(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高純度組成物を処理する方法は当該技術分野において、特に、高純度結晶シリコンを製造するのが望ましい半導体産業において既知である。高純度結晶シリコン中の不純物の量は、半導体中の高純度結晶シリコンの性能に直接的に相関する。従って、高純度結晶シリコン中の不純物含有量を最小限化するという願望、及び、如何なる高純度組成物中の不純物含有量をも最小限化するという一般的な願望が常にある。
【0003】
高純度結晶シリコンのような高純度組成物中の不純物の量を最小限化するために、極端な手段が概ね取られ、環境的隔離の下で、クリーンルーム内で高純度組成物を処理することを含む。更に、衣服からの繊維又は人員からクリーンルーム内に導入され得る他の化学物質が清浄環境を汚染するのを防止するために、クリーンルーム内で作業する人員は、典型的には、保護スーツを身につける。
【0004】
高純度結晶シリコンを製造するとき、具体的には、クロロシランガスからシリコンスリムロッド上に多結晶シリコンを成長させ、それによって、多結晶シリコンログを形成させるために、化学蒸着(CVD)プロセスが概ね使用される。CVDプロセスの後、多結晶シリコンログはゾーニングプロセスに晒され、それによって、多結晶シリコンは単結晶シリコンに変換される。当該技術分野において既知であるように、多結晶シリコンログ内に存在する不純物は、ゾーニングプロセスを通じて除去される。代替的に、シリコンスリムロッドを作製するために、多結晶シリコンログを使用し得る。引き続き、シリコンスリムロッドは、CVDプロセスを通じてより多くの多結晶シリコンログを作り出すために使用される。多結晶シリコンログからシリコンスリムロッドを作製するために、ログは切断されなければならない。しかしながら、多結晶シリコンログは脆弱であり、内部応力を減少するために焼き鈍されなければならず、それは多結晶シリコンログが破壊されずにシリコンスリムロッドに効果的に切断されることを可能にする。
【0005】
多結晶シリコンログを焼き鈍すために、ログは炉内に配置され、ログを焼き鈍すために十分な時間に亘って十分な温度で加熱される。しかしながら、焼鈍しは多結晶シリコンログへの不純物に寄与し、それは望ましくない。より具体的には、粉塵(ダスト)又は雰囲気中に存在する他の分子のような環境不純物は、焼鈍し中に多結晶シリコンログを汚染し得る。更に、炉を形成するために実際に使用される材料、及び、焼鈍し中に加熱される材料は、それらの中に含まれる不純物を解放する。次に、焼鈍し中に炉を形成するために使用される材料によって解放される不純物は、焼鈍し中に多結晶シリコンログによって吸収される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
雰囲気又は(高純度組成物を製造するために使用される機械類のような)他の源からの不純物が高純度組成物に寄与する不純物の量が最少であることを保証するために、高純度組成物、特に、高純度シリコンの製造は、製造プロセスを取り囲む環境条件の注意深い制御を含む。このようにして、不純物を含む汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する方法、高純度シリコンを熱処理する炉10、及び、本発明の高純度組成物を処理する炉組立体14は、それぞれ高純度組成物の現在の製造に特異な改良を提示する。汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する本方法、及び、高純度シリコンを熱処理する炉10は、高純度シリコンの現在の製造に特定の改良を提示するが、炉組立体14は、高純度シリコンの製造の特定分野の外側の広い使用を有し、如何なる高純度組成物にも拡張する。
【0014】
