、ゲートバルブ205、昇降機構218、ヒータ213、高周波電源252、整合器251、MFC243c〜248c、バルブ243d〜248d、APC269、TMP265、DP272、バルブ266,267,268,271,261b等の動作を制御する。
【0060】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)283を用意し、外部記憶装置283を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。
【0061】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置283を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置283を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶部282や外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部282単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。
【0062】
(2)基板処理工程
次に、半導体装置の製造方法の一工程として、基板処理装置100を使用して、ウエハ200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0063】
ここでは、原料ガス(第一の処理ガス)としてTiCl
4を気化させて得られるTiCl
4ガスを用い、反応ガス(第二の処理ガス)としてNH
3ガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上に金属薄膜としてTiN膜を形成する例について説明する。
【0064】
図2は、本実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
図3は、
図2の成膜工程の詳細を示すフロー図である。
【0065】
(基板搬入・載置工程:S101)
基板処理装置100では、先ず、基板載置台212をウエハ200の搬送位置まで下降させることにより、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ205を開いて搬送空間203を移載室(図示せず)と連通させる。そして、この移載室からウエハ移載機(図示せず)を用いてウエハ200を搬送空間203に搬入し、リフトピン207上にウエハ200を移載する。これにより、ウエハ200は、基板載置台212の表面から突出したリフトピン207上に水平姿勢で支持される。
【0066】
処理容器202内にウエハ200を搬入したら、ウエハ移載機を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ205を閉じて処理容器202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置台212に設けられた基板載置面211上にウエハ200を載置させ、さらに基板載置台212を上昇させることにより、前述した処理空間201内の処理位置までウエハ200を上昇させる。
【0067】
ウエハ200を処理容器202内に搬入する際は、バルブ266とバルブ267を開状態として(開弁して)、搬送空間203とTMP265との間を連通させるとともに、TMP265とDP272との間を連通させる。一方、バルブ266とバルブ267以外の排気系のバルブは閉状態とする(閉弁する)。これにより、TMP265(及びDP272)によって搬送空間203の雰囲気が排気される。
【0068】
ウエハ200が搬送空間203に搬入された後、処理空間201内の処理位置まで上昇すると、バルブ266とバルブ267を閉状態とする。これにより、搬送空間203とTMP265の間、並びに、TMP265と排気管264との間が遮断され、TMP265による搬送空間203の排気が終了する。一方、バルブ271を開き、処理空間201とAPC269の間を連通させる。APC269は、排気管263のコンダクタンスを調整することで、DP272による処理空間201の排気流量を制御し、処理空間201を所定の圧力に維持する。なお、他の排気系のバルブは閉状態を維持する。
【0069】
なお、この工程において、処理容器202内を排気しつつ、不活性ガス供給系から処理容器202内に不活性ガスとしてのN
2ガスを供給してもよい。すなわち、TMP265あるいはDP272で処理容器202内を排気しつつ、少なくとも第三ガス供給系のバルブ245dを開けることにより、処理容器202内にN
2ガスを供給してもよい。これにより、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
【0070】
また、ウエハ200を基板載置台212の上に載置する際は、基板載置台212の内部に埋め込まれたヒータ213に電力を供給し、ウエハ200の表面が所定の処理温度となるよう制御される。この際、ヒータ213の温度は、図示しない温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ213への通電具合を制御することによって調整される。
【0071】
このようにして、基板搬入・載置工程(S101)では、処理空間201内を所定の処理圧力となるように制御するとともに、ウエハ200の表面温度が所定の処理温度となるように制御する。ここで、所定の処理温度、処理圧力とは、後述する成膜工程(S102)において、TiN膜を形成可能な処理温度、処理圧力である。例えば、原料ガス供給工程(S201)で供給する原料ガスが自己分解しない程度の処理温度、処理圧力である。具体的には、処理温度は例えば室温以上500℃以下、好ましくは室温以上400℃以下、処理圧力は50〜5000Paとすることが考えられる。この処理温度、処理圧力は、後述する成膜工程(S102)においても維持されることになる。
【0072】
(成膜工程:S102)
基板搬入・載置工程(S101)の後は、次に、成膜工程(S102)を行う。以下、
図3を参照し、成膜工程(S102)について詳細に説明する。なお、成膜工程(S102)は、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返すサイクリック処理である。
【0073】
(原料ガス供給工程:S201)
成膜工程(S102)では、先ず、原料ガス供給工程(S201)を行う。原料ガス供給工程(S201)に際しては、原料(TiCl
4)を気化させて原料ガス(すなわちTiCl
4ガス)を生成(予備気化)させておく。原料ガスの予備気化は、上述した基板搬入・載置工程(S101)と並行して行ってもよい。原料ガスを安定して生成させるには、所定の時間を要するからである。
【0074】
そして、原料ガスを生成したら、バルブ243dを開くとともに、原料ガスの流量が所定流量となるようにマスフローコントローラ243cを調整することで、処理空間201内への原料ガス(TiCl
4ガス)の供給を開始する。原料ガスの供給流量は、例えば100〜3000sccmである。原料ガスは、シャワーヘッド230により分散されて処理空間201内のウエハ200上に均一に供給される。
【0075】
このとき、第一不活性ガス供給系のバルブ246dを開き、第一不活性ガス供給管246aから不活性ガス(N
