(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アノードガス流路とカソードガス流路とを備える固体酸化物形燃料電池と、前記アノードガス流路から排出されるアノードオフガスと前記カソードガス流路から排出されるカソードオフガスとを混合する混合器と、を備える、燃料電池ユニットと、
前記燃料電池ユニットに発電原料を供給する発電原料供給器と、
前記発電原料供給器から前記アノードガス流路の下流端に至る可燃性ガス流路と、
前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、
前記燃料電池ユニットの発電停止後に、前記発電原料供給器を制御して前記可燃性ガス流路の容積以上の体積の発電原料を前記可燃性ガス流路に供給し、同時に、前記酸化剤ガス供給器を制御して前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する、制御器と、を備え、
前記制御器は、前記燃料電池ユニットの発電停止後に前記カソードガス流路に供給される酸化剤ガスの体積が、前記カソードガス流路の容積以上となるように、かつ、前記燃料電池ユニットの発電停止後に前記可燃性ガス流路への発電原料の供給を停止した後も、前記カソードガス流路への酸化剤ガスの供給が継続されるように、前記酸化剤ガス供給器を制御する、
固体酸化物形燃料電池システム。
前記制御器は、前記固体酸化物形燃料電池の温度が、発電原料が熱分解する温度未満となるように、前記燃料電池ユニットに酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料を間欠的に供給させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御する、請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
前記制御器は、前記改質器の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度まで下がった時、前記燃料電池ユニットに前記酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料の供給を開始させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御する、請求項4または6に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、固体酸化物形燃料電池システムの耐久性を向上するために鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
【0010】
固体酸化物形燃料電池システムは、発電部の本体である固体酸化物形燃料電池スタックに、水素含有ガスと酸素含有ガスとを供給して、水素と酸素との電気化学反応を進行させることにより発生した化学的なエネルギーを、電気的なエネルギーとして取り出して発電するシステムである。固体酸化物形燃料電池スタックは、例えば、燃料極、電解質、空気極から成るセルから構成される。燃料極には、例えば、燃料であるメタン、改質器から供給される水素及びCO、及び水蒸気等が供給される。空気極には空気が供給される。空気中の酸素は、空気極と電解質との界面で解離し、電解質中を拡散移動する。拡散した酸素イオンは、電解質と燃料極との界面で燃料極側の水素及びCOと反応し、水及びCO
2を生成する。この反応の際に放出される電子が、電力として取り出される。
【0011】
固体酸化物形燃料電池システムは、高効率発電が可能であり、発電運転の際に発生する熱エネルギーを簡単に利用することができるので、高いエネルギー利用効率を実現することが可能な分散型の発電システムとして開発が進められている。
【0012】
固体酸化物形燃料電池システムに使用される原料として、例えば、液化石油ガス(LPG)、液化天然ガス(LNG)、都市ガス、シェールガス、及びメタンハイドレード等を例示できる。水素含有ガスを用いて発電が行なわれる場合、水素含有ガスの原料としては、天然ガスを主成分とする都市ガス、又はLPG等の化石原料が用いられる。水素生成装置は、例えば、Ru触媒やNi触媒を用いて、例えば600〜700℃の温度で上記原料を水蒸気と反応(改質反応)させることによって、水素含有ガス(改質ガス)を生成する改質器を備えている。
【0013】
都市ガス、又はLPG等の原料には、原料漏れを検出するため、硫黄成分を含む付臭剤が添加されている。また、原料由来の硫黄化合物も含まれることもある。これら硫黄系の付臭剤や天然由来の硫黄化合物(総称して「硫黄化合物」とする)は、改質器で用いられるRu触媒やNi触媒といった触媒を被毒し、改質反応を阻害したり、燃料電池スタックのアノードを被毒し、燃料電池の性能を阻害してしまう恐れがある。このため、水素生成装置には、一般に、改質器に導入する前の原料から硫黄化合物を除去するための脱硫器が設けられる。
【0014】
固体酸化物形燃料電池システムでは、水素含有ガスを生成するために改質反応をさせる。発電中は、原料及び水を継続的に供給し、発電停止時にはこれらの供給も停止される。そのため、発電停止後には原料及び原料が改質された可燃性ガスが流れる経路には水蒸気を含む可燃性ガスが滞留する。固体酸化物形燃料電池は発電時には500℃〜900℃の高温に保持され、停止後には徐々に冷却される。
【0015】
冷却過程において、水蒸気を含む可燃性ガスは露点以下になると水が凝縮し、可燃性ガス経路に存在する触媒、及び、Ni含有電極である燃料電池のアノード等の耐久性を低下させる可能性がある。
【0016】
そこで、冷却過程において、窒素などの不活性ガスを用いて還元雰囲気を作ることで、水素含有ガスのパージを行う構成を有した固体酸化物形燃料電池システムが従来から知られている。しかしながら、このように不活性ガスを用いてパージを行う構成の場合、パージ専用の流路を設置する必要があり、固体酸化物形燃料電池システムの大型化を招くという問題がある。
【0017】
また、既存の改質用空気および発電用空気を流通させる流路を利用し、これら改質用空気および発電用空気によってパージを行う燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0018】
特許文献2に開示された構成では、例えば、燃料電池システムの運転を停止する際に、改質用の空気及び発電用の空気を供給し、改質器、燃料ガス供給管、マニホールド、及び各燃料電池セルユニットの内部の燃料極等を含む可燃性ガス流路を空気によりパージすることが考えられる。同時に、発電室内の空気極、排気通路、及び空気用熱交換器等のカソードガス流路も空気によりパージすることが考えられる。
【0019】
可燃性ガス流路を空気でパージすることにより、流路内部に残留していた水蒸気から結露水が発生して可燃性ガス流路及び燃料極を酸化する可能性が低減される。カソードガス流路を空気でパージすることにより、燃料極から排出された水蒸気がカソードガス流路内で結露する可能性が低減される。
【0020】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、仮に原料ガスでパージが行われた場合、原料ガスは燃料電池のスタックから排出される。その結果、原料ガスによりスタックの排出口付近の空気極が還元されてしまい、スタックが劣化する可能性があるという課題があることを見出した。
【0021】
また、特許文献2に開示された構成では、可燃性ガス経路を改質用空気でパージするために、改質用空気を供給する供給器を設ける必要がある。水添脱硫器を備える場合は、停止時に水添脱硫器に空気が滞留し、脱硫触媒が酸化されるという課題もある。
【0022】
さらに、固体酸化物形燃料電池システムが、アノードガス流路から排出されるアノードオフガスとカソードガス流路から排出されるカソードオフガスとを混合する混合器を備える場合において、燃料電池のアノードを原料でパージすると、アノードから排出された原料がカソードを還元して劣化させるという課題も存在することを発見した。
【0023】
そこで、固体酸化物形燃料電池システムにおいて、燃料電池ユニットの発電停止後に、発電原料供給器を制御して可燃性ガス流路内パージする場合に、同時に、酸化剤ガス供給器を制御してカソードガス流路に酸化剤ガスを供給することに想到した。
【0024】
かかる構成では、固体酸化物形燃料電池システムの運転を停止させる際に実行する運転停止工程において、アノードにおいて凝縮水が発生して触媒が劣化する可能性が低減されると共に、カソードが原料ガスに接触する可能性が低減される。よって、固体酸化物形燃料電池システムの耐久性を向上できる。なお、固体酸化物形燃料電池システムの運転を停止させるにあたり行われる、例えば上記したパージなどを含む複数の処理ステップからなる工程を以下において運転停止工程と称する。また、この運転停止工程を実施する方法を固体酸化物形燃料電池システムの停止方法と称する。
【0025】
また、原料ガスを用いて可燃性ガス流路をパージする燃料電池システムの場合、冷却過程においてパージに用いられた可燃性の原料ガスをそのまま燃料電池システムの系外に排気することとなり、安全性の面で問題があることにも気付いた。
【0026】
この知見に基づいて、本発明者らは、系外に排気する前に、パージに用いた可燃性の原料ガスを燃焼させることで安全に燃料電池システムの運転を停止させることができることを見出した。また、原料ガスの燃焼により固体酸化物形燃料電池が過昇温することを防ぐため、固体酸化物形燃料電池の温度が適切な温度範囲となるように原料ガスの燃焼を工夫させる必要性を見出した。
【0027】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等を変更でき、かつ、他の公知の工程を追加できる。
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態の固体酸化物形燃料電池システムは、アノードガス流路とカソードガス流路とを備える固体酸化物形燃料電池と、前記アノードガス流路から排出されるアノードオフガスと前記カソードガス流路から排出されるカソードオフガスとを混合する混合器と、を備える、燃料電池ユニットと、前記燃料電池ユニットに発電原料を供給する発電原料供給器と、前記発電原料供給器から前記アノードガス流路の下流端に至る可燃性ガス流路と、前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、前記燃料電池ユニットの発電停止後に、前記発電原料供給器を制御して前記可燃性ガス流路の容積以上の体積の発電原料を前記可燃性ガス流路に供給し、同時に、前記酸化剤ガス供給器を制御して前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する、制御器と、を備える。
【0030】
固体酸化物形燃料電池システムの停止方法は、固体酸化物形燃料電池を含む燃料電池ユニットの発電を停止するステップと、発電原料供給器から前記固体酸化物形燃料電池のアノードガス流路の下流端に至る流路を可燃性ガス流路とするとき、前記燃料電池ユニットの発電停止後に、前記可燃性ガス流路の容積以上の体積の発電原料を前記可燃性ガス流路に供給し、同時に、前記固体酸化物形燃料電池のカソードガス流路に酸化剤ガスを供給するステップと、前記アノードガス流路から排出されるアノードオフガスと前記カソードガス流路から排出されるカソードオフガスとを混合して燃焼させるステップと、を含む。
【0031】
かかる構成では、固体酸化物形燃料電池システムの耐久性を向上させることができる。
【0032】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記制御器は、前記燃料電池ユニットの発電停止後に前記カソードガス流路に供給される酸化剤ガスの体積が、前記カソードガス流路の容積以上となるように、前記酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
【0033】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記制御器は、前記燃料電池ユニットの発電停止後に前記可燃性ガス流路への発電原料の供給を停止した後も、前記カソードガス流路への酸化剤ガスの供給が継続されるように、前記酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
【0034】
かかる構成では、固体酸化物形燃料電池システムの耐久性をさらに効果的に向上させることができる。
【0035】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、混合器は、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させる点火器を備え、前記制御器は、前記燃料電池ユニットの発電停止後に、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させるように前記点火器を制御してもよい。
【0036】
