(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベッドと、前記ベッド上に設けられたサドルと、前記サドル上に設けられた主軸頭と、回転可能に前記主軸頭に支持され、前端部に工具を保持する主軸と、前記サドルより前方の前記ベッド上に、前記ベッドの左右方向であるX軸方向に間隔を空けて立設された左右一対のコラムと、鉛直なY軸に沿って移動可能に、前記一対のコラムの前面に支持されたテーブルとを備えた工作機械に付設され、前記テーブル上に載置されたワークの搬出と、前記テーブル上へのワークの搬入を行うワーク着脱装置であって、
前記テーブルの前方に、前記X軸に沿って配設された案内機構と、
前記案内機構より後方の、前記テーブルの左右両側にそれぞれ配設された第1及び第2載置台と、
前記案内機構に案内され、前記X軸に沿って移動する搬送機構とを備え、
前記搬送機構は、
前記案内機構に係合し、前記X軸に沿って移動可能に設けられた基台と、
前記基台を前記X軸方向に沿って移動させる直線駆動部と、
開閉可能に設けられ、その先端側が前記テーブル側に位置するように配設された一対の把持アームと、
前記把持アームを開閉させる把持駆動部と、
前記基台上で前記把持アームを支持するとともに、前記把持アームを、その先端部が下方の下方位置と、上方の上方位置との間で揺動するように旋回移動させる旋回駆動部とを備え、
前記把持アームは、前記直線駆動部により前記X軸方向に沿って移動して、前記テーブル、前記第1載置台及び前記第2載置台の上方にそれぞれ経由可能に構成されてなり、
前記搬送機構は、前記テーブル上に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記第2載置台に搬出する動作と、前記第1載置台に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記テーブル上に搬入する動作とを実行するように構成されていることを特徴とするワーク着脱装置。
前記把持アームが前記直線駆動部により前記X軸方向に沿って移動する際、該把持アームの先端部は、前記下方位置と前記上方位置との間の中間位置に位置決めされた状態であることを特徴とするワーク着脱装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、工作機械の分野では、その設置スペース上の制約や、搬送等のハンドリング時間を含めた全体の加工時間の短縮化を目的として、周辺装置を含めた機械全体のコンパクト化が求められている。
【0008】
ところが、上述した特許文献1の工作機械では、自動的にワークを搬送してワークキャリッジに保持させる態様を実現すべく、ワークをワークキャリアに取り付けて搬送する態様を採用したため、ハンドリング対象物の全体的な大きさとしては、ワークにワークキャリアを加えた大きさとなり、ワークのみを搬送する態様に比べて、ローラコンベアの大きさや、ワークキャリッジの大きさを大きくする必要があり、また、スタンドと加工ユニットとの間の間隔も広くする必要があるため、装置全体の大きさが過大となって、その設置スペースに広いスペースを要するという問題があった。
【0009】
また、ワークキャリッジは、上下に動作することによってワークキャリアを保持するように構成されているので、ワークキャリッジの可動領域は、加工のために必要なストローク以上の領域が必要であり、このため、これに応じて前記スタンドの高さを高くする必要があり、この面からも、装置全体の大きさが過大になる。
【0010】
また、ワークキャリッジが大きくなると、そのイナーシャが大きくなるため、当該ワークキャリッジを垂直方向に移動させる移動速度を速めることができず、このため加工時間が長くなるという問題がある。また、ワークキャリッジと加工ユニットの間の間隔が広くなることによって、加工の際に、加工ユニット内の主軸を必要以上に動作させる必要があり、これによっても、加工時間が長くなる。
【0011】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、従来に比べて、工作機械を含めた全体としての大きさをコンパクトにすることができ、また、工作機械における加工時間に影響を与えることが無い、ワーク着脱装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明は、
