(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886444
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】1つまたは複数の流体を通すための容器、分配トレイ、および方法
(51)【国際特許分類】
B01J 8/00 20060101AFI20160303BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20160303BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
B01J8/00 A
B01F3/04 Z
B01F5/00 G
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-552246(P2014-552246)
(86)(22)【出願日】2013年1月8日
(65)【公表番号】特表2015-506833(P2015-506833A)
(43)【公表日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】US2013020604
(87)【国際公開番号】WO2013106293
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年7月28日
(31)【優先権主張番号】13/350,473
(32)【優先日】2012年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ナウンハイマー,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,ジャンピーン
【審査官】
金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0078483(US,A1)
【文献】
特開2007−289904(JP,A)
【文献】
特開2010−075838(JP,A)
【文献】
特開2008−012415(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0129393(US,A1)
【文献】
特表2007−509311(JP,A)
【文献】
米国特許第07506861(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 8/00− 8/46
B01F 1/00− 5/26
B01B 1/00− 1/08
B01D 1/00− 8/00
B01D 53/14−53/18
B01J 10/00−12/02
B01J 14/00−19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパートメント(300)に1つまたは複数の流体を通す方法であって、
A)トレイ(200)の上に液体を収集するステップであって、前記トレイ(200)は、前記コンパートメント(300)を含み、前記コンパートメント(300)は、内部壁部(366)および外部壁部を含み、前記コンパートメント(300)は、前記内部壁部(366)の上にライフリング(368)を少なくとも部分的に形成している、ステップと、
B)前記コンパートメントに蒸気を通すステップと、
C)前記蒸気を、少なくとも1つの開口(340)を介して前記コンパートメント(300)に進入する前記液体と混合し、前記コンパートメント(300)を出ていく前記蒸気および液体のうちの少なくとも1つに旋回を与えるステップと
を含み、
前記蒸気および液体の少なくとも一部分が旋回し、前記コンパートメント(300)を出ていき、
前記蒸気および液体が、下向きに通り、前記コンパートメント(300)を出ていき、
前記コンパートメント(300)が、チューブ(358)を形成しており、前記チューブが、前記内部壁部(304)を含み、
前記コンパートメント(300)が、内部壁部を有するインサート(350)をさらに含み、前記インサート(350)は流体の流れ方向に向かってその直径寸法が減少するように収束する部分を有し、前記インサート(350)はチューブ(358)の内側に収縮部(356)を形成し、且つ、別の内部壁部(366)を含む、方法。
【請求項2】
前記コンパートメントが、複数の開口(334、336、338)を形成しており、前記複数の開口(334、336、338)が、前記コンパートメントの高さに沿って、異なる高度に形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体が、1つまたは複数の炭化水素を含み、前記蒸気が、水素を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンパートメントから1つまたは複数の粒子を含む下方の充填層へ、前記蒸気および液体を通すステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記コンパートメントが、第1および第2のインサート(610、630)をさらに含み、前記第2のインサート(630)が、前記内部壁部を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
