(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886040
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】ガスタービン
(51)【国際特許分類】
F23R 3/42 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
F23R3/42 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-289321(P2011-289321)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137171(P2013-137171A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】坂元 康朗
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−117700(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0216542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 9/02, 9/06,25/00
F02C 7/18, 7/20, 7/28
F23R 3/16, 3/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、
前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、
前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、
前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、下流側端の一部のみに、下流側に向かって突出する突出壁を設けたことを特徴とするガスタービン。
【請求項2】
前記尾筒の前記一対の側壁の下流側端の径方向中央部には、前記ロータの径方向の両端から該径方向の中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように前記突出壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
【請求項3】
前記尾筒の前記一対の側壁の下流側端には、下流側に突出することで形成される頂点を複数有する前記突出壁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン。
【請求項4】
燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、
前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、
前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、
前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、下流側端の少なくとも一部に、下流側に向かって突出する突出壁を設け、
前記尾筒の前記一対の側壁の内面は、それぞれ下流側に向かうに従って末広がりとなるように傾斜していることを特徴とするガスタービン。
【請求項5】
燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、
前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、
前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、
前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、下流側端の少なくとも一部に、下流側に向かって突出する突出壁を設け、
前記タービンは、前記ロータを中心として周方向に沿って、且つ前記ガス入口に沿って配置された複数の静翼を有し、この静翼は、翼弦が伸びる翼弦方向が前記周方向に対して傾斜しており、
前記周方向において各静翼の上流側端の間に、それぞれ前記尾筒の前記一対の側壁が位置するように、前記尾筒を設けたことを特徴とするガスタービン。
【請求項6】
前記尾筒の前記一対の側壁のうち、少なくとも一方の側壁の内面は、下流側に向かうに従って隣接する他の燃焼器の尾筒に近づくように傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のガスタービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、複数の燃焼器からの燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備えているガスタービンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンは、外気を取り込んで圧縮空気を生成する圧縮機と、燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、複数の燃焼器からの燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備えている。複数の燃焼器は、ロータを中心として環状に配置されている。各燃焼器は、タービンのガス入り口に燃焼ガスを送る尾筒を有している。
【0003】