かかる構成では、混合ガスが可燃性ガスである場合に、かかる可燃性ガスが固体酸化物形燃料電池システムの外部にそのまま排出される可能性を低減することができる。
【0037】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記酸化剤ガス供給器から前記カソードガス流路の下流端に至る流路であり、前記酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路を備え、前記制御器は、固体酸化物形燃料電池システムの運転停止工程において、前記酸化剤ガス供給器が前記酸化剤ガスを、前記酸化剤ガス流路を通じて供給させるとともに、前記発電原料供給器が前記発電原料を、前記可燃性ガス流路を通じて間欠的に供給させ、前記点火器が前記発電原料の間欠的な供給に伴い前記混合器に間欠的に排出される前記可燃性ガスに着火するように制御してもよい。
【0038】
ここで、可燃性ガスは、例えば、発電原料に加えて、発電時にアノードに供給された水素含有ガスを含む。
【0039】
かかる構成では、固体酸化物形燃料電池システムの運転停止工程において、酸化剤ガスを、前記酸化剤ガス流路を通じて供給させるとともに、発電原料を、可燃性ガス流路を通じて間欠的に供給させることができる。すなわち、酸化剤ガスにより酸化剤ガス流路をパージし、発電原料により可燃性ガス流路をパージすることができる。このため、本発明の第1の態様に係る固体酸化物形燃料電池システムでは、運転停止工程において、固体酸化物形燃料電池のアノードから排出された可燃性ガスによるカソードの還元を防止できる。
【0040】
さらに、固体酸化物形燃料電池システムは、発電原料を間欠的に供給させ、可燃性ガス流路の内部に残留した水蒸気を排出させることができるため、凝縮水により可燃性ガス流路およびアノードが酸化されることを防止できる。
【0041】
また、固体酸化物形燃料電池システムでは、制御器は、燃料電池ユニットに対して酸化剤ガスを供給させつつ、発電原料を間欠的に供給させ、燃焼部に間欠的に排出される可燃性ガスに着火するように、点火器の動作を制御することができる。
【0042】
このため、固体酸化物形燃料電池システムは、発電原料を利用したパージにより可燃性ガス流路から燃焼部に排出された可燃性ガスを火炎燃焼させることができる。このため、可燃性ガスを外部大気中に放出することを防ぐことができる。それゆえ、本発明の第1の態様に係る固体酸化物形燃料電池システムは、安全に運転停止することができるという効果を奏する。
【0043】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記燃料電池ユニットは、前記発電原料を改質し、水素含有ガスを生成する改質器を備え、前記制御器は、前記改質器の温度が、前記発電原料が熱分解する温度未満となるように、前記燃料電池ユニットに酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料を間欠的に供給させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御してもよい。
【0044】
かかる構成では、発電原料供給器により発電原料を間欠的に供給するように制御器が制御することにより、可燃性ガスの火炎燃焼による改質器の温度上昇を、発電原料が熱分解する温度未満となるように、抑制することができる。このため、発電原料を間欠的に供給しない構成と比較して、燃料電池ユニットの冷却時間を短縮できる。さらには、改質器の過度の温度上昇による発電原料の炭化(炭素析出)を防止することができる。それゆえ、改質器に充填された改質触媒に炭素析出し、この改質触媒が劣化してしまうことを防ぐことができ改質触媒の耐久性を向上させることができる。
【0045】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記制御器は、前記固体酸化物形燃料電池の温度が、発電原料が熱分解する温度未満となるように、前記燃料電池ユニットに酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料を間欠的に供給させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御してもよい。
【0046】
かかる構成では、発電原料供給器により発電原料を間欠的に供給するように制御
器が制御することにより、可燃性ガスの火炎燃焼による固体酸化物形燃料電池の温度上昇を、発電原料が熱分解する温度未満となるように、抑制することができる。このため、発電原料を間欠的に供給しない構成と比較して、燃料電池ユニットの冷却時間を短縮できる。さらには、固体酸化物形燃料電池の過度の温度上昇による発電原料の炭化(炭素析出)を防止することができる。それゆえ、固体酸化物形燃料電池に炭素析出し劣化してしまうことを防ぐことができ、該固体酸化物形燃料電池の耐久性を向上させることができる。
【0047】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記燃料電池ユニットは、前記発電原料を改質し、水素含有ガスを生成する改質器を備え、前記制御器は、前記改質器の温度および前記固体酸化物形燃料電池の温度が、発電原料が熱分解する温度未満となるように、前記燃料電池ユニットに酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料を間欠的に供給させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御してもよい。
【0048】
かかる構成では、発電原料供給器により発電原料を間欠的に供給するように制御器が制御することにより、可燃性ガスの火炎燃焼による改質器および固体酸化物形燃料電池の温度上昇を、発電原料が熱分解する温度未満となるように、抑制することができる。このため、発電原料を間欠的に供給しない構成と比較して、燃料電池ユニットの冷却時間を短縮できる。さらには、改質器および固体酸化物形燃料電池の過度の温度上昇による発電原料の炭化(炭素析出)を防止することができる。それゆえ、固体酸化物形燃料電池および改質器に充填された改質触媒に炭素析出し劣化してしまうことを防ぐことができ、該固体酸化物形燃料電池および該改質触媒の耐久性を向上させることができる。
【0049】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記制御器は、前記改質器の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度まで下がった時、前記燃料電池ユニットに前記酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料の供給を開始させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御してもよい。
【0050】
かかる構成では、改質器の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度まで下がった時、燃料電池ユニットに発電原料の供給を開始するように制御器は発電原料供給器を制御することができる。このため、固体酸化物形燃料電池システムは、改質器に充填された改質触媒において凝縮水が発生する前に発電原料を供給し、火炎燃焼させ改質器を加熱することができる。それゆえ、改質触媒における凝縮水の発生を防止することができる。
【0051】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記燃料電池ユニットは、前記発電原料供給器から供給される発電原料中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器を備えてもよい。
【0052】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記水添脱硫器は、前記燃焼部における火炎燃焼の排熱により加熱される構成であってもよい。
【0053】
かかる構成では、例えば水添脱硫器を所定温度まで加熱する必要がある場合、水添脱硫器の加熱を燃焼部における火炎燃焼の排熱を利用することができる。このため、固体酸化物形燃料電池システムにおけるエネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0054】
上記固体酸化物形燃料電池システムにおいて、前記制御器は、前記水添脱硫器の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度まで下がった時、前記燃料電池ユニットに前記酸化剤ガスを供給させつつ、前記燃料電池ユニットに前記発電原料の供給を開始させるように、前記酸化剤ガス供給器および前記発電原料供給器を制御してもよい。
【0055】
かかる構成では、水添脱硫器の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度まで下がった時、燃料電池ユニットに発電原料の供給を開始するように制御器は発電原料供給器を制御することができる。このため、固体酸化物形燃料電池システムは、水添脱硫器において凝縮水が発生する前に発電原料の供給し、火炎燃焼させ水添脱硫器を加熱することができる。それゆえ水添脱硫器における凝縮水の発生を防止することができる。
【0056】
上記固体酸化物形燃料電池システムの停止方法において、燃料電池ユニットの発電停止後に前記可燃性ガス流路への発電原料の供給を開始する時の前記固体酸化物形燃料電池の温度が100℃以上かつ400℃以下であってもよい。
【0057】
[装置構成]
図1は、第1実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。以下、
図1を参照しつつ、第1実施形態の固体酸化物形燃料電池システム1について説明する。
【0058】
図1に示す例において、固体酸化物形燃料電池システム1は、固体酸化物形燃料電池10と混合器24とを備える燃料電池ユニット12と、発電原料供給器14と、可燃性ガス流路18と、酸化剤ガス供給器22と、制御器50と、を備える。
【0059】
固体酸化物形燃料電池10は、アノードガス流路16とカソードガス流路20とを備える。固体酸化物形燃料電池10は、発電原料をそのまま用いて発電してもよいし、改質器等により改質されて得られる改質ガスを用いて発電してもよい。
【0060】
固体酸化物形燃料電池10は、例えば、アノードとカソードとを備え、アノードに供給される水素含有ガスと、カソードに供給される酸化剤ガスと、の間で発電反応を行いうる。水素含有ガスは、改質器(図示せず)から供給されてもよい。酸化剤ガスは、例えば、空気とすることができる。
【0061】
改質器は、原料を用いて水素含有ガスを生成してもよい。具体的には、改質器において、原料ガスが改質反応して、水素含有ガスが生成されてもよい。改質反応は、いずれの形態であってもよく、例えば、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応等が挙げられる。また、改質反応に用いる原料以外の反応ガスとしては、水蒸気、空気、および酸素などが挙げられる。
【0062】
改質器は、例えば、容器に改質触媒が充填される。改質触媒は、例えば、ニッケル、ルテニウム、白金、ならびにロジウムのうち少なくとも一つを含浸したアルミナ担体を用いることができる。なお、改質触媒は、本例に限定されるものではなく、改質触媒を最適な温度範囲に維持した場合に改質反応を進行させ得る触媒であれば、いかなる材料であっても構わない。
【0063】
図1には示されていないが、各改質反応において必要となる機器が適宜設けられてもよい。例えば、改質反応が水蒸気改質反応であれば、改質器を加熱する燃焼部と水蒸気を生成する蒸発器とが設けられてもよい。燃焼部の燃料は、いずれの燃料であってもよいが、例えば、改質器より排出される水素含有ガスが用いられてもよい。水蒸気を生成するための熱源は特に限定されない。該熱源としては、例えば、燃焼部、電熱ヒータ、改質器、及び燃料電池のいずれか、またはそれらの任意の組合せ等とすることができる。改質反応が部分酸化反応であれば、さらに、改質器に空気を供給する空気供給器(図示せず)が設けられてもよい。
【0064】
固体酸化物形燃料電池10は、例えば、アノードとカソードとの間で発電反応を行って発電する複数の燃料電池単セルを直列に接続したスタックを含むように構成される。固体酸化物形燃料電池10は、円筒型のセルを直列に接続したスタックを含んで構成されてもよい。スタックは、アノードオフガスとカソードオフガスとがそれぞれ混合されることなく排出される密閉型であってもよいし、アノードオフガスとカソードオフガスとが混合された後に排出される開放型であってもよい。開放型スタックの場合、アノードオフガスとカソードオフガスはスタック直後の混合器で混合されたのち燃焼されてもよい。
【0065】
燃料電池単セルには、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を電解質等に用いた公知の構成を採用しうる。燃料電池単セルの材料としては、イットリビウムやスカンジウムをドープしたジルコニア、あるいはランタンガレート系の固体電解質を用いることもできる。イットリア安定化ジルコニアを用いた燃料電池単セルでは、電解質の厚みにも依存するが、例えば、500℃〜900℃程度の温度範囲で発電反応が行われる。