2ガス)を供給する。不活性ガスの供給流量は、例えば500〜5000sccmである。なお、パージガス供給系の第三ガス供給管245aから不活性ガスを流してもよい。
【0076】
余剰な原料ガスは、第三ガス排気系の第三排気管263内を流れ、第四排気管264へと排気される。具体的には、バルブ271が開状態とされ、APC269によって処理空間201の圧力が所定の圧力となるように制御される。なお、バルブ271以外の排気系のバルブは全て閉とされる。
【0077】
このときの処理空間201内の処理温度、処理圧力は、第一原料ガスが自己分解しない程度の処理温度、処理圧力とされる。そのため、ウエハ200上には、原料ガスのガス分子が吸着することになる。
【0078】
原料ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ243dを閉じ、原料ガスの供給を停止する。原料ガス及びキャリアガスの供給時間は、例えば20.1〜20秒である。
【0079】
(パージ工程:S202)
原料ガスの供給を停止した後は、第三ガス供給管245aから不活性ガス(N
2ガス)を供給し、シャワーヘッド230及び処理空間201のパージを行う。このときも、バルブ271は開状態とされてAPC269によって処理空間201の圧力が所定の圧力となるように制御される。一方、バルブ271以外のガス排気系のバルブは全て閉状態とされる。これにより、原料ガス供給工程(S201)でウエハ200に吸着できなかった原料ガスは、DP272により、第三排気管263を介して処理空間201から除去される。
【0080】
次いで、第三ガス供給管245aから不活性ガス(N
2ガス)を供給し、シャワーヘッド230のパージを行う。このときのガス排気系のバルブは、バルブ271が閉状態とされる一方、バルブ268が開状態とされる。他のガス排気系のバルブは閉状態のままである。すなわち、シャワーヘッド230のパージを行うときは、処理空間201とAPC269の間を遮断するとともに、APC269と第四排気管264の間を遮断し、APC269による圧力制御を停止する一方、バッファ空間232とDP272との間を連通する。これにより、シャワーヘッド230(バッファ空間232)内に残留した原料ガスは、第二排気管262を介し、DP272によりシャワーヘッド230から排気される。
【0081】
シャワーヘッド230のパージが終了すると、バルブ271を開状態としてAPC269による圧力制御を再開するとともに、バルブ268を閉状態としてシャワーヘッド230と排気管264との間を遮断する。他のガス排気系のバルブは閉状態のままである。このときも第三ガス供給管245aからの不活性ガスの供給は継続され、シャワーヘッド230及び処理空間201のパージが継続される。
【0082】
なお、ここでは、パージ工程(S202)において、第二排気管262を介したパージの前後に排気管263を介したパージを行うようにしたが、第二排気管262を介したパージのみであってもよい。また、排気管262を介したパージと第三排気管263を介したパージを同時に行うようにしてもよい。
【0083】
パージ工程(S202)における不活性ガス(N
2ガス)の供給流量は、例えば1000〜10000sccmである。また、不活性ガスの供給時間は、例えば20.1〜10秒である。
【0084】
(反応ガス供給工程:S203)
シャワーヘッド230及び処理空間201のパージが完了したら、続いて、反応ガス供給工程(S203)を行う。反応ガス供給工程(S203)では、バルブ244dを開けて、リモートプラズマユニット244e、シャワーヘッド230を介して、処理空間201内への反応ガス(NH
3ガス)の供給を開始する。このとき、反応ガスの流量が所定流量となるように、マスフローコントローラ244cを調整する。反応ガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmである。
【0085】
プラズマ状態の反応ガスは、シャワーヘッド230によって分散されて処理空間201内のウエハ200上に均一に供給され、ウエハ200上に吸着している原料ガスのガス分子と反応して、ウエハ200上に1原子層未満(1Å未満)程度のTiN膜を生成する。
【0086】
このとき、第二不活性ガス供給系のバルブ247dを開き、第二不活性ガス供給管247aから不活性ガス(N
2ガス)を供給する。不活性ガスの供給流量は、例えば500〜5000sccmである。なお、パージガス供給系の第三ガス供給管245aから不活性ガスを流してもよい。
【0087】
余剰な反応ガスや反応副生成物は、第三ガス排気系の第三排気管263内を流れ、第四排気管264へと排気される。具体的には、バルブ271が開状態とされ、APC269によって処理空間201の圧力が所定の圧力となるように制御される。なお、バルブ271以外の排気系のバルブは全て閉とされる。
【0088】
反応ガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ244dを閉じ、反応ガスの供給を停止する。反応ガス及びキャリアガスの供給時間は、例えば0.1〜20秒である。
【0089】
(パージ工程:S204)
反応ガスの供給を停止した後は、パージ工程(S204)を行って、シャワーヘッド230及び処理空間201に残留している反応ガスや反応副生成物を除去する。このパージ工程(S204)は、既に説明したパージ工程(S202)と同様に行えばよいため、ここでの説明は省略する。
【0090】
(判定工程:S205)
以上の原料ガス供給工程(S201)、パージ工程(S202)、反応ガス供給工程(S203)、パージ工程(S204)を1サイクルとして、コントローラ280は、この処理サイクルを所定回数(nサイクル)実施したか否かを判定する(S205)。処理サイクルを所定回数実施すると、ウエハ200上には、所望膜厚の窒化チタン(TiN)膜が形成される。
【0091】
(基板搬出工程:S103)
以上の各工程(S201〜S205)からなる成膜工程(S102)の後は、
図2に示すように、次に、基板搬出工程(S103)を行う。
【0092】
基板搬出工程(S103)では、基板載置台212を下降させ、基板載置台212の表面から突出させたリフトピン207上にウエハ200を支持させる。これにより、ウエハ200は、処理位置から搬送位置となる。その後、ゲートバルブ205を開き、ウエハ移載機を用いてウエハ200を処理容器202の外へ搬出する。このとき、バルブ245dを閉じ、第三ガス供給系から処理容器202内に不活性ガスを供給することを停止する。
【0093】
基板搬出工程(S103)において、ウエハ200が処理位置から搬送位置まで移動する間は、バルブ271を閉状態とし、APC269による圧力制御を停止する。一方、バルブ261bを開状態とし、搬送空間203とDP272との間を連通し、搬送空間203をDP272によって排気する。このとき、その他の排気系のバルブは閉状態とされる。
【0094】
次いで、ウエハ200が搬送位置まで移動すると、バルブ261bを閉状態とし、搬送空間203と排気管264との間を遮断する。一方、バルブ266とバルブ267を開状態とし、TMP265(及びDP272)によって搬送空間203の雰囲気を排気する。この状態でゲートバルブ205を開き、ウエハ200を処理容器202から移載室へと搬出する。
【0095】
(処理回数判定工程:S104)
