(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、タブレット型PC(パーソナルコンピュータ)等の入力デバイスとして位置入力装置が用いられている。この位置入力装置は、例えば、ペン型に形成された座標指示器(ペン型座標指示器)と、このペン型座標指示器を用いて、ポインティング操作や文字及び図等の入力を行う入力面を有する位置検出装置から構成される。
図10に従来のペン型座標指示器100と位置検出装置200の概略構成の一例を示す。
【0003】
ペン型座標指示器100は、回路構成としては、
図10の左上端部に示すように、フェライトコア104と、フェライトチップ102とを有し、フェライトコア104に巻回されたコイル105に対して、1以上の共振コンデンサ115が接続されてなる。
図10においては、コイル105に対して2つの共振コンデンサ115a、115bが接続されている場合を示している。
【0004】
ペン型座標指示器100のより具体的な構成を
図11に示す。
図11は、ペン型座標指示器100の断面図であるが、説明を簡単にするため、コイル105はフェライトコア104に巻回された状態を示している。
図11に示すように、ペン型座標指示器100は、コイル105が巻回されてなるフェライトコア104とフェライトチップ102とを、O(オー)リング103を介して対向させ、芯体101に押圧力(筆圧)が加わることによりフェライトチップ102がフェライトコア104に近づく構成となっている。
【0005】
なお、Oリング103は、合成樹脂や合成ゴム等を英字「O」状に形成してなるリング状の部材である。また、ペン型座標指示器100は、上述した部分の他、
図11に示したように、基板ホルダー113、基板114、共振コンデンサ115、共振回路116、リング型フィルム117、緩衝部材118が、中空のケース111内に収納され、キャップ112によりそれらの位置が固定されている。そして、ペン先を構成する芯体101が当接されるフェライトチップ102が、芯体に加わる押圧力に応じてフェライトコア104に接近すると、これに応じてコイル105のインダクタンスが変化し、共振回路116のコイル105から送信される電波の位相(共振周波数)が変化する構成になっている。
【0006】
一方、位置検出装置200は、
図10に示すように、X軸方向ループコイル群211と、Y軸方向ループコイル群212とを積層させた位置検出コイル210を有する。各ループコイル群211,212は、例えば、それぞれ40本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群211,212を構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。これらX軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212は選択回路213に接続される。選択回路213は、2つのループコイル群211,212のうちの一のループコイルを順次選択する。
【0007】
そして、発振器221は、周波数f0の交流信号を発生し、電流ドライバ222と同期検波器229に供給する。電流ドライバ222は、発振器221から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路223に供給する。切り替え接続回路223は、後述する処理制御部233からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。そして、送信側端子Tには電流ドライバ222が接続され、受信側端子Rには受信アンプ224が接続されている。
【0008】
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路223を介して受信アンプ224に供給される。受信アンプ224は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器225及び同期検波器229に供給する。検波器225は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ226に供給する。低域フィルタ226は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器225の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路227に供給する。サンプルホールド回路227は、低域フィルタ226の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路228に供給する。A/D変換回路228は、サンプルホールド回路227のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部233に供給する。
