特許第5886462号(P5886462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886462印刷プロセスをダイナミックに較正する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5886462
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】印刷プロセスをダイナミックに較正する方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/46 20060101AFI20160303BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20160303BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20160303BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20160303BHJP
   B41F 31/02 20060101ALI20160303BHJP
   B41F 33/14 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   H04N1/46 Z
   H04N1/40 D
   G06T1/00 510
   B41J29/38 Z
   B41F31/02 F
   B41F33/14 G
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-154048(P2015-154048)
(22)【出願日】2015年8月4日
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】10 2014 011 664.6
(32)【優先日】2014年8月4日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ベストマン
【審査官】 豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−209946(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00518559(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0260013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46−62
B41F 31/02
B41F 33/14
B41J 29/38
G06T 1/00
H04N 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機の印刷プロセスをダイナミックに較正するための方法であって、
・プロセスカラーのカラーの色調値に対する較正用データセット(4)を求めるステップと、
・プロセスカラーのグレーの色調値に対する較正用データセット(5)を求めるステップと、
・版下に依存して、前記2つの較正用データセット(4,5)に対する重み付け係数(6)を求めるステップと、
・当該重み付け係数(6)、前記求められた2つの較正用データセット(4,5)とを用いて、組み合わされた較正用データセット(7)を計算するステップと、
・前記計算された、組み合わされた較正用データセット(7)を、前記印刷機の印刷プロセスの較正に使用するステップとを有する、
ことを特徴とする、印刷機の印刷プロセスをダイナミックに較正するための方法。
【請求項2】
カラーの色調値を有する少なくとも1つのコントロールエレメント(1)を測定および評価することによって、前記プロセスカラーのカラーの色調値に対する較正用データセット(4)を求め、
当該測定結果(8)と、前記印刷プロセスを記述するキャラクタリゼーションデータ(2)のセットとを考慮して、前記プロセスカラーのカラーの色調値をマッチングさせる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのグレースケール値用コントロールエレメント(3)を測定および評価することによって、前記プロセスカラーのグレーの色調値に対する較正用データセット(5)を求め、
当該測定結果(9)と、前記印刷プロセスを記述するキャラクタリゼーションデータ(2)のセットとを考慮して、前記プロセスカラーのグレーの色調値をマッチングさせる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記重み付け係数(6)を前記版下の画像内容を自動的に分析することによって求める、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記重み付け係数(6)はユーザによって手動で設定される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記重み付け係数(6)は、前記版下の画像内容に依存して、異なる色調値領域に対して、移行が連続的な、異なる値を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記プロセスカラーのカラーの色調値およびグレーの色調値に対する前記較正用データセット(4,5)に対して付加的に、第3の較正用データセットを多次元変換テーブルから作成し、
