(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、半導体集積回路の構成を示す図である。半導体集積回路50は、
図1(a)に示されるように、外部端子が接続されるパッド53と、半導体集積回路50のコアであり半導体集積回路の主機能を担う内部回路55が配置される内部ロジック領域51と、内部ロジック領域51と外部との間に配置されて電気的特性の整合をとる入出力回路を有するインターフェース領域52とを具備する。パッド53に出力信号が接続される場合、インターフェース領域52には、
図1(b)に示されるように、レベルシフト回路56とドライバ回路57とが配置される。レベルシフト回路56は、ドライバ回路57を駆動することができるように、内部ロジック領域51に配置される内部回路55から出力される信号のレベルを変換する。
【0014】
通常、内部ロジック領域51に配置される内部回路55は、低耐圧のトランジスタにより構成され、外部回路を駆動するドライバ回路57は、高耐圧のトランジスタにより構成される。したがって、レベルシフト回路56には、高耐圧のトランジスタを用いることが好ましいが、前述のように、低耐圧のトランジスタのみを用いて構成されることが要求される。
【0015】
(第1の実施の形態)
図2に、第1の実施の形態に係る低耐圧のトランジスタを用いて高い電圧レベルの信号を出力するレベルシフト回路56の構成を示すブロック図が示される。レベルシフト回路56は、第1回路10と、第2回路とを具備する。ここで、基準電源電圧GNDを0(ボルト)、低い電源電圧(例えば1.8ボルト)を第1電源電圧VCCL、高い電源電圧(例えば3.3ボルト)を第2電源電圧VCCHとする。第1回路は、0ボルトから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号を入力して所望の信号レベルである第1電源電圧VCCLから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号に変換して出力する。第2回路20は、内部回路55から出力される0ボルトから第1電源電圧VCCLの範囲の振幅を有する信号を入力して0ボルトから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号に変換して出力する。また、第2回路20は、第1回路10から出力される第1電源電圧VCCLから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号を入力する。
【0016】
図3は、第1回路10および第2回路20を備えるレベルシフト回路56の具体的な回路構成を示す回路図である。第1の実施の形態に係るレベルシフト回路56は、第1回路10と、第2回路20と、入力信号INの反転信号を生成するインバータ回路40とを具備する。第1回路10は、Pチャネル型MOSトランジスタ(以降Pトランジスタと略記する)P15、P16、P25、P26を備える。第2回路20は、PトランジスタP13、P14、P23、P24と、Nチャネル型MOSトランジスタ(以降Nトランジスタと略記する)N11、N12、N21、N22とを備える。
【0017】
第1回路10では、第2電源電圧VCCHと、第1電源電圧VCCLとの間に、PトランジスタP15、P16が直列に接続され、それと並列に、PトランジスタP25、P26が直列に接続される。すなわち、PトランジスタP15のソースは第2電源電圧VCCHに接続され、PトランジスタP15のドレインとPトランジスタP16のソースとはノードOUTBに接続され、PトランジスタP16のドレインは第1電源電圧VCCLに接続される。PトランジスタP25のソースは第2電源電圧VCCHに接続され、PトランジスタP25のドレインとPトランジスタP26のソースとはノードOUTPに接続され、PトランジスタP26のドレインは第1電源電圧VCCLに接続される。PトランジスタP15のゲートはノードOUTPに、PトランジスタP25のゲートはノードOUTBに接続される。PトランジスタP16のゲートはノードa2に接続され、PトランジスタP26のゲートはノードb2に接続される。PトランジスタP15、P16、P25、P26のバックゲートは第2電源電圧VCCHに接続される。
【0018】
第2回路20では、第2電源電圧VCCHと基準電源電圧GNDとの間に、PトランジスタP14、P13、NトランジスタN12、N11がこの順に直列に接続される。これと並列に、PトランジスタP24、P23、NトランジスタN22、N21が第2電源電圧VCCHと基準電源電圧GNDとの間にこの順に直列に接続される。NトランジスタN11のゲートは、ノードINPに接続され、入力信号INが印加される。NトランジスタN21のゲートは、ノードINBに接続され、入力信号INがインバータ回路40によって論理反転された信号が印加される。NトランジスタN11、N21のソースは基準電源電圧GNDに接続される。NトランジスタN11のドレインと、NトランジスタN12のソースとは、ノードa1に接続される。NトランジスタN21のドレインと、NトランジスタN22のソースとは、ノードb1に接続される。NトランジスタN11、N12、N21、N22のバックゲートは、基準電源電圧GNDに接続される。