【0009】
同期検波器229は、受信アンプ224の出力信号を発振器221からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ230に供給する。この低域フィルタ230は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器229の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路231に供給する。サンプルホールド回路231は、低域フィルタ230の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D変換回路232に供給する。A/D変換回路232は、サンプルホールド回路231のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部233に供給する。
【0010】
処理制御部233は、位置検出装置200の各部を制御する。すなわち、処理制御部233は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路223の切り替え、サンプルホールド回路227、231のタイミングを制御する。処理制御部233は、A/D変換回路228、232からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212から一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
【0011】
X軸方向ループコイル群211及びY軸方向ループコイル群212の各ループコイルには、ペン型座標指示器100から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理制御部233は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいてペン型座標指示器100のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部233は、送信した電波と受信した電波との位相差に基づいて筆圧を検出する。
【0012】
このように、ペン型座標指示器100および位置検出装置200からなる従来の位置入力装置においては、ペン型座標指示器100による指示位置だけでなく、ペン型座標指示器100に加えられている押圧力、すなわち筆圧の検出もできるようになっている。なお、
図10、
図11を用いて説明した従来のペン型座標指示器100の詳細については、後に記す特許文献1に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図を参照しながら、この発明のペン型座標指示器の一実施の形態について具体的に説明する。
【0026】
図1は、この発明によるペン型座標指示器1の実施形態を説明するための図である。また、
図2は、この実施形態のペン型座標指示器1を用いる電子機器2の一例を示すもので、この例では、電子機器2は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面2Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面2Dの裏部に、電磁誘導方式の位置検出装置22を備えている。この位置検出装置22は、
図10を用いて説明した従来の位置検出装置200と同様に構成されるものである。
【0027】
そして、この例の電子機器2の筐体には、ペン型座標指示器1を収納する収納凹穴21を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴21に収納されているペン型座標指示器1を、電子機器2から取り出して、表示画面2Dで位置指示操作を行う。
【0028】
電子機器2においては、表示画面2D上で、ペン型座標指示器1により位置指示操作がされると、表示画面2Dの裏部に設けられた位置検出装置22が、ペン型座標指示器1で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器2の位置検出装置22が備えるマイクロコンピュータが、表示画面2Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
【0029】
[ペン型座標指示器1の構成]
図1は、ペン型座標指示器1のケース10やホルダー17の手前側半分を切断して取り除き、その内部の構造の概略を示している。