【0066】
固体酸化物形燃料電池10の発電により得られた電力は、図示されない端子を介して外部負荷へと供給される。
【0067】
混合器24は、アノードガス流路16から排出されるアノードオフガスとカソードガス流路20から排出されるカソードオフガスとを混合する。混合器24は、例えば、円筒型のセルを直列に接続したスタックの外部空間のうち、ガス排出口の近傍とすることができる。あるいは例えば、混合器24は、円筒型のセルを直列に接続したスタックの外部空間のうち、スタック外部を通流するガスとスタック内部からガス排出口を通じて排出されるガスとが混合される部分とすることができる。混合器24は燃焼部であってもよい。あるいは、混合器24の下流側に燃焼部が設けられてもよい。燃焼部は、固体酸化物形燃料電池10において発電に未利用の水素含有ガスと酸化剤ガスとを火炎燃焼させるための領域である。燃焼部内には点火器が設けられており、この燃焼部内に導かれた水素含有ガスが点火器により着火され、酸化剤ガスとともに火炎燃焼する。そして、この火炎燃焼により、燃料電池ユニット12で必要な熱を発生させるとともに燃焼排ガスが生成される。生成された燃焼排ガスは、後述する排ガス流路を通じて系外に放出される。
【0068】
つまり、燃料電池ユニット12では、固体酸化物形燃料電池10の発電時には、燃焼部にて、アノード側から排出される水素含有ガスと、カソード側から排出される酸化剤ガスとを火炎燃焼させて大量の熱を発生させるとともに、高温の燃焼排ガスが生成される。火炎燃焼により発生する燃焼排ガスが有する排熱は、燃料電池ユニット12内部で、固体酸化物形燃料電池10を発電反応に適した温度に保持したり、改質器を改質反応に適した温度に加熱したりするために使われる。
【0069】
一方、燃焼排ガスは、排ガス流路を通じて系外に放出されるが、高温の燃焼排ガスが持つ熱エネルギーを有効に利用するために、例えば、排ガス流路の途中に熱交換器を設けて、カソードに送られる酸化剤ガスとの熱交換により、該酸化剤ガスを昇温することで、よりエネルギー利用率の高い運転が可能になる。
【0070】
発電原料供給器14は、燃料電池ユニット12に発電原料を供給する。発電原料供給器14は、例えば、昇圧器と流量調整弁により構成されるが、これらのいずれか一方により構成されてもよい。昇圧器は、例えば、定容積型ポンプが用いられるが、これに限定されるものではない。発電原料は、発電原料供給源より供給される。発電原料供給源は、所定の供給圧を有していてもよい。所定の供給圧を有する発電原料供給源は、例えば、原料ガスボンベ、原料ガスインフラ等が挙げられる。
【0071】
発電原料は、水素ガスであってもよいし、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含有する物質であってもよい。具体的には、水素ガス、天然ガス、都市ガス、LPG、LNG、プロパンガス、ブタンガス、メタンを主成分とするガス等の炭化水素、及びメタノール、エタノール等のアルコール、灯油が例示される。都市ガスとは、ガス会社から配管を通じて各家庭等に供給されるガスをいう。灯油及びアルコール等の液体の発電原料を用いる場合には、発電原料が改質器に供給される前に、発電原料が加熱されて気化されてもよい。
【0072】
可燃性ガス流路18は、発電原料供給器14からアノードガス流路16の下流端に至る流路である。
【0073】
酸化剤ガス供給器22は、カソードガス流路20に酸化剤ガスを供給する。酸化剤ガス供給器22は、例えば、シロッコファン等としうる。酸化剤ガスは、例えば、空気とすることができる。
【0074】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後に、発電原料供給器14を制御して可燃性ガス流路18の容積以上の体積の発電原料を可燃性ガス流路18に供給し、同時に、酸化剤ガス供給器22を制御してカソードガス流路20に酸化剤ガスを供給する。
【0075】
ここで、「同時に」とは、発電原料の補給と酸化剤ガスの供給の両方が発電停止後に行われていればよく、開始のタイミング及び/または終了のタイミングが一致している必要はないし、両者が重なっていなくてもよい。発電原料の補給と酸化剤ガスの供給とは、発電停止前から継続して行われていてもよい。発電原料の補給と酸化剤ガスの供給とが、少なくとも一部で重なっていてもよい。
【0076】
かかる制御により、燃料電池ユニット12の発電停止後に、可燃性ガス流路18が発電原料でパージされる。乾燥した発電原料が供給され、可燃性ガス流路18中に残留する露点の高いガスが追い出されることで、可燃性ガス流路18中の露点が低下する。可燃性ガス流路18内で凝縮水が発生する可能性が低減されることで、凝縮水によるアノード劣化の可能性を低減できる。
【0077】
燃料電池ユニット12の発電停止後に、発電原料を可燃性ガス流路18に供給すると、可燃性ガス流路18から混合器24へと発電原料が流出する可能性がある。発電原料が混合器24を通じてカソードガス流路20に含まれるカソードと接触すると、カソードの還元による劣化が生じる可能性がある。上記制御によれば、可燃性ガス流路18から混合器24へと発電原料が流出しても、カソードガス流路20には酸化剤ガスが供給されているため、発電原料がカソードに接触しにくくなる。よって、カソードの還元による劣化が生じる可能性を低減できる。
【0078】
制御器50は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部と、制御プログラムを記憶する記憶部とを備える。例えば、制御器50は、マイクロコントローラ、PLC(Programmable Logic Controller)等が例示される。また、演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリが例示される。制御器50は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0079】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後にカソードガス流路20に供給される酸化剤ガスの体積を、カソードガス流路20の容積以上となるように、酸化剤ガス供給器22を制御してもよい。
【0080】
かかる制御により、可燃性ガス流路18から混合器24へと発電原料が流出しても、カソードガス流路20には十分な量の酸化剤ガスが供給されるため、発電原料がカソードにより接触しにくくなる。よって、カソードの還元による劣化が生じる可能性をより効果的に低減できる。また、発電原料及びアノードオフガス等の可燃性ガスが固体酸化物形燃料電池システムの外部に排出される場合でも、該排出の前に可燃性ガスを酸化剤ガスで希釈することができる。
【0081】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後に可燃性ガス流路18への発電原料の供給を停止した後も、カソードガス流路20への酸化剤ガスの供給が継続されるように、酸化剤ガス供給器を制御してもよい。
【0082】
かかる制御により、可燃性ガス流路18から混合器24へと発電原料が流出しても、カソードガス流路20には酸化剤ガスが供給され続けるため、発電原料がカソードに接触することを防止することができる。よって、カソードの還元による劣化が生じる可能性をより効果的に低減できる。また、酸化剤ガスにより燃料電池ユニット12をより迅速に冷却できる。
【0083】
混合器24が、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させる点火器を備えると共に、制御器50が、燃料電池ユニット12の発電停止後に、アノードオフガスとカソードオフガスとの混合ガスを燃焼させるように該点火器を制御してもよい。
【0084】
かかる構成により、混合ガスが可燃性ガスである場合でも、該可燃性ガスは燃焼されて燃焼排ガスとして排出される。該可燃性ガスが固体酸化物形燃料電池システム1の外部にそのまま排出される可能性を低減することができる。
【0085】
この場合、混合器24の所定の領域内に点火器を設け、燃焼部が構成されうる。該燃焼部は、アノードオフガスとカソードオフガスとを混合して燃焼させる。該燃焼部は、燃焼熱及び燃焼排ガスの熱を用いて改質器を加熱可能に構成されてもよい。
【0086】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後において、固体酸化物形燃料電池10の温度が100℃以上かつ400℃以下である時に、可燃性ガス流路18への発電原料の供給を開始してもよい。温度範囲の下限は、例えば、凝縮水発生の可能性を低減するために設定されうる。温度範囲の上限は、例えば、炭素析出により脱硫器、改質器、及び燃料電池の触媒性能が低下する可能性及び可燃性ガス流路が閉塞する可能性を低減するために設定されうる。
【0087】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後において、固体酸化物形燃料電池10の温度が120℃以上かつ160℃以下である時に、可燃性ガス流路18への発電原料の供給を開始してもよい。
【0088】
炭素が析出する可能性を低減するためには、上記温度範囲の上限を300℃としてもよい。
【0089】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後において、固体酸化物形燃料電池10の温度が所定温度まで低下したら、可燃性ガス流路18への発電原料の供給を停止してもよい。該所定温度は、例えば、150℃としてもよいし、120℃としてもよいし、100℃としてもよい。
【0090】
固体酸化物形燃料電池10の温度は、例えば、可燃性ガス流路18を通流するガスの温度を検出することで、間接的に取得されてもよい。つまり、第1実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムでは、固体酸化物形燃料電池10と燃料電池ユニット12内における可燃性ガス流路18部分との温度とは同様の温度となる構成である。このため、燃料電池ユニット12の発電停止後において、固体酸化物形燃料電池10の温度が100℃以上かつ400℃以下である時には、燃料電池ユニット12内における可燃性ガス流路18を流通するガスの温度も100℃以上かつ400℃以下となる。このため、可燃性ガス流路18部分を通流するガスの温度を検出することで、間接的に固体酸化物形燃料電池10の温度を取得することができる。しかしながら、固体酸化物形燃料電池10と燃料電池ユニット12内における可燃性ガス流路18との温度とが同様の温度とならない構成である場合、制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後において、固体酸化物形燃料電池10の温度が100℃以上かつ400℃以下である時、ならびに燃料電池ユニット12における可燃性ガス流路18部分を流通するガス温度が100℃以上かつ400℃以下である時に、可燃性ガス流路18への発電原料の供給を開始してもよい。
【0091】
発電原料供給器14から固体酸化物形燃料電池10に至る可燃性ガス流路18に、発電原料中に含まれる硫黄化合物を除去する脱硫器が設けられてもよい。発電原料供給器14から固体酸化物形燃料電池10に至る可燃性ガス流路18に改質器が設けられる場合には、発電原料供給器14から改質器に至る可燃性ガス流路18に、発電原料中に含まれる硫黄化合物を除去する脱硫器が設けられてもよい。
【0092】
硫黄化合物は、付臭成分として人為的に原料へ添加されるものであってもよいし、原料自体に由来する天然の硫黄化合物であってもよい。具体的には、ターシャリブチルメルカプタン(TBM:tertiary-butylmercaptan)、ジメチルスルフィド(DMS:dimethyl sulfide)、テトラヒドロチオフェン(THT:Tetrahydrothiophene)、硫化カルボニル(COS:carbonyl sulfide)、硫化水素(hydrogen sulfide)等が例示される。
【0093】
脱硫器は、水添脱硫器であってもよいし、常温脱硫器であってもよい。
【0094】
水添脱硫器は、容器に水添脱硫剤が充填され構成される。水添脱硫剤は、例えば、硫黄化合物を硫化水素に変換する機能と硫化水素を吸着する機能を共に有するCuZn系触媒が用いられる。水添脱硫剤は、本例に限定されるものではなく、原料ガス中の硫黄化合物を硫化水素に変換するCoMo系触媒と、その下流に設けられる、硫化水素を吸着除去する硫黄吸着剤であるZnO系触媒、またはCuZn系触媒とで構成してもよい。
【0095】
水添脱硫剤に、触媒金属としてニッケル(Ni)を含む場合がある。この場合、水添脱硫器の暖機前の低温時(例えば、150℃未満)に、原料及びリサイクルガスを水添脱硫剤に供給すると、ニッケルカルボニルガスが生成する可能性がある。かかる可能性を低減するために、図示しない温度検知器等を用いて脱硫器内の水添脱硫剤の温度が検知され、脱硫器内の水添脱硫剤が所定の温度以上になっている場合にのみ発電原料が水添脱硫器に供給されてもよい。
