(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0019】
図1〜
図6は、本発明の一実施例であって、ベビーベッドとしても使用可能であるプレイヤードの全体概略を示す。このうち
図1〜
図5はプレイヤードが展開された使用状態を示し、
図6はプレイヤードの折り畳み状態を示す。プレイヤード10は、プレイヤード10の骨格を構成するフレーム構造体11と、フレーム構造体11に取り付けられてフレーム構造体11の外周を包囲する布状部材12と、フレーム構造体11に着脱可能に取り付けられた棒部材13と、棒部材13に支持される敷板41とを備える。
【0020】
本実施例のプレイヤード10は、平面視略長方形であるため、便宜上、1対の長辺部分をプレイヤード一方側、プレイヤード他方側、プレイヤード左側、プレイヤード右側、プレイヤード側部、プレイヤード両側部、もしくはプレイヤード左右側部と称する。また1対の短辺部分をプレイヤード一端部、プレイヤード他端部、プレイヤード前端部、プレイヤード後端部、プレイヤード端部、プレイヤード両端部、もしくはプレイヤード前後端部と称する。プレイヤード10は、乳幼児を遊ばせる枠囲いとして使用できるほか、後述するように乳幼児を寝かせる寝台としても好適に使用可能である。
【0021】
まず、フレーム構造体11につき説明すると、フレーム構造体11は乳幼児を収容する空間の周囲を取り囲むように形成されて折り畳み可能であり、乳幼児収容空間の周囲に沿って間隔をおいて配置される複数の柱材14と、隣り合う柱材同士を互いに連結する複数の横材15L,15R,16とを含む。具体的にはフレーム構造体11は上下方向に延びる4本の柱材14と、プレイヤード両側部に設けられた1対の横材15L,15Rと、プレイヤード両端部に設けられた1対の横材16,16と、平面視において対角線となるよう配置されたクロスパイプ17とを含む。平面視において、複数の柱材14はフレーム構造体11の外周に配置され、横材15L,15R,16は隣り合う柱材14,14同士を互いに連結する。
【0022】
乳幼児収容空間は平面視において矩形であり、柱材14は平面視において当該矩形の四隅の角部で直立するよう配置される。プレイヤード一端部に配置された2本の柱材14,14間には、矩形の短辺を構成する横材16が架設される。同様に、プレイヤード他端部に配置された2本の柱材14,14間にも、矩形の短辺を構成する横材16が架設される。同様に、プレイヤード一方側に配置された2本の柱材14,14間には、矩形の長辺を構成する横材15Rが架設される。具体的には、横材16,15Rの端部は柱材14の上端部ブロック14Bと回動可能に連結し、プレイヤードの折り畳み時には、横材16,15Rが柱材14に近づくよう回動可能である。また横材16,15Rは、中央部に設けられた中央連結部材20と、中央連結部材20から長手方向一方へ延びるパイプと、中央連結部材20から長手方向他方へ延びるパイプとで構成される。
【0023】
プレイヤードの使用状態において、中央連結部材20は中央連結部材20から長手方向一方へ延びるパイプ161および長手方向他方へ延びるパイプ162をロックし、横材16は
図3に示すように一直線に保持される。しかし中央連結部材20のロックを解除すると横材16が中央部で折れ変形可能にされる。したがって、プレイヤード10を折り畳むと中央連結部材20から2本のパイプ161,162が上方へそれぞれ延び、横材16がV字形状にされる。横材15Rも同様に中央連結部材20が設けられ、プレイヤードの使用状態では一直線にされ、プレイヤードの折り畳み状態では中央部で折れ変形する。そして
図6に示すように、中央連結部材20から2本のパイプが上方へそれぞれ延び、横材15RはV字形状にされる。
【0024】
矩形の長辺を構成する横材15Lも同様に中央連結部材20が設けられ、プレイヤードの使用状態において一直線に延びている。しかしプレイヤードの折り畳み状態では中央部で折れ変形する。したがって、プレイヤード10を折り畳むと中央連結部材20から2本のパイプが上方へそれぞれ延び、横材15LはV字形状にされる。