【0019】
NトランジスタN12のドレインと、PトランジスタP13のドレインとは、ノードa2に接続され、さらにPトランジスタP16のゲートに接続される。ノードa2は、第2回路20の出力ノードの一つである。NトランジスタN22のドレインと、PトランジスタP23のドレインとは、ノードb2に接続され、さらにPトランジスタP26のゲートに接続されるノードb2は、第2回路20の出力ノードの一つである。PトランジスタP13のソースと、PトランジスタP14のドレインとは、ノードa3に接続され、PトランジスタP14のソースは第2電源電圧VCCHに接続される。PトランジスタP23のソースと、PトランジスタP24のドレインとは、ノードb3に接続され、PトランジスタP24のソースは第2電源電圧VCCHに接続される。NトランジスタN12、N22のゲート、PトランジスタP13、P23のゲートは、第1電源電圧VCCLに接続される。したがって、NトランジスタN12、N22およびPトランジスタP13、P23は、常時オン状態であり、耐圧保護用トランジスタとして機能する。PトランジスタP13、P14、P23、P24のバックゲートは第2電源電圧VCCHに接続される。
【0020】
第1の実施の形態に係るレベルシフト回路の動作を説明する。
【0021】
まず、入力信号INが立ち下がるときの動作を説明する。入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)から基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)に遷移すると、NトランジスタN11はオフ状態になる。入力信号INは、インバータ回路40によって論理反転され、ノードINBは第1電源電圧VCCL(ハイレベル)になり、NトランジスタN21はオン状態になる。NトランジスタN21がオン状態になると、ノードb1の電圧は下降し、常時オン状態のNトランジスタN22を介してノードb1に接続されるノードb2の電圧も降下する。ノードb2の電圧が下降すると、PトランジスタP26がオン状態になる。
【0022】
PトランジスタP26がオン状態になると、ノードOUTPの電圧は、第1電源電圧VCCLに向かって下降する。ノードOUTPにゲートが接続されるPトランジスタP14、P15は、オン状態になり、ノードa3、OUTBの電圧は、第2電源電圧VCCHに向かって上昇する。常時オン状態のPトランジスタP13を介してノードa3に接続しているノードa2の電圧も上昇し、ノードa2にゲートが接続されるPトランジスタP16は、ほぼオフ状態もしくは弱いオン状態になる。常時オン状態のNトランジスタN12を介してノードa2に接続されるノードa1の電圧は、“VCCL−Vtn”まで上昇する。ここで、VtnはNトランジスタの閾値電圧である。PトランジスタP16がほぼオフ状態になるため、ノードOUTBの電圧は第2電源電圧VCCHになり、PトランジスタP24、P25をオフ状態にする。PトランジスタP25がオフ状態になるため、ノードOUTPの電圧は、第1電源電圧VCCLになる。また、ノードOUTBの電圧が第2電源電圧VCCHになると、PトランジスタP14もノードa3を介してノードa2に第2電源電圧VCCHを与えているため、PトランジスタP16は完全なオフ状態になる。
【0023】
入力信号INが立ち上がるとき、すなわち、入力信号INが基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)から第1電源電圧VCCL(ハイレベル)に遷移すると、NトランジスタN11はオン状態になり、反転信号が入力されるNトランジスタN21はオフ状態になる。NトランジスタN11がオン状態になると、ノードa1の電圧は下降し、常時オン状態のNトランジスタN12を介してノードa1に接続されるノードa2の電圧も降下する。ノードa2の電圧が下降すると、PトランジスタP16がオン状態になる。
【0024】
PトランジスタP16がオン状態になると、ノードOUTBの電圧は、第1電源電圧VCCLに向かって下降する。ノードOUTBにゲートが接続されるPトランジスタP24、P25は、オン状態になり、ノードb3、OUTPの電圧は、第2電源電圧VCCHに向かって上昇する。常時オン状態のPトランジスタP23を介してノードb3に接続しているノードb2の電圧も上昇し、ノードb2にゲートが接続されるPトランジスタP26は、ほぼオフ状態もしくは弱いオン状態になる。常時オン状態のNトランジスタN22を介してノードb2に接続されるノードb1の電圧は、“VCCL−Vtn”まで上昇する。PトランジスタP26がほぼオフ状態になるため、ノードOUTPの電圧は第2電源電圧VCCHになり、出力信号OUTとして第2電源電圧VCCHのレベルの信号が出力される。ノードOUTPの電圧が第2電源電圧VCCHになると、PトランジスタP14、P15をオフ状態にする。PトランジスタP15がオフ状態になるため、ノードOUTBの電圧は、第1電源電圧VCCLになる。また、ノードOUTPの電圧が第2電源電圧VCCHになると、PトランジスタP24もノードa4を介してノードa1に第2電源電圧VCCHを与えているため、PトランジスタP26は完全なオフ状態になる。各トランジスタの耐圧条件等については後述する。
