(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記凸部は、前記ガスタービンの径方向における一方側に突出し、前記凹部は、前記ガスタービンの径方向における一方側に凹むことを特徴とする請求項1に記載のシール部材の組付構造。
前記第1フランジ部が前記第1嵌合部に嵌合することで互いに前記ガスタービンの軸方向に相対移動不能であり、前記連結ピンが前記第1フランジ部と前記第1嵌合部を貫通することで互いに前記ガスタービンの周方向に相対移動不能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシール部材の組付構造。
前記シール部材は、第2嵌合部が設けられ、燃焼器用筒とタービン用シュラウドとのいずれか他方に設けられる第2フランジ部が前記第2嵌合部に嵌合することで互いに前記ガスタービンの径方向に相対移動不能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシール部材の組付構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、上部シール及び下部シールは、燃焼器尾筒の上部フランジ及び下部フランジが嵌合し、連結ピンにより連結されている。この場合、上部シール及び下部シールは、燃焼器尾筒とシュラウドの間に配置されることでガスタービンの軸心方向の変位が拘束され、連結ピンにより周方向の変位が拘束され、シュラウドにより径方向の変位が拘束されている。そのため、ガスタービンの運転中に、連結ピンが摩耗や破断することで上部シール及び下部シールの周方向の変位を拘束できなくなると、上部シール及び下部シールが位置ずれを起こし、燃焼ガスの漏洩を防止できなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、シール部材の位置ずれを防止して燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができるシール部材の組付構造、シール部材の組付方法、シール部材、ガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本発明のシール部材の組付構造は、燃焼器用筒とタービン用シュラウドとの間でガスタービンの周方向に沿って配設されるシール部材の組付構造であって、前記燃焼器用筒と前記タービン用シュラウドとのいずれか一方に設けられる第1フランジ部が前記シール部材に設けられる第1嵌合部に嵌合し、連結ピンが前記第1フランジ部と前記第1嵌合部を貫通することで前記シール部材が前記一方に連結され、前記第1フランジ部と前記第1嵌合部とのいずれか一方に設けられる凸部が他方に設けられる凹部に入り込む、ことを特徴とするものである。
【0009】
従って、燃焼器用筒またはタービン用シュラウドに設けられる第1フランジ部がシール部材の第1嵌合部に嵌合して連結ピンが貫通することで、シール部材が燃焼器用筒またはタービン用シュラウドに連結され、このとき、第1フランジ部または第1嵌合部の一方に設けられる凸部が他方に設けられる凹部に入り込むこととなる。そのため、連結ピンが破断すると、燃焼器用筒またはタービン用シュラウドに対してシール部材が周方向に変位しようとするが、凸部と凹部が接触することでこのシール部材の変位が規制される。その結果、シール部材の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0010】
本発明のシール部材の組付構造では、前記凸部は、前記ガスタービンの径方向における一方側に突出し、前記凹部は、前記ガスタービンの径方向における一方側に凹むことを特徴としている。
【0011】
従って、ガスタービンの径方向に突出する凸部が径方向に凹む凹部に入り込むことで、連結ピンが破断しても、凸部と凹部が接触してシール部材の変位を容易に規制することができる。
【0012】
本発明のシール部材の組付構造では、前記凸部と前記凹部は、前記ガスタービンの周方向に沿う隙間が設けられることを特徴としている。
【0013】
従って、凸部と凹部におけるガスタービンの周方向に沿って隙間を設けることで、燃焼器用筒とシール部材の組付を解除するとき、この隙間量だけ連結ピンにせん断力を付与して破断することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0014】
本発明のシール部材の組付構造では、前記凸部と前記凹部は、互いに対向する面が曲面により形成されることを特徴としている。
【0015】
従って、凸部と凹部を曲面により形成することで、接触時の摩耗を低減することができる。
【0016】
本発明のシール部材の組付構造では、前記第1フランジ部が前記第1嵌合部に嵌合することで互いに前記ガスタービンの軸方向に相対移動不能であり、前記連結ピンが前記第1フランジ部と前記第1嵌合部を貫通することで互いに前記ガスタービンの周方向に相対移動不能であることを特徴としている。
【0017】
従って、燃焼器用筒に対してシール部材を適正に位置決めすることができる。
【0018】
本発明のシール部材の組付構造では、前記シール部材は、第2嵌合部が設けられ、燃焼器用筒とタービン用シュラウドとのいずれか他方に設けられる前記第2フランジ部が第2嵌合部に嵌合することで互いに前記ガスタービンの径方向に相対移動不能であることを特徴としている。
【0019】
従って、タービン用シュラウドに対してシール部材を適正に位置決めすることができる。
【0020】
また、本発明のシール部材の組付方法は、燃焼器用筒とタービン用シュラウドとの間でガスタービンの周方向に沿って配設されるシール部材の組付方法であって、前記燃焼器用筒の第1フランジ部を前記シール部材の第1嵌合部に嵌合する工程と、前記第1フランジ部と前記第1嵌合部とのいずれか一方に設けられる凸部を他方に設けられる凹部に入り込ませる工程と、連結ピンを前記第1フランジ部と前記第1嵌合部に貫通させて固定する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0021】