【0025】
なお、複数本の横材のうち横材15Lのみ、プレイヤード他方側2箇所のスライド部材18を介して、柱材14に回動可能かつ摺動可能に連結される。具体的には、スライド部材18に上下方向に延びる貫通孔が形成されて、この貫通孔に柱材14が貫通し、1対のスライド部材18は柱材14に沿って摺動可能である。通常、スライド部材18は留め具19で摺動不能にされており、スライド部材18がプレイヤード他方側に配置された1対の柱材14の上端部にそれぞれ固定される。またスライド部材18は横材15Lの端部と回動可能に連結し、プレイヤードの折り畳み時には横材15Lが柱材14に近づくよう回動可能である。
【0026】
留め具19を引き出して1対のスライド部材18を摺動可能とすると、横材15Lは1対のスライド部材18とともに下方へ移動し、
図2に二点鎖線で示す位置にされ得る。これにより、プレイヤード10への乳幼児の出し入れが容易になり、保護者はプレイヤード10内の乳幼児に簡単に手をのばすことができる。なお保護者からみて横材15Lは4本の横材のうち最も近い位置にあることから、前枠とも称する。
【0027】
クロスパイプ17は、X字形状であって、
図4に示すように長方形のプレイヤード10下面で、対角線状に配置される。クロスパイプ17は、具体的に、X字の中央に配置された中央連結部材23と、中央連結部材23および各柱材14と連結する4本のパイプ171〜174で構成される。パイプ171〜174の一方端は柱材14とそれぞれ回動可能に連結する。またパイプ171〜174の他方端は中央連結部材23とそれぞれ回動可能に連結する。図面の理解を容易にするため、
図2、
図3、および
図5では中央連結部材23の一部を断面にして表す。中央連結部材23は、4本のパイプ171〜174が中央連結部材23の下方へ向かうよう回動することを許容するが、中央連結部材23の上方へ向かうよう回動することを規制する。このため
図2および
図3に示すように、プレイヤードの使用状態においてクロスパイプ17はX字に展開された状態を保持することができる。また
図6に示すように、プレイヤードの折り畳み状態において、4本のパイプ171〜174は中央連結部材23の下方に集約され、クロスパイプ17は小さく折り畳まれる。
【0028】
プレイヤード他端に配置された2本の柱材14,14の下端には、車輪21と、車輪21の外周を包囲する車輪カバー22が設けられる。車輪21は車輪カバー22の下端から突出してプレイヤード設置床面Sに接地する。また
図2を参照して、車輪カバー22のうちプレイヤード内側の一部22sは、車輪カバー22のうちプレイヤード外側の一部よりもさらに下方へ突出してプレイヤード設置床面Sに接地する。このため、プレイヤード設置床面Sにすべての柱材14を接地させる通常の使用状態においては、車輪21がプレイヤード設置床面Sで転動することが阻止される。
【0029】
しかしながらプレイヤード10を使用しないときなど、
図5および
図6に示すようにプレイヤード10の一端部を持ち上げると、車輪カバー突出部22sが設置床面Sから離れるとともに車輪21が設置床面Sに接地する。このため、展開された状態および折り畳み状態のプレイヤード10を傾け、プレイヤード一端部の柱材14を床面Sから離し、プレイヤード他端部の柱材14下端の車輪21のみを接地させることによって容易にプレイヤード10を運搬することができる。
【0030】
これまで説明したように、横材15L,15R,16は中央部でそれぞれ折れ変形可能であり、クロスパイプ17は中央部で折れ変形可能であり、横材15L,15R,16およびクロスパイプ17の端部は柱材14と回動可能に連結することから、フレーム構造体11は、
図1〜
図5に示す展開された使用状態と、
図6に示す折り畳み状態の2形態に変形することができる。
【0031】
