(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5886464
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】原子炉冷却装置
(51)【国際特許分類】
G21C 15/18 20060101AFI20160303BHJP
G21C 9/004 20060101ALI20160303BHJP
G21D 3/04 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
G21C15/18 M
G21C9/00 A
G21D3/04 Q
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-168389(P2015-168389)
(22)【出願日】2015年8月28日
【審査請求日】2015年11月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】709003023
【氏名又は名称】株式会社九州パワーサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100116296
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幹生
(72)【発明者】
【氏名】田原 千年生
【審査官】
後藤 孝平
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−034708(JP,A)
【文献】
特開2002−062063(JP,A)
【文献】
特開昭61−213793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 15/18
G21C 9/004
G21D 3/04
F28D 1/06
F22B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器に対して高度差を付けて高所に配置され、原子炉圧力容器内に設置された管であって冷却水が下降する冷却水下降管に冷却水を送出する非常時用補給水槽を備え、前記冷却水下降管内の冷却水を原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して減圧沸騰させ蒸気に変換する蒸気発生部と、蒸気発生部で発生した蒸気を放散する緊急放散弁とを備えた原子炉冷却装置であって、前記冷却水下降管に接してその外周側に設けられ、前記冷却水下降管との境界に複数の噴出口を有する蒸気上昇管を備え、前記蒸気上昇管内の圧力は大気圧と同じ圧力に減圧されており、前記冷却水下降管内の冷却水が原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して、前記噴出口へ噴出して蒸気に変換されて前記蒸気上昇管を上昇することによって、前記蒸気発生部が形成されていることを特徴とする原子炉冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却装置と原子炉冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2011年3月に発生した東京電力福島第1原子力発電所の事故により、核エネルギーを利用する原子力発電に関する多くの問題点が明らかとなり、原子力に多くを依存していた日本のエネルギー政策は、根本から見直されることとなった。原子力の代替えとなる自然エネルギーでは、エネルギー量、不安定さ、発電原価の高さ等の点から、とうてい原子力には及ばないことが明白であり、この原子力をコントロールする技術は継承しなければならない。
【0003】
日本だけが原子力発電から撤退しても、周辺各国は原子力発電の計画を止めてはいない現状から、原子力の技術を継承し、保有することは国益にかなっている。2011年3月に発生した、東京電力福島第1発電所においては、事故後に報告される内容によると、その主原因が人為的誤操作であったのか、あるいはシステム設計ミスであったのか、いま一つはっきりしない。想定をはるかに超える津波が直接の原因であったことは認めざるを得ないが、あわてて原子炉外部から注水し、発電所の機能をすべて喪失させてしまったことは、取り返すことができない人為的なミスである。
【0004】
緊急時における原子力発電所の安全確保の手段として、以下に説明する、「止める」、「冷やす」、「閉じ込める」の3つの方法がある。
【0005】
「止める」方法は、制御棒を原子炉に挿入し、核反応を停止させ、原子炉を緊急停止することによってなされる。「冷やす」方法は、非常用炉心冷却ポンプにより、原子炉に冷却水を注入することによってなされる。「閉じ込める」方法は、隔離弁を閉鎖し、放射性物質を原子炉格納容器に閉じ込めることによってなされる。
【0006】
原子力発電所においては、非常用炉心冷却装置(ECCS)が設置されている。原子力発電所において従来から使用されている非常用炉心冷却装置の一例を
図3に示す。
【0007】
