特許第5886064号(P5886064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886064医用画像診断システム及び医用画像診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886064
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】医用画像診断システム及び医用画像診断方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20160303BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20160303BHJP
   G06Q 50/22 20120101ALI20160303BHJP
   G06Q 50/24 20120101ALI20160303BHJP
【FI】
   G06T1/00 200B
   A61B6/00 360Z
   G06Q50/22
   G06Q50/24
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-20808(P2012-20808)
(22)【出願日】2012年2月2日
(65)【公開番号】特開2013-161160(P2013-161160A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江積 剛
【審査官】 千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−172998(JP,A)
【文献】 特開2010−146261(JP,A)
【文献】 特開2010−55129(JP,A)
【文献】 特開平11−312200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0210041(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/071570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
A61B 6/00−6/14
G06Q 50/22−50/24
G06F 13/00
G06F 17/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報の処理を要求する操作情報を生成するクライアント端末と、
前記クライアント端末と通信ネットワークを介して接続され、複数のサーバ装置で構成され、クライアントからの処理要求を処理するサーバクラスタと、を備え、
前記サーバクラスタは、
第1のサーバ装置に設けられ、検査データを受信する受信部と、
前記第1のサーバ装置に設けられ、前記受信部で受信した前記検査データを記憶する記憶部と、
前記第1のサーバ装置に設けられ、第2のサーバ装置へ送信するために前記検査データを基にコピーデータを生成するコピーデータ生成部と、
生成された前記コピーデータを前記第2のサーバ装置へと送信する送信部と、
前記第2のサーバ装置に設けられ、前記コピーデータを保持するコピーデータ保持部と、
前記第2のサーバ装置に設けられ、前記クライアント端末からの要求に応じて、前記コピーデータ保持部に保持された前記コピーデータである検査データを処理する医用情報処理部と、
保持期間の経過の有無を判断する判断部と、
前記第2のサーバ装置に設けられ、前記判断部の判断結果に応じて、前記コピーデータを削除するコピーデータ削除部と、を備えると共に、
前記第1または前記第2のサーバ装置は、さらに前記通信ネットワークを介して前記検査データに関する患者の検査予約情報の有無を確認し、前記検査予約情報が存在する場合に前記検査予約情報を取得する検査予約情報取得部と、取得された前記検査予約情報を基に前記検査データの保持期間を設定する保持期間設定部と、を備えることを特徴とする医用画像診断システム。
【請求項2】
前記サーバクラスタを構成する前記第1のサーバ装置、或いは、前記第2のサーバ装置は、
前記通信ネットワークに接続される医用画像診断装置から送信される検査データを受信する入力部と、
前記検査データの保持期間を設定する保持期間設定部と、
前記サーバクラスタを構成する複数台のサーバの中から第1のサーバを決定するプライマリサーバ決定部と、
を備え、前記検査データを受信し、前記保持期間を設定し、併せて前記保持期間の経過後も継続して前記検査データを保持する前記第1のサーバを決定するマスタサーバとしての機能を果たすことを特徴とする請求項1に記載の医用画像診断システム。
【請求項3】
前記第2のサーバ装置は、自身が保持する前記コピーデータへの前記クライアント端末からのアクセスの有無を確認するアクセス確認部と、前記アクセス確認部によって確認されたアクセス日を基に前記検査データの保持期間を延長する保持期間延長部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用画像診断システム。
【請求項4】
前記第2のサーバ装置は、さらに前記通信ネットワークを介して前記検査データに関する患者の検査予約情報の有無を確認し、前記検査予約情報が存在する場合に前記検査予約情報を取得する検査予約情報取得部と、取得された前記検査予約情報を基に前記検査データの保持期間を延長する保持期間延長部と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の医用画像診断システム。
【請求項5】
前記マスタサーバは、前記第2のサーバ装置に保持されていた前記コピーデータが削除された後に、前記通信ネットワークを介して前記検査予約情報の有無を確認する検査予約情報確認部と、前記検査予約情報が確認された場合に、前記検査予約情報を保持する第1のサーバ装置を特定し、前記検査予約情報に関する患者の新たなコピーデータの再生成依頼を作成するプライマリサーバ決定部と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の医用画像診断システム。
【請求項6】
通信ネットワークを介してクライアント端末から送信された操作情報に基づいて、検査データを処理し、前記処理の結果を前記クライアント端末へ送信する機能を備えるサーバであって、単数、或いは、複数台のスレーブサーバとともにサーバクラスタを構成するマスタサーバが、新規の検査データを取得するステップと、
前記マスタサーバが前記検査データの保持期間を設定するステップと、
前記検査データを主として保持する第1のサーバ装置を前記サーバクラスタの中から決定するステップと、
前記マスタサーバが前記検査データを前記第1のサーバ装置へと送信し、前記第1のサーバ装置内に保持するステップと、
前記第1のサーバ装置が、前記検査データを基にコピーデータを生成するステップと、
前記第1のサーバ装置が生成された前記コピーデータを前記サーバクラスタを構成する第2のサーバ装置に送信するステップと、
前記第2のサーバ装置において前記コピーデータを保持するステップと、
前記第2のサーバ装置が前記コピーデータに関する患者についての検査予約情報の有無を確認するステップと、
前記検査予約情報が確認された場合には、前記第2のサーバ装置は検査予約されている日を基に前記コピーデータの保持期間を設定するステップと、
前記検査予約情報が確認されない場合には、前記第2のサーバ装置は前記マスタサーバが前記検査データに対して設定した前記保持期間を基に前記コピーデータの保持期間を設定するステップと、
前記第2のサーバ装置が前記コピーデータの保持期間経過の有無を確認するステップと、
前記保持期間が経過した場合に、前記第2のサーバ装置が保持期間を経過した前記コピーデータを削除するステップと、
を備えることを特徴とする医用画像診断方法。
【請求項7】
通信ネットワークを介してクライアント端末から送信された操作情報に基づいて、検査データを処理し、前記処理の結果を前記クライアント端末へ送信する機能を備えるサーバであって、単数、或いは、複数台のスレーブサーバとともにサーバクラスタを構成するマスタサーバが、新規の検査データを取得するステップと、
前記マスタサーバが前記検査データの保持期間を設定するステップと、
前記検査データを主として保持する第1のサーバ装置を前記サーバクラスタの中から決定するステップと、
前記マスタサーバが前記検査データを前記第1のサーバ装置へと送信し、前記第1のサーバ装置内に保持するステップと、
前記第1のサーバ装置が前記検査データに関する患者についての検査予約情報の有無を確認するステップと、
前記検査予約情報が確認された場合には、前記第1のサーバ装置は検査予約されている日を基にコピーデータの保持期間を設定するステップと、
前記検査予約情報が確認されない場合には、前記第1のサーバ装置は前記マスタサーバが前記検査データに対して設定した前記保持期間を基に前記コピーデータの保持期間を設定するステップと、
前記第1のサーバ装置が、前記検査データを基に前記コピーデータを生成するステップと、
前記第1のサーバ装置が生成された前記コピーデータを前記サーバクラスタを構成する第2のサーバ装置に送信するステップと、
前記第2のサーバ装置において前記コピーデータを保持するステップと、
前記第2のサーバ装置が前記コピーデータの保持期間経過の有無を確認するステップと、
前記保持期間が経過した場合に、前記第2のサーバ装置が保持期間を経過した前記コピーデータを削除するステップと、
を備えることを特徴とする医用画像診断方法。
【請求項8】
