(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項4に記載の照明装置において、前記遮光パターンは、前記LEDの直上に対応して設けられた長円又は楕円形状の第1パターンと、該第1パターンの周囲に設けられた複数のドットで構成され、かつ該ドットの単位面積当たりの密度が第1パターンから離れるに従い低下するように構成された第2パターンとを含み、
前記白色インクで構成された前記光学素子に最も近い遮光層は、前記第1パターン及び第2パターンを有し、前記混合インクで構成された他の遮光層は、前記第1パターンを有することを特徴とする照明装置。
請求項6に記載の照明装置において、前記一列状に配列された複数のLEDを実装するLED基板を有し、該LED基板がLEDの光出射方向に沿って複数配列されており、
前記LED基板のそれぞれに対応して1つまたは複数の前記拡散板が設けられていることを特徴とする照明装置。
請求項8に記載の照明装置において、前記プリズムは、前記LEDの光出射方向と直交する断面が三角形状で、かつ前記LEDの光出射方向に延びて形成される、または、前記LEDの光出射方向と平行で且つ前記光学素子の面と直交する断面が三角形状で、かつ前記LEDの光出射方向と直交する方向に延びて形成されることを特徴とする照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素若しくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であり、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0013】
なお、以下の実施形態の説明では、各図に共通な機能、構成を有する要素には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る映像表示装置と照明装置の展開斜視図を示している。
図1の映像表示装置は、表示パネルとしての液晶パネル1と照明装置100とを備え、照明装置は光源部11、遮光部12、光学シート部13を備えている。照明装置100は、液晶パネル1の背面から液晶パネル1に光を照射するためのバックライトとして動作する。液晶パネル1は、入力映像信号によって各液晶画素の光透過率が制御され、光透過率が制御された各液晶画素で照明装置からの光を空間的に変調することで映像を表示する。
【0015】
本実施形態に係る照明装置100は、光源として、白色の光を放出する発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)を用いている。この白色ダイオードは、例えば黄色の蛍光体と青色光を発光するLEDチップとを有し、LEDチップからの青色光の一部により黄色蛍光体が励起されて発光し、黄色蛍光体からの黄色光とLEDチップからの青色光を混合して白色光を放出する構成を有している。本実施例に適用されるLEDは、この構成に限らず、蛍光体を使用して所望の色の光を放出するものであれば、どのような構成であってもよい。
【0016】
以下、照明装置100の各要素について説明するが、その前に、
図1の各方向について以下のように定義する。照明装置100の光の出射方向を照明装置100の出射面側、これと反対方向を照明装置100の背面側とする。尚、照明装置100の出射面とは、光学シート部13を構成する各種シートの表面(出射面)と定義する。またLED2の光が出射される液晶パネル10または照明装置100の上部の方向を+z方向、これと反対方向(すなわち液晶パネル10または照明装置100の下部の方向)を−z方向、背面側(光源部側)から出射面側(光学シート部側)に向かい、かつz方向と直交する方向を+y方向、これと反対方向(すなわち出射面側から背面側に向かう方向)を−y方向とする。すなわち、y方向は、照明装置100の出射面と直交する方向と等しく、+y方向を出射面側方向、−y方向を背面側方向と呼ぶ場合もある。また、yx平面と直交する方向であって、照明装置100の出射面側から見て左の方向を+x方向、これと反対方向を−x方向とする。以下、特に断りがない限りこの座標系を用いて本実施形態を説明する。尚、単に「出射面側」と表記するときは、照明装置100の出射面側を指すものとする。
【0017】
光源部11は、光源としてのLED2と、このLED2を複数個実装する光源基板としてのLED基板3と、反射シート4と、ベースシャーシ7とを有している。LED2は、本実施形態では光の出射方向が電極面と平行なサイドビュー型の白色LEDを使用しており、+z方向に白色光を出射するようLED基板3上に実装される。すなわち、LEDの光出射方向は、照明装置の光出射面と平行な方向で、かつ液晶パネル10または照明装置100の垂直方向(短手方向又は縦方向、
図1では紙面上方)の上方向である。
【0018】
LED基板3は、LED2に電力を供給するための回路素子や配線を有しており、例えばガラスエポキシ樹脂で構成されたプリント基板である。またLED基板3は、x方向に伸びて形成された横長の長方形状を有する。すなわち、LED基板3の長手方向は、液晶パネル10または照明装置100の水平方向(長手方向又は横方向、
図1では紙面左右方向)に等しい。LED2は、LED基板3の長手方向に沿って複数個一列状に配列される。一列状に配列された複数のLEDをLED列とすると、LED基板3は、各LED列のそれぞれに対応して設けられていると言うこともできる。またLED基板3の実装された各種回路によりLED2に供給される電流が制御される。
【0019】
ベースシャーシ7は、熱伝導性が高い例えばアルミニウムや鉄等の金属で構成されており、液晶パネル10側に開口を向いた枡形或いは箱型を為している。そして、その内面(出射面側)にLED2が複数配列されたLED基板3が、z方向に沿って所定間隔を以って複数配列されて固定される。これによって、複数のLED列がLED2の光出射方向(z方向)に沿って配列される。
【0020】