燃焼ガスは、燃焼器の尾筒から流出すると、タービンのガス入り口からタービンの燃焼ガス流路内に入り込む。この際、燃焼ガスは、尾筒から流出した直後に、尾筒の側壁内面に沿った方向に流れようとするため、尾筒の下流端よりも下流側にカルマン渦列が形成される場合がある。そして、このカルマン渦列を励振源とする非定常圧力変動が音響固有値に共振し、大きな圧力変動が生じて、運転不可になる場合がある。
【0004】
そこで、燃焼器の尾筒の個数に対して第一段静翼の個数が偶数倍となる場合において、尾筒の下流端と第一段静翼の上流端との間の軸線方向における寸法や、第一段静翼の上流端とロータを中心とした周方向で隣接する尾筒間の中心との間の周方向の寸法等に関して、特定の範囲に限定することで、大きな圧力変動を抑えようとしている技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−197650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、燃焼器の尾筒の個数に対して第一段静翼の個数が偶数倍でない場合などにおいて、前述の従来技術とは異なる手段により、尾筒の下流側部分における圧力変動を抑えることが望まれている。
【0007】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、燃焼器の尾筒の下流側部分における圧力変動を抑えることができるガスタービンを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るガスタービンは、燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、
下流側端の一部のみに、下流側に向かって突出する突出壁を設けたことを特徴とする。
また、上記ガスタービンの前記尾筒の前記一対の側壁の下流側端には、下流側に突出することで形成される頂点を複数有する前記突出壁が設けられていてもよい。
【0009】
このように構成することで、尾筒から流出した直後に形成されるカルマン渦列を突出部によって弱めたり、カルマン渦列そのものの発生を抑制したりすることができる。このため、燃焼器の尾筒の下流側部分における圧力変動を抑えることができる。
【0010】
本発明に係るガスタービンは、前記尾筒の前記一対の側壁の下流側端
の径方向中央部には、前記ロータの径方向の両端から該径方向の中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように前記突出壁が設けられていることを特徴とする。
【0011】
このように構成することで、1つの突出壁で効率よくカルマン渦列の強さを弱めることができる。
このため、側壁の径方向中央部に突出壁を設けることにより、カルマン渦列の渦を湾曲させて直線状に形成されないようにすることにより、カルマン渦列の強さを効率よく弱めることができる。また、カルマン渦列そのものの発生を抑制することが可能となる場合もある。
【0012】
本発明に係るガスタービンは、前記尾筒の前記一対の側壁のうち、少なくとも一方の側壁の内面は、下流側に向かうに従って隣接する他の燃焼器の尾筒に近づくように傾斜していることを特徴とする。
また、本発明に係るガスタービンは、 燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、下流側端の少なくとも一部に、下流側に向かって突出する突出壁を設け、前記尾筒の前記一対の側壁の内面は、それぞれ下流側に向かうに従って末広がりとなるように傾斜しているものであってもよい。
【0013】
このように構成することで、互いに隣接し合う燃焼器の尾筒の側壁内面に沿う流れ同士を、尾筒の下流端よりも下流側で角度をもって合流させることができる。このため、尾筒の下流端よりも下流側にカルマン渦列が形成されるのを抑制することができ、尾筒の下流側部分の圧力変動を抑えることが可能になる。
【0014】
本発明に係るガスタービンは、
燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器と、前記複数の燃焼器からの前記燃焼ガスにより回転するロータを有するタービンとを備え、前記複数の燃焼器は、前記ロータを中心として周方向に沿うように配置され、前記タービンのガス入口に前記燃焼ガスを送る尾筒を有しているガスタービンにおいて、前記尾筒の前記ロータの周方向で互いに対向する一対の側壁には、下流側端の少なくとも一部に、下流側に向かって突出する突出壁を設け、前記タービンは、前記ロータを中心として周方向に沿って、且つ前記ガス入口に沿って配置された複数の静翼を有し、この静翼は、翼弦が伸びる翼弦方向が前記周方向に対して傾斜しており、前記周方向において各静翼の上流側端の間に、それぞれ前記尾筒の前記一対の側壁が位置するように、前記尾筒を設けたことを特徴とする。
【0015】
このように構成することで、尾筒から流出した燃焼ガスが静翼によって縮流、偏向され、カルマン渦列が形成されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、尾筒から流出した直後に形成されるカルマン渦列を突出部によって弱めたり、カルマン渦列そのものの発生を抑制したりすることができる。このため、燃焼器の尾筒の下流側部分における圧力変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態におけるガスタービンの要部を切り欠いた全体側面図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるガスタービンの燃焼器周りの断面図である。
【
