(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(B)工程において、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、サリチル酸フェニル系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を0.1〜10重量部添加する請求項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、10,000〜50,000である請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔE ={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)2}1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術に鑑み、芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂の粉粒体を得、その得られたポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程において、実質的に分子量低下が少なく、色相の優れた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、驚くべきことに芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂の粉粒体を得る工程において、芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に特定のリン系安定剤を予め配合しておき、さらに得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程において、特定のリン系安定剤を配合することで、実質的に分子量低下が少なく、色相の優れた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットが得られることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明によれば、
1.下記(A)および(B)の工程を経て芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、
(A)芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程
(B)(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程
(A)工程の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液に該芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.003〜0.05重量部を添加すること、かつ(B)工程の押出時に該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部あたり下記式(1)で示されるリン系安定剤0.005〜0.1重量部を添加することを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
【化1】
(R
1〜R
3は、それぞれ炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基を表し、m及びnは、それぞれ0〜4の整数を表す。)
2.式(1)で示されるリン系安定剤におけるR
1及びR
2が、それぞれtert−ブチル基である前項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
3.(B)工程において、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部あたり、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系、サリチル酸フェニル系およびヒンダードアミン系の紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を0.1〜10重量部添加する前項1または2に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
4.芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、10,000〜50,000である前項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
5.ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下である前項1〜4のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
ΔE ={(L−L’)
2+(a−a’)
2+(b−b’)
2}
1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法は、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの色相を高度に向上させ、さらに芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの分子量低下を高度に抑制することができるため、自動車ランプレンズ、照明グローブ、各種光学レンズ、グレージング、アーケード用途等に好適に使用され、その奏する産業上の効果は格別である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
(リン系安定剤)
本発明で用いるリン系安定剤としては、上記式(1)で示される化合物である。
R
1〜R
3は、それぞれ、炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基である。R
1及びR
2は、それぞれ、好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、R
3は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基である。R
1及びR
2の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などが挙げられ、特に好ましくは、tert−ブチル基が挙げられる。R
3の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられ、特に好ましくは,直鎖のオクチル基が挙げられる。m及びnは、それぞれ0〜4の整数であり、好ましくは2である。m及びnが2の場合、R
1及びR
2は、ベンゼン環に結合している酸素原子のオルソ位及びパラ位で結合していることが好ましい。
【0011】
リン系安定剤としては、好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
【化2】
【0012】
R
4〜R
8は、それぞれ炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルキル基である。R
4〜R
7は、それぞれ好ましくは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であり、R
8は、好ましくは炭素数1〜18の直鎖または分岐のアルキル基である。
【0013】
リン系安定剤としては、上記式(2)で示される化合物であって、R
4〜R
7は、それぞれ、tert−ブチル基であり、R
8が直鎖のオクチル基である化合物が特に好ましい。この安定剤は(株)ADEKAからアデカスタブHP−10の名称で市販されている。かかる安定剤を用いることで、トリス(2,4―ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトやビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジフォスファイト等の他のリン系熱安定剤に比べて、滞留成形後の色調安定性が優れたポリカーボネート樹脂ペレットを得ることができる。
【0014】
前記式(1)で示されるリン系安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して(A)工程において0.003〜0.05重量部、(B)工程において0.005〜0.1重量部である。リン系安定剤の配合量が(A)工程において0.003重量部未満であると、安定剤としての効果が不十分であり、0.05重量部を越えて添加しても効果の更なる向上は得られない。また、(B)工程においても0.005重量部未満であると、安定剤としての効果が不十分であり、0.1重量部を越えて添加しても効果の更なる向上は得られない。前記式(1)で示されるリン系安定剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、好ましくは(A)工程において0.004〜0.01重量部、(B)工程において0.01〜0.05重量部であり、より好ましくは(A)工程において0.005〜0.009重量部、(B)工程において0.01〜0.04重量部である。