従って、燃焼器用筒の第1フランジ部がシール部材の第1嵌合部に嵌合して連結ピンにより固定されたとき、第1フランジ部と第1嵌合部の一方に設けられる凸部は他方に設けられる凹部に入り込んでいる。そのため、連結ピンが破断すると、燃焼器用筒またはタービン用シュラウドに対してシール部材が周方向に変位しようとするが、凸部と凹部が接触することでこのシール部材の変位が規制される。その結果、シール部材の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0022】
また、本発明のシール部材は、燃焼器用筒とタービン用シュラウドとの間でガスタービンの周方向に沿って配設されるシール部材であって、前記燃焼器用筒と前記タービン用シュラウドとのいずれか一方に設けられる第1フランジ部が嵌合する第1嵌合部と、前記第1フランジ部に前記第1嵌合部を連結するための連結ピンが貫通する貫通孔と、前記第1フランジ部に対する前記第1嵌合部の前記ガスタービンの周方向に沿う移動を阻止する係止部と、を有することを特徴とするものである。
【0023】
従って、シール部材は、燃焼器用筒とタービン用シュラウドの一方に設けられる第1フランジ部が第1嵌合部に嵌合し、連結ピンが貫通孔を貫通することで連結されたとき、係止部により第1フランジ部に対する第1嵌合部の周方向に沿う移動が阻止されている。そのため、連結ピンが破断すると、燃焼器用筒またはタービン用シュラウドに対してシール部材が周方向に変位しようとするが、凸部と凹部が接触することでこのシール部材の変位が規制される。その結果、シール部材の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0024】
本発明のシール部材では、前記係止部は、前記第1フランジ部に係止する凸部または凹部であることを特徴としている。
【0025】
従って、係止部を凸部または凹部とすることで、構造を簡素化することができる。
【0026】
また、本発明のガスタービンは、空気を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機が圧縮した圧縮空気と燃料を混合して燃焼する燃焼器と、前記燃焼器が生成した燃焼ガスにより回転動力を得るタービンと、前記シール部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0027】
従って、シール部材の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のシール部材の組付構造、シール部材の組付方法、シール部材、ガスタービンによれば、凸部と凹部との関係で燃焼器用筒またはタービン用シュラウドとシール部材との相対移動が阻止されるので、シール部材の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るシール部材の組付構造、シール部材の組付方法、シール部材、ガスタービンの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0031】
[第1実施形態]
図6は、第1実施形態のガスタービンを表す概略構成図、
図7は、第1実施形態のガスタービン燃焼器を表す概略構成図、
図8は、燃焼器尾筒とシュラウドとの連結構造を表す断面図である。
【0032】
第1実施形態において、
図6に示すように、ガスタービン10は、圧縮機11と燃焼器12とタービン13により構成されている。このガスタービン10は、同軸上に図示しない発電機が連結されており、発電可能となっている。
【0033】
圧縮機11は、空気を取り込む空気取入口20を有し、圧縮機車室21内に入口案内翼(IGV:Inlet Guide Vane)22が配設されると共に、複数の静翼23と動翼24が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されてなり、その外側に抽気室25が設けられている。燃焼器12は、圧縮機11で圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火することで燃焼可能となっている。タービン13は、タービン車室26内に複数の静翼27と動翼28が前後方向(後述するロータ32の軸方向)に交互に配設されている。このタービン車室26の下流側には、排気車室29を介して排気室30が配設されており、排気室30は、タービン13に連続する排気ディフューザ31を有している。
【0034】
また、圧縮機11、燃焼器12、タービン13、排気室30の中心部を貫通するようにロータ(回転軸)32が位置している。ロータ32は、圧縮機11側の端部が軸受部33により回転自在に支持される一方、排気室30側の端部が軸受部34により回転自在に支持されている。そして、このロータ32は、圧縮機11にて、各動翼24が装着されたディスクが複数重ねられて固定され、タービン13にて、各動翼28が装着されたディスクが複数重ねられて固定されており、排気室30側の端部に図示しない発電機の駆動軸が連結されている。
【0035】
そして、このガスタービン10は、圧縮機11の圧縮機車室21が脚部35に支持され、タービン13のタービン車室26が脚部36により支持され、排気室30が脚部37により支持されている。
【0036】