図3】本発明の実施形態における尾筒の斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態における尾筒の下流側の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態における尾筒の下流側の一部拡大斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態における尾筒と第一段静翼との位置関係を示す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例における尾筒の下流側の一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(ガスタービン)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、ガスタービン100の要部を切り欠いた全体側面図である。
同図に示すように、ガスタービン100は、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機1と、燃料供給源からの燃料を圧縮空気に混合して燃焼させ燃焼ガスを生成する複数の燃焼器10と、燃焼ガスにより駆動するタービン2とを備えている。
【0019】
タービン2は、ケーシング3と、このケーシング3内で回転するタービンロータ5とを備えている。タービンロータ5は、複数のロータディスクが積層されて構成されているロータ本体6と、複数のロータディスク毎にそのロータディスクから放射方向に延びる複数の動翼7と、を有している。すなわち、このタービンロータ5は、多段動翼構成である。
このタービンロータ5には、例えば、このタービンロータ5の回転で発電する発電機(不図示)が接続されている。また、ケーシング3には、各段の動翼7の各上流側に、その内周面からロータ本体6に近づく方向に延びる複数の静翼4が固定されている。
【0020】
(燃焼器)
図2は、ガスタービン100の燃焼器10の周りの断面図である。
図1、
図2に示すように、複数の燃焼器10は、タービンロータ5の回転軸線Arを中心として、周方向に互いに等間隔でケーシング3に固定されている。
燃焼器10は、高温・高圧の燃焼ガスGをタービン2のガス入口9からタービン2のガス流路8内に送る尾筒20と、この尾筒20内に燃料及び圧縮空気Airを供給する燃料供給器11とを備えている。
【0021】
タービン2の動翼7、及び静翼4は、ガス流路8中に配置されており、第一段静翼4aの直前に、尾筒20の下流側端面20eaが位置した状態になる。
燃料供給器11は、パイロット燃料Xを尾筒20内に供給して、この尾筒20内に拡散火炎を形成するパイロットバーナ12と、メイン燃料Y、及び圧縮空気Airを予混合して、予混合気体として尾筒20内に供給し、この尾筒20内に予混合火炎を形成する複数のメインノズル13とを備えている。
【0022】
(尾筒)
図3は、尾筒20の斜視図、
図4は、尾筒20の下流側の断面図、
図5は、尾筒20の下流側の一部拡大斜視図、
図6は、尾筒20と第一段静翼4aとの位置関係を示す説明図である。
図2〜
図6に示すように、尾筒20は筒状に形成されており、内周側に燃焼ガスGが流れる胴体21と、胴体21の下流側端に設けられ、タービンロータ5の回転軸線Arを中心とした径方向Dにおいて、尾筒20の軸線Acから遠ざかる向きに広がる出口フランジ31とを有している。
胴体21の下流側は、略長方形状の閉断面を形成している。この胴体21は、この下流側に、タービンロータ5の回転軸線Arを中心とした周方向Cで互いに対向する一対の周方向側壁22と、この回転軸線Arを中心とした径方向Dで互いに対向する一対の径方向側壁23とを有している。
【0023】
図4に示すように、胴体21の下流側端に設けられている出口フランジ31は、胴体21の下流側端から尾筒20の軸線Acに対して周方向Cにおいて遠ざかる向きに広がるフランジ本体部32と、このフランジ本体部32の外周縁から上流側に向って延びる対向部33とを有している。このフランジ本体部32の下流側端面が、尾筒20の下流側端面20eaを構成している。
【0024】
ここで、
図5、
図6に詳示するように、下流側端面20eaには、軸線Acに沿うように下流側に向かって突出する突出壁34が一体成形されている。すなわち、一対の周方向側壁22に、下流側に向かって突出する突出壁34が一体成形された状態になっている。
突出壁34は、径方向Dの両端から径方向Dの中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように形成されている。また、突出壁34は、湾曲しながら突出するように形成されている。そして、尾筒20の下流側端20eから突出壁34の頂点T、つまり、下流側最端までの高さHは、頂点Tと第一段静翼4aの上流側端4sとが周方向Cにおいて、同一平面上に位置するように設定されている。
【0025】
図4に詳示するように、出口フランジ31の対向部33と、周方向Cで隣接する燃焼器10の尾筒20の対向部33との間には、隣接する燃焼器10の尾筒相互間をシールするシール部材35が設けられている。なお、本実施形態では、胴体21の下流側の部分、つまり胴体21の下流側の周方向側壁22、及び径方向側壁23とフランジ本体部32とは、一体成形品で形成されている。
【0026】
周方向Cで互いに対向する一対の周方向側壁22のそれぞれの内面24には、尾筒20の軸線Ac方向の下流側に向うに従って、徐々に隣接する他の燃焼器10の尾筒20に近づくように、尾筒20の下流側端面20eaに至るまで傾斜している傾斜面25が形成されている。換言すれば、一対の周方向側壁22のそれぞれの内面24は、下流側に向かうに従って、末広がりとなるように形成されている。ここで、傾斜面25の下流側端は尾筒20の下流側端面20eaとなる。
【0027】
このように構成された燃焼器10は、