「高純度組成物」は、その言回しがここで使用されるとき、炉内で加熱される如何なる組成物をも意味し、粉塵のような粒子から或いは組成物情の雰囲気内の他の分子から導入される不純物の効果は、一般的には、望ましくない。より具体的には、高純度組成物は、100万分の1000原子(1000ppma)以下の不純物含有量を有するものである。不純物は、その用語がここで一般的に使用されるとき、その存在が高純度組成物中で望ましくない素子又は化合物として定められる。「高純度シリコン」は、その言回しがここで使用されるとき、10億分の1000原子(1000ppba)以下の不純物含有量を有するシリコンを意味する。しかしながら、高純度シリコンの等級内で、順次的により低い不純物含有量に基づき、シリコン間の追加的な区別を行い得る。シリコンを高純度シリコンとして特徴付ける上記閾は、依然として高純度シリコンとして特徴付け得るシリコンの不純物含有量の上限を提供するが、高純度シリコンは、典型的には、上記に示される閾よりも実質的に低い不純物含有量を有する。具体的には、高純度シリコンは、3ppba以下、代替的に、1兆分の500原子(500ppta)の不純物含有量を有し得る。不純物は、その用語が高純度シリコンの脈絡において特に使用されるとき、アルミニウム、砒素、ボロン、燐、鉄、ニッケル、銅、クロム、及び、それらの組み合わせの群から選択される。不純物含有量は、高純度シリコンの脈絡において使用されるとき、特段の断りのない限り、高純度シリコン内に存在する全ての不純物の総量を概ね指す。
【0015】
汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する方法は、多くの用途を有する。高純度シリコンを製造するための処理条件及び開発機械類を確立するとき、特に高純度シリコンの不純物含有量が3ppba以下又は500ppta以下であることが望ましいとき、場合によっては、高純度シリコンと直接物理的又は環境的に連絡する如何なる材料も不純物を高純度シリコンに寄与し得る。しかしながら、特定の条件下では、高純度シリコンと直接物理的又は環境的に連絡する材料は、より大きな量の不純物を高純度シリコンに寄与し得る。例えば、材料が加熱されるとき、その中に存在する多くの不純物は解放に晒され、解放された不純物は高純度シリコンによって吸収され得る。よって、高純度シリコンの存在の下で加熱に晒される如何なる材料も高純度シリコンに対する不純物寄与に対する有意な影響を有し得る。
【0016】
材料を試験すること及び材料の不純物含有量を決定することは、どの程度まで材料が不純物を高純度シリコンに寄与するかを決定するには不十分であることが発見された。その理由は、場合によっては、異なる不純物が異なる速度で異なる材料から逃げ出すことである。更に、異なる不純物が異なる速度で高純度シリコン内に吸収される。しかしながら、汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する方法は、この問題に取り組む。その方法は、選択的に、汚染材料の不純物含有量を決定するステップと、選択的に、高純度シリコンの不純物含有量を決定するステップを含む。しかしながら、この情報を商品パンフレットのような他の源から得ることができることが理解されるべきである。汚染材料及び高純度シリコンの不純物含有量を決定する方法は当該技術分野において既知である。しかしながら、不純物含有量を決定するそのような方法は、1兆分の1原子レベルで不純物を検出するのに十分に感応的であるべきである。そのような方法の実施例は、誘電結合プラズマ(ICP)や光学測定及び光ルミネセンス分析を含む。
【0017】
本方法は汚染材料を提供するステップを含む。「汚染材料」は、その言回しがここで使用されるとき、材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する目的のために試験されるべき如何なる材料をも指す。実際には、汚染材料は、高純度シリコンを必ずしも汚染する必要はない。汚染材料はあるレベルの不純物を含むが、汚染材料中に存在する不純物の実際の量は、高純度シリコンに対する汚染材料の不純物寄与に対する有意な関連を有しない。むしろ、汚染加熱下で内在する不純物を解放する材料の性向は、高純度シリコンへの汚染材料の不純物寄与を主として制御する。しかしながら、汚染材料中のより少ない量の不純物が高純度シリコンに対する類似の汚染材料のより少ない不純物寄与に相関し得ると想定し得る。本発明の方法は如何なる特定の汚染材料の試験にも限定されないが、本方法に従って試験される典型的な汚染材料は、汚染材料の総重量に基づき少なくとも40重量%の量で存在する少なくとも1つのセラミックを含む。汚染材料中に存在し得る適切なセラミックの実施例を、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、及び、それらの組み合わせの群から選択し得る。少なくとも1つのセラミックは、典型的には、汚染材料の総重量に基づく少なくとも40重量%の量で存在するが、汚染材料中に存在するセラミックの総量は、汚染材料の総重量に基づき、典型的には、90重量%、より典型的には、少なくとも99重量%である。