従って、圧縮機11の空気取入口20から取り込まれた空気が、入口案内翼22、複数の静翼23と動翼24を通過して圧縮されることで高温・高圧の圧縮空気となる。燃焼器12にて、この圧縮空気に対して所定の燃料が供給され、燃焼する。そして、この燃焼器12で生成された作動流体である高温・高圧の燃焼ガスが、タービン13を構成する複数の静翼27と動翼28を通過することでロータ32を駆動回転し、このロータ32に連結された発電機を駆動する。一方、タービン13を駆動した燃焼ガスは、排気ガスとして大気に放出される。
【0037】
上述した燃焼器12において、
図7に示すように、燃焼器外筒41は、内部に所定間隔をあけて燃焼器内筒42が支持され、この燃焼器内筒42の先端部に燃焼器尾筒(燃焼器用筒)43が連結されて燃焼器ケーシングが構成されている。燃焼器内筒42は、内部の中心に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置されると共に、燃焼器内筒42の内周面に周方向に沿ってパイロット燃焼バーナ44を取り囲むように複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。また、燃焼器尾筒43はバイパス管46が連結されており、このバイパス管46にバイパス弁47が設けられている。
【0038】
詳細に説明すると、燃焼器外筒41は、基端部に燃焼器内筒42の基端部が装着されることで、両者の間に空気流路51が形成されている。そして、燃焼器内筒42は、内部の中心に位置してパイロット燃焼バーナ44が配置され、その周囲に複数のメイン燃焼バーナ45が配置されている。
【0039】
パイロット燃焼バーナ44は、燃焼器内筒42に支持されたパイロットコーン52と、パイロットコーン52の内部に配置されたパイロットノズル53と、パイロットノズル53の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)54とから構成されている。また、各メイン燃焼バーナ45は、バーナ筒55と、バーナ筒55の内部に配置されたメインノズル56と、メインノズル56の外周部に設けられる旋回翼(スワラーベーン)57とから構成されている。
【0040】
また、燃焼器外筒41は、図示しないパイロット燃料ラインがパイロットノズル53の燃料ポート58に連結され、図示しないメイン燃焼ラインが各メインノズル56の燃料ポート59に連結されている。
【0041】
従って、高温・高圧の圧縮空気の空気流が空気流路51に流れ込むと、この圧縮空気が燃焼器内筒42内に流れ込み、この燃焼器内筒42内にて、この圧縮空気がメイン燃焼バーナ45から噴射された燃料と混合され、予混合気の旋回流となる。また、圧縮空気は、パイロット燃焼バーナ44から噴射された燃料と混合され、図示しない種火により着火されて燃焼し、燃焼ガスとなって燃焼器内筒42内に噴出される。このとき、燃焼ガスの一部が燃焼器内筒42内に火炎を伴って周囲に拡散するように噴出されることで、各メイン燃焼バーナ45から燃焼器内筒42内に流れ込んだ予混合気に着火されて燃焼する。即ち、パイロット燃焼バーナ44から噴射されたパイロット燃料による拡散火炎により、メイン燃焼バーナ45からの希薄予混合燃料の安定燃焼を行うための保炎を行うことができる。
【0042】
ところで、
図8に示すように、燃焼器12の燃焼器尾筒43とタービン13のシュラウド(タービン用シュラウド)61,62は、シール部材71,72を介して連結されている。燃焼器12は、複数が周方向に沿ってリング状に配列されており、各燃焼器尾筒43は、燃焼器外筒41(
図7参照)に支持されている。外側シュラウド61と内側シュラウド62は、リング形状をなし、タービン車室26(
図6参照)に支持されている。各シール部材71,72は、燃焼器尾筒43の下流側端部と各シュラウド61,62の上流側端部を連結することで、燃焼ガスの外部流出を防止するものである。
【0043】
なお、以下の説明にて、径方向、周方向、内周側、外周側の各記載は、特定の説明がない限り、ガスタービン10を基準とした方向である。
【0044】
外周側シール部材71は、燃焼器尾筒43におけるガスタービンの径方向の外側に周方向に沿って配置され、上流側端部が燃焼器尾筒43の外周側第1フランジ部63に連結され、下流側端部が外側シュラウド61の外周側第2フランジ部64に連結されている。内周側シール部材72は、燃焼器尾筒43におけるガスタービンの径方向の内側(軸心側)に周方向に沿って配置され、上流側端部が燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65に連結され、下流側端部が内側シュラウド62の内周側第2フランジ部66に連結されている。なお、燃焼器尾筒43は、下流側端部が隣接する燃焼器尾筒43同士を仕切るサイドシール(図示略)が設けられている。
【0045】
燃焼器尾筒43は、矩形断面形状をなし、下流側端部の外周辺側から径方向の外側に延出する外周側第1フランジ部63が設けられている。外側シュラウド61は、上流側端部の外周側から径方向の外側に延出する取付部67が設けられ、取付部67から上流側(燃焼器尾筒43側)に延出する外周側第2フランジ部64が設けられている。一方、外周側シール部材71は、上流側端部に内周側に開口する外周側第1嵌合部73が設けられ、下流側端部に下流側(外側シュラウド61側)に開口する外周側第2嵌合部74が設けられている。
【0046】
そして、燃焼器尾筒43の外周側第1フランジ部63が外周側シール部材71の外周側第1嵌合部73に嵌合し、連結ピン75が外周側第1フランジ部63及び外周側シール部材71を貫通することで、燃焼器尾筒43と外周側シール部材71が連結される。また、外側シュラウド61の外周側第2フランジ部64が外周側シール部材71の外周側第2嵌合部74に嵌合することで、外周側シール部材71と外側シュラウド61が連結される。
【0047】
