(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886061
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】架空配設物特定システムおよび架空配設物特定装置
(51)【国際特許分類】
H02G 1/02 20060101AFI20160303BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20160303BHJP
G01S 17/89 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G1/06
G01S17/89
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-16442(P2012-16442)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-158137(P2013-158137A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503320061
【氏名又は名称】株式会社エネルギア・コミュニケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 恭士
(72)【発明者】
【氏名】西崎 高英
(72)【発明者】
【氏名】福原 信一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】里村 成行
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 秀一
(72)【発明者】
【氏名】寺戸 克弘
(72)【発明者】
【氏名】重谷 顕
(72)【発明者】
【氏名】井上 克義
(72)【発明者】
【氏名】角島 幸二
【審査官】
北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−199948(JP,A)
【文献】
特開2011−211871(JP,A)
【文献】
特開2006−243995(JP,A)
【文献】
特開2001−157317(JP,A)
【文献】
特開2010−249665(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
H02G 1/06
G01S 17/89
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の架空通信ケーブルとクロージャを含む架空配設物を指し示す架空配設物特定システムであって、
電柱と鉄塔を含む固定体の所定位置に着脱自在に配設され、任意の方向に可視光を照射可能な照射端末と、サーバとが通信可能に接続され、
前記照射端末は、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とを入力可能で、
前記サーバは、ある固定体の所定位置に前記照射端末を配設して可視光を照射した場合に、ある架空配設物に照射可能な前記可視光の照射方向を、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とに対応付けて記憶した記憶手段を備え、
前記サーバは、前記照射端末から受信した固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向を、前記記憶手段から取得して前記照射端末に送信し、前記照射端末は受信した照射方向に可視光を照射する、
ことを特徴とする架空配設物特定システム。
【請求項2】
前記照射端末は、画像を表示する表示手段を備え、
前記記憶手段は、前記照射方向から撮影した前記架空配設物の画像を記憶し、
前記サーバは、前記照射端末から受信した固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向の画像を、前記記憶手段から取得して前記照射端末に送信し、前記照射端末は受信した画像を表示手段に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の架空配設物特定システム。
【請求項3】
所定の架空通信ケーブルとクロージャを含む架空配設物を指し示す架空配設物特定装置であって、
電柱と鉄塔を含む固定体の所定位置に着脱自在に配設可能で、
任意の方向に可視光を照射可能な照射手段と、
前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とを入力可能な入力手段と、
ある固定体の所定位置に配設されて可視光を照射した場合に、ある架空配設物に照射可能な前記可視光の照射方向を、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とに対応付けて記憶した記憶手段を備え、