図1において、ケース10は、ボールペンやシャープペンシル等の一般的な筆記具を模して、より小型に形成されたABS樹脂等の合成樹脂あるいは金属製の筐体であり、以下に説明する各部材が収納可能なように中空となっている。また、ケース10は、
図1に示すように少なくともその一方の端部が細くなるように形成され、その先端は開口部を有する。
【0030】
ケース10の細くなるように形成された先端部には、ケース10の開口部から突出するようにペン先を構成する芯体11が配設される。ケース10の内部に位置する芯体11の基端部には、
図1に示したようにケース10の開口部部分に係合する突起が設けられており、芯体の全部がケース10から突出しない構造になっている。なお、芯体11は、操作面に当接して使用される場合の摩擦に対する耐性を考慮して、ポリアセタール樹脂(ジュラコン)等の合成樹脂製である。
【0031】
そして、
図1に示すように、芯体11の基端部の端面に対して、第1フェライトコア13が端面を当接させて設けられる。第1フェライトコア13は、長手方向と交差する方向に切断した場合の切断面が、円形や方形に形成された柱状(棒状)の磁性体部材である。この第1フェライトコア13の側面には、
図1に示すようにコイル12が細かく巻回されている。コイル12は、後述する基板18の共振回路(図示せず)に接続されている。
【0032】
また、
図1に示すように、第1フェライトコア13の芯体11側とは反対側の端面(基端部の端面)に対して、第2フェライトコアが端面を対向させるようにして設けられる。第2フェライトコア16も長手方向と交差する方向に切断した場合の切断面が、円形や方形に形成された柱状(棒状)の磁性体部材である。そして、対向する第1フェライトコアの端面と、第2フェライトコア16の端面とは、所定面積を持って対向するようになっている。
【0033】
そして、
図1に示すように、第2フェライトコア16の第1フェライトコア13とは反対側の端部(基端部)には外側に張り出す突起部が設けられており、これがホルダー17の凹部17aと嵌合する。これにより、第2フェライトコア16が、ケース10内において移動することがないように、その位置が規制(固定)される。
【0034】
また、
図1に示すように、第1フェライトコア13の基端部には外側に張り出す突起部が設けられており、これがホルダー17の突起部17bと係合する。これにより、第1フェライトコア13のケース10内における芯体11方向への移動が規制される。すなわち、第1フェライトコア13は、ケース内10において、ペン型座標指示器1の中心線CLに沿う方向(長手方向)には、所定の範囲で摺動可能にされる。しかし、芯体11方向への摺動(移動)は、ホルダー17の突起17bによって規制され、必要以上に芯体11側に動かないようになっている。
【0035】
そして、
図1に示すように、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間には、第1弾性体としてのコイルバネ14が設けられると共に、第2弾性体としてのシート状のシリコンラバー(シリコンゴム)15が設けられる。この実施の形態において、シリコンラバー15は、第2フェライトコア16の端面と対向する第1フェライトコア13の端面の全面に設けられる。また、シリコンラバー15と第2フェライトコア16の端面との間には、所定幅の空隙Arが設けられている。
【0036】
なお、この実施の形態において、コイルバネ14は、シリコンラバー15よりも弾性係数の小さなものである。すなわち、コイルバネ14の弾性係数をk1とし、シリコンラバー15の弾性係数をk2とすると、k1<k2という関係になっている。したがって、コイルバネ14の方が小さな押圧力で弾性変形し、シリコンラバー15はコイルバネ14よりも大きな押圧力を加えないと弾性変形しない。
【0037】
また、
図1に示すように、コイルバネ14は、その一部が第2フェライトコアの側面を巻回するように設けられ、その一端はホルダー17の突起部17cに当接し、他端は第1フェライトコア13の端面に設けられたシリコンラバー15に当接している。これにより、コイルバネ14は、当接部間で弾性的に付勢され、ケース10内で位置が固定された第2フェライトコア16の端面から第1フェライトコア13の端面を引き離すように作用している。すなわち、コイルバネ14は、第1フェライトコアの端面と第2フェライトコアの端面との間に設けられているのと等価である。
【0038】
なお、コイルバネ14を第2フェライトコアの側面を巻回するように設けることにより、次のような利点がある。すなわち、所定の弾性係数k1を有するコイルバネ14を、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間に介設することができ、しかも、コイルバネ14自体が、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との接近の邪魔になることもない。