【0096】
常温脱硫器は、原料中の硫黄化合物を常温で除去する。常温とは、水添脱硫器の使用温度(例えば、300℃前後)に比べ相対的に常温域に近いことから使用しており、常温域から使用脱硫剤が脱硫剤として有効に機能する温度までを含む意味である。
【0097】
水添脱硫剤が銅及び亜鉛を含む場合、水添脱硫器は例えば、約150℃〜350℃が適温の動作範囲となる。吸着脱硫剤の場合は、Agゼオライト系触媒等が用いられ、脱硫器は常温で用いられる。
【0098】
[停止方法]
図2は、第1実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図2を参照しつつ、第1実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法を説明する。
図2に示す停止方法は、例えば、制御器50が発電原料供給器14と酸化剤ガス供給器22とを制御することにより実行されうる。
【0099】
燃料電池ユニット12の発電が停止されると(スタート)、発電原料供給器14により、可燃性ガス流路18の容積以上の体積の発電原料が可燃性ガス流路18に供給される(ステップS1)。同時に、酸化剤ガス供給器22により、カソードガス流路20に酸化剤ガスが供給され(ステップS2)、停止動作が完了する(エンド)。
【0100】
発電原料の供給(ステップS1)と、酸化剤ガスの供給(ステップS2)の前後関係は特に限定されず、後者が前者より先に開始されてもよいし、両者が同時に開始されてもよい。
【0101】
[第1変形例]
図3は、第1変形例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図3を参照しつつ、第1変形例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法を説明する。
図3に示す停止方法は、例えば、制御器50が発電原料供給器14と酸化剤ガス供給器22とを制御することにより実行されうる。
【0102】
燃料電池ユニット12の発電が停止されると(スタート)、発電原料供給器14により、可燃性ガス流路18の容積以上の体積の発電原料が可燃性ガス流路18に供給される(ステップS1)。同時に、酸化剤ガス供給器22により、カソードガス流路20に酸化剤ガスが供給される(ステップS2)。
【0103】
その後、可燃性ガス流路18への発電原料の供給が停止されるが、カソードガス流路20への酸化剤ガスの供給は継続される(ステップS3)。その後、停止動作が完了する(エンド)。
【0104】
発電原料の供給(ステップS1)と、酸化剤ガスの供給(ステップS2)の前後関係は特に限定されず、後者が前者より先に開始されてもよいし、両者が同時に開始されてもよい。発電原料の供給が停止された後、どの程度、酸化剤ガスの供給が継続されるかは特に限定されない。
【0105】
[第2変形例]
図4は、第2変形例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図4を参照しつつ、第2変形例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法を説明する。
図4に示す停止方法は、例えば、制御器50が発電原料供給器14と酸化剤ガス供給器22とを制御することにより実行されうる。なお、本変形例は、上述した、混合器24の燃焼部において点火器を備える場合の例である。
【0106】
燃料電池ユニット12の発電が停止されると(スタート)、発電原料供給器14により、可燃性ガス流路18の容積以上の体積の発電原料が可燃性ガス流路18に供給される(ステップS1)。同時に、酸化剤ガス供給器22により、カソードガス流路20に酸化剤ガスが供給される(ステップS2)。
【0107】
その後、点火器により混合ガスが点火される(ステップS3)。その後、停止動作が完了する(エンド)。
【0108】
発電原料の供給(ステップS1)と、酸化剤ガスの供給(ステップS2)と、点火器による点火(ステップS3)との前後関係は特に限定されず、どのような順番で実行されてもよい。いずれか2つあるいは3つが同時に実行されてもよい。
【0109】
[第1実施例]
図5は、第1実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。以下、
図5を参照しつつ、第1実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システム100について説明する。
【0110】
図5に示す例において、固体酸化物形燃料電池システム100は、固体酸化物形燃料電池110と混合器124と改質器126とを備える燃料電池ユニット112と、発電原料供給器114と、脱硫器128と、可燃性ガス流路118と、酸化剤ガス供給器122と、改質水供給器130と、排気部132と、制御器150と、を備える。
【0111】
改質器126は、原料を用いて水素含有ガスを生成してもよい。具体的には、改質器126において、原料ガスが改質反応して、水素含有ガスが生成されてもよい。改質反応は、いずれの形態であってもよく、例えば、水蒸気改質反応、オートサーマル反応及び部分酸化反応等が挙げられる。
【0112】
改質水供給器130は、改質器126での改質反応に必要な水を供給する。水としては、例えば、イオン交換した市水等を用いることができる。
【0113】
図5には示されていないが、各改質反応において必要となる機器が適宜設けられてもよい。例えば、改質反応が水蒸気改質反応であれば、改質器126を加熱する燃焼部と水蒸気を生成する蒸発器とが設けられてもよい。燃焼部の燃料は、いずれの燃料であってもよいが、例えば、改質器126より排出される水素含有ガスが用いられてもよい。水蒸気を生成するための熱源は特に限定されない。該熱源としては、例えば、燃焼部、電熱ヒータ、改質器、及び燃料電池のいずれか、またはそれらの任意の組合せ等とすることができる。改質反応が部分酸化反応であれば、さらに、改質器126に空気を供給する空気供給器(図示せず)が設けられてもよい。
【0114】
脱硫器128は、原料中の硫黄化合物を常温で除去する常温脱硫器である。脱硫器128は、燃料電池ユニット112の外部に配置されうる。常温脱硫器については、第1実施形態で述べたものと同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0115】
排気部132は、混合器124から排出される排気ガスを排出する。
【0116】
以上に述べた点を除き、固体酸化物形燃料電池110と、混合器124と、燃料電池ユニット112と、発電原料供給器114と、脱硫器128と、可燃性ガス流路118と、酸化剤ガス供給器122と、制御器150とは、それぞれ、固体酸化物形燃料電池10と、混合器24と、燃料電池ユニット12と、発電原料供給器14と、脱硫器128と、可燃性ガス流路18と、酸化剤ガス供給器22と、制御器50と同様の構成とすることができる。よって、それらの構成要素については詳細な説明を省略する。
【0117】
図6は、第1実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法の一例を示すフローチャートである。以下、
図6を参照しつつ、第1実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法について説明する。
図6に示す停止方法は、例えば、制御器150が発電原料供給器114と酸化剤ガス供給器122とを制御することにより実行されうる。
【0118】
燃料電池ユニット112の発電停止が指令されると(スタート)、まず、燃料電池ユニット112の発電が停止され(ステップS101)、発電原料及び酸化剤ガスの供給は停止される。発電の停止とは、具体的には例えば、燃料電池ユニット112からの電力の取り出しが停止されることとしうる。発電原料を供給停止してから所定時間(例えば、数分)が経過した後に酸化剤ガスの供給を停止してもよい。
【0119】
その後、スタック温度(固体酸化物形燃料電池110の温度、以下同様)がT1を下回ったら(ステップS102でNo)、酸化剤ガス供給器22による、カソードガス流路20への酸化剤ガス供給が開始される(ステップS103)。T1は、例えば、300℃とすることができる。
【0120】
その後、スタック温度がT2を下回ったら(ステップS102でNo)、発電原料供給器14による、可燃性ガス流路18への発電原料供給が開始される(ステップS105)。なお、第1実施例の発電原料は、LNG等の原料ガスとしている。T2は、例えば、150℃とすることができる。
【0121】
その後、原料供給時間(ステップS105において原料ガス供給が開始された時刻からの経過時間)がt3となるまで、発電原料の供給は継続される。t3は、可燃性ガス流路18への発電原料の供給量(体積)が、可燃性ガス流路18の容積以上となるように、適宜設定される。発電原料が液体である場合には、発電原料の供給量は、発電原料が気化してガスになった際の体積とすることができる。原料供給時間がt3以上となると(ステップS106でYes)、発電原料の供給が停止される(ステップS107)。
【0122】
その後、スタック温度がT3を下回ったら(ステップS108)、酸化剤ガスの供給が停止され(ステップS109)、固体酸化物形燃料電池システム100の運転が停止され(ステップS110)、停止動作が終了する(エンド)。T3は、例えば、90℃とすることができる。
【0123】
なお、上述の例では、原料供給時間に基づいて、可燃性ガス流路18への発電原料の供給量(体積)が可燃性ガス流路18の容積以上となっているか否かの判定を行うこととしたが、他の方法で判定が行われてもよい。例えば、原料供給時間に加え、発電原料供給器114へと出力された操作量も考慮して、発電原料の供給量が求められてもよい。
【0124】
(第2実施形態)
第2実施形態の固体酸化物形燃料電池システムは、第1実施形態の固体酸化物形燃料電池システムにおいて、燃料電池ユニットが、発電原料供給器から供給される発電原料中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器を備えるものである。
【0125】
かかる構成では、凝縮水により脱硫触媒が劣化する可能性が低減される。よって、水添脱硫器を備える固体酸化物形燃料電池システムの耐久性を向上させることができる。
【0126】
[装置構成]
図7は、第2実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。以下、
図7を参照しつつ、第2実施形態の固体酸化物形燃料電池システム2について説明する。
【0127】
図7に示す例において、固体酸化物形燃料電池システム2は、水添脱硫器26を備える。
【0128】
水添脱硫器26は、発電原料供給器14から供給される発電原料中の硫黄化合物を除去する。
図7に示す例では、水添脱硫器26は、発電原料供給器14から固体酸化物形燃料電池10に至る可燃性ガス流路18に設けられている。
【0129】
固体酸化物形燃料電池10は、水添脱硫器26で脱硫された発電原料をそのまま用いて発電してもよいし、水添脱硫器26で脱硫された発電原料が改質器等により改質されて得られる改質ガスを用いて発電してもよい。
【0130】
水添脱硫器26は、容器に水添脱硫剤が充填され構成される。水添脱硫剤は、例えば、硫黄化合物を硫化水素に変換する機能と硫化水素を吸着する機能を共に有するCuZn系触媒が用いられる。水添脱硫剤は、本例に限定されるものではなく、原料ガス中の硫黄化合物を硫化水素に変換するCoMo系触媒と、その下流に設けられる、硫化水素を吸着除去する硫黄吸着剤であるZnO系触媒、またはCuZn系触媒とで構成してもよい。
【0131】
制御器50は、燃料電池ユニット12の発電停止後に、発電原料供給器14を制御して可燃性ガス流路18の容積以上の体積の発電原料を可燃性ガス流路18に供給し、同時に、酸化剤ガス供給器22を制御してカソードガス流路20に酸化剤ガスを供給する。発電停止後において、発電原料供給器14から供給される発電原料は、水添脱硫器26を経由して固体酸化物形燃料電池10へと流入する。
【0132】
かかる制御により、燃料電池ユニット12の発電停止後に、可燃性ガス流路18が発電原料でパージされる。乾燥した発電原料が供給され、可燃性ガス流路18中に残留する露点の高いガスが追い出されることで、可燃性ガス流路18中の露点が低下する。可燃性ガス流路18内で凝縮水が発生する可能性が低減されることで、凝縮水による水添脱硫器26が備える触媒の劣化が生じる可能性を低減できる。
【0133】
以上の点を除き、第2実施形態の固体酸化物形燃料電池システム2は、
図1に示した第1実施形態の固体酸化物形燃料電池システムと同様とすることができる。よって、
図7と
図1とで共通する構成要素については、同一の符号および名称を付して詳細な説明を省略する。
【0134】
[停止方法]