ベッドと、前記ベッド上に設けられたサドルと、前記サドル上に設けられた主軸頭と、回転可能に前記主軸頭に支持され、前端部に工具を保持する主軸と、前記サドルより前方の前記ベッド上に、前記ベッドの左右方向であるX軸方向に間隔を空けて立設された左右一対のコラムと、鉛直なY軸に沿って移動可能に、前記一対のコラムの前面に支持されたテーブルとを備えた工作機械に付設され、前記テーブル上に載置されたワークの搬出と、前記テーブル上へのワークの搬入を行うワーク着脱装置であって、
前記テーブルの前方に、前記X軸に沿って配設された案内機構と、
前記案内機構より後方の、前記テーブルの左右両側にそれぞれ配設された第1及び第2載置台と、
前記案内機構に案内され、前記X軸に沿って移動する搬送機構とを備え、
前記搬送機構は、
前記案内機構に係合し、前記X軸に沿って移動可能に設けられた基台と、
前記基台を前記X軸方向に沿って移動させる直線駆動部と、
開閉可能に設けられ、その先端側が前記テーブル側に位置するように配設された一対の把持アームと、
前記把持アームを開閉させる把持駆動部と、
前記基台上で前記把持アームを支持するとともに、前記把持アームを、その先端部が下方の下方位置と、上方の上方位置との間で揺動するように旋回移動させる旋回駆動部とを備え、
前記把持アームは、前記直線駆動部により前記X軸方向に沿って移動して、前記テーブル、前記第1載置台及び前記第2載置台の上方にそれぞれ経由可能に構成されてなり、
前記搬送機構は、前記テーブル上に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記第2載置台に搬出する動作と、前記第1載置台に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記テーブル上に搬入する動作とを実行するように構成されたワーク着脱装置に係る。
【0013】
上述のように、本発明に係るワーク着脱装置は、主軸が水平に設けられる横形の工作機械であって、テーブルが鉛直なY軸に沿って移動可能に設けられた工作機械に付設され、その前記搬送機構の動作によって、テーブル上に載置されたワークの搬出と、前記テーブル上へのワークの搬入を行う。
【0014】
具体的には、前記搬送機構は、前記直線駆動部により駆動され、案内機構上を前記X軸に沿って移動して、第1載置台、テーブル、第2載置台の前方にそれぞれ位置決めされる。また、前記一対の把持アームは、前記把持駆動部により駆動され、開閉して、ワークの把持と解除を行うとともに、前記旋回駆動部により駆動されて、前記上方位置と下方位置との間で旋回移動する。
【0015】
そして、前記搬送機構は、これらの動作の組み合わせによって、前記テーブル上に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記第2載置台に搬出する動作と、前記第1載置台に載置されたワークを前記把持アームにより把持して前記テーブル上に搬入する動作とを実行する。尚、具体的な動作の態様は、後に詳しく説明する。
【0016】
斯くして、このワーク着脱装置によれば、工作機械の外側に、これに隣接して設けられているので、当該ワーク着脱装置を設けることによって、従来のように、工作機械自体の大きさを過大にする必要がなく、その設置スペースも従来のように広いスペースを要することはない。また、本発明の搬送機構は、ワークを直接把持して搬送する構成であるので、ワークをワークキャリアに取り付けた状態で搬送する従来に比べて、ワーク着脱装置自体の大きさをコンパクトにすることができ、この面でも、従来のように広いスペースを要することはない。
【0017】
また、工作機械に隣接してその外側に設けた構成としたので、工作機械は、ワーク着脱装置の構成に何ら影響を受けることなく、最適な構成を採用することできる。したがって、当該工作機械は、従来とは異なり、ワーク着脱装置の影響を受けることなく、ワークを最適な時間で加工することができる。
【0018】
尚、本発明において、前記把持アームが前記直線駆動部により前記X軸方向に沿って移動する際、該把持アームの先端部は、前記下方位置と前記上方位置との間の中間位置に位置決めされた状態であっても良い。
【0019】
また、本発明では、第1及び第2の2つの前記搬送機構を備えていても良い。
この場合、前記第2搬送機構は、前記テーブル上に載置されたワークを、該第2搬送機構の把持アームにより把持して前記第2載置台上に搬出する動作を実行し、
前記第1搬送機構は、前記第1載置台に載置されたワークを、該第1搬送機構の把持アームにより把持して前記テーブル上に搬入する動作を実行するように構成される。
【0020】
このようにすれば、第2搬送機構によるワーク搬出動作と、第1搬送機構によるワーク搬入動作とを、同時並行的に行うことができ、ワークの搬出と搬入に要する時間を短縮することができる。
