(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る排紙装置の全体概略図、
図2は、
図1に示す排紙装置の制御系の構成を示すブロック図である。以下の説明において、ユーザが位置する
図1の紙面表方向を前方とする。また、
図1に示すように、ユーザから見て、上下左右を上下左右方向とする。
【0018】
図1、
図2に示すように、排紙装置1は、搬送部2と、排紙台3と、エレベータ部(請求項の昇降駆動部に相当)4と、用紙センサ(請求項の検出部に相当)5と、サイドフェンス6と、エンドフェンス7と、天井部8と、記憶部9と、制御部10とを備える。
【0019】
搬送部2は、排紙装置1の左側に接続された印刷装置(図示せず)から送り出された印刷済みの印刷媒体である用紙Pを搬送して排紙台3へと排紙する。搬送部2は、印刷装置から送り出された用紙Pの上下の向きをそのままにして排紙するか、または、用紙Pを上下反転させて排紙する。
【0020】
ここで、
図1において太線で示す経路が、搬送部2において用紙Pが搬送される搬送経路である。搬送経路のうち、実線で示す経路が排紙経路RD、破線で示す経路が反転経路RRである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路における上流、下流を意味する。
【0021】
搬送部2は、進入ローラ11と、複数対の中間ローラ12と、複数対の排紙ローラ13と、第1切替部14と、複数対の往路ローラ15と、反転ローラ16と、複数対の復路ローラ17と、第2切替部18とを備える。
【0022】
進入ローラ11は、印刷装置から印刷済みの用紙Pを排紙装置1へと取り込む。進入ローラ11は、排紙経路RDの最上流部に配置されている。排紙経路RDの上流端は、印刷装置の搬送経路の下流端に接続されている。進入ローラ11は、図示しないモータにより駆動される。
【0023】
複数対の中間ローラ12は、進入ローラ11により印刷装置から取り込まれた用紙Pを排紙ローラ13へと搬送する。複数対の中間ローラ12は、進入ローラ11の下流側において、排紙経路RDに沿って所定の間隔を空けて配置されている。中間ローラ12は、図示しないモータにより駆動される。
【0024】
複数対の排紙ローラ13は、中間ローラ12により搬送されてきた用紙Pを排紙台3へと排紙する。複数対の排紙ローラ13は、複数対の中間ローラ12の下流側において、排紙経路RDに沿って所定の間隔を空けて配置されている。また、排紙ローラ13は、排紙台3に対して、左側の上方に配置されている。排紙ローラ13は、図示しないモータにより駆動される。
【0025】
第1切替部14は、用紙Pの搬送経路を排紙経路RDと反転経路RRとの間で切り替える。第1切替部14は、排紙経路RDと反転経路RRとの分岐点に配置されている。第1切替部14は、図示しないソレノイドにより駆動される。
【0026】
複数対の往路ローラ15は、第1切替部14によって反転経路RRへと導かれた用紙Pを反転ローラ16へと搬送する。複数対の往路ローラ15は、第1切替部14と反転ローラ16との間の反転経路RRに沿って所定の間隔を空けて配置されている。往路ローラ15は、図示しないモータにより駆動される。
【0027】
反転ローラ16は、往路ローラ15により搬送されてきた用紙Pをスイッチバックして復路ローラ17へと搬送する。反転ローラ16は、往路ローラ15の下流側において、反転経路RRに沿って配置されている。反転ローラ16は、用紙Pのスイッチバックを行うため、図示しないモータにより正逆転可能に構成されている。
【0028】
複数対の復路ローラ17は、反転ローラ16によりスイッチバックされた用紙Pを最下流の中間ローラ12へと搬送する。複数対の復路ローラ17は、反転ローラ16と最下流の中間ローラ12との間において、反転経路RRに沿って所定の間隔を空けて配置されている。復路ローラ17は、図示しないモータにより駆動される。
【0029】
第2切替部18は、往路ローラ15によって搬送される用紙Pを反転ローラ16へとガイドする。また、第2切替部18は、反転ローラ16によってスイッチバックされて上方向に搬送される用紙Pを復路ローラ17へとガイドする。第2切替部18は、反転経路RRにおいて、往路と復路とが分岐する箇所に配置されている。
【0030】
