特許第5886677号(P5886677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886677
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】緊締具、連結具、及び柵
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/10 20060101AFI20160303BHJP
   F16B 2/08 20060101ALI20160303BHJP
   E04H 17/14 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   F16B2/10 D
   F16B2/08 F
   E04H17/14 102C
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-93219(P2012-93219)
(22)【出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2013-19535(P2013-19535A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2015年1月26日
(31)【優先権主張番号】特願2011-135536(P2011-135536)
(32)【優先日】2011年6月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591197574
【氏名又は名称】山本 和正
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 和正
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4685916(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0044281(US,A1)
【文献】 特開昭64−030410(JP,A)
【文献】 特開2010−261468(JP,A)
【文献】 米国特許第06106029(US,A)
【文献】 特開2004−251347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/00− 2/26
F16B 7/04
F16L 3/00− 3/26
F16L 21/00−21/08
H02G 3/22− 3/40
E04H 17/00−17/26
E01F 13/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材の少なくとも一方の長手方向一端部が他方の緊締部材に対して接離する方向へ回動可能に支持体に枢支されている緊締具において、
前記緊締部材夫々の内側の面に、離隔方向への撓みが可能な可撓体を備え
前記内側の面は嵌入溝を有し、
該嵌入溝は、前記緊締部材の幅方向へ貫通しており、
前記可撓体は、前記嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有し、
前記凸条基部の長手方向一端部は、前記嵌入溝の一端に当接する凸部を有し、
前記凸条基部の他端部に係合して前記可撓体の抜け出しを阻止する抜止体を前記嵌入溝の他端側に設けてあることを特徴とする緊締具。
【請求項2】
前記可撓体は、前記緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配してあることを特徴とする請求項1に記載の緊締具。
【請求項3】
前記凸条接触部は、前記緊締部材の長手方向両側へ延出された二つの可撓板部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の緊締具。
【請求項4】
略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材と、該緊締部材夫々の長手方向一端部を接離方向への回動を可能に枢支してある支持体とを備える緊締具において、前記緊締部材夫々の内側の面は、該緊締部材の幅方向へ貫通する嵌入溝を有し、該嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有する可撓体と、該可撓体の抜け出しを阻止する抜止体とを備えることを特徴とする緊締具。
【請求項5】
杆状部材と、
該杆状部材の両端部夫々に取り付けられている請求項1乃至の何れか一項に記載の緊締具と
を備え、各緊締具が緊締する被緊締物同士を連結する連結具であって、
少なくとも一方の前記緊締具は、前記杆状部材の端部に揺動可能に取り付けられていることを特徴とする連結具。
【請求項6】
杆状部材と、
該杆状部材の両端部夫々に取り付けられている緊締具と
を備え、
各緊締具が緊締する被緊締物同士を連結する連結具であって、
各緊締具は、略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材の少なくとも一方の長手方向一端部が他方の緊締部材に対して接離する方向へ回動可能に支持体に枢支されており、前記緊締部材夫々の内側の面に、離隔方向への撓みが可能な可撓体を備え、
少なくとも一方の前記緊締具は、前記杆状部材の端部に揺動可能に取り付けられていることを特徴とする連結具。
【請求項7】