ウエハ200の搬出後、コントローラ280は、基板搬入・載置工程(S101)、成膜工程(S102)及び基板搬出工程(S103)の一連の各工程の実施回数が所定の回数に到達したか否かを判定する(S104)。所定の回数に到達したと判断されたら、クリーニング工程(S105)に移行する。所定の回数に到達していないと判断されたら、次に待機しているウエハ200の処理を開始するため、基板搬入・載置工程(S101)に移行する。
【0096】
(クリーニング工程:S105)
クリーニング工程(S105)では、クリーニングガス供給系のバルブ248dを開け、シャワーヘッド230を介して、クリーニングガスを処理空間201へ供給する。このとき、高周波電源252で電力を印加すると共に整合器251によりインピーダンスを整合させ、シャワーヘッド230及び処理空間201内のクリーニングガスをプラズマ励起する。プラズマ励起されたクリーニングガスは、シャワーヘッド230及び処理空間201内の壁に付着した副生成物を除去する。
【0097】
(3)クリーニング工程
ここで、基板処理装置100が行うクリーニング工程(S105)について、具体例を挙げてさらに詳しく説明する。
ここでは、特に、クリーニング工程(S105)を行う際のクリーニングガスの流れについて、
図1を参照しながら、第一具体例、第二具体例、第三具体例に分けて説明する。
【0098】
(第一具体例)
クリーニング工程(S105)に際して、コントローラ280は、クリーニングガス供給系のバルブ248dを開け、クリーニングガス供給源248bからのクリーニングガスを、第三ガス供給管245aを介して、共通ガス供給管242内へ供給する。そうすると、クリーニングガスは、共通ガス供給管242内を通り、シャワーヘッド230内のバッファ空間232に送り込まれる。
【0099】
また、これと併せて、コントローラ280は、クリーニングガス補助供給系249のバルブ249bを開けるとともに、第二ガス排気系におけるバルブ268を閉状態のままとする。そうすると、クリーニングガス供給源248bから共通ガス供給管242内へ供給されたクリーニングガスは、共通ガス供給管242と接続管249aとの接続箇所から接続管249a内にも分岐して流れ、その接続管249a内を通過した後、更に第二ガス排気系の第二排気管262内を通って、シャワーヘッド230内のバッファ空間232に送り込まれる。
【0100】
つまり、クリーニング工程(S105)の第一具体例では、シャワーヘッド230内へのガス供給のために当該シャワーヘッド230に接続される共通ガス供給管242と、シャワーヘッド230内からのガス排気のために当該シャワーヘッド230に接続される第二排気管262との両方から(換言すれば、共通ガス供給管242と第二排気管262とを同時に用いて)、シャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給する。
【0101】
なお、クリーニングガスの排気は、第三ガス排気系におけるバルブ271を開状態として、APC269経由で行う。
【0102】
以上のような第一具体例によれば、シャワーヘッド230内においては、共通ガス供給管242が接続される箇所の近傍のみならず、第二排気管262が接続される箇所の近傍にも、クリーニングガスが積極的に供給されることになる。
第二排気管262はパージ工程S202、S204において処理ガスの排気路となるため、シャワーヘッド230において第二排気管262が接続された箇所の近傍は、不要な膜(反応副生成物等)が付着する可能性が高い。一方で、第二排気管262と共通ガス供給管242との間にはガスガイド235が介在するため、共通ガス供給管242から供給されたクリーニングガスは第二排気管262が接続された箇所の近傍には回り込み難い。
ところが、上述したように、共通ガス供給管242のみならず接続管249a及び第二排気管262をも利用してクリーニングガスを供給すれば、シャワーヘッド230の内部の所望箇所、特にクリーニングガスが回り込み難くクリーニングし難い箇所(ガスガイド235よりも上部の空間)、さらには、膜付着がし易く、かつ、クリーニングし難い箇所(第二排気管262の接続箇所近傍)のクリーニング効率を向上させ得るようになる。しかも、第二排気管262を利用するので、専用のクリーニングガス供給路を別途設けるといった必要もなく、シャワーヘッド230に接続するガス経路の複雑化等を極力抑制し得るようになる。
【0103】
第二排気管262を利用してシャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給する場合には、
図4に示すように、第二排気管262のシャワーヘッド230への接続箇所が共通ガス供給管242の管外周を囲む環状に形成されていたり、または
図5に示すように、第二排気管262のシャワーヘッド230への接続箇所が共通ガス供給管242の周囲に配置される複数本の管路によって構成されていても良い。このように構成することで、シャワーヘッド230内に対して、より一層クリーニングガスを均一に供給することができ、これによりクリーニング効率を向上させ得るようになるからである。また、クリーニングガスが分散して供給されるため、被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0104】
(第二具体例)
クリーニング工程(S105)の第二具体例では、共通ガス供給管242からシャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給する第一クリーニング処理と、共通ガス供給管242と第二排気管262との両方からシャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給する第二クリーニング処理とを、選択的に(非同時に)行う。
【0105】
第一クリーニング処理に際して、コントローラ280は、クリーニングガス供給系のバルブ248dを開け、クリーニングガス供給源248bからのクリーニングガスを、第三ガス供給管245aを介して、共通ガス供給管242内へ供給する。ただし、クリーニングガス補助供給系249のバルブ249b、及び第二ガス排気系におけるバルブ268については、閉状態のままとする。そうすると、クリーニングガスは、共通ガス供給管242内を通り、その共通ガス供給管242のみからシャワーヘッド230内のバッファ空間232に送り込まれる。
これにより、第一クリーニング処理においては、主として処理空間201内に対して、共通ガス供給管242を利用したメインストリームのみからのクリーニングを行うことになる。
【0106】
一方、第二クリーニング処理に際して、コントローラ280は、上述した第一具体例の場合と同様に、共通ガス供給管242のみならず、接続管249a及び第二排気管262をも利用して、クリーニングガスをシャワーヘッド230内のバッファ空間232へ供給する。
これにより、第二クリーニング処理においては、処理空間201に加えてシャワーヘッド230内の上部空間(クリーニングし難い箇所(ガスガイド235よりも上部の空間))についても積極的に、共通ガス供給管242、接続管249a及び第二排気管262を利用したクリーニングを行うことになる。
【0107】
第一クリーニング処理及び第二クリーニング処理のいずれの場合も、クリーニングガスの排気は、第三ガス排気系におけるバルブ271を開状態として、APC269経由で行う。
【0108】