次に布状部材12につき説明すると、布状部材12は、0.5〜5mm程度の大きさの網目あるいはさらに肌理の細かなネットや、布地などの素材で形成され、4本の柱部材14の間の4面にそれぞれ張設される。あるいは布状部材12は、布以外の素材、例えばある程度透過性を有するビニールシートなどであってもよい。そして布状部材12の上端は横材15L,15R,16に吊り下げられる。また布状部材12の下端はクロスパイプ17と略同じ高さ位置にある。これにより布状部材12は、クロスパイプ17よりも上方に設けられる敷板41を確実に囲繞する。
【0032】
次に棒部材13につき説明すると、棒部材13は、プレイヤード両側部において直線状に延びる1対の直線棒状体であって、乳幼児の体重で曲がらないよう硬質の材料で形成され、水平な姿勢にされて、両端が柱材14に取り付けられる。棒部材13は、
図2に実線および二点鎖線で示すように、柱材14の下端部および中央部に選択的に取り付けることができる。
【0033】
すなわち
図2および
図3を参照して、各柱材14には高さ位置の異なる2個のブラケット31,32が取付固定される。ブラケット31は柱材14の下端領域にあってクロスパイプ17よりもやや上方に固定される。ブラケット32は、柱材14の中央部に固定される。ブラケット31,32は棒部材13の端部を支持する。硬質の棒部材13は乳幼児の体重に加え乳幼児が活発に動く際の衝撃荷重にも耐え得るよう十分な曲げ強度およびせん断強度を有するパイプであり、両端部を除く中央領域が敷板41下面に沿って延び、両端部がブラケット31,32に取り付けられる。これにより棒部材13は、敷板41上面に乗せられる乳幼児を安定して支持する。なお図面の理解を容易にするため、
図2および
図5では棒状体13の外周を包囲する後述の筒状部材42を省略して表す。
【0034】
図7は
図2のVII−VIIにおける断面を矢の向きに見た状態を示す図であり、柱材14と、柱材に固定されたブラケット32と、棒部材13と、棒部材に固定された係合部材37が表される。また平面視の位置関係を表すため、棒部材13に支持される敷板41および壁板を二点鎖線で示す。
【0035】
プレイヤード10の四隅に取付固定されるブラケット32は、棒部材13の端部に固設された係合部材37と係合する。ブラケット32と係合部材37を分解して示す
図8を参照しつつ具体的に説明すると、ブラケット32には、このブラケット32が固定された柱材からみて1の隣り合う柱材を0度方向とし、他の隣り合う柱材を90度方向として、45度方向へ開口したスリット33と、スリット33よりも奥に形成された幅広の凹部34が形成されている。凹部34の幅はスリット33の開口幅よりも広い。スリット33は上下方向に延び、上端が開口し下端が閉じている。凹部34も同様に上下方向に延び、上端が開口し下端が閉じている。
【0036】
係合部材37は、棒部材13を含む水平面において棒部材13の延在方向に対し135度の方向に指向する突起部38を有する。突起部38の根元には上下方向に延びる溝39が両側に形成されている。このため突起部38は、
図8に示すように断面T字形状にされる。
【0037】
ブラケット32のスリット33および凹部34を被係合部とし、係合部材37の突起部38を係合部として、突起部38をスリット33および凹部34の上端から挿し込むことにより、両者は互いに係合し、係合部材37は水平方向移動不能にされる。そして係合部材37はブラケット32に支持される。また係合部材37は上方へ引き上げられることにより、スリット33および凹部34との係合が解除される。かくして棒部材13はフレーム構造体11に着脱可能に取り付けられる。
【0038】
ブラケット32よりも相対的に低い位置にあるブラケット31も、上述したブラケット32と共通する構成である。係合部材37は相対的に高い位置にあるブラケット32にも着脱可能に取り付けられるし、相対的に低い位置にあるブラケット31にも着脱可能に取り付けられる。かくして1対の棒部材13は、相対的に高い位置と相対的に低い位置に選択的に取り付けられる。
【0039】
次に敷板41につき説明する。本実施例の敷板41は、平面視長方形の乳幼児収容空間の底面を構成する平面視長方形であるため、敷板41の輪郭線について便宜上、1対の長辺部分を第3辺、第4辺、一方側縁、他方側縁、あるいは両側縁と称する。また1対の短辺部分を第1辺、第2辺、一端部、他端部、あるいは両端部と称する。