排紙台3は、排紙ローラ13により排紙された印刷済みの用紙Pが積載されるものである。排紙台3は、排紙ローラ13に対して、右側の下方に配置されている。排紙ローラ13が設置された所定の高さから排紙された用紙Pが落下されることにより、排紙台3に用紙Pが整列して積載される。排紙台3は、昇降可能に構成されている。
【0031】
エレベータ部4は、排紙台3を昇降させる。エレベータ部4は、排紙台3を昇降させるための駆動力を発生する昇降モータ19と、昇降モータ19の駆動力を排紙台3に伝達して排紙台3を昇降させる駆動力伝達機構(図示せず)とを備える。昇降モータ19の正転駆動により排紙台3が上昇し、逆転駆動により排紙台3が下降する。
【0032】
用紙センサ5は、排紙台3へ排紙された用紙Pを、排紙ローラ13が設置された所定の高さに対応する規定高さ位置において検出するためのものである。用紙センサ5は、排紙動作時において、排紙台3に積載された用紙Pのうちの最上位の用紙Pの上面を規定高さ位置の近傍に維持するための上面維持動作に用いられる。規定高さ位置は、排紙ローラ13から排紙台3へと落下した用紙Pが整然と積載されるようにするために最適な落下距離に応じた高さ位置として予め設定されたものである。用紙センサ5は、発光部5aと、受光部5bとを有する。発光部5aと受光部5bとは、排紙台3上に用紙Pが積載される領域を挟んで、左右方向に互いに離間して配置されている。発光部5aは、光軸が規定高さ位置になるように配置され、受光部5bに向けて右方向に光を発する。受光部5bは、発光部5aとの間に用紙P等の検出対象物がないとき、発光部5aからの光を受光し、発光部5aからの光が検出対象物により遮られると受光しない。すなわち、用紙センサ5は、受光部5bが発光部5aからの光を受光しない状態となることで、検出対象物を検出する。
【0033】
サイドフェンス6は、2枚が前後方向に並設され、排紙台3上に積載される用紙Pの幅方向の位置を規制するものである。2枚のサイドフェンス6は、天井部8の下面に立設されている。2枚のサイドフェンス6は、前後方向に移動可能に構成されている。
【0034】
エンドフェンス7は、排紙台3上に積載される用紙Pの右端の位置を規制するものである。エンドフェンス7は、天井部8の下面に立設されている。エンドフェンス7は、左右方向に移動可能に構成されている。
【0035】
天井部8は、サイドフェンス6およびエンドフェンス7を吊り下げて保持するものである。天井部8は、排紙台3に対向して排紙台3の上方に設けられている。
【0036】
記憶部9は、
図3に示す上面上昇判断時間テーブル21を記憶している。記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive)等からなる。
【0037】
上面上昇判断時間テーブル21は、
図3に示すように、用紙の種別ごとの上面上昇判断時間(請求項の規定時間に相当)Tuを保持している。用紙の種別とは、用紙の種類(普通紙、厚紙、薄紙、封筒等)および用紙サイズにより分類される区分である。上面上昇判断時間Tuは、上面維持動作において、制御部10が、排紙台3上の用紙Pが規定高さ位置に達するまで積載されたと判断するための、用紙センサ5による用紙Pの検出時間の閾値である。
【0038】
制御部10は、排紙装置1全体の動作を制御する。制御部10は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。排紙動作中において、制御部10は、上面維持動作を実行する。具体的には、制御部10は、排紙動作中において、用紙センサ5が用紙Pを検出している時間が上面上昇判断時間Tu以上になると、排紙台3上の用紙Pが規定高さ位置以上にまで積載されたと判断し、エレベータ部4により排紙台3を下降させる。
【0039】
次に、排紙装置1の動作について説明する。
【0040】
排紙装置1の排紙動作は、印刷装置での印刷開始に応じて開始される。制御部10は、印刷装置から順次送り出される用紙Pを搬送部2により搬送して、排紙台3へと順次排紙させる。ここで、制御部10は、印刷装置から送り出された用紙Pの上下の向きをそのままにして排紙するか、用紙Pを上下反転させて排紙するかの指示を印刷装置から受け取る。そして、制御部10は、その指示に応じて搬送部2を制御する。用紙Pの上下の向きをそのままにして排紙する場合、制御部10は、反転経路RRを経由することなく排紙経路RDに沿って用紙Pを搬送して排紙するよう搬送部2を制御する。用紙Pを上下反転させて排紙する場合、制御部10は、反転経路RRを経由することで用紙Pを上下反転させて排紙するよう搬送部2を制御する。