第2実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法は、第1実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0135】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の変形が可能である。
【0136】
[第2実施例]
図8は、第2実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。以下、
図8を参照しつつ、第2実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システム200について説明する。
【0137】
図8に示す例において、固体酸化物形燃料電池システム200は、第1弁134と、バイパス流路136と、第2弁137と、第1脱硫器138と、リサイクルガス流路140と、第3弁141と、第2脱硫器142と、点火器125と、を備えている。
【0138】
第1弁134は、発電原料供給器114から第1脱硫器138に至る可燃性ガス流路118に設けられて、可燃性ガス流路118を開閉する弁である。第1弁134は、制御器150により開閉制御されてもよい。
【0139】
バイパス流路136は、発電原料供給器114から第1弁134に至る可燃性ガス流路118から分岐して、第1脱硫器138を経由せずに第1脱硫器138の下流側に接続される流路である。
【0140】
第2弁137は、バイパス流路136に設けられて、バイパス流路136を開閉する弁である。第2弁137は、制御器150により開閉制御されてもよい。
【0141】
第1脱硫器138は、原料中の硫黄化合物を常温で除去する常温脱硫器である。第1脱硫器138は、燃料電池ユニット112の外部に配置されうる。常温脱硫器については、第1実施形態で述べたものと同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0142】
リサイクルガス流路140は、改質器126から固体酸化物形燃料電池110に至る可燃性ガス流路118から分岐して、バイパス流路136から第2脱硫器142に至る可燃性ガス流路118に接続される流路である。
【0143】
第3弁141は、リサイクルガス流路140に設けられて、リサイクルガス流路140を開閉する弁である。第3弁141は、制御器150により開閉制御されてもよい。
【0144】
第2脱硫器142は、水添脱硫器である。第2脱硫器142は、燃料電池ユニット112の外部に配置されうる。水添脱硫器については、第1実施形態及び第2実施形態で述べたものと同様の構成とすることができるので、詳細な説明を省略する。
【0145】
点火器125は、例えば、混合器124の内部に設けられ、混合器124においてアノードオフガスとカソードオフガスとが混合されて得られる混合ガスを燃焼させる。点火器125は、制御器150により点火制御されてもよい。
【0146】
以上に述べた点に加え、脱硫器128が省略されている点を除き、固体酸化物形燃料電池システム200は、第1実施例の固体酸化物形燃料電池システム100と同様の構成とすることができる。よって、
図5と
図8とで共通する構成要素については、同一の符号及び名称を付して、詳細な説明を省略する。
【0147】
図9は、第2実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法を示すフローチャートである。以下、
図9を参照しつつ、第2実施例にかかる固体酸化物形燃料電池システムの停止方法について説明する。
図9に示す停止方法は、例えば、制御器150が発電原料供給器114と酸化剤ガス供給器122とを制御することにより実行されうる。
【0148】
図9において、燃料電池ユニット112の発電が停止されてから(スタート)、発電原料供給器114による、可燃性ガス流路118への発電原料供給が開始される(ステップS205)までの動作は、
図6に示したスタートからステップS105までの動作と同様とすることができる。よって、ステップS201からS205までの動作については、詳細な説明を省略する。
【0149】
ステップS205で、可燃性ガス流路118への発電原料供給が開始されると、点火器125により混合ガスが点火される(ステップS206)。
【0150】
その後、原料供給時間(ステップS205において原料ガス供給が開始された時刻からの経過時間)がt3となるまで、発電原料の供給は継続される。t3は、可燃性ガス流路18への発電原料の供給量(体積)が、可燃性ガス流路18の容積以上となるように、適宜設定される。発電原料が液体である場合には、発電原料の供給量は、発電原料が気化してガスになった際の体積とすることができる。原料供給時間がt3以上となると(ステップS207でYes)、発電原料の供給が停止される(ステップS208)。
【0151】
ステップS208から停止動作終了(エンド)までの動作は、
図6に示したステップS107から停止動作終了(エンド)までの動作と同様とすることができる。よって、ステップS208からS211までの動作については、詳細な説明を省略する。
【0152】
(第3実施形態)
ところで、固体酸化物形燃料電池システムの運転を停止させる際に実行する運転停止工程において、高温で動作している固体酸化物形燃料電池および改質器などを所定温度まで冷却させるとともに、改質器内部、燃料電池内部、および水素含有ガスを流通させる流路内に残留している水素含有ガスのパージを行う必要がある。なぜならば、残留した水素含有ガスは水蒸気を含むため、冷却過程において温度が露点以下になると水が凝縮してしまう。そして、この凝縮水が改質器または脱硫器それぞれに充填された触媒の耐久性を著しく低下させてしまう原因となるからである。
【0153】
上記した特許文献2に係る燃料電池システムでは、運転停止工程において、シャットダウン停止後、温度下降制御を行って燃料電池モジュール内の温度が所定温度まで低下すると、供給を停止していた改質用空気および発電用空気を供給させる。この構成により、改質器、燃料ガス供給管、マニホールド等が設けられた燃料ガス通路、および各燃料電池セルユニットの内部のアノードを、空気によりパージすることができる。また、発電室内の空気極、排気通路、および空気用熱交換器などが設けられた排気ガス通路内も空気によりパージすることができる。
【0154】
ここで、本発明者らは「背景技術」にて記載した特許文献2に係る燃料電池システムに関して鋭意研究したところ、以下の知見を得た。
【0155】
まず改質器で実施する改質反応として、例えば水蒸気改質反応など改質用空気を利用しないものがある。このため、燃料電池システムは、必ずしも改質用空気を改質器に供給する構成となっているとは限らない。このように改質用空気を改質器に供給する必要のない燃料電池システムにおいて、特許文献2のようにカソード(空気極)に至る流路と、アノード(燃料極)に至る流路とを共に空気によりパージする構成とすると、アノードに至る流路に空気を流通させる機構を別途、設ける必要があり、システムの大型化を招いてしまう。
【0156】
そこで、本発明者らは、アノードに至る流路を空気の代わりに発電原料を用いてパージする構成を検討した。この構成の場合、パージのためにアノードに至る流路に空気を流通させる機構を別途、設ける必要なく、システムの大型化を招くことを防ぐことができる。しかしながら、このように発電原料を用いてパージする燃料電池システムの場合、運転停止工程においてパージに用いられた、可燃性の発電原料をそのまま燃料電池システムの系外に排気することとなり、安全性の面で問題があることに気付いた。
【0157】
以上の知見に基づいて、本発明者らは、系外に排気する前に、パージに用いた可燃性の発電原料を燃焼させることで、安全に運転停止させることができることを見出した。また、発電原料の燃焼により固体酸化物形燃料電池が過昇温することを防ぐため、固体酸化物形燃料電池の温度が適切な温度範囲となるように発電原料の燃焼を工夫させる必要性を見出した。具体的には、第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システムを以下に示すように構成する。
【0158】
[装置構成]
まず、
図10を参照して本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム3の構成について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム3の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0159】
図10に示すように、固体酸化物形燃料電池システム3は、固体酸化物形燃料電池310を含む燃料電池ユニット312と、発電原料供給器314と、酸化剤ガス供給器322と、可燃性ガス流路318と、酸化剤ガス流路319と、排ガス流路317と、制御器312とを備えている。また、燃料電池ユニット312は、固体酸化物形燃料電池310に加えて、改質器326と、混合器324を備えてなる構成である。混合器324内には、点火器325が設けられた燃焼部327が形成されている。
【0160】
すなわち、上記した固体酸化物形燃料電池システム1の構成において、混合器324内に点火器325を備えた燃焼部327がさらに設けられた構成となっている。そして、燃焼部327が改質器326と隣接して配置された構成となっている。
【0161】
ただし、固体酸化物形燃料電池システム1が備える発電原料供給器14、および酸化剤ガス供給器22、固体酸化物形燃料電池10と、固体酸化物形燃料電池システム3が備える発電原料供給器314、酸化剤ガス供給器322、および固体酸化物形燃料電池310とは共通するため、これらの部材についての説明については省略する。
【0162】
図10に示すように、固体酸化物形燃料電池システム3では、発電原料供給器314から改質器326を介して、固体酸化物形燃料電池310のアノードに至る流路であり、可燃性ガスが流通する可燃性ガス流路318が設けられている。可燃性ガス流路318は、
図10において、発電原料供給器314から、固体酸化物形燃料電池310の水素含有ガスが流れるアノードガス流路316の下流端に至るまでの区間に相当する。すなわち、可燃性ガス流路318は、発電原料を発電原料供給器314から改質器326に導くための流路と、改質器326で発電原料が改質され生成された水素含有ガスを、固体酸化物形燃料電池310に導くための流路と、アノードガス流路316とを足し合わせた流路である。
【0163】
また、固体酸化物形燃料電池システム3では、酸化剤ガス供給器322から、固体酸化物形燃料電池310のカソードに至る流路であり、酸化剤ガスが流通する酸化剤ガス流路319が設けられている。酸化剤ガス流路319は、
図10において、酸化剤ガス供給器322から、固体酸化物形燃料電池310の酸化剤ガスが流れるカソードガス流路320の下流端に至るまでの区間に相当する。
【0164】
燃焼部327は、固体酸化物形燃料電池310において発電に未利用の水素含有ガスと酸化剤ガスとを火炎燃焼させるための領域である。燃焼部327内には点火器325が設けられており、燃焼部327内に導かれた水素含有ガスが点火器325により着火され、酸化剤ガスとともに火炎燃焼する。そして、この火炎燃焼により、燃料電池ユニット312で必要な熱を発生させるとともに燃焼排ガスが生成される。生成された燃焼排ガスは、排ガス流路317を通じて系外に放出される。
【0165】
つまり、燃料電池ユニット312では、固体酸化物形燃料電池310の発電時には、燃焼部327にて、アノード側から排出される水素含有ガスと、カソード側から排出される酸化剤ガスとを火炎燃焼させて大量の熱を発生させるとともに、高温の燃焼排ガスが生成される。火炎燃焼により発生する燃焼排ガスが有する排熱は、燃料電池ユニット312内部で、固体酸化物形燃料電池310を発電反応に適した温度に保持したり、改質器326を改質反応に適した温度に加熱したりするために使われる。
【0166】
一方、燃焼排ガスは、排ガス流路317を通じて系外に放出されるが、高温の燃焼排ガスが持つ熱エネルギーを有効に利用するために、例えば、排ガス流路317の途中に熱交換器を設けて、カソードに送られる酸化剤ガスとの熱交換により、該酸化剤ガスを昇温することで、よりエネルギー利用率の高い運転が可能になる。
【0167】
なお、詳細は後述するが、固体酸化物形燃料電池システム3では、運転停止工程においてに発電原料を用いて可燃性ガス流路318をパージし、酸化剤ガスを用いて酸化剤ガス流路319をそれぞれパージする構成となっている。このため、パージが行われている場合、燃焼部327には固体酸化物形燃料電池310のアノード側から発電原料および該発電原料に押し出された、可燃性ガス流路318中に残留した水素含有ガスが導かれる。なお、本明細書では発電原料および残留した水素含有ガスを合わせて可燃性ガスと称する。一方、固体酸化物形燃料電池310のカソード側からは酸化剤ガスが導かれる。そして、燃焼部327において、点火器325は可燃性ガスに着火させ、酸化剤ガスとともに火炎燃焼させることとなる。
【0168】