【0040】
図4に示すように、敷板41は両端開口の細長い筒状部材42を有する。筒状部材42は布製であって、両側縁において敷板41の下面に貼着されている。左右1対の筒状部材42には、棒部材13がそれぞれ挿通され、棒部材13の両端が筒状部材42から突出する。
【0041】
敷板41は、乳幼児の体重によって変形しないよう、十分な曲げ強度を有する硬質の板片を芯材として含み、表面が相対的に軟質な材料で形成される。また敷板41は、
図7に示すようにプレイヤード短辺方向に延びる屈曲線43が3本等間隔に形成される。敷板41はこれら屈曲線43で折れ変形可能であり、プレイヤードの折り畳み時には四角筒にされて、
図6に示すように折り畳まれたフレーム構造体11を包囲する。また四角筒にされた敷板41は、折り畳まれたフレーム構造体11とともに、敷板41の両側縁に連結される壁板53,54と1対の棒部材13を束ねる。
【0042】
敷板41を展開して平坦に伸ばし敷板41の下面に棒部材13を取り付けた状態で、
図1に示すように、硬質の棒部材13の中央領域が3本の屈曲線43と略直交に交差して敷板41を支持する。
【0043】
図9は、敷板41および壁板を取り出して示す分解斜視図である。敷板41は、短辺方向に延びる4枚の板片を、長辺方向に連結したものである。板片は例えば硬質プラスチックや剛性を有する軽金属版であって、両面を布状部材やフィルムシートで覆われる。そして隣り合う板片は屈曲線43を介して接続される。屈曲線43は布状部材やフィルムシートで形成される。敷板41の表面には筒状部材42および後述する筒状部材56,57を貼着、縫着、ないし熱溶着によって取付固定する。敷板41には、プレイヤード一端部において第1の壁板51が延設され、プレイヤード他端部において第2の壁板52が延設される。第1壁板51および第2壁板52も、敷板41と同じ強度を有する硬質の板片を芯材として含み、表面が相対的に軟質な材料で形成される。すなわち第1壁板51、敷板41、および第2壁板52は1部材である。
【0044】
敷板41と第1壁板51との境界線55は屈曲線であって、
図9に示すように第1壁板51は境界線55で90度折れ変形して水平な敷板41から立ち上がる。敷板41と第2壁板52との境界線55も屈曲線であって、第2壁板52も敷板41から立ち上がる。
【0045】
図9に示すように、敷板41の両側縁には両端開口の筒状部材56,57が取付固定される。筒状部材56,57の一端開口部58は第1壁板51に取付固定され、筒状部材56,57の他端開口部59は第2壁板52に取付固定される。また筒状部材56は敷板41の一方側縁に沿って取付固定され、筒状部材57は敷板41の他方側縁に沿って取付固定される。
【0046】
筒状部材56,57は布製であって、第1壁板51を敷板41上に倒すとともに第2壁板52を敷板41上に倒すことにより、敷板41の上面に沿って折り畳まれる。また
図9に示すように第1壁板51を敷板41に対して90度の角度で立ち上げるとともに第2壁板52を敷板41に対して90度の角度で立ち上げることにより、布製の筒状部材56,57も立ち上がり、敷板41の四方が壁板51,52および筒状部材56,57で包囲される。
【0047】
図9に矢で示すように、他端開口部59から筒状部材56に第3の壁板53を挿入可能であり、他端開口部59から筒状部材57に第4の壁板54を挿入可能である。筒状部材56には第3壁板53が挿入され、筒状部材57には第4壁板54が挿入されることにより、4枚の壁板51〜54が敷板41から立ち上がって四方を包囲する。4枚の壁板51〜54の立ち上がり高さは、敷板41の上面から15cm以上ある。これにより、敷板41に幼児用布団を敷き、幼児用布団の上に乳幼児を寝かせても、乳幼児の頭部が壁板51〜54と幼児用布団との間の隙間に挟まれる懸念が解消される。
【0048】
敷板41および壁板51〜54は箱状体61を構成する。第1壁板51は敷板41の一方側縁から他方側縁まで広がり、第2壁板52も敷板41の一方側縁から他方側縁まで広がる。また第3壁板53は敷板41の一端部から他端部まで広がり、第4壁板54も敷板41の一端部から他端部まで広がる。したがって組み立てられた箱状体61において、各壁板は隣り合う壁板と略隙間なく立ち上がる。
