特許第5886327号(P5886327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886327
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】金属部品間の低熱伝導インターフェース
(51)【国際特許分類】
   B23P 9/02 20060101AFI20160303BHJP
   B64C 1/40 20060101ALI20160303BHJP
   B64C 3/36 20060101ALI20160303BHJP
   F42B 15/00 20060101ALI20160303BHJP
   B21J 15/14 20060101ALI20160303BHJP
   B21J 15/02 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B23P9/02
   B64C1/40
   B64C3/36
   F42B15/00
   B21J15/14 Z
   B21J15/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-558005(P2013-558005)
(86)(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公表番号】特表2014-516805(P2014-516805A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】US2011057961
(87)【国際公開番号】WO2012125188
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2013年11月28日
(31)【優先権主張番号】13/048,942
(32)【優先日】2011年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】クリストー、キリアコス
【審査官】 五十嵐 康弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−260400(JP,A)
【文献】 特開平08−278099(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/064406(WO,A1)
【文献】 米国特許第05348210(US,A)
【文献】 米国特許第06367740(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0033281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 9/02
B64C 1/00− 1/40
B64C 3/00− 3/58
F42B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱環境で使用するように構成されている第1の部品と、
締りばめで前記第1の部品と対になるように取着される第2の部品と、を具備し、
前記第1の部品は、この第1の部品が前記第2の部品と接触する粗面を有し、
前記粗面は、前記粗面ではなく平滑面によってなされる接触と比較して、前記第1の部品と前記第2の部品との間の接触面を減じ、前記粗面は、前記平滑面と比較して40%乃至80%の減じられた接触面を有し、
前記第2の部品は、前記第1の部品と接触するところにコーティングを有している、
低熱伝導アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の部品と前記第2の部品とは、両方とも金属部品である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記第1の部品は、耐火性の金属、もしくは耐火性の金属を含む合金を含む、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の部品は、1000℃より高い使用温度を有する材料によって形成されており、