前記可撓体は、前記緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配してあることを特徴とする請求項6に記載の連結具。
【請求項8】
前記内側の面は嵌入溝を有し、前記可撓体は、前記嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の連結具。
【請求項9】
前記凸条接触部は、前記緊締部材の長手方向両側へ延出された二つの可撓板部を有することを特徴とする請求項8に記載の連結具。
【請求項10】
前記緊締具を前記端部に揺動可能に取り付けるべく、その一側が、前記緊締具が有する支持体に固定されており、その他側が、前記端部に回動可能に支持されている取付部を更に備えることを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項に記載の連結具。
【請求項11】
2本の杆体と、
該2本の杆体を、横姿勢で縦方向に離隔して支持する支持脚と、
前記2本の杆体を連結する請求項5乃至10の何れか一項に記載の連結具と
を備える柵であって、
前記連結具は、前記杆状部材の長手方向が、前記2本の杆体の長手方向の何れに対しても傾斜するように配されていることを特徴とする柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパイプ材、棒材等の杆体、被緊締物を緊締する緊締具、連結具、及び柵に関する。
【背景技術】
【0002】
緊締具は、略半円形の内面を有し、略C字形をなす二つの緊締部材と、該緊締部材夫々を接離方向へ回動を可能に支持する支持体と、緊締部材夫々の先端部に亘って装着され、緊締部材の先端部を締付ける締付部材とを備え、該締付部材の締付け操作にて二つの緊締部材を接近方向へ回動させて杆体を緊締し、締付部材の弛緩操作にて二つの緊締部材を離隔側へ回動させて杆体の緊締を解除することができるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4685916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載されている緊締具のように、杆体の周面に接触して該杆体を緊締する緊締具にあっては、杆体との接触面積が広い割に緊締力が分散されるため、緊締状態において、杆体が長手方向へ滑り移動することがあり、改善策が要望されていた。
また、緊締具の支持体は固定されるため、その長手方向の端部又は中間部が他の緊締具にて緊締されている杆体の一部を緊締する際、緊締具の緊締軸心と、杆体の軸心とが僅かでも変位していると、杆体を緊締するのが困難になり、この点においても改善策が要望されていた。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は緊締部材夫々の内側の面に、離隔方向への撓みが可能な可撓体を設けることにより、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのを防ぐことができる緊締具、並びにこの緊締具を利用した連結具及び柵を提供することにある。
【0006】
また、他の目的は可撓体を緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配することにより、可撓体の夫々に緊締力を集中させることができ、杆体を緊締位置により一層維持することができる緊締具を提供することにある。
【0007】
また、他の目的は緊締部材の内側の面に嵌入溝を設け、該嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出する凸条接触部を有する可撓体とすることにより、可撓体の保持力を高めることができるとともに、可撓体を備える割に小形化できる緊締具を提供することにある。
【0008】
また、他の目的は可撓体の凸条接触部を、緊締部材の長手方向両側へ延出された二つの可撓板部を有する構成とすることにより、緊締軸心に対してその軸心がずれている杆体を簡易に緊締することができる緊締具を提供することにある。
【0009】
また、他の目的は緊締部材の幅方向へ貫通する嵌入溝とし、嵌入溝の一端に当接する凸部を凸条基部の長手方向一端部に設け、凸条基部の他端部に係合して可撓体の抜け出しを阻止する抜止体を設けることにより、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる緊締具を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は略C字形をなす二つの緊締部材の内側の面に嵌入溝を設け、該嵌入溝に可撓体を嵌入保持することにより、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをなくすることができるとともに、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる緊締具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る緊締具は、略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材の少なくとも一方の長手方向一端部が他方の緊締部材に対して接離する方向へ回動可能に支持体に枢支されている緊締具において、前記緊締部材夫々の内側の面に、離隔方向への撓みが可能な可撓体を備え、前記内側の面は嵌入溝を有し、該嵌入溝は、前記緊締部材の幅方向へ貫通しており、前記可撓体は、前記嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有し、前記凸条基部の長手方向一端部は、前記嵌入溝の一端に当接する凸部を有し、前記凸条基部の他端部に係合して前記可撓体の抜け出しを阻止する抜止体を前記嵌入溝の他端側に設けてあることを特徴とする。
