特許第5886546号(P5886546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886546
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   G01R15/18 B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-144477(P2011-144477)
(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公開番号】特開2013-11520(P2013-11520A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】592070649
【氏名又は名称】パナソニック デバイスSUNX竜野株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
(74)【代理人】
【識別番号】100155745
【弁理士】
【氏名又は名称】水尻 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100155756
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 武
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 翔二郎
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05015944(US,A)
【文献】 特開2009−042003(JP,A)
【文献】 実開平01−103004(JP,U)
【文献】 米国特許第03684955(US,A)
【文献】 特開2003−017347(JP,A)
【文献】 特開平02−122608(JP,A)
【文献】 実開平04−020218(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0137388(US,A1)
【文献】 米国特許第02644135(US,A)
【文献】 米国特許第04709205(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性体からなる円環状のコアと、
前記コアに巻回されたコイルと、
前記コイルの両端末に接続され、前記コイルの両端末間の出力電圧を所定電圧に制限する電圧制限素子と、
前記コアの開口面に直交し前記開口面の中心を通る中心線に沿う方向における前記コアの寸法内に配置され、前記コアの前記中心線に直交する面内で前記コアに対向する端子台とを備えており、
前記端子台は、一対の突出片と、前記一対の突出片の間に設けられている中央台とを有し、
前記一対の突出片それぞれと前記中央台との間には、それぞれ間隙が形成され、
前記電圧制限素子は、前記中央台に取り付けられ、
前記コイルの両端末それぞれに接続される接続線は、前記間隙に挿通されてい
ことを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記コアを収納するケースを備えており、
前記ケースには、前記端子台を収納する収納部が前記コアの中心線に直交する面内で突設されている
ことを特徴とする請求項1記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルが巻かれた円環状のコアを備え、コアに挿通された一次導体に流れる電流を検知する電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コイルが巻かれた円環状のコアを備え、コアに挿通された一次導体に流れる電流の変化を検知する電流センサが提供されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されている電流センサは、図7に示すように、円環状のコア20とコア20に巻かれたコイルが収納されるケース80を備える。コア20としては、たとえば、トロイダルコアなどが用いられる。また、コア20の外周面に沿って端子台60が設けられている。端子台60には、コイルの両端末に電気的に接続されている2本の接続線70が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−121259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような電流センサのコイルの両端末間には、測定回路等の回路が接続されている。一次導体に流れる電流の変化によっては、コイルの両端末間に回路の許容電圧を超える電圧が発生し回路に印加される。この場合、回路が故障したり、誤作動する虞がある。そのため、許容電圧を超える電圧が回路に印加されることを防止するために、コイルの両端末間の出力電圧を回路の許容電圧以下に制限する電圧制限素子を、コイルの両端末間に接続することが考えられる。電圧制限素子としては、たとえば、ツェナーダイオード40が用いられる。
【0006】
しかし、図7に示すように、ツェナーダイオード40を、コア20の開口面に直交し当該開口面の中心を通る中心線に沿ってコア20に重ねて配置すると、電流センサ全体の厚みが大きくなる。また、このような電流センサをケース80内に収納している場合、ケース80の厚みも大きくなる。
【0007】
本発明は上記事由を鑑みて為されたものであって、電圧制限素子を備えながらも、電圧制限素子が厚みに影響しない電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電流センサは、磁性体からなる円環状のコアと、前記コアに巻回されたコイルと、前記コイルの両端末に接続され、前記コイルの両端末間の出力電圧を所定電圧に制限する電圧制限素子と、前記コアの開口面に直交し前記開口面の中心を通る中心線に沿う方向における前記コアの寸法内に配置され、前記コアの前記中心線に直交する面内で前記コアに対向する端子台とを備えており、前記端子台は、一対の突出片と、前記一対の突出片の間に設けられている中央台とを有し、前記一対の突出片それぞれと前記中央台との間には、それぞれ間隙が形成され、前記電圧制限素子は、前記中央台に取り付けられ、前記コイルの両端末それぞれに接続される接続線は、前記間隙に挿通されていることを特徴とする。
【0010】
この電流センサにおいて、コアを収納するケースを備えており、ケースには、端子台を収納する収納部がコアの中心線に直交する面内で突設されていることがより望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成によれば、電圧制限素子を備えながらも、電圧制限素子が電流センサの厚みに影響しないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態を示す斜視図である。