前記第2の部品は、1000℃未満の使用温度を有する材料によって形成されている、請求項2又は3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記コーティングは、セラミック材料を含む、請求項1乃至のいずれか1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記コーティングは、シリコン炭化物と二酸化ジルコニウムとの少なくとも1つを含む、請求項1乃至4のいずれか1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の部品は、前記第2の部品に形成されたスロット中に入る突出部を有している、請求項1乃至のいずれか1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記粗面は、前記スロットの側面に係合する前記突出部の側面を有する、請求項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記突出部の先端面と、前記スロットの底面との間に、隙間が規定されている、請求項7又は8のアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の部品と前記第2の部品とを一緒に取着させる複数のリベットを更に有し、
これらリベットは、前記第1の部品に形成された複数の第1のリベット孔と、前記第2の部品に形成された複数の第2のリベット孔とを通り、
前記複数の第1のリベット孔の少なくとも1つは、円形状の孔であり、前記複数の第1のリベット孔の残りは、一方向に、この一方向に直交した他方向より長い延びを有しているスロット孔であり、
前記複数の第2のリベット孔の少なくとも1つは、円形状の孔であり、前記複数の第2のリベット孔の残りは、一方向に、この一方向に直交した他方向でより長い延びを有しているスロット孔である、
請求項7乃至9のいずれか1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記突出部は、前記第1の部品の本体部に結合されている比較的細い基端部から、前記本体部から離れた比較的広い先端部へと広がっている、楔形状を有しており、
前記スロットは、前記突出部の前記楔形状に対応する楔形状を有している、請求項7乃至10のいずれか1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の部品は、航空機の操縦舵面の前縁部である、請求項1乃至11のいずれか1に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国防省による契約番号HQ0276−08−C−0001で、アメリカ合衆国政府の援助によってなされた。アメリカ合衆国政府は、本発明に一定の権利を有している。
【0002】
本発明は、金属部品間の結合に関わる。
【背景技術】
【0003】
極端な熱環境が、幅広い分野の試みにおいて直面されている。このような分野の1つは、高速によってフィンの前縁部、もしくは他の操縦舵面のような露出した面で発熱が生じる、ミサイル防衛ミサイルのような高速ミサイルである。
【0004】
高い使用温度を有する耐火性の金属が、このような極端な熱環境を軽減する。しかしながら、耐火性の金属は、機械加工しにくく、高い質量密度を有し、高価である。重量及びコストが、高速ミサイルのための、大きな制約となっている。従って、極端な熱環境に直面する装置には、改善の余地がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様に従えば、耐火性の金属(合金)部品が、非耐火性の金属部品と対応しており、前記部品の一方の対応する面が、接触面積を減じるために、粗面化されている。
【0006】
本発明の更なる態様に従えば、耐火性の金属(合金)部品は、非耐火性の金属部品と対応しており、前記部品の一方のこのような対応する面が、熱伝導を減じるために、及び/もしくは、前記部品をダメージから保護するためにコーティングされている。
【0007】
本発明の更なる態様に従えば、1対の対応する部品が、これら部品の一方のコーティングと、接触面積を減じるための他方の部品の粗面化とを含む低熱伝導インターフェースを、これら部品間に有している。
【0008】
本発明の他の態様に従えば、低熱伝導アセンブリは、発熱環境での使用のために構成されている第1の部品と、この第1の部品と対応する第2の部品とを有している。前記第1の部品は、粗面を有しており、この粗面で、前記第1の部品は前記第2の部品と接触している。前記粗面は、粗面ではなく平滑面によってなされる接触と比較して、前記第1の部品と前記第2の部品との間の接触面積を減じ、前記粗面は、前記平滑面に対して、40%乃至80%減少した接触面を有している。
【0009】
本発明の更なる他の態様に従えば、対応する部品のインターフェースの方法が、耐火性の金属を含む第1の部品の面を粗面化してこの粗面の接触面積を減じる工程と、前記粗面が第2の部品の対応する面に接触するように前記耐火性の金属を含む第1の部品を第2の部品に係合させる工程と、これら部品を一緒に取着させる工程とを、有している。