【0041】
搬送部2から排紙される用紙Pは、排紙ローラ13から落下し、サイドフェンス6およびエンドフェンス7により位置を規制されつつ、排紙台3上に積載される。用紙Pが順次排紙されるにつれて、排紙台3上における用紙Pの積載高さが徐々に大きくなる。このため、排紙台3の高さ位置を固定すると、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面の位置が徐々に高くなる。最上位の用紙Pの上面の位置が高くなることにより、排紙される用紙Pの落下距離が変化すると、排紙台3上の用紙の整列性が低下するおそれがある。そこで、排紙装置1では、排紙動作中に上面維持動作を行う。
【0042】
上面維持動作を含む排紙台3の高さ調整処理について、
図4のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
制御部10は、印刷装置での印刷開始に応じて、
図4のフローチャートの処理を実行する。まず、
図4のステップS10において、制御部10は、上面位置出し動作を実行する。
【0044】
具体的には、制御部10は、昇降モータ19の正転駆動を開始させることで、排紙台3の上昇を開始させる。なお、排紙動作の開始前は、排紙台3が所定の位置まで下降された状態にある。昇降モータ19の正転駆動を開始させた後、用紙センサ5がONになると、制御部10は、昇降モータ19を停止させることで、排紙台3の上昇を停止させる。その後、制御部10は、昇降モータ19の逆転駆動を開始させることで、排紙台3の下降を開始させる。そして、用紙センサ5がOFFになると、制御部10は、昇降モータ19を停止させることで、排紙台3の下降を停止させる。以上により、上面位置出し動作が終了する。上面位置出し動作により、排紙台3の上面(排紙台3上に用紙Pが積載されている場合は、最上位の用紙Pの上面)が、規定高さ位置へと調整される。
【0045】
ここで、用紙センサ5が検出対象物を検出している状態(発光部5aからの光が検出対象物で遮られて受光部5bが受光していない状態)をON、検出対象物を検出していない状態(発光部5aからの光を受光部5bが受光している状態)をOFFとする。受光部5bは、発光部5aからの光を受光すると信号を出力し、制御部10は、発光部5aの出力信号により、用紙センサ5のON/OFFを判断する。
【0046】
ステップS10の上限位置出し動作は、搬送部2から排紙台3への用紙Pの排紙が始まるまでに終了する。上限位置出し動作が終了すると、搬送部2から排紙台3へと用紙Pが順次排紙される。
【0047】
上限位置出し動作が終了すると、ステップS20において、制御部10は、用紙センサ5がONになったか否かを判断する。
【0048】
用紙センサ5がOFFであると判断した場合(ステップS20:NO)、ステップS30において、制御部10は、印刷装置による印刷枚数分の排紙が終了したか否かを判断する。
【0049】
印刷枚数分の排紙が終了したと判断した場合(ステップS30:YES)、制御部10は、排紙台3の高さ調整処理を終了する。印刷枚数分の排紙が終了していないと判断した場合(ステップS30:NO)、制御部10は、ステップS20へと戻る。
【0050】
ステップS20において、用紙センサ5がONになったと判断した場合(ステップS20:YES)、ステップS40において、制御部10は、用紙センサ5がONになってから上面上昇判断時間Tuが経過したか否かを判断する。ここで、制御部10は、印刷に使用されている用紙Pの種別に対応する上面上昇判断時間Tuを上面上昇判断時間テーブル21から取得し、取得した上面上昇判断時間Tuの値に基づき、ステップS40の判断を行う。制御部10は、印刷装置での印刷開始時に、用紙Pの種別を示す情報を印刷装置から取得している。
【0051】
用紙センサ5がONになってから上面上昇判断時間Tuは経過していないと判断した場合(ステップS40:NO)、制御部10は、ステップS50へと進む。用紙センサ5がONになってから上面上昇判断時間Tuが経過したと判断した場合(ステップS40:YES)、制御部10は、ステップS60へと進む。