図2】同上の正面図である。
図3】同上の側面図である。
図4】同上の要部を示す平面図である。
図5】同上の回路図である。
図6】同上のポッティング後の斜視図である。
図7】従来例の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に説明する電流センサは、磁性材料からなる円環状のコアにコイルが巻かれており、コアに挿通された一次導体に流れる電流の変化を検知するように構成されている。この電流センサは、一次導体に電流が流れることにより、コイルが二次導体となり、コイルの両端末間に誘導起電力が生じる。
【0014】
図1ないし図4に示すように、本実施形態の電流センサは、円筒状のケース81に、磁性材料からなるコア21とコア21に巻かれたコイル31(図5参照)とが収納される。本実施形態において、コア21は、たとえば、トロイダルコアを用いる。コイル31の両端末は、それぞれ接続線71に電気的に接続され、接続線71の他端部はコネクタ72に電気的に接続される。コネクタ72は、たとえば、コア21に挿通された一次導体91に流れる電流を測定する測定回路92(図5参照)に接続される。
【0015】
コア21は、断面が矩形状に形成される。また、コア21には、コア21の外側と内側とを交互に通るようにコイル31が巻かれる。
【0016】
電流センサには、円板状のコア配置板51が設けられる。コア配置板51は、外径がコア21の外径と略等しく、コア配置板51の中央部には、コア21の内径と略等しい直径を有する円形の貫通孔52が設けられる。コア配置板51上には、コア21が配置される。また、コア配置板51の周縁の一部には、接続線71とコイル31とを電気的に接続する端子台61が連続一体に形成される。コア配置板51および端子台61は、絶縁性材料により形成される。
【0017】
端子台61は、コア21の外周面に沿って、コア21の開口面に直交し当該開口面の中心を通る中心線に沿う方向のコア21の寸法内に配置され、コア21の中心線に直交する面内でコア21に対向する。端子台61には、コイルの両端末間の出力電圧を所定電圧以下に制限する電圧制限素子である2つのツェナーダイオード41,42が取り付けられる。端子台61において、コイル31の両端末に接続された各接続線71が、ツェナーダイオード41,42ともそれぞれ電気的に接続される。ツェナーダイオード41,42の端子台61への取付けについては後述する。
【0018】
コア21の中心線に沿う方向における端子台61の先端部(図2における上端部)において、コア21の周方向の両端には、コア21から離れる向きに突出した引掛台62,63がそれぞれ形成される。引掛台62,63は、コア21の中心線に沿う方向に直交する断面が、コア21の周方向に互いに離れる向きに開いたコ字状である。つまり、引掛台62,63は、接続線71が挿通される保持溝64,65をそれぞれ有する。接続線71は、保持溝64,65から端子台61の外部へ引き出される。
【0019】
端子台61において、引掛台62のコア21の周方向の内側には、コア21から離れる向きに突出した突出片66が形成される。引掛台62と突出片66との間には、コア21の中心線に沿う方向に間隙が形成され、当該間隙に接続線71が挿通される。同様に、引掛台63のコア21の周方向の内側には、コア21から離れる向きに突出した突出片67が形成される。引掛台63と突出片67との間には、コア21の中心線に沿う方向に間隙が形成され、当該間隙に接続線71が挿通される。
【0020】
また、突出片66と突出片67との間には、コア21から離れる向きに突出した中央台68が形成される。突出片66および突出片67と中央台68との間には、それぞれ間隙が形成され、当該間隙に接続線71がそれぞれ挿通される。
【0021】
接続線71は、端子台61におけるコア配置板51との近傍部位(図2における下端部)において、コイル31およびツェナーダイオード41,42と電気的に接続される。また、引掛台62の保持溝64から端子台61へ引き込まれた接続線71は、保持溝64から引掛台62と突出片66との間隙へ挿通する部分においてコア21の周方向に屈曲される。同様に、引掛台63の保持溝65から端子台61へ引き込まれた接続線71は、保持溝65から引掛台63と突出片67との間隙へ挿通する部分においてコア21の周方向に屈曲される。これにより、端子台61が接続線71へ加わる張力を受ける張力止めとなり、接続線71のコイル31およびツェナーダイオード41,42との接続部分に力が及びにくくなる。
【0022】
ツェナーダイオード41,42は、コア21の周方向に沿って並べて中央台68に取り付けられる。また、ツェナーダイオード41,42からは、リード線がコア21の中心線に沿う方向に引き出される。ツェナーダイオード41,42の一方のリード線は、中央台68からコア21の中心線に沿う方向の一方側(図2における上側)に引き出され、互いに電気的に接続される。ツェナーダイオード41,42の他方のリード線は、中央台68からコア21の中心線に沿う方向の他方側(図2における下側)に引き出される。当該他方のリード線は、端子台61のコア配置板51との連続部において、端子台61上に収まるように接続線71に重さね合され、接続線71およびコイル31と電気的に接続される。
【0023】
ツェナーダイオード41,42は、端子台61の中央台68に取り付けられることにより、コア21の外周面に沿って、コア21の中心線に沿う方向のコア21の寸法内に配置される。これにより、ツェナーダイオード41,42は電流センサ全体の厚み(コア21の中心線に沿う方向の寸法)に影響しない。
【0024】
また、図5に示すように、ツェナーダイオード41,42は極性を互いに逆向きにして直列接続される。これにより、一次導体91に流れる電流の変化が大きい場合であっても、コイル31の両端末間に接続される回路(図5における測定回路92)にツェナーダイオード41,42の降伏電圧により規定される所定電圧を超える電圧が印加されることを防止する。
【0025】
図1に示すように、コア21とコア配置板51とは、一体としてケース81に収納される。ケース81は、外形が円筒状に形成され底面の一方が開口した本体部82を備える。本体部82の外周壁の一部には、本体部82の外側へ突出し凸状に形成された収納部83とを備える。本体部82には、コア配置板51が本体部82の底壁に対向するようにコア21とコア配置板51とが収納される。収納部83には、端子台61が収納され、収納部83の開口部分からは接続線71が引き出される。
【0026】
図6に示すように、ケース81内は、外力や湿気などから保護するため、ケース81の開口した底面に達するまで充填された絶縁性の合成樹脂84によりポッティングされている。合成樹脂84としては、たとえば、エポキシ樹脂などを用いる。
【符号の説明】
【0027】
21 コア
31 コイル
61 端子台
81 ケース
83 収納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7