A)第1の側部(230)および第2の側部(240)を形成し、前記第1の側部(230)は、前記部材(220)の上に液体(210)を受け入れるようになっている、部材(220)であって、複数の開口部(250)を形成する部材(220)と、
B)第1の部分(310)が前記第1の側部(230)から突出している状態で前記部材(220)に連結され、前記部材(220)の前記第1の側部(230)から前記第2の側部(240)への流体の通過を許容するようになっているコンパートメント(300)であって、ライフリング(368)を少なくとも部分的に形成する内部壁部(304)を含むコンパートメント(300)と
を含み、
前記コンパートメント(300)が、内部壁部を有するインサート(350)をさらに含み、前記インサート(350)は流体の流れ方向に向かってその直径寸法が減少するように収束する部分を有し、前記インサート(350)はチューブ(358)の内側に収縮部(356)を形成し、且つ、別の内部壁部(366)を含む、容器(100)のための分配トレイ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権についての記載
[000l]この出願は、2012年1月13日に出願された米国出願第13/350,473号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本発明は、概して、コンパートメントに1つまたは複数の流体を通すための容器、分配トレイ、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]化学的な処理、石油精製、および、他の産業では、流体(とりわけ、液体およびガスの混合相の流体)をベッドまたはトレイの上に分配するために、様々な容器を使用することが可能である。1つの特定の容器は、トリクル(trickle)フロー反応器など、反応器とすることができ、接触脱ろう、水素化処理、水素化脱硫、水素化仕上げ、および水素化分解などプロセスで使用することが可能である。一般的に、1つまたは複数の液体およびガスを含む流体などフィード(feed)は、下降流反応器内の充填層内に含有される微粒子触媒を通り過ぎることが可能である。化学反応が起こることが可能であり、それは、いくつかの水素化処理プロセスにおいて、硫化水素およびアンモニアなど気相の追加成分を生成することが可能である。そのようなガスおよび液体は、典型的に、充填層を通って下向きに流れ、底の出口部を出ていく。
【0004】
[0004]反応を促進させるために、固体触媒が、均一に、効果的に、および効率的に、ベッドの上部に流体を分配する目的のために、複数のベッド内に配列され、分配装置プレートまたはトレイを、それぞれのベッドの上方に備えることが多い。
【0005】
[0005]多くの場合、低い圧力降下の分配装置が、高い分配装置密度を利用し、下流のベッドの上部にわたって、液体「微小分布」を提供することが可能である。多くの高い圧力降下の分配装置は、低い分配装置密度を利用し、衝突プレート(すなわち、スプラッシュプレート)に連結されており、下流のベッドの上部にわたって、液体「微小分布」を提供する。典型的に、低い分配装置密度は、より容易なメンテナンス、および、蒸気液体トレイの上部側の蒸気液体分配装置同士の間のアクセスを可能にし、好ましい可能性がある。しかし、衝突スプラッシュプレートが必要とされる可能性があり、それは、変化する反応器条件において予測できない性能を有し得る追加的なコンポーネントである可能性があり、蒸気−液体分配トレイの底部側からの蒸気−液体分配装置の内側へのアクセスを限定する可能性がある。
【0006】
[0006]また、分配装置は、単一の側部に液体孔部を有することが可能である。孔部を形成する側部は、液体が進入することを許容し、液体のほとんどが分配装置の他の側部に沿って下向きに流れることを可能にし得る。単一の側部から下向きへのこのフローは、分配装置からの不均一な液体フローを作り出し、下方にあるベッド内の反応を妨げる可能性がある。この不均一なフローは、内部オリフィスを使用することによって、バランスさせることが可能である。しかし、そのような内部オリフィスは、高い圧力降下を作り出す不利益を受ける可能性がある。
【0007】