【0018】
高純度シリコンのサンプルは、汚染材料内に少なくとも部分的に包み込まれる。より具体的には、粉末又は粒子(その場合には、高純度シリコンを包み込みために、高純度シリコンを粉末又は粒子内に埋設し得る)、シリンダ(その場合には、高純度シリコンを包み込むために、高純度シリコンをシリンダ内に配置し得る)、汚染材料の塊(その場合には、高純度シリコンを包み込むために、材料の塊を高純度シリコンの周り又は上に配置し得る)のような多様な形態で汚染材料を提供し得るが、それらに限定されない。高純度シリコンを汚染材料中に少なくとも部分的に包み込む目的は、高純度シリコンの周りのガス流を少なくとも部分的に妨げることである。
【0019】
高純度シリコンのサンプルは、典型的には、500ppta以下の不純物含有量を有する。しかしながら、高純度シリコンの不純物含有量の重要性は、多様な汚染材料の並行試験において一貫した不純物含有量を有する高純度シリコンサンプルを使用することよりも少ないことが理解されるべきである。典型的には、多様な汚染材料中に少なくとも部分的に包み込まれる高純度シリコンの不純物含有量の変化は、50ppta程度の量である。
【0020】
次に、汚染材料中に少なくとも部分的に包み込まれるサンプルは、炉内で加熱される。汚染材料中のサンプルは炉からの不純物が炉内に包み込まれる高純度シリコンに達するのを十分に防止するという事実の故に、包み込まれるサンプルを加熱するのに使用される炉の種類は重要ではない。包み込まれたサンプルは、少なくとも200分に亘って、少なくとも
898.9℃(1650°F
)の温度で加熱され、それは汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定するのに十分な高温で十分な時間である。包み込まれるサンプルが多様な汚染材料の並行試験において一貫した温度及び時間に亘って加熱に晒される限り、高純度シリコンの実際の加熱温度及び加熱時間は、上記に示される温度及び時間よりも高く又は長くあり得る。
【0021】
高純度シリコンの不純物含有量の変化は、加熱のステップの前に高純度シリコンの不純物含有量に比較されて、汚染材料中に少なくとも部分的に包み込まれるサンプルを加熱するステップの後に決定される。高純度シリコンの不純物含有量を決定する選択的なステップの脈絡において上記に示されたように、高純度シリコンの不純物含有量を決定する方法は当該技術分野において既知であり、不純物含有量を決定方法は1兆分の1原子レベルで不純物を検出するのに十分に感応的でなければならない。不純物含有量は、典型的には、高純度シリコン中に存在する個々の不純物に関して決定され、異なる方法を通じて異なる不純物を測定し得る。例えば、光ルミネセンス分析は、典型的には、アルミニウム、砒素、ボロン、及び、燐のような不純物の不純物含有量を決定するのに利用される。更に、それは他の不純物に比べより問題である特定の不純物の不純物含有量を決定するのに概ね有用である。例えば、銅は特に問題な不純物であり、銅はアルミニウムのような他の不純物に比べ高純度シリコン内に迅速に拡散する。従って、汚染材料から高純度シリコンに寄与される銅の量は特に有意であり、最少量の銅を高純度シリコンに寄与する材料を特定し且つ高純度シリコンを熱処理するために使用される機械類のためにそのような材料を使用することの強い願望がある。
【0022】
上記に示されたように、汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する方法は多くの用途を有する。例えば、汚染材料が高純度シリコンに寄与する汚染材料の決定量に基づき、低汚染材料を選択し、高純度シリコンを熱処理するために使用される炉10の様々な構成部品を形成し得る。「低汚染材料」は、その言回しがここで使用されるとき、上記に示されたような汚染材料によって寄与される不純物の量を決定する方法を通じて決定されるように、高純度シリコンを焼き鈍すために十分な時間の期間に亘って焼鈍し温度で高純度シリコンを加熱中に400ppta未満の不純物を高純度シリコンに寄与する如何なる材料をも意味する。典型的な焼鈍し温度は、少なくとも