前記入力手段で入力された固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向を、前記記憶手段から取得してこの照射方向に可視光を照射する、
ことを特徴とする架空配設物特定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、所定の架空通信ケーブルやクロージャなどの架空配設物を指し示す架空配設物特定システムおよび架空配設物特定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、架空通信ケーブルは、長く延び、電柱やクロージャなどを介してルート・経路が変更されたり、コイル状のハンガで束ねられたり、引きとめられたりしている。しかも、複数の架空通信ケーブルが複雑に交差などしている場合がある。このため、作業や点検などを行う際に、対象の架空通信ケーブルを目視で確認したり、架空通信ケーブルのルートを目視で追跡したりすることが困難であった。
【0003】
このため、光ファイバケーブルを意図的に曲げて信号の伝送ロスを検出することで、光ファイバケーブルを識別、特定する技術や、電力ケーブルに電圧をかけて電圧の有無を検出することで、電力ケーブルを識別、特定する技術などが知られている。また、地上から架空ケーブルに対して測長レーザ光を2次元走査させて、地上から架空ケーブルまでの高さを測定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−249665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、伝送ロスを検出する方法では、所定の光ファイバケーブルの一端側から信号を伝送し、ケーブルを特定したい現地でその所定のケーブルと思われるケーブルを曲げて、伝送ロスの有無を検出するものであり、多くの要員と時間とを要する。しかも、光ファイバケーブルを曲げるため光ファイバに損傷を与えるおそれがあり、さらに、架空通信ケーブルの場合、高所でケーブルを曲げたりしなければならないため、作業が困難である。
【0006】
同様に、電圧の有無を検出する方法では、電力ケーブルの端部で電圧の有無を検出するため、多くの要員と時間とを要するとともに、電力ケーブル以外のケーブルなどを特定することができない。また、特許文献1の技術では、地上から架空ケーブルまでの高さを測定することはできるが、所定の架空ケーブルを特定することはできない。
【0007】
そこでこの発明は、所定の架空配設物を適正かつ容易に指し示すことができる架空配設物特定システムおよび架空配設物特定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、所定の架空通信ケーブル
とクロージャ
を含む架空配設物を指し示す架空配設物特定システムであって、電柱
と鉄塔
を含む固定体の所定位置に着脱自在に配設され、任意の方向に可視光を照射可能な照射端末と、サーバとが通信可能に接続され、前記照射端末は、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とを入力可能で、前記サーバは、ある固定体の所定位置に前記照射端末を配設して可視光を照射した場合に、ある架空配設物に照射可能な前記可視光の照射方向を、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とに対応付けて記憶した記憶手段を備え、前記サーバは、前記照射端末から受信した固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向を、前記記憶手段から取得して前記照射端末に送信し、前記照射端末は受信した照射方向に可視光を照射する、ことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、架空配設物を特定したい現地の固定体の所定位置に照射端末を配設し、照射端末から、この固定体の識別情報と特定したい架空配設物の識別情報とを入力し、サーバに送信する。これを受けてサーバは、受信した固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向を、記憶手段から取得して照射端末に送信し、照射端末は受信した照射方向に可視光を照射する。これにより、特定したい架空配設物に可視光が照射される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の架空配設物特定システムにおいて、前記照射端末は、画像を表示する表示手段を備え、前記記憶手段は、前記照射方向から撮影した前記架空配設物の画像を記憶し、前記サーバは、前記照射端末から受信した固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向の画像を、前記記憶手段から取得して前記照射端末に送信し、前記照射端末は受信した画像を表示手段に表示する、ことを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、照射端末から、固定体と特定したい架空配設物の識別情報を入力し、サーバに送信すると、サーバは、受信した固定体と架空配設物の識別情報に対応する照射方向の画像を、記憶手段から取得して照射端末に送信する。これを受けて、照射端末の表示手段に、特定したい架空配設物の画像が表示される。