[0007]したがって、衝突スプラッシュプレートなど、追加的なデバイスなしに、その中を通過する蒸気−液体の混合を改善させることが可能な、改善された分配装置を提供する要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008]1つの例示的な実施形態は、コンパートメントに1つまたは複数の流体を通す方法であることが可能である。方法は、トレイの上に液体を収集するステップと、コンパートメントに蒸気を通すステップと、蒸気を、少なくとも1つの開口を介してコンパートメントに進入する液体と混合し、コンパートメントを出ていく蒸気および液体に旋回を与えるステップとを含むことが可能である。また、コンパートメントは、内部壁部および外部壁部を含むことが可能であり、または、内部壁部および外部壁部から構成可能であり、一般的に、コンパートメントは、内部壁部の上にライフリング(rifling)を少なくとも部分的に形成している。
【0009】
[0009]別の例示的な実施形態は、容器のための分配トレイであることが可能である。分配トレイは、第1の側部および第2の側部を形成する部材と、第1の部分が第1の側部から突出している状態で部材に連結され、部材の第1の側部から第2の側部への流体の通過を許容するように適合されているコンパートメントとを含むことが可能である。多くの場合、コンパートメントは、ライフリングを少なくとも部分的に形成する内部壁部を含み、または、その内部壁部から構成されており、第1の側部は、その上に液体を受け入れるように適合されており、コンパートメントは、複数の開口部を形成している。
【0010】
[0010]さらなる例示的な実施形態は、容器であることが可能である。容器は、入口部と、出口部と、第1の側部および第2の側部を有する部材を含む分配トレイと、部材に連結されているコンパートメントと、粒子を含む充填層とを含むことが可能である。多くの場合、コンパートメントは、外部壁部、および、ライフリングを少なくとも部分的に形成する内部壁部を含み、または、外部壁部、および、その内部壁部から構成されている。
【0011】
[0011]本明細書で開示されている実施形態は、コンパートメントを出ていく蒸気−液体混合物にスピンを与えることによって、衝突スプラッシュプレートの必要を排除することが可能である。このスピンは、2つの相の間の混合を促進させるだけでなく、スピンは、液体がコンパートメントの出口開口部をちょうど通過した点に到達するときに、液体を「噴き出させる」ことが可能である。与えられるこのスピンは、衝突スプラッシュプレートなど余分なデバイに対する要求を排除することが可能である。銃身(barrel)のライフリングが、発射物にスピンを与えるのと同様に、コンパートメントの少なくとも一部分のライフリングは、スピンを流体に与えることが可能である。これらのらせん状の溝部、および/または、ライフリングのランドは、蒸気−液体コンパートメントの内部表面の一部分、または、全体長さに加えられ得る。したがって、ライフリングは、コンパートメントの内側の蒸気−液体混合物にスピンを与え、流体がコンパートメントを出ていくときに噴霧させることが可能である。
定義
[0012]本明細書で使用される「ストリーム」という用語は、直鎖、分岐、または環状のアルカン、アルケン、アルカジエン、およびアルキンなど様々な炭化水素分子、および、随意的に、例えば、水素などのガスなど他の物質、または、重金属、ならびに、硫黄化合物および窒素化合物など不純物を含むことが可能である。また、ストリームは、芳香族炭化水素および非芳香族炭化水素を含むことが可能である。そのうえ、炭化水素分子は、C1、C2、C3...Cnに省略することが可能であり、ここで、「n」は、1つまたは複数の炭化水素分子内の炭素原子の数を表している。
【0012】
[0013]本明細書で使用される「ゾーン」という用語は、1つもしくは複数の設備機器、および/または、1つもしくは複数のサブゾーンを含む領域を参照することが可能である。設備機器は、1つもしくは複数の反応器または反応器容器、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、および制御装置を含むことが可能である。追加的に、反応器、乾燥機、または容器など、設備機器は、1つもしくは複数のゾーンまたはサブゾーンをさらに含むことが可能である。
【0013】
[0014]本明細書で使用される「連結されている」という用語は、化学的な手段または機械的な手段のいずれかによって、スタンピング、成形、または溶接を含むプロセスによって、直接的にまたは間接的に、接合され、締結され、関連付けされ、接続され、または、一体的に一緒に形成された、2つの機器を意味することが可能である。さらには、2つの機器は、機械的な締結具(例えば、スクリュー、釘、ステープル、またはリベットなど)、接着剤、または、はんだなど、第3のコンポーネントの使用によって連結され得る。
【0014】
[0015]本明細書で使用される「流体」という用語は、1つもしくは複数のガス、1つもしくは複数の液体、および/または、1つもしくは複数の蒸気を意味することが可能である。
【0015】
[0016]本明細書で使用される「ガス」という用語は、単一のガス、または、複数のガスの溶体を意味することが可能である。