改質器326は、発電原料と発電原料以外の反応ガスとを用いて、改質反応により水素含有ガスを生成する。改質器326で実施する改質反応としては、水蒸気改質反応、オートサーマル反応、および部分酸化反応などが例示される。改質器については、第1実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システム1の「装置構成」にて説明したため詳細な説明はここでは省略する。
【0169】
制御器350は、固体酸化物形燃料電池システム3の各部の各種動作を制御するものである。具体的には、制御器350は、固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程においてパージを実行する場合、固体酸化物形燃料電池310の温度や改質器326の温度などに応じて、発電原料供給器314および酸化剤ガス供給器322を制御し、燃料電池ユニット312に供給する発電原料の供給量を調整したり、酸化剤ガスの供給量を調整したりする。
【0170】
かかる制御を実現する構成として、例えば、制御器350が計時器(図示せず)を備え、所定時間の経過により発電原料および酸化剤ガスの供給量をそれぞれ制御する構成としてもよい。あるいは、例えば、固体酸化物形燃料電池システム3が流量検出器(図示せず)を備え、累積流量により発電原料および酸化剤ガスの供給量をそれぞれ制御する構成としてもよい。流量検出器は、発電原料供給器314と一体に、ならびに酸化剤ガス供給器322と一体にそれぞれ構成されていてもよい。
【0171】
また、固体酸化物形燃料電池システム3は、改質器326の温度を検知するために、温度検知器が設けられてもよい。また、固体酸化物形燃料電池310の温度を検知するために、温度検知器が設けられてもよい。
【0172】
なお、発電量と固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程の開始からの経過時間との関係から、ならびに固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程の開始からの経過時間との関係から改質器326および固体酸化物形燃料電池310の温度が把握できる場合は、必ずしも上記した温度検知器を設けなくてもよい。
【0173】
(第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システムの運転停止工程)
次に、第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程の具体例について、
図11および
図12を参照して説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程の一例を示すフローチャートである。フローチャートに示す動作は、例えば、不図示の記憶部に記憶されたプログラムを制御器350が読み出し、実行することにより実現されうる。
【0174】
図12は、
図11に示すフローチャートに従って固体酸化物形燃料電池システム3が動作した場合における各部の時系列変化の一例を示す図である。
図12では、改質器326、および固体酸化物形燃料電池310の温度変化、酸化剤ガスおよび発電原料の流量変化、燃焼部327における着火/消火の状態変化を時系列に対応づけて示している。また、発電原料流量の流量変化を示すグラフにおいて、t=0で発電原料を利用した可燃性ガス流路318のパージが開始され、t=t
Eで発電原料を利用した可燃性ガス流路318のパージが終了することを示す。また、単位時間あたりに供給される発電原料流量は説明の便宜上、一定流量(Q
F)とする。
【0175】
まず、固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程が開始されると、固体酸化物形燃料電池310では発電を停止させる。このとき、制御器350は発電原料の、燃料電池ユニット312への供給を停止するように、発電原料供給器314を制御するとともに、酸化剤ガスの、燃料電池ユニット312への供給を停止するように、酸化剤ガス供給器322を制御する。このようにして固体酸化物形燃料電池310の発電が停止させられると、
図12に示すように固体酸化物形燃料電池310の温度はT
smax付近から低下する。
【0176】
制御器350は、例えば、固体酸化物形燃料電池310の温度を検知するために設けられた不図示の第1温度検知器から、その検知結果として固体酸化物形燃料電池310の温度情報を受け付ける。そして、制御器350は、固体酸化物形燃料電池310の温度とあらかじめ設定された所定温度T
s1との大小関係を判定する(ステップS310)。
【0177】
なお、固体酸化物形燃料電池310において水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮しない温度でかつ、パージ完了後に運転停止工程の終了と確認できる温度まで速やかに低下できる温度として所定温度T
s1が設定されている。この所定温度T
s1は、例えば150℃ぐらいの温度とすることができる。
【0178】
そして、制御器350は、固体酸化物形燃料電池310の温度がT
s1以下となったと判定した場合(ステップS310において「YES」)、酸化剤ガス供給器322を制御して酸化剤ガス流路319に酸化剤ガスを供給させるとともに、発電原料供給器314を制御して可燃性ガス流路318に発電原料を供給させる(ステップS311)。
【0179】
酸化剤ガス流路319に供給された酸化剤ガスは、この酸化剤ガス流路319を介して固体酸化物形燃料電池310に送られ、カソードガス流路320を含む酸化剤ガス流路319をパージするとともに、固体酸化物形燃料電池310を冷却する。そして、酸化剤ガス流路319をパージした酸化剤ガスは燃焼部327に導かれる。
【0180】
一方、可燃性ガス流路318に供給された発電原料は、この可燃性ガス流路318および改質器326を介して、固体酸化物形燃料電池310に送られ、アノードガス流路316を含む可燃性ガス流路318および改質器326をパージする。そして、可燃性ガスとして、可燃性ガス流路318および改質器326に残留していた水素含有ガスおよび発電原料が燃焼部327に導かれる。このように、固体酸化物形燃料電池システム3では、発電停止後に固体酸化物形燃料電池310の温度がT
s1以下となることをトリガとして、パージが開始される。
【0181】
次に、制御器350は、燃焼部327に設けられた点火器325を動作させて、固体酸化物形燃料電池310のアノード側から排出された可燃性ガスに着火させ(ステップS312)、カソード側から排出される酸化剤ガスとともに火炎燃焼させる。この火炎燃焼による熱により固体酸化物形燃料電池310は、加熱され、T
s1近傍まで低下した温度が、
図12に示すように徐々に上がっていく。
【0182】
このように発電原料を用いたパージにより固体酸化物形燃料電池310のアノード側から燃焼部327に排出された可燃性ガスを、カソード側から燃焼部327に排出された酸化剤ガスとともに火炎燃焼させる。これにより、可燃性ガスがそのまま、排ガス流路317を通して燃料電池ユニット312の外部大気中に放出されることを防ぐことができ、固体酸化物形燃料電池システム3の安全性を確保することができる。
【0183】
次に、制御器350は、不図示の計時器で計測した燃焼部327におけるトータルの着火時間、換言すると発電原料によるトータルのパージ時間(累計パージ時間)と、あらかじめ設定された所定の必要パージ時間t
allとの大小関係を判定する(ステップS313)。なお、必要パージ時間t
allは、発電原料供給器314から改質器326を経て固体酸化物形燃料電池310のアノードに至る可燃性ガス流路318全体を発電原料で満たすために必要な時間とすることができる。ここで可燃性ガス流路318全体を満たす発電原料の体積は、可燃性ガス流路318の容積以上とする。また、累計パージ時間は、
図12に示すように発電原料が供給されている時間(発電原料パージ時間t
on)を足し合わせた時間(Σt
on)となる。
【0184】
つまり、固体酸化物形燃料電池システム3では、継続して発電原料を供給し、所定時間の間、パージを実行する構成ではなく、発電原料の供給を間欠的に行い、この供給した発電原料により可燃性ガス流路318のパージを行う構成となっている。これは、発電原料の供給を間欠的とすることで、可燃性ガスの燃焼に伴い生じた熱により固体酸化物形燃料電池310が過昇温となることを防ぐためである。このため、累計パージ時間とは複数回にわたって供給された発電原料によるパージ時間それぞれの合計となる。
【0185】
ステップS313の判定の結果、発電原料の累計パージ時間が必要パージ時間t
allであると制御器350が判定したとき(ステップS313において「YES」)、可燃性ガス流路318全体の発電原料パージが完了したと判断する。そこで、ステップS313において「YES」の場合、制御器350は、可燃性ガス流路318への発電原料の供給を停止するように発電原料供給器314を制御するとともに、酸化剤ガスの供給を停止するように酸化剤ガス供給器322を制御する(ステップS314)。そして、固体酸化物形燃料電池システム3におけるパージが完了し、運転停止工程を終了する。
【0186】
一方、ステップS313の判定の結果、制御器350が発電原料の累計パージ時間が必要パージ時間t
all未満であると判定した場合は、ステップS315に移る。ステップS315では、制御器350は、発電原料パージ時間t
on、または改質器326の温度(改質器温度)について比較判定を行う。なお、発電原料パージ時間t
onとは、1回の発電原料の供給において、該発電原料が供給されている時間である。
【0187】
つまり、制御器350は、不図示の計時器で計測された時間に基づき、発電原料パージ時間t
onとあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onとの大小関係を判定する。また、制御器350は、改質器326に設けられた第2温度検知器から、該第2温度検知器で検知された改質器326の温度(改質器温度)に関する情報を受け付け、この改質器温度とあらかじめ設定された改質器温度の上限温度T
Rmaxとの大小関係を判定する。
【0188】
そして、制御器350が、発電原料パージ時間t
onがあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-on以上となると判定した場合、あるいは、改質器温度が上限温度T
Rmax以上となると判定した場合(ステップS315において「YES」)、発電原料の供給を停止する(ステップS316)。
【0189】
ここで、発電原料パージ時間t
onとあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onとの大小関係を判定するのは、発電原料パージ時間t
onがあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-on以上となり、発電原料のパージで燃焼部327に導かれた可燃性ガスの燃焼時間が長くなり固体酸化物形燃料電池310および改質器326が過昇温となり、発電原料が炭化して炭素が固体酸化物形燃料電池310および改質器326の改質触媒に析出してしまうことを防ぐためである。そこで、この固体酸化物形燃料電池310および改質器326の過昇温を防止するために、発電原料パージ時間t
onを監視し、あらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onに達した場合、制御器350は、発電原料の供給を停止するように発電原料供給器314を制御する(ステップS316)。そして、制御器350は発電原料の供給を停止させることで燃焼部327における火炎燃焼を消火させ、固体酸化物形燃料電池310および改質器326の過度な温度上昇を防ぐ。したがって、あらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onは、発電原料の供給により固体酸化物形燃料電池310および改質器326において発電原料が炭化することのない温度範囲、すなわち発電原料が熱分解する温度未満となる期間内で適宜設定される。
【0190】
また、改質器温度と上限温度T
Rmaxとを比較するのは、発電原料を利用したパージで燃焼部327に導かれた可燃性ガスの燃焼熱により加熱され、改質器温度が過度に上昇するのを防止するためである。つまり、改質器326の改質触媒内を発電原料が流通しており、燃焼部327における燃焼熱で改質触媒内の温度が上昇し、発電原料が熱分解する温度以上になると、発電原料が炭化して炭素が改質触媒に析出してしまう。そこで、この炭素析出を防止するために、改質器温度を直接監視し、上限温度T
Rmaxに達した場合、制御器350は、発電原料の供給を停止するように発電原料供給器314を制御する(ステップS316)。そして、制御器350は発電原料の供給を停止させることで燃焼部327における火炎燃焼を消火させ、改質器326の過度な温度上昇を防ぐ。
【0191】
なお、ステップS315では、制御器350が、発電原料パージ時間t
onがあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-on以上となると判定した場合、あるいは、改質器温度が上限温度T