【0021】
また、前記第1及び第2載置台は、前記ワークが載置されるワーク受部を昇降可能に構成されていても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のワーク着脱装置によれば、これを工作機械の外側に隣接して設けているので、従来のように、工作機械自体の大きさを過大にする必要がなく、その設置スペースも従来のように広いスペースを要しない。また、その搬送機構は、ワークを直接把持して搬送する構成であるので、ワークをワークキャリアに取り付けた状態で搬送する従来に比べて、ワーク着脱装置自体の大きさをコンパクトにすることができ、この面でも、従来のように広いスペースを要することはない。
【0023】
更に、工作機械は、ワーク着脱装置の構成に何ら影響を受けることなく、最適な構成を採用することでき、したがって、当該工作機械は、従来とは異なり、ワーク着脱装置の影響を受けることなく、ワークを最適な時間で加工することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る、工作機械にワーク着脱装置を付設した加工システムを示す斜視図であり、
図2は、本例の搬送機構を示した斜視図である。
【0026】
図1に示すように、本例の加工システム1は、横形の工作機械2と、その前方に配設されたワーク着脱装置10から構成される。以下、各部について説明する。
【0027】
[工作機械]
まず、工作機械2の概要について説明する。
図1に示すように、この工作機械2は、ベッド3と、水平なX軸に沿って移動可能に、前記ベッド3上に設けられたサドル(図示せず)と、前記X軸と直交する水平なZ軸に沿って移動可能に、前記サドル(図示せず)上に設けられた主軸頭(図示せず)と、前記Z軸と平行な軸線を中心に回転可能に前記主軸頭(図示せず)に支持され、前端部に工具を保持する主軸(図示せず)と、前記サドル(図示せず)より前方の前記ベッド3上に、前記X軸方向に間隔を空けて立設された左右一対のコラム4,4と、前記X軸及びZ軸の双方に直交する鉛直なY軸に沿って移動可能に、前記一対のコラム4,4の前面に設けられたテーブル支持機構5と、このテーブル支持機構5に支持されるテーブル6とを備えて構成される。
【0028】
前記テーブル支持機構5は、正面視U字形状をした支持機構で、その底辺部分において前記テーブル6を支持するとともに、その両側部がそれぞれ前記コラム4,4の前面に支持されて、前記Y軸に沿って移動するようになっている。また、このテーブル支持機構5は、支持したテーブル6を前記X軸に沿った軸を中心として揺動させることができるようになっている(この移動軸をB軸という)。
【0029】
前記テーブル6は、基部7と、ワークが載置される載置面を有するワーク受部8を備えており(
図3(a)参照)、このワーク受部8を、その載置面と直交する軸を中心として回転させることができ(この移動軸をC軸という)、また、油圧シリンダなどの適宜アクチュエータによって前記ワーク受部8を前記Y軸に沿って昇降させることができるようになっている。
【0030】
斯くして、この工作機械2では、テーブル6のワーク受部8上にワークを載置,固定し、工具を保持した主軸(図示せず)をその軸線中心に回転させた状態で、テーブル6と主軸(図示せず)とを、前記X軸,Y軸及びZ軸の直交3軸方向に相対的に移動させ、また、前記B軸及びC軸方向に移動させることで、当該ワークが加工される。尚、この工作機械2は所謂「5軸加工機」と称される。
【0031】
[ワーク着脱装置]
次に、前記ワーク着脱装置10の構成について説明する。
図1に示すように、本例のワーク着脱装置10は、前記テーブル支持機構5及びテーブル6の前方に、前記X軸に沿って配設された案内機構11と、前記案内機構11より後方の、前記テーブル支持機構5の左右両側にそれぞれ配設された第1載置台40及び第2載置台50と、前記案内機構11に案内され、前記X軸に沿って移動する第1搬送機構20及び第2搬送機構30とを備える。
【0032】
前記案内機構11は、前記X軸に沿って配設されるガイドベース13と、このガイドベース13を支持する支持フレーム12と、ガイドベース13上に前記X軸に沿って平行に配設された一対のガイドレール14,14とからなる。
【0033】
前記第1搬送機構20及び第2搬送機構30は、前記案内機構11上に、これに沿って一列に配設される。尚、これら第1搬送機構20及び第2搬送機構30は、同じ構成を備えているので、当該構成については、第1搬送機構20を代表として、
図1及び
図2に基づいて説明することとし、第2搬送機構30における同じ構成部分については、括弧書きでその符号を記すこととする。