[0017]本明細書で使用される「液体」という用語は、単一の液体、または、1つもしくは複数のガスおよび/もしくは固体粒子を備える1つもしくは複数の液体の溶体もしくは懸濁液を意味することが可能である。
【0016】
[0018]本明細書で使用される「蒸気」という用語は、ガス、または、分散を意味することが可能であり、分散は、1つもしくは複数の炭化水素を含むことが可能であり、または、1つもしくは複数の炭化水素から構成される。分散は、エーロゾルおよび/または霧の分散など、ガス、液体、および固体のうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0017】
[0019]本明細書で使用される「吸収」という用語は、吸着および吸収を含むいくつかのプロセスを集合的に参照することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】[0020]例示的な容器の立面断面図である。
【
図2】[0021]例示的なトレイの斜視図である。
【
図3】[0022]例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【
図4】[0023]さらなる例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【
図5】[0024]さらなる別の例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【
図6】[0025]さらに別の例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【
図7】[0026]さらなる別の例示的なコンパートメントの底面図である。
【
図8】[0027]さらに例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【
図9】[0028]一層さらなる例示的なコンパートメントの立面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0029]
図1〜
図2を参照すると、入口部110および出口部130を有する例示的な容器100が示されている。容器100は、1つまたは複数の流体のフィード(1つまたは複数の液体およびガスなど、液体または混合相の流体を含む)を、入口部110を通して受け入れることが可能である。フィードは、多くの場合、1つまたは複数の液体と1つまたは複数の蒸気とを含む流体であることが可能である。通常、フィードは、水素、メタン、および/またはエタンを含むガス内に同伴される液滴として存在する1つまたは複数の炭化水素を含む。一般的に、フィードは、触媒など粒子の充填層400を含有する容器100内に分配される。反応器が本明細書で開示されているが、吸収器または物質移動容器など他のタイプの容器も、本明細書で開示されている実施形態を使用することが可能であり、他の材料が、吸収材など触媒の代わりに、または、吸収材など触媒に加えて、含有され得ることを理解されたい。そのうえ、容器100は、炭素またはステンレス鋼など任意の適切な材料から製造することが可能である。
【0020】
[0030]容器100は、分配トレイ200と、触媒など粒子の充填層400とを含むことが可能である。1つの分配トレイ200、および、1つの充填層400だけが、この例示的な実施形態で示されているが、容器100は、任意の数の分配トレイ200および充填層400を含有することを理解されたい。複数の充填層を含む例示的な容器は、例えば、米国特許出願公開第2006/0163758Al号に開示されている。加えて、フィードが、分配されるものとして議論されているが、容器100の内部にある中間ストリーム、または、リサイクルストリームを含む、任意のストリームまたは流体が分配され得る。
【0021】
[0031]分配トレイ200は、第1の側部230および第2の側部240を有する部材220と、並流下降流を促進させるための少なくとも1つのコンパートメント300とを含むことが可能である。分配トレイ200は、容器100を、分配トレイ200の上方の領域140と、分配トレイ200の下方の別の領域150とに分割することが可能である。少なくとも1つのコンパートメント300は、第1の側部230から突出する第1の部分310と、第2の側部240から突出する第2の部分320とを含むことが可能である。部材220は、円形として示されているが、部材220は、任意の適切な形状をとることが可能であることを理解されたい。一般的に、部材220は、部材220が開口部250を形成する場所以外において、流体に対して不浸透性であり、容器100の断面積を実質的に占有している。
【0022】