反射シート4は、背面側に向かう光を出射面側に向けさせるためのものであり、例えば白色で平板状の樹脂シートで構成されている。反射シート4は、LED2よりも背面側に位置するようにベースシャーシ7の内面(出射面側)に取り付けられる。例えば、ベースシャーシ7とLED基板3とで反射シート4を挟むようにしてベースシャーシ7取り付けられる。このとき、LED基板3の表面(出射面側の面)は反射効率を高めるために白色塗装などの反射コーティングが施される。またベースシャーシ7にLED基板3に取り付け、その上からLED2に対応した孔が設けられた反射シート4を被せ、反射シート4の孔からLED2を露出させた状態で反射シート4をベースシャーシ7に取り付けてもよい。この場合、LED基板3の表面が反射シート4で覆われることとなり、LED基板3の表面への反射コーティングは不要となる。但し、この場合は、LED基板3とベースシャーシ7との段差に対応するように反射シート4にも段差または屈曲部を形成することが好ましい。また、ベースシャーシ7の内面(出射面側)と、ED基板3の表面にそれぞれ個別に反射シート4を設けるようにしてもよい。
【0021】
遮光部12は、光学素子1と、遮光パターンとしてのインク6とを有している。光学素子1は、アクリル、ポリカーボネート、ポリスチレン等の透明樹脂に拡散性の粒子やビーズが混入された、もしくは透明樹脂の出射面または背面或いはその両方に粗面加工を施して構成された拡散板(以下、この拡散板を「遮光部拡散板」と呼ぶ)である。これにより、出射面側における光の空間的な輝度均一性を向上させている。また遮光パターンとしてのインク6は、LED2から+y方向に向かう光を反射若しくは吸収して当該+y方向に向かう光の輝度を低下させるよう光学的作用を有する。
【0022】
光学シート部13は、1または複数の光学シート5から構成される。かかる光学シート5は、拡散板、拡散シート、μレンズシート、集光効果のあるプリズムシート、及び所定の偏光を透過しそれ以外の偏光成分を反射する輝度向上シート等のうちの1つ、又はこれらの任意の組合せにより構成される。この光学シート5によって、遮光部12からの光を拡散し及び/または出射面側へ向かう光の成分を多くすることで、出射面側における空間的の輝度均一性や輝度を向上させている。
【0023】
ここで、遮光部12における遮光パターンとしてのインク6について更に説明する。上述のようにLED2は、サイドビュー型LEDで+z方向に光を放出するが、LED2のパッケージからその上方(+y方向)に光が漏れ、更にLED2の光出射側直近の反射シート4によりLED2からの出射光が+y方向に向かうため、照明装置100の光出射面側から見たときに、LED2の位置近傍が他の部分よりも局所的に明るくなる、いわゆる光スポット(ホットスポット)が生じる。このホットスポットがユーザには輝度むらとして視認される。これを防止するために、遮光パターンであるインク6により、光学素子1の光出射面上の、LED2の位置近傍における光量を減少してホットスポットの明るさを低減させている。
【0024】
このためインク6は、光学素子(遮光部拡散板)1、LED2の配置位置と対応する位置及びその周辺(特にLED2の光出射側)に設けられている。インク6は、本実施例では光学素子1の出射面側(すなわち光学シート部13側)に設けられるものとする。しかしながら、光学素子1の背面側(すなわち光源部11側)に設けてもよいし両方に設けてもよい。
【0025】
かかるインク6の構成の詳細について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、光源部11のLED2及びLED基板3、並びに遮光部12の光学部剤1及び遮光パターンであるインク6を含む部分について、−z方向側から見たときの拡大斜視図である。また
図3は、遮光部12の遮光部拡散板1及び遮光パターンであるインク6を含む一部分を+y方向(出射面側)から見たときの正面図であり、インク6の印刷パターンの一例を示した図である。
【0026】
本実施例における遮光パターンとしてのインク6は、LED2の位置に対応し、出射面側から1つのLED2全体をカバーするような大きさを有する、x方向を長手方向とした楕円若しくは長円形状の第1パターン61と、第1パターン61の周囲であって、LED2の光出射方向側に配置された微小なドット状の第2パターン62を含んでいる。
【0027】
このような遮光パターンは、例えば
図3に示すように形成される。
図3の右側に示された光学素子1の拡大図において、左下端の領域に示された複数の微小な正方形は、仮想的な単位ブロックを示している。この単位ブロックにおけるドット状のインク6の密度を、例えば
図3の左側における4つの単位ブロックの拡大図に示されるように、単位ブロックの位置に応じて変化させている。第1パターン61が形成される単位ブロックは、インク6の占める割合(密度)は100%(つまり当該単位ブロックはインク6で塗り潰されている)である。第2パターン62が形成される単位ブロックにおけるインク6の占める割合(密度)は、第1パターン61からの距離に応じて例えば80〜10%の範囲で変化する。例えば、第1パターン61から離れる或いは遠ざかるに従い、第2パターン62が形成される単位ブロックにおけるインク6の密度を徐々に低下させるようにする。
【0028】
これにより、LED2と対応する部分の光透過率を最も低くし、LED2からLED2の光出射方向に離れるに従って、徐々に光透過率が高くなるような特性の遮光パターンを得ることができる。上述したホットスポットの光強度はLED2から離れるに従い徐々に低下する特性を有するので、このホットスポットの特性に合わせるように上述のように遮光パターンの光透過率特性を構成すれば、良好にホットスポットの明るさを低減することができる。尚、上記単位ブロックは仮想的なもので、光学素子1上には表れないものとする。また単位ブロックの大きさやインク6のドットの大きさは、光源部11の光学構造、LED2の発光特性、光学素子1から光学シート部5までの距離、光学シートの組合せによって適宜変更可能である。
【0029】
本実施例は、このような構成の照明装置において、遮光パターンであるインク6を複数の遮光層(インク層)を積層した多層構造としたことを特徴とするものである。かかる本実施例の特徴について、
図4〜
図7を参照しながら説明する。
【0030】
図4は、実施例1に係る遮光パターンとしてのインク6、特に第1パターンの積層構造を示すy−z平面と平行な断面図である。