【0025】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る低耐圧のトランジスタを用いる高い電圧レベルの信号を出力するレベルシフト回路56の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態に係るレベルシフト回路56は、第1回路10と、第2回路20と、第3回路30とを具備する。第1回路10と、第2回路20とは、第1の実施の形態に係るレベルシフト回路56の第1回路10と、第2回路20と同じであり、第2の実施の形態に係るレベルシフト回路は、第3回路30が付加された回路であり、重複して説明する。
【0026】
基準電源電圧GNDを0ボルト、低い電源電圧を第1電源電圧VCCL、高い電源電圧を第2電源電圧VCCHとすると、第1回路10は、0ボルトから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号を入力して、所望の信号レベルである第1電源電圧VCCLから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号に変換して出力するレベル変換回路である。
【0027】
第2回路20は、内部回路55から出力される0ボルトから第1電源電圧VCCLの範囲の信号を入力として、0ボルトから第2電源電圧VCCHの振幅を有する信号を出力するレベル変換回路である。第2回路20は、第1回路10の出力信号と第3回路30の出力信号とを入力する。
【0028】
第3回路30は、0ボルトから第1電源電圧VCCLの範囲の振幅を有する信号と、0ボルトから第2電源電圧VCCHの範囲の振幅を有する信号とを入力し、第2回路20の動作速度を向上させる回路である。上記第1回路10と第2回路20と第3回路30とは、0ボルトから第2電源電圧VCCHまでの範囲の振幅を有する信号を送受信するが、耐圧条件は満足する。
【0029】
図5は、第2の実施の形態に係るレベルシフト回路56の具体的な回路構成を示す回路図である。第2の実施の形態に係るレベルシフト回路56は、第1回路10と、第2回路20と、第3回路30と、入力反転信号を生成するインバータ回路40とを具備する。第1回路10は、PトランジスタP15、P16、P25、P26を備える。第2回路20は、PトランジスタP13、P14、P23、P24と、NトランジスタN11、N12、N21、N22とを備える。第3回路30は、PトランジスタP17、P18、P27、P28を備える。
【0030】
第1回路10では、第2電源電圧VCCHと、第1電源電圧VCCLとの間に、PトランジスタP15、P16が直列に接続され、それと並列に、PトランジスタP25、P26が直列に接続される。すなわち、PトランジスタP15のソースは第2電源電圧VCCHに接続され、PトランジスタP15のドレインとPトランジスタP16のソースとはノードOUTBに接続され、PトランジスタP16のドレインは第1電源電圧VCCLに接続される。PトランジスタP25のソースは第2電源電圧VCCHに接続され、PトランジスタP25のドレインとPトランジスタP26のソースとはノードOUTPに接続され、PトランジスタP26のドレインは第1電源電圧VCCLに接続される。PトランジスタP15のゲートはノードOUTPに、PトランジスタP25のゲートはノードOUTBに接続される。PトランジスタP16のゲートはノードa2に接続され、PトランジスタP26のゲートはノードb2に接続される。PトランジスタP15、P16、P25、P26のバックゲートは第2電源電圧VCCHに接続される。
【0031】
第2回路20では、第2電源電圧VCCHと基準電源電圧GNDとの間に、PトランジスタP14、P13、NトランジスタN12、N11がこの順に直列に接続される。これと並列に、PトランジスタP24、P23、NトランジスタN22、N21が第2電源電圧VCCHと基準電源電圧GNDとの間にこの順に直列に接続される。NトランジスタN11のゲートは、ノードINPに接続され、入力信号INが印加される。NトランジスタN21のゲートは、ノードINBに接続され、入力信号INがインバータ回路40によって論理反転された信号が印加される。NトランジスタN11、N21のソースは基準電源電圧GNDに接続される。NトランジスタN11のドレインと、NトランジスタN12のソースとは、ノードa1に接続される。NトランジスタN21のドレインと、NトランジスタN22のソースとは、ノードb1に接続される。NトランジスタN11、N12、N21、N22のバックゲートは、基準電源電圧GNDに接続される。