[0032]典型的に、分配トレイ200は、少なくとも1つのコンパートメント300を含み、少なくとも1つのコンパートメント300は、液体および/または蒸気など流体がそれを通って通過することを可能にする。コンパートメント300は、任意の適切なパターンで部材220の上に配置され、かつ、部材220に連結され得る。この例示的な実施形態では、複数の4つのコンパートメント300が示されているが、しかし、任意の適切な数のコンパートメント300を利用することが可能である。コンパートメント300は、キャップを取られているものとして示されているが、コンパートメント300とともに、独立して、任意の適切なキャップを利用することが可能であることを理解されたい。加えて、部材220は、それぞれのコンパートメントによって占有されている他の開口部とともに、開口部252によって図示されているように、複数の開口部250を形成することが可能である。占有されていない任意の開口部252は、閉塞の影響を受けやすい可能性があるので、典型的に、部材220内の任意の開口部252は、コンパートメントを受け入れるように適合されている。そのように、開口部252は、例示目的だけのために、コンパートメント300なしで示されており、かつ、典型的に、そ内のコンパートメント300によって占有されることとなる。そのうえ、それぞれのコンパートメント300は、それぞれ、他のコンパートメントと同じであるか、または、他のコンパートメントとは異なることが可能であることを理解されたい。この例示的な実施形態では、コンパートメント300は、実質的に同一であることが可能であり、したがって、1つだけをとりわけ詳細に説明することが可能である。
【0023】
[0033]
図3を参照すると、例示的なコンパートメント300が示されている。コンパートメント300は、チューブ、プリズム、八角形構造、または、任意の他の適切な形状など、任意の適切な形状をとることが可能である。この例示的な実施形態では、コンパートメント300は、入口部302および出口部306を含むことが可能であり、または、入口部302および出口部306から構成されており、かつ、部材220を通って延在し、第1の側部230から突出する第1の部分310と、第2の側部240から突出する第2の部分320とを含む。そのうえ、コンパートメント300は、任意の適切な形状を利用することが可能であるが、典型的にチューブ358を形成する内部壁部304および外部壁部308を形成することが可能であり、または、内部壁部304および外部壁部308から構成される。一般的に、コンパートメント300は、収縮部356において、または、収縮部356の上方に、第1の開口334と、第2の開口336と、第3の開口338とを含む、複数の開口330を形成することが可能である。部材220の上の液体210は、複数の開口部340を通ってコンパートメント300内に入ることが可能であるか、または、液体210が上昇する場合は、複数の開口330のうちの1つまたは複数を通過することが可能である。加えて、コンパートメント300は、収縮部356の下方に複数の開口部340を形成することが可能である。
【0024】
[0034]そのうえ、コンパートメント300は、コンパートメント300内に位置付けされているインサート350を受け入れることが可能であり、または、インサート350から構成されている。一般的に、インサート350は、チューブ358の内側に実質的にベンチュリー形状のスロート部を形成している。インサート350は、チューブ358の内側に収縮部356を形成することが可能であり、かつ、別の内部壁部366を含み、または、別の内部壁部366から構成されている。1つまたは複数の開口364を、収縮部356に形成することが可能である。収縮部356の下方において、別の内部壁部366が、中心370の周りにライフリング368を形成することが可能であり、または、ライフリング368から構成されている。このライフリング368は、スピンまたはスワールを蒸気260および/または液体に与えることが可能であり、蒸気260および/または液体は、コンパートメント300を通過し、かつ、コンパートメント300を出ていき、下方の充填層へ向かう。ライフリング368は、別の内部壁部366のすべてもしくは一部分に、および/または、内部壁部304のすべてもしくは一部分に、形成することが可能である。
【0025】
[0035]ライフリング368は、別の内部壁部366の内部354に形成される1つまたは複数の湾曲した凹凸を含むことが可能である。一般的に、湾曲した凹凸は、研削、圧延、または押し出しなど、任意の適切なプロセスによって形成することが可能である。結果として、任意の適切なパターンを形成することが可能であるが、らせん状のパターンを形成する1つまたは複数の隆起部同士の間に、1つまたは複数の溝部を形成することが可能である。1つまたは複数の湾曲した凹凸は、1つもしくは複数の溝部、または、1つもしくは複数の隆起部であることが可能であるが、そのような構造の組み合わせが形成されることが好ましい。チューブの内側に溝部および/または隆起部を作製する手順が、例えば、米国特許第2,181,927号、米国特許第3,559,437号、米国特許第3,847,212号、および、米国特許出願公開第2005/0145377Al号に開示されている。本明細書で開示されているライフリング368は、以下に開示されている他の実施形態において使用されているものと実質的に同様であることが可能である。