図4において、反射シート4上にLED基板3が配置されており、LED基板3の表面には例えば白色塗装が施されている。上述のように反射シート4の構成はこれに限られるものではない。反射シート4の反射面またはLED基板3の表面と対向するように、光学素子1(遮光部拡散板)が+y方向に所定間隔離されて配置されている。よって、反射シート4と光学素子1との間には所定間隔の空間が形成されている。この空間内にLED2が配置され、LED2はこの空間内において、+z方向に向けて光を出射する。すなわち。LED2の光軸は、反射シート4または光学素子1の面及びz方向と平行になっている。LED2から所定の出射角を以って+z方向に放出された光は、反射シート4と光学素子1との間で反射を繰り返し、一部の光が光学素子1を透過しながら空間内を+z方向に伝播する。
図4では、LEDからの光のうち直接光学素子1に向かう光のみを矢印として図示している。
【0031】
LEDから直接光学素子1に向かう光の一部は光学素子1とインク6の境界面、及び多層構造とされたインク6の層間の境界で反射されLED2側に戻る。ここではインク6は3層構成とし、光学素子1側或いはLED2側から光学シート5側にかけて順に、1層目、2層目、3層目と定義する。ここで、インク6の各層における色は、1層目が白色、2層目も白色、3目は白色と青色との混合とする。すなわち、最も光学素子側に位置する層(1層目)は他の層の少なくとも一つよりも白色の割合(白色純度)が高くなっている。本実施例では、1層目の白色の割合は100%、つまり白色インクのみで構成されており他の色は混合されていないものとしている。しかしながら、必ずしも100%とする必要は無く、例えば、後述する混合インクにおける青色インク又は黒色インクの配合比率よりも小さい比率で青や黒など他の色を混合してもよい。以下、それぞれの遮光層の光学的作用について説明する。
【0032】
まず、1層目の白色インクの光学的作用について説明する。ここでは吸収率の高いインク6を用いた場合を考える。一例として光学素子1の透過率を80%、各インク層の透過率及び吸収率をそれぞれ30%、10%とし、インク6のLED2の光出射側から+z方向に伸びる寸法を10mm、LED2の発光面中心と光学素子1の+y方向の距離を3.4mmとする。このような構成において、全体の光量の27.1%が1層目のインク面に直接当たる光となり、そのうち10%が1層目で吸収されるとすると、2.7%の光が損失となる。また、インク6の1層目で反射し、反射シート4で反射し再度インク6に当たる光を考慮すると、さらに光の損失が大きくなる。吸収による光の損失を考慮すると、吸収率の低いインクを使用することが必要となるので、インク6として低吸収である白色インクを使用することが有効である。一般に色味を含むインク、例えば青インク、黒インクは吸収率が高い。このため、本実施例では、白色インクを使用して吸収する光量を最小限に抑制し、1層目で反射してz方向に伝播させる光の量を増加させている。これにより、光の利用効率を向上することができる。
【0033】
2層目のインクも同様に、1層目からの透過光(全体光量の8.1%)に対して吸収を抑制するために白色インクで構成している。
【0034】
このように、1層目のインクと2層目のインクは、光の利用効率を向上させる機能を有している。
【0035】
続いて3層目のインクの光学的作用について説明するが、その前に、インク6での反射光による光学的影響とインク6から透過した光の色度変化について、
図5〜
図6を参照しながら説明する。
【0036】
図5は、インク6からの反射光による光学的影響を示している。図示されるように、インク6から反射した光の一部はLED2に入射され、この入射光によりLED2の蛍光体が再励起される。その際、LED2の蛍光体の色により、LED直上の光(ホットスポット)の色度が変化する。本実施例では、LED2として黄色蛍光体を有する白色LEDを使用しているため、黄色蛍光体の再励起により発生した光は黄色〜赤色の成分が強くなる。従ってLED直上の光(ホットスポット)の色度は、黄色〜赤色方向に変化する。
【0037】
一方、インク6の1層目及び2層目を透過した光も、インク6の光学的特性により色度が変化する。一般的な白色インクは、
図6に示されるように、長波長側の透過率が高くなるような波長−透過率特性(透過スペクトル)を有している。このため、特に光量が強いLED2近傍の光は、その周囲に比べ黄色〜赤色方向に色度が変化する。
【0038】
このように、LED2の直上における光は、LED2の蛍光体の再励起による黄色〜赤色方向の色度変化と、白色インクを光学特性による透過光の色度変化が加わり、色度が大きく長波長側にシフト或いは変化することとなる。このような色度変化が生じると、LED2の直上で局所的な色むらが発生し、照明装置100の出射面内での空間的な色均一性の劣化が生じる。すなわち、LED2の直上近傍に生じるホットスポットは、その周囲に比べ局所的に輝度が高くなるのみならず、色も周囲に比べ局所的に異なっており、特に黄色或いは赤色成分が強くなっている。
【0039】
本実施例は、このような色均一性の劣化を低減するために、インク6の3層目に、
図4に示されるように白色と青色を混合したインク(以下、これを「青混合インク」と呼ぶ)を用いている。青混合インクは、
図7に示されるように、短波長側の青波長域の光は吸収せずに長波長側の光を多く吸収するような波長−透過率特性(透過スペクトル)を有している。従って、インク6の3層目に青混合インクを用いれば、黄色或いは赤色成分が強いLED2の直上近傍の1層目及び2層目を透過した光は、3層目により当該透過光の黄色或いは赤色成分が吸収される。すなわち、1層目及び2層目を透過した黄色又は赤みの強い光が3層目により補正され、白色に戻すことができる。この3層目での色度調整量は、例えば照明装置の照射光の色度を目標色度として、青混合インクの青インクの配合量を変えることで設定可能である。本実施例に係る青混合インクは、白色インクに対する青色インクの混合比率を、例えば重量比で0.1〜0.4%程度としている。
【0040】
このように、3層目の青混合インクは、LED2の直上近傍における光の色度を調整或いは補正する機能を有している。
【0041】
以上のように、本実施例によれば、光学素子に形成される遮光パターンとしてのインク6を複数の遮光層を積層した多層構造とし、最も背面側(LED2側)に位置する遮光層(本実施例では1層目)を白色インクで構成し、他の遮光層の少なくとも一つ(本実施例では3層目)青混合インクで構成しているので、LED2の直上近傍におけるホットスポットの光強度を低減しつつ、LED2の蛍光体及び1層目の白色インクによる色度変化を低減することができる。従って、本実施例によれば、照射光の空間的な輝度均一性及び色均一性が向上された照明装置を提供することができる。また、本実施例に係る照明装置を液晶表示装置のバックライトとして用いれば、空間的な輝度均一性及び色均一性が高い高画質な映像を表示することができる。