第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との選択(切り替え)は、以下のように行うことが考えられる。
図6は、クリーニング工程の一具体例の詳細を示すフロー図である。
【0109】
例えば、コントローラ280は、
図6(a)に示すように、先ず、第一クリーニング処理を行い(S301)、その第一クリーニング処理を所定時間行った後に、第二クリーニング処理を開始する(S302)。それぞれの時間は、予め適宜設定されたものであればよい。
【0110】
このようにすれば、より膜付着の激しい箇所(処理空間201)のクリーニングを実行した後に、シャワーヘッド230の全体のクリーニングを開始することになるので、クリーニング工程(S105)全体の時間短縮が図れ、また被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0111】
また、例えば、コントローラ280は、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との実行頻度を相違させるようにしてもよい。より具体的には、
図6(b)に示すように、コントローラ280は、クリーニング工程(S105)にあたり、第一クリーニング処理の実行カウント数が所定回数であるか否かを判断し(S401)、所定回数に達していなければ、第一クリーニング処理を行う(S402)。そして、第一クリーニング処理を所定時間行った後に、第一クリーニング処理の実行カウント数を1回分加算する(S403)。また、第一クリーニング処理の実行カウント数が所定回数に達している場合には、第一クリーニング処理ではなく、第二クリーニング処理を行う(S404)。そして、第二クリーニング処理を所定時間行った後に、第一クリーニング処理の実行カウント数をリセットする(S405)。
【0112】
このように、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との実行頻度を相違させれば、第二クリーニング処理については毎回ではなく必要と思われる場合にのみ行うことになるので、クリーニング工程(S105)全体の時間短縮に加えてクリーニングガスの消費量低減が図れるようになり、また被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0113】
以上のような第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との選択は、
図6(a)に示した場合と
図6(b)に示した場合のいずれかの手法で固定的に行うのではなく、適宜切り替えるようにすることも考えられる。例えば、ULT−SiOのような低温処理で処理空間201とシャワーヘッド230内部との温度差が比較的小さく、シャワーヘッド230内にも処理空間201と同様に膜付着が生じやすい場合には、第一具体例または第二具体例の
図6(a)のように第二クリーニング処理を毎回行う一方で、TiN成膜のように比較的高温の処理であって処理空間201とシャワーヘッド230内部で比較的大きな温度差を設けられるような場合(処理空間201に対してシャワーヘッド230に膜付着し難い場合)には、シャワーヘッド230に接続する第二排気管262をも利用した第二クリーニング処理の頻度を落とすようにする。
【0114】
なお、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理とを選択的に行う場合には、それぞれでクリーニングガスの流量を相違させるようにしてもよい。つまり、コントローラ280は、第一クリーニング処理を行う場合と、第二クリーニング処理を行う場合とで、クリーニングガス供給系から供給するクリーニングガスの流量を相違させるようにしてもよい。より具体的には、シャワーヘッド230に接続する第二排気管262をも利用した第二クリーニング処理を行う場合には、第一クリーニング処理を行う場合に比べて、クリーニングガスの流量を大きくすることが考えられる。
【0115】
このようにすれば、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理とを選択的に行う場合であっても、クリーニングガスの消費量低減が図れるようになり、またクリーニングガスの供給量が不足するといったことを未然に防止し得るようになる。
【0116】
(第三具体例)
クリーニング工程(S105)の第三具体例では、第二クリーニング処理を行う場合に、コントローラ280が第二ガス排気系におけるバルブ268を所定開度開ける。そうすると、接続管249aを経て第二排気管262へ送り込まれたクリーニングガスは、その一部がシャワーヘッド230内へ供給される一方で、残部が第二排気管262から第四排気管264へ流れることになり、これによりシャワーヘッド230に接続される第二ガス排気系についても併せてクリーニングされることになる。
【0117】
このとき、コントローラ280は、バルブ268の開度調整を行うことで、シャワーヘッド230内へ供給されるクリーニングガスと、第二排気管262から第四排気管264へ流れるクリーニングガスとについて、それぞれの流量バランスを調整する。また、このとき、コントローラ280は、第三ガス排気系におけるバルブ271を閉状態とすることで、第二ガス排気系に対するクリーニング効率の向上を図るようにしてもよい。
【0118】
さらに、バルブ268を開状態にして第二ガス排気系に対するクリーニングを行う場合についても、上述した第二具体例の場合と同様に、その実行頻度に差を設けてもよい。具体的には、実行頻度として、第一クリーニング処理の実行回数>バルブ268を閉じた状態での第二クリーニング処理(第二排気管262を利用したシャワーヘッド230内上部の積極クリーニング)≧バルブ268を開けた状態での第二クリーニング処理(第二ガス排気系に対するクリーニングの同時実施)となるように設定することが考えられる。
【0119】
なお、ここでは、コントローラ280がバルブ268の開度調整を行う場合について説明したが、コントローラ280は、バルブ268の開度調整と併せて、クリーニングガス補助供給系249におけるバルブ249bの開度調整を行うものであってもよい。このようにすれば、共通ガス供給管242を利用したメインストリームによるクリーニングガスと、接続管249a及び第二排気管262を利用してシャワーヘッド230内へ供給されるクリーニングガスと、第二排気管262から第四排気管264へ流れるクリーニングガスとについて、それぞれの流量バランスを調整することが可能となる。
【0120】
このことは、第三具体例の場合のみならず、第一具体例または第二具体例の場合にも適用可能である。つまり、コントローラ280がバルブ249bの開度調整を行うことで、共通ガス供給管242を利用したメインストリームによるクリーニングガスと、接続管249a及び第二排気管262を利用してシャワーヘッド230内へ供給されるクリーニングガスとについて、それぞれの流量バランスを調整することが可能となる。
【0121】
(4)実施形態にかかる効果
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0122】