【0026】
[0036]
図4を参照すると、第1の部分510および第2の部分520を有するコンパートメント500のさらなる例示的な実施形態であり、部材220の上方に典型的に突出する第1の部分510と、部材220の下方に通常突出する第2の部分520とを備えている。コンパートメント500は、入口部502および出口部506を含むことが可能であり、または、入口部502および出口部506から構成されており、内部壁部504および外部壁部508を有し、または、内部壁部504および外部壁部508から構成されており、かつ、高さ558を有し、または、高さ558から構成されている。一般的に、インサート560は、コンパートメント500内に位置付けされている。コンパートメント500は、第1の開口部552および第2の開口部554を有する複数の開口部550を形成することが可能である。通常、開口部550は、コンパートメント500の周囲部の周りに等しく間隔をあけて配置されている。
【0027】
[0037]そして、インサート560は、1つまたは複数の開口部570を形成することが可能であり、1つまたは複数の開口部570は、第1の高度または最も高い高度において、開口部572および574を含み、第2の高度または中間高度において、開口部576および578を含み、第3の高度または最も低い高度において、開口部580および582を含む。一般的に、インサート560は、コンパートメント500の内側に、実質的にベンチュリー形状のスロート部および収縮部596を形成している。典型的に、収縮部596は、コンパートメント500の上側半分、好ましくは、上側3分の1に形成されている。開口部572および574は、収縮部596において、または、収縮部596の下方にあることが可能である。通常、複数の開口部550の全面積は、1つまたは複数の開口部570の全面積よりも大きい。そのように、1つまたは複数の開口部570は、インサート560内にの液体のフローを制御することが可能である。コンパートメント500の壁部内で液体が上昇するときに、液体の高度が上昇し、開口部580および582に入り、次いで、開口部576および578に入り、さらに、開口部572および574に入るので、液体は、液体フローを増加しながら開口部570を段階的に(incrementally)通過することが可能である。インサート560を含有するコンパートメント500は、
図1〜
図2の分配トレイ200に関して上記に説明されているのと同様の様式で製作することが可能であり、上記に説明されているのと同様に動作する。
【0028】
[0038]別の内部壁部566は、開口部572および574からコンパートメント500の出口部506へ、内部594にライフリング568を形成することが可能である。ライフリング568は、開口部572および574から出口部506へ延在するように示されているが、ライフリング568は、インサート560の全体長さに、もしくは、その一部分だけに延在し、および/または、内部壁部504の一部分、もしくは、内部壁部504のすべてに延在することが可能であることを理解されたい。
【0029】
[0039]
図5を参照すると、コンパートメント600のさらなる別の例示的な実施形態は、入口部612および出口部618を含むことが可能であり、または、入口部612および出口部618から構成されており、かつ、第1の部分604および第2の部分608を有し、または、第1の部分604および第2の部分608から構成されており、部材220の上方に典型的に突出する第1の部分604と、部材220の下方に通常突出する第2の部分608とを備えている。また、コンパートメント600は、内部壁部602および外部壁部606を有することが可能であり、または、内部壁部602および外部壁部606から構成されている。一般的に、第1のインサート610および第2のインサート630が、コンパートメント600内に位置付けされている。典型的に、第1のインサート610は、逆さまになった漏斗状のものであることが可能であり、第2のインサート630は、漏斗状のものであることが可能である。インサート610および630は、それぞれの収縮部614および634を形成することが可能であり、第2のインサート630の少なくとも一部分が、第1のインサート610の少なくとも一部分と反対向きに入れ子になった関係になっている。一般的に、第1のインサート610のチューブの直径は、チューブ、および、随意的に、第2のインサート630の円錐部の少なくとも一部分を受け入れるように寸法決めされている。コンパートメント600は、第1の開口部652および第2の開口部654を有する複数の開口部650を形成することが可能である。典型的に、開口部650は、コンパートメント600の周囲部の周りに、等しく間隔をあけて配置されている。