図3では、非常時において原子炉圧力容器3内に、非常用炉心冷却ポンプ6で冷却水を送り込み、冷却水を沸騰させて大気に放散し、気化熱で原子炉を冷却する。しかし、このECCSを用いる方法では、蒸気を大気中に放散する際に、放射性物質も同時に放出される。そのため、この手段は最終の原子炉冷却手段であり、ECCSを操作する運転員も、この操作を実施するにあたってはためらいがあるはずである。福島原子力発電所の事故では、人為的な操作ミスがあったかどうかはっきりしないが、このような経緯を加味する必要がある。
【0008】
非常用炉心冷却ポンプを稼働させなくても、発電用の循環水ポンプ、冷却材ポンプ(沸騰水型原子炉では再循環ポンプ)が稼働していたならば、原子炉から熱交換のプロセスを経て、原子炉を安全に冷却できていたはずである。発電所には必ず非常用予備発電装置が設置されている。この非常用予備発電機は、発電所におけるポンプ等を含む補機系統、制御電源、エレベーター等の重要機器を、主電源が喪失しても、維持、運転させる能力を備えており、地震による津波が襲来しても、最も大切な原子炉を安全に停止させ得る機能があるはずであった。
【0009】
この経験から、非常用電源が機能しない場合も想定しておく必要がある。福島原子力発電所の事故から4年が経過し、再稼働をめぐって論議が盛り上がっているが、再稼働のために準備する予備電源の強化を図るより、電源が喪失しても機能する冷却システムを設置する方が効果的であり、かつ重要である。
【0010】
特許文献1には、原子炉が外部電源を喪失し、非常用電源も使用不可能となり、更に、海水冷却機能が失われた状況においても原子炉を安定した状態で長期間維持できることを目的とした、注水冷却による原子炉安全性維持方法が開示されている。
【0011】
【特許文献1】特開2014−29300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
原子炉緊急冷却システムは、原子炉の安全性を確保する上で欠くことのできないシステムであるが、残念なことに電源が確保されなければ機能しないことが事故によって証明された。また、人為的な操作ミスも起こり得ることも証明された。福島第1発電所の事故のように、兆単位の損害と、お金では解決できそうにない信用を失い、さらに甚大な環境破壊を与える事故を未然に防ぐ手段が強く求められている。
【0013】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却装置と原子炉冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、本発明の原子炉冷却装置は、原子炉圧力容器に対して高度差を付けて高所に配置され、原子炉圧力容器内に設置された管に冷却水を送出する非常時用補給水槽を備え、管内の冷却水を原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して減圧沸騰させ蒸気に変換する蒸気発生部と、蒸気発生部で発生した蒸気を放散する緊急放散弁とを備えていることを特徴とする。
【0015】
非常時補給水槽と原子炉圧力容器とは高度差があるため、非常時補給水槽から原子炉圧力容器内に設置された管に送出された冷却水には、この高度差に起因する自然水圧が生じる。原子炉最深部では、自然水圧が加えられた管内の冷却水は、原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して減圧沸騰し、蒸気に変換される。こうして発生した蒸気を放散することにより、炉心温度は気化熱分冷却される。
【0016】
このように、原子炉内の熱で蒸気を生産し、その蒸気を大気へ放出することにより、大きな冷却効果が得られる。さらに、原子炉内の温度が高いほど多量の蒸気が生産されることから、炉内温度が下がり温度が平衡となるまで冷却を続けることができ、非常時補給水槽の容量限界まで冷却することができる。また、管内の冷却水が蒸気に変換されるため、蒸気を大気中に放散しても、放射性物質が大気中に放出されることが無い。
【0017】
原子炉圧力容器に対して高度差を付けて非常時補給水槽を高所に配置することは、原子炉圧力容器を地下に設置するか、または非常時補給水槽を高所に設置することによって実現できる。いずれの場合であっても、冷却水に十分な自然水圧が加わり、減圧沸騰による効果が得られるに足りる高度差があればよい。
【0018】
本発明の原子炉冷却装置においては、前記原子炉圧力容器の最深部に向かって冷却水が下降する冷却水下降管と、前記冷却水下降管に接してその外周側に設けられ、冷却水下降管との境界に複数の噴出口を有する蒸気上昇管とを備え、前記蒸気上昇管内の圧力は大気圧と同じ圧力に減圧されており、冷却水下降管内の冷却水が原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して、前記噴出口へ噴出して蒸気に変換されて前記蒸気上昇管を上昇することによって、前記蒸気発生部が形成されている構成とすることができる。
【0019】