【0010】
本発明の更なる他の態様に従えば、ミサイル操縦舵面アセンブリが、耐火性の金属を含む前縁部と、この前縁部に結合されている金属の本体部とを、含んでいる。耐火性の金属を含む前記前縁部は、前記本体部のコーティングされた面と接触する粗面を有している。この粗面は、粗面ではなく平滑面によってなされる接触と比較して、前記前縁部と前記本体部との間の接触面積を減じ、前記粗面は、前記平滑面に対して、40%乃至80%減少した接触面を有している。
【0011】
本発明の更なる態様に従えば、熱伝導管理の方法が、発熱環境での使用のために耐火性の金属を含む部品を準備することと、前記耐火性の金属を含む部品の表面を粗面化して、粗面の接触面積を減じることと、前記粗面が第2の部品に接触するように前記耐火性の金属を含む部品を第2の部品に係合させることと、を含んでいる。前記粗面は、前記第2の部品のコーティングされた面と接触し得、このコーティングは、セラミック材料、もしくは金属より低い熱伝導性を有する他の低伝導性の材料を含む。前記部品は、一緒にリベット留めされ得る。
【0012】
前述の関連する目的の達成のために、本発明は、以下に請求項に十分に記載され特に指摘されている特徴を、有している。以下の説明及び添付の図面は、本発明の実例となる実施形態を詳細に示している。しかしながら、このような実施形態は、本発明の原理が使用され得る種々の方法を示している。図面と関連して考慮されると、本発明の他の目的、効果、及び新しい特徴が、本発明の以下の詳細な説明から、明瞭になり得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る低熱伝導装置即ちアセンブリの断面図である。
図2図2は、図1の装置即ちアセンブリの部品の分解図である。
図3図3は、互いに対応する部品を接続しているリベットを示している、図1の装置即ちアセンブリの別の断面を示している断面図である。
図4図4は、図1の装置即ちアセンブリの部品の他の分解図である。
図5図5は、本発明の他の実施形態に係る低熱伝導装置即ちアセンブリの断面図である。
図6図6は、対応する部品を接続しているリベットを示している、図5の装置即ちアセンブリの他の断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る操縦舵面アセンブリを有するミサイルの部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
必ずしも等大ではない添付の図面が、本発明の種々の態様を示している。
【0015】
低熱伝導インターフェース即ちアセンブリが、1対の対応する部品を機械的に結合するように構成されており、このような1対の対応する部品の一方は、発熱環境にあり得る。前記部品の一方の表面の少なくとも一部分を粗面化することによって、接続の構造的な一体性を維持しながら、前記対応する部品間の接触面積が減じられ得る。このような粗面化は、前記部品の一方の、例えば、エッチングマスクを用いるレーザーエッチングを使用した、対応する面の全面もしくは一部のローレット加工であり得る。これは、他方の部品と接触する面に一連の凹部を形成し得る。これら凹部は、十分に小さいので、前記接触面のエッチングされていない領域が点在しており、前記部品間の結合の構造的な一体性が、依然として維持される。前記インターフェースは、ミサイルのフィンのような航空機の操縦舵面の前縁部と、前記操縦舵面の本体部との間にあり得る。
【0016】
図1及び図2は、間の接続部即ち結合部16で互いに機械的に結合されている1対の対応する部品12、14を有する装置、即ちアセンブリ10を示している。図示されている装置10は、ミサイルのフィンのような航空機の操縦舵面の一部であるが、この装置10は、いかなる種々様々の装置であり得ることが、理解される。
【0017】
前記接続部即ち結合部16は、前記第2の部品14の対応する溝即ちスロット24中に挿入される前記第1の部品12のつまみ、即ち突出部22を含む。前記突出部22は、いくつかが以下に説明されるいかなる種々の機構によって、前記溝24中に取着され得る。
【0018】
前記第1の部品12は、発熱環境にあり、前記接続部即ち結合部16は、前記第1の部品12から前記第2の部品14への熱伝導を防ぐように構成され、一方で、前記部品12、14間の良好な構造的な一体性を依然として有している低熱伝導インターフェースである。
【0019】