898.9℃(1650°F
)に、代替的に、
898.9〜1482.2℃(1650〜2700°F
)の間に設定され、典型的な焼鈍し時間は、典型的には、少なくとも200分である。
【0023】
本発明の目的のために特定された低汚染材料は、典型的には、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、炭化ケイ素、及び、それらの組み合わせの群から選択される化合物を含む。例えば、本発明の目的に適する低汚染材料は、典型的には、前記低汚染材料の総重量に基づく少なくとも40重量%の量の酸化アルミニウムを含む。一部の場合には、低汚染材料は、前記低汚染材料の総重量に基づく少なくとも90重量%の量の酸化アルミニウムを含む。酸化アルミニウムに加えて、或いは、酸化アルミニウムの代わりに、低汚染材料は、二酸化ケイ素を含み得る。二酸化ケイ素は、低汚染材料の総重量に基づく0.1〜60重量%、代替的に、0.1〜10重量%、代替的に、0.1〜1.0重量%の量で存在し得る。本発明の目的に適する低汚染材料の具体的な実施例は、Ceralox(R)SPA−59(Alpha)、Unicote(R)S、CoorsTek(R)AD96、CoorsTek(R)AD995、CoorsTek(R)AD998、Maftec(R)、Saffil(R)、及び、K26の商品名の下で商業的に入手可能なものを含むが、これらに限定されない。
【0024】
本発明に従った炉は、
図1、3、及び、4に、10で概ね示されている。炉10は、炉10の加熱チャンバ16を定めるハウジング12を含む。「ハウジング」という用語は、加熱チャンバ16を共に定める如何なる構成部品又は構成部品の組み合わせをも概ね含む。加熱チャンバ16を「定める」ために、構成部品は、加熱チャンバ16と直接的に大気連絡する表面を有さなければならない。典型的には、ハウジング12は、加熱チャンバ16を定める複数の構成部品を含み、各構成部品は、加熱チャンバ16と大気連絡する表面を有する。例えば、加熱チャンバ16を定め得る構成部品の1つは、高純度シリコンを受け入れるための炉床18である。
図6に示されるように、中間炉床20上に配置される炉床キャップ22のような、少なくとも2つの層、典型的には、2つよりも多くの層を備える層状構成部品として炉床18を更に定め得る。炉床キャップ22は、加熱チャンバ16と直接的に大気連絡し、中間炉床20は、炉床キャップ22によって加熱チャンバ16から分離される。この実施態様では、以下に更に詳細に説明されるように、炉床18に異なる特性を付与するように、炉床18の様々な層を形成するのに使用される材料を選択し得る。加えて、ハウジング12は、加熱面(hot face)24を含み、加熱面24は、加熱チャンバ16を定めるハウジング12の部分を含むが、加熱面24は、高純度シリコンを受け入れない、即ち、高純度シリコンは、典型的には、加熱面24と物理的に接触しない。加熱素子26は加熱チャンバ16を定める構成部品の他の実施例である。
図1、2、及び、4に示されるように、加熱素子26は、典型的には、ハウジング12の加熱面24に隣接して、加熱チャンバ16を通じて加熱チャンバ16内に延びる。加熱素子26は、典型的には、炭化ケイ素上に堆積される低汚染材料を含む塗膜を含む。
【0025】
加熱チャンバ16は、典型的には、少なくとも10,000cm
3、代替的に、少なくとも100,000cm
3の容積を有し、それは加熱チャンバ16内に多結晶シリコンログ28を収容するのに十分である。
【0026】
ハウジング12は、上述のように、少なくとも部分的に低汚染材料から形成される。より具体的には、ハウジング12が加熱チャンバ16を形成する複数の構成部品を含むとき、上述の構成部品の少なくとも1つは低汚染材料から形成される。しかしながら、ハウジング12の各構成部品を上述されたような低汚染材料から独立して形成し得ることが理解されなければならない。ハウジング12の特定の構成部品を形成するために使用される特定の低汚染材料は、典型的には、ハウジング12内の構成部品の場所及び構成部品の場所に基づきそのような構成部品が高純度シリコンの不純物含有量に対して有する相対的な効果に基づき選択される。