【0052】
ステップS50では、制御部10は、用紙センサ5がOFFになったか否かを判断する。用紙センサ5がOFFになったと判断した場合(ステップS50:YES)、制御部10は、ステップS30へと戻る。用紙センサ5がONであると判断した場合(ステップS50:NO)、制御部10は、ステップS40へと戻る。
【0053】
ステップS60では、制御部10は、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置に達するまで用紙Pが積載されたと判断し、昇降モータ19の逆転駆動を開始させる。これにより、排紙台3の下降が開始される。
【0054】
次いで、ステップS70において、制御部10は、用紙センサ5がOFFになったか否かを判断する。用紙センサ5がONであると判断した場合(ステップS70:NO)、制御部10は、ステップS70を繰り返す。
【0055】
用紙センサ5がOFFになったと判断した場合(ステップS70:YES)、ステップS80において、制御部10は、用紙センサ5がOFFになってから上面下降判断時間Tdが経過したか否かを判断する。上面下降判断時間Tdは、上面維持動作における排紙台3の下降時において、制御部10が、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置以下にまで下降したと判断するための、用紙センサ5がOFFになってからの経過時間の閾値である。
【0056】
用紙センサ5がOFFになってから上面下降判断時間Tdは経過していないと判断した場合(ステップS80:NO)、制御部10は、ステップS90へと進む。用紙センサ5がOFFになってから上面下降判断時間Tdが経過したと判断した場合(ステップS80:YES)、制御部10は、ステップS100へと進む。
【0057】
ステップS90では、制御部10は、用紙センサ5がONになったか否かを判断する。用紙センサ5がONになったと判断した場合(ステップS90:YES)、制御部10は、ステップS70へと戻る。用紙センサ5がOFFであると判断した場合(ステップS90:NO)、制御部10は、ステップS80へと戻る。
【0058】
ステップS100では、制御部10は、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置以下にまで下降したと判断し、昇降モータ19を停止させる。これにより、排紙台3の下降が停止する。この後、制御部10は、ステップS30へと戻る。
【0059】
次に、上述した
図4のフローチャートの高さ調整処理における排紙台3の上面維持動作の一例を、
図5のタイミングチャートを参照して説明する。
【0060】
図5において、上段は、用紙センサ5のON/OFFの状態を示し、下段は、昇降モータ19のON/OFFの状態を示す。ここで、
図5における昇降モータ19のONは、排紙台3を下降させるための逆転駆動を示す。
【0061】
排紙台3上の最上位の用紙Pの上面の位置が規定高さ位置より低い状態において、排紙ローラ13から排紙台3へと用紙Pが排紙されると、
図6に示すように、排紙台3へと落下中の用紙Pが、用紙センサ5の発光部5aの光軸Laを横切る。これにより、発光部5aの光が用紙Pで遮蔽され、用紙センサ5が用紙Pを検出しているONの状態となる。
図5の例では、時刻t1と時刻t2との間において、落下中の用紙Pにより用紙センサ5がONとなっている。
【0062】
図5において、時刻t1と時刻t2との間の時間τ1は、上面上昇判断時間Tu=τaより小さい。上面上昇判断時間τaは、
図5の例において使用されている用紙Pの種別に応じた値である。この上面上昇判断時間τaは、落下中の用紙Pにより用紙センサ5がONとなると想定される時間よりも大きい時間として予め求められ、上面上昇判断時間テーブル21に保持されている。上面上昇判断時間τaは、例えば、実験的に求められる。
【0063】
時間τ1が上面上昇判断時間τaより小さいため、用紙センサ5が時刻t1でONとなった後、時刻t2でOFFとなることで、
図2のステップS50で「YES」と判断され、
図5に示すように、昇降モータ19は駆動開始されない。
【0064】