【0032】
NトランジスタN12のドレインと、PトランジスタP13のドレインとは、ノードa2に接続され、さらにPトランジスタP16のゲートに接続される。ノードa2は、第2回路20の出力ノードの一つである。NトランジスタN22のドレインと、PトランジスタP23のドレインとは、ノードb2に接続され、さらにPトランジスタP26のゲートに接続されるノードb2は、第2回路20の出力ノードの一つである。PトランジスタP13のソースと、PトランジスタP14のドレインとは、ノードa3に接続され、PトランジスタP14のソースは第2電源電圧VCCHに接続される。PトランジスタP23のソースと、PトランジスタP24のドレインとは、ノードb3に接続され、PトランジスタP24のソースは第2電源電圧VCCHに接続される。NトランジスタN12、N22のゲート、PトランジスタP13、P23のゲートは、第1電源電圧VCCLに接続される。したがって、NトランジスタN12、N22およびPトランジスタP13、P23は、常時オン状態であり、耐圧保護用トランジスタとして機能する。PトランジスタP13、P14、P23、P24のバックゲートは第2電源電圧VCCHに接続される。
【0033】
第3回路30では、第1電源電圧VCCLとノードa1との間にPトランジスタP17、P18が直列に接続され、第1電源電圧VCCLとノードb1との間にPトランジスタP27、P28が直列に接続される。すなわち、PトランジスタP17のソースは第1電源電圧VCCLに接続され、PトランジスタP18のドレインはノードa1に接続される。PトランジスタP17のドレインとPトランジスタP18のソースとは、ノードa4に接続される。PトランジスタP17のゲートはノードa2に接続され、PトランジスタP18のゲートはノードINPに接続される。PトランジスタP27のソースは第1電源電圧VCCLに接続され、PトランジスタP28のドレインはノードb1に接続される。PトランジスタP27のドレインとPトランジスタP28のソースとは、ノードb4に接続される。PトランジスタP27のゲートはノードb2に接続され、PトランジスタP28のゲートはノードINBに接続される。PトランジスタP17、P18、P27、P28のバックゲートは、第1電源電圧VCCLに接続される。
【0034】
第2の実施の形態に係るレベルシフト回路の動作を説明する。
【0035】
まず、入力信号INが立ち下がるときの動作を説明する。入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)から基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)に遷移すると、NトランジスタN11はオフ状態となり、PトランジスタP18はオン状態となる。このとき、PトランジスタP18のソースに接続されるPトランジスタP17は、入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)の時の状態を維持している。すなわち、PトランジスタP17は、ノードa2の電圧が0ボルト(ロウレベル)であるため、オン状態であり、ノードa1の電圧は上昇する。
【0036】
PトランジスタP17のゲートは、常時オン状態のNトランジスタN12を介してノードa1に接続されているため、ノードa1およびノードa2の電圧は、0ボルトから“VCCL−Vtn”もしくは“VCCL−Vtp”に漸近する。ここで、VtnはNトランジスタの閾値電圧、VtpはPトランジスタの閾値電圧である。
【0037】
ノードa2の電圧は、第1電源電圧VCCLに接続されているPトランジスタP17、P16をほぼオフ状態もしくは弱いオン状態にするまで上昇する。したがって、ノードa2をゲートに接続されるPトランジスタP16は、オフ状態もしくは弱いオン状態となる。
【0038】
入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)から0ボルト(ロウレベル)に遷移すると、ノードINBの電圧はハイレベルとなり、NトランジスタN21はオン状態となる。したがって、ノードb1の電圧は、“VCCL−Vtn”から0ボルトに降下する。このとき、ノードb2の電圧は、入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)の時の状態を維持しており、第2電源電圧VCCHを示している。NトランジスタN21がオン状態になることにより、ノードb2の電圧は、NトランジスタN22を介してノードb1の電圧と同じ0ボルトに向かって下降する。
【0039】
ノードb2の電圧が“VCCL−Vtp”以下にまで降下すると、PトランジスタP26はオン状態になる。PトランジスタP26がオン状態になると、出力信号OUTは、第2電源電圧VCCHから降下する。
【0040】