【0015】
((A)工程)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、(A)工程として芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得る工程を行う。
【0016】
芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液とは、通常、界面重合法における製造において反応終了時点で得られる「芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液」を示し、この溶液について酸性水あるいは/および中性水での撹拌洗浄処理、一定の濃縮処理、異物除去等を目的とした濾過処理、水分除去処理、その他製造工程で行われているいずれの処理を施したものであっても、また、複数の処理を施したものであってもよい。
【0017】
また、本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液は、予め準備した乾燥芳香族ポリカーボネート樹脂のパウダー、フレーク、あるいはペレットを有機溶媒に溶かしたものも使用できるが、工程管理が容易である上記界面重合法における製造において反応終了時点で得られる「芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液」が好ましい。
【0018】
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液から有機溶媒を除去して得られる固体の芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を製造する方法とは、該有機溶媒溶液を公知の方法や装置を用いて加熱濃縮しながら造粒し、得られた粉体を乾燥する方法を示す。造粒法としては、例えば、貧溶媒法やニーダーを用いる方法、薄膜蒸発器を用いる方法、スプレードライヤーを用いる方法、スチームチューブドライヤーを用いる方法、フラッシュドライ法等が挙げられる。また、濃縮槽で濃縮して加熱溶融状態のまま押出しペレット化する方法、濃縮槽で濃縮して得られた固体を粉砕する方法、濃縮槽で濃縮して溶融状態のまま押出をして得たペレットを粉砕する方法などがある。貧溶媒法で用いる攪拌システムとしては、パドル翼撹拌、ヘリカル翼撹拌、ホモミキサー撹拌、ニーダー撹拌等が挙げられる。
【0019】
((B)工程)
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを製造する方法において、上記(A)工程で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に各種添加剤を配合して押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る工程を行う。
各種添加剤としては、例えば以下のような添加剤が挙げられる。
【0020】
芳香族ポリカーボネート樹脂の成形時における分子量の低下や色相の悪化を高度に防止するために、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体の押出時に上記式(1)のリン系安定剤に加えて他の熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜フォスホン酸、フォスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリオクチルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、ジデシルモノフェニルフォスファイト、ジオクチルモノフェニルフォスファイト、ジイソプロピルモノフェニルフォスファイト、モノブチルジフェニルフォスファイト、モノデシルジフェニルフォスファイト、モノオクチルジフェニルフォスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリブチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリメチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルフォスフェート、ジブチルフォスフェート、ジオクチルフォスフェート、ジイソプロピルフォスフェート、ベンゼンフォスホン酸ジメチル、ベンゼンフォスホン酸ジエチル、ベンゼンフォスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、亜リン酸、トリメチルフォスフェート、ベンゼンフォスホン酸ジメチルが好ましく使用される。かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
【0021】
芳香族ポリカーボネート樹脂の酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、該芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部に対して0.001〜0.1重量部が好ましい。
【0022】
芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない程度で芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に離型剤を配合することができる。かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、ポリオルガノシロキサン、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられ、なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。
【0023】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に紫外線吸収剤を配合することができる。紫外線吸収剤化合物は、具体的に、ベンゾフェノン系では、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等があげられ、ベンゾトリアゾール系では、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾ−ルがあげられ、ヒドロキシフェニルトリアジン系では、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−メチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−エチルオキシフェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−プロピルオキシフェノール、および2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ブチルオキシフェノールなどがあげられ、サリチル酸フェニル系では、フェニルサルチレート、2−4−ジターシャリーブチルフェニル−3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等があげられ、ヒンダードアミン系では、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等があげられ、これらを単独あるいは2種以上の混合物で用いることができる。かかる紫外線吸収剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100重量部に対して0.005〜0.5重量部が好ましい。
【0024】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に帯電防止剤を配合することができる。かかる帯電防止剤としては、例えばポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド、カーボン、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0025】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体にブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤は、樹脂組成物の黄色味を消すために有効である。とくに耐候性を付与した組成物の場合は、一定量の紫外線吸収剤が配合されているため「紫外線吸収剤の作用や色」によって樹脂製品が黄色味を帯びやすい現実があり、とくにシート製品やレンズ製品に自然な透明感を付与するためにはブルーイング剤の配合は非常に有効である。ブルーイング剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体全体の0.05〜1.5ppmであり、好ましくは、0.1〜1.2ppmである。配合量多すぎると樹脂製品の青みが強くなって視感透明度が低下する。ブル−イング剤としては代表例として、バイエル社のマクロレックスバイオレットBやサンド社のテトラゾールブルーRLS等があげられるが、特に制限されるものではない。