用紙Pが排紙台3上に順次積載され、積載高さが大きくなると、排紙台3上に積載された用紙Pにより発光部5aの光が遮蔽され、用紙センサ5がONとなる。この場合、上述した落下中の用紙Pにより用紙センサ5がONとなる場合と異なり、排紙台3を下降させなければ、用紙センサ5はOFFにならない。そこで、用紙センサ5がONとなってから上面上昇判断時間Tuが経過してもOFFにならない場合、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置に達するまで用紙Pが積載されたと判断される。
【0065】
図5の例では、時刻t3において用紙センサ5がONとなり、ONの状態のまま上面上昇判断時間Tu=τaが経過すると、
図2のステップS40で「YES」と判断され、時刻t3からτa後の時刻t4において昇降モータ19が駆動開始される。昇降モータ19の駆動により排紙台3が下降し、時刻t5において用紙センサ5がOFFとなると、時刻t5から上面下降判断時間Tdが経過後の時刻t6において、昇降モータ19が停止される。
【0066】
図7は、
図5の例とは異なる種別の用紙Pが使用されている場合の上面維持動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0067】
図7は、
図5の例よりも、落下中の姿勢が乱れやすい種別の用紙Pを用いた場合の例を示している。例えば、用紙Pとして封筒が使用される場合、ある用紙Pが落下中に大きく傾くことにより、用紙センサ5の発光部5aの光軸Laを横切る時間(用紙センサ5がONとなる時間)が他の用紙Pより長くなることがある。
図7では、時刻t11から時刻t12までの用紙センサ5がONの時間τ11が、時刻t13から時刻t14までの用紙センサ5がONの時間τ12よりも長くなっている。
【0068】
図7の例において、
図5の例と同様の上面上昇判断時間τaを用いたとすると、落下中の姿勢が乱れた用紙Pにより用紙センサ5がONとなった時間τ11が、上面上昇判断時間τaよりも大きくなることがある。このため、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置にまで達していないにもかかわらず、排紙台3が下降されることがある。
【0069】
そこで、
図7の例では、使用されている用紙Pに応じた、
図5の上面上昇判断時間τaよりも大きい上面上昇判断時間τbが用いられる。
図7では、時間τ11が上面上昇判断時間τbより小さいため、用紙センサ5が時刻t11でONとなった後、時刻t12でOFFとなることで、
図2のステップS50で「YES」と判断され、昇降モータ19は駆動開始されない。また、用紙センサ5が時刻t13でONとなった後、時刻t14でOFFとなることで、
図2のステップS50で「YES」と判断され、昇降モータ19は駆動開始されない。
【0070】
その後、時刻t15において用紙センサ5がONとなり、ONの状態のまま上面上昇判断時間Tu=τbが経過すると、
図2のステップS40で「YES」と判断され、時刻t15からτb後の時刻t16において昇降モータ19が駆動開始される。昇降モータ19の駆動により排紙台3が下降し、時刻t17において用紙センサ5がOFFとなると、時刻t7から上面下降判断時間Tdが経過後の時刻t18において、昇降モータ19が停止される。
【0071】
図8は、
図5の例とは異なる種別の用紙Pが使用されている場合の上面維持動作の他の例を説明するためのタイミングチャートである。
【0072】
図8は、
図5の例よりも、落下速度が遅い種別の用紙Pを用いた場合の例を示している。例えば、
図5の例の用紙よりも単位面積あたりの重量が小さい薄紙が使用される場合、
図5の例の用紙と同じ用紙サイズでも落下速度が遅くなる。
図8では、時刻t21から時刻t22までの、落下中の用紙Pによる用紙センサ5がONの時間τ21が、
図5における落下中の用紙Pによる用紙センサ5がONの時間τ1よりも長くなっている。また、
図8における時間τ21は、
図5の例における上面上昇判断時間τaよりも長くなっている。
【0073】
図8の例において、
図5の例と同様の上面上昇判断時間τaを用いたとすると、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置に達していなくても、用紙Pが排紙台3へと落下するたびに、排紙台3の下降が行われてしまう。