また、燃焼器尾筒43は、下流側端部の内周辺側から径方向の内側(軸心側)に延出する内周側第1フランジ部65が設けられている。内側シュラウド62は、上流側端部の内周側(軸心側)から径方向の内側に延出する取付部68が設けられ、取付部68から上流側(燃焼器尾筒43側)に延出する内周側第2フランジ部66が設けられている。一方、内周側シール部材72は、上流側端部に外周側に開口する内周側第1嵌合部76が設けられ、下流側端部に下流側(内側シュラウド62側)に開口する内周側第2嵌合部77が設けられている。
【0048】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合し、連結ピン78が内周側第1フランジ部65及び内周側シール部材72を貫通することで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結される。また、内側シュラウド62の内周側第2フランジ部66が内周側シール部材72の内周側第2嵌合部77に嵌合することで、内周側シール部材72と内側シュラウド62が連結される。
【0049】
このように燃焼器尾筒43と各シュラウド61,62が各シール部材71,72を介して連結されることで、燃焼ガス流路70が設けられ、燃焼ガス流路70を流れる燃焼ガスの漏洩が防止されている。
【0050】
ここで、燃焼器尾筒43は、外周側第1フランジ部63が外周側シール部材71の外周側第1嵌合部73に嵌合した状態で、連結ピン75が貫通することで外周側シール部材71が連結される。また、燃焼器尾筒43は、内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合した状態で、連結ピン78が貫通することで内周側シール部材72が連結される。そのため、ガスタービンの運転中に、連結ピン75,78が破断すると、各シール部材71,72における周方向の拘束がなくなり、各シール部材71,72が周方向にずれて隙間が生じ、燃焼ガスの漏洩を防止できなくなるおそれがある。そこで、第1実施形態では、連結ピン75,78が破断しても、シール部材71,72の周方向の位置ずれを抑制する構造を提供する。
【0051】
以下、シール部材71,72について詳細に説明するが、ここでは、内周側シール部材72について説明する。
図1は、第1実施形態のシール部材の組付構造を表すシール部材の正面図、
図2は、
図1のII−II断面図、
図3は、
図1のIII−III断面図、
図4は、凸部と凹部の関係を表す説明図、
図5は、連結ピン破断時のシール部材の作動を表すシール部材の正面図である。
【0052】
図1から
図3に示すように、燃焼器尾筒43は、下流側端部の内周部から径方向の内側に延出する内周側第1フランジ部65が設けられている。内周側シール部材72は、この燃焼器尾筒43の内周部に沿って配置され、上流側端部に3個の嵌合壁81,82,83により内周側第1嵌合部76が設けられ、下流側端部に3個の嵌合壁84,85,86により内周側第2嵌合部77が設けられている。
【0053】
また、内周側シール部材72は、長手方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に突出する凸部(係止部)87が設けられている。凸部87は、嵌合壁81の端面から外側に突出して設けられており、この凸部87の位置に対応した嵌合壁81に軸心方向に貫通する円形の貫通孔88が形成されると共に嵌合壁83に軸心方向に貫通しない円形の取付穴89が形成されている。一方、燃焼器尾筒43は、内周辺における周方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に凹む凹部(係止部)90が設けられている。凹部90は、内周側第1フランジ部65における平面部から上流側に突出するブロック体91の一部が切欠かれて形成されており、内周側第1フランジ部65に燃焼器尾筒43の径方向に長く、軸心方向に貫通する長孔92が形成されている。
【0054】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合し、連結ピン78が貫通孔88及び長孔92を貫通し、取付穴89に嵌入し、かしめられることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結されている。このとき、内周側シール部材72の凸部87が燃焼器尾筒43の凹部90に入り込んで径方向において重なり、凸部87と凹部90は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。即ち、凸部87は、嵌合壁81の端面から曲面をもって突出し、凹部90は、燃焼器尾筒43のブロック体91の端面が曲面をもって切欠かれている。そのため、この凸部87と凹部90は、互いに対向する面が曲面により形成されることとなる。
【0055】
このとき、内周側第1フランジ部65が内周側第1嵌合部76に嵌合することで、内周側シール部材72が燃焼器尾筒43に対してその軸方向に移動不能となり、連結ピン78が内周側第1フランジ部65と内周側第1嵌合部76を貫通することで、内周側シール部材72が燃焼器尾筒43に対してその周方向に移動不能となる。但し、連結ピン78が内周側第1フランジ部65の長孔92を貫通しているため、内周側シール部材72は、燃焼器尾筒43に対してその径方向に所定量だけ相対移動可能となると共に、連結ピン78を支点として所定角度だけ回動可能となる。そのため、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72との熱膨張差を吸収することができる。
【0056】
また、内周側第2フランジ部66が内周側第2嵌合部77に嵌合することで、内周側シール部材72が内側シュラウド62に対してその径方向に移動不能となる。この場合でも、内周側第1フランジ部65の長孔92により燃焼器尾筒43と内側シュラウド62との熱膨張差を吸収することができる。
【0057】