【0012】
請求項3の発明は、所定の架空通信ケーブル
とクロージャ
を含む架空配設物を指し示す架空配設物特定装置であって、電柱
と鉄塔
を含む固定体の所定位置に着脱自在に配設可能で、任意の方向に可視光を照射可能な照射手段と、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とを入力可能な入力手段と、ある固定体の所定位置に配設されて可視光を照射した場合に、ある架空配設物に照射可能な前記可視光の照射方向を、前記固定体の識別情報と前記架空配設物の識別情報とに対応付けて記憶した記憶手段を備え、前記入力手段で入力された固定体の識別情報と架空配設物の識別情報とに対応する照射方向を、前記記憶手段から取得してこの照射方向に可視光を照射する、ことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、架空配設物を特定したい現地の固定体の所定位置に本装置を配設し、入力手段によって、この固定体の識別情報と特定したい架空配設物の識別情報とを入力すると、入力された識別情報に対応する照射方向が記憶手段から取得される。そして、この照射方向に照射手段から可視光が照射されることで、特定したい架空配設物に可視光が照射される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1および3の発明によれば、固定体と特定したい架空配設物を指定・入力することで、この固定体から架空配設物に照射可能な照射方向が記憶手段から取得され、この照射方向に可視光が照射されるため、特定したい架空配設物を適正に指し示すことができる。しかも、固定体と架空配設物の識別情報を入力するだけで、容易かつ迅速に架空配設物を指し示すことができるとともに、架空配設物を曲げたり振動を与えたりしないため、架空配設物に損傷を与えることもない。
【0015】
請求項2の発明によれば、固定体から特定したい架空配設物を撮影した画像が、照射端末の表示手段に表示されるため、この画像を見ることで、特定したい架空配設物を容易かつ適正に認識・特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施の形態に係る架空配設物特定システムを示す概略構成図である。
【
図2】
図1のシステムの照射端末の概略構成ブロック図である。
【
図3】
図1のシステムのサーバのデータベースのデータ構成図である。
【
図4】
図1のシステムにおいて、電柱に2つの照射端末を配設した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に係る架空配設物特定システム1を示す概略構成図である。この架空配設物特定システム1は、所定の架空通信ケーブルやクロージャなどの架空配設物を指し示すシステムであり、主として、照射端末2と、表示棒3と、サーバ4とを備え、照射端末2と表示棒3、および照射端末2とサーバ4は通信可能となっている。ここで、この実施の形態では、特定したい架空配設物が架空通信ケーブル101である場合について、主として説明する。
【0019】
照射端末2は、携帯自在で、電柱Pや鉄塔などの固定体の所定位置に着脱自在に配設される端末であり、この実施の形態では、固定体が電柱Pの場合について、主として説明する。すなわち、電柱Pの所定位置にマーキングが施され、このマーキングに照射端末2を合わせて、バンドで電柱Pに固定可能となっている。また、電柱Pのマーキング近傍には、この電柱Pの電柱番号(識別情報)を記憶したICタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)110が貼り付けられている。
【0020】
この照射端末2は、
図2に示すように、通信部21と、入力部(入力手段)22と、ICリーダ(入力手段)23と、表示部(表示手段)24と、メモリ25と、カメラ26と、照射部(照射手段)27と、これらを制御などする中央処理部28とを備えている。
【0021】
通信部21は、表示棒3やサーバ4と通信するための通信機能部であり、無線通信・赤外線通信により表示棒3と通信を行う機能部と、無線通信と公衆通信網や専用回線網などを介してサーバ4と通信を行う機能部とから構成されている。入力部22は、キーパッドから構成され、架空通信ケーブル101のケーブル情報(識別情報)や後述する問い合わせ指令などを入力可能となっている。
【0022】