(a)本実施形態によれば、基板処理装置100が接続管249a及びバルブ249bによるクリーニングガス補助供給系249を備えており、その接続管249aが、シャワーヘッド230内のバッファ空間232を経ることなく、共通ガス供給管242(特にクリーニングガス供給系よりもガス供給方向下流側)と第二排気管262(特にバルブ268よりもガス排気方向上流側)とを連通させ得るように構成されている。そして、接続管249aには、その接続管249aのガス流路開閉を行うバルブ249bが設けられている。そのため、基板処理装置100は、半導体装置の製造工程の一工程であるクリーニング工程(S105)において、シャワーヘッド230内へのガス供給のために当該シャワーヘッド230に接続される共通ガス供給管242と、シャワーヘッド230内からのガス排気のために当該シャワーヘッド230に接続される第二排気管262との両方から、シャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給することができる。つまり、シャワーヘッド230内においては、共通ガス供給管242が接続される箇所の近傍のみならず、第二排気管262が接続される箇所の近傍にも、クリーニングガスが積極的に供給されることになる。
【0123】
したがって、本実施形態によれば、共通ガス供給管242のみならず接続管249a及び第二排気管262をも利用してシャワーヘッド230の内部にクリーニングガスを供給することができるので、シャワーヘッド230の内部の所望箇所、特にクリーニングし難い箇所、さらには膜付着がし易く、かつ、クリーニングし難い箇所に対して、効率的にクリーニングガスを到達させることができ、その結果としてクリーニング効率の向上が図れる。しかも、本実施形態によれば、シャワーヘッド230内からのガス排気のために当該シャワーヘッド230に接続される第二排気管262を利用するので、専用のクリーニングガス供給路をシャワーヘッド230に対して別途接続させるといった必要もなく、シャワーヘッド230に接続するガス経路(すなわち基板処理装置100の装置構成)の複雑化等を極力抑制することができる。つまり、本実施形態によれば、装置構成の複雑化等を極力抑制しつつ、クリーニングガスをシャワーヘッド230内の所望箇所に漏れなく供給し得るようにすることで、クリーニング効率を効果的に向上させることができる。
【0124】
(b)また、本実施形態によれば、第二排気管262を利用してシャワーヘッド230内にクリーニングガスを供給する場合において、第二排気管262の接続箇所形状を環状に形成したり、または第二排気管262の接続箇所を複数本の管路によって構成すれば、そのような構成を備えない場合に比べて、シャワーヘッド230内に対して、より一層クリーニングガスを均一に供給することができ、これにより更なるクリーニング効率の向上が図れるようになる。
【0125】
(c)また、本実施形態によれば、クリーニング工程(S105)に際して、コントローラ280が第一クリーニング処理と第二クリーニング処理とのどちらを行うかを切り替え得るので、状況に応じて必要と考えられるクリーニング処理を行うことが可能となり、この点によってもクリーニング効率の向上を図ることができる。
【0126】
(d)また、本実施形態によれば、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との実行頻度を相違させることで、顕著なクリーニング効率向上が期待できることに加えて、クリーニングガスの消費量低減が図れるようになり、また被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0127】
(e)また、本実施形態によれば、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理との実行頻度を相違させる場合において、第一クリーニング処理を所定回数行うと第二クリーニング処理を行うようにするので、第二クリーニング処理については毎回ではなく必要と思われる場合にのみ行うことになり、クリーニング工程(S105)全体の時間短縮に加えて、クリーニングガスの消費量低減が図れるようになり、また被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0128】
(f)また、本実施形態によれば、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理とを選択的に行う場合において、第一クリーニング処理を所定時間行った後に第二クリーニング処理を開始するので、クリーニング工程(S105)全体の時間短縮が図れ、また被クリーニング箇所のオーバエッチングを抑制し得るようにもなる。
【0129】
(g)また、本実施形態によれば、第一クリーニング処理と第二クリーニング処理とのどちらを行うかを切り替える場合において、第一クリーニング処理を行う場合と第二クリーニング処理を行う場合とで、クリーニングガス供給系から供給するクリーニングガスの流量を相違させるので、クリーニングガスの消費量低減が図れるようになり、またクリーニングガスの供給量が不足するといったことを未然に防止し得るようになる。
【0130】
(h)また、本実施形態によれば、第二クリーニング処理を行う場合に、コントローラ280が第二ガス排気系におけるバルブ268(本発明に係る「第一のバルブ」に相当)を所定開度開けるので、シャワーヘッド230内に対するクリーニングと併せて、そのシャワーヘッド230に接続される第二ガス排気系についてもクリーニングすることが実現可能となる。
【0131】
(i)また、本実施形態によれば、第二クリーニング処理を行う場合に、コントローラ280がクリーニングガス補助供給系249におけるバルブ249b(本発明に係る「第二のバルブ」に相当)の開度調整を行うので、共通ガス供給管242を利用したメインストリームによるクリーニングガスや、接続管249a及び第二排気管262を利用して供給するクリーニングガス等について、それぞれの流量バランスを調整することが可能となる。そのため、そのような構成を備えない場合に比べると、シャワーヘッド230内の所望箇所にクリーニングガスを漏れなく供給する上で非常に有効なものとなり、その結果としてクリーニング効率の更なる向上が期待できる。
【0132】
<本発明の第二の実施形態>
次に、本発明の第二の実施形態を説明する。ただし、ここでは、主として、上述した第一の実施形態の場合との相違点について説明する。
【0133】
(装置構成)
図7は、第二の実施形態に係る枚葉式の基板処理装置の概略構成図である。なお、図中において、第一の実施形態に係る基板処理装置100と同様な構成要素については、同一符号を付している。
【0134】
第二の実施形態に係る基板処理装置102は、ガス供給系が、第一の実施形態に係る基板処理装置100とは異なる。詳しくは、共通ガス供給管242に原料ガス供給系243、反応ガス供給系244、パージガス供給系245、及び接続管249aを含むクリーニングガス補助供給系249が接続されている点は、第一の実施形態に係る基板処理装置100と同様であるが、クリーニングガス供給系248についても共通ガス供給管242に接続されている点で、第一の実施形態に係る基板処理装置100とは異なる。そのため、パージガス供給系245には、クリーニングガス供給系が含まれていない。
【0135】
(クリーニングガス供給系)