【0042】
ホットスポットの明るさは遮光パターンの厚さが厚いほど低減できる。このため、本実施例では遮光パターンの厚さを確保するために遮光パターンを3層構造としたが、これに限られるものではない。各層の膜厚を厚くできるのであれば2層で実現してもよい。また、4層構造であってもよいことは言うまでも無い。また、上記の例は第1パターン61について説明したものであるが、第2パターン62も同様に多層構造してもよいことは明らかである。また第1パターン61を多層構造とし、第2パターン62を1層構造としてもよい。
【実施例2】
【0043】
本発明の実施例2について
図8を参照して説明する。本実施例は3層目のインクの配合のみが実施例1と異なっているため、3層目のインク以外の説明は省略する。
【0044】
図8に示されるように、本実施例に係るインク6は、3層目に白色、青色及び黒色を混合したインク(以下、これを「青黒混合インク」と呼ぶ)により構成されている。これにより、少ない印刷工程で良好にホットスポットを低減するようにしたものである。
【0045】
LED2の直上のホットスポットを抑制するためには、遮光パターンはおよそ16umほどの膜厚が必要となるが、細かいパターンを印刷で再現するためには、印刷版のメッシュ数を細かくする必要がある。しかし、印刷版のメッシュを細かくすることは1回の印刷での膜厚が薄くなることを意味する。実際0.47umの大きさのドットを作成しようとすると、350×350のメッシュ数の印刷版を使用する必要がある。かかる印刷版による1回印刷時の膜厚は、およそ4um〜5umであるため、16umの膜厚を得るためには3〜4回の印刷回数が必要となる。印刷回数の増加は印刷コストの増加につながる。そのため、細かいパターンと印刷回数削減の両立のためには、ホットスポットを抑制するための新たな工夫が必要となる。
【0046】
そこで本実施例では、3層目のインクとして、青黒混合インクを用いることにより、3層目での光吸収率を高めている。これにより、1層目及び2層目を透過した光の色度を補正を補正しつつ光を多く吸収でき、遮光パターンの膜厚が薄くてもホットスポットの光強度低減しながら色度変化を抑制することできる。本実施例に係る青黒混合インクは、白色インクに対する青色インク及び黒色インクの混合比率を、それぞれ、例えば重量比で0.1〜0.4%程度としている。
【0047】
青黒混合インクを1層目に使用すると、1層目で吸収する光の量が多くなって1層目で反射してz方向に伝播する光の量が減少するため光の利用効率が低下するが、本実施例では3層目に青黒混合インクを用いているため、z方向に伝播する光の量の減少を抑えることができる。すなわち、本実施例によれば、LED2の直上近傍の光の色度変化を抑制しつつ、よりホットスポットの光強度を低下させることが、膜厚が薄い遮光パターン(すなわち少ない印刷回数)で実現できる。
【0048】
この実施例2も実施例1と同様に、遮光パターンは2層構造でもよく、また4層構造でもよい。
【実施例3】
【0049】
本発明の実施例3について
図9を参照して説明する。この実施例3は、インクの層構造とインクの形成方法が実施例1及び2と異なっており、他の部分は同一のため、インクの形成方法以外の部分についての説明は省略する。
【0050】
図9に示されるように、本実施例は、遮光パターン6を2層構造とし、1層目を白色インクで構成し、2層目を青黒混合インクで構成したものである。白色インクで構成された1層目についてはグラデーション印刷版を使用して印刷し、混
合インク(青混合インク又は青黒混合インク)で構成された2層目については、ベタ印刷版を使用して印刷している。
【0051】
グラデーション印刷版は、LED2から離れるに従いパターンの面積が小さくなるよう、すなわち
図3に示された単位ブロック当たりのドット密度が低くなるように白色インクを光学素子1上に印刷する。白色インクは上述のように吸収が少ないため、広い範囲に塗布することで、最適な遮光性能を実現し、所望の輝度均一性を実現する。
【0052】
一方、ベタ印刷版は、LED2の直上のホットスポット部分のみ、例えば
図2の第1パターン61の部分のみ青混合インク又は青黒混合インクを印刷する。
【0053】
このとき、グラデーション印刷版で印刷される1層目のインクで十分な遮光を実現できるのであれば、ベタ印刷版の塗布面積を大きくしても問題ない。しかしながら、1層目で十分な遮光が実現できない場合、混
合インクによる2層目の塗布面積を大きくすると、1層目を透過する光について2層目での吸収量が多くなってしまう。
【0054】
そこで本実施例では、グラデーション印刷版によって広い範囲をカバーするように、
図2における第1パターン61及び第2パターン62を白色インクで印刷することにより1層目を形成し、ベタ印刷版によってLED直上部分のみ、つまり第1パターン61の部分のみ混
合インクで印刷することにより2層目を形成する。つまり本実施例では、グラデーション印刷版により白色インクで形成された1層目は、第1パターン61及び第2パターン62の両方を有しており、ベタ印刷版により青混合インク又は青黒混合インクで形成された2層目は第1パターン61のみを有することとなる。つまり、第1パターン61は多層構造、第2パターン62は単層構造となっている。これにより、1層目で光の利用効率及び輝度均一性を向上させるともに、2層目で色度変化の低減及びホットスポットの光強度の減少を実現している。ここで、混
合インクは、上述した青混合インク又は青黒混合インクであるが、1層目のインクよりも光吸収率が高く、色度変化の補正ができるものであれば、これ以外の混
合インクでもよい。尚、本実施例に係る青黒混合インクは、実施例2と同様に、白色インクに対する青色インク及び黒色インクの混合比率を、それぞれ、例えば重量比で0.1〜0.4%程度としている。
【0055】
このように、本実施例によれば、2層構造でLED2の直上近傍におけるホットスポットの光強度を低減しつつ、LED2の蛍光体及び1層目の白色インクによる色度変化を低減することができる。この実施例では印刷工程を2回としているが、必要な膜厚を得るために必要な回数の印刷を行ってもよい。
【実施例4】
【0056】
本発明の実施例4について