【0039】
そして、
図1に示すように、第2フェライトコア16の上側には、基板18が設けられている。基板18は、共振コンデンサ等が実装されたプリント基板等であり、ホルダー17を介してケース10内に固定される。基板18上に実装された共振コンデンサ等の素子と、第1フェライトコアに巻回されたコイル
12とを含んで共振回路(同調回路)が構成される。すなわち、この実施の形態のペン型座標指示器1もまた、
図10の左上端部に等価回路を示した従来のペン型座標指示器100と同様の等価回路を構成している。
【0040】
このように構成されるペン型座標指示器1は、
図2に示した電子機器2の位置検出装置22上で操作される。そして、この実施の形態のペン型座標指示器1は、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間に、コイルバネ14とシリコンラバー15とが介設される。これにより、主にコイルバネ14の作用によって、第1フェライトコア13は、第2フェライトコア16から引き離されるようにされているので、芯体11を上に向けるようにしても第1フェライトコア13と第2フェライトコア16とが近づくことは無い。したがって、例えば、芯体11を上に向くように扱っても、押圧力の誤検出を生じさせることが無い。
【0041】
また、コイルバネ14とシリコンラバー15との作用により、芯体11にかけられた押圧力(筆圧)の検出レンジを広げることができる。しかも押圧力に応じて適切に位相(周波数)が変化する電波を位置検出装置22に送信し、押圧力(筆圧)の検出を適切に行えるようにすることができる。次に、この実施の形態のペン型座標指示器1におけるコイルバネ14とシリコンラバー15の機能について具体的に説明する。
【0042】
[ペン型座標指示器1の主要部の構成]
図3は、
図1に示したこの実施の形態のペン型座標指示器1の第1フェライトコア13の端面と第2フェライトコア16の端面とが対向する部分を拡大して示した図である。
図3Aに示すように、この実施の形態のペン型座標指示器1は、芯体11側(図の下側)から、第1フェライトコア13、シリコンラバー15、コイルバネ14、第2フェライトコア16の順に直列的に配列された構造となる。そして、この実施の形態においては、シリコンラバー15と第2フェライトコア16との間には、所定の空隙Arが設けられる。
【0043】
上述もしたように、コイルバネ14は、ホルダー17の突起部17cとシリコンラバー15との間で弾性的に付勢され、ケース10内で位置が固定された第2フェライトコア16の端面から第1フェライトコア13の端面を引き離すように作用する。これにより、この実施の形態のペン型座標指示器1は、例えば、傾けたり、振ったり、また、芯体11が上を向くように扱っても、第1フェライトコア13の端面が第2フェライトコア16の端面に近づくことは無い。すなわち、傾けたり、振ったり、また、芯体11を上に向けたりしても、第1フェライトコア13に巻回されたコイル12のインダクタンスが変化することは無い。これにより、ペン型座標指示器1から送信される電波の位相が不必要に変化することを防止でき、電子機器2側の位置検出装置22でのペン型座標指示器1に対してかけられた押圧力(筆圧)の誤検出を防止できる。
【0044】
そして、ペン型座標指示器1は、通常の筆記具と同じく芯体11を電子機器2の表示画面2Dに押しつけるようにして操作される。したがって、ペン型座標指示器1の操作時には、芯体11がケース10の内部に押し込まれることにより、コイル12が巻回された第1フェライトコア13が芯体11とともに第2フェライトコア側へ押し込まれる。
【0045】
図4は、このように芯体11に押圧力が加えられた場合のコイルバネ14とシリコンラバー15の作用について説明するための図である。芯体11に押圧力が加えられ、第1フェライトコア13が第2フェライトコア側へ押圧されたとする。この場合、
図4Aに示すように、まず、シリコンラバー15よりも弾性係数が小さいコイルバネ14が弾性変形して縮み、第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に近づく。そして、さらに押圧され、
図4Bに示すようにシリコンラバー15が第2フェライトコア16の端面に押し付けられるようになると、シリコンラバー15が弾性変形し、第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に対してさらに近づく。
【0046】
この実施の形態においては、上述したように、コイルバネ14の方が、シリコンラバー15よりも弾性係数が小さいため、
図4Aに示したように、主にコイルバネ14が弾性変形する区間では、比較的に急峻に第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に対して近づく。しかし、