出力信号OUTが“VCCH−Vtp”以下にまで降下すると、ノードOUTPにゲートが接続されるPトランジスタP14、P15は、オン状態になる。PトランジスタP14がオン状態になると、ノードa3の電圧は、第2電源電圧VCCHに向かって上昇する。ノードa3の電圧が“VCCL+Vtp”を越えると、PトランジスタP13を介してノードa3に接続されているノードa2の電圧は、ノードa3の電圧に等しくなる。
【0041】
ノードa2の電圧が第1電源電圧VCCLに達すると、ノードa2にゲートが接続されるPトランジスタP16は、ほぼオフ状態(もしくは弱いオン状態)になり、PトランジスタP17はオフ状態になる。PトランジスタP16がオフ状態になると、PトランジスタP15がオン状態であるからノードOUTBの電圧は、第2電源電圧VCCHになる。ノードOUTBの電圧が第2電源電圧VCCHになると、ノードOUTBにゲートが接続されているPトランジスタP24、P25は、オフ状態になる。PトランジスタP26がオン状態であるため、出力信号OUTは、第1電源電圧VCCLになる。
【0042】
次に、入力信号INが立ち上がるときの動作を説明する。入力信号INが基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)から第1電源電圧VCCL(ハイレベル)に遷移すると、インバータ回路40を介して接続されるノードINBの電圧はロウレベルになる。ノードINBの電圧がロウレベルになると、NトランジスタN21はオフ状態に、PトランジスタP28はオン状態になる。
【0043】
PトランジスタP28のソースに接続されるPトランジスタP27は、入力信号INが0V(ロウレベル)の時の状態を維持している。すなわち、PトランジスタP27は、ノードb2の電圧が0ボルト(ロウレベル)であるため、オン状態であり、ノードb1の電圧は上昇する。
【0044】
PトランジスタP27のゲートは、常時オン状態のNトランジスタN22を介してノードb1に接続されているため、ノードb1およびノードb2の電圧は、“VCCL−Vtp”もしくは“VCCL−Vtn”に漸近する。
【0045】
ノードb2の電圧は、第1電源電圧VCCLに接続されているPトランジスタP27、P26をほぼオフ状態もしくは弱いオン状態にするまで上昇する。したがって、ノードb2をゲートに接続されるPトランジスタP26は、オフ状態もしくは弱いオン状態となる。
【0046】
入力信号INが0ボルト(ロウレベル)から第1電源電圧VCCL(ハイレベル)に遷移すると、NトランジスタN11は、オン状態になり、PトランジスタP18はオフ状態になる。したがって、ノードa1の電圧は、“VCCL−Vtn”から0ボルトに降下する。このとき、ノードa2の電圧は、入力信号INが0ボルト(ロウレベル)の時の状態を維持しており、第2電源電圧VCCHを示している。NトランジスタN11がオン状態になることにより、ノードa2の電圧は、NトランジスタN12を介してノードa1の電圧と同じ0ボルトに向かって降下する。
【0047】
ノードa2の電圧が“VCCL−Vtp”以下にまで降下すると、PトランジスタP16はオン状態になる。PトランジスタP16がオン状態になると、ノードOUTBの電圧が第2電源電圧VCCHから降下する。
【0048】
ノードOUTBの電圧が“VCCH−Vtp”以下にまで降下すると、ノードOUTBにゲートが接続されるPトランジスタP24、P25は、オン状態になる。PトランジスタP24がオン状態になると、ノードb3の電圧は、第2電源電圧VCCHに向かって上昇する。ノードb3の電圧が“VCCL+Vtp”を越えると、PトランジスタP23を介してノードb3に接続されているノードb2の電圧は、ノードb3の電圧に等しくなる。
【0049】
ノードb2の電圧が第1電源電圧VCCLに達すると、PトランジスタP26は、ほぼオフ状態(もしくは弱いオン状態)になり、PトランジスタP27はオフ状態になる。PトランジスタP26がオフ状態になると、PトランジスタP25がオン状態であるからノードOUTPの電圧(出力信号OUT)は、第2電源電圧VCCHになる。ノードOUTPの電圧が第2電源電圧VCCHになると、ノードOUTPにゲートが接続されているPトランジスタP14、P15は、オフ状態になる。PトランジスタP16がオン状態であるため、ノードOUTBの電圧は、第1電源電圧VCCLになる。
【0050】
次に各トランジスタの耐圧条件について、
図6A、6B、
図7を参照して説明する。
【0051】
図6Aは、第2の実施の形態に係るレベルシフト回路の入力信号INが基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)のときの各トランジスタのノード間電圧の一覧であり、
図6Bは、同じく入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)のときの各トランジスタのノード間電圧の一覧である。