前記第2のサーバ装置は、前記コピーデータの保持期間経過の有無を確認した後、前記保持期間が経過した場合であって前記第2のサーバ装置が保持期間を経過した前記コピーデータを削除する前に、
前記第2のサーバ装置は、自身へのクライアント端末からのアクセスの有無を確認するステップと、
前記クライアント端末からのアクセスがある場合に、前記第2のサーバ装置はその最終アクセス日を基に保持期間延長部によって定められる延長期間に基づいて前記コピーデータの保持期間を延長するステップと、
を備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の医用画像診断方法。
【請求項9】
前記第2のサーバ装置は、前記コピーデータの保持期間経過の有無を確認した後、前記保持期間が経過した場合であって前記第2のサーバ装置が保持期間を経過した前記コピーデータを削除する前に、
前記サーバは、前記コピーデータに関する患者についての検査予約情報の有無を確認するステップと、
前記検査予約情報が確認された場合には、検査予約されている日を基に前記コピーデータの保持期間を延長するステップと、
を備えることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の医用画像診断方法。
【請求項10】
前記第2のサーバ装置が自身に保持していた前記コピーデータを削除し、前記第1のサーバ装置にのみ前記検査データが保持されている場合に、
前記マスタサーバが新規な検査予約情報を取得するステップと、
前記マスタサーバは、前記新規検査予約情報の中にサーバクラスタ内に保持されている前記検査データの患者と同一の患者に関する前記新規検査予約情報が含まれているか否かを確認するステップと、
前記新規検査予約情報が確認された場合に、前記患者に関する前記検査データを保持する第1のサーバ装置を特定するステップと、
特定された前記第1のサーバ装置に対して、前記マスタサーバが、再度保持されている前記検査データに関するコピーデータの生成を依頼するステップと、
前記第1のサーバ装置は、前記マスタサーバからの依頼に基づいて再度前記コピーデータを生成し、前記第2のサーバ装置へと送信するステップと、
を備えることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の医用画像診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、医用画像診断システム及び医用画像診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体内部の情報を収集し、この収集された情報に基づいて被検体内部を画像化して医用画像を生成する医用画像診断装置が用いられるようになっている。この医用画像診断装置としては、例えば、X線CT装置(computed tomography:コンピュータ断層撮影装置)や、磁気共鳴診断装置(MRI:magnetic resonance imaging)等が該当する。生成された医用画像は例えば、ネットワークに接続されたクライアント端末上に表示される。
【0003】
一方、上記医用画像は、例えば、単数、或いは複数の医用画像保持装置(サーバ)に保持される。複数のサーバに医用画像が保持されている場合には、その閲覧に当たって特定のサーバにクライアント端末からのアクセスが集中することも考えられ、アクセスが集中すると当該サーバへ著しく負荷が掛かることになる。そこで、以下の特許文献1においては、各サーバの負荷を分散し、各サーバの資源を有効に活用することを可能とした発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−146261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1において開示されている発明では、次の点について配慮がなされていない。
【0006】
すなわち、例えば、複数のサーバ全てが同じ医用画像等のデータを保持している場合、大規模システムに対応することができない可能性がある。これはスケーラビリティがないためであり、例えば、1つのサーバが保持することができる検査に関連する情報が検査数100回分(最大値)である場合、2台以上のサーバが接続されていても最大値は検査数100回分に過ぎず、それ以上の検査を保持することができない。仮に保持可能な検査数を増やす必要が生じた場合には、例えば、全てのサーバに対するハードウェアの増設が必要となる。
【0007】
一方で上記スケーラビリティに対応すべく保持対象となる情報を各サーバに、例えば検査ごとに分散させてしまうと、クライアント端末に割り当てられたサーバに必要とされる情報が保持されていない場合、改めて別のサーバにアクセスしなければならない。従ってその分必要な情報へのアクセスに時間が掛かり、クライアント端末への画像表示性能が劣化する可能性もある。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明の特徴は、医用画像診断システムにおいて、医用情報の処理を要求する操作情報を生成するクライアント端末と、クライアント端末と通信ネットワークを介して接続され、複数のサーバ装置で構成され、クライアントからの処理要求を処理するサーバクラスタと、を備え、サーバクラスタは、第1のサーバ装置に設けられ、検査データを受信する受信部と、第1のサーバ装置に設けられ、受信部で受信した検査データを記憶する記憶部と、第1のサーバ装置に設けられ、第2のサーバ装置へ送信するために検査データを基にコピーデータを生成するコピーデータ生成部と、生成されたコピーデータを第2のサーバ装置へと送信する送信部と、第2のサーバ装置に設けられ、コピーデータを保持するコピーデータ保持部と、第2のサーバ装置に設けられ、クライアント端末からの要求に応じて、コピーデータ保持部に保持されたコピーデータである検査データを処理する医用情報処理部と、保持期間の経過の有無を判断する判断部と、第2のサーバ装置に設けられ、判断部の判断結果に応じて、コピーデータを削除するコピーデータ削除部とを備えると共に、第1または第2のサーバ装置は、さらに通信ネットワークを介して検査データに関する患者の検査予約情報の有無を確認し、検査予約情報が存在する場合に検査予約情報を取得する検査予約情報取得部と、取得された検査予約情報を基に検査データの保持期間を設定する保持期間設定部と、を備える。
請求項6に記載の発明の特徴は、医用画像診断方法において、通信ネットワークを介してクライアント端末から送信された操作情報に基づいて、検査データを処理し、処理の結果をクライアント端末へ送信する機能を備えるサーバであって、単数、或いは、複数台のスレーブサーバとともにサーバクラスタを構成するマスタサーバが、新規の検査データを取得するステップと、マスタサーバが検査データの保持期間を設定するステップと、検査データを主として保持する第1のサーバ装置をサーバクラスタの中から決定するステップと、マスタサーバが検査データを第1のサーバ装置へと送信し、第1のサーバ装置内に保持するステップと、第1のサーバ装置が、検査データを基にコピーデータを生成するステップと、第1のサーバ装置が生成されたコピーデータをサーバクラスタを構成する第2のサーバ装置に送信するステップと、第2のサーバ装置においてコピーデータを保持するステップと、第2のサーバ装置がコピーデータに関する患者についての検査予約情報の有無を確認するステップと、検査予約情報が確認された場合には、検査予約されている日を基にコピーデータの保持期間を設定するステップと、検査予約情報が確認されない場合には、マスタサーバが検査データに対して設定した保持期間を基にコピーデータの保持期間を設定するステップと、第2のサーバ装置がコピーデータの保持期間経過の有無を確認するステップと、保持期間が経過した場合に、第2のサーバ装置が保持期間を経過したコピーデータを削除するステップとを備える。
請求項7に記載の発明の特徴は、医用画像診断方法において、通信ネットワークを介してクライアント端末から送信された操作情報に基づいて、検査データを処理し、処理の結果をクライアント端末へ送信する機能を備えるサーバであって、単数、或いは、複数台のスレーブサーバとともにサーバクラスタを構成するマスタサーバが、新規の検査データを取得するステップと、マスタサーバが検査データの保持期間を設定するステップと、検査データを主として保持する第1のサーバ装置をサーバクラスタの中から決定するステップと、マスタサーバが検査データを第1のサーバ装置へと送信し、第1のサーバ装置内に保持するステップと、第1のサーバ装置が検査データに関する患者についての検査予約情報の有無を確認するステップと、検査予約情報が確認された場合には、検査予約されている日を基に前記コピーデータの保持期間を設定するステップと、検査予約情報が確認されない場合には、マスタサーバが検査データに対して設定した保持期間を基にコピーデータの保持期間を設定するステップと、第1のサーバ装置が、検査データを基にコピーデータを生成するステップと、第1のサーバ装置が生成されたコピーデータをサーバクラスタを構成する第2のサーバ装置に送信するステップと、第2のサーバ装置においてコピーデータを保持するステップと、第2のサーバ装置がコピーデータの保持期間経過の有無を確認するステップと、保持期間が経過した場合に、第2のサーバ装置が保持期間を経過したコピーデータを削除するステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態における医用画像診断システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるサーバの一般的な内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態におけるマスタサーバの内部構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態におけるプライマリサーバの内部構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態における他サーバの内部構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第1の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の第2の実施の形態における他サーバの内部構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第2の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図9】本発明の第3の実施の形態におけるプライマリサーバの内部構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第3の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の第4の実施の形態における他サーバの内部構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第4の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図13】本発明の第4の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図14】本発明の第5の実施の形態における他サーバの内部構成を示すブロック図である。
図15】本発明の第5の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
図16】本発明の第6の実施の形態におけるマスタサーバの内部構成を示すブロック図である。
図17】本発明の第6の実施の形態におけるコピーデータ削除後に改めてプライマリサーバがコピーデータを生成する流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における医用画像診断システムSの全体構成を示すブロック図である。医用画像診断システムSは、複数のサーバ装置から構成されるサーバクラスタSCと、当該サーバクラスタSCと通信ネットワークNを介して接続されるクライアント端末2と、患者の内部情報を取得するモダリティ3と患者の検査予約に関する情報を保持する管理システム4とから構成される。
【0013】
サーバクラスタSCは、1台のマスタサーバ1Aと単数或いは複数のスレーブサーバから構成される。本発明の実施の形態においては、スレーブサーバは2台(スレーブサーバ1B,1C)設けられている。但し、サーバクラスタを構成するスレーブサーバの台数は、1台以上であれば何台接続されていても良い。
【0014】
なお、サーバクラスタSCの規模大きくなれば、すなわち、医用画像診断システムSを構成するサーバ装置の台数が増えれば、保持可能な検査データの量が増えるため、それだけ大規模システムを構成することが可能となる。
【0015】
サーバクラスタSCのうち、1台のマスタサーバ1Aは特定のサーバにその役割が固定されている。後述するが、本発明の実施の形態においては、マスタサーバ1Aのみが新規の検査データを受信する。また、サーバクラスタSCを構成する各サーバは、全て同じ臨床アプリケーションが搭載されているが、検査データの保持する期間を設定することが可能なのは、マスタサーバ1のみである。
【0016】
マスタサーバ1Aの他には、スレーブサーバ1B,1Cといったサーバ装置がハブ5を介して互いに接続されており、サーバクラスタSCを構成している。そのためこれらマスタサーバ1Aとスレーブサーバ1B,1Cとは、検査データ等、サーバクラスタSCにおいて保持するデータをやり取りすることが可能とされている。また、サーバクラスタSCは、ハブ5を介して通信ネットワークNと接続されている。
【0017】
クライアント端末2は、操作者に対して検査データを表示させる端末である。クライアント端末2としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション等が考えられる。本発明の実施の形態においては、2台のクライアント端末2A,2Bが通信ネットワークNに接続されているが、その数は単数、或いは複数のいずれでも良く、その数は任意に設定することができる。
【0018】
モダリティ3は、上述した医用画像診断装置であり、患者の内部情報を取得する(撮影
する)機器である。モダリティ3は、本発明の実施の形態においては1台のみ示されているが、通信ネットワークNに接続される機器の数は、クライアント端末2同様、任意に設定することができる。
【0019】
管理システム4は、例えば、病院情報管理システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving Communication System)といった医療機関内に構築された各種管理システムである。管理システム4は、患者の検査予約や診療予約といった各種予約情報を管理しており、医用画像診断システムSは、適宜当該予約情報を検査データの保持に利用する。
【0020】
通信ネットワークNは、サーバクラスタSC(ハブ5)、クライアント端末2、モダリティ3及び管理システム4をそれぞれつなぎ、互いの間で、例えば検査データや医用画像情報のやりとりを可能とする。通信ネットワークNの例としては、LAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークを挙げることができる。また、この通信ネットワークNで使用される通信規格は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等、いずれの規格であっても良い。
【0021】
なお、本発明の実施の形態における医用画像診断システムSについては、シンクライアントの構成を採用しても良い。すなわち、シンクライアントの端末であるクライアント端末2から通信ネットワークNを介してサーバクラスタSCに送られてきた操作情報(処理要求)に基づいて、サーバクラスタSCを構成する各サーバはアプリケーションプログラムに従って各種検査データを処理する。そして当該処理結果を再度通信ネットワークNを介して処理要求を出したクライアント端末2へと送信する。
【0022】
クライアント端末2から送信される操作情報(処理要求)は、例えば、医用画像の回転、拡大、視点移動、画像処理パラメータの変更、或いは、患者情報の選択操作といった、各種アプリケーションプログラムによる画像処理操作を指す。
【0023】
また、ここでの「アプリケーションプログラム」としては、例えば、医用画像の読影アプリケーションプログラム、3次元のMPR、ボリュームレンダリング、仮想内視鏡表示等の3D(3次元)医用画像表示アプリケーションプログラム、大腸解析アプリケーションプログラム、心臓解析アプリケーションプログラム等が挙げられる。
【0024】
以下に説明する本発明の各実施の形態では、上述した各種アプリケーションプログラムにおいて使用されるデータをサーバクラスタSCを構成する各サーバ装置内においてコピーして保存する。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態におけるサーバ装置の一般的な内部構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態においては、サーバクラスタSCを構成する各サーバ装置(マスタサーバ1A、スレーブサーバ1B,1C)は、その役割によって備える機能が相違する。従って、図2においては、サーバ装置(ここに示すサーバは、「サーバ装置1」と表わす)として基本的に備えている機能のみを示し、以下まとめて説明する。一方、それぞれの役割によって備える機能については、別途適宜図面を利用して説明する。
【0026】
サーバ装置1は、CPU(Central Processing Unit)1aと、ROM(Read Only Memory)1bと、RAM(Random Access Memory)1c及び入出力インターフェイス1dがバス1eを介して接続されている。入出力インターフェイス1dには、入力部1fと、データ送信部1gと、記憶部1hと、リムーバブルディスク1iとが接続されている。
【0027】
CPU1aは、入力部1fからの入力信号に基づいてROM1bからサーバ装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、記憶部1hに格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。またCPU1aは、入力部1fや入出力インターフェイス1dを介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPU1aは、RAM1cや記憶部1h等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAM1cにロードするとともに、RAM1cから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、検査データの送受信処理やデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0028】