図6に詳示するように、周方向Cで隣接する第一段静翼4aの上流側端4sの間に、尾筒20の一対の周方向側壁22が位置するように配置されている。このように燃焼器10の尾筒20を配置すると共に、尾筒20の下流側端面20eaに突出壁34を一体成形することにより、尾筒20内から流出する燃焼ガスGの尾筒20よりも下流側におけるカルマン渦列の形成を抑制できる。より詳しく、以下に説明する。
【0028】
(尾筒の作用)
図5、
図6に示すように、尾筒20内を下流側に向って流れる燃焼ガスGは、尾筒20内から流出した後も周方向側壁22の内面24に沿った方向に流れようとする。このため、フランジ本体部32の下流側端面20eaよりも下流側にカルマン渦列Uが形成されることがある。
【0029】
ここで、尾筒20の下流側端面20eaには突出壁34が形成されているので、カルマン渦列Uが径方向Dで直線状にならない。より具体的には、突出壁34は、径方向Dの両端から径方向Dの中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように形成されているので、このカルマン渦列Uが湾曲状に形成されて渦同士が干渉する。このように、カルマン渦列Uが直線状に形成されないと、その分渦の強さが弱まったり、カルマン渦列Uそのものの発生が抑制されたりする。
【0030】
これに加え、尾筒20の下流側の周方向側壁22の内面24には傾斜面25が形成されているので、周方向側壁22の内面24に対し、フランジ本体部32の下流側端面20eaの成す角度が小さくなる。このため、フランジ本体部32の下流側端面20eaの下流側におけるカルマン渦列Uの形成が抑制される。
【0031】
さらに、周方向Cで隣接する第一段静翼4aの上流側端4sの間に、尾筒20の一対の周方向側壁22が位置するように配置されている。このため、尾筒20内を下流側に向って流れる燃焼ガスGが、尾筒20内から流出した直後に第一段静翼4aに衝突する。そして、第一段静翼4aによって、尾筒20内から流出した燃焼ガスGが直後に縮流、偏向される(
図6参照)。このため、カルマン渦列Uの形成が抑制される。
【0032】
(効果)
したがって、上述の実施形態によれば、下流側端面20eaには、軸線Acに沿うように下流側に向かって突出する突出壁34が一体成形されているので、すなわち、一対の周方向側壁22に、下流側に向かって突出する突出壁34が一体成形された状態になっているので、尾筒20から流出した直後に形成されるカルマン渦列Uを弱めたり、カルマン渦列Uそのものの発生を抑制させたりすることができる。このため、燃焼器10の尾筒20の下流側部分における圧力変動を抑えることができる。
【0033】
また、突出壁34が径方向Dの両端から径方向Dの中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように形成されているので、突出壁34によりカルマン渦列Uの強さを弱めたり、カルマン渦列Uそのものの発生をより確実に抑制したりすることができる。
【0034】
また、一対の周方向側壁22のそれぞれの内面24は、下流側に向かうに従って、末広がりとなるように形成されているので、互いに隣接し合う燃焼器10の尾筒20の内面24に沿う流れ同士を、尾筒20の下流側端面20eaよりも下流側で角度をもって合流させることができる。このため、カルマン渦列Uの形成を抑制することができ、尾筒20の下流側部分の圧力変動を抑えることが可能になる。
【0035】
さらに、周方向Cで隣接する第一段静翼4aの上流側端4sの間に、尾筒20の一対の周方向側壁22が位置するように配置されているので、第一段静翼4aによって、尾筒20内から流出した燃焼ガスGが直後に縮流、偏向される。このため、カルマン渦列Uの形成を抑制することができる。
【0036】
このとき、尾筒20の下流側端20eから突出壁34の頂点T、つまり、下流側最端までの高さHは、頂点Tと第一段静翼4aの上流側端4sとが周方向Cにおいて、同一平面上に位置するように設定されているので、尾筒20内から流出した燃焼ガスGを直後に確実、且つ効果的に縮流、偏向させることができる。このため、確実にカルマン渦列Uの形成を抑制することができる。
【0037】
尚、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、尾筒20の一対の周方向側壁22に突出壁34を一体成形し、この突出壁34を、径方向Dの両端から径方向Dの中央に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、突出壁34は、周方向側壁22(下流側端面20ea)の一部が軸線Acに沿うように、下流側に向かって突出していればよい。
【0038】
すなわち、突出壁34の頂点Tが周方向側壁22(下流側端面20ea)における径方向Dの略中央に位置していなくてもよい。また、突出壁34の頂点Tが複数存在していてもよい。例えば、
図7に示すように、下流側端面20eaが軸線Ac方向に沿って波形状に形成されていてもよい。
【0039】
また、上述の実施形態では、尾筒20の一対の周方向側壁22のそれぞれの内面24は、下流側に向かうに従って、末広がりとなるように形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、一対の周方向側壁22のうち、少なくとも一方の周方向側壁22の内面24に、軸線Ac方向の下流側に向うに従って、徐々に隣接する他の燃焼器10の尾筒20に近づくように、傾斜面25が形成されていればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 圧縮機
2 タービン
4 静翼
4a 第一段静翼
4s 上流側端
5 タービンロータ(ロータ)
6 ロータ本体
9 ガス入口
10 燃焼器
20 尾筒
20ea 下流側端面
20e 下流側端
22 周方向側壁(側壁)
24 内面
25 傾斜面
34 突出壁
100 ガスタービン
Air 圧縮空気
G 燃焼ガス