図10を参照して説明する。この実施例4は、インクの層構造が前述の実施例と異なっており、他の部分は同一のため、インクの層構造以外の部分についての説明は省略する。
【0057】
図10に示されるように、本実施例は、インク6の1層目を白色インク、2層目を青黒混合インク、3層目を白色インクで構成している。かかるインク6の層構造によれば、3層目のインクの表面に光学シート部5側から反射して戻ってくる光を、3層目で吸収せず反射させることができる。このように、光学シート部5側から反射して戻ってくる光を、3層目を構成する高反射の白インクで反射することにより、照明装置100の照射光の輝度を向上することができる。また、2層目に青黒混合インクを用いているので、実施例2と同様に、1層目を透過する光を良好に吸収してホットスポットの光強度を低減することができる。本実施例に係る青黒混合インクは、実施例2及び3と同様に、白色インクに対する青色インク及び黒色インクの混合比率を、それぞれ、例えば重量比で0.1〜0.4%程度としている。 実施例4の場合、遮光パターン(インク6)を少なくとも3層構造とする必要があり、印刷回数は多くなるが、光の利用効率は高くなる。また2層目は青黒混合インクとしているが、1層目〜3層目の総合的な膜厚でホットスポットを抑制することができれば、青混合インクとしてもよい。
【実施例5】
【0058】
本発明の実施例5について
図11を参照して説明する。本実施例は、光学素子(遮光部拡散板)の構成が実施例1〜4と異なっている。
【0059】
図11は、実施例5に係る照明装置の構成を示す展開斜視図であり、光学シート部13の図示は省略している。また、
図11に示されるように、本実施例は、LED基板314をx方向に2分割するとともに、各分割されLED基板314にそれぞれ対応してx方向を長手方向とした長方形状の遮光部拡散板114を設けている。ここでは、10枚のLED基板314及び10枚の遮光部拡散板子114を使用している例を示している。すなわち、実施例1〜4では、光学素子は照明装置100の出射面をカバーするサイズ(面積)を1枚の遮光部拡散板1で構成されていたのに対し、本実施例では、複数のLED基板314にそれぞれ対応した、遮光部拡散板1よりも小さい複数の遮光部拡散板114で構成されている。各遮光部拡散板114は、本実施例では、光学素子1よりも約1/10のサイズを有している。尚、
図11ではLED基板314をベースシャーシ7から分離させているが、実際は上述の実施例1〜4と同様にベースシャーシ7に固定されている。
【0060】
遮光部拡散板114を本実施例のように構成することによって、遮光部拡散板114の熱による撓みを抑制することができる。以下、かかる効果について説明する。
【0061】
先に説明したように、光源の近傍に配置された樹脂製の光学素子は、光源や該光源に電力を供給する回路(ドライバ)等の発熱によって熱膨張が生じ、これにより例えば液晶パネル側に凸を向けて反るような撓みが生じる。この撓みにより光源と光学素子間の距離が光学素子の面上の位置に応じて変化し、これが面内の空間的な輝度むらとなって現れる。ここで、物体の膨張量(伸び量)ΔLは一般的に以下の式1で表される。
【0062】
ΔL=α×L×ΔT (式1)
ここで、ΔLは膨張量、αは線膨張係数、Lは物体の長さ、ΔTは温度上昇値であり、αは物体固有の物性値である。つまり膨張量ΔLは、物体の長さLが大きいほど大きくなり、物体周囲の温度上昇ΔTが大きい程大きくなる。本実施例では、光学素子として実施例1〜4で説明した1枚構成の遮光部拡散板1よりも小さい遮光部拡散板114を使用しているため、熱膨張量、即ち撓みが小さくなり、熱によるLED2と遮光部拡散板114との距離の変化を低減することができる。
【0063】
さらにリベットピン等により、各遮光部拡散板114とベースシャーシ7とを共締めすることでさらに撓みを抑制することができる。リベットピンはネジなどで構成してもよい。このリベットピンやネジは透明な部材又は白色で反射性の高い部材のものを使用することで、リベットピンやネジが暗部として見えにくくなり、これら部品による照明装置の光学性能への影響を最小限に抑えることができる。
【0064】
図11に示される例では1つのLED基板314に1つの遮光部拡散板114を対応させて配置している。すなわち、LED基板314の枚数と遮光部拡散板114の枚数が同じであるので組立時に基板単位でのアセンブリが容易となり、組立の自由度が高くなる。しかしながら、本実施例はこれに限られるものではない。例えば、LED基板314を分割せずに各LED列に対し1つのみとし、この1つのLED基板314に対し2つ或いは2以上の光学素子114を対応して配置するようにしてもよい。遮光部拡散板の分割数が増えれば増えるほど熱膨張量が減少するため輝度ムラ改善に対し有効であるが、その分組立工数の増加やコストが上昇する懸念がある。よって、組立工数やコストを考慮して遮光部拡散板の分割数を適宜定めることができる。また組立てとして、例えばベースシャーシ7に反射シート4、LED基板314、遮光部拡散板114を順次取り付けてる手法を用いてもよいし、LED基板314と遮光部拡散板114を先にアセンブリしてモジュール化した後に、該モジュールとベースシャーシ7とで反射シート4を挟み込むようにベースシャーシ7に取り付ける手法を用いてもよい。
【0065】
このように、本実施例によれば、光学素子の熱膨張による撓みを防止し、該撓みによる輝度むらを低減することができる。
【実施例6】
【0066】
本発明の実施例6について
図12〜
図17を参照して説明する。本実施例は、輝度むらを低減するために、光学素子114の背面側に光伝播溝を形成するためのプリズムを設けたしたことが他の実施例と異なっている。本実施例の構成及び光学的作用の説明に先立って、輝度むらの様子について
図15を参照して説明する。
【0067】
図12の右側の図は、左側に示された遮光部の一点差線上での輝度分布を示している。尚、
図12の右側の図では、光学素子として実施例5の分割された遮光部拡散板114を用いており、実施例1〜4の遮光パターン(インク6)は設けていないものとする。また遮光部拡散板114のz方向の寸法(幅)をA[mm]とする。幅Aは、LED2のz方向の配列ピッチよりも小さくされている。
【0068】