入力部1fは、例えば、通信ネットワークNに接続されているモダリティ3から医用画像等の検査データを受信し、或いは、管理システム4から検査予約等の情報をサーバ装置1に入力する。入力部1fを介して通信ネットワークNから受信したデータは入力信号として、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送信される。
【0029】
データ送信部1gは、サーバ装置1からサーバクラスタSCを構成する他のサーバ装置へ、例えば検査データを送信する。或いは、閲覧要求を出したクライアント端末2に対して該当する医用画像等を含む検査データを送信する。
【0030】
また、入力部1f、或いは、データ送信部1gは、具体的には、例えば、LANカードやモデム等の手段であり、サーバ装置1をハブ5を介してインターネットやLAN等の通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。なお、入力部1fとデータ送信部1gとをまとめて検査データ等を送受信する、例えば、通信制御部として構成することもできる。
【0031】
記憶部1hは、半導体や磁気ディスクで構成されており、CPU1aで実行されるプログラムやデータが記憶されている。また、サーバクラスタSCを構成する各サーバ装置に搭載されている、上述した各種アプリケーションプログラムもこの記憶部1h内に記憶されている。
【0032】
リムーバブルディスク1iは、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インターフェイス1d及びバス1eを介してCPU1aに送受信される。
【0033】
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるマスタサーバ1A1の内部構成を示すブロック図である。マスタサーバ1A1の基本的な構成については、図2を用いて説明した通りである。
【0034】
マスタサーバ1A1は、さらにその特徴として、プライマリサーバ決定部10と保持期間設定部11とが設けられている。本発明の実施の形態においては、マスタサーバ1AはサーバクラスタSCを構成する複数のサーバのうち、1台を「プライマリサーバP」として特定し、その他のサーバを「他サーバO」として特定する。
【0035】
これまでは例えば、複数のサ−バ装置からなるサーバクラスタがあった場合に、上述した通り、サーバクラスタを構成する全てのサーバ装置が同じ検査データをそれぞれ保持していた。そのため、スケーラビリティに欠ける場合があった。本発明の実施の形態においては、ある所定の期間内はサーバクラスタを構成する全てのサーバ装置がそれぞれ同じ検査データを保持するが、この所定の期間が経過した後は、特定の1台のサーバ装置のみが当該検査データを保持し、その他のサーバ装置は当該検査データを削除してしまうこととしている。このようにすることで、検査データはサーバクラスタ内のいずれかのサーバ装置に必ず保持される状態を維持しつつ、一方で、その他のサーバ装置からは当該検査デー
タを削除することで他のサーバ装置の容量を圧迫させることを避けることができるので、サーバクラスタ全体としてのスケーラビリティも確保することができる。
【0036】
本発明の実施の形態を説明するに当たっては、上述した所定の期間が経過した後も検査データを保持しつづけるサーバを「第1のサーバ装置P(以下の説明においては、「プライマリサーバP」と表わす)」とし、所定の期間が経過した後は検査データを削除しサーバクラスタのスケーラビリティの確保に資するサーバ装置を「第2のサーバ装置O(以下の説明においては、「他サーバO」と表わす)」としている。
【0037】
プライマリサーバ決定部10は、「プライマリサーバP」を決定する機能を有しており、サーバクラスタSCを構成するサーバ装置1の中から検査データごとに特定のサーバ1をプライマリサーバPとして決定する。
【0038】
サーバクラスタSCの中からプライマリサーバ決定部10によってプライマリサーバPが決定されると、プライマリサーバP以外のサーバ装置であってサーバクラスタSCを構成するその他のサーバ装置は自動的に「他サーバO」となる。
【0039】
また、プライマリサーバPは、これまで説明してきたマスタサーバ1A、或いは、スレーブサーバ1B,1Cといった括りとは関係なく決定される。従って、マスタサーバ1AがプライマリサーバPとして決定される場合もあれば、例えば、スレーブサーバ1BをプライマリサーバPとし、マスタサーバ1Aとスレーブサーバ1Cとが他サーバOとしての役割を果たす場合もある。
【0040】
「プライマリサーバP」を決定する方法として、例えば、マスタサーバ1A1が受信する検査データを基に、マスタサーバ1A1、スレーブサーバ1B、スレーブサーバ1C、マスタサーバ1A1というように順にプライマリサーバPとして割り当てる方法が考えられる。また、サーバクラスタSC内の各サーバの空き容量を随時確認しておき、マスタサーバ1A1が検査データを受信した時点で最も空き容量が大きいサーバをプライマリサーバPとして決定する方法も考えられる。プライマリサーバPをどのように決定するかについては、医用画像診断システムSが構築される医療機関等の要求によって自由に設定することができる。
【0041】
また、プライマリサーバ決定部10は、検査データと当該検査データを保持するプライマリサーバPとの対応関係を、例えばマッピングテーブルに格納させておき、当該テーブルを、例えば、記憶部1h、或いは、プライマリサーバ決定部10内に記憶しておく。このような処理を行うことによって、検査データがいずれのサーバ装置に保持されているかがすぐに把握できる。
【0042】
保持期間設定部11は、検査データをサーバ装置内において保持する期間を設定する。ここで「保持期間」とは、サーバクラスタSCを構成する全てのサーバ装置が1つの検査データを保持する期間、という意味である。従って、当該保持期間が経過した後は、検査データごとに決定されているプライマリサーバPのみが該当する検査データの保持を継続し、その他の他サーバOは、保持期間の間保持していた該当する検査データを削除する。
【0043】
「保持期間」ついて、例えば、マスタサーバ1A1が通信ネットワークNを介して、例えば、モダリティ3から検査データを受信した日を起点として定めることができる。また具体的な保持期間の日数については、例えば、2日、或いは1週間というように、任意に設定することができる。
【0044】
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるプライマリサーバP1の内部構成を示すブ
ロック図である。
【0045】
サーバの基本構成は、図2で示したサーバ一般の構成と同様である。第1の実施の形態におけるプライマリサーバP1では、コピーデータ生成部20が設けられている点に特徴がある。なお、プライマリサーバP、或いは、他サーバOにおいては入力部1fと同じ機能を果たすものとして受信部が設けられていることとする。但し、これはあくまでもマスタサーバ1Aとスレーブサーバ1B,1Cにおける入力部1fと表現上区別するに過ぎず、従って、受信部の符号も「1f」が付される。
【0046】
プライマリサーバP1は、マスタサーバ1A1が通信ネットワークNを介して受信した検査データを受けて他サーバOにも配信するべく、検査データのコピー(以下、このようなコピーを「コピーデータ」と表わす)を生成する。すなわち、マスタサーバ1A1から受信した検査データは、プライマリサーバP1が保持期間経過後も保持しておくが、保持期間内は他サーバOにおいても保持しておく必要がある。これは保持期間内はサーバクラスタSCを構成する全てのサーバ(プライマリサーバP及び他サーバO)が検査データ、或いは、コピーデータを保持しておくことで、クライアント端末2からの要求に迅速に対応することができ、結果としてクライアント端末2における画像表示性能を劣化させることを避けることができるからである。
【0047】
コピーデータ生成部20は、プライマリサーバP1がマスタサーバ1A1から受信した検査データを基にコピーを生成する。その上で、データ送信部1gを介して当該検査データのコピーであるコピーデータを他サーバOへと送信する。
【0048】
図5は、本発明の第1の実施の形態における他サーバO1の内部構成を示すブロック図である。サーバの基本構成は、図2で示したサーバ一般の構成と同様である。
【0049】
本発明の実施の形態において、クライアント端末2からの閲覧要求が合った場合に、その表示性能を劣化させることなく検査データ(コピーデータ)を提供するべく、他サーバOは、予め定められている保持期間の間、コピーデータを保持するという役割を担っている。
【0050】
また、保持期間が経過した後は、これまで保持していたコピーデータを削除して自身の容量を増やすことによって、サーバクラスタSC全体のスケーラビリティの確保を行うという役割を果たす。
【0051】
このような他サーバOに対して求められる役割を実現するべく、第1の実施の形態における他サーバO1は、コピーデータ保持部30と、コピーデータ削除部32と、判断部31とを備えている。
【0052】
コピーデータ保持部30は、プライマリサーバP1から送信されるコピーデータを保持期間中保持しておく。なお、コピーデータの保持については、ここではコピーデータ保持部30において行っているが、例えば、他サーバOの記憶部1hにおいて行っても良い。
【0053】
保持期間が経過したか否かの判断は、判断部31において行われる。従って、判断部31において保持期間が経過したと判断されない限り、コピーデータ削除部32はコピーデータを削除することはしない。