【0030】
[0040]第1のインサート610は、1つまたは複数の開口部616を形成することが可能であり、1つまたは複数の開口部616は、開口部652および654よりも高い高度に、開口部622および624を含む。一般的に、第1のインサート610および第2のインサート630は、コンパートメント600の内側にある。液体が開口部652および654に進入すると、液体は上昇し、かつ、開口部622および624を通って流れることが可能であり、コンパートメント600を通って下向きに流れて収縮部634を通過するガスと相互作用する。したがって、液体は、インサート610および630を通って曲がりくねった経路をとり、コンパートメント600内の環状の通路を集合的に形成することが可能である。過度の液体が部材220の上にある場合には、液体は、開口644、開口646、または、さらに開口648を通過することが可能である。インサート610および630を含有するコンパートメント600は、分配トレイ200に関して上記に説明されているのと同様の様式で製作することが可能であり、上記に説明されているのと同様に動作することが可能である。
【0031】
[0041]典型的に、ライフリング668は、第1のインサート610の別の壁部666の上の内部674に存在することが可能である。ライフリング668は、内部壁部666の任意の高さに沿って延在することが可能であるが、一般的に、ライフリング668は、第1の開口部622および第2の開口部624から出口部618へ延在している。そのうえ、ライフリング668は、その代わりに、または、追加的に、第2のインサート630の内部壁部、および/または、別のコンパートメント600の内部壁部602にも存在することが可能である。
【0032】
[0042]
図6〜
図7を参照すると、コンパートメント700のさらなる別の例示的な実施形態は、入口部712および出口部718を含むことが可能であり、または、入口部712および出口部718から構成されており、かつ、第1の部分704および第2の部分708を有し、または、第1の部分704および第2の部分708から構成されており、部材220の上方に典型的に突出する第1の部分704と、部材220の下方に通常突出する第2の部分708とを備えている。また、コンパートメント700は、内部壁部702および外部壁部706を有することが可能である。一般的に、第1のインサート710および第2のインサート730は、コンパートメント700内に位置付けされている。通常、第1のインサート710は、逆さまになった漏斗状の形状であることが可能であり、第2のインサート730は、漏斗状の形状であることが可能である。インサート710および730は、それぞれの収縮部714および734を形成することが可能であり、第2のインサート730の少なくとも一部分が、第1のインサート710の少なくとも一部分と反対向きに入れ子になった関係になっている。一般的に、第1のインサート710のチューブの直径は、チューブ、および、随意的に、第2のインサート730の円錐部の少なくとも一部分を受け入れるように寸法決めされている。コンパートメント700は、第1の開口部752および第2の開口部754を有する複数の開口部750を形成することが可能である。通常、開口部750は、コンパートメント700の周囲部の周りに、等しく間隔をあけて配置されている。
【0033】
[0043]第1のインサート710は、所定の高度で終了し、インサート710および730の間に曲がりくねった経路を形成することが可能である。複数のオリフィス770、すなわち、オリフィス772、774、776、および778を形成するプラグ760が、インサート710および730の間に位置付けされ、その間の液体フローを調整することが可能である。一般的に、第1のインサート710は、収縮部714を形成しており、第2のインサート730は、コンパートメント700の内側に収縮部734を形成している。液体が開口部752および754に進入すると、液体は上昇し、かつ、複数のオリフィス770を通って流れることが可能であり、コンパートメント700を通って下向きに流れて収縮部734を通過するガスと相互作用する。したがって、液体は、コンパートメント700を通る曲がりくねった経路をとることが可能である。過度の液体が部材220の上にある場合には、液体は、開口744、開口746、または、さらに開口748を通過することが可能である。インサート710および730を含有するコンパートメント700は、分配トレイ200に関して上記に説明されているのと同様の様式で製作することが可能であり、上記に説明されているのと同様に動作することが可能である。
【0034】