【0034】
前記第1搬送機構20(30)は、基台21(31)、この基台21(31)上に立設された一対のブラケット22,22(32,32)、旋回アーム23,23(33,33)及び把持アーム25,25(35,35)などを備えている。
【0035】
前記基台21(31)は、その下面に前記ガイドレール14,14と係合するスライダ(図示せず)が固設されており、前記X軸に沿って移動自在に設けられている。前記ブラケット22,22(32,32)には、前記旋回アーム23,23(33,33)が矢示A方向に旋回自在に支持され、この旋回アーム23,23(33,33)の先端部は連結プレート24(34)によって連結されている。また、この連結プレート24(34)には、開閉機構29(39)が配設され、この開閉機構29(39)の両側部にそれぞれ前記把持アーム25,25(35,35)が連結されている。
【0036】
また、前記基台21(31)の上面には、サーボモータ26(36)が配設され、その出力軸は当該基台21(31)を貫通してその下面側に突出しており、当該出力軸の先端部にピニオンギア(図示せず)が取り付けられている。また、このピニオンギア(図示せず)は、前記ガイドベース13上に、前記ガイドレール14,14に沿って配設されたラック15と噛合している。
【0037】
前記旋回アーム23,23(33,33)は、その一方にサーボモータ27(37)の出力軸が連結されており、このサーボモータ27(37)により駆動されて、旋回アーム23,23(33,33)及び連結プレート24(34)から構成される構造体が矢示A方向に旋回する。
【0038】
また、前記開閉機構29(39)は、一対のラックと、その間に配設されるピニオンギアの組み合わせからなる機構であり、一対のラックの端部にそれぞれ前記把持アーム25,25(35,35)が固設されている。また、ピニオンギアは、前記連結プレート24(34)の下面に固設されたサーボモータ28(38)の出力軸に連結されており、このピニオンギアがサーボモータ28(38)によって駆動されることで、把持アーム25,25(35,35)が開閉する。
【0039】
斯くして、この第1搬送機構20(30)によれば、前記サーボモータ26(36)を駆動することにより、その出力軸に取り付けられたピニオンギア(図示せず)とラック15との噛合関係によって、基台21(31)がガイドレール14,14に案内されて、全体として前記X軸に沿って移動する。
【0040】
また、サーボモータ27(37)を駆動することにより、旋回アーム23,23(33,33)及びこれに連結される把持アーム25,25(35,35)が矢示A方向に旋回移動して、把持アーム25,25(35,35)の先端部(把持部)25a(35a)が、上方に設定された上方位置と、下方に設定された下方位置とに位置決めされる。また、サーボモータ28(38)により開閉機構29(39)を駆動することで、把持アーム25,25(35,35)が開閉される。尚、第1搬送機構20(30)は、把持アーム5,25(35,35)の把持部25a(35a)が工作機械2の側に向くように配設されている。
【0041】
このように、第1搬送機構20(30)では、前記サーボモータ26(36)、ピニオンギア(図示せず)及びラック15が直線駆動部を構成し、サーボモータ27(37)が旋回駆動部を構成する。また、前記サーボモータ28(38)及び開閉機構29(39)が把持駆動部を構成する。
【0042】
前記第1載置台40及び第2載置台50も同様の構成を備えており、
図3及び
図9に示すように、それぞれ基台41,51及びワークWが載置されるワーク受部42,52を備えており、このワーク受部42,52を油圧シリンダなどの適宜アクチュエータによって昇降できるようになっている。
【0043】
次に、以上の構成を備えた加工システム1におけるワーク着脱動作について説明する。尚、第1搬送機構20は、第1載置台40の前方位置とテーブル6の前方位置との間でX軸に沿って往復動し、第2搬送機構30は、テーブル6の前方位置と第2載置台50の前方位置との間でX軸に沿って往復動するものとする。また、テーブル6のワーク受部8には、加工完了後のワークWが載置され、第1載置台40のワーク受部42上には、未加工のワークWが適宜載置され、第2載置台50のワーク受部52上には、ワークWが載置されていないものとする。
【0044】
[動作例I]
まず、動作例Iについて、
図3〜
図10に従って説明する。
図3〜
図6は第1搬送機構20の動作を示し、
図7〜