Rmax以上となると判定した場合に、発電原料の供給停止を指示する構成であったがこれに限定されない。例えば、制御器350が、発電原料パージ時間t
onがあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-on以上となると判定し、かつ、改質器温度が上限温度T
Rmax以上となると判定した場合に発電原料の供給を停止する構成としてもよい。
【0192】
つまり、酸化剤ガスと発電原料とを供給させてパージを行っている際に、制御器350は、発電原料供給器314を制御して以下の構成を実現するものであればよい。すなわち、制御器350は、改質器326および固体酸化物形燃料電池310の温度が、発電原料が熱分解する温度未満となる範囲で燃料電池ユニット312へ発電原料を供給したり、発電原料の供給を停止させたりして、発電原料を燃料電池ユニット312に間欠的に供給させる構成であってもよい。より具体的には、制御器350は、発電原料が熱分解する温度未満となるよう改質器326の温度が上限温度T
Rmaxまで上がった時に燃料電池ユニット312への発電原料の供給を停止させることで、発電原料を燃料電池ユニット312に間欠的に供給させる構成であってもよい。あるいは、制御器350は、固体酸化物形燃料電池310の温度が、発電原料が熱分解する温度未満となるように、発電原料パージ時間t
onがあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onに達した時に燃料電池ユニット312への発電原料の供給を停止させることで、発電原料を燃料電池ユニット312に間欠的に供給させる構成であってもよい。
【0193】
ステップS316で発電原料供給を停止させた後、制御器350は、発電原料の供給停止時間t
offまたは改質器温度についてそれぞれ比較判定を行う(ステップS317)。つまり、制御器350は、不図示の計時器で計測された時間に基づき、発電原料の供給停止時間t
offとあらかじめ設定された供給停止時間(設定供給停止時間t
pre-off)との大小関係を判定する。あるいは、制御器350は、改質器326に設けられた第2温度検知器から改質器温度に関する情報を受け付け、この改質器温度とあらかじめ設定された改質器温度の下限温度T
Rminとの大小関係を判定する。
【0194】
そして、制御器350が、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上となると判定した場合、あるいは、改質器温度が下限温度T
Rmin以下となると判定した場合、発電原料の供給を再開する(ステップS318)。
【0195】
ここで、発電原料の供給停止時間t
offと設定供給停止時間t
pre-offとの大小関係を判定するのは、下記の理由からである。すなわち、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上となると、燃料電池ユニット312内にある改質器326の温度が過度に低下する。そして、この温度低下により改質器326において水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮してしまうことを防ぐためである。そこで、改質器326において凝縮水が発生することを防止するために、発電原料の供給停止時間t
offを監視し、設定供給停止時間t
pre-offに達した場合、制御器350は、発電原料の供給を再開するように発電原料供給器314を制御する(ステップS318)。そして、制御器350は発電原料の供給を再開させることで燃焼部327において発電原料を含む可燃性ガスを火炎燃焼させ、改質器326の過度な温度低下を防ぐ。したがって、設定供給停止時間t
pre-offは、発電原料の供給停止後の改質器326で凝縮水が発生することのない温度範囲となる期間において適宜設定される。
【0196】
また、発電原料を供給停止している時に改質器温度と下限温度T
Rminとを比較するのは、下記の理由からである。すなわち、改質器326の温度低下とともに、可燃性ガス流路318に残留した水素含有ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、発生した凝縮水により改質器326の改質触媒の耐久性を著しく低下させてしまうのを防ぐためである。すなわち、改質器326の温度低下が水蒸気を含む水素含有ガスの温度が露点以下にならないように改質器326の温度を直接監視するためである。
【0197】
なお、ステップS318では、制御器350が、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上となると判定した場合、あるいは、改質器温度が下限温度T
Rmin以下となると判定した場合に発電原料の供給を再開する構成であった。しかしながら、この構成に限定されるものではない。例えば、制御器350が、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上となると判定し、かつ、改質器温度が下限温度T
Rmin以下となると判定した場合に発電原料の供給を再開する構成としてもよい。
【0198】
つまり、酸化剤ガスと発電原料とを供給させてパージを行っている際に、制御器350は、発電原料供給器314を制御して以下の構成を実現するものであればよい。すなわち、制御器350は、改質器326の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度T
Rminまで下がった時、燃料電池ユニット312に発電原料の供給を開始させる構成であってもよい。あるいは、制御器350は、固体酸化物形燃料電池310の温度が、発電原料が熱分解する温度未満、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度T
Smin以上となる温度範囲において、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-offに達した時に、燃料電池ユニット312への発電原料の供給を再開する構成としてもよい。
【0199】
そこで、改質触媒において凝縮水の発生を防止させるため、改質器温度を監視し、下限温度T
Rminに達した場合、制御器350は、発電原料の供給を再開するように発電原料供給器314を制御する。または、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上となると判定した場合、制御器350は、発電原料の供給を再開するように発電原料供給器314を制御する(ステップS318)。
【0200】
ステップS318の後、ステップS312に戻り、ステップS312以降のステップを上記したように繰り返す。すなわち、固体酸化物形燃料電池システム3では、可燃性ガス流路318全体に対しての発電原料によるパージが完了するまで、発電原料の供給と停止とを繰り返す。また発電原料をこのように間欠的に供給させることで、
図12に示すように固体酸化物形燃料電池310は温度上昇と温度低下を繰り返しながら全体として徐々に冷却される。
【0201】
以上のように、第3実施形態の固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程において、上述のフローチャートを実行することにより、可燃性ガス流路318の発電原料パージにより排出される可燃性ガスを燃焼部327で火炎燃焼させることができる。このため、可燃性ガスを固体酸化物形燃料電池システム3の系外に排気することなく安全に停止させることが可能となる。
【0202】
さらに、発電原料を間欠的に供給するように制御することにより、燃焼部327で可燃性ガスを火炎燃焼させた燃焼熱による固体酸化物形燃料電池310および改質器326などの温度上昇が抑制される。このため、燃料電池ユニット312の冷却時間を短縮できるとともに、改質器326の過度の温度上昇による発電原料の炭化(炭素析出)を防止でき、改質触媒の劣化を防ぎ耐久性を向上させることができる。
【0203】
さらにまた、発電原料を間欠的に供給するように制御することにより、改質器326の過度の温度低下により改質触媒で凝縮水が発生することを防止でき、改質触媒の耐久性の低下を抑制することができる。
【0204】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態にかかる固体酸化物形燃料電池システム4について説明する。固体酸化物形燃料電池システム4は、第3実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム3の構成において、発電原料中の硫黄化合物を除去する水添脱硫器442および水添脱硫器442を加熱させる加熱器413をさらに備えた構成となっている。
【0205】
上記構成によると、水添脱硫器442を備えているため発電原料に含まれる硫黄化合物を除去することができる。また、固体酸化物形燃料電池システム4は加熱器413を備えている。このため、燃焼部427において火炎燃焼により生成した燃焼排ガスを加熱器413に導き、燃焼排ガスの有する熱により加熱器413が水添脱硫器442を加熱することができる。このように、燃焼部427で生じる排熱を利用して水添脱硫器442を加熱することができるため、エネルギーの利用効率を高めることができる。
【0206】
また、固体酸化物形燃料電池システム4では、制御器450は、水添脱硫器442の温度が、発電原料が熱分解する温度未満であり、且つ、水分が蒸気として存在する温度の下限温度T
Dmin以下まで低下した時、燃料電池ユニットに酸化剤ガスを供給しつつ、燃料電池ユニット412に発電原料を間欠的に供給するように、酸化剤ガス供給器422と発電原料供給器414とを制御する。
【0207】
このため、固体酸化物形燃料電池システム4は、燃焼排ガスの排熱量を調整し、脱硫触媒の温度を適切に制御することが可能となり、水添脱硫器442における過度の温度低下による水素含有ガス中の水分の凝縮、ならびに、過度の温度上昇による炭素析出を防止できる。このため、固体酸化物形燃料電池システム4は、脱硫触媒の劣化を防ぎ耐久性を向上させることができる。
【0208】
固体酸化物形燃料電池システム4において備える脱硫器は、水素を供給して硫黄化合物を除去する水添脱硫器442を例示したがこれに限定されるものではなく、例えば吸着型の脱硫器でであってもよい。
【0209】
(第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システムの構成)
上記した本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4のより具体的な構成について
図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0210】
図13に示すように、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4は、燃料電池ユニット412と、水添脱硫器442と、加熱器413と、発電原料供給器414と、酸化剤ガス供給器422と、可燃性ガス流路418と、酸化剤ガス流路419と、排ガス流路417と、リサイクル流路415と、制御器450とを備えてなる構成である。燃料電池ユニット412は、固体酸化物形燃料電池410と、改質器426と、混合器424と、を備える。混合器424内には、点火器425が設けられた燃焼部427が形成されている。
【0211】
すなわち、水添脱硫器442と、加熱器413と、リサイクル流路415とをさらに備える点を除き、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4は、第3実施形態の固体酸化物形燃料電池システム3と同様の構成とすることができる。したがって、実施形態3に係る固体酸化物形燃料電池システム3が備える発電原料供給器314、酸化剤ガス供給器322、固体酸化物形燃料電池310、改質器326、混合器324(点火器325、燃焼部327)は、実施形態4に係る固体酸化物形燃料電池システム4が備える発電原料供給器414、酸化剤ガス供給器422、固体酸化物形燃料電池410、改質器426、混合器424(点火器325、燃焼部327)と共通するため、これらの部材についての説明については省略する。
【0212】
水添脱硫器442は、発電原料に含まれる硫黄成分を除去するためのものである。固体酸化物形燃料電池システム4では、水添脱硫器442は、
図13に示すように、燃料電池ユニット412の上面側における略中央部分に加熱器413と隣接して配置されている。また、この水添脱硫器442に充填する脱硫剤としては、例えば、上記した実施形態1にかかる固体酸化物形燃料電池システム1の「装置構成」で説明したように、銅および亜鉛を含む脱硫剤が挙げられる。
【0213】
なお、固体酸化物形燃料電池システム4では、水添脱硫に必要な水素は、改質器426で改質された水素含有ガスの一部を利用するように構成されている。固体酸化物形燃料電池システム4では、改質器426よりも後、つまり改質器426よりも下流側の可燃性ガス流路418部分で分岐して設けられたリサイクル流路415を通じて水素含有ガスを還流させることによって、水添脱硫器442に供給することができるように構成されている。水添脱硫器442によって脱硫された発電原料は、可燃性ガス流路418を通じて改質器426へと供給される。