前記部品12、14は、互いに対応する部品として上に説明されているが、前記部品12、14の係合している部分が、実質的に一致する形状を有していなくても良いことが、理解される。特に、前記突出部22の先端面32と、前記溝24の底面34との間には、隙間28があり得る。前記隙間28は、互いに接触している前記部品12、14の表面積を減じ得、前記結合部16を通る熱伝導量を減じる。更に、前記隙間28は、前記2つの部品12、14の他の対応する面36、38間の接触を確実にすることを助ける。これは、前記第1の部品12の外面42と、前記第2の部品14の外面44との間に実質的に隙間を設けず、これら外面42、44間のほぼ継ぎ目のない一致を可能にする。ほぼ継ぎ目のない、及び/もしくは実質的に隙間を有していない面が、種々の適用で、例えば翼、即ち航空機の操縦舵面において、有効であり得る。
【0020】
前記部品12、14の一方の部品の面は、前記部品12、14間の接触面を減じるように、粗面化され得る。図示されている実施形態では、前記第1の部品12の面36が、粗面化されており、前記つまみ即ち突出部22の側方の対応する面46も、同様である。このような粗面化は、例えばローレット加工、もしくはエッチング加工によって、前記面36、46の複数の部分の材料を選択的に除去することによって、果たされ得る。前記面36、46は、前記材料に小さな凹部、ニッチ、即ちくぼみを形成するように、適切に変えられ得る。前記面36、46は、かくして、前記粗面の有効な接触面積を減じるように、アレイ状の山部及び谷部を有している。前記谷部の、空気が充填された空間が、空気が前記部品12、14の硬性の材料よりずっと小さい熱伝導性を有しているので、前記結合部16を通る熱伝導には、ほとんど貢献しない。前記粗面であっても、前記結合部16は、例えば前記部品12、14間で力を伝えることができるように、構造的な一体性を維持することが、望ましい。
【0021】
前記面36、46が粗面化され得る1つの方法は、レーザーエッチングによるものである。レーザーエッチングは、機械加工することが困難であり得るチタニウム−ジルコニウム−モリブデン合金(TZM)のような硬性の材料に凹部、即ちくぼみを形成する適切な方法であり得る。レーザーエッチングは、マスクをする、もしくはマスクをしないエッチングプロセスによって果たされ得、使用される材料、及び所望の粗さの質(例えば、凹部の大きさ、凹部間の間隔、凹部の形成と間隔との繰り返しの可能性)に応じて、種々様々な他の粗面化するプロセスが、適切な代替方法として、使用可能であり得る。
【0022】
前記面36、46の凹部即ちくぼみは、例えば0.25乃至2.5mmの深さを有し得る。前記凹部の側方の延びは、例えば、0.5mm乃至3mmであり得る。しかしながら、他の適切な深さが可能であり得る。いかなる種々の適切なローレット加工のパターンも、使用され得る。
【0023】
前記粗面36、46は、平滑面(粗面化されていない面)と比較して減じられた接触面積を有している。前記粗面36、46は、粗面化することによって除去された少なくとも40%の接触面積を有し得、もしくは、より綿密には、粗面化することによって除去された少なくとも50%の接触面積を有し得る。例えば前記部品12、14間の前記結合部16の構造的な一体性を維持するように、上限が、除去された接触面積の総計に設定され得、例えば前記除去を75%、もしくは80%に制限する。かくして、前記面の粗面化によって除去される接触面積の総計は、40%乃至75%であり得、50%乃至75%であり得、40%乃至80%であり得、50%乃至80%であり得る。このようなパーセンテージは、単なる例であり、接触面積の他の削減が可能であることが、理解される。
【0024】
前記部品12、14は、異なる材料から成り、種々の特性を有している金属部品であり得る。一般に、前記第1の部品12は、前記第2の部品14の材料より熱に耐え得る材料によって形成され得る。上に説明されているように、前記第1の部品12は、TZMによって形成され得る。更に大ざっぱに言えば、前記第1の部品12は、耐火性の金属、もしくは耐火性の金属を含む合金によって形成され得る。ここで用語が使用されている耐火性の金属は、チタニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、イリジウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、オスミウム、バナジウム、クロム、レ二ウム、ロジウムのうちの1つ以上である。前記第2の部品14は、ニッケルとクロムとをベースとした、高性能の合金、例えば、登録商標INCONELの名で売買されている合金によって形成され得る。更に大ざっぱに言えば、前記第2の部品14の材料が耐火性の金属、もしくはこのような金属から成る合金ではない他のものであることが予期されているが、前記第2の部品14は、種々様々な金属によって形成され得る。前記部品12、14は、いくつか例を挙げると、異なる熱伝導性、異なる熱膨張率、及び/もしくは異なる硬性のような、異なる特性を有し得る。前記第1の部品12は、前記第2の部品14より、高温動作に対して適しており、例えば、1000℃より高い使用温度を有する材料によって形成されており、前記第2の部品は、1000℃未満の使用温度を有する材料によって形成されている。