ここで、第1実施形態のシール部材の組付方法について説明する。第1実施形態のシール部材の組付方法は、燃焼器尾筒43と内側シュラウド62との間で燃焼器尾筒43の周方向に沿って配設される第2シール部材の取付方法であって、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65を内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合する工程と、内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76側に設けられる凸部87を燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65側に設けられる凹部90に入り込ませる工程と、連結ピン78を内周側第1フランジ部65と内周側第1嵌合部76に貫通させて固定する工程と、内側シュラウド62の内周側第2フランジ部66を内周側シール部材72の内周側第2嵌合部77に嵌合する工程とを有している。
【0058】
このように燃焼器尾筒43と内側シュラウド62との間に内周側シール部材72が組付けられたとき、
図1及び
図4に示すように、凸部87が形成される嵌合壁81の端面と、凹部90が形成されるブロック体91の端面との間に隙間が確保されており、凸部87と凹部90とは、燃焼器尾筒43の周方向における作動隙間S1が確保されている。また、複数の燃焼器尾筒43が周方向に沿って並設されていることから、隣接する燃焼器尾筒43との間、つまり、隣接する内周側シール部材72との間に隙間S2が確保されている。そして、作動隙間S1は、隙間S2より小さく(S1<S2)設定されている。なお、作動隙間S1,S2の関係は、この大小関係に限定されるものではない。例えば、周方向に隣接するシール部材72を貫通している連結ピン78が運転中に複数個折れてしまうことがある。そのときに、複数のシール部材72が重力により周方向へ移動して適正なシール位置からずれてしまうことがあり、この場合、S1<S2にならないが、シール部材71の凹凸が長手方向の中間部にありさえすれば、シール性能を確保することができる。
【0059】
また、燃焼器尾筒43や内周側シール部材72などは、所定の期間を経て交換する必要があり、燃焼器尾筒43や内周側シール部材72を取外す必要がある。この場合、連結ピン78を破断することで燃焼器尾筒43と内周側シール部材72との組付を解除する。具体的には、内周側シール部材72に対して長手方向(燃焼器尾筒43の周方向)の応力を付与することで連結ピン78にせん断力を与えて破断し、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72の組付を解除する。そのため、作動隙間S1は、連結ピン78の外径Dより大きく(S1>D)設定されている。なお、作動隙間S1と連結ピン78の外径Dとの関係もこの大小関係に限定されるものではない。
【0060】
ここで、第1実施形態のシール部材の組付構造の作用について説明する。
【0061】
図1に示すように、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72と内側シュラウド62が組付けられた状態で、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72とは所定の位置に組付けられており、凸部87と凹部90は接触していない。この状態で、ガスタービンが運転される。
図5に示すように、このガスタービンの運転中に、連結ピン78が破断すると、燃焼器尾筒43及び内側シュラウド62に対して内周側シール部材72が周方向に変位しようとする。ところが、内周側シール部材72が燃焼器尾筒43及び内側シュラウド62に対して作動隙間S1だけ移動すると、凸部87と凹部90に当接(接触)することで、内周側シール部材72の周方向の変位が規制される。その結果、内周側シール部材72の位置ずれが防止される。
【0062】
また、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72と内側シュラウド62の組付を解除する場合、
図1に示すように、まず、内周側シール部材72に対して周方向の応力を付与することで、連結ピン78にせん断力を付与して破断する。次に、内側シュラウド62を下流側に移動すると共に、燃焼器尾筒43及び内周側シール部材72を上流側に移動することで、内側シュラウド62の内周側第2フランジ部66を内周側シール部材72の内周側第2嵌合部77から抜き取ることで、内側シュラウド62と内周側シール部材72との組付を解除する。そして、燃焼器尾筒43に対して内周側シール部材72の上流側を径方向の内側に移動することで、内周側第1フランジ部65を内周側第1嵌合部76から抜き取ると共に、凸部87を凹部90から抜き取ることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72との組付を解除する。
【0063】
なお、上述の説明では、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72と内側シュラウド62の組付構造、組付方法、取外方法などについて説明したが、燃焼器尾筒43と第1シール部材71と外側シュラウド61の組付構造及び組付方法も同様である。即ち、第1シール部材71の外周側第1嵌合部73の凸部が設けられ、燃焼器尾筒43の外周側第1フランジ部63に凹部を設け、外周側第1嵌合部73の凸部が外周側第1フランジ部63の凹部を入り込むように組付けられている。
【0064】
また、上述した実施形態では、凸部87と凹部90の互いに対向する面を曲面により形成したが、この構成に限定されるものではない。
図9から
図11は、シール部材の組付構造の変形例を表すシール部材の正面図である。
【0065】