図4Bに示したように、シリコンラバー15も弾性変形する区間では、シリコンラバー15の弾性係数はコイルバネ14よりも大きいので、押圧力に応じて、第1フェライトコア13は第2フェライトコア16に対して徐々に近づく。
【0047】
このように、この実施の形態のペン型座標指示器1では、コイルバネ14とシリコンラバー15の作用により、芯体11に加わる押圧力(筆圧)に応じて、第1フェライトコア13に巻回されたコイル12のインダクタンスを変化させる区間を拡大させている。さらに、この実施の形態のペン型座標指示器1では、コイルバネ14が主に作用する区間とシリコンラバー15が主に作用する区間とが設けられることにより、第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に近づく態様が異なる2つの区間を設け、より感度よく押圧力に応じた変化を検出できるようにしている。
【0048】
[効果の検証]
図5は、ペン型座標指示器の位相−荷重特性のグラフを示す図である。
図5において、グラフG1は、この実施の形態のペン型座標指示器1についての位相−荷重特性を示している。また、グラフのグラフG2は、
図10、
図11を用いて説明した従来のペン型座標指示器100についての位相−荷重特性を示している。
【0049】
従来のペン型座標指示器100の場合には、
図11を用いて説明したように、フェライトコア104とフェライトチップ102との間にはOリング103が存在している。このため、Oリング103を押しつぶすようにしてフェライトコア104に対して、フェライトチップ102を近づけるには、大きな押圧力(荷重)をペン型座標指示器100の芯体101に加える必要がある。また、Oリング103を押しつぶすのにも限界がある。
【0050】
このため、従来のペン型座標指示器100の場合には、押圧当初の荷重が比較的に軽い区間においては比較的に大きくコイル105のインダクタンスが変化し、
図5のグラフG2に示すように比較的に大きな位相変化が得られる。しかし、一定以上の押圧力を加えてしまうと、フェライトコア104とフェライトチップ102とがぶつかり間隔は狭められなくなり、位相の変化は所定値に張り付く結果となる。そして、上述もしたように、ペン型座標指示器100からの位相の変化については、所定の閾値を超えるまで検出しないようにしているため、
図5のグラフG2に示した特性の場合には、位相の変化がほぼ、+20から−20の範囲でしかユーザーの押圧力(筆圧)を検出できないことになる。
【0051】
これに対して、この実施の形態のペン型座標指示器1の場合には、端面が対向する第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間には、
図1、
図3、
図4を用いて説明したように、コイルバネ14とシリコンラバー15が設けられた構成となっている。このため、芯体11に押圧力(筆圧)が加えられると、
図4Aを用いて説明したように、シリコンラバー15よりも弾性係数の小さなコイルバネ14がまず作用する。この場合、第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に対して比較的に素早く接近するため、コイル12のインダクタンスも素早く変化し、
図5のグラフG1に示すように、押圧当初の荷重が比較的に軽い区間においては急峻に位相が変化する。
【0052】
すなわち、
図1、
図3、
図4に示したように、この例の場合には、コイルバネ14とシリコンラバー15とが直列に接した状態にある。このため、シリコンラバー15に第2フェライトコア16の端面が接するまでの区間(距離)では、コイルバネ14の影響が支配的となるが、押圧力(筆圧)の検出感度はコイルバネ14とシリコンラバー15とにより決まる第1弾性係数に応じたものとなる。
【0053】
そして、さらに押圧され、
図4Bに示したようにシリコンラバー15が第2フェライトコア16の端面に押し付けられるようになると、シリコンラバー15が弾性変形する。この場合、弾性係数の大きいシリコンラバー15は押圧力に応じて徐々に変形するため、第1フェライトコア13が第2フェライトコア16に対して少しずつ近づいて行くことになる。
【0054】
図4Bに示した状態の場合、コイルバネ14の弾性係数k1は既に限界を超えているか、あるいは、押圧力感度にはあまり影響を与えないようなほぼ一定の値になっていると考えることができる。このため、
図1、
図3、
図4に示した例において、シリコンラバー
15に第2フェライトコア16が当接した状態になると、主にシリコンラバー14の弾性係数k2が支配的となって、
図5のグラフG1に示すように、押圧力に応じて、位相が徐々に変化していく。このシリコンラバー15の作用により、従来よりも荷重の変化が広い範囲で、ペン型座標指示器1から送信される電波の位相を変化させることができる。