【0025】
前記第1の部品12は、前記第2の部品14より硬性であり得る。前記第1の部品12の面36、46に係合する前記第2の部品14の面38、48は、上にコーティング54を有し得る。前記コーティング54は、前記部品12、14間の熱伝導(前記接続即ち結合部16を通る熱伝導)を抑制している。このことは、前記コーティング54が、前記部品12、14の材料のいずれよりも低い熱伝導性を有する材料によって形成されているためである。前記コーティング54は、かくして、前記第2の部品14のための熱絶縁体として機能し得る。更に、前記コーティング54は、かくして、前記面36、38との接触によって、ダメージから前記面38、48を保護し得る。このことは、前記第2の部品14の材料より硬性の材料から成るコーティング54を有することによって、果たされ得る。前記コーティング54に適した材料は、アルミナと、二酸化ジルコニウムとを含む。よりおおざっぱに言えば、低い熱伝導性のセラミック材料が、前記コーティング54のために使用され得る。他の適した材料は、エポキシポリアミドであり得る。前記コーティング54は、0.025乃至0.05mm(0.001乃至0.002インチ)の厚みを有し得るが、他の厚みも可能であることが、予期されている。前記コーティング54は、種々の適した周知のコーティング方法、例えば、物理蒸着、化学蒸着、もしくはスプレー法によって、適用され得る。使用されているコーティング機構の形式は、使用されている特定のコーティング材料に依存し得る。
【0026】
前記粗面化と、前記コーティングとは、前記結合部16を通る熱伝導を減じることを助けるために、組み合され得る。前記粗面化と前記コーティングとは、前記部品12、14との間での、粗面化されておらずコーティングされていない組み合わせに対して、前記結合部16を通る多くの熱伝導を、防ぎ得る。
【0027】
図に示されており上に説明されている構成で、多数の変形例が可能であることが、理解される。例えば、前記第1の部品12と前記第2の部品14との特徴のいくつか、もしくはすべてが、例えば、粗面化された、接触面が減じられた面を有する前記第2の部品14と、表面上にコーティングを有している前記第1の部品12とによって反対にされ得る。
【0028】
前記対応する部品12、14は、いかなる種々の適した手段、もしくは方法によって一緒に保持され得る。前記対応する部品12、14は、スリップフィットもしくはプレスフィットを、これらの間に最初に有し得、少なくともこれら部品12、14のいかなる加熱が生じる前に、これらを一緒に取着し得る。前記部品12、14の加熱が、例えば溝24を開くことによって、プレスフィットや他のインターフェレンスフィット、即ち、締りばめによる取着を弱め得る。TZMが、5.30μm/m−℃の熱膨張係数を有しており、一方で、INCONEL718が、13.0μm/m−℃の熱膨張係数を有しており、即ち、全体の温度上昇が、前記突出部22と前記溝24との間の前記取着を開く傾向があり得る。更に、前記部品12、14は、これらを引き離す力を受け得る。従って、前記部品12、14は、より積極的に互いに取着されることが、望ましい。
【0029】
図3は、前記対応する部品12、14を互いに取着するためにリベット80が使用されている、前記装置10のための1つの可能な取着方法の断面図を示している。このリベット80は、前記第1の部品12に設けられている第1のリベット孔82と、前記第2の部品14に設けられている第2のリベット孔84とを通る。前記リベット80は、前記第2の部品14と同じ材料で形成されており、例えば、登録商標INCONELの名で売買されている合金のような、ニッケルクロム系の高性能の合金によって、形成され得る。前記リベット80と前記第2の部品14との間の熱膨張には違いがない、もしくはほとんどないので、従って前記リベット80は、前記第2のリベット孔84と、固く取着され得る。しかしながら、前記リベット80と前記第2の部品12との間の熱膨張の間に生じ得るストレスを改善するために、前記リベット80と前記第1のリベット孔82との間に、隙間があり得る。この装置は、例えば図1に示されているように、前記リベット80が配置される装置10の部分間に、断面形状を有し得ることが、理解され得る。
【0030】