図7は、第2の実施例の形態に係るレベルシフト回路の入力信号INの状態に対応する各ノードの電圧の一覧である。ここで、第2電源電圧VCCHは、例えば3.3ボルトであり、第1電源電圧VCCLは、例えば1.8ボルトである。Vtpは、Pトランジスタの閾値電圧であり、VtnはNトランジスタの閾値電圧である。入力信号INは、基準電源電圧GND(0V)から第1電源電圧VCCLまでの範囲で変化する。Vbを低耐圧トランジスタの許容される耐圧範囲の電圧とすると、各電圧に対して、次の関係を満たすことが前提となる。
【0052】
VCCH>Vb
Vb>VCCL
Vb>VCCH−VCCL
Vb>VCCL+Vtp
図7に示されるように、入力信号INが基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)の場合、ノードINBは、インバータ回路40によって論理反転されるため、“VCCL”となる。ノードa1、a4は、“VCCL−Vtn〜VCCL”となり、ノードa2、a3は、“VCCH”となる。ノードOUTPは、“VCCL”となる。ノードb1、b2は、“0”となり、ノードb3は、“VCCL+Vtp”となり、ノードb4は、“VCCL”となり、ノードOUTBは、“VCCH”となる。
【0053】
また、入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)の場合、ノードINBは、インバータ回路40によって論理反転されるため、“0”となり、ノードa1、a2は、“0”となる。ノードa3は、“VCCL+Vtp”となる。ノードa4は、“VCCL”となり、ノードOUTPは、“VCCH”となる。ノードb1は、“VCCL−Vtn〜VCCL”とあり、ノードb2、b3は、“VCCH”となり、ノードb4は、“VCCL−Vtn〜VCCL”となり、ノードOUTBは、“VCCL”となる。
【0054】
図6Aに示されるように、入力信号INが基準電源電圧GND=0ボルト(ロウレベル)である場合、NトランジスタN11では、Vgsは“0”となり、Vdsは“VCCL−Vtn”となり、Vgdは“VCCL−Vtn”となる。NトランジスタN12では、Vgsは“Vtn”となり、Vdsは“VCCH−(VCCL−Vtn)”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となる。PトランジスタP13では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“0”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となる。PトランジスタP14では、Vgsは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となり、Vdsは“0”となり、Vgdは“0”となる。
【0055】
入力信号INが0ボルト(ロウレベル)であるときは、ノードINBはハイレベルを示し、NトランジスタN21では、Vgsは“VCCL”となり、Vdsは“0”となり、Vgdは“VCCL”となる。NトランジスタN22では、Vgsは“VCCL”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP23では、Vgsは“Vtp”となり、Vgdは“VCCL+Vtp”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP24では、Vgsは“0”となり、Vgdは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となり、Vdsは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となる。
【0056】
PトランジスタP16では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“0”となり、Vdsは“VCCH−VCCL”となる。PトランジスタP26では、Vgsは“VCCL”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP15では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP25では、Vgsは“0”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“VCCH−VCCL”となる。
【0057】
PトランジスタP18では、Vgsは“Vtn”となり、Vgdは“Vtn”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP28では、Vgsは“0”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“VCCL”となる。PトランジスタP17では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“VCCH−(VCCL−Vtn)”となり、Vdsは“Vtn”となる。PトランジスタP27では、Vgsは“VCCL”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“0”となる。