冷却水を内管である冷却水下降管から外管である蒸気上昇管に向けて、噴出口を介してシャワー状態で噴出させると、外管である蒸気上昇管は大気に向けて解放させているため、大気圧と同じ圧力となっており、冷却水は原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換し、内管と外管との圧力差で気化して蒸気となる。この蒸気は蒸気上昇管を上昇して緊急放散弁から大気中に放出する。外管側を上昇する蒸気は質量が軽いため、水圧での押し込み効果が表れる。外管の外側は炉心の圧力水に接しているため、温度が高いほど多量の蒸気が生産され、炉心温度は気化熱分冷却される。
【0020】
2重管の内管から給水すると、内管部と原子炉圧力水とは、外管部を挟んで位置することになり、内管と外管との間を断熱し、内管側が沸騰しないような水圧をかけることによって、内管の沸騰を防ぐことができる。これとは逆に、2重管の外管部から給水すると、外管低部においては、外管部が挿入された原子炉圧力容器内の圧力水からの熱供給を受け、飽和水圧力より低い圧力ゾーンでは沸騰し、下降する冷却水と上昇する蒸気が交錯して、冷却水の供給が十分できない事態が起きる可能性がある。以上のことから、内管から給水することが現実的である。
【0021】
本発明の原子炉冷却装置においては、前記冷却水下降管は、前記蒸気上昇管と接する面に対して断熱処理がなされた熱伝導特性の低い材質で形成され、前記蒸気上昇管は熱伝導特性に優れた材質で形成されるとともに、前記蒸気上昇管が原子炉圧力容器内の圧力水と接する面の伝熱面積が大きい構造となっていることが好ましい。
【0022】
冷却水下降管が、前記蒸気上昇管と接する面に対して断熱処理がなされた熱伝導特性の低い材質で形成されることによって、冷却水下降管を下降する冷却水と、蒸気上昇管を上昇する蒸気とが熱交換することを抑制でき、冷却水下降管内で冷却水が沸騰することを抑制できる。また、蒸気上昇管が熱伝導特性に優れた材質で形成されることによって、蒸気発生量を多くすることができる。さらに、蒸気上昇管が原子炉圧力容器内の圧力水と接する面の伝熱面積が大きい構造となっていることによって、原子炉圧力容器内の圧力水からの熱伝導に寄与する面積を広げることができる。
【0023】
本発明の原子炉冷却方法は、原子炉圧力容器に対して高度差を付けた高所から原子炉圧力容器内に設置された管に冷却水を送出し、管内の冷却水を原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して減圧沸騰させて蒸気に変換し、発生した蒸気を放散して原子炉を冷却することを特徴とする。
【0024】
原子炉圧力容器に対して高度差を付けた高所から原子炉圧力容器内に設置された管に冷却水を送出することにより、原子炉圧力容器内に設置された管に送出された冷却水には、この高度差に起因する自然水圧が生じる。原子炉最深部では、自然水圧が加えられた冷却水は、原子炉圧力容器内の圧力水と熱交換して減圧沸騰し、蒸気に変換し、発生した蒸気を放散することにより、炉心温度は気化熱分冷却される。また、管内の冷却水が蒸気に変換されるため、蒸気を大気中に放散しても、放射性物質が大気中に放出されることが無い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却装置と原子炉冷却方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る原子炉冷却装置の全体図である。
【
図2】原子炉冷却装置の蒸気発生部の説明図である。
【
図3】原子力発電所において従来から使用されている非常用炉心冷却装置の一例を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の原子炉冷却装置および原子炉冷却方法を、その実施形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る原子炉冷却装置の全体図である。
図2(a)は、原子炉冷却装置の蒸気発生部の説明図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA―A断面図である。
【0028】
制御棒1が配置され、圧力水2で満たされた原子炉圧力容器3は、原子炉格納容器4内に格納されている。非常時用補給水槽5と、非常用炉心冷却ポンプ6は、原子炉圧力容器3に対して高度差を付けて高所に配置されている。原子炉圧力容器3に対して高度差を付けて非常時用補給水槽5を高所に配置することは、原子炉圧力容器3を地下に設置するか、または非常時補給水槽5を高所に設置することによって実現でき、立地条件等に応じて適宜選択できる。
【0029】
非常時用補給水槽5からは、原子炉圧力容器3内に設置された管に対して冷却水が送出されるが、
図1においては、原子炉圧力容器3の最深部に向かって冷却水が下降する冷却水下降管7に、非常時用補給水槽5から冷却水が送出されることによって、冷却水が原子炉圧力容器3の最深部に達する。非常時補給水槽5と原子炉圧力容器3とは高度差があるため、非常時補給水槽5から原子炉圧力容器3に送出された冷却水には、この高度差に起因する自然水圧が生じる。また、非常時用補給水槽5から非常用炉心冷却ポンプ6を経て、別系統で冷却水を原子炉圧力容器3内に送ることができる。このようにして、従来から使用されている非常用炉心冷却装置と併用することができる。