【0214】
加熱器413は、排ガス流路417から導入される燃焼排ガスの熱で、水添脱硫器442を脱硫に適した温度に加熱するためのものであり、その内部には、燃焼排ガスが流通するための経路が形成されている。加熱器413で水添脱硫器442に熱を与えた燃焼排ガスは、排ガス流路417を通して固体酸化物形燃料電池システム4の外部に排気される。
【0215】
また、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4が備える制御器450は、運転停止工程においてパージを実行する場合、以下のように動作する。すなわち、制御器450は、固体酸化物形燃料電池410の温度や改質器426の温度および水添脱硫器442の温度に応じて、発電原料供給器414および酸化剤ガス供給器422を制御し、燃料電池ユニット412に供給する発電原料の供給量を調整したり、酸化剤ガスの供給量を調整したりする。以下において、運転停止工程におけるパージの実行について具体的に説明する。
【0216】
(第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システムの運転停止工程)
第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4の運転停止工程の具体例について、
図14および
図15を参照して説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4の運転停止工程の一例を示すフローチャートである。フローチャートに示す動作は、例えば、不図示の記憶部に記憶されたプログラムを制御器450が読み出し、実行することにより実現されうる。
【0217】
図15は、
図14に示すフローチャートに従って固体酸化物形燃料電池システム4が動作した場合における各部の時系列変化の一例を示す図である。
図15では、水添脱硫器442、改質器426、および固体酸化物形燃料電池410の温度変化、酸化剤ガスおよび発電原料の流量変化、燃焼部427における着火/消火の状態変化を時系列に対応づけて示している。また、発電原料流量の流量変化を示すグラフにおいて、t=0で発電原料を利用した可燃性ガス流路418のパージが開始され、t=t
Eで発電原料を利用した可燃性ガス流路418のパージが終了することを示す。また、単位時間あたりに供給される発電原料流量は説明の便宜上、一定流量(Q
F)とする。
【0218】
なお、
図14に示すフローチャートにおいて、ステップS410からステップS414までの処理については、上述した
図11に示すフローチャートのステップS310からステップS314と同様の処理となるため説明は省略する。
【0219】
ステップS413の判定の結果、制御器450が発電原料の累計パージ時間が必要パージ時間t
all未満であると判定した場合(ステップS413において「NO」)は、ステップS415に移る。ステップS415では、制御器450は、発電原料パージ時間t
on、改質器温度、または水添脱硫器温度について比較判定を行う。
【0220】
つまり、制御器450は、不図示の計時器で計測された時間に基づき、発電原料パージ時間t
onとあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onとの大小関係を判定する。あるいは、制御器450は、改質器426に設けられた第2温度検知器から、該第2温度検知器で検知された改質器温度に関する情報を受け付け、この受け付けた改質器温度とあらかじめ設定された改質器温度の上限温度T
Rmaxとの大小関係を判定する。また、実施形態4に係る固体酸化物形燃料電池システム4では、水添脱硫器442に、該水添脱硫器442の温度を検知するための第3温度検知器が設けられている。そして、制御器450は、水添脱硫器442に設けられた第3温度検知器から、該第3温度検知器で検知された水添脱硫器442の温度(水添脱硫器温度)に関する情報を受け付け、この受け付けた水添脱硫器温度と予め設定された水添脱硫器温度の上限温度T
Dmaxとの大小関係を判定する。すなわち、ステップS415では、実施形態3に係る固体酸化物形燃料電池システム3の運転停止工程におけるステップS315において、さらに水添脱硫器温度と水添脱硫器温度の上限温度T
Dmaxとの大小関係を判定する処理を追加して行ってもよい構成となっている。
【0221】
なお、発電原料パージ時間t
onとあらかじめ設定されたパージ時間t
pre-onとの大小関係を判定する点、または改質器温度と上限温度T
Rmaxとを比較する点については実施形態3に係る固体酸化物形燃料電池システム3において説明したため、ここでの説明は省略する。
【0222】
また、水添脱硫器温度と水添脱硫器温度の上限温度T
Dmaxとを比較する点については、以下の理由による。すなわち、発電原料を用いたパージ時には、燃焼部327における火炎燃焼で生じた燃焼排ガスが加熱器413に導かれ、この燃焼排ガスの有する熱を利用して加熱器413が水添脱硫器442を加熱するように構成されている。ここで、加熱器413により加熱された水添脱硫器442の温度が過度に上昇すると、水添脱硫器442中を流通する発電原料が炭化して炭素が析出してしまう。そこで、制御器450は、水添脱硫器442の温度が水添脱硫器温度の上限温度T
Dmaxに達するか監視し、水添脱硫器温度の上限温度T
Dmaxに達すると判定した場合、発電原料供給器414に発電原料の供給を停止するように指示する。この制御器450からの制御指示に応じて、発電原料供給器414は、発電原料の供給を停止させる(ステップS416)。
【0223】
ステップS416で発電原料の供給を停止した後、続くステップS417で、制御器450は、発電原料供給停止時間の比較判定を行う。つまり、制御器450は、不図示の計時器の時間に基づき、発電原料の供給を停止させている時間(供給停止時間t
off)とあらかじめ設定された供給停止時間(設定供給停止時間t
pre-off)との大小関係を判定する。この判定の結果、制御器450は、供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-off以上であると判定した場合(ステップS417において「YES」)、発電原料の供給を再開するように発電原料供給器414に指示する。この制御器450からの制御指示に応じて、発電原料供給器414は、発電原料の供給を再開させる(ステップS419)。
【0224】
一方、発電原料の供給停止時間t
offが設定供給停止時間t
pre-offに満たない場合(ステップS417において「NO」の場合)は、ステップS418に進む。そして、ステップS418において制御器450は、改質器426に設けられた第2温度検知器から、改質器温度に関する情報を受け付け、この受け付けた改質器温度とあらかじめ設定された改質器温度の下限温度T
Rminとの大小関係を判定する。あるいは、制御器450は、水添脱硫器442に設けられた第3温度検知器から、水添脱硫器温度に関する情報を受け付け、この受け付けた水添脱硫器温度と予め設定された水添脱硫器温度の下限温度T
Dminとの大小関係を判定する。
【0225】
ここで、改質器温度と改質器温度の下限温度T
Rminとの大小関係を判定する、あるいは水添脱硫器温度と水添脱硫器温度の下限温度T
Dminとの大小関係を判定するのは以下の理由からである。すなわち、発電原料の供給を停止に伴い、燃焼部427において火炎燃焼が停止されるため、水添脱硫器442および改質器426の温度が低下する。水添脱硫器442および改質器426の温度が過度に低下すると、可燃性ガス流路418に残留した水蒸気を含む水素含有ガスの温度が露点以下になって水が凝縮し、水添脱硫器442および改質器426の触媒の耐久性を著しく低下させてしまう。そこで、この凝縮水により水添脱硫器442および改質器426の触媒の耐久性低下を招かないようにするため、改質器温度または水添脱硫器温度それぞれが水蒸気を凝縮させない下限温度T
Rminまたは下限温度T
Dminを下回らないように監視する。実際には、水添脱硫器442および改質器426、ならびにこれらを接続する流路も含めて水蒸気を凝縮させない温度とする必要があるが、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システムでは、水添脱硫器442から改質器426までの区間における温度は、ほぼ一定となるため、水添脱硫器442または改質器426の温度を監視する構成となっている。もし、システムの構成上、水添脱硫器442と改質器426との温度がほぼ一定とならないようか場合では、水添脱硫器442および改質器426、ならびにこれらの間を接続する流路それぞれに温度検知器を設け、各温度検知器により検知された温度が水蒸気を凝縮させない下限温度を下回らないように監視するように構成されていてもよい。
【0226】
改質器426の温度が下限温度T
Rminにまで低下したと判定した場合、または水添脱硫器442の温度が下限温度T
Dminにまで低下したと判定した場合は、制御器450は、発電原料の供給を再開させるように発電原料供給器414を制御する。発電原料供給器414は制御器450からの制御指示に応じて、燃料電池ユニット412への発電原料の供給を再開させる(ステップS419)。その後、ステップS412にもどり、燃焼部327における点火器325で、アノードから排出される可燃性ガスに着火させ、酸化剤ガスとともに燃焼させる。そして、ステップS413以降の処理を繰り返す。このようにして、実施形態4に係る固体酸化物形燃料電池システム4において、可燃性ガス流路418全体のパージが完了するまで、発電原料の供給と停止を繰り返す。このようして発電原料を間欠的に供給させることで、
図15に示すように固体酸化物形燃料電池410は温度上昇と温度低下を繰り返しながら全体として徐々に冷却される。
【0227】
なお、実施形態2に係る固体酸化物形燃料電池システム4では、ステップS417において供給停止時間が設定供給停止時間t
pre-off以上であると判定した場合、発電原料の供給を再開する構成であった。また、給停止時間が設定供給停止時間t
pre-offに満たないが改質器温度が下限温度T
Rminにまで低下したと判定した場合、または水添脱硫器温度が下限温度T
Dminにまで低下したと判定した場合にも、発電原料の供給を再開する構成であった。しかしながら、この構成に限定されるものではない。例えば、供給停止時間t
pre-off以上であるとの判定、改質器温度が下限温度T
Rminにまで低下したとの判定、ならびに水添脱硫器温度が下限温度T
Dminにまで低下したとの判定のうち、少なくとも1つの判定が、制御器450によってなされた場合に発電原料の供給を再開する構成としてもよい。
【0228】
以上のように、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4は、運転停止時に、上述の処理を実行することにより、供給した発電原料により可燃性ガス流路418中の水素含有ガスを燃焼部427に排出させ、発電原料と水素含有ガスとを火炎燃焼させることができる。このため、第4実施形態に係る固体酸化物形燃料電池システム4は、可燃性ガスを燃料電池ユニット412の外部大気中に放出することなく安全に停止させることが可能となる。
【0229】
さらに、発電原料を間欠的に供給するように制御することにより、燃焼部427で可燃性ガスを火炎燃焼させた燃焼熱による固体酸化物形燃料電池410、水添脱硫器442、および改質器426などの温度上昇が抑制される。このため、燃料電池ユニット412の冷却時間を短縮できるとともに、水添脱硫器442の脱硫触媒および改質器426の改質触媒が過度の温度上昇による、発電原料の炭化(炭素析出)を防止でき、触媒の劣化を防ぎ耐久性を向上させることができる。
【0230】
さらにまた、発電原料を間欠的に供給するように制御することにより、改質器426、水添脱硫器442の過度の温度低下により改質触媒および脱硫触媒で凝縮水が発生することを防止でき、改質触媒および脱硫触媒の耐久性の低下を抑制することができる。
【0231】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
アノードガス流路とカソードガス流路とを備える固体酸化物形燃料電池と、前記アノードガス流路から排出されるアノードオフガスと前記カソードガス流路から排出されるカソードオフガスとを混合する混合器と、を備える、燃料電池ユニットと、前記燃料電池ユニットに発電原料を供給する発電原料供給器と、前記発電原料供給器から前記アノードガス流路の下流端に至る可燃性ガス流路と、前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給器と、前記燃料電池ユニットの発電停止後に、前記発電原料供給器を制御して前記可燃性ガス流路の容積以上の体積の発電原料を前記可燃性ガス流路に供給し、同時に、前記酸化剤ガス供給器を制御して前記カソードガス流路に酸化剤ガスを供給する、制御器と、を備える、固体酸化物形燃料電池システム。