【0055】
このように、この例のペン型座標指示器1は、シリコンラバー15に第2フェライトコア16の端面が接するまでは、コイルバネ14とシリコンラバー15とにより決まる第1弾性係数に応じた押圧力感度を有する。そして、この例のペン型座標指示器1は、シリコンラバー15に第2フェライトコア16の端面が接した後の区間(距離)においては、主にシリコンラバー14の弾性係数k2が支配的となって、上述の第1弾性係数よりも大きな第2弾性係数に応じた押圧力感度を有する。
【0056】
そして、この実施の形態のペン型座標指示器1においても、従来のペン型座標指示器100の場合と同様に、位相の変化の検出について所定の閾値を用いるようにしたとしても、
図5のグラフG1に示したように、位相の変化がほぼ、+20から−60の近傍までの範囲で押圧力(筆圧)の検出が可能となる。すなわち、十分に押圧力(筆圧)を検出できるようにする構成として、一定の閾値まではできるだけ軽く、大きな位相変化が起きるように弾性係数の小さなコイルバネ14を主に作用させる構成を有する。そして、一定の閾値(
図5においては、位相+20)を超えたときには、荷重に応じて位相変化が起きるように弾性係数の大きなシリコンラバー15を主に作用させる構成を有する。
【0057】
このように、この実施の形態のペン型座標指示器1は、例えば芯体11を上に向けて使用した場合の誤検出の防止し、押圧力(筆圧)の検出範囲を拡大すると共に、押圧力(筆圧)の検出を柔軟に、かつ、より適切に行うことができるようにしている。
【0058】
なお、
図1および
図3Aを用いて説明したように、シリコンラバー15は、第1フェライトコア13の端面の全面に設けられるものとして説明したが、これに限るものではない。
図3Aに示した第1フェライトコア13の端面に設けるシリコンラバー15を、
図3Bに示すように、コイルバネ14と当接することがないように、コイルバネ14の内側に収まる大きさとしてもよい。この場合には、コイルバネ14とシリコンラバー15とが当接する部分が無いので、芯体11への押圧当初においては、コイルバネ14のみの作用に応じて、ペン型座標指示器1から送信する電波の位相をより急峻に変化させることができる。
【0059】
この後、さらに押圧力が加えられ、シリコンラバー15と第2フェライトコア16の端面とが当接するようになると、今度は、弾性係数の大きなシリコンラバー15Aが主に作用する。この場合には、主にシリコンラバー15Aの作用により、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との距離を徐々に近づけることができる。したがって、
図3Bに示した例の場合にも、
図1、
図3Aに示した例の場合と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、
図3においては、シリコンラバー15、15Aを、第1フェライトコア13の端面に設けるものとして説明したが、これに限るものではない。シリコンラバー15、15Aを、第1フェライトコア13の端面と対向する第2フェライトコア16の端面に設けるようにしてもよい。
【0061】
[変形例について]
次に、この実施の形態のペン型座標指示器1の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、主に、第1フェライトコア13の端面と第2フェライトコア16の端面との間に介設する第2弾性体としての部材の形状等を変えるものである。
【0062】
[変形例1]
図6は、この実施の形態のペン型座標指示器1の変形例1を説明するための図である。
図6に示す変形例1の場合、シリコンラバー15B、15Cが設けられる第1フェライトコア13Bの端面の中央部分には凹部13Baが設けられている。また、第2弾性体としてのシリコンラバー15B、15Cの中央部分には、第1フェライトコア13Bの凹部13Baと嵌合する凸部15Ba、15Caが設けられている。これら以外の部分は、
図3を用いて説明したペン型座標指示器1の場合と同様に構成される。
【0063】
このように構成することにより、第1フェライトコア13Bの端面に対して、シリコンラバー15B、15Cを目的とする位置に対してずれないように固着することができ、製造を容易にすることができる。また、使用時においても、第1フェライトコア13Bの端面上において、シリコンラバー15B、15Cがずれることが無いので、故障も発生し難くなる。特に、
図6Bに示したように、シリコンラバー15Cが、コイルバネ14の内側に位置するものである場合には効果的である。
【0064】
なお、
図6においては、シリコンラバー15B、15Cを、第1フェライトコア13の端面に設けるものとして説明したが、これに限るものではない。シリコンラバー15B、15Cを、第1フェライトコア