【0054】
コピーデータ削除部32は、保持期間中、他サーバO1内に保持されているコピーデータを、保持期間経過後削除する。上述したように、コピーデータを削除することで他サーバO1の容量、ひいては、サーバクラスタSCの容量を確保するためである。
【0055】
次に、検査データをサーバクラスタSC内において保持する流れについて、図6を使用して説明する。図6は、本発明の第1の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
【0056】
まず、マスタサーバ1A1が新規の検査データを取得する(ST1)。ここで取得する検査データとは、例えば、モダリティ3によって取得された(撮影された)患者の内部情報を含むデータのことである。
【0057】
ここで何をもって「新規」とするかは任意に定義することができるが、例えば、モダリティ3が本日取得、生成した検査データを「新規の」検査データとすることができる。この場合、新規であるか否かの判断は、検査データ内に含まれる医用画像に付帯されている、例えば、画像生成日情報等を用いることで判断することができる。
【0058】
また、サーバクラスタSC内に初めて登録される検査データを「新規の」検査データとして定義することも可能である。この場合には、マスタサーバ1A1が受信した検査データが新しく登録されるものであるか否かの判断がマスタサーバ1A1内で行われる。
【0059】
なお、図6に示すフローチャートにおいては、マスタサーバ1A1を「マスタ」、プライマリサーバP1を単に「プライマリ」とのみ示している。また、後述する各実施の形態の説明において利用するフローチャートの記載も同様である。
【0060】
そしてマスタサーバ1A1は、受信した検査データに関する保持期間を設定する(ST2)。上述したように、保持期間は任意に設定することが可能である。また、マスタサーバ1A1に送られる検査データの全てを同じ保持期間とすることも、または、検査データを送信するモダリティごと、或いは、検査データごとに保持期間を設定することも可能である。
【0061】
また併せてマスタサーバ1A1(プライマリサーバ決定部10)は、受信した検査データを保持期間経過後も保持する役割を果たすプライマリサーバP1をサーバクラスタSCの中から選択して決定する(ST3)。選択、決定は、上述したように、例えばサーバクラスタSCを構成するマスタサーバ1A1、スレーブサーバ1B,1Cの中から順にプライマリサーバP1として割り当てる等の方法により行われる。
【0062】
プライマリサーバP1が選択、決定されたら、決定されたプライマリサーバP1(サーバ識別子)と当該プライマリサーバP1に保持される検査データ(検査ID等の検査識別子)とを紐づけてテーブルに記憶する。また、当該テーブルには、例えば、患者識別子や検査種別に関する情報、検査日の情報等についても記憶されていても良い。
【0063】
マスタサーバ1A1は、サーバクラスタSCの中からプライマリサーバP1として決定されたサーバに対して、当該検査データを送信する。そして検査データを受信したプライマリサーバP1は、記憶部1hに当該検査データを記憶する(ST4)。プライマリサーバP1は、受信した検査データ、すなわち保持期間経過後も保持する検査データをコピーしてコピーデータ生成部20にてコピーデータを生成する(ST5)。
【0064】
そして生成されたコピーデータは、プライマリサーバP1のデータ送信部1gを介して、全ての他サーバO1へと送信する(ST6)。例えば、スレーブサーバ1BがプライマリサーバP1として決定された場合には、スレーブサーバ1Bにて生成されたコピーデータは、他サーバOに該当するマスタサーバ1A1及びスレーブサーバ1Cへと送信される。
【0065】
他サーバO1の受信部1fにて受信したコピーデータは、コピーデータ保持部30に保持される(ST7)。このコピーデータ保持部30内には、コピーデータが予め定められている保持期間だけ保持されている。従って、サーバクラスタSCのいずれのサーバにも同じ検査データが保持されていることになるため、当該検査データの閲覧要求がクライアント端末2から出されてもいずれのサーバ装置にもアクセス可能であることから、画像表示性能の劣化を招来することはない。
【0066】
例えば、クライアント端末2から検査データの閲覧要求が他サーバO1に出された(クライアント端末2が他サーバO1にアクセスした)場合、当該他サーバO1に保持されている検査データがクライアント端末2の表示部に表示される。また、特に医用画像診断システムSがシンクライアントシステムとして構成されている場合には、他サーバO1のCPU1a等が検査データを処理する医用情報処理部となってクライアント端末2からの要求に応ずることになる。
【0067】
他サーバO1は、コピーデータを保持期間の間保持する。従って、保持期間が経過した後は、当該コピーデータを削除する。そこで、判断部31が保持期間経過の有無を確認する(ST8)。保持期間については、マスタサーバ1A1によって予め定められており、当該保持期間に関する情報は他サーバO1内の記憶部1h内にも記憶されている。
【0068】
判断部31は保持されているコピーデータ(検査データ)内に記憶されている、例えば、検査日に関する情報を基に保持期間を経過したか否かを判断する。また図5には示されていないが、この判断を行うに当たって判断部31は他サーバO1内に設けられている計時部が計測する時間も参考にする。
【0069】
判断部31が判断した結果、保持期間を経過していなければ(ST9のNO)、そのまま他サーバO1はコピーデータを保持する。
【0070】
一方、保持期間が経過した場合には(ST9のYES)、他サーバO1は、保持期間が経過したコピーデータを記憶部1h内からコピーデータ削除部32を用いて削除する(ST10)。このコピーデータの削除は、サーバクラスタSCを構成する他サーバOの全てで行われる。従って、他サーバO1においてコピーデータが削除された後は、サーバクラスタSCにおけるプライマリサーバP1に記憶されている検査データのみが保持されることになる。また、保持期間が経過した後に当該検査データを閲覧する場合には、クライアント端末2は、プライマリサーバP1にアクセスすることになる。
【0071】
以上説明したように、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバが等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する。
【0072】
このような方法を採用することによって、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0074】
第2の実施の形態においては、他サーバO2の機能が第1の実施の形態における他サーバO1の機能と異なる。すなわち、第1の実施の形態においては、マスタサーバ1A1が予め定めた保持期間があり、保持の対象となる検査データをマスタサーバ1A1が受信した時を基準に当該保持期間を考える。
【0075】
一方、第2の実施の形態においては、マスタサーバ1A1が予め定めた保持期間はあるものの、保持対象となっている検査データを持つ患者が、新たに検査の予約を入れていることが確認できた場合には、当該検査予約の日を基準として、この日から保持期間を開始させコピーデータの削除の時期を決定する。この点が第1の実施の形態と大きく異なる点である。
【0076】
図7は、本発明の第2の実施の形態における他サーバO2の内部構成を示すブロック図である。また、図8は、本発明の第2の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末2に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
【0077】
第2の実施の形態における他サーバO2は、これまで説明した他サーバO1の構成に加え、検査予約情報取得部40及び、保持期間設定部41を備えている。
【0078】
検査予約情報取得部40は、通信ネットワークNを介して管理システム4から患者の検査予約に関する情報を取得する。ここで取得する情報の対象は、他サーバO2自身が保持する検査データを持っている患者の検査予約情報である。
【0079】
また、保持期間設定部41は、他サーバO2がコピーデータとして保持する検査データを持っている患者の検査予約情報が存在する場合に、当該検査予約情報における検査日に関する情報を基に保持期間を新たに設定する。
【0080】
他サーバO2における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れについて、ステップST21ないしステップST26までは、第1の実施の形態におけるステップST1ないしステップST6までと同様である。すなわち、マスタサーバ1A1が保持対象となる検査データを受信後、プライマリサーバP1を決定し、決定したプライマリサーバP1に当該検査データを送信する。プライマリサーバP1では受信した検査データを基にコピーデータを生成するとともに、他サーバO2に送信する。
【0081】
送信されたコピーデータを受信した他サーバO2では、まず、コピーデータに関連する患者の検査予約がなされているか否かを確認する(ST27)。具体的には、検査予約情報取得部40が管理システム4から検査予約情報を取得する。この際、取得する検査予約情報については、例えば、取得する日を本日とした場合に、2〜3日先に入っている検査予約に関する情報となる。どの時点の検査予約に関する情報を取得するかについては任意に設定することが可能である。
【0082】