共通ガス供給管242には、リモートプラズマユニット(RPU)248eを介して、クリーニングガス供給管248aの下流端が接続されている。クリーニングガス供給管248aには、上流方向から順に、クリーニングガス供給源248b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248c、及び開閉弁であるバルブ248dが設けられている。そして、クリーニングガス供給管248aは、クリーニング工程では、クリーニングガスが、MFC248c、バルブ248d、RPU248e、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0136】
クリーニングガス供給源248bから供給されるクリーニングガスは、クリーニング工程ではシャワーヘッド230や処理容器202に付着した副生成物等を除去するクリーニングガスとして作用する。具体的には、クリーニングガスとして、例えば三フッ化窒素(NF
3)ガスを用いることが考えられる。また、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素(ClF
3)ガス、フッ素(F
2)ガス等を用いても良く、またこれらを組合せて用いても良い。ただし、クリーニングガスは、RPU248eによってプラズマ状態とされ得るものを用いる。なお、本実施形態にあっては、クリーニングガスをRPU248eによってプラズマ励起するため、処理容器202に接続された整合器251や高周波電源252はクリーニング工程で使用する必要はない。代わりに、例えば反応ガス供給工程で整合器251や高周波電源252を使用し、反応ガスをプラズマ励起してもよい。また、整合器251や高周波電源252を設けなくてもよい。
【0137】
主に、クリーニングガス供給管248a、MFC248c、バルブ248d、RPU248eにより、クリーニングガス供給系248が構成される。なお、クリーニングガス供給系248は、クリーニングガス供給源248b、後述する第三不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。
【0138】
クリーニングガス供給管248aのバルブ248dよりも下流側には、第三不活性ガス供給管248fの下流端が接続されている。第三不活性ガス供給管248fには、上流方向から順に、不活性ガス供給源248g、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248h、及び開閉弁であるバルブ248iが設けられている。そして、第三不活性ガス供給管248fからは、不活性ガスが、MFC248h、バルブ248i、クリーニングガス供給管248a、RPU248eを介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0139】
不活性ガスは、クリーニングガスのキャリアガス又は希釈ガスとして作用するものである。具体的には、例えば、窒素(N
2)ガスを用いることができる。また、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0140】
主に、第三不活性ガス供給管248f、MFC248h及びバルブ248iにより、第三不活性ガス供給系が構成される。なお、第三不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源248g、クリーニングガス供給管248aを含めて考えてもよい。また、第三不活性ガス供給系は、クリーニングガス供給系248に含めて考えてもよい。ただし、第三不活性ガス供給系は、必ずしも備えている必要はなく、パージガス供給系245で代用することも考えられる。
【0141】
(接続管(分岐管))
共通ガス供給管242に接続される接続管249aは、少なくとも、クリーニングガス供給系248におけるRPU248eよりもガス供給方向下流側で、共通ガス供給管242に接続される。なお、接続管249aは、共通ガス供給管242から分岐した分岐管とも考えることができる。
【0142】
さらに、接続管249aは、少なくとも、処理ガス供給系の共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向上流側で、共通ガス供給管242に接続される。ここでいう処理ガス供給系には、原料ガス供給系243と反応ガス供給系244の両方が相当する。したがって、接続管249aは、原料ガス供給系243における第一ガス供給管243aの共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向上流側で、かつ、反応ガス供給系244における第二ガス供給管244aの共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向上流側で、共通ガス供給管242に接続されることになる。
【0143】
(基板処理工程)
次いで、第二の実施形態に係る基板処理装置102が行う基板処理工程について説明する。
【0144】
基板処理装置102においても、上述した第一の実施形態の場合と同様に、原料ガス供給工程(S201)、パージ工程(S202)、反応ガス供給工程(S203)、パージ工程(S204)を1サイクルとして、この処理サイクルを所定回数(nサイクル)実施することで、ウエハ200上に所望膜厚の窒化チタン(TiN)膜を形成する(
図3参照)。
【0145】
このような処理サイクルにおいて、原料ガス供給工程(S201)では、原料ガス供給系243から共通ガス供給管242へ原料ガス(TiCl
4ガス)を供給し、反応ガス供給工程(S203)では、反応ガス供給系244から共通ガス供給管242へ反応ガス(NH
3ガス)を供給する。このとき、共通ガス供給管242には、原料ガス供給系243や反応ガス供給系244等のみならず、クリーニングガス補助供給系249を構成する接続管249aも接続している。そのため、クリーニングガス補助供給系249におけるバルブ249bが閉状態であっても、処理サイクルを繰り返し行うと、接続管249aの内部やバルブ249bの設置箇所等にまで、原料ガス(TiCl
4ガス)又は反応ガス(NH
3ガス)が流れ込んでしまうという事態が生じてしまうことが考えられる。
【0146】
ところが、第二の実施形態に係る基板処理装置102では、原料ガス供給系243及び反応ガス供給系244の共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向上流側で、接続管249aが共通ガス供給管242に接続されている。そのため、処理サイクルを繰り返し行っても、接続管249aの内部やバルブ249bの設置箇所等に原料ガス(TiCl
4ガス)又は反応ガス(NH
3ガス)が流れ込んでしまうことがなく、接続管249aやバルブ249b等への不要な膜付着を抑制することができる。
【0147】
(クリーニング工程)
次いで、第二の実施形態に係る基板処理装置102が行うクリーニング工程について説明する。
【0148】
基板処理装置102においては、クリーニング工程(
図2におけるS105参照)に際して、クリーニングガス供給系248のバルブ248dを開き、クリーニングガス供給源248bからのクリーニングガスをクリーニングガス供給管248aへ供給する。そして、クリーニングガス供給管248aへ供給されたクリーニングガスは、RPU248eを介して、共通ガス供給管242へ供給される。このとき、クリーニングガスは、RPU248eによってプラズマ励起されて、プラズマ化された状態となる。
【0149】