図示されるように、この例の輝度分布は、LED1、LED2の配置位置の直上において輝度L1のピークを有する。また、LEDの光出射方向と反対側(−z側)近傍で最低輝度L2となっている。図示された輝度分布において、ピーク輝度L1と最低輝度L2との差が大きく、これが輝度むらとして視認される。遮光部拡散板は上述のように拡散性を有しているが、遮光部拡散板の拡散性のみではかかる輝度むらを低減させることは難しい。
【0069】
かかる輝度むらを良好に低減するためには、ピーク輝度L1を下げ、最低輝度L2を上げる必要がある。ピーク輝度L1を下げるためには、上述した実施例1〜4に示されるような遮光パターン(インク6)を遮光部拡散板114のLED直上と対応する位置に形成し、当該位置に向かう光を遮光パターンで吸収、反射させればよい。一方、最低輝度L2を上げるためには、遮光パターン6或いは光学素子で反射された光を効率良く+z方向へ伝播させる必要がある。
【0070】
そこで実施例6では、
図13及び
図14に示されるように、光学素子である遮光部拡散板114の背面側に光伝播溝120を形成するためのプリズム116、117を設けることで、遮光パターンで反射された光を効率よく+z方向へ導いている。
図13のプリズム116は、LED2の光出射方向(光軸)と直交する断面(x−y平面と平行な断面)が三角形状で、z方向、すなわちLED2の光出射方向と平行な方向に伸びて形成されている。このプリズム116がx方向に複数配列されている。また
図14のプリズム117は、LED2の光出射方向(光軸)と平行で且つ遮光部拡散板114の面と直交する断面(y−z平面と平行な断面)が三角形状で、x方向、すなわちLED2の光出射方向と直交する方向に伸びて形成されている。このプリズム117がx方向に複数配列されている。すなわち、
図13の例と
図14の例では、プリズムの形成方向が互いに直交している。尚、
図13及び
図14では、図示の簡略化のための遮光パターンであるインク6の図示を省略している。
【0071】
次にプリズム116、117の効果について
図15を参照して説明する。
図15は、
図13と
図14のそれぞれの構成における遮光部拡散板114の幅Aに対する最低輝度上昇率のグラフを示している。
図15のグラフにおいて、横軸はz方向の遮光部拡散板の幅A[mm]を示し、縦軸は35mm幅の遮光部拡散板114に対する最低輝度L2の上昇率を示している。
【0072】
図15に示されるように、
図13の構成では遮光部拡散板114の幅が大きくなるにつれて最低輝度L2が上昇し、幅55mmでは上昇率が3.3%程度となっている。一方で、
図14の構成では、幅45mm程度までは輝度上昇効果があるが、幅45mm以上になると最低輝度の上昇効果が飽和する。この現象について、プリズムの形成方向(長手方向)と平行な方向の光学的作用(
図13)と、プリズムの形成方向(長手方向)と垂直な方向の光学的作用(
図14)に分けて説明する。
【0073】
まず、プリズムの延伸方向(長手方向)と平行な方向の光学的作用について
図16を参照して説明する。
図16(a)は遮光部拡散板114のプリズム116付近での光の様子を示し、
図16(b)は反射シート4上での光の様子を示している。
【0074】
図16において、LED2から所定の出射角で出射された光は+z方向に進行するが、遮光部拡散板114と反射シート4との間もしくは光学シート部5(ここでは図示しない)と反射シート4との間を拡散反射しながら+z方向に進行する。特にプリズム116に対し垂直に入射する光は、各プリズム116相互間に形成された光伝播溝120で
図16(a)のように反射し、反射シート4側に戻る。反射シート4側に戻った光は
図16(b)のように反射シート4で拡散反射されて+z方向に進行する。これが繰り返されし行われることで、LED2から+z方向に離れた部分にも光が伝搬し、これにより
図12に示された最低輝度L2を向上させることができる。また、この光伝播溝120による伝搬効果は遮光部拡散板114の幅が広くなるほど大きくなるため、遮光部拡散板114の幅が広くなるほど最低輝度L2の上昇率は高くなる。このような光学的作用(光伝播作用)を用いることで、最低輝度L2の輝度を向上することができる。
【0075】
次に、プリズムの延伸方向(長手方向)と直角な方向の光学的作用について
図17を参照して説明する。
図17は、プリズム117に対し斜めから入射する光の様子を示している。ここで、空気層の屈折率をn1、遮光部拡散板の屈折率をn2(>n1)とすると、入射角θ
inでプリズム117に入射した光はプリズム117内で屈折し、遮光部拡散板114から出射する際に再び屈折し、θ
outの角度で遮光部拡散板114から外部に出射する。このときスネルの法則よりθ
in<θ
outとなるため、プリズムの延伸方向(長手方向)と垂直な方向に光が拡がる。このような光学的作用により、プリズムの延伸方向(長手方向)と垂直な方向の輝度むらを低減することが可能となる。
【0076】
かかる輝度むら改善効果に関して、
図18及び
図19を用いて説明する。
図18はx方向に平行な明暗ムラが存在する例を示しており、
図19はz方向に平行な明暗ムラが存在する例を示している。LED2の光出射方向は、これまでと同様に+z方向とする。
【0077】
例えば、
図18の例ではx方向と平行な明暗ムラがz方向に周期的に現れるため、z方向に光を拡げる必要がある。そのためこの明暗ムラを改善するには遮光部拡散板114に形成されるプリズムの延伸方向(長手方向)の向きをx方向と平行に配置することが好ましい。一方、
図19の例では、z方向と平行な明暗ムラがx方向に周期的に現れるため、x方向に光を拡げる必要がある。そのため遮光部拡散板114に形成されるプリズムの延伸方向(長手方向)の向きを、z方向と平行にすることが好ましい。このようにプリズムの延伸方向の向きと垂直な方向へ光を拡げる効果により輝度ムラを改善する。また、
図15における
図13の構成の特性では、最低輝度L2の上昇率が遮光部拡散板114の幅が45mm以降で飽和すると説明したが、これは、プリズムの延伸方向(長手方向)の向きと垂直な方向への光拡散効果が小さいためである。すなわち、遮光部拡散板114の幅が45mmまでは光を拡げる効果により最低輝度L2を上昇させる効果があるが、45mm以上では遮光部拡散板114自身の透過率の影響が大きくなり、最低輝度L2の上昇効果が飽和する。
【0078】
以上の通り、z方向に
図15に示された最低輝度L2は、z方向に延伸するプリズム116、x方向に延伸するプリズム116のいずれでも上昇させることができるが、光伝播溝120によるz方向への光伝播効果が高いプリズム116を用いることが好ましい。