[0044]ライフリングは、第1のインサート710の任意の適切な長さに沿って存在することが可能であるが、ライフリング768は、第1のインサート710の全体高さに沿って延在することが可能である。そのうえ、ライフリング768は、その代わりに、または、追加的に、さらなる別のコンパートメント700の内部壁部702、および/または、第2のインサート730の内部に存在することが可能である。一般的に、ライフリング768は、コンパートメント700、第1のインサート710、および第2のインサート730の任意の適切な内部表面に沿って、存在することが可能である。この例示的な実施形態では、ライフリング768は、第2のインサート730の別の内部壁部766の上の内部784に存在することが可能である。この例示的な実施形態では、ライフリング768は、第1のインサート710の別の内部壁部766の上の内部784に存在することが可能である。
【0035】
[0045]
図8〜
図9を参照すると、液体210のレベルは、本明細書で開示されている実施形態の動作をさらに図示するように示されている。
図8を具体的に参照すると、さらに、さらなるコンパートメント800は、入口部802および出口部806、ならびに、内部壁部804および外部壁部808を含むことが可能であり、または、それらから構成されている。一般的に、プレート810(それは、円形キャップであることが可能である)は、コンパートメント800の入口部802の上方に位置付けすることが可能である。通常、コンパートメント800は、チューブ858を形成することが可能である。一般的に、コンパートメント800は、複数の開口830、すなわち、第1の開口832、第2の開口834、第3の開口836、および、第4の開口838を形成することが可能である。ライフリング868は、コンパートメント800の内部804に沿って形成することが可能であり、この例示的な実施形態では、第3の開口836の下方から出口部806へ延在することが可能である。しかし、ライフリング868は、第1の開口832の下方から出口部806へ、または、コンパートメント800の内部804全体に沿ってなど、任意の適切な長さに延在することが可能であることを理解されたい。
図8に示されているように、蒸気260は、入口部802に進入し、与えられた旋回運動とともに出口部806を出ていくことが可能である。
【0036】
[0046]
図9を参照すると、一層さらなるコンパートメント900は、入口部902および出口部906を有することが可能であり、または、入口部902および出口部906から構成されており、かつ、内部壁部904および外部壁部908を有し、または、内部壁部904および外部壁部908から構成されている。一般的に、コンパートメント900は、第1の開口932、第2の開口934、第3の開口936、および、第4の開口938など、複数の開口930を形成することが可能である。通常、コンパートメント900は、チューブ958を形成する。ライフリング968は、任意の適切な長さに延在することが可能であるが、典型的に、ライフリング968は、第2の開口934の下方から出口部906へ延在している。
図9に示されているように、蒸気260は、上記に議論されているのと同様に、入口部902に進入し、与えられた旋回運動とともに出口部906を出ていくことが可能である。ライフリングがない例示的なコンパートメントが、例えば、米国特許第7,506,861号に開示されている。
【0037】
[0047]蒸気260は、
図4〜
図6に示されていないが、蒸気は、
図3および
図8〜
図9に示されているのと同様に、入口部に進入し、与えられた旋回運動とともに出口部を出ていくことが可能であることを理解されたい。例えば、米国特許第7,506,861号に開示されているものなど、コンパートメントの一方の側部にだけ液体孔部を有するコンパートメントに関して、ライフリングは、不均一な液体フローを分散させるために設けることが可能である。したがって、米国特許第7,506,861号の
図5Bに開示されているものなど、分配装置のらせん状の溝部内側に単一の側部にだけ孔部を設けることは、液体がコンパートメントに進入するために必要とされる圧力降下を低減させながら、内部オリフィスの必要なしに、均一なフローを作り出す。一般的に、蒸気速度は、水素化処理の動作条件の範囲にわたり比較的に一定であり、蒸気が、スピンを与えるのに重要な役割を果たす場合には、デバイスは、噴霧の有効性、すなわち、分配トレイによってカバーされる面積に関して、液体速度に対して比較的に感度が低いことが可能である。
【0038】
[0048]さらなる細かい説明なしに、当業者は、前述の説明を使用して、本発明をその最大限に利用することが可能であると考えられる。したがって、前述の好適な特定の実施形態は、単なる例示目的として解釈されるべきであり、どんなものであろうとも本開示の残りを限定するものとして解釈されるべきでない。
【0039】
[0049]先述の説明から、当業者は、本発明の本質的な特質を容易に確認することが可能であり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変形および修正を行い、それを様々な使用法および条件に適合させることが可能である。