第1実施形態の変形例1にて、
図9に示すように、内周側シール部材72は、長手方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に突出する凸部(係止部)101が設けられている。凸部101は、嵌合壁81の端面から外側に突出し、矩形状をなして設けられている。一方、燃焼器尾筒43は、内周辺における周方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に凹む凹部(係止部)102が設けられている。凹部102は、内周側第1フランジ部65における平面部から上流側に突出するブロック体91の一部が切り欠かれ、矩形状をなして形成されている。そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合し、連結ピン78が貫通して固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結されている。このとき、内周側シール部材72の凸部101が燃焼器尾筒43の凹部102に入り込んで径方向において重なり、凸部101と凹部102は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。
【0066】
なお、凸部101と凹部102を矩形状としたが、この形状に限定されるものではなく、三角形状、四角形状、台形状などの多角形状でもよく、半円、楕円形状でもよく、矩形と円形を合わせた形状でもよい。
【0067】
また、第1実施形態の変形例2にて、
図10に示すように、内周側シール部材72は、長手方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に突出する凸部87が設けられている。凸部87は、嵌合壁81の端面から外側に突出して設けられている。一方、燃焼器尾筒43は、内周辺における周方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に凹む凹部(係止部)111が設けられている。凹部111は、内周側第1フランジ部65における平面部から上流側に突出するブロック体112の一部が切り欠かれて形成されている。この場合、ブロック体112は、内周側第1フランジ部65における平面部の全体に設ける必要はなく、長手方向の一部、つまり、凸部87に対向する位置だけに設ければよい。
【0068】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合し、連結ピン78が貫通して固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結されている。このとき、内周側シール部材72の凸部87が燃焼器尾筒43の凹部111に入り込んで径方向において重なり、凸部87と凹部111は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。
【0069】
また、第1実施形態の変形例3にて、
図11に示すように、内周側シール部材72は、長手方向の中間部にガスタービンの径方向の内側に凹む凹部(係止部)121が設けられている。凹部121は、嵌合壁81の端面の一部が切り欠かれて形成されている。一方、燃焼器尾筒43は、内周辺における周方向の中間部にガスタービンの径方向の内側に突出する凸部(係止部)122が設けられている。凸部122は、内周側第1フランジ部65における平面部から上流側に突出するブロック体91から内側に突出して設けられている。
【0070】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合し、凹部121及び凸部122に対して周方向にずれた位置で、連結ピン78が貫通して固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結されている。このとき、内周側シール部材72の凹部121に燃焼器尾筒43の凸部122が入り込んで径方向において重なり、凹部121と凸部122は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。
【0071】
このように第1実施形態のシール部材の組付構造にあっては、燃焼器尾筒43に設けられる第1フランジ部63,65がシール部材71,72に設けられる第1嵌合部73,76に嵌合し、連結ピン75,78が第1フランジ部63,65と第1嵌合部73,76を貫通することでシール部材71,72が燃焼器尾筒43に連結され、第1嵌合部73,76に設けられる凸部87が第1フランジ部63,65に設けられる凹部90に入り込むものである。
【0072】
従って、連結ピン75,78が破断すると、燃焼器尾筒43に対してシール部材71,72が周方向に変位しようとするが、凸部87と凹部90が接触することでこのシール部材71,72の変位が規制される。その結果、シール部材71,72の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0073】
第1実施形態のシール部材の組付構造では、凸部87は、燃焼器尾筒43の径方向における外側に突出し、凹部90は、燃焼器尾筒43の径方向における外側に凹むものとなっている。従って、連結ピン75,78が破断しても、凸部87と凹部90が接触してシール部材71,72の変位を容易に規制することができる。
【0074】
第1実施形態のシール部材の組付構造では、凸部87と凹部90の間に燃焼器尾筒43の周方向に沿う作動隙間S1が設けられる。従って、燃焼器尾筒43とシール部材71,72の組付を解除するとき、この作動隙間S1の量だけ連結ピン75,78にせん断力を付与して破断することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0075】