【0012】
この発明にあっては、緊締部材夫々が杆体を緊締する際、緊締部材夫々の内面に設けられている可撓体が杆体の周面に接触し、可撓体を撓ませた状態で緊締することができるため、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをなくすことができ、杆体を緊締位置に維持することができる。
更にこの発明にあっては、可撓体の保持力を高めることができるとともに、可撓体の緊締部材内面よりの突出量を少なくすることができ、可撓体を備える割に小形化できる。
更にまた、この発明にあっては、嵌入溝の一端から嵌入された可撓体が抜出るのを抜止体にて阻止することができるため、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる。
【0013】
また、本発明に係る緊締具は、前記可撓体は、前記緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配してあることを特徴とする。
この発明にあっては、緊締部材の複数の長手方向位置に配されている可撓体に緊締力を集中させることができ、緊締力を高めることができるため、杆体の周面に寸法のバラツキがあっても、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをより一層困難にすることができ、杆体を緊締位置により一層維持することができる。
【0015】
また、本発明に係る緊締具は、前記凸条接触部は、前記緊締部材の長手方向両側へ延出された二つの可撓板部を有することを特徴とする。
この発明にあっては、その長手方向の端部又は中間部が他の緊締具にて緊締されている杆体の非緊締箇所を緊締する際、杆体の周面に対応して可撓体夫々の一方又は他方の可撓板部を前記内側の面側へ撓ませ、緊締軸心を若干ずらせることができるため、緊締軸心に対してその軸心がずれている杆体を簡易に緊締することができる。
【0017】
また、本発明に係る緊締具は、略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材と、該緊締部材夫々の長手方向一端部を接離方向への回動を可能に枢支してある支持体とを備える緊締具において、前記緊締部材夫々の内側の面は、該緊締部材の幅方向へ貫通する嵌入溝を有し、該嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有する可撓体と、該可撓体の抜け出しを阻止する抜止体とを備えることを特徴とする。
【0018】
この発明にあっては、緊締部材夫々が杆体を緊締する際、緊締部材夫々の内側の面に設けられている可撓体の凸条接触部が杆体の周面に接触し、凸条接触部を撓ませた状態で緊締することができるため、緊締状態で杆体が長手方向へ滑るのをなくすることができ、杆体を緊締位置に維持することができる。また、可撓体は、緊締部材の幅方向へ貫通する嵌入溝の一端から嵌入し、抜止体にて抜け出しを阻止することができるため、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる。
【0019】
また、本発明に係る連結具は、杆状部材と、該杆状部材の両端部夫々に取り付けられている本発明に係る緊締具とを備え、各緊締具が緊締する被緊締物同士を連結する連結具であって、少なくとも一方の前記緊締具は、前記杆状部材の端部に揺動可能に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る連結具は、杆状部材と、該杆状部材の両端部夫々に取り付けられている緊締具とを備え、各緊締具が緊締する被緊締物同士を連結する連結具であって、各緊締具は、略C字形をなし、内側の面同士が対向する二つの緊締部材の少なくとも一方の長手方向一端部が他方の緊締部材に対して接離する方向へ回動可能に支持体に枢支されており、前記緊締部材夫々の内側の面に、離隔方向への撓みが可能な可撓体を備え、少なくとも一方の前記緊締具は、前記杆状部材の端部に揺動可能に取り付けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る連結具は、前記可撓体は、前記緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配してあることを特徴とする。
また、本発明に係る連結具は、前記内側の面は嵌入溝を有し、前記可撓体は、前記嵌入溝に嵌入保持される凸条基部及び該凸条基部に連なり、前記内側の面よりも突出し、被緊締物に接触するための凸条接触部を有することを特徴とする。
また、本発明に係る連結具は、前記凸条接触部は、前記緊締部材の長手方向両側へ延出された二つの可撓板部を有することを特徴とする。
【0020】
この発明にあっては、連結具は、杆状部材と2個の緊締具とを備える。