図10は第2搬送機構30の動作を示しているが、これら第1搬送機構20及び第2搬送機構30は、同時並行的に動作する。また、初期状態において、第1搬送機構20は第1載置台40の前方に位置し、第2搬送機構30はテーブル6の前方に位置しており、各把持アーム25,25及び35,35はそれぞれ前記上方位置にあって、開状態となっているものとする。また、第1載置台40のワーク受部42、第2載置台50のワーク受部52及びテーブル6のワーク受部8は、それぞれ上昇位置に位置し、その上面の高さは同じ高さとなっている。尚、
図3〜
図10において、それぞれ(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【0045】
前記第1搬送機構20は、まず、
図3に示すように、把持アーム25,25を下方に向けて旋回させて前記下方位置に位置決めした後(
図3(b)の動作1)、この把持アーム25,25を閉じる(
図3(a)の動作2)。尚、この下方位置は、把持アーム25,25がワーク受部42上のワークWを把持可能な位置であり、これらがほぼ水平となる位置である。以上により、ワーク受部42上のワークWが把持アーム25,25によって把持される。
【0046】
次に、第1搬送機構20は、把持アーム25,25を上方に旋回移動させて、前記上方位置よりも下方の中間位置に位置決めした後(
図4(b)の動作3)、X軸に沿って移動して、テーブル6の前方に位置する(
図4(a)の動作4)。尚、この中間位置は、第1搬送機構20がX軸に沿って移動した際に、把持アーム25,25が第1載置台40のワーク受部42や、テーブル6のワーク受部8と干渉しない高さ位置である。また、
図4(a)の動作4を実行するとき、第2搬送機構30は、後述する動作によって、テーブル6のワーク受部8上のワークWを把持して、第2載置台50の前方に移動している。
【0047】
次に、第1搬送機構20は、把持アーム25,25を下方に旋回移動させて、前記下方位置に位置決めした後(
図5(b)の動作5)、把持アーム25,25を開く(
図5(a)の動作6)。これにより、未加工のワークWがテーブル6のワーク受部8上に載置される。ついで、第1搬送機構20は、把持アーム25,25を上方に旋回移動させて、前記上方位置に位置決めした後(
図6(b)の動作7)、X軸に沿って移動して、第1載置台40の前方に位置し、初期状態に戻る(
図6(a)の動作8)。
【0048】
一方、第2搬送機構30は、まず、
図7に示すように、把持アーム35,35を下方に向けて旋回させて前記下方位置に位置決めした後(
図7(b)の動作1)、この把持アーム35,35を閉じる(
図7(a)の動作2)。尚、この下方位置は、把持アーム35,35がテーブル6のワーク受部8上のワークWを把持可能な位置であり、これらがほぼ水平となる位置である。以上により、ワーク受部8上のワークWが把持アーム35,35によって把持される。
【0049】
次に、第2搬送機構30は、把持アーム35,35を上方に旋回移動させて、前記上方位置よりも下方の中間位置に位置決めして、加工済みのワークWをワーク受部8から取り外した後(
図8(b)の動作3)、X軸に沿って移動して、第2載置台50の前方に位置する(
図8(a)の動作4)。尚、この中間位置は、第2搬送機構30がX軸に沿って移動した際に、把持アーム35,35がテーブル6のワーク受部8や、第2載置台50のワーク受部52と干渉しない高さ位置である。
【0050】
次に、第2搬送機構30は、把持アーム35,35を下方に旋回移動させて、前記下方位置に位置決めした後(
図9(b)の動作5)、把持アーム35,35を開く(
図9(a)の動作6)。これにより、加工済みワークWが第2載置台50のワーク受部52上に載置される。ついで、第2搬送機構30は、把持アーム35,35を上方に旋回移動させて、前記上方位置に位置決めした後(
図10(b)の動作7)、X軸に沿って移動して、テーブル6の前方に位置し、初期状態に戻る(
図10(a)の動作8)。
【0051】
以上の第1搬送機構20及び第2搬送機構30の並行した動作により、前記ワーク受部8(テーブル6)上の加工済みワークWの取り出しと、当該ワーク受部8への未加工ワークWの搬入とが行われる。
【0052】
この動作例Iでは、比較的動作に時間を要するワーク受部8、ワーク受部42及びワーク受部52の昇降を行わないので、ワーク受部8に対するワークWの着脱を、後述する動作例IIに比べて短時間で行うことができる。
【0053】
尚、このように、ワーク受部8、ワーク受部42及びワーク受部52を昇降させない場合、当然のことながら、前記テーブル6、第1載置台40及び第2載置台50は、前記アクチュエータを特に備えている必要はなく、このようにすることで、これらの製造コストの削減を図ることができる。