第1実施形態のシール部材の組付構造では、凸部87と凹部90は、互いに対向する面が曲面により形成される。従って、凸部87と凹部90が接触したときの摩耗を低減することができる。
【0076】
第1実施形態のシール部材の組付構造では、第1フランジ部63,65が第1嵌合部73,76に嵌合することで互いに燃焼器尾筒43の軸方向に相対移動不能であり、連結ピン75,78が第1フランジ部63,65と第1嵌合部73,76を貫通することで互いに燃焼器尾筒43の周方向に相対移動不能である。従って、燃焼器尾筒43に対してシール部材71,72を適正に位置決めすることができる。
【0077】
第1実施形態のシール部材の組付構造では、シール部材71,72は、シュラウド61,62に設けられる第2フランジ部64,66が第2嵌合部74,77に嵌合することで互いにシュラウド61,62の径方向に相対移動不能である。従って、シュラウド61,62に対してシール部材71,72を適正に位置決めすることができる。
【0078】
また、第1実施形態のシール部材の組付方法にあっては、燃焼器尾筒43の第1フランジ部63,65をシール部材71,72の第1嵌合部73,76に嵌合する工程と、第1嵌合部73,76に設けられる凸部87を第1フランジ部63,65に設けられる凹部90に入り込ませる工程と、連結ピン75,78を第1フランジ部63,65と第1嵌合部73,76に貫通させて固定する工程とを有している。従って、連結ピン75,78が破断すると、燃焼器尾筒43に対してシール部材71,72が周方向に変位しようとするが、凸部87と凹部90が接触することでこのシール部材71,72の変位が規制される。その結果、シール部材71,72の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0079】
また、第1実施形態のシール部材にあっては、燃焼器尾筒43に設けられる第1フランジ部63,65が嵌合する第1嵌合部73,76と、第1フランジ部63,65に第1嵌合部73,76を連結するための連結ピン75,78が貫通する貫通孔88と、第1フランジ部63,65に対する第1嵌合部73,76の燃焼器尾筒43の周方向に沿う移動を阻止する凸部(係止部)87とを設けている。従って、連結ピン75,78が破断すると、燃焼器尾筒43に対してシール部材71,72が周方向に変位しようとするが、凸部87と凹部90が接触することでこのシール部材71,72の変位が規制される。その結果、シール部材71,72の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0080】
また、第1実施形態のガスタービンにあっては、圧縮機11と燃焼器12とタービン13とを設けている。従って、シール部材71,72の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0081】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態のシール部材の組付構造を表すシール部材の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
第2実施形態のシール部材の組付構造において、
図12に示すように、燃焼器尾筒43は、径方向の内側に延出する内周側第1フランジ部65が設けられている。また、燃焼器尾筒43は、この内周側第1フランジ部65と2個の嵌合壁131,132により内周側第3嵌合部133が設けられている。一方、内周側シール部材72は、上流側端部に3個の嵌合壁81,82,83により内周側第1嵌合部76が設けられ、下流側端部に3個の嵌合壁84,85,86により内周側第2嵌合部77が設けられている。
【0083】
また、内周側シール部材72は、長手方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に突出する凸部87が設けられている。凸部87は、嵌合壁81の端面から外側に突出して設けられている。一方、燃焼器尾筒43は、内周辺における周方向の中間部にガスタービンの径方向の外側に凹む凹部(係止部)90が設けられている。凹部90は、内周側第1フランジ部65における平面部から上流側に突出する嵌合壁132の一部が切り欠かれて形成されており、嵌合壁131と内周側第1フランジ部65に燃焼器尾筒43の径方向に長く、軸心方向に貫通する長孔134,92が形成されている。
【0084】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合すると共に、内周側シール部材72の嵌合壁81が燃焼器尾筒43の内周側第3嵌合部133に嵌合し、連結ピン78が長孔134、貫通孔88、長孔91を貫通して固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72が連結されている。このとき、内周側シール部材72の凸部87が燃焼器尾筒43の凹部90に入り込んで径方向において重なり、凸部87と凹部90は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。
【0085】
このように第2実施形態のシール部材の組付構造にあっては、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部65を内周側シール部材72の内周側第1嵌合部76に嵌合すると共に、内周側シール部材72の嵌合壁81を燃焼器尾筒43の内周側第3嵌合部133に嵌合し、連結ピン78により固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72を連結している。従って、燃焼器尾筒43と内周側シール部材72との連結剛性を向上することができる。
【0086】