連結具は、2個の被緊締物(例えば2本の杆体)同士を連結する。このために、杆状部材の一端部(及び他端部)に取り付けられている緊締具が、一方(及び他方)の被緊締物を緊締する。この緊締具は本発明に係る緊締具であるため、被緊締物を緊締位置に維持することができる。従って、連結具は2個の被緊締物同士を確実に連結することができる。
【0021】
また、少なくとも一方の緊締具は、杆状部材の一端部に揺動可能に取り付けられている。このため、例えば杆状部材の一端部側に連結されている被緊締物の姿勢が変化したとしても、緊締具が被緊締物の姿勢変化に追随して揺動することによって、連結具は、2個の被緊締物同士を確実に連結し続けることができる。
更に、両方の緊締具が何れも揺動可能であれば、例えば2個の被緊締物間の離隔距離が変化したとしても、各緊締具が揺動することによって、2個の被緊締物同士を確実に連結し続けることができる。
【0022】
また、本発明に係る連結具は、前記緊締具を前記端部に揺動可能に取り付けるべく、その一側が、前記緊締具が有する支持体に固定されており、その他側が、前記端部に回動可能に支持されている取付部を更に備えることを特徴とする。
【0023】
この発明にあっては、連結具は、杆状部材と2個の緊締具と少なくとも1個の取付部とを備える。少なくとも一方の緊締具は、取付部を介して、杆状部材の一端部に揺動可能に取り付けられている。具体的には、取付部の一側が、緊締具が有する支持体に固定されている。また、取付部の他側が、杆状部材の一端部に回動可能に支持されている。このため、取付部の他側が回動すれば、取付部の他側を中心に、緊締具が揺動する。つまり、取付部の他側の回動中心は、緊締具の揺動中心として機能する。
【0024】
一般に、緊締具よりも杆状部材の方が簡易な構成を有するため、緊締具側に揺動(又は回動)の中心となる枢軸部を設けるよりも、杆状部材側に設ける方が、連結具全体の構成を簡易にすることができる。
【0025】
また、本発明に係る柵は、2本の杆体と、該2本の杆体を、横姿勢で縦方向に離隔して支持する支持脚と、前記2本の杆体を連結する本発明に係る連結具とを備える柵であって、前記連結具は、前記杆状部材の長手方向が、前記2本の杆体の長手方向の何れに対しても傾斜するように配されていることを特徴とする。
【0026】
この発明にあっては、柵は、2本の杆体、支持脚、及び連結具を備える。
支持脚は、2本の杆体を、横姿勢で縦方向に離隔して支持する。
仮に、柵が2本の杆体及び支持脚だけで構成されている場合、杆体の自重又は杆体に加えられる外力等によって、杆体に無用な撓み又は屈曲等が生じる虞がある。
【0027】
そこで、本発明に係る連結具が2本の杆体同士を連結する。このために、杆状部材の両端部夫々に取り付けられている緊締具が、互いに異なる杆体を緊締する。このとき、連結具は、杆状部材の長手方向が、2本の杆体の長手方向の何れに対しても傾斜するように配される。この結果、連結具は、2本の杆体を補強する筋交い部材として機能する。
【0028】
杆状部材の長手方向と杆体の長手方向との傾斜角度は、緊締具を揺動させることによって、容易に調節することができる。
緊締具は杆体を緊締位置に維持することができる。従って、連結具は2本の杆体同士を確実に連結することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、緊締部材夫々の内側の面に設けられている可撓体が杆体の周面に接触し、可撓体を撓ませた状態で緊締することができるため、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをなくすことができ、杆体を緊締位置に維持することができる。
【0030】
また、本発明によれば、緊締部材の長手方向に離隔した複数の位置に配されている可撓体に緊締力を集中させることができ、緊締力を高めることができるため、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをより一層困難にすることができ、杆体を緊締位置により一層維持することができる。
【0031】
また、本発明によれば、可撓体の凸条基部が嵌入溝に嵌入保持され、凸条接触部が緊締部材の内側の面よりも突出しているため、可撓体の保持力を高めることができるとともに、可撓体の緊締部材内側の面よりの突出量を少なくすることができ、可撓体を備える割に小形化できる。
【0032】
また、本発明によれば、杆体の周面に対応して可撓体夫々の一方又は他方の可撓板部を緊締部材の内側の面側へ撓ませ、緊締軸心を若干ずらせることができるため、緊締軸心に対してその軸心がずれている杆体を簡易に緊締することができる。
【0033】
また、本発明によれば、嵌入溝の一端から嵌入された可撓体が抜出るのを抜止体にて阻止することができ、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる。
【0034】