【0030】
冷却水下降管7に接してその外周側に蒸気上昇管8が設けられた2重管構造となっており、蒸気上昇管8は、冷却水下降管7との境界に複数の噴出口9を有している。蒸気上昇管8内の圧力は大気圧と同じ圧力となるように減圧されているため、冷却水下降管7内の加圧された冷却水は、原子炉圧力容器3内の高温の圧力水2と熱交換して、噴出口9へシャワー状態で噴出し、減圧沸騰して蒸気に変換され、この蒸気は蒸気上昇管8を上昇する。冷却水下降管7は、蒸気上昇管8と接する面に対して断熱処理がなされた熱伝導特性の低い材質で形成され、蒸気上昇管8は熱伝導特性に優れた材質で形成されている。また、蒸気上昇管8が原子炉圧力容器3内の圧力水2と接する面の伝熱面積が大きい構造となっている。
【0031】
蒸気上昇管8の上端には緊急放散弁10が設けられており、蒸気上昇管8を上昇した蒸気は、非常時において、緊急放散弁10によって大気中に放散される。これにより、炉心温度は気化熱分冷却される。2重管熱交換器の外管を上昇するのは質量の軽い蒸気だけであるため、冷却水にかかる水圧は、ほぼ全部が圧力水を作るための重力であり、余分な加圧を必要としない。
【0032】
上述した冷却方法によると、非常時用補給水槽5の容量分だけ原子炉を冷却できるため、非常時用補給水槽5の容量は大きい方が望ましい。2重管の外管側を上昇する蒸気は、蒸気のみの蒸気単相流であるため、質量が軽く、水圧での押し込み効果が表れる。また、人為的ミスをなくすため、2重管の冷却水の入口につけるバルブおよび緊急放散弁10を手動操作としてもよい。
【0033】
2重管の内管と外管とは断熱構造とするが、内管と外管との間に中管を設けて3重管構造とし、中管を空気層としてもよい。原子炉圧力容器3外の配管は必ずしも2重管とする必要はないが、冷却水下降管7には十分な強度をもたせて、2重管底部に圧力をかけることができるよう、空気漏れ等に注意して施工する。原子炉圧力容器3を出た外管側も2重管とする必要はないが、高温の蒸気が上昇するため、こちらも十分な強度を与えて施工する。
【0034】
表1に、圧力水温度、飽和蒸気圧、必要高度差の関係を示す。必要高度差は、
必要高度差=((飽和蒸気圧+大気圧)×1000000))÷(9.8×熱水密度)
によって求めている。また、熱水密度は概算で1000(kg/m
3)とした。
【0036】
表1によると、原子炉内部の温度が300℃あたりでは、原子炉圧力容器3と非常時用補給水槽5との高度差は867mが必要となる。上述した内管から給水する方法では、内管部と原子炉圧力水とは、外管部を挟んだ状態となるため、内管と外管の間を断熱し、内管側を沸騰しないような水圧をかけることで内管の沸騰を防ぐことができる。表1に示すように、内管側の温度を150℃まで抑えることができれば、原子炉圧力容器3と非常時用補給水槽5との必要高度差は約50mとなり、十分建設ができる高度差である。水圧は冷却水を供給できるだけの高低差があればよく、さらに、内管の径を大きく設計することによって、高低差を少なくすることも可能であり、実用性は十分にある。
【0037】
上述したように、本発明の原子炉冷却装置は、原子炉圧力容器に対して非常時用補給水槽を高所に設置して冷却水を送り込むことによって、冷却水に重力分の自然水圧を与える方式を採っているため、自己加圧式というべきものである。この方式によって得られた加圧冷却水を、原子炉内の高温圧力水の熱で沸騰させて蒸気として取出して、原子炉を冷却しようとするものであり、蒸気の放散の際に放射性物質が放出されることが無く、原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却手段として極めて有効である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却装置と原子炉冷却方法であり、緊急時の原子力発電所の安全確保の手段として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 制御棒
2 圧力水
3 原子炉圧力容器
4 原子炉格納容器
5 非常時用補給水槽
6 非常用炉心冷却ポンプ
7 冷却水下降管
8 蒸気上昇管
9 噴出口
10 緊急放散弁
【要約】
【課題】原子力発電所の電源が喪失した非常時であっても、炉心冷却が可能な原子炉冷却装置と原子炉冷却方法を提供する。
【解決手段】非常時用補給水槽5は、原子炉圧力容器3に対して高度差を付けて高所に配置されている。原子炉圧力容器3の最深部に向かって冷却水が下降する冷却水下降管7に、非常時用補給水槽5から冷却水が送出される。冷却水下降管7に接してその外周側に設けられた蒸気上昇管8は、冷却水下降管7との境界に複数の噴出口9を有している。蒸気上昇管8内の圧力は大気圧と同じ圧力となるように減圧されているため、冷却水下降管7内の加圧された冷却水は、原子炉圧力容器3内の高温の圧力水2と熱交換して、噴出口9へシャワー状態で噴出し、減圧沸騰して蒸気に変換され、蒸気上昇管8を上昇する。蒸気は、緊急放散弁10によって大気中に放散され、炉心温度は気化熱分冷却される。
【選択図】
図1