例えば、炉床18は、典型的には、高純度シリコンに対する炉床の近接性の故に、加熱面24を形成するために使用される材料よりも少ない不純物を高純度シリコンに寄与する低汚染材料から形成される。炉床18が層状の組成物であるとき、炉床キャップ22は、典型的には、低汚染材料から形成されるのに対し、例えば、強度又は熱伝導率のような他の物理的特性をもたらすために、中間炉床20又は加熱チャンバ16と直接的に大気連絡しない他の層を低汚染材料以外の材料から形成し得る。代替的に、炉床18の1つよりも多くの層を低汚染材料から形成し得る。例えば、1つの実施態様では、炉床キャップ22は、低汚染材料から形成されるセラミック繊維を含み、中間炉床20は、低汚染材料で塗工される耐火煉瓦を含み、セラミック繊維は、塗工された耐火煉瓦上に配置される。セラミック繊維の実施例は、Maftec(R)であり、低汚染材料で塗工された耐火煉瓦の実施例は、Ceralox(R)SPA−59で渡航されたKorundal XDである。
【0027】
炉10は、ここに定められるようなハウジング12に加えて、外部構成部品と以後呼ぶ他の構成部品を含み得ることが理解されなければならない。外部構成部品は、炉10の外側ケーシング30のような、加熱チャンバ16と直接的に大気連絡しない追加的な層及び/又は構成を含み得る。外部構成部品は、強度、熱伝導率、又は、他の特性を炉10にもたらすために存在し得る。しかしながら、加熱チャンバ16がハウジング12によって外部構成部品から隔離されるという事実の故に、そのような構成部品を形成するために使用される材料は、典型的には、高純度シリコンへの材料の不純物寄与に基づき選択されない。
【0028】
多結晶シリコンログ28のような高純度シリコンを処理する方法は、上述のように炉10内で高純度シリコンを加熱することを含む。高純度シリコンを加熱するステップを、高純度シリコンを焼き鈍すために十分な時間期間に亘り焼鈍し温度で高純度シリコンを焼き鈍すこととして更に定め得る。しかしながら、不純物を含む汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定する方法の脈絡において上述されたように、実際の焼鈍し温度及び焼鈍し時間は、上記に示された温度及び時間よりも高く又は長くあり得ることが理解されなければならない。
【0029】
全体的に、本発明に従った炉10は、少なくとも4ヶ月の期間に亘って月例間隔で測定されるとき、平均400ppta以下、代替的に、300ppta以下の不純物に寄与する。個々の不純物に関して、本発明に従った炉10は、典型的には、少なくとも4ヶ月の期間に亘る月例間隔で測定されるとき、高純度シリコンを焼き鈍すために十分な時間期間に亘る焼鈍し温度での高純度シリコンの加熱中、平均50ppta以下、代替的に、30ppta以下、代替的に、20ppta未満の銅を高純度シリコンに寄与する。
【0030】
炉組立体は、
図1乃至4に、14で概ね示されている。炉組立体14は、典型的には、上述のように低汚染材料で少なくとも部分的に形成されるハウジング12を含む炉10を含むが、炉組立体14はそのように限定されないことが理解されるべきである。具体的には、高純度シリコン以外の高純度組成物を加熱するために炉組立体14を使用し得るし、炉組立体14の構成部品を形成するために上述されたような低汚染材料を必ずしも使用する必要はない。炉組立体14は、炉組立体14が構成され且つ動作される方法の故に、高純度組成物内の不純物を最小限化することに関する利点を提供し、そのような利点は、上述されたような炉10の構成部品のための低汚染材料の選択に起因し得る利点から明らかである。例えば、炉組立体14は、粉塵発生に起因する不純物の存在を少なくとも最小限化する。以下の炉組立体14の記載から明らかであるように、炉組立体14は既存の炉組立体に対して安全性の利点も提供する。
【0031】
図2に最良に示されるように、高純度組成物を熱処理する炉組立体14は、ベース32と、ベース32から分離された炉カバー34とを含む。ベース32は、周縁36と、周縁36に隣接して定められる着床表面38とを有する。典型的には、着床表面38は、ベース32の周縁36について連続的である。炉カバー34はベース32から分離され、キャビティ40と、キャビティ40への開口とを定める。