また、検査予約情報取得部40は、適宜検査予約情報を取得することも、或いは、時間を決めて一定の間隔で管理システム4から検査予約情報を取得することもできる。この点も自由に設定することができる。
【0083】
検査予約情報取得部40が取得した検査予約情報のうち、他サーバO2において保持する患者に関する検査予約情報があるか否かについての判断は、例えば、検査予約情報取得部40がコピーデータ保持部30内に記憶されているコピーデータに付帯する、例えば患者IDといった患者情報等を基に行う。或いは、判断部31が当該確認を行っても良い。
【0084】
他サーバO2において保持されるコピーデータの患者に関する検査予約情報が存在する場合には(ST28のYES)、他サーバO2の保持期間設定部41は、検査予約が入っている日を基準として保持期間を設定する(ST29)。この場合、マスタサーバ1A1で設定された保持期間の始点が変更されるだけで保持期間の長さについては変更されないとすることも可能であり、或いは、マスタサーバ1A1が設定した保持期間の長さも併せて変更(設定)することもできる。
【0085】
一方、検査予約情報取得部40が、他サーバO2において保持されるコピーデータの患者に関する検査予約情報を取得しなかった場合には(ST28のNO)、他サーバO2は予め定められている通り、マスタサーバ1A1が検査データを取得した時を基準として所定の保持期間を設定する(ST30)。
【0086】
この後、他サーバO2において、保持期間経過の有無を確認し、保持期間経過後は保持していたコピーデータを削除する流れ(ST31ないしST33)は、第1の実施の形態において説明した通りである(ST8ないしST10)。
【0087】
以上説明したように、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバが等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する。
【0088】
このような方法を採用することによって、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0089】
(第3の実施の形態)
次に本発明における第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、上述の第1、第2の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0090】
第2の実施の形態においては、他サーバO2が管理システム4から検査予約情報を取得して、当該情報を基に保持期間を設定していた。第3の実施の形態においては、この第2の実施の形態における他サーバO2の役割をプライマリサーバP2が行うことを特徴とする。
【0091】
図9は、本発明の第3の実施の形態におけるプライマリサーバP2の内部構成を示すブロック図である。また、図10は、本発明の第3の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末2に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
【0092】
図9のプライマリサーバP2の内部構成を示すブロック図に示されている通り、プライマリサーバP2は、図4で示すプライマリサーバP1の内部構成に検査予約情報取得部40及び保持期間設定部41を付加した構成を備えている。
【0093】
検査予約情報取得部40及び保持期間設定部41の機能については、第2の実施の形態において説明した通りである。すなわち、前者は通信ネットワークNを介して管理システム4から患者の検査予約に関する情報を取得する。なお、ここで取得する情報の対象は、プライマリサーバP2自身が保持する検査データを持っている患者の検査予約情報である。
【0094】
また後者は、プライマリサーバP2が保持する検査データを持っている患者の検査予約情報が存在する場合に、当該検査予約情報における検査日に関する情報を基に保持期間を新たに設定する。
【0095】
第3の実施の形態における保持期間の設定の流れは次のようになる。図10のフローチャートに示す通り、マスタサーバ1A1が新規の検査データを取得し、保持期間を設定した後プライマリサーバP2を決定し、当該検査データをプライマリサーバP2へと送信するところまではこれまでと同様である(ST21ないしST24)。
【0096】
検査データをマスタサーバ1A1から受信したプライマリサーバP2は、当該検査データに関連する患者の検査予約がなされているか否かを確認する(ST41)。具体的には、検査予約情報取得部40が管理システム4から検査予約情報を取得する。この際、どの時点の検査予約に関する情報を取得するかについては任意に設定することが可能であることは上述した通りである。
【0097】
また、検査予約情報取得部40は、適宜検査予約情報を取得することも、或いは、時間を決めて一定の間隔で管理システム4から検査予約情報を取得することもできる。この点も自由に設定することができる。
【0098】
検査予約情報取得部40が取得した検査予約情報のうち、プライマリサーバP2において保持する患者に関する検査予約情報があるか否かについての判断は、例えば、検査予約情報取得部40が記憶部1hに保持されている検査データに付帯する、例えば患者IDといった患者情報等を基に行う。或いは、取得される検査予約情報における患者情報と既に保持されている検査データにおける患者情報との一致、不一致を判断する判断部等を設けて当該確認を行わせても良い。
【0099】
プライマリサーバP2において保持される検査データの患者に関する検査予約情報が存在した場合には(ST42のYES)、プライマリサーバP2の保持期間設定部41は、検査予約が入っている日を基準として保持期間を設定する(ST43)。この場合、マスタサーバ1A1で設定された保持期間の始点が変更されるだけで保持期間の長さについては変更されないとすることも可能であり、或いは、マスタサーバ1A1が設定した保持期間の長さも併せて変更(設定)することもできる。
【0100】
一方、検査予約情報取得部40が、プライマリサーバP2において保持される検査データの患者に関する検査予約情報を取得しなかった場合には(ST42のNO)、プライマリサーバP2は予め定められている通り、マスタサーバ1A1が検査データを取得した時を基準として所定の保持期間を設定する(ST44)。
【0101】
この後、プライマリサーバP2においてコピーデータを生成し、他サーバOへ送信するとともに、他サーバOにおいては、保持期間経過の有無を確認し、保持期間経過後は保持していたコピーデータを削除する流れは、第2の実施の形態において説明した通りである(ステップST25、ステップST26及びステップST31ないしステップST33)。
【0102】
以上説明したように、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバが等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する。
【0103】
このような方法を採用することによって、クライアント端末における画像表示性能の劣
化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0104】
(第4の実施の形態)
次に本発明における第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態において、上述の第1ないし第3の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0105】
これまでの第1ないし第3の実施の形態においては、いわばコピーデータの保持期間を如何に定めるかについて説明した。これに対して、第4の実施の形態及び、後述する第5の実施の形態においては、設定された保持期間の延長について説明する。
【0106】
検査データ、或いは、コピーデータに対して、サーバ装置1の保持期間中にクライアント端末2から閲覧要求、すなわちアクセスがあると、当該閲覧要求に応じて該当する検査データ、或いは、コピーデータを該当するクライアント端末2へと送信する。
【0107】
このことをサーバクラスタSCの側からみると、保持期間中にアクセスがあったということは、今後も該当する検査データ、或いは、コピーデータへのアクセスが行われる可能性がある、ということである。そこで、保持期間経過後にコピーデータを削除するに当たって、当該コピーデータへの保持期間中のアクセスの有無を勘案して保持期間の延長の可否を判断する。
【0108】
すなわち、保持期間中に他サーバOのコピーデータへアクセスがあった場合、次回も当該他サーバOへアクセスする可能性が高いと考えられる。このような状況において保持期間が経過したことをもって当該他サーバOからコピーデータを削除し、プライマリサーバPにのみ検査データを保持していると、クライアント端末2が当該他サーバOへアクセスしてもコピーデータがないことから、改めて検査データが保持されているプライマリサーバPへアクセスし直さなければならない。これではクライアント端末2における画像表示性能の劣化を招来することになる。
【0109】
そこで第4の実施の形態においては、保持期間中にコピーデータへのアクセスが認められる他サーバOでは、そのコピーデータの保持期間を延長して、もともとの保持期間経過後の再度のアクセスに対応できるようにする。
【0110】
図11は、本発明の第4の実施の形態における他サーバO3の内部構成を示すブロック図である。また、図12及び図13は、本発明の第4の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