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態のシール部材の組付構造を表すシール部材の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0087】
第3実施形態のシール部材の組付構造において、
図13に示すように、燃焼器尾筒43と内周側シュラウド62は、内周側シール部材141を介して連結されている。内周側シール部材141は、燃焼器尾筒43の下流側端部と内側シュラウド62の上流側端部を連結することで、燃焼ガスが外部流出を防止するものである。
【0088】
内周側シール部材141は、燃焼器尾筒43におけるガスタービンの径方向の内側(軸心側)に周方向に沿って配置され、上流側端部が燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部151に連結され、下流側端部が内側シュラウド62の内周側第2フランジ部152に連結されている。燃焼器尾筒43は、下流側端部の内周辺側から径方向の内側(軸心側)に延出する取付部153が設けられ、この取付部153から下流側(内側シュラウド62側)に延出する内周側第1フランジ部151が設けられている。内側シュラウド62は、上流側端部の内周側(軸心側)から上流側(燃焼器尾筒43側)に延出する内周側第2フランジ部152が設けられている。一方、内周側シール部材141は、上流側端部に上流側(燃焼器尾筒43側)に開口する内周側第1嵌合部142が設けられ、下流側端部に下流側(内側シュラウド62側)に開口する内周側第2嵌合部143が設けられている。
【0089】
そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部151が内周側シール部材72の内周側第1嵌合部142に嵌合し、径方向に沿う連結ピン144が内周側第1フランジ部151及び内周側シール部材72を貫通することで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材141が連結される。また、内側シュラウド62の内周側第2フランジ部152が内周側シール部材72の内周側第2嵌合部143に嵌合することで、内周側シール部材141と内側シュラウド62が連結される。この場合、内周側第1フランジ部151と内周側第1嵌合部142との間に径方向隙間が確保されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材141との熱膨張差を吸収することができる。
【0090】
また、内周側シール部材141は、内周側第1嵌合部142の上流側に突出する凸部(係止部)145が設けられている。一方、燃焼器尾筒43は、取付部153の先端部に上流側に凹む凹部(係止部)154が設けられている。そして、燃焼器尾筒43の内周側第1フランジ部151が内周側シール部材141の内周側第1嵌合部142に嵌合し、連結ピン144が貫通して固定されることで、燃焼器尾筒43と内周側シール部材141が連結されている。このとき、内周側シール部材141の凸部145が燃焼器尾筒43の凹部154に入り込んで径方向において重なり、凸部145と凹部154は、燃焼器尾筒43の周方向に沿う隙間が設けられている。
【0091】
このように第3実施形態のシール部材の組付構造にあっては、燃焼器尾筒43に設けられる内周側第1フランジ部151が内周側シール部材141に設けられる内周側第1嵌合部142に嵌合し、連結ピン144が内周側第1フランジ部151と内周側第1嵌合部142を貫通することで内周側シール部材141が燃焼器尾筒43に連結され、内周側第1嵌合部142に設けられる凸部145が取付部153に設けられる凹部154に入り込むものである。
【0092】
従って、連結ピン144が破断すると、燃焼器尾筒43に対して内周側シール部材141が周方向に変位しようとするが、凸部144と凹部145が接触することでこの内周側シール部材141の変位が規制される。その結果、内周側シール部材141の位置ずれを防止することで燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができ、信頼性を向上することができる。
【0093】
なお、上述した実施形態にて、燃焼器尾筒43に設けられる第1フランジ部63,65をシール部材71,72に設けられる第1嵌合部73,76に嵌合して固定し、第1嵌合部73,76に凸部87を設け、第1フランジ部63,65に凹部90を設けたが、この構成に限定されるものではない。例えば、シュラウド61,62に設けられる第2フランジ部64,66をシール部材71,72に設けられる第2嵌合部74,77に嵌合して固定し、第2嵌合部74,77と第2フランジ部64,66の一方に凸部を設け、他方に凹部を設けてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態では、凸部87が燃焼器尾筒43の径方向における外側に突出し、凹部90が燃焼器尾筒43の径方向における外側に凹むものとしたが、この構成に限定されるものではない。例えば、凸部が燃焼器尾筒43の軸心方向に突出し、凹部が燃焼器尾筒43の軸心方向に凹むものとしてもよい。即ち、凸部と凹部が周方向にずれたときに接触するような位置に設ければよい。
【課題】シール部材の組付構造及び組付方法、シール部材、ガスタービンにおいて、シール部材の位置ずれを防止して燃焼ガスの漏洩を長期間にわたって防止することができる。
【解決手段】燃焼器尾筒43に設けられる第1フランジ部63,65がシール部材71,72に設けられる第1嵌合部73,76に嵌合し、連結ピン75,78が第1フランジ部63,65と第1嵌合部73,76を貫通することでシール部材71,72が燃焼器尾筒43に連結され、第1フランジ部63,65に設けられる凸部87が第1嵌合部73,76に設けられる凹部90に入り込むものである。