13Bの端面と対向する第2フェライトコア16の端面に設けるようにしてもよい。したがって、第2フェライトコア16の端面の中央部に凹部を設けるようにしてもよい。また、シリコンラバー15B、15Cに厚みの余裕が有れば、シリコンラバー15B、15Cの中央部に凹部を設け、第1フェライトコア13の端面の中央部や第2フェライトコア16の端面の中央部に凸部を設けるように構成してもよい。
【0065】
[変形例2]
図7は、この実施の形態のペン型座標指示器1の変形例2を説明するための図である。
図7に示す変形例2の場合、第1フェライトコア
13Bと第2フェライトコア16との間に介設される第2弾性体としてのシリコンラバー19、19Aの形状が、
図1、
図3、
図6に示したものと異なっている。これら以外の部分は、
図3、図6を用いて説明したペン型座標指示器1の場合とほぼ同様に構成される。
【0066】
そして、
図7Aに示した例の場合には、
図3、
図6に示したシート状のシリコンラバー15、15A、15B、15Cに替えて、球体のシリコンラバー19が用いられている。また、
図7Bに示した例の場合には、
図3、
図6に示したシート状のシリコンラバー15、15A、15B、15Cに替えて、柱状のシリコンラバー19Aが用いられている。柱状のシリコンラバー19Aは、円柱状であっても、角柱状であってもよい。
【0067】
このように構成することにより、第2弾性体としての球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aが作用する範囲を拡大し、芯体11にかかる押圧力(筆圧)を精度よく検出することが可能となる。特に、
図7Aに示したように、球体のシリコンラバー19を用いることにより、押圧力(荷重)に応じた位相の変化を良好なものとすることができる。
【0068】
このように、この変形例2の場合には、シリコンラバー19、19Aに第2フェライトコア16の端面が接するまでは、コイルバネ14により決まる第1弾性係数に応じた押圧力感度を有する。そして、この変形例2の場合には、さらに押圧力が加えられ、シリコンラバー19、19Aに第2フェライトコア16の端面が接した後の区間(距離)においては、シリコンラバー19、19Aが主に作用するものの、コイルバネ14とシリコンラバー19、あるいは、コイルバネ14とシリコンラバー19Aにより決まる第2弾性係数に応じた押圧力感度を有する。
【0069】
なお、第2弾性体としての球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aの大きさは適宜の大きさとすることができる。このため、球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aの大きさに応じて、第1フェライトコア13の端面と第2フェライトコア16の端面とが対向する区間の間隔を調整すればよい。また、図示しないが、第2弾性体として、半球状、円錐状、角錐状のシリコンラバーを用いることもできる。すなわち、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間に介設される第2弾性体は種々の形状のものを用いることができる。
【0070】
また、この変形例2の場合にも、
図6を用いて説明した変形例1の場合と同様に、球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aに凸部を設け、第1フェライトコア13の端面の中央部に凹部を設けて、相互に固定するようにしてもよい。また、第2フェライトコア16の端面の中央部に凹部を設けて、第2フェライトコア16の端面に球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aを設けるようにしてもよい。もちろん、
球体のシリコンラバー19、柱状のシリコンラバー19Aに凹部を設け、第1フェライトコア13の端面の中央部や第2フェライトコア16の端面の中央部に凸部を設けるように構成してもよい。
【0071】
[変形例3]
図8は、この実施の形態のペン型座標指示器1の変形例3を説明するための図である。
図8に示す変形例3の場合、第1フェライトコア13と第2フェライトコア16との間に介設される第2弾性体として、シリコンラバーに替えて第2のコイルバネ20を用いるようにした点が、
図1、
図3、図6、図7に示したものと異なっている。これら以外の部分は、
図3、
図6、
図7を用いて説明したペン型座標指示器1の場合とほぼ同様に構成される。
【0072】
このように、第2弾性体としてコイルバネを用いることも可能であり、設計上の自由度を拡大することができる。例えば、シリコンラバーよりも弾性係数の小さなコイルバネを第2のコイルバネとして、