【0049】
プレイヤード10を組み立てる際には、敷板41を展開し、1対の棒部材13を敷板下面の筒状部材42にそれぞれ通し、一端開口部58または他端開口部59から壁板53,54を挿入して箱状体61を形成する。またフレーム構造体11を展開し、展開されたフレーム構造体11の上方から箱状体61を入れ込んで、棒部材13の端部をフレーム構造体11のブラケット31またはブラケット32に取り付ける。これによりプレイヤード10は使用状態にされる。
【0050】
敷板41の上面は乳幼児が遊んだり寝たりする場所を提供する。本実施例では特に、保護者がブラケット31またはブラケット32を選択して棒部材を取り付けることが可能である。このようにして敷板41の高さ位置を選択的に変化させることにより、プレイヤードおよびベビーベッドとして使用可能である。
【0051】
図2に二点鎖線で示すように、棒部材13の端部を相対的に低いブラケット31に係合させて敷板41を相対的に低い第1位置にセットする。このように敷板41をフレーム構造体11の下部に取り付けることで、布状部材12がフレーム構造体11の上部まで直立し、乳幼児を遊ばせる枠囲い(プレイヤード)として好適に用いることができる。
【0052】
図2に実線で示すように、棒部材13の端部を相対的に高いブラケット32に係合させて敷板41を相対的に高い第2位置にセットする。このように敷板41をフレーム構造体11の上下方向中間部に取り付けることで、敷板41が上述したプレイヤードの場合よりもフレーム構造体11の上部に近づき、乳幼児を寝かせる寝台(ベビーベッド)として好適に用いることができる。
【0053】
プレイヤード10を折り畳む際には、上述とは逆の手順でフレーム構造体11から箱状体61を取り出して分解し、フレーム構造体11を折り畳む。なお他端開口部59から壁板53,54を出し入れする他、図示はしなかったが、一端開口部58から壁板53,54を出し入れするものであってもよい。
【0054】
次に本発明の他の実施例を説明する。
図10は本発明の他の実施例になるプレイヤードを示す平面図であり、
図11は同実施例のプレイヤードを示す正面図であり、
図12は同実施例のプレイヤードを示す側面図である。他の実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
図9に示す実施例では第1〜第4壁板51〜54が布状部材12の内側に配置されるのに対し、他の実施例では、第1〜第4壁板51〜54が布状部材12の外側面に取り付けられる。
【0055】
布状部材12の外周面には、上段の4個所に第1〜第4壁板51〜54よりもやや大きな矩形の布材が縫着されてポケット71〜74が設けられ、下段の4個所に第1〜第4壁板51〜54よりもやや大きな矩形の布材が縫着されてポケット81〜84が設けられる。ポケット71〜74およびポケット81〜84は、上縁が開口し、敷板41から分離された板片である第1〜第4壁板51〜54をそれぞれ収容する袋部である。上段のポケット71〜74の下縁は、上段のブラケット32と略同じ高さにされる。下段のポケット81〜84の下縁は、下段のブラケット31と略同じ高さにされる。
【0056】
なおポケット71〜74,81〜84は壁板51〜54をそれぞれ収容する袋部であればよく、図示しない変形例として、上縁に代えて長手方向一方縁に開口を設けてもよい。また、ポケットの開口を塞ぐために、ボタン、面ファスナ、スライドファスナ等をさらに設けてもよい。
【0057】
ポケット73につき説明すると、プレイヤード70の外側から視認可能で、布状部材12の外周面に縫着された矩形の布材73sは、ポケット73の外側生地を構成する。また布状部材12は、ポケット73の内側生地を構成する。他のポケットについても同様である。
【0058】