前記重み付け係数(6)は当該第3の較正用データセットを考慮に入れており、
前記組み合わされた較正用データセット(7)を、3つの、存在する全ての較正用データセットから計算する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷プロセスをダイナミックに較正する方法に関する。本発明の技術分野は、電子工学を用いた再現技術である。
【背景技術】
【0002】
あらゆる印刷プロセスにおいて、印刷タスクを実行する前に、少なくとも一度、色値の設定が較正されなければならない。これは、従来のオフセット印刷からデジタル印刷まで、全ての様式の印刷プロセスに当てはまる。較正自体は、手動でも自動でも行われ得る。較正原理は、その変換様式に係わらず、常に同じである。しかし近年の印刷機では、効率化を図るために、較正がコンピュータ制御で行われるのが通常である。
【0003】
これに関しては、従来技術において多様な方法が知られている。これらの方法のうちの幾つかは、技術仕様書ISO/TS10128「Graphic technology - Methods of adjustment of the colour reproduction of a printing system to match a set of characterisation data」に開示されている。ここには、4つのプロセスカラー、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)および黒(K)、略してCMYKを用いる従来の印刷プロセスとデジタル印刷プロセスの較正方法が記載されている。ここで用いられている3つの方法は、それぞれ、色調値上昇のマッチング、グレー再現のマッチングおよび多次元変換によるマッチングを基礎にしている。全ての方法の基礎は、4つのプロセスカラーの色位置の事前の正しい設定である。これらの方法の目的は、予め設定されている基準へのマッチングである。この基準は、色調値上昇のマッチングの際には基準値の形で存在し、グレー再現のマッチングの際には定義の形で存在する。または、この基準は、有利には、全ての方法に対して、キャラクタリゼーションデータを用いて存在する。
【0004】
色調値上昇マッチング方法は、プロセスカラーのステップウェッジ(階段光学くさび)が、較正のための測定エレメントとして使用される、という特徴を有している。典型的なステップウェッジは、ECI(www.eci.org)のECITVI10コントロールエレメントである。これは、プロセスカラーに対して10%、20%、...100%の4つのステップウェッジを含んでいる。さらに、二次色(C+M、C+Y、M+Y、C+M+Y)および紙白を測定するためのフィールドが設けられており、全体で45個のカラーフィールドが設けられている。このコントロールエレメントによって、色調値上昇の較正も、色調と色調値上昇のコントロールも可能である。
【0005】
この方法の利点は、容易なマッチングの計算と、45個のカラーフィールドを有する小さいコントロールエレメントと、プロセスカラーの色調値上昇の極めて良好なマッチング並びに製品での応用である。
【0006】
この方法の欠点は、二色、三色および四色の混合印刷の場合に、二次色の色調値の再現、殊にグレー再現が、場合によっては被印刷物、プロセスカラーおよび印刷機の設定に依存してしまい、あまり良好でない乃至は不良である、ということである。この欠点は、印刷機で、カラーの色の色調値をマッチングさせることによって修正可能である。しかしこれは、色調値上昇の負担になってしまう。
【0007】
この方法は殊に、カラー画像およびグラフィックの再現に適している。
【0008】
グレー再現マッチング方法も同様に、カラー印刷色の特別なグレーコントロールエレメントの使用および黒色用のステップウェッジの使用を特徴とする。典型的なコントロールエレメントは、IDEAlliance(www.idealliance.org)のP2P25ターゲットである。これは、25個のカラーフィールドと種々のステップウェッジとを有する7個のグレーコントロールエレメントである。さらに、二次色および紙白を測定するためのフィールドが設けられており、全体で300個のカラーフィールドが存在する。約190個のカラーフィールドを有するコントロールエレメントのサブセットによって、グレー再現の較正および色調並びに特別なグレーフィールドのコントロールが可能である。この方法の利点は、グレー再現および黒再現の極めて良好なマッチング並びに製品における応用である。