【0079】
また、
図17〜
図19で説明したプリズムの拡散効果により輝度むらを改善するには、改善したい輝度むらの方向と平行にプリズム延伸方向(長手方向)の向きを合わせて配置する必要がある。このプリズムの最適な向きを、LED2の水平方向(x方向)の配列ピッチ及び/または垂直方向(z方向)の配列ピッチによって定めることができる。一般的にLEDの光強度は、LEDの光軸上の光(出射角0度の光)が最も強く、光軸に対して±90度の方向の光が最も弱い。このため、LED2の水平方向(x方向)の配列ピッチが広いと、例えば
図20に示されるようにLED2間に暗部が生じ、水平方向(x方向)に沿って周期的な明暗むらを生じる。この場合は、延伸方向がz方向と平行なプリズム116を用いる。一方、LED2の垂直方向の配列ピッチが広い場合は、明暗むらがx方向と平行に、かつz方向に沿って周期的に発生するため、延伸方向がz方向と平行なプリズム117を用いる。このように、LED2の水平方向、垂直方向の配列ピッチの大きさに応じてプリズム116,117のどれを用いるか(すなわちプリズムの延伸方向)を決定することができる。また、光学シートの構成によってどのプリズムを用いるかを決定してもよい。例えば、光学シートによる輝度むらの改善方向に応じてどのプリズムを用いるかを決定することができる。
【0080】
また、遮光部拡散板114の光出射面(光学シート側の面)をシボ面(マット面)または光沢面としてもよい。シボ面は、光の拡散効果が増すため輝度ムラ改善に効果があり、光沢面は、光学シート5と遮光部拡散板114との間でにおける光の伝搬効果が大きくなるため輝度向上に寄与する。
【0081】
また、例えば
図21に示されるように、遮光部拡散板114の+z方向(LEDの光出射側)の端面を粗面としてもよい。端面を粗面にすることで遮光部拡散板114の内部を伝搬した光が端面に形成した粗面に当って散乱し、当該端面付近の輝度を向上させることができる。かかる端面の粗面は、サンドブラストにより形成してもよいし、遮光部拡散板114のを成型するための型に予め形成してもよい。また端面を鏡面にすれば、遮光部拡散板114内を伝搬した光を最低輝度部まで到達させることができ、粗面の場合と同じく同様の効果を得ることができる。更にまた、
図22に示されるように、遮光部拡散板114の+z方向の端部に、光学シート5側に向くテーパ面を形成してもよい。これにより、遮光部拡散板114内を伝搬する光及び前方列(+z方向側)から伝わった光がテーパ面で拡散され、より遠い方向に光が到達するように導かれる。またテーパ角を変更することで所望の位置の輝度上昇効果が得られる。このテーパ角は、LED2のピッチ等により適宜に変更してもよい。
【0082】
尚、実施例6では、光学素子として複数に分割された実施例5の遮光部拡散板114を用いたが、実施例1等で説明した1枚構成の遮光部拡散板1を用いてもよい。
【0083】
以上の通り、本実施形態によれば、照明装置の光出射面における空間的な色むら、輝度むらを低減することができる。また、熱膨張による輝度むらも低減することができる。
【0084】
尚、上記実施例では、遮光部拡散板114のLED2側の面(遮光部拡散板114の光入射面)にプリズム116,117を設けたが、これに限られるものではない。遮光部拡散板114の光出射面に設けてもよいし、光入射面及び光出射面の両方に設けてもよい。また、本実施例では、光伝播溝120の断面が三角形状の例を示したが、これに限られるものではない。例えば、断面が半円形状を有するレンチキュラー溝、断面が台形の台形溝、断面が四角形状の矩形溝でもよいし、断面が多段面を有する溝であってもよい。屈折や反射により
図16(a)に示されるような光伝播機能を生じるものであればよい。
【実施例7】
【0085】
上記光伝播溝120の配列ピッチや高さ一例について、本発明の実施例7として
図23を参照して説明する。
図23(a)は、本実施例に係る照明装置を光出射面側(+y方向側)から見た一部拡大図を、
図24(b)は、その断面図(x−y平面の断面図)示している。尚、この例では、プリズムとしてLEDの光出射方向(z方向)に延びるプリズム116を用いている。また、光学素子として1枚構成の遮光部拡散板1を用いているが、分割された遮光部拡散板114を用いてもよい。また、遮光部拡散板1は、例えば円錐状のピン23によりその背面側から支持されているものとする。遮光パターン6は、本図では全部のLED2の直上に図示しておらず、一部の図示を省略している。
【0086】
図23において、光伝播溝120またはこれを形成するためのプリズム116のx方向(LEDの光出射方向と直交する方向)の配列ピッチをP、LED2の発光面の長手方向の幅をLa、LED2のx方向配列ピッチをLp、幅La内の光伝播溝120の本数をNaとすると、本実施例は以下の式2を満足するように構成されている。尚、LED2の発光面の幅Laは、詳細には
図25に示されるように定義されるものとする。
【0087】
Lp/P≧Na≧Lp/La(但しLp>La、Lp>P)(式2)
ここで、光伝播溝120のx方向の配列ピッチPは、例えば30〜70mm、LED2の発光面の長手方向の幅Laは例えば3mm、光伝播溝120のx方向の配列ピッチPは例えば0.01〜0.05mm程度である。このように、LED2の配列ピッチLpにおける光伝播溝120の全本数よりも幅La内における光伝播溝120の本数Naが小さくなるように溝の配列ピッチがP設定される。
【0088】
上記式2を満足すれば、LED2の配列ピッチLpが大きくなっても、LED2の発光面の幅Laを複数に分割できる本数の光伝播溝120を配置することができる。これにより、LED2の直上におけるホットスポットが光伝播溝120により分散或いは拡散され、ホットスポットの光強度を低下して輝度均一性を向上できる。またホットスポットを形成する光は、上述のように光伝播溝120で+z方向に伝播されるため、z方向における輝度均一性も向上できる。
【0089】
また
図23において、光伝播溝120を形成するプリズム116のy方向(遮光部拡散板1の面と直交する方向)の高さをa、遮光部拡散板1の光出射面と光学シート5の入射面(光学シート5が複数の場合は、最も遮光部拡散板1近い光学シートの入射面)との距離(拡散距離)をhとしたとき、本実施例は以下の式3を満足するように構成されている。