図11に矢印で示すように、第3壁板53は、敷板41と同じ高さとなるよう、ポケット73に差し込まれ、敷板41の第3辺に沿って配置される。あるいは敷板41が下段にある場合、別の矢印で示すように、第3壁板53はポケット83に差し込まれ、敷板41の第3辺に沿って配置される。第4壁板54もポケット74あるいはポケット84に同様に差し込まれ、敷板41の第4辺に沿って配置される。
【0059】
図12に矢印で示すように、第2壁板52は、敷板41と同じ高さとなるよう、ポケット72に差し込まれ、敷板41の第2辺に沿って配置される。あるいは敷板41が下段にある場合、別の矢印で示すように、第2壁板52はポケット82に差し込まれ、敷板41の第2辺に沿って配置される。第1壁板51もポケット71あるいはポケット81に同様に差し込まれ、敷板41の第1辺に沿って配置される。
【0060】
敷板41上の乳幼児収容空間から壁板51〜54に力を与えると、ポケット71〜74またはポケット81〜84の中で壁板51〜54が若干移動する。しかしながら、壁板51〜54が敷板41の第1〜第4辺から10mm以上離れることはない。あるいは、
図13および
図14に示すように、壁板51〜54が敷板41の第1〜第4辺から離れないよう互いに連結するための連結構造をさらに有してもよい。
【0061】
図13は棒部材、敷板および壁板を取り出して示す分解斜視図であり、組立手順を矢印で表す。
図14は同実施例の敷板と壁板との連結箇所を拡大して示す断面図である。4枚の壁板51〜54には、複数の面ファスナ75が縫着されている。短辺である第1壁板51および第2壁板52には、長手方向2か所に間隔をおいて面ファスナ75が縫着される。長辺である第3壁板53および第4壁板54には、長手方向3か所に間隔をおいて面ファスナ75が縫着される。面ファスナ75は壁板51〜54の下縁よりも下方に垂れ下がって延びる。また、敷板41の下面には、面ファスナ75に強力に貼着する面ファスナ素材79が縫着されている。
【0062】
各ポケット71〜74,81〜84の底部には、布状部材12を貫通するスリット85が形成される。スリット85は水平方向に延び、面ファスナ75とそれぞれ対応する。そして壁板51をポケット71に差し込むと、
図14の断面図に示すように面ファスナ75がスリット85を貫通して敷板41の下面に回り込み、面ファスナ75が敷板41の下面に貼着する。これにより、壁板51の下縁と敷板41の第1辺とが連結される。他の壁板52〜54の下縁も同様に、敷板41の第2辺〜第4辺にそれぞれ連結される。
【0063】
なお図示はしなかったが、面ファスナ75に代えて、L字形状の金具を用いて4枚の壁板51〜54を敷板41の第1辺〜第4辺にそれぞれ連結してもよい。
【0064】
あるいは面ファスナ75に代えて、スライドファスナを用いてもよい。
図15はかかる変形例の棒部材、敷板および壁板を取り出して示す分解斜視図であり、組立手順を矢印で表す。
図16は同実施例の敷板と壁板との連結箇所を拡大して示す断面図である。スライドファスナ76は、1対の務歯列77a,77bと、1対の務歯列を開閉するスライダ78とを有する。
【0065】
第1壁板51の内側面の下縁には、一方の務歯列77aが設けられる。務歯列77aは第1壁板51の長手方向一端から他端まで延びる。また敷板41の上面の各辺には、他方の務歯列77bが設けられる。務歯列77bは各辺の一端から他端まで延び、務歯列77aと等しい長さである。そして一方の務歯列77aにはスライドファスナ76のスライダ78が取り付けられる。
【0066】
各ポケット71〜74,81〜84の底部には、布状部材12を貫通するスリット86が形成される。スリット86は水平方向に延び、その長さは対応する務歯列77a,77bの長さと等しい。なお壁板51をポケット71に差し込むと、スリット86よりも下方のポケット底部87が、壁板51の下縁を受け止める。したがって、壁板51がスリット86から抜け落ちることはない。
【0067】
壁板51をポケット71に差し込むと、
図16の断面図に示すように1対の務歯列77a,77bがスリット86を通して向き合う。スライダ78を務歯列77bの一端に係合させ、1対の務歯列77a,77bに沿って動かすことにより、壁板51の下縁と敷板41の第1辺とが連結される。他の壁板52〜54の下縁も同様に、敷板41の第2辺〜第4辺にそれぞれ連結される。