【0009】
比較的大きいコントロールエレメントおよび複雑なマッチング計算は、若干の不利である。
【0010】
この方法の欠点はここでも、二色、三色および四色の多色印刷の場合に、一次色および二次色の色調値の再現が、場合によっては被印刷物、プロセスカラーおよび印刷機の設定に依存してしまい、あまり良好でない乃至は不良である、ということである。印刷機での修正は不可能である。この方法は殊に、ほぼカラーでない、すなわちグレー色調の画像およびグラフィックの再現に適している。
【0011】
第3の方法として、多次元変換によるマッチングが知られている。ここでは、1617個のカラーフィールドを有する、ISO12642−2グラフィックテクノロジー「Input data for characterization of 4-colour process printing - Part 2: Expanded data set」に従ったターゲットが使用される。これは、印刷可能な色空間を特徴付ける。これらのカラーフィールドから、多次元の変換テーブルが計算される。この例はISO15076「Image technology colour management-Architecture, profile format and data structure - Part 1:Based on ICC.1:2004-10」に従ったプロファイルである。これは、相応する変換テーブルを例えばデバイスリンクプロファイル内に含んでいる。この方法の利点は、再現可能な全ての色空間の極めて良好なマッチングである。
【0012】
この方法の欠点は、キャラクタリゼーションデータの算出時および変換テーブル計算時および製品での応用時の極めて高いコストである。この方法は今日、コストが高いため、従来の印刷技術においては重んじられていない。しかし、デジタル印刷においては極めてよく使用されている。なぜならデジタル印刷では特徴付けに関するコストが格段に低いからである。
【0013】
この方法は、全ての画像およびグラフィックの再現に適している。
【0014】
従来技術から公知のこれら全ての方法は、利点と欠点とを有している。しかしこれらの方法は、良好に補い合っている。従って印刷プロセスの最適な較正には、これらの方法の組み合わせが適している。困難な点は、各印刷プロセスに対して、既知のこれらの方法を正しい配分で組み合わせて1つの方法にし、既知の全ての方法の単なる連続使用とは異なり、測定可能な効率化も図られるように、この方法を実施することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、これまでに既知の方法と比べてより効率的な較正を可能にする、印刷機の印刷プロセス較正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題の本発明の解決方法は、請求項1の特徴を有する方法である。これは、印刷機の印刷プロセスの色制御のためのダイナミックな印刷プロセス較正方法である。これは、以下のステップを含んでいる:
1.プロセスカラーのカラーの色調値に対する較正用データセットを求める
2.プロセスカラーのグレーの色調値(grauen Tonwerte)に対する較正用データセットを求める
3.版下に依存して、2つの較正用データセットに対して重み付け係数を求める
4.この重み付け係数を参考にして、求められた2つの較正用データセットから、組み合わされた較正用データセットを計算する
5.計算された、組み合わされた較正用データセットを、印刷機の印刷プロセスを較正するのに使用する
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の方法の基本的な流れ
図2】カラー色調値上昇のマッチングの流れ
図3】グレースケール値再現(Grauwertwiedergabe)のマッチングの流れ
図4】カラー色調値上昇の配分が0%であり、グレースケール値再現の配分が100%である較正用データセットの例
図5】カラー色調値上昇の配分が50%であり、グレースケール値再現の配分が50%である較正用データセットの例
図6】カラー色調値上昇の配分が100%であり、グレースケール値再現の配分が0%である較正用データセットの例
【発明を実施するための形態】
【0018】
重要な特徴は、カラー色調値とグレー再現の2つのマッチング方法をダイナミックに重み付けすることである。重み付けは、版下に依存する。色成分が高い題材の場合には、方法全体において、カラー色調値マッチング方法の割合が、グレー再現マッチング方法の割合よりも大きい。題材がどちらかと言えばグレーである場合には、この逆である。
【0019】
本発明の有利な発展形態は、属する従属請求項並びに属する図面を用いた説明に記載されている。
【0020】
ここで、有利な発展形態では、プロセスカラーのカラー色調値用の較正用データセットを、カラー色調値を有する少なくとも1つのコントロールエレメントの測定および評価によって求め、プロセスカラーの色調値を、この測定結果と、印刷プロセスを記述するキャラクタリゼーションデータのセットとを含めてマッチングさせる。