【0111】
第4の実施の形態における他サーバO3は、図5で示す第1の実施の形態における他サーバO1とその基本構成を同じくしているが、新たにアクセス確認部50及び保持期間延長部51を備えている。
【0112】
アクセス確認部50は、他サーバO3のコピーデータ保持部30内に保持されているコピーデータへのクライアント端末2から閲覧要求(アクセス)の有無を確認する。なお、サーバクラスタSCでは1台以上の他サーバOが存在するが、個々の他サーバOごとにアクセスの有無を確認する。従って、サーバクラスタSCを構成する他サーバOによっては、クライアント端末2からのアクセスを確認することができるものとできないものとに分かれることもある。なお後述するが、アクセスが認められる他サーバOにおいてはコピーデータの保持期間を延長することになり、アクセスが認められない他サーバOにおいては
コピーデータの保持期間は延長されない。
【0113】
保持期間延長部51は、他サーバOのコピーデータへのアクセスが認められる場合に、保持期間として予め定められている所定の期間を延長する。延長幅については、任意に設定することができる。また、この延長幅については、全てのコピーデータを一律に所定の期間延長するように設定しても、或いは、コピーデータ(検査データ)の性質に合わせて延長幅を変更するように設定しても良い。
【0114】
次に具体的な保持期間の延長の流れについて、上述した図12及び図13、特に図13に示すフローチャートを利用して説明する。図12に示す流れは、例えば、第1の実施の形態におけるステップST1ないしステップST9(図6参照)にて説明した流れと同様である。すなわち、マスタサーバ1A1が新規に検査データを取得してから保持期間の設定、プライマリサーバPの設定、プライマリサーバPにおけるコピーデータの生成、他サーバO3における保持及び保持期間経過の有無の確認までの流れを示す(ST51ないしST59)。
【0115】
他サーバO3の判断部31において保持期間の経過の有無が判断され、保持期間が経過したと判断されると(ST59のYES)、上述した実施の形態においては、コピーデータの削除処理に移行する。但し第4の実施の形態においては、削除処理に移行する前に他サーバO3が保持するコピーデータへのアクセスの有無、つまり最終アクセス日を確認する(ST60)。
【0116】
ここで「最終アクセス日」とは、コピーデータの削除処理を行う時点に最も近いアクセス日を意味する。他サーバO3のコピーデータに全くアクセスがない場合には、もちろん最終アクセス日が存在することはない。
【0117】
アクセス確認部50がアクセスの有無を確認した結果、最終アクセス日が確認できた場合には(ST61のYES)、他サーバO3の保持期間延長部51は、最終アクセス日を基準に保持期間の延長を行う(ST62)。その上で、判断部31が延長された保持期間が経過したか否かの判断を行い(ST63)、延長期間が経過した場合には(ST63のYES)、保持期間が経過したコピーデータを削除する(ST64)。
【0118】
ここで延長期間(延長幅)の始点についても任意に設定することが可能である。すなわち、上述した通り最終アクセス日を基準としてその日から延長期間を開始することとしても良い。或いは、保持期間中にアクセスが認められた場合、すなわち最終アクセス日が確認できた場合には、元々の保持期間が経過してから延長期間が開始するものと設定しても良い。この場合、他サーバO3におけるコピーデータの最終的な保持期間は、元々の保持期間に延長期間を加えた期間となる。
【0119】
なお、判断部31が最終アクセス日の確認を行った結果、他サーバO3のコピーデータへのアクセスを確認することができなかった場合には(ST61のNO)、保持期間を延長することなく、削除処理が行われる(ST64)。
【0120】
以上説明したように、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバが等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する。
【0121】
このような方法を採用することによって、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可
能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0122】
(第5の実施の形態)
次に本発明における第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態において、上述の第1ないし第4の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0123】
第4の実施の形態では、他サーバOにおけるコピーデータの保持期間の延長について、他サーバOの保持するコピーデータへのアクセスの有無を基準に延長の有無を判断していた。第5の実施の形態では、保持期間の延長の有無の判断基準として、アクセスの有無ではなく当該コピーデータを持つ患者に関する検査予約情報があるか否かを用いる点に特徴がある。
【0124】
図14は、本発明の第5の実施の形態における他サーバO4の内部構成を示すブロック図である。また、図15は、本発明の第5の実施の形態における医用画像診断の際にクライアント端末に表示される検査データの保持、削除の流れを示すフローチャートである。
【0125】
第5の実施の形態における他サーバO4は、図5で示す第1の実施の形態における他サーバO1とその基本構成を同じくしているが、新たに検査予約情報取得部40及び保持期間延長部51を備えている。
【0126】
検査予約情報取得部40は、通信ネットワークNを介して管理システム4から患者の検査予約に関する情報を取得する。ここで取得する情報の対象は、他サーバO4自身が保持する検査データを持っている患者の検査予約情報である。
【0127】
保持期間延長部51は、他サーバO4のコピーデータを持つ患者に関する検査予約情報がある場合に、保持期間として予め定められている所定の期間を延長する。延長幅については、任意に設定することができる。また、この延長幅については、全てのコピーデータを一律に所定の期間延長するように設定しても、或いは、コピーデータの性質に合わせて延長幅を変更するように設定しても良い。
【0128】
次に具体的な保持期間の延長の流れについて、上述した図14に示すフローチャートを利用して説明する。なお、図14における「A」は、図12における「A」に接続する。従って、図12に示す流れは、第4の実施の形態と共有することになる。図12では、上述した通り、マスタサーバ1A1が新規に検査データを取得してから保持期間の設定、プライマリサーバPの設定、プライマリサーバPにおけるコピーデータの生成、他サーバO3における保持及び保持期間経過の有無の確認までの流れを示す(ST51ないしST59)。
【0129】
他サーバO4の判断部31において保持期間の経過の有無が判断され、保持期間が経過したと判断されると(ST59のYES)、上述した実施の形態においては、コピーデータの削除処理に移行する。但し第5の実施の形態においては、削除処理に移行する前に他サーバO4が保持するコピーデータを持つ患者に関する検査予約情報の有無を確認する(ST71)。
【0130】
具体的には、検査予約情報取得部40が管理システム4から検査予約情報を取得する。この際、どの時点の検査予約に関する情報を取得するかについては任意に設定することが可能であることは上述した通りである。
【0131】
また、検査予約情報取得部40は、適宜検査予約情報を取得することも、或いは、時間
を決めて一定の間隔で管理システム4から検査予約情報を取得することもできる。この点も自由に設定することができる。
【0132】
検査予約情報取得部40が取得した検査予約情報のうち、他サーバO4において保持するコピーデータを持つ患者に関する検査予約情報があるか否かについての判断は、例えば、検査予約情報取得部40が記憶部1hに保持されている検査データに付帯する、例えば患者IDといった患者情報等を基に行う。或いは、このような判断を判断部31において行っても良い。
【0133】
検査予約情報取得部40が検査予約情報の有無を確認した結果、検査予約情報の存在が確認できた場合には(ST71のYES)、他サーバO4の保持期間延長部51は、検査予約情報に含まれる検査予約日を基準に保持期間の延長を行う(ST72)。その上で、判断部31が延長された保持期間が経過したか否かの判断を行い(ST73)、延長期間が経過した場合には(ST73のYES)、保持期間が経過したコピーデータを削除する(ST74)。
【0134】
ここで延長期間(延長幅)についても任意に設定することが可能である。すなわち、上述した通り検査予約日を基準としてその日から延長期間を開始することとしても良い。或いは、保持期間経過後、当該検査予約日が含まれるだけ延長するように延長期間を設定しても良い。この場合、他サーバO4におけるコピーデータの最終的な保持期間は、元々の保持期間に延長期間を加えた期間となる。
【0135】
なお、判断部31が検査予約日の確認を行った結果、他サーバO4のコピーデータを持つ患者に関する検査予約情報を確認することができなかった場合には(ST71のNO)、保持期間を延長することなく、削除処理が行われる(ST73)。
【0136】
以上説明したように、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバが等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する。