【0054】
その際、前記ワーク受部8、ワーク受部42及びワーク受部52の高さは、それぞれ前記上方位置にある必要は無く、前記把持アーム25,25及び35,35がほぼ水平となる下方位置と同じとなる高さであればよい。例えば、前記ワーク受部8、ワーク受部42及びワーク受部52の高さは、それぞれ後述する降下位置にあってもよい。ただしその場合、前記把持アーム25,25及び35,35の前記中間位置は、正面視U字形状をした前記テーブル支持機構5と干渉しない高さ位置である。
【0055】
その一方、前記ワーク受部8、ワーク受部42及びワーク受部52のいずれかを昇降させる必要がある場合、例えば、第1搬送機構20の
図3(b)に示した動作1において、これと同時に、ワーク受部42を破線で示す位置から上昇させる動作を行っても良く、
図4(b)の動作3において、これと同時に、ワーク受部42を破線で示す位置に降下させる動作を行っても良い。
【0056】
また、
図5(b)の動作5において、これより前に、ワーク受部8を破線で示す位置から上昇させる動作を行っても良く、
図6(b)の動作7において、これと同時に、ワーク受部8を破線で示す位置に降下させる動作を行っても良い。
【0057】
また、第2搬送機構30の
図7(b)に示した動作1において、これと同時に、ワーク受部8を破線で示す位置から上昇させる動作を行っても良く、
図8(b)の動作3において、これと同時に、ワーク受部8を破線で示す位置に降下させる動作を行っても良い。
【0058】
また、
図9(b)の動作5において、これより前に、ワーク受部52を破線で示す位置から上昇させる動作を行っても良く、
図10(b)の動作7において、これと同時に、ワーク受部52を破線で示す位置に降下させる動作を行っても良い。
【0059】
[動作例II]
次に、動作例IIについて、
図11〜
図18に従って説明する。
図11〜
図14は第1搬送機構20の動作を示し、
図15〜
図18は第2搬送機構30の動作を示しているが、これら第1搬送機構20及び第2搬送機構30は、同時並行的に動作する。また、初期状態において、第1搬送機構20は、第1載置台40の前方に位置し、第2搬送機構30は、テーブル6の前方に位置しており、各把持アーム25,25及び35,35はそれぞれ前記上方位置にあって、開状態となっているものとする。また、第1載置台40のワーク受部42、第2載置台50のワーク受部52及びテーブル6のワーク受部8は、それぞれ降下位置に位置しているものとし、上昇位置に上昇したときの上面の高さは同じ高さとなる。尚、
図11〜
図18において、それぞれ(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【0060】
前記第1搬送機構20は、まず、
図11に示すように、第1載置台40のワーク受部42を上昇位置に移動させ(
図11(b)の動作1)、ついで、把持アーム25,25を下方に向けて旋回させて前記下方位置に位置決めした後(
図11(b)の動作2)、この把持アーム25,25を閉じる(
図11(a)の動作3)。尚、この把持アーム25,25の下方位置は、上昇位置にあるワーク受部42上のワークWを把持アーム25,25が把持可能な位置であり、これらがほぼ水平となる位置である。以上により、ワーク受部42上のワークWが把持アーム25,25によって把持される。
【0061】
次に、第1載置台40のワーク受部42を降下位置に移動させた後(
図12(b)の動作4)、第1搬送機構20を、X軸に沿って移動させて、テーブル6の前方に位置させる(
図12(a)の動作5)。尚、第1搬送機構20が、
図12(a)の動作5を実行するとき、第2搬送機構30は、後述する動作によって、テーブル6のワーク受部8上のワークWを把持して、第2載置台50の前方に移動している。
【0062】
次に、テーブル6のワーク受部8を上昇位置に上昇させた後(
図13(b)の動作6)、第1搬送機構20の把持アーム25,25を開く(
図13(a)の動作7)。これにより、未加工のワークWがテーブル6のワーク受部8上に載置される。ついで、第1搬送機構20の把持アーム25,25を上方に旋回移動させて、前記上方位置に位置決めした後(
図14(b)の動作8)、X軸に沿って移動させて、第1載置台40の前方に位置させ、初期状態に戻す(
図14(a)の動作9)。
【0063】
一方、第2搬送機構30は、まず、
図15に示すように、テーブル6のワーク受部8を上昇位置に移動させ、(