プラズマ状態のクリーニングガスは、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。このとき、RPU248eよりもガス供給方向下流側では、接続管249aが共通ガス供給管242に接続されている。したがって、クリーニングガス補助供給系249におけるバルブ249bが開状態であれば(上述した第一の実施形態における第一具体例の場合、又は、第二具体例若しくは第一具体例で行う第二クリーニング処理の場合)、シャワーヘッド230内には、接続管249a及び第二排気管262を介して、プラズマ状態のクリーニングガスが供給されることになる。
【0150】
このように、第二の実施形態に係る基板処理装置102では、シャワーヘッド230内にプラズマ励起されたクリーニングガスを供給する。そのため、プラズマ励起していないクリーニングガスを供給する場合に比べると、シャワーヘッド230内に対するクリーニング効率が向上する。
【0151】
しかも、シャワーヘッド230内においては、プラズマ励起されたクリーニングガスが、共通ガス供給管242が接続される箇所の近傍のみならず、第二排気管262が接続される箇所の近傍にも積極的に供給される。そのため、第二排気管262が接続される箇所の近傍に対しては、プラズマ状態のクリーニングガスを失活することなく到達させることが可能となる。つまり、共通ガス供給管242のみならず接続管249a及び第二排気管262をも利用してプラズマ励起されたクリーニングガスを供給することで、そのクリーニングガスが失活する前に、シャワーヘッド230内の上部(特に膜付着し易い第二排気管262の接続箇所近傍)にも到達することになる。
【0152】
(実施形態にかかる効果)
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
【0153】
(j)本実施形態によれば、クリーニングガス供給系248がRPU248eを備えており、そのRPU248eがクリーニングガスをプラズマ励起するので、プラズマ励起していないクリーニングガスを供給する場合に比べると、シャワーヘッド230内に対するクリーニング効率が向上する。
【0154】
(k)また、本実施形態によれば、RPU248eよりも共通ガス供給管242におけるガス供給方向下流側にて、接続管249aが共通ガス供給管242に接続されるので、その接続管249a及び第二排気管262を利用してシャワーヘッド230内にプラズマ励起されたクリーニングガスを供給することが可能となる。そのため、シャワーヘッド230内における第二排気管262の接続箇所近傍に対しても、プラズマ状態のクリーニングガスを失活することなく到達させ得るようになる。つまり、単にシャワーヘッド230内にプラズマ状態のクリーニングガスを供給するだけに留まらず、そのプラズマ状態のクリーニングガスが失活する前に、シャワーヘッド230の内部の所望箇所、特に膜付着がし易く、かつ、クリーニングし難い箇所に対して、到達させることができる。このように、クリーニングガスのプラズマ励起と、接続管249a及び第二排気管262を利用したシャワーヘッド230内へのクリーニングガス供給とを組み合わせて行えば、プラズマ状態のクリーニングガスを失活することなくシャワーヘッド230内の所望箇所へ到達させ得るので、その結果として非常に顕著なクリーニング効率の向上が期待できる。
【0155】
(l)また、本実施形態によれば、原料ガス供給系243及び反応ガス供給系244の共通ガス供給管242への接続箇所よりもガス供給方向上流側で、接続管249aが共通ガス供給管242に接続されるので、処理サイクルを繰り返し行っても、接続管249aやバルブ249b等への不要な膜付着を抑制することができる。
【0156】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0157】
例えば、第一の実施形態ではクリーニングガス供給源248bからプラズマ化していない状態のクリーニングガスをシャワーヘッド230内へ供給するのに対して、第二の実施形態ではクリーニングガス供給源248bからのクリーニングガスをRPU248eがプラズマ化した後にシャワーヘッド230内へ供給する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、第二の実施形態の場合においても、クリーニングガスがシャワーヘッド230、処理空間201を満たしたら、高周波電源252で電力を印加すると共に整合器251によりインピーダンスを整合させ、シャワーヘッド230、処理空間201にクリーニングガスのプラズマを生成するようにしても構わない。また、第一の実施形態において、必ずしもクリーニングガスをプラズマ励起しなくてもよい。
【0158】
例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置100,102が行う処理として成膜処理を例にあげたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理の他、酸化膜、窒化膜を形成する処理、金属を含む膜を形成する処理であってもよい。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、酸化処理、窒化処理、拡散処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理にも好適に適用できる。さらに、本発明は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも好適に適用できる。また、本発明は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0159】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0160】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
ガス分散機構としてのシャワーヘッドを介して処理空間にガスを供給し当該処理空間内の基板を処理する基板処理装置であって、
前記シャワーヘッドに接続されるガス供給管と、
前記シャワーヘッドに接続されるガス排気管と、
前記ガス供給管と前記ガス排気管とに接続され、前記ガス供給管と前記ガス排気管との両方から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給するクリーニングガス供給系と、
を備えた基板処理装置が提供される。
【0161】
[付記2]
好ましくは、
前記ガス供給管と前記ガス排気管とを接続する接続管を備え、
前記クリーニングガス供給系は、前記接続管よりも前記ガス供給管におけるガス供給方向上流側にて当該ガス供給管に接続される
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0162】
[付記3]
好ましくは、
前記接続管の前記ガス排気管への接続箇所よりも当該ガス排気管のガス排気方向下流側に設けられて当該ガス排気管のガス流路開閉を行う第一のバルブと、
前記接続管に設けられて当該接続管のガス流路開閉を行う第二のバルブと、を備える
付記2に記載の基板処理装置が提供される。
【0163】
[付記4]
好ましくは、
前記クリーニングガス供給系が前記ガス供給管内に供給したクリーニングガスをプラズマ励起するプラズマユニットを備えるとともに、
前記接続管は、前記プラズマユニットよりも前記ガス供給管におけるガス供給方向下流側にて当該ガス供給管に接続される
付記2又は3記載の基板処理装置が提供される。