【0074】
そこで、
図8の例では、使用されている用紙Pに応じた、
図5の上面上昇判断時間τaよりも大きい上面上昇判断時間τcが用いられる。
図8では、時間τ21が上面上昇判断時間τcより小さいため、用紙センサ5が時刻t21でONとなった後、時刻t22でOFFとなることで、
図2のステップS50で「YES」と判断され、昇降モータ19は駆動開始されない。
【0075】
その後、時刻t23において用紙センサ5がONとなり、ONの状態のまま上面上昇判断時間Tu=τcが経過すると、
図2のステップS40で「YES」と判断され、時刻t23からτb後の時刻t24において昇降モータ19が駆動開始される。昇降モータ19の駆動により排紙台3が下降し、時刻t25において用紙センサ5がOFFとなると、時刻t25から上面下降判断時間Tdが経過後の時刻t26において、昇降モータ19が停止される。
【0076】
次に、上面上昇判断時間Tuの補正について説明する。
【0077】
前述のように、上面上昇判断時間Tuの値は、予め上面上昇判断時間テーブル21に用意されている。この上面上昇判断時間テーブル21における上面上昇判断時間Tuの値は、落下中の用紙Pにより用紙センサ5がONとなると想定される時間よりも大きい時間であり、大きめに余裕を持って決められる。上面維持動作においては、排紙台3を早く下降させて、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面を規定高さ位置に早く到達させることが好ましい。これにより、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面を、より良好に規定高さ位置の近傍に維持することができる。このため、上面上昇判断時間Tuは小さいことが好ましい。そこで、制御部10は、上面上昇判断時間Tuを小さくするための補正を行う。
【0078】
そのために、制御部10は、排紙動作中において、落下中の用紙Pにより用紙センサ5がONになっている時間である落下用紙検出時間(請求項の落下媒体検出時間に相当)を求める。具体的には、制御部10は、排紙動作中において、用紙センサ5がONになった後、上面上昇判断時間Tuが経過する前にOFFになった場合の、用紙センサ5がONになってからOFFになるまでの時間を落下用紙検出時間として、内蔵のタイマ機能により計測する。
【0079】
そして、制御部10は、用紙種類ごとに、落下用紙検出時間に基づいて上面上昇判断時間テーブル21の上面上昇判断時間Tuを補正する。例えば、制御部10は、上面上昇判断時間テーブル21の上面上昇判断時間Tuが、所定枚数分の落下用紙検出時間の平均値よりも所定値以上、大きい場合、上面上昇判断時間テーブル21の上面上昇判断時間Tuの値を小さくする補正を行う。なお、落下用紙検出時間に基づいて上面上昇判断時間Tuを補正する方法は、これに限らず、用紙の種別に応じて適切な方法を選択できる。
【0080】
以上説明したように、排紙装置1では、用紙の種別に応じて上面上昇判断時間Tuを設定する。これにより、排紙装置1は、排紙動作中において、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置に達していないにもかかわらず排紙台3が下降することを防止できる。また、上面上昇判断時間Tuが必要以上に大きすぎて、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面が規定高さ位置に到達するのが遅くなることを回避できる。したがって、排紙装置1は、さまざまな種別の用紙Pの排紙動作において、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面を規定高さ位置の近傍に維持することができ、用紙Pの落下距離を最適に維持できる。この結果、排紙装置1は、用紙Pの整列性の低下を抑制できる。
【0081】
また、排紙装置1は、落下用紙検出時間に基づいて上面上昇判断時間Tuを補正することで、排紙台3上の最上位の用紙Pの上面を、より良好に規定高さ位置の近傍に維持することができる。これにより、排紙装置1は、用紙Pの整列性の低下をより抑制できる。
【0082】
本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。