【0021】
カラー色調値のための較正用データセットは、印刷されたコントロールエレメントの測定と、これに続く評価によって作成される。ここでも同様に、規格化された形態において印刷プロセスを記述するキャラクタリゼーションデータが考慮されるべきである。ここでこの測定は、色センサによってコントロールエレメントを撮影することによって行われる。ここでこの測定データは、評価のために、有利には計算機に伝送される。次に計算機では、較正用データセットも作成される。
【0022】
他の有利な発展形態では、プロセスカラーのグレー色調値用の較正用データセットを少なくとも1つのグレースケール値用コントロールエレメントの測定および評価によって求め、プロセスカラーのグレースケール値を、この測定結果と、印刷プロセスを記述するキャラクタリゼーションデータのセットを含めて、マッチングさせる。グレー色調値用の較正用データセットの作成、すなわちグレー再現の作成は、カラー色調値の場合と同様に行われる。しかしグレー色調値用の較正用データセットの作成では、特別なグレースケール値を有するコントロールエレメントが用いられる。これは、グレー色調値の較正に必要である。
【0023】
有利な発展形態では、重み付け係数は、版下の画像内容を自動分析することによって求められる。計算機によって較正用データセットを作成した後、重み付け係数が求められなければならない。この重み付け係数は、共通の較正用データセットにおいて、カラー色調値用およびグレー色調値用の較正用データセットがそれぞれ、どのような割合になるのかを定める。このような重み付け係数は、題材の画像内容によって変わるので、画像内容の自動分析はグレー色調値とカラー色調値の分配を目指している。これは、有利には、重み付け係数を自動的に計算機によって決める。
【0024】
有利な発展形態では、重み付け係数は、手動で、ユーザによって設定される。
【0025】
重み付け係数の自動設定が不可能である場合には、これが手動で、印刷機のユーザによって設定されてもよい。自動的に求められた重み付け係数の手動を後から修正することも、これによって可能である。
【0026】
有利な発展形態では、重み付け係数は版下の画像内容に依存して、異なる色調値領域に対して異なる値と成る。その移行は連続的である。
【0027】
題材内に、グレースケール値分布/色値分布が著しく異なる幾つかの画像領域が存在する場合には、これらの領域に対して、重み付け係数が相応に合わせられる。これらの領域の間の移行部では、重み付け係数も移行領域にある。
【0028】
他の有利な発展形態では、プロセスカラーのカラー色調値およびグレー色調値用の較正用データセットに対して付加的に、他の較正用データセットが多次元変換テーブルから作成される。重み付け係数はこの第3の較正用データセットを含んでおり、組み合わされた較正用データセットを、3つの存在する全ての較正用データセットから計算する。多次元変換によるマッチングのための、従来技術において言及した方法はデジタル印刷領域に対してのみ、有効に使用可能であるので、開示された従来の方法の一部ではない。しかし扱われているのがデジタル印刷機である場合には、これは、従来の方法に組み込まれる。このためには、第3の較正用データセットが多次元変換テーブルから作成され、重み付け係数は、第3の較正用データセットを含むように拡張される。共通の較正用データセットは、この場合には、3つの存在する、全ての部分較正用データセットから作成される。
【0029】
本願の方法並びに、本願の方法の機能的に有利な発展形態を以降で、属する図面を参照して、少なくとも1つの有利な実施例に基づいて、より詳細に説明する。図面では、相応する素子には同じ参照番号が付けられている。
【実施例】
【0030】
有利な実施形態は図1に示されている。これは、主に、カラー色調値上昇マッチング方法とグレー再現マッチング方法との2つの方法の組み合わせから成る。両方の方法は、第1のステップにおいて実行される。これは、簡略化して、図2および3に示されている。
【0031】
色調値上昇マッチングもグレー再現マッチングも、印刷版の露光時に、ラスタイメージプロセッサ(RIP)内での一次元修正ファイルによって行われる。この修正ファイルは、特別なプログラムによって生成される。このプログラムは、ターゲット8および9の測定値も、マッチングの目標値も、入力値として含んでいる。有利な目標値は、有利な実施形態では、キャラクタリゼーションデータ2である。これは較正されるべきデータを表している。有利な測定値8および9は、測定される印刷コントロールエレメント1および3の値である。これらの印刷コントロールエレメントは、カラー色調値上昇マッチング方法において、プロセスカラーのステップウェッジである。カラー色調値用の印刷コントロールエレメントの例は、ECITVI10 1である。グレー再現マッチング方法でもこれは同様に、特別なグレーコントロールエレメントであり、例えば、印刷コントロールエレメントP2P25 3である。これらの測定値および目標値から、現行の方式によって、2つの方法に従った較正ファイルDtvi4およびDgrau5が求められる。