【0068】
ところで本実施例のプレイヤード10は、一端側および他端側がそれぞれフレーム構造体11に取り付けられ、中央領域が屈曲線43と交差して敷板41を支持する棒部材13を備えることから、乳幼児の体重により屈曲線43で敷板41が折れ変形することがなく、さらに乳幼児が敷板41の上で活発に活動しても敷板41が折れ変形することがなく、乳幼児を安定して支持することができる。また、4本の柱材14のみが敷板41を支持することが可能となり、従来のプレイヤードのように敷板から下方に延びて設置床面に接地する短脚をさらに設ける必要がない。したがって、敷板41と設置床面Sとの間の隙間空間をすっきりさせることができる。
【0069】
また本実施例によれば、フレーム構造体11は、乳幼児収容空間の周囲に沿って間隔をおいて配置される複数の柱材14と、隣り合う柱材同士を互いに連結する複数の横材15L,15R,16とを含み、少なくとも横材15L,15Rが、中程で折れ変形可能であり、棒部材13は直線棒状体とされ、平面視において、中程で折れ変形可能な横材15L,15Rと平行に配置される。これにより、棒部材を直線状の丸パイプ、角パイプ、あるいはアングル部材といった棒状体にすることが可能となり、曲げ強度を大きくすることができる。したがって折れ変形可能なプレイヤードにおいて、簡易な構成によりフレーム構造体の剛性を向上させることができる。
【0070】
また本実施例によれば、乳幼児収容空間は平面視において矩形であり、柱材14は矩形の4隅に配置され、横材15L,15R,16は矩形の4辺を構成し、これら横材のうち平行に延びる2辺1対の横材15L,15Rが中程で折れ変形可能であり、棒部材13は2本1対とされ、その両端部が、中程で折れ変形可能な横材15L,15Rの両端に配置された2本の柱材14にそれぞれ取り付けられ、敷板41は乳幼児収容空間の矩形の4辺に対応する第1辺〜第4辺を輪郭線とし、これらのうち第1辺および第2辺は互いに平行に延び、これらのうち第3辺および第4辺は第1辺および第2辺と直交して延び棒部材13にそれぞれ支持され、屈曲線43は第1辺および第2辺と平行に延びる。これにより矩形のプレイヤード10において乳幼児を安定して支持することができる。
【0071】
また本実施例によれば、敷板41はその下面に固定されて棒部材13が挿通される布または柔らかいシート製の筒状部材42を有する。これにより乳幼児が敷板41上で活発に動いても敷板41が前後左右に揺れ動くことがなく、乳幼児を安定して支持することができる。
【0072】
また本実施例によれば、柱材14は、相対的に低い第1の位置に、棒部材13の端部が取り付けられて該棒部材を相対的に低い位置で水平に支持する第1のブラケット31を有し、相対的に高い第2の位置に、棒部材13の端部が取り付けられて該棒部材を相対的に高い位置で水平に支持する第2のブラケット32を有することから、棒部材13および敷板41は相対的に低い第1位置および相対的に高い第2位置に選択可能に取り付けられる。このように相対的に低いフレーム構造体の第1位置に取り付けることにより、敷板の高さをプレイヤードの下部にすることが可能となり、乳幼児がフレーム構造体を乗り越えてプレイヤードから出ることがない。したがってプレイヤードとして好適に使用することができる。また敷板および棒部材を、相対的に高いフレーム構造体の第2位置に取り付けることにより、敷板の高さをプレイヤードの中央部ないし上部にすることが可能となり、乳幼児が眠るベビーベッドとして好適に使用することができる。そして保護者は乳幼児まで容易に手をのばして世話することができる。かくして保護者は、本実施例のプレイヤード10を、乳幼児が遊ぶプレイヤードとして、あるいは乳幼児が眠るベビーベッドとして、好適に兼用することができる。
【0073】
また本実施例によれば、ブラケット31,32および棒部材13の端部のいずれか一方は、係合部としての突起部38を有し、ブラケット31,32および棒部材13の端部の残る他方は