【0026】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体に難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、有機塩系難燃剤、芳香族リン酸エステル系難剤、あるいは、ハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤等があげられ、それらを一種以上配合することができる。具体的にハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤は、テトラブロモビスフェノールAのポリカーボネート型難燃剤、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAとの共重合ポリカーボネート型難燃剤等である。具体的に有機塩系難燃剤は、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、ビス(2,6−ジブロモ−4−クミルフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−クミルフェニル)リン酸ナトリウム、ビス(p−トルエンスルホン)イミドカリウム、ビス(ジフェニルリン酸)イミドカリウム、ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(2,4−ジブロモフェニル)リン酸カリウム、ビス(4−ブロモフェニル)リン酸カリウム、ジフェニルリン酸カリウム、ジフェニルリン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウムあるいはカリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウムあるいはカリウム等である。具体的にハロゲン化芳香族リン酸エステル型難燃剤は、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェート等である。具体的に芳香族リン酸エステル系難剤は、トリフェニルホスフェート、トリス(2,6−キシリル)ホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)レゾルシンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)ヒドロキノンジホスフェート、テトラキス(2,6−キシリル)−4,4’−ビフェノールジホスフェート、テトラフェニルレゾルシンジホスフェート、テトラフェニルヒドロキノンジホスフェート、テトラフェニル−4,4’−ビフェノールジホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンとフェノールでありフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンとフェノールでありフェノール性OH基を含まない芳香族ポリホスフェート、同様のフェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェート、(以下に示す「芳香族ポリホスフェート」は、フェノール性OH基を含む芳香族ポリホスフェートと含まない芳香族ポリホスフェートの両方を意味するものとする)芳香環ソースがビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAとフェノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがレゾルシンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがヒドロキノンと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート、芳香環ソースがテトラブロモビスフェノールAと2,6−キシレノールである芳香族ポリホスフェート等である。
【0027】
ポリカーボネート樹脂粉粒体に他の樹脂やエラストマーを少割合配合することもできる。
かかる他の樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0028】
また、エラストマーとしては、例えばイソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム、アクリル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メタクリル酸メチル/ステレン/ブタジエン)ゴム、MAS(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/スチレン)ゴム等が挙げられる。
【0029】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体と上記式(1)のリン系安定剤や他の添加剤をブレンドする方法としては、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール等で混合する方法が適宜用いられる。こうして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体のブレンド品は、溶融押出し、芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットを得る。得られたペレットは、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート押出し法等の通常知られている方法で成形品やシートにすることができる。
【0030】
芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体とリン系安定剤や他の添加剤とのブレンドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段階以上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施する方法には、例えば、配合予定の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーの一部と配合添加剤とをブレンドした後、つまり、配合添加剤を芳香族ポリカーボネート樹脂パウダーで希釈して添加剤のマスターバッチとした後、これを用いて最終的なブレンドを行う方法がある。
【0031】
(粘度平均分子量)
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、14,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強度を有するので好ましい。
【0032】
本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(η
SP)を次式に挿入して求めるMを指す。
η
SP/c=[η]+0.45×[η]
2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10
−4M
0.83
c=0.7
【0033】
(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法)
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重合法(溶液法)また溶融法で反応させて得られるものであり、好ましくは界面重合法(溶液法)で得られたものである。ここで使用される二価フェノールの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ましい。
【0034】
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノールは単独または2種以上を使用することができ、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
【0035】
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間程度である。
【0036】
溶融法による反応は、通常二価フェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニルカーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1mmHg以下にして生成したフェノール類を系外に除去させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0037】
また、重合反応において、末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。とくにカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記式(3)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0038】
【化3】
[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。]
【0039】
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0040】
(芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットの特性)