図8に示した態様で用いるとする。この場合には、第2弾性体としての第2のコイルバネが作用する範囲において、シリコンラバーを用いるようにした場合に比べ、押圧力に応じたコイル12のインダクタンスの変化の程度を急峻にすることができる。この場合には、ペン型座標指示器1の共振回路から送信される電波の位相(周波数)を急峻に変化させることができる。
【0073】
この変形例3の場合にも、
図7に示した変形例2の場合と同様に、第2のコイルバネ20に第2フェライトコア16の端面が接するまでは、コイルバネ14により決まる第1弾性係数に応じた押圧力感度を有する。そして、この例の場合には、さらに押圧力が加えられ、第2のコイルバネ20に第2フェライトコア16の端面が接した後の区間(距離)においては、コイルバネ14と第2のコイルバネ20により決まる第2弾性係数に応じた押圧力感度を有する。なお、この変形例3の場合にも、第2のコイルバネ20を第2フェライトコア16側に設けるようにしてもよい。
【0074】
[可変容量コンデンサを用いたペン型座標指示器への応用]
上述した実施の形態のペン型座標指示器1は、第1フェライトコア13に巻回されたコイルのインダクタンスを変化させることにより、ペン型座標指示器1から送信する電波の位相(周波数)を変化させるようにした。しかし、これに限るものではない。例えば、可変容量コンデンサの容量を変化させることにより、送信する電波の位相(周波数)を変化させるようにするペン型座標指示器にもこの発明を適用することができる。
【0075】
図9は、可変容量コンデンサを用いたペン型座標指示器の等価回路を示す図である。可変容量コンデンサを用いたペン型座標指示器は、コイルLと1つ以上の共振コンデンサCf1、Cf2と、可変容量コンデンサCvとからなる共振回路を備える。この場合の可変容量コンデンサCvは、簡単に構成するとすれば、例えば、
図3に示した第1フェライトコア13と第2フェライトコア16の対向する端面に電極を設けることにより構成することができる。そして、第2フェライトコア16の端面に設けられた電極に対して、第1フェライトコア13の端面に設けられた電極の距離に応じて、これら2つの電極により構成されるコンデンサの容量を可変にすることができる。
【0076】
そして、このような可変容量コンデンサを用いる場合であっても、対向する電極間の距離を、コイルバネやシリコンラバーからなる第1、第2弾性体によって調整することができる。したがって、可変容量コンデンサCvを用いるペン型座標指示器についても、上述したインダクタンス制御のペン型座標指示器1の場合と同様にして、この発明を適用することができる。なお、可変容量コンデンサCvを用いたペン型座標指示器については、例えば、特開平4−96212号公報に詳しく説明されている。
【0077】
[その他の変形例]
なお、上述した実施の形態においては、例えば、コイルバネによって実現される第1弾性体の弾性係数k1は、シリコンラバーで実現される第2弾性体の弾性係数k2よりも小さいものとして説明した。しかし、これに限るものではない。第1弾性体の弾性係数k1と第2弾性体の弾性係数k2は同じであってもよい。また、押圧当初は徐々に送信電波の位相を変化させ、一定以上の押圧力がかけられた後においては、急激に送信電波の位相を変化させるようにしたい場合には、第1弾性体の弾性係数k1を第2弾性体の弾性係数k2よりも大きくすればよい。このように、第1弾性体の弾性係数k1と第2弾性体の弾性係数k2とは適宜のものとすることができる。
【0078】
また、上述した実施の形態においては、第1弾性体としてのコイルバネ14を、第2フェライトコア16に対して巻回する部分を設けるようにしたが、これに限るものではない。コイルバネ14の全体を、対向する第1フェライトコア13の端面と第2フェライトコア16の端面との間に設けるようにしてもよい。
【0079】
また、第1フェライトコア16の端面上であって、第2フェライトコア16の周囲に、細く形成した複数のコイルバネを配設してもよい。この場合には、第2フェライトコア
13の周囲に配設された複数のコイルバネが第1弾性体を構成することになる。また、上述した実施の形態のコイルバネ15と同様の機能を実現することができれば、第1弾性体として、種々の材質、種々の形状の弾性部材を用いることができる。
【0080】
また、第2弾性体として、第1フェライトコア13の端面上や第2フェライトコア16の端面上に、円形や多角形の小さなシリコンラバーを複数個配設したり、小さなコイルバネを複数個配設したりすることもできる。すなわち、上述した実施の形態のシリコンラバー15、15A、15B、15C、19、19A、第2のコイルバネ20と同様の機能を実現することができれば、第2弾性体とて、種々の材質、種々の形状の弾性部材を用いることができる。