【0058】
次に、
図6Bに示されるように、入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)である場合、NトランジスタN11のゲート・ソース間電圧(以下Vgs)は“VCCL”となり、ドレイン・ソース間電圧(以下Vds)は“0”となり、ゲート・ドレイン間電圧(以下Vgd)は“VCCL”となる。同様に、NトランジスタN12では、Vgsは“VCCL”となり、Vdsは“0”となり、Vgdは“VCCL”となる。PトランジスタP13は、ゲートに“VCCL”が印加されているため、ソースの電圧は“VCCL+Vtp”以下には下降しない。したがって、PトランジスタP13では、Vgsは“Vtp”となり、Vdsは“VCCL+Vtp”となり、Vgdは“VCCL”となる。PトランジスタP14では、Vgsは“0”となり、Vdsは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となり、Vgdは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となる。
【0059】
入力信号INが第1電源電圧VCCL(ハイレベル)であるときは、ノードINBの電圧はロウレベルを示し、NトランジスタN21では、Vgsは“0”となり、Vdsは“(VCCL−Vtn)”となり、Vgdは“(VCCL−Vtn)”となる。NトランジスタN22では、Vgsは“Vtn”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“VCCH−(VCCL−Vtn)”となる。PトランジスタP23では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP24では、Vgsは“VCCH−(VCCL+Vtp)”となり、Vgdは“0”となり、Vdsは“0”となる。
【0060】
PトランジスタP16では、Vgsは“VCCL”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP26では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“0”となり、Vdsは“VCCH−VCCL”となる。PトランジスタP15では、Vgsは“0”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“VCCH−VCCL”となる。PトランジスタP25では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“VCCH−VCCL”となり、Vdsは“0”となる。
【0061】
PトランジスタP18では、Vgsは“0”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“VCCL”となる。PトランジスタP28では、Vgsは“Vtn”となり、Vgdは“Vtn”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP17では、Vgsは“VCCL”となり、Vgdは“VCCL”となり、Vdsは“0”となる。PトランジスタP27では、Vgsは“VCCH−VCCL”となり、Vgdは“VCCH−(VCCL−Vtn)”となり、Vdsは“Vtn”となる。
【0062】
図8は、第2の実施の形態に係るレベルシフト回路をスパイス(SPICE:Simulation Program with Integrated
Circuit Emphasis)によって動作をシミュレーションした結果を示す。上記で説明されたように、動作することが分かる。入力信号INは、50MHzのランダムパタンを示す信号(
図8“入力IN(Vin)”)であり、出力信号OUT(
図8出力Out)が、比較信号として特開平9−172368号公報に記載された回路のシミュレーションの結果(
図8“出力Vg11”)とともに示される。特開平9−172368号公報に記載された回路では出力信号Vg11のロウレベル出力時の電圧が中間電位であるため、動作周波数が50MHzのランダムパタンに対する応答に対し、ジッタが発生している。実施の形態に係るレベルシフト回路では、出力信号OUTのスイングレベルは、第1電源電圧VCCLから第2電源電圧VCCHの間で、動作周波数50MHzのランダムパタンに対対して安定しており、ジッタが非常に少ないことが分かる。
【0063】
上述のように、各トランジスタのゲート電圧は、ゲートが接続されるノードが浮遊状態にならずに電源電圧になるため、ジッタが小さくなる。また、回路内の各トランジスタのノード間電圧が、
図6A、6Bに示される組み合わせのみであり、耐圧範囲Vbを越えることがないため耐圧面で問題ない。したがって、入力状態(ロウレベル/ハイレベル)によらず耐圧を保証することができる。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。