【0032】
従って、2つのデータセット4および5が存在し、ここから、重み付け係数f6を用いて、組み合わされた統合較正用データセットDges7が計算される。
【0033】
重み付け係数6は、版下(題材)に依存して、選択される。この題材が、技術的領域においてはしばしばそうであるように、グレーの色調を有する場合には、fの値は比較的小さくなる。この題材がカラーであり、風景写真またはポートレートの場合のように、グレーの色調を有していない乃至は僅かにしかグレーの色調を有していない場合には、fの値は高くなる。重み付け係数6の計算は、ユーザによって手動で行われても、自動版下分析の枠内でおいて行われてもよい。元から多くの場合にデジタルの形態で存在する版下は、計算機上のプログラムによって、カラーとグレーの色調値の配分に関して分析される。次に、配分に応じて、プログラムによって、重み付け係数6が特定される。自動で求められた重み付け係数6の手動の追従修正も可能である。
【0034】
ここで係数f=1.0の場合には純粋なカラー色調値上昇マッチングになり、係数f=0.0の場合には同様に純粋なグレー再現マッチングになり、1〜0の間の値の場合には異なる重点を有するマッチングの組み合わせとなる。
【0035】
重み付け係数6は、他の実施形態では、色調値領域に依存する。すなわち、異なる色調値領域に対して、連続した移行を有する異なる値が設定される。明るい領域内にグレーの色調が存在し、中間および暗い輝度領域内にカラーの色が存在する場合に、これは有意義である。
【0036】
重み付け係数6が求められると、2つの個々の較正用データセットDtvi4およびDgrau5から、共通のデータセットが計算される。これは以下の式に従って行われる。
【0037】
【数1】
【0038】
各データセットは、それぞれN個の、プロセスカラーCMYKの修正値を含む。組み合わされた修正値は、個々の修正値の重み付けされた平均である。
【0039】
図4、5および6は、例示的な較正用データセット10、11および12を示している。測定値データセット9および10は、ここで、P2P25ターゲット3から生じている。これは、カラー色調値上昇較正のために必要な情報も、グレーバランス較正のために必要な情報も含んでいる。基準印刷条件は、オフセット印刷プロセス用のキャラクタリゼーションデータセット2である。ここで、図4は、例として、純粋なグレーバランス較正用の較正データおよび較正曲線10を示している。従って重み付け係数6はここで、f=0.0である。図5では同様に、混合された較正データおよび較正曲線11が示されている。これは、2つの部分データセットDtvi4およびDgrau5を同価値で含んでいる。ここで重み付け係数6は、f=0.5に相当する。最後に図6は、純粋なカラー色調値較正用の較正データおよび較正曲線12を示している。重み付け係数6はf=1.0である。
【0040】
次に、計算された共通の較正用データセットDges7によって、最後のステップにおいて、印刷プロセスはダイナミックに、すなわち版下からもたらされた要求に応じて、修正される。
【符号の説明】
【0041】
1 ECITVI10色調値コントロールエレメント、 2 キャラクタリゼーションデータ、 3 P2P25グレースケール値用コントロールエレメント、 4 色調値Dtvi用の較正用データセット、 5 グレースケール値Dgrau用の較正用データセット、 6 重み付け係数f、 7 統合較正用データセットDges、 8 ECITVI10色調値コントロールエレメントの測定値、 9 P2P25グレースケール値用コントロールエレメントの測定値、 10 グレースケール値マッチング用の例示的な較正用データセット、 11 混合されたマッチング用の例示的な較正用データセット、 12 色調値マッチング用の例示的な較正用データセット、 13 印刷機
【要約】
【課題】従来技術において既知の方法と比べてより効率的な較正を可能にする、印刷機の印刷プロセス較正方法を提供すること
【解決手段】印刷機の印刷プロセスをダイナミックに較正するための方法であって、・プロセスカラーのカラーの色調値に対する較正用データセットを求めるステップと、・プロセスカラーのグレーの色調値に対する較正用データセットを求めるステップと、・版下に依存して、前記2つの較正用データセットに対する重み付け係数を求めるステップと、・当該重み付け係数を参考にして、前記求められた2つの較正用データセットから、組み合わされた較正用データセットを計算するステップと、・前記計算された、組み合わされた較正用データセットを、印刷機の印刷プロセスの較正に使用するステップとを有する、ことを特徴とする、印刷機の印刷プロセスをダイナミックに較正するための方法。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6