図1、3、4、及び、6に示されるように、炉カバー34がベース32上に配置されるとき、ベース32は着床表面38で炉カバー34に当接し、それによって、キャビティ40を封止し、加熱チャンバ16を形成する。
図6に最良に示されるように、着床表面38は、典型的には、ベース32内で凹所とされ、ベース32は、ベース32から離れる方向に延びる壁42を更に含む。ベース32上で炉カバー34を整列するために、壁42を着床表面38に隣接して配置し得る。窪んだ着床表面38は、ベース32から離れる方向に延びる壁42との組み合わせにおいて、ベース32上での炉カバー34の整列を助けること及びキャビティ40を十分に封止し且つ加熱チャンバ16を形成することの二重機能を果たす。
【0032】
炉組立体14内で高純度組成物を熱処理する方法の脈絡において以下に更に詳細に記載されるように、ベース32及び炉カバー34は、加熱チャンバ16からの高純度組成物の挿入及び除去の間に炉カバー34がベース32から取り外されるのを可能にするよう分離可能である。
【0033】
図3、4、及び、6に最良に示されるように、ベース32は、高純度組成物を受け入れるための炉床18を提示する。本発明の炉10の脈絡において上述され且つ
図6に示されるように、炉床18は層状の複合体であり得る。
図3乃至6を参照すると、ベース32は、ベース32の移動を可能にするよう、輸送機構44も含み得る。輸送機構44は、車輪46、駆動トラック(図示せず)、又は、床のような表面に沿ってベース32の移動を可能にする如何なる他の機能をも含み得る。ベース32の輸送機構44は、典型的には、ベース32を推進するモータ48も含む。
図4に示されるように、ベース32の車輪を受け入れるために、トラック50を床内に配置し得る。垂直相対移動を通じて炉カバー34及びベース32を接合し得るよう、トラック50はベース32を炉カバー34に対して正しい位置に向ける働きをする。
【0034】
炉組立体14は、典型的には、昇降機構54を含むフレーム52を含み、昇降機構54は、炉カバー34を昇降するために、炉カバー34に取り付けられる。1つの実施態様では、
図1乃至4に示されるように、昇降機構54は、前記昇降ネジ56の回転に応じて炉カバー34を床帰欧するために、少なくとも1つの昇降ネジ56を含む。典型的には、昇降機構54は、炉カバー34の各コーニングに配置される少なくとも1つの昇降ネジ56を含む。昇降モータ58を使用して昇降ネジ56を回転してもよく、その結果として、垂直軸に沿う動作に制約される炉カバー34の移動を伴う。即ち、昇降ネジ56は炉カバー34の水平移動を阻止する。しかしながら、炉カバー34の水平移動は阻止されるが、一部の状況の下で、炉組立体14は、炉カバー34の水平移動を可能にする機能を含み得ること、及び、昇降ネジ56は炉カバー34の水平移動を必ずしも阻止しないことが理解されるべきである。炉カバー34は、移動中に炉カバー34を更に安定化するためのガイド60も含み得る。炉カバー34の移動を垂直移動に本質的に制限することによって、粉塵発生は最小限化される。
【0035】
上記に示されたように、特に炉組立体14が高純度シリコンを処理するよう構成されるとき、炉組立体14は、低汚染材料で少なくとも部分的に形成されるハウジング12を含む、上述されたような炉10を含み得る。より具体的には、ここに記載される炉組立体14の特異な機能の脈絡において、ハウジング12は、ベース32と、炉カバー34とを含む。よって、ベース32及び炉カバー34の少なくとも一方を低汚染材料で形成し得る。低汚染材料は上記に示され且つ定められた。上述のような炉10を備えるとき、低汚染材料で少なくとも部分的に形成されるベース32及び炉カバー34の少なくとも一方を含む炉組立体14は、典型的には、少なくとも4ヶ月の期間に亘って取られる1月間隔で測定されるとき、高純度シリコンを焼き鈍すために十分な時間の期間に亘って加熱チャンバ16内で高純度シリコンを加熱する間、平均1兆分の400未満の不純物を高純度シリコンに寄与する。
【0036】
炉組立体14は、粉塵発生を最小限化するよう設計される追加的な機能も含み得る。例えば、空中浮揚する粉塵を減少する目的のために、粉塵を発生することが知られる炉組立体14の部分の上にグリース及び潤滑剤を含む材料を配置し得る。加えて、(濾過バー34を持ち上げるためのネジのような)露出するネジを覆い得る。
【0037】