また、本発明によれば、緊締部材夫々の内側の面に設けられている可撓体の凸条接触部が杆体の周面に接触し、凸条接触部を撓ませた状態で緊締することができるため、緊締状態で杆体が長手方向へ滑り移動するのをなくすことができるとともに、可撓体を不用意に抜け出ないように簡易に取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態1に係る緊締具の構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る緊締具の構成を示す断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る緊締具の構成を示す背面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る緊締具の緊締部材の一部を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る緊締具の可撓体及び抜止体の構成を示す斜視図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る緊締具の可撓体の構成を示す側面図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る緊締具の緊締部材が離隔方向へ回動している状態を示す断面図である。
図8】本発明の実施の形態1に係る緊締具が杆体を緊締する際の他の状況を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る柵の構成を示す正面図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る連結具の構成を示す斜視図である。
図11】連結具が備える杆状部材の上端部近傍の構成を示す斜視図である。
図12】杆状部材の下端部近傍の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0037】
実施の形態 1.
図1は本発明の実施の形態1に係る緊締具60の構成を示す正面図、図2は緊締具60の構成を示す断面図、図3は緊締具60の構成を示す背面図、図4は緊締部材の一部を示す斜視図、図5は可撓体及び抜止体の構成を示す斜視図、図6は可撓体の構成を示す側面図である。
【0038】
図に示した緊締具60は、パイプ材、棒材等の杆状の杆体Aを緊締する二つの緊締部材1,2と、該緊締部材1,2を接離方向への回動を可能に枢支する支持体3と、緊締部材1,2の内側の面に保持され、離隔方向への撓みが可能な複数の可撓体4と、一方の緊締部材1の先端部を他方の緊締部材2に係止する係止体5とを備える。
【0039】
支持体3は、先端に螺子部31aを有する取付軸31と、該取付軸31の基端に結合された支持部32と該支持部体32に前記接離方向へ離隔して設けられた二つの枢軸34,34とを備える。支持部32は取付軸31に結合され、矩形をなす底部32aと、該底部32aの両縁に連なる二つの側壁32b,32bとを有し、該側壁32b,32bに、前記接離方向へ離隔して二つの嵌合孔32c,32cが開設され、該嵌合孔32c,32cに枢軸34,34の両端部が嵌合されている。側壁32b,32bの嵌合孔32c,32cの間には、杆体Aの周面に対応して窪む凹部32d,32dが設けられており、また、側壁32b,32bの両端間には緊締部材1,2を離隔した回動限に停止させるための規制部33,33が設けられている。
【0040】
緊締部材1,2は、略C字形をなし、長手方向一端部に開設された軸孔11,21に枢軸34,34が嵌合され、内側の面1a,2a同士が前記接離方向に対向して略円形をなしている。
【0041】
緊締部材1,2の内側の面1a,2aで、緊締部材1,2の長手方向に離隔した複数の位置には、緊締部材1,2の幅方向へ貫通する嵌入溝12,22が設けられ、嵌入溝12,22の夫々に可撓体4が嵌入保持されている。
【0042】
嵌入溝12,22は、縁部が底部よりも狭幅の断面略C字形をなし、両端縁には、長手方向へ窪む凹部12a,12b及び22a,22bが設けられている。一方の凹部12a,22aには、可撓体4の後記する係止凹部に係合して可撓体4の抜け出しを阻止する抜止体7,7が挿入されている。
【0043】
可撓体4は、可撓性を有する合成樹脂製であり、嵌入溝12,22に嵌入保持される凸条基部41、及び該凸条基部41に連なり、前記内側の面1a,2aよりも突出し、杆体Aの周面に接触するための凸条接触部42を有し、断面略T字形に形成されている。凸条基部41は略円柱形をなし、嵌入溝12,22内に回動を可能に嵌入されている。凸条基部41の一端には、抜止用の凸部41aを有し、他端部には一対の係止凹部41bが設けられ、他端部から嵌入溝12,22に嵌入された際に凸部41aが凹部12b,22bに当接し、嵌入方向への抜止となり、係止凹部41bに抜止体7が係合している。抜止体7は、凹部12a,22aに挿入される板部7a及び該板部7aの一面から突出する一対の爪部7b,7bを有し、該爪部7b,7bが係止凹部41bに係合し、反嵌入方向への抜止となるようになしてある。
【0044】
凸条接触部42は、凸条基部41から緊締部材1,2の長手方向両側へ延出され、内側の面1a,2aとの間に隙間が生じる二つの可撓板部42a,42aを有し、緊締部材1,2が杆体Aを緊締したとき、凸条接触部42が内側の面1a,2a側へ撓み、弾性復元力が杆体Aの周面に加わるように構成されている。
【0045】
緊締部材1,2の基部には、該基部から先端部と反対方向へ突出し、緊締部材1,2が離隔側の回動限に位置しているとき、側壁32b,32bの凹部32d,32dから外部突出して杆体Aにより押圧される押圧部13,23が一体に設けられている。
【0046】
押圧部13,23は緊締部材1,2の内側の面1a,2aに連なり、緊締部材1,2が離隔側の回動限から接近方向へ回動したとき、側壁32b,32bの内側へ後退するように構成されている。
【0047】