【0090】
h≧a(式3)
ここで、プリズム116の高さaは例えば0.05〜0.5mmであり、拡散距離hは例えば0.5〜10mm程度である。
【0091】
上記のように拡散距離hがプリズム116の高さa以上であれば、プリズム161により形成された光伝播溝120を反射又は屈折して+z方向に進行しつつ遮光部拡散板1中を伝播して出射するを、上記拡散距離hで定められる空間(遮光部拡散板1と光学シート5との間の空間)で良好に拡散することができる。また光学シート5で反射して遮光部拡散板1に入射し、遮光部拡散板1で反射又は遮光部拡散板1から出射された光についても、上記拡散距離hで定められる空間で良好に拡散することができる。よって、このような構成によれば、遮光部拡散板1から出射面内の輝度分布を均一化或いは滑らかにし、例えばLED2直上のホットスポットを低減することができる。またプリズム161を設けることによる発生する可能性がある該プリズムの配列形状に相似の(プリズムの高さaが高いほど現れやすくなる)明暗むらも、上記拡散距離hで定められる空間で良好に拡散して目立たなくさせることができる。
【実施例8】
【0092】
上記光伝播溝120の配列ピッチの更に別の例について、本発明の実施例8として
図24を参照して説明する。
図24の左側の図は、本実施例に係る照明装置を光出射面側(+y方向側)から見た1つの遮光パターン6を中心とした一部拡大図を、右側の図はその断面図(x−y平面の断面図)を、下側の図は遮光パターン6におけるドットの部分拡大図を示している。尚、この例では、プリズムとしてLEDの光出射方向(z方向)に延びるプリズム116を用いている。また、光学素子として1枚構成の遮光部拡散板1を用いているが、分割された遮光部拡散板114を用いてもよい。
【0093】
図24において、光伝播溝120のx方向(LEDの光出射方向と直交する方向)の配列ピッチをP、遮光パターン6の第2パターン62における最小ドットサイズをDaとしたとき、本実施例は以下の式4を満足するように構成されている。
【0094】
3×Da>P≧Da/100(式4)
この条件を満足すれば、遮光パターン6のドットが連続して配列されている場合、例えばドットの間の空間が3個のドットより小さい距離の場合には、その空間にプリズム116が少なくとも1本以上配置されることになる。このため、
図24のに示されるように、遮光パターン6のドット間において、プリズム116の2つの面により光が半分ずつ分散(図中Li2、Li3)されることになる。また遮光パターン6のドットで反射された光はプリズム116の面で反射されて再度出射される(図中Li1)これらの光は、ドットの上方をカバーする進行して出射するため、照明装置の出射面側から見たときにドットによる影が見え辛くなる。当然、プリズムピッチが小さければ、上記光の分散は細かくできる。しかしながら、現在の印刷機では、印刷ドット径が0.2mm〜0.5mm、或いは1mm程度が最小であるため、プリズムを小さくしすぎると上記光の分散幅が狭くなり、かかる分散による効果(ドットによる影の視認防止)が低下することとなる。またプリズム(光伝播溝)形成も困難となる。従って、上記効果を得るため、及びプリズム形成上の観点から、プリズム116の並列ピッチPの下限値は、約0.01mmとするのが好ましい。
【0095】
また、
図24において、光伝播溝120またはこれを形成するためのプリズム116のx方向(LEDの光出射方向と直交する方向)の配列ピッチをP、遮光パターン6におけるドットの最小ピッチをPd、ドット間の最小隙間距離をPsとしたとき、遮光パターン6の透過率をTrが0.1%≦Tr<50%の場合において、本実施例は以下の式5を満足するように構成されている。
【0096】
Pd≧P≧Ps(式5)
上記式5の条件を満たせば、プリズム116の配列ピッチPはドットの最小ピッチよりも小くしているため、プリズム116の2つのプリズム面による反射又は屈折作用によりドットの輪郭の陰影を形成するような光を分散することができ、ドットの陰影を見え難くすることができる。遮光パターン6におけるドット間の最小隙間から光を漏らす場合には、プリズム116の配列ピッチPが当該最小隙間距離よりも大きくすることにより、当該隙間から漏れた光を当該隙間に隣接するそれぞれのドットの陰影に被せることができるため、輝度均一性をより一層向上することができる。
【実施例9】
【0097】
本発明の実施例9について
図26を参照しながら説明する。これまで説明した実施例は、一列状に配列されたLED2の光出射方向は全て同じ方向(+z方向)であったが、本実施例では、LEDの1個おきに光出射方向を逆向き(−z方向)としている。すなわち、本実施例は、+z方向に光を出射するLED2と、−z方向に光を出射するLED2とをx方向に沿って交互に配列したものである。ここではLED2の光出射方向を+z方向と−z方向としているが、+x方向と−x方向としてもよい。
【0098】
シャーシ7の内面には反射シート4が設けられているが、この反射シートは、図示されるように、照明装置の周辺部に向かうに従い照明装置の光出射方向(紙面)に傾斜するようなスロープが設けられている。よって、LED2から出射した光は、反射シート4のスロープにより反射して、遮光部拡散板1の光伝播溝の方向に伝播し、そして入射角度が適切になると遮光部拡散板1を通過して出射面から照射される。これにより照明装置周辺部まで光を伝播し、中央のみならず先端部の輝度も向上できる。
【0099】
これにより少ないLEDで照明装置の光出射面全体に渡って、輝度金要る性を向上させながら光を供給することができる。
【0100】
上述した実施例1〜9において、1枚構成の遮光部拡散板1は1枚のみ使用したが、例えば+y方向に遮光部拡散板1を例えば2枚重ねて配置することも可能である。この場合、プリズムが形成される面は、下側(照明装置の背面側)の遮光部拡散板1は光入射側、上側(照明装置の光出射面側)の遮光部拡散板1は光出射側に設けることが好ましい。しかしながら、両方とも光入射側に設けてもよいし、また両方とも光出射側に設けてもよい。
【0101】
尚、上記各実施例では、照明装置を、映像表示装置(液晶表示装置)のバックライトに適用した例を説明したが、これに限られるものではない。本実施形態に係る照明装置は、例えば室内照明やエレベータや車内の照明としても適用することが可能であり、また看板用の照明としても利用することができる。