炉組立体14内で高純度組成物を熱処理する方法は、高純度組成物を炉床18の上に配置するステップを含む。高純度組成物が多結晶シリコンログ28として更に定められるとき、多結晶シリコンログ28を炉床18の上に直接的に配置し得る。炉カバー34がベース32に対して高い位置にある状態で、炉カバー34の相対的な位置がベース32に対して配置される。この点に関して、(
図1及び2に示されるような)昇降機構54を使用して、炉カバー34をベース32より上に高め得るし、ベース32を炉カバー34より下の凹所(図示せず)内に移動し得る。それが起こる方法に拘わらず、ベース32は炉カバー34の下に位置付けられる。炉カバー34はベース32上に下げられ、高純度組成物が加熱チャンバ16内に配置された状態で、加熱チャンバ16を定める炉10を形成する。炉カバー34がベース32上の所定位置になるや否や、加熱チャンバ16内で高純度組成物が加熱される。
【0038】
ベース32が輸送機構44を含むとき、ベース32を位置付けるステップは、高くされた炉カバー34より下の位置にベース32を移動することを含み得る。ベース32上に輸送機構44を含めることによって、高純度組成物を熱処理する前に、ベース32を炉カバー34の下に移動し得るし、高純度組成物を熱処理した後、炉カバー34を垂直軸に沿う移動に制約しながら、炉カバー34の下から外に移動し得る。炉カバー34を垂直軸に沿う移動に制約することによって、高純度組成物を加熱チャンバ16内に提供することにおいて動作的な改良が実現されると同時に、多結晶シリコンログ28のような高純度組成物を取り扱うことに関連する困難性及び潜在的な危険性に起因する安全性も最大限化する。
【0039】
以下の実施例は本発明を例証することが意図され、本発明の範囲を如何様にも制限することは意図されていない。
【0040】
実施例
汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定するために、本発明に従った方法に従って不純物を含む様々な汚染材料を試験した。より具体的には、汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量を決定するために、500ppta以下の不純物含有量を有する高純度シリコンを様々な材料中に包み込んだ。高純度シリコンを焼き鈍す十分な時間の期間に亘って、汚染材料中に包み込んだサンプルを焼鈍し温度で加熱した。
【0041】
汚染材料が高純度シリコンに寄与する不純物の量に対して行われる決定に基づき低汚染材料を特定し且つ使用し、炉のハウジングの様々な構成部品を形成した。具体的には、以下の構成部品及び材料を形成した。
【表1】
【0042】
加えて、炉のハウジングの周りに外部ケーシングを配置し、鋼のような金属で外部ケーシングを形成した。例えば、クエン酸ゲルを用いた不動態化のような任意の工業的な不動態化処理を通じて外部ケーシングを不動態化した。
【0043】
上述の炉内で多結晶シリコンログを熱処理した。多結晶シリコンログは500ppta以下の不純物含有量を有した。多結晶シリコンログを炉床上に配置し、多結晶シリコンログを焼き鈍す十分な時間の時間に亘って、多結晶シリコンログを焼鈍し温度で焼き鈍した。焼鈍し後、多結晶シリコンログは、以下の表I中に示される不純物含有量を有し、10億分の1原子として列挙される。
【表2】
【0044】
(全ての不純物を測定するときに)少なくとも4ヶ月の期間に亘る月例間隔で測定するとき、多結晶シリコンログの平均不純物含有量は、約0.235ppba又は235pptaであった。
【0045】
既存の炉は、以下の構成部品及び材料で形成されるハウジングを備える。
【表3】
【0046】
多結晶シリコンログが実施例中で熱処理されるのと同じ方法で上述の既存の炉内で多結晶シリコンログを熱処理した。焼鈍し後、多結晶シリコンログは、以下の表II中に示される不純物含有量を有し、10億分の1原子として列挙される。
【表4】
【0047】
(全ての不純物を測定するときに)少なくとも4ヶ月の期間に亘る月例間隔で測定するとき、比較実施例の多結晶シリコンログの平均不純物含有量は、約0.824ppba又は824pptaであった。
【0048】
明らかに、上記教示の観点において本発明の多くの修正及び変更が可能である。付属請求項の範囲内で、具体的に記載されるのと別の方法で本発明を実施し得る。