【0164】
[付記5]
好ましくは、
前記ガス供給管に接続され当該ガス供給管内に前記基板を処理する処理ガスを供給する処理ガス供給系を備えるとともに、
前記接続管は、前記処理ガス供給系の前記ガス供給管への接続箇所よりもガス供給方向上流側で当該ガス供給管に接続される
付記2から4のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0165】
[付記6]
好ましくは、
前記ガス排気管は、前記シャワーヘッドとの接続箇所形状が前記ガス供給管の管外周を囲む環状に形成されている
付記1から5のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0166】
[付記7]
好ましくは、
前記ガス排気管は、前記シャワーヘッドとの接続箇所が前記ガス供給管の周囲に配置される複数本の管路によって構成されている
付記1から5のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0167】
[付記8]
好ましくは、
前記クリーニングガス供給系による前記ガス供給管内へのクリーニングガス供給動作、前記第一のバルブによる前記ガス排気管のガス流路開閉動作、及び、前記第二のバルブによる前記接続管のガス流路開閉動作を制御するコントローラを備えるとともに、
前記コントローラは、前記第二のバルブを閉じて前記クリーニングガス供給系からのクリーニングガスを前記ガス供給管から前記シャワーヘッド内へ供給する第一クリーニング処理と、前記第一のバルブを閉じ前記第二のバルブを開けて前記クリーニングガス供給系からのクリーニングガスを前記ガス供給管及び前記ガス排気管の両方から前記シャワーヘッド内へ供給する第二クリーニング処理とを行う
付記3から7のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0168】
[付記9]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第一クリーニング処理と前記第二クリーニング処理との実行頻度を相違させる
付記8に記載の基板処理装置が提供される。
【0169】
[付記10]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第一クリーニング処理を所定回数行うと前記第二クリーニング処理を行う
付記8又は9記載の基板処理装置が提供される。
【0170】
[付記11]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第一クリーニング処理を所定時間行った後に前記第二クリーニング処理を開始する
付記8から10のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0171】
[付記12]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第一クリーニング処理を行う場合と前記第二クリーニング処理を行う場合とで、前記クリーニングガス供給系から供給するクリーニングガスの流量を相違させる
付記8から11のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0172】
[付記13]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第二のバルブを開ける際の開度調整を行う
付記8から12のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0173】
[付記14]
好ましくは、
前記コントローラは、前記第二クリーニング処理を行う場合に前記第一のバルブを所定開度開ける
付記8から13のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0174】
[付記15]
本発明の他の一態様によれば、
ガス分散機構としてのシャワーヘッドを介して処理空間にガスを供給し当該処理空間内の基板を処理する基板処理工程と、
前記シャワーヘッド内へのガス供給のために当該シャワーヘッドに接続されるガス供給管と、当該シャワーヘッド内からのガス排気のために当該シャワーヘッドに接続されるガス排気管との両方から、当該シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給するクリーニング工程と、
を備えた半導体装置の製造方法が提供される。
【0175】
[付記16]
好ましくは、
前記クリーニング工程では、前記ガス供給管から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第一クリーニング処理と、前記ガス供給管と前記ガス排気管との両方から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第二クリーニング処理とを、選択的に行う
付記15に記載の半導体装置の製造方法が提供される。
【0176】
[付記17]
本発明の他の一態様によれば、
ガス分散機構としてのシャワーヘッドを介して処理空間にガスを供給し当該処理空間内の基板を処理する基板処理手順と、
前記シャワーヘッド内へのガス供給のために当該シャワーヘッドに接続されるガス供給管と、当該シャワーヘッド内からのガス排気のために当該シャワーヘッドに接続されるガス排気管との両方から、当該シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給するクリーニング手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0177】
[付記18]
好ましくは、
前記クリーニング手順では、前記ガス供給管から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第一クリーニング処理と、前記ガス供給管と前記ガス排気管との両方から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第二クリーニング処理とを、選択的に行う
付記17に記載のプログラムが提供される。
【0178】
[付記19]
本発明の他の一態様によれば、
ガス分散機構としてのシャワーヘッドを介して処理空間にガスを供給し当該処理空間内の基板を処理する基板処理手順と、
前記シャワーヘッド内へのガス供給のために当該シャワーヘッドに接続されるガス供給管と、当該シャワーヘッド内からのガス排気のために当該シャワーヘッドに接続されるガス排気管との両方から、当該シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給するクリーニング手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0179】
[付記20]
好ましくは、
前記クリーニング手順では、前記ガス供給管から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第一クリーニング処理と、前記ガス供給管と前記ガス排気管との両方から前記シャワーヘッド内にクリーニングガスを供給する第二クリーニング処理とを、選択的に行う
付記17に記載のプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。