一方の緊締部材1の先端部には、軸孔14を有する軸受筒部15及び該軸受筒部15から長手方向に窪む凹部16を有し、軸受筒部15に嵌入される爪部付きの枢軸8に係止体5が回動を可能に保持されている。他方の緊締部材2の先端部には凸部24が一体に設けられている。
【0048】
係止体5は、枢軸8に枢支されたレバー51と、該レバー51の先端部に枢支された係止環52とを有し、該係止環52が凸部24に係止されることにより緊締部材1,2の緊締状態を確実に維持することができるように構成されている。
【0049】
以上のように構成された緊締具60は、緊締部材1,2の内側の面1a,2aで、長手方向へ離隔した2箇所に可撓体4が保持されている。可撓体4は、凸条基部41が嵌入溝12,22の一端から該嵌入溝12,22へ嵌入されることにより、凸部41aが嵌入溝12,22の凹部12b,22bに挿入され、凸条基部41の嵌入方向への移動が規制される。この状態で抜止体7が嵌入溝12,22の他端から凹部12a,22aに挿入され、該抜止体7の爪部7bが凸条基部41の係止凹部41bに係合し、凸条基部41の抜け出し、ひいては可撓体4の抜け出しが阻止される。可撓体4の凸条接触部42は、内側の面1a,2aから突出し、可撓板部42aと内側の面1a,2aとの間に若干の隙間がある。また、可撓体4は、抜止体7が凹部12a,22aから抜き出されることにより、嵌入溝12,22の凹部12b,22b側への移動が可能となり、嵌入溝12,22から抜き出すことができる。
【0050】
可撓体4を備える緊締具60は、パイプ材、棒材等の杆状の杆体Aを組み合わせてハウス、柵、棚、足場、テント、簡易建物等の立体構造物が造形される場合等に使用される。杆体Aを支持する基幹部材に支持体3の取付軸31が、螺子部31aに螺着されるナットにて取付けられ、緊締具60が前記基幹部材に固定される。
【0051】
図7は緊締部材1,2が離隔方向へ回動している状態を示す断面図である。杆体Aを緊締する場合、係止体5による係止が解除され、図3に示すように緊締部材1,2は離隔側の回動限に位置し、規制部33,33に当接しており、緊締部材1,2の先端部間距離は比較的長くなっているため、杆体Aの中間を緊締部材1,2の先端部間から緊締部材1,2の内側の面1a,2a間へ容易に挿入することができる。
【0052】
内側の面1a,2a間に挿入された杆体Aは、周面が押圧部13,23に当接し、杆体Aの荷重により押圧部13,23が押圧され、押圧部13,23と一体の緊締部材1,2が接近方向へ自動的に回動し、緊締部材1,2の内側の面1a,2aに設けられている可撓体4が杆体Aの周面に接触し、杆体Aを自動的に緊締する。この後、一方の緊締部材1の係止体5を操作し、係止環52を他方の緊締部材2の凸部24に係止することにより、可撓体4が撓みつつ杆体Aをさらに緊締し、緊締部材1,2の緊締状態を維持することができる。
【0053】
緊締された杆体Aは、緊締部材1,2の内側の面1a,2aに保持された複数の可撓体4が接触し、該可撓体4の弾性復元力が杆体Aの周面に加わるため、杆体Aの長手方向への滑り移動、及び回動を阻止することができ、杆体Aを緊締した位置に維持することができる。
【0054】
図8は杆体Aを緊締する際の他の状況を示す説明図である。緊締部材1,2の内側の面1a,2aに保持された可撓体4は、凸条接触部42の二つの可撓板部42a,42aと内側の面1a,2aとの間に隙間があるため、内側の面1a,2a間に挿入された杆体Aの軸心が、内側の面1a,2a間の緊締軸心に対して若干ずれている場合、ずれている側の可撓板部42aが内側の面1a,2a側へ撓み、緊締軸心を若干ずらせることができる。よって、緊締軸心に対してその軸心がずれている杆体Aを簡易に緊締することができる。
【0055】
杆体Aの緊締を解除する場合、係止体5を回動操作し、係止環52による係止を解除した後、緊締部材1,2を摘み、緊締部材1,2を離隔方向へ回動させることにより、緊締部材1,2による緊締を解除することができ、杆体Aを緊締部材1,2の内側の面1a,2a間から容易に抜き出すことができる。
【0056】
尚、以上説明した実施の形態では、二つの緊締部材1,2を回動可能としたが、その他、緊締部材1,2はいずれか一方が回動可能であり、他方が固定であってもよい。
【0057】
また、以上説明した実施の形態では、一方の緊締部材1の先端部を他方の緊締部材2に係止する係止体5を備える構成としたが、その他、係止体5は必ずしも必要でない。この場合、緊締部材1,2は杆体Aの荷重にて離隔した回動限から接近方向へ回動し、緊締部材1,2が杆体Aを緊締する。この緊締状態で、緊締部材1,2の内側の面1a,2aに保持されている可撓体4が杆体Aの周面に接触し、杆体Aの長手方向への滑り移動を阻止することができる。
【0058】
また、以上説明した実施の形態では、二つの緊締部材1,2の夫々に二つの可撓体4を保持したが、その他、例えば一方の緊締部材1の長手方向中央部に一つの可撓体4を保持し、他方の緊締部材2の長手方向両側に可撓体4を保持してもよく、可撓体4の個数は特に制限されない。
【0059】
また、以上説明した実施の形態では、緊締部材1,2の内側の面1a,2aに嵌入溝12,22を設け、該嵌入溝12,22に可撓体4を取外し可能に嵌入保持する構成としたが、その他、可撓体4は接着材等で固定される構成としてもよい。
【0060】
また、以上説明した実施の形態では、緊締部材1,2の基部側に押圧部13,23を有する構成としたが、その他、押圧部13,23は必ずしも必要でない。
【0061】
実施の形態 2.