図15(b)の動作1)、ついで、把持アーム35,35を下方に向け旋回させて前記下方位置に位置決めした後(
図15(b)の動作2)、この把持アーム35,35を閉じる(
図15(a)の動作3)。尚、この下方位置は、把持アーム35,35がテーブル6のワーク受部8上のワークWを把持可能な位置であり、これらがほぼ水平となる位置である。以上により、ワーク受部8上のワークWが把持アーム35,35によって把持される。
【0064】
次に、テーブル6のワーク受部8を降下位置に移動させた後(
図16(b)の動作4)、第2搬送機構30を、X軸に沿って移動させて、第2載置台50の前方に位置させる(
図16(a)の動作5)。
【0065】
次に、第2載置台50のワーク受部52を上昇位置に上昇させた後(
図17(b)の動作6)、第2搬送機構30の把持アーム35,35を開く(
図17(a)の動作7)。これにより、加工済みのワークWが第2載置台50のワーク受部52上に載置される。ついで、第2搬送機構30の把持アーム35,35を上方に旋回移動させて、前記上方位置に位置決めした後(
図18(b)の動作8)、X軸に沿って移動させて、テーブル6の前方に位置させ、初期状態に戻す(
図18(a)の動作9)。
【0066】
以上の第1搬送機構20及び第2搬送機構30の並行した動作により、前記ワーク受部8(テーブル6)上の加工済みワークWの取り出しと、当該ワーク受部8への未加工ワークWの搬入とが行われる。
【0067】
以上詳述したように、本例に加工システム1によれば、ワーク着脱装置10を工作機械2の外側に隣接して設けているので、従来のように、工作機械自体の大きさを過大にする必要がなく、その設置スペースも従来のように広いスペースを要しない。また、第1搬送機構20及び第2搬送機構30は、ワークWを直接把持して搬送する構成であるので、ワークをワークキャリアに取り付けた状態で搬送する従来に比べて、ワーク着脱装置10自体の大きさをコンパクトにすることができ、この面でも、従来のように広いスペースを要することはない。
【0068】
更に、工作機械2は、ワーク着脱装置10の構成に何ら影響を受けることなく、最適な構成を採用することでき、したがって、当該工作機械2は、従来とは異なり、ワーク着脱装置10の影響を受けることなく、ワークWを最適な時間で加工することができる。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、上例では、第1搬送機構20と第2搬送機構30の2台の搬送機構を設けたが、これに限られるものではなく、一台の搬送機構を設けた構成としても良い。この場合、搬送機構は、テーブル6から加工済みのワークWを搬出する動作(
図7〜
図10、
図15〜
図18)を行った後、テーブル6上に未加工のワークWを搬入する動作(
図3〜
図6、
図11〜
図14)を行う。
【0071】
また、上例では、第1搬送機構20及び第2搬送機構30を、同じガイドレール14,14に係合させるようにしたが、この構成に限られるものではなく、第1搬送機構20が係合するガイドレールと、第2搬送機構30が係合するガイドレールとが別々のものであっても良い。同様に、第1搬送機構20及び第2搬送機構30のX軸に沿った移動のために、同じラック15を用いたが、第1搬送機構20と第2搬送機構30とで、異なるラックを用いるようにしても良い。
【0072】
また、上例では、単体の加工システム1を例示したが、これに限られるものではなく、複数の加工システムを一列に連結した構成としても良い。この場合、前記第1載置台及び第2載置台は、搬送方向に前後する加工システムにおいて兼用され、上流側の加工システムにおける第2載置台は、下流側の加工システムの第1載置台として機能する。また、この場合に、工作機械には、上例の横形工作機械以外のものが含めることができ、立形工作機械や、汎用機械以外の専用機が含まれていても良い。
【解決手段】テーブル前方に、X軸に沿って配設された案内機構11、案内機構11の後方の、テーブルの左右両側に配設された第1及び第2載置台40,50、案内機構11に案内され、X軸に沿って移動する搬送機構20,30を備える。搬送機構20,30は、案内機構11に係合し、X軸に沿って移動する基台と、基台をX軸方向に沿って移動させる直線駆動部と、先端側がテーブル6側に位置する一対の把持アームと、把持アームを開閉させる把持駆動部と、把持アームを、その先端部が下方位置と上方位置との間で旋回移動させる旋回駆動部とを備える。搬送機構20,30は、テーブル6上のワークを把持して第2載置台に搬出する動作と、前記第1載置台上のワークを把持してテーブル6上に搬入する動作とを実行する。