ICリーダ23は、電柱PのICタグ110から電柱番号を読み取る読取器である。すなわち、この実施の形態では、ICタグ110から電柱番号を読み取ることで、固定体の識別情報を入力・取得するものであり、これにより、固定体の識別情報を容易かつ正確に入力できるものである。これに対して、ICリーダ23の異常などの際に、入力部22から電柱Pの電柱番号を入力してもよい。
【0023】
表示部24は、後述するようにしてサーバ4から受信した画像や、入力部22からの入力情報などを表示するディスプレイである。また、後述するようにしてサーバ4から画像を受信すると、中央処理部28の制御によって、表示部24に受信した画像が表示されるようになっている。メモリ25は、後述するようにしてサーバ4から受信した照射方向や、カメラ26で撮影された画像などを記憶する記憶部である。
【0024】
カメラ26は、後述するように、所定の照射方向から所定の架空通信ケーブル101を撮影などするカメラである。照射部27は、可視光線レーザポインタ(可視光)を任意の方向に照射可能なレーザ発振器であり、照射方向を変えるドライブ機構を備えている。このカメラ26と照射部27とは連動し、カメラ26の撮影方向と照射部27の照射方向とが一致するようになっている。また、後述するようにしてサーバ4から照射方向を受信すると、中央処理部28によってドライブ機構が駆動され、照射部27の照射方向が受信した照射方向に制御されるようになっている。
【0025】
表示棒3は、絶縁棒31の先端に表示灯(LED)32が配設されたもので、赤外線通信機能を備え、照射端末2からの可視光線レーザを受光すると、表示灯32が点灯するようになっている。すなわち、表示灯32が可視光線レーザの照射エリアに入ると、照射端末2と表示棒3との間で赤外線通信による認証確認を行い、確認後に照射端末2から可視光線レーザを照射し、この可視光線レーザを受光して表示灯32が点灯するようになっている。ここで、認証確認を行うのは、不用意に可視光線レーザを照射するのを防止するためであり、照射先に表示灯32があることを確認するものである。また、表示灯32は、照射端末2の可視光線レーザポインタよりも、明確に目視できるような輝度、大きさに設定されている。
【0026】
サーバ4は、任意の照射端末2と通信可能で、ある電柱Pの所定位置に照射端末2を配設して可視光線レーザを照射した場合に、ある架空通信ケーブル101に照射可能な可視光線レーザの照射方向を、電柱Pの電柱番号と架空通信ケーブル101のケーブル情報とに対応付けて記憶するとともに、この照射方向から撮影した架空通信ケーブル101の画像を記憶したデータベース(記憶手段)41を備えている。
【0027】
すなわち、
図3に示すように、電柱Pの固定体ID411ごとに、複数の配設物ID412、照射方向413、画像414が記憶されている。ここで、固定体ID411には、電柱Pの電柱番号が記憶され、配設物ID412には、この電柱Pから可視光線レーザを照射可能(特定可能)な架空通信ケーブル101のケーブル情報が記憶されている。照射方向413には、この電柱Pからこの架空通信ケーブル101に可視光線レーザポインタを照射するための水平方向および垂直方向の角度・方位が記憶されている。画像414には、照射方向413に記憶された方向から撮影した架空通信ケーブル101を含む画像であって、特定したい架空通信ケーブル101に光サイン・マーキングが施された画像が記憶されている。このような配設物ID412、照射方向413および画像414は、この電柱Pから可視光線レーザを照射可能なすべての架空通信ケーブル101分だけ記憶されている。
【0028】
また、このようなデータベース41は、照射端末2から送信されるデータによって構築されるようになっている。すなわち、照射端末2を電柱Pに設置し、可視光線レーザの照射方向を調整して特定の架空通信ケーブル101に可視光線レーザポインタを照射し、さらに、この照射方向からカメラ26でこの架空通信ケーブル101を撮影する。そして、この照射方向と撮影した画像とを、電柱Pの電柱番号と架空通信ケーブル101のケーブル情報とともにサーバ4に送信することで、データベース41が構築される。
【0029】
また、サーバ4は、照射端末2から問い合わせ情報を受信すると、照射方向と画像とを照射端末2に送信する機能を備えている。すなわち、照射端末2の識別情報に電柱Pの電柱番号と架空通信ケーブル101のケーブル情報とを含む問い合わせ情報を受信すると、この電柱番号とケーブル情報とに対応する照射方向(照射方向413)と画像(画像414)とをデータベース41から検索、取得し、取得した照射方向と画像とを照射端末2に送信するものである。
【0030】
次に、このような構成の架空配設物特定システム1の作用などについて説明する。
【0031】
まず、架空通信ケーブル101を特定したい現地の電柱Pのマーキングに合わせて照射端末2を設置すると、ICリーダ23によってICタグ110から電柱番号が読み取られる。次に、特定したい架空通信ケーブル101のケーブル情報と問い合わせ指令を入力部22で入力すると、問い合わせ情報がサーバ4に送信される。これを受けてサーバ4において、この電柱Pと特定したい架空通信ケーブル101とに対応する照射方向と画像とが取得され、取得した照射方向と画像とが照射端末2に送信される。
【0032】
次に、照射端末2において、サーバ4からの照射方向になるように照射部27が制御されるとともに、サーバ4からの画像が表示部24に表示される。このような状態で、
図1に示すように、作業者Sが表示棒3を持って、表示灯32を架空通信ケーブル101に近づけながら歩いていく。このとき、表示部24の画像には、特定したい架空通信ケーブル101に光サインが施されているため、この画像を見て架空通信ケーブル101の目安を付ける。そして、表示灯32が可視光線レーザの照射エリアに入ると、つまり、特定したい架空通信ケーブル101の真下(照射ポイント付近)に表示灯32が位置すると、上記のようにして表示灯32が点灯する。これにより、特定したい架空通信ケーブル101を認識・識別できるものである。また、照射部27の照射方向が制御された時点で可視光線レーザポインタを照射するようにすることで、可視光線レーザポインタが特定したい架空通信ケーブル101に照射され、特定したい架空通信ケーブル101を認識・識別できるものである。
【0033】
以上のように、この架空配設物特定システム1によれば、電柱Pに照射端末2を設置して特定したい架空通信ケーブル101を指定・入力することで、この電柱Pから架空通信ケーブル101に照射可能な照射方向に、照射端末2から可視光線レーザが照射される。このため、特定したい架空通信ケーブル101を適正に指し示すことができる。しかも、特定したい架空通信ケーブル101の真下に表示灯32が位置すると、表示灯32が点灯するため、特定したい架空通信ケーブル101を容易かつ確実に認識・識別することができる。
【0034】
さらに、この電柱Pから架空通信ケーブル101を撮影した画像が、照射端末2に表示されるため、この画像を見ることで、特定したい架空通信ケーブル101を容易かつ適正に認識・特定することができる。しかも、画像には、特定したい架空通信ケーブル101がマーキングされているため、例えば、複数の架空通信ケーブル101がコイルハンガで束ねられている場合であっても、容易かつ適正に認識・特定することができる。さらには、照射方向が制御された後にカメラ26のファインダを覗き見ることで、特定したい架空通信ケーブル101の位置や方向を見当付けることができ、架空通信ケーブル101の特定がより容易となる。
【0035】
また、特定したい架空通信ケーブル101のケーブル情報を照射端末2に入力したり、表示棒3を持ち歩いたりするだけでよいため、容易かつ安全に作業を行うことができる。さらに、架空通信ケーブル101を曲げたり振動を与えたりしないため、架空通信ケーブル101に損傷を与えることもない。
【0036】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、照射端末2がサーバ4から照射方向と画像とを受信しているが、照射端末2単独で架空配設物特定装置を構成してもよい。すなわち、上記のような照射端末2において、データベース41のデータをメモリ25に記憶し、指定された電柱Pの電柱番号と架空通信ケーブル101のケーブル情報とに対応する照射方向をメモリ25から取得して、この照射方向に照射部27から可視光線レーザを照射するようにしてもよい。
【0037】
また、上記の実施の形態では、1つの照射端末2からのみ可視光線レーザを照射しているが、複数の照射端末2を電柱Pに設置し、1つの架空通信ケーブル101に対して複数の可視光線レーザを照射するようにしてもよい。このとき、電柱Pのマーキング位置に照射端末2を直接固定するのではなく、腕金などを介して複数の照射端末2を配設してもよい。例えば、
図4に示すように、折り畳み自在な棒状の腕金5を、水平に延びて電柱Pを挟むように取り付け、この腕金5の両端部に照射端末2を配設する。そして、各照射端末2からそれぞれ可視光線レーザを照射して、その交点で特定することで、複数の架空通信ケーブル101が複雑に配設されている場合であっても、架空通信ケーブル101を容易かつ適正、高精度に特定することが可能となる。例えば、あるケーブル101の真上に別のケーブル101が配設されている場合であっても、複数の異なる水平位置、方向から可視光線レーザを照射するため、所望のケーブル101を適正に特定することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 架空配設物特定システム
2 照射端末
21 通信部
22 入力部(入力手段)
23 ICリーダ(入力手段)
24 表示部(表示手段)
25 メモリ
26 カメラ
27 照射部(照射手段)
3 表示棒
31 絶縁棒
32 表示灯
4 サーバ
41 データベース(記憶手段)
5 腕金
101 架空通信ケーブル(架空配設物)
110 ICタグ
P 電柱(固定体)
S 作業者