以下では、後述する図9図12夫々において矢符で示す上下、左右、及び前後を、実施の形態2に係る連結具6及び柵9の上下、左右、及び前後として説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係る柵9の構成を示す正面図である。
図10は、本発明の実施の形態2に係る連結具6の構成を示す斜視図である。
図11及び図12は、連結具6が備える杆状部材61の上端部近傍及び下端部近傍の構成を示す斜視図である。
【0062】
まず、図9図12を参照しつつ、連結具6について説明する。
連結具6は、杆状部材61と、2個の緊締具62,62と、2個の取付部63,63と、2本の枢軸部64,64を備える。各緊締具62、各取付部63、及び各枢軸部64は、夫々同一の構成を有する。
本実施の形態における緊締具62は、実施の形態1の緊締具60と略同様の構成であるが、支持体3が取付軸31を備えていない点が異なる。以下では、実施の形態1,2の差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
【0063】
図9図12において、緊締具62は、緊締部材1,2の幅方向が左右方向に沿い、緊締部材1,2の先端部が上側(又は下側)、且つ支持体3が下側(又は上側)になる姿勢に配されている。
杆状部材61は、コ字状の断面を有する金属製の細長体である。杆状部材61は、細長い矩形平板状の中央板部611と、中央板部611の短手方向の両端部に突設されている矩形平板状の突設板部612,612とを一体に有する。突設板部612,612は対面配置してあり、互いに平行である。各突設板部612の長手方向両端部には、円形の貫通孔が形成されている。
杆状部材61の両端部には、緊締具62,62が取り付けられている。
【0064】
次に、図10及び図11を参照しつつ、取付部63及び枢軸部64について説明する。以下では、杆状部材61の上端部及び下端部を区別しない場合、杆状部材61の一端部という。
枢軸部64は、金属製の円柱状をなしている。
取付部63は金属製であり、被固定部631、2個の被支持部632,632、及び2個の腕部633,633を一体に有する。
【0065】
被固定部631は矩形平板状をなしている。被固定部631は、緊締具62の底部32aにネジ留めされている。被固定部631は、図11においては緊締具62の下側に配され、図12においては緊締具62の上側に配されている。
被支持部632,632は、中央部に円形の貫通孔が形成された平板状をなしている。被支持部632,632は、図11においては、緊締具62の右斜め下に配され、図12においては、左斜め上に配されている。
【0066】
被支持部632,632は、杆状部材61の一端部における突設板部612,612の外面に接触している。被支持部632,632及び突設板部612,612夫々に形成されている貫通孔には、枢軸部64が挿通されている。つまり、枢軸部64によって、被支持部632,632(延いては取付部63)と突設板部612,612(延いては杆状部材61)とが連結されている。
【0067】
枢軸部64は、突設板部612,612に固定してあり、被支持部632,632には固定されていない。このため、被支持部632,632は枢軸部64を中心として、回動可能である。具体的には、枢軸部64は、各被支持部632に形成されている貫通孔に内嵌めされており、この貫通孔の内面と枢軸部64の周面との間に働く摩擦力を超える外力が加えられた場合に、被支持部632,632が回動する。
【0068】
被固定部631と被支持部632,632との間には、被固定部631に突設された平板状の腕部633,633が介在している。各腕部633の一部は被固定部631の前側の一辺部(又は後ろ側の他辺部)と一体に設けられており、腕部633の他部に被支持部632が一体に設けられている。
以上のように、取付部63の一側である被固定部631は、緊締具62が有する支持体3に固定されている。また、取付部63の他側である被支持部632,632は、杆状部材61の一端部に回動可能に支持されている。
【0069】
被支持部632,632が回動すると、腕部633,633を介して被固定部631が、枢軸部64を中心に揺動する。この結果、緊締具62が枢軸部64を中心に揺動する。つまり、緊締具62は、杆状部材61の一端部に揺動可能に取り付けられている。
なお、枢軸部64が被支持部632,632に固定してあり、突設板部612,612には固定されていない構成でもよい。この場合でも、被支持部632,632が杆状部材61の一端部に回動可能に支持されていることに変わりはない。
【0070】
以上のような連結具6は、杆状部材61の上端部に取り付けられている緊締具62が杆体91を緊締し、杆状部材61の下端部に取り付けられている緊締具62が杆体92を緊締することによって、被緊締物である杆体91,92同士を連結する。
【0071】
緊締具62の緊締部材1,2夫々が杆体91(又は杆体92)を緊締する際、緊締部材1,2夫々の内面に設けられている可撓体4が杆体91(又は杆体92)の周面に接触し、可撓体4を撓ませた状態で緊締することができる。このため、緊締状態で杆体91(又は杆体92)が長手方向へ滑り移動するのをなくすることができる。従って、杆体91(又は杆体92)を緊締位置に維持することができる。
【0072】