更に図4を参照すると、一連のリベット孔82、84は、長手方向88の熱膨張によるストレスを防ぐために、異なる形状の孔を有し得る。前記装置10の端部のような、長手方向の位置にある前記リベット孔92、94は、円形状を有し得る。前記対応する部品12、14は、前記リベット孔92、94のところで共に頑丈に取着され、これら部品12、14は、この位置では互いに移動しない。前記長手方向88の前記対応する部品12、14に沿って一定の間隔で配置されている他のリベット孔96、98は、スロット形状を有し得る。前記スロット形状のリベット孔96、98は、細長い形状であり得、長手方向88に長く延びている。このことは、例えば、熱膨張係数の違い、及び/もしくは非均一な加熱によって、前記対応する部品12、14の対応する部分の相対移動を可能にする。
【0031】
近接した前記一対のリベット孔92/94間には、約25mm(1インチ)の空間があり得る。これは単なる例の値であり、前記リベット80の他の適した間隔が使用され得ることが、理解される。
【0032】
図5図6は、第1の部品112と第2の部品114との間の接続部即ち結合部116によるこれら部品間のあり継ぎ取着を有している、異なる装置110を示している。前記第1の部品112の突出部122が、楔形状の断面を有しており、前記突出部122が前記第1の部品112の本体部130とつながっている基端部123が細く、前記本体部130から離れた先端部131が広い。前記第2の部品114の溝124が、前記突出部122の形状に対応する楔形状の断面を有している。前記部品112、114は、側面から(図5図6では紙面への方向に、)前記溝124に前記突出部122を挿入することによって、組み合わされる。
【0033】
前記部品112、114は、リベット180を使用して一緒に留められ得る。しかしながら、前記リベット180は、必要であれば、前記部品112、114を保持するために使用される、前記突出部122と前記溝124との間の取着接続(例えば、締まりばめ)によって、除外され得る。プレストレスの値が、前記リベットの最初の装填、及び/もしくは前記対応する部品間の締まりばめに関して、推定され得る。
【0034】
他の態様では、装置110は、前述の装置10(図1)に類似した特徴及び特性を有し得る。このような共通の特徴/特性は、対応する部品、粗面、コーティングの材料を含む。
【0035】
前記装置10、110は、装置の部分が発熱環境にあるいかなる種々の状況でも、使用され得る。一例が、図7に示されており、この例では、前記装置10は、航空機の操縦舵面アセンブリ200、例えばミサイル210のフィンの一部分として示されており、ミサイル210の機体212に結合されている。高速のミサイル防衛ミサイルが直面するような高速スピードで、フィンもしくは他の操縦舵面の前縁部の温度が、周囲の温度よりはるかに高くなり得る。前記前縁部の部品12から、前記操縦舵面アセンブリ200の本体部を構成している部品14への熱の伝導を、少なくとも抑制することが、望ましくあり得る。ウイング、カナード、昇降舵、方向舵のような、前縁部を有する他の種類の操縦舵面があることが、理解される。気流を改良するために使用される他の種類の高速航空機の面、例えば、条板もまた、発熱を有し得、前記装置10のような装置を使用するために適した候補であり得る。
【0036】
他の可能な前記装置10の適用が、TZMもしくはモリブデンによって代表的に形成される、るつぼの電極(crucible electrodes)にある。前記電極から支持体への熱伝導が、ここで説明されているような装置の使用によって、減じられ得る。
【0037】
本発明は、1つの、もしくは複数の好ましい実施形態に関して図示され、説明されているが、この明細書及び図面を読み且つ理解する際に、同等の変更及び修正が、本分野の他の当業者に思いつくことが、明らかである。特に、前述の部材(部品、アセンブリ、装置、構成部材など)によって果たされている種々の機能に関して、このような部材を示すために使用されている(「手段」の参照を含む)用語は、本発明の図示されている例の実施形態、もしくは複数の実施形態で機能を果たす開示された構造と構造的に類似していなくても、他の指摘がない限り、前述の部材の特定の機能を果たす(即ち、機能的の同等の)いかなる部材にも対応するように意図されている。更に、本発明の特定の特徴が、1つもしくは複数の説明された実施形態に関して、上に説明されているが、このような特徴は、所定の、もしくは特定の適用のために、望ましく且つ有効であり得るように、他の実施形態の1つ、もしくは複数の他の特徴と組み合され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7