本発明の製造方法で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂ペレットは、成形耐熱性に優れる。
該ポリカーボネート樹脂ペレットは、該ポリカーボネート樹脂ペレットをシリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して得られた厚み2mmの「滞留前の成形板」と、シリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して得られた厚み2mmの「滞留後の成形板」とにおいて、下記式により算出される成形板の色相変化(ΔE)が0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
ΔE ={(L−L’)
2+(a−a’)
2+(b−b’)
2}
1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
【0041】
また、同様の成形条件において、下記式により算出される成形板の粘度平均分子量の変化(ΔM)が1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましく、1.0以下であることがさらに好ましい。
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の粘度平均分子量:M
「滞留後の成形板」 の粘度平均分子量:M’
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
【0043】
(1)成形耐熱性:各実施例で得られたペレットを最大型締め力が85Tonの射出成形機にて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃の条件で、成形サイクル60秒で成形して「滞留前の成形板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。さらに、該射出成形機のシリンダー中に樹脂を10分間滞留させた後に成形して、「滞留後の成形板」(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を得た。滞留前後の成形板の色相(L、a、b)を、日本電色(株)製SE−2000を用いてC光源反射法で測定し、下記式により色差ΔEを求めた。ΔEが大きいほど成形耐熱性に劣ることを示す。
ΔE ={(L−L’)
2+(a−a’)
2+(b−b’)
2}
1/2
「滞留前の成形板」の色相:L、a、b
「滞留後の成形板」の色相:L’、a’、b’
また、得られた滞留前後の成形板の粘度平均分子量の変化(ΔM)を測定した。ΔMが大きいほど成形耐熱性に劣ることを示す。
ΔM = M−M’
「滞留前の成形板」 の分子量:M
「滞留後の成形板」 の分子量:M’
【0044】
(2)耐沸水性:各実施例で得たペレットを日本製鋼所製射出成形機J85−ELIIIを用いて、シリンダー温度350℃、金型温度80℃、1分サイクルにて成形して得た成形板(縦90mm×横50mm×厚み2mm)を、ヤマト科学(株)製オートクレーブSN510を使用して、温度120℃、湿度100%の条件で11時間処理した。処理前後のHazeを、日本電色(株)製NDH−2000型を用いて、ISO14782に準じて測定し、処理前後のHazeの変化(ΔHaze)を下記式にて求めた。ΔHazeが大きいほど耐沸水性に劣る事を示す。
ΔHaze = 処理後の成形板のHaze − 処理前の成形板のHaze
【0045】
(3)耐候性:各実施例で得たペレットを日本製鋼所製射出成形機J85−ELIIIを用いて、シリンダー温度350℃、金型温度85℃、2分サイクルにて成形して得た成形板(縦90mm×横50mm×厚み2mm)について、スガ試験機株式会社製サンシャインウェザオメーターWEL−SUN−HC−Bを用い、ブラックパネル温度63℃、雨あり(18分/120分)の条件で、3000hr処理をした。耐候促進試験3,000hr処理前後で成形品のYI(黄色度)を測定し、黄色変化度(ΔYI)を評価した。評価機器として日本電色(株)製SE2000を用いてC光源、視野角2°、透過法で測定した。
【0046】
なお、表1における記号表記の各成分は下記の通りである。
(a成分)
a−1:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
a−2:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量23,900の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
a−3:ビスフェノールAとホスゲンから界面重合法により製造された粘度平均分子量27,000の芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー
(b成分)
b−1:リン系酸化防止剤 2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト ((株)ADEKA製 アデカスタブHP−10)
b−2:リン系酸化防止剤 トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト (バスフジャパン(株)製 イルガフォス168)
b−3:ヒンダードフェノール系酸化防止剤 オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート (バスフジャパン(株)製 イルガノックス1076)
b−4:リン系酸化防止剤 ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト ((株)ADEKA製 アデカスタブPEP−36)
(c成分)
c−1:離型剤 グリセリンモノステアレート (理研ビタミン(株)製 リケマールS−100A)
c−2:離型剤 ペンタエリスリトールテトラステアレート (エメリー オレオケミカルズ(株)製:ロキシオールVPG861)
(d成分)
d−1:紫外線吸収剤 2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール (ケミプロ化成(株)製 ケミソーブ79)
d−2:紫外線吸収剤 2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール (バスフジャパン(株)製 チヌビン1577)
(その他添加剤)
ブルーイング剤(バイエル(株)製:マクロレックスバイオレットB)
【0047】
[実施例1〜5、8〜10、比較例1〜7]
(A工程)ビスフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末端停止剤)とホスゲンから界面重合法により得られた粘度平均分子量22,500の芳香族ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液(約12%重量濃度)に、b成分を表1に示した通り添加混合した。この溶液を60℃の温水(ニーダー内部空間容量の10%程度を占める量)が仕込まれたニーダーに撹拌下で投入し、スチームを吹込みながら塩化メチレンを蒸発除去させて芳香族ポリカーボネート樹脂の造粒を行った。塩化メチレン溶液の投入には1時間をかけ、投入終了後もそのまま撹拌を10分間継続して行い、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体の水スラリーを得た。得られた水スラリーは、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体の量が水スラリーの量に対して約25重量%であり、塩化メチレンの量が水スラリーの量に対して約25重量%であった。かかる水スラリーを粉砕機に通してスラリー中の芳香族ポリカーボネート樹脂を粉砕し、さらに遠心脱水を行い芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。この芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体を乾燥機に入れて120℃で7時間乾燥し、芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体(パウダー)を得た。
【0048】
(B工程)(A工程)で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂粉粒体100部に、b〜d成分とブルーイング剤を表1に示した通り添加し、タンブラーにて充分混合した後に、30mmφベント式二軸押出成形機により温度290℃、真空度4.7kPaでペレット化した。
【0049】
[実施例6]
粘度平均分子量が23,900の界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用すること以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0050】
[実施例7]
粘度平均分子量が27,000の界面重合法により得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用すること以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0051】
【表1】