ところで、緊締具60,62は、取付軸31の有無を除けば同一の構成を有する。このため、取付軸31が、基端(即ち螺子部31aを有する先端とは逆側)に形成されている螺子部によって、底部32aに着脱可能にネジ留めされる構成であれば、緊締具60,62を、互いに共通する部品で構成することができる。
仮に、取付部63の被固定部が杆状部材61の一端部に固定され、被支持部が緊締具60に回動可能に支持される構成である場合、緊締具60の支持体3は、回動中心となすべき枢軸部を保持可能な構成に設計変更しなければならない。この場合、共通する部品の点数が減少してしまう。
【0073】
次に、図9及び図10を参照しつつ、柵9について説明する。
柵9は、2本の杆体91,92と、2個の支持脚93,93と、2個の連結具6,6とを備える。
杆体91,92は、何れも金属製の円管を用いてなる。杆体91,92は同一寸法である。
杆体91,92の左右両端部は、支持脚93,93によって支持されている。
各支持脚93は、合成樹脂製の板状をなしている。支持脚93は、杆体91,92を支持する支持部931,932を有する。
【0074】
支持部931,932は、夫々軸長方向が左右方向に沿う筒状をなしている。支持部931,932の前後及び左右方向の位置は等しいが、上下方向の位置は異なる。具体的には、支持部931は、支持脚93の上端部に配されており、支持部932は、支持脚93の上下方向中央部に配されている。支持部931,932には、杆体91,92が挿通される。
支持脚93は、1個だけでは地面Gに縦置きすることができない。しかしながら、2個の支持脚93,93を対面配置し、更に、支持部931,931に杆体91の両端部を内嵌めし、支持部932,932に杆体92の両端部を内嵌めすることによって、支持脚93,93は、夫々地面Gに安定的に縦置きされる。
【0075】
支持脚93,93に支持されることによって、杆体91,92は、上下方向に離隔し、且つ、左右方向に沿う姿勢で互いに平行に配される。
柵9が連結具6,6を備えていない場合、例えば杆体91,92に外力が加えられた場合に、杆体91,92が無用に変形する虞がある。
そこで、杆体91,92夫々の左右方向の中途同士が、連結具6,6によって連結されている。
柵9は、左右対称に構成されている。このため、以下では、図9に示す左側の連結具6について説明する。
【0076】
連結具6が備える緊締具62,62は、杆体91,92を緊締している。ただし、杆状部材61の上端部に取り付けられている緊締具62が杆体91を緊締する緊締位置は、杆状部材61の下端部に取り付けられている緊締具62が杆体92を緊締する緊締位置よりも左側に位置している。従って、杆状部材61の長手方向は、杆体91,92の長手方向の何れに対しても傾斜している。この結果、連結具6は、杆体91,92を補強する筋交い部材として機能する。
以上のような柵9は、例えば工事現場の近傍の地面Gに、1個だけ載置されるか、又は、複数個並置されることによって、工事現場への余人の立ち入りを禁止するための移動可能な柵として使用することができる。
【0077】
ここで、上述した支持脚93に替えて、支持部931,932の上下方向の離隔距離が異なる新たな支持脚を2個用いて杆体91,92を支持することを考える。
この場合、上述した連結具6に替えて、杆状部材61の長手方向の長さが異なる新たな連結具を用いて杆体91,92を連結する必要はない。
【0078】
何故ならば、緊締具62,62を夫々揺動させ、杆状部材61の長手方向の杆体91,92の長手方向に対する傾斜角度を調整すれば、連結具6によって杆体91,92を連結することが可能だからである。具体的には、杆体91,92の離隔距離が長く(又は短く)なるならば、杆状部材61の長手方向が、杆体91,92の長手方向に対して直角に近づく側へ(又は平行に近づく側へ)、傾斜角度を調整すればよい。
つまり、杆体91,92の上下方向の離隔距離が異なる複数種類の柵に対して、連結具6を共通化することができる。
【0079】
ところで、杆体91,92が非平行に配されている場合、杆体91,92の左端部近傍の上下方向離隔距離と右端部近傍の上下方向離隔距離とは異なる。このような場合であっても、各連結具6の緊締具62,62を適宜に揺動させれば、杆体91,92の左端部近傍に配される連結具6と右端部近傍に配される連結具6とを共通化することができる。
同様に、杆体91,92がねじれの位置に配されている場合であっても、連結具6,6を用いて杆体91,92を問題なく連結することができる。
以上のように、連結具6は、杆体91,92の上下方向の離隔距離の変化、及び、杆体91,92の姿勢変化等に追随することが可能である。
【0080】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、緊締具60,62、連結具6、及び柵9に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,2 緊締部材
1a,2a 内側の面
12,22 嵌入溝
3 支持体
4 可撓体
41 凸条基部
41a 凸部
42 凸条接触部
42a 可撓板部
6 連結具
60,62 緊締具
61 杆状部材
63 取付部
631 被固定部(一側)
632 被支持部(他側)
7 抜止体
9 柵
91,92 杆体(被緊締物)
93 支持脚
A 杆体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12