【0137】
このような方法を採用することによって、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0138】
(第6の実施の形態)
次に本発明における第6の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態において、上述の第1ないし第5の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0139】
第6の実施の形態は、保持期間が経過した後のサーバクラスタSCを構成するサーバ装置の働きについて説明する。すなわちこれまで説明してきた通り、保持期間は経過しているので、他サーバOからはコピーデータが削除され、プライマリサーバPのみに検査データが保持されている状態である。
【0140】
検査データ及びそのコピーデータは、保持期間中はプライマリサーバP及び他サーバOのサーバクラスタSCを構成する全てのサーバ装置において保持されている。しかし上述したように、保持期間が経過すると、プライマリサーバPに保持されている検査データを除き他サーバOが保持しているコピーデータは削除されてしまう。但し、サーバクラスタSCのスケーラビリティを確保するためにはこのような保持方法が最適である。
【0141】
従って保持期間経過後は、プライマリサーバPにのみ検査データが保持されていることになるが、一方で、保持期間経過後に当該検査データに関連する患者が検査予約を入れている場合には、プライマリサーバPに保持されている従前の検査データにアクセスする必要が出てくることも考えられる。このようなアクセスがあった場合に適切に対応できなければ、クライアント端末2における画像表示性能の劣化を招来することになりかねない。
【0142】
そこで第6の実施の形態では、保持期間経過後に当該検査データに関連する患者が検査予約を入れていることが確認できた場合には、保持期間経過に伴って他サーバOにおいて削除されたコピーデータをプライマリサーバPにおいて再度生成する。その上でプライマリサーバPから再度他サーバOに配信、保持させることによって、クライアント端末2における画像表示性能の劣化を回避する。
【0143】
図16は、本発明の第6の実施の形態におけるマスタサーバ1A2の内部構成を示すブロック図である。また、図17は、本発明の第6の実施の形態におけるコピーデータ削除後に改めてプライマリサーバPがコピーデータを生成する流れを示すフローチャートである。以下、図17のフローチャートを基に図16に示すマスタサーバ1A2の働きも交えつつ第6の実施の形態における処理を説明する。
【0144】
保持期間経過後に削除されたコピーデータに関する患者の検査予約の有無に関しては、マスタサーバ1が検査予約情報を取得して確認する(ST81)。図16のブロック図に示す通り、第6の実施の形態におけるマスタサーバ1A2は、基本的なサーバ装置の構成の他に、検査予約情報確認部60を備えている。
【0145】
検査予約情報確認部60は、通信ネットワークNを介して管理システム4にアクセスし、検査予約情報の有無について確認を行う。確認する頻度については、例えば、日々の診察が終了した後、或いは、医療機関内におけるその日の検査業務が全て終了した後、といった特定の時に定期的に管理システム4に確認しても良い。また、ある間隔ごとに新規に登録された検査予約情報のみを管理システム4から送信してもらうことで確認を行う、といった方法も採用しうる。いずれにしても設定は任意に行うことが可能である。
【0146】
なお、マスタサーバ1A2が取得する検査予約情報は、新規の検査予約情報である。ここで「新規の検査予約情報」とは、これまで検査予約情報確認部60が管理システム4から取得したことがなく確認を行ったことのない情報である。このように検査予約情報確認部60が確認する検査予約情報を新規なものとしているのは、上述したように例えば、検査予約情報確認部60は予め定められている間隔で検査予約情報の有無を確認しているのであり、確認済みの検査予約情報について改めて確認する必要性に乏しいからである。
【0147】
このような方法は、確認の頻度とも関連するが、日々多くの検査予約情報が登録される医療機関においては特に有効である。また、このように確認の基となる検査予約情報の性質を予め定めておくことによって、検査予約情報を見逃すといった不都合を回避することができる。
【0148】
マスタサーバ1A2は、取得した検査予約情報内に、サーバクラスタSC内、すなわちこの段階ではプライマリサーバP内に保持されている検査データの患者と同じ患者に関する検査予約情報が含まれているか否かを確認する(ST82)。マスタサーバ1A2の例えばプライマリサーバ決定部10内には、検査データと当該検査データを保持しているプライマリサーバPとの対応関係を示すマッピングテーブルが設けられている。
【0149】
従って、マスタサーバ1A2は、当該マッピングテーブルに格納されている情報と取得
した検査予約情報とを付き合わせることによって、検査予約情報の患者に関する検査データがいずれのサーバに保持されているかがすぐに把握できる(ST83)。
【0150】
マッピングテーブル内を確認した結果、取得した検査予約情報の患者に関する検査データが見つからなかった場合には(ST83のNO)、改めて新規予約に関する情報を管理システム4から取得する。
【0151】
削除されたコピーデータの患者に関する新規な検査予約情報が管理システム4に存在することが検査予約情報確認部60によって確認された場合には(ST83のYES)、マスタサーバ1A2は、保持されている検査データ、すなわち、新規な検査予約情報が登録されている患者に関する検査データを保持するプライマリサーバPをプライマリサーバ決定部10において特定する(ST84)。
【0152】
そしてその旨、当該プライマリサーバPに対してマスタサーバ1A2から通知が送られるとともに、特定されたプライマリサーバPに対して、当該プライマリサーバPが保持している検査予約情報に関する患者の検査データを基にコピーデータの再生成を依頼する(ST85)。
【0153】
これは、検査予約情報から当該患者に関して検査が行われ新たな検査データが取得された場合に、従前の検査データにアクセスして診察に利用される可能性が考えられるからである。そのような場合はクライアント端末2からサーバクラスタSCへのアクセス(閲覧要求)がなされるが、その際にプライマリサーバPのみが検査データを保持している状態ではクライアント端末2の画像表示性能を適切に発揮させることができない可能性もある。そこで、第1ないし第5の実施の形態において説明した通り、プライマリサーバPのみに検査データを保持するのではなく、当該検査データをコピーしてコピーデータを生成し、それらコピーデータを他サーバOが保持することで、クライアント端末2の画像表示性能を維持する。
【0154】
マスタサーバ1A2からのコピーデータ再生成の依頼を受けたプライマリサーバPは、コピーデータを生成し、他サーバOに送信する(ST86)。コピーデータを受信した他サーバOは、一旦保持期間が経過したため削除したコピーデータを再度保持する(ST87)。これで、検査予約情報の患者に関する従前の検査データ及びそのコピーデータをサーバクラスタSC内のプライマリサーバP及び他サーバOがそれぞれ保持している状態が作出される。このような状態を新たな保持期間中維持することによって、クライアント端末2が必要するときに適切なタイミングで検査データ、或いは、そのコピーデータを提供することが可能となる。
【0155】
以上説明したように、他サーバにおける保持期限が経過した検査データ等に関する患者の検査予約情報が登録されている場合に、一旦削除されたコピーデータを再度生成しクライアント端末からのアクセスに備えることによって、クライアント端末における画像表示性能の劣化を招来することなくサーバ装置のスケーラビリティを確保し、大規模システムに対応可能な医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができる。
【0156】
なお、第6の実施の形態においても第1ないし第5の実施の形態における効果が前提となっていることから、サーバクラスタ内における検査データの保持に関し予め期間を設け、当該期間中はサーバクラスタを構成する全てのサーバ装置が等しく当該検査データを保持し、当該期間が経過した後は、他サーバOは保持していた当該検査データを削除する一方、プライマリサーバPにおいて引き続き継続して当該検査データを保持する医用画像診断システム及び医用画像診断方法を提供することができるのはもちろんである。
【0157】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。例えば、上述した実施の形態において、コピーデータの削除に関して、当該コピーデータを保持する他サーバが削除することを前提に説明したが、例えば、保持期間経過後にプライマリサーバが他サーバのコピーデータを削除するように構成しても良い。また、その他、プライマリサーバが行う処理、他サーバが行う処理を互いに他方が行うように構成しても良い。
【0158】
この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0159】
1A マスタサーバ
1B スレーブサーバ
1C スレーブサーバ
2 クライアント端末
3 モダリティ
4 管理システム
S 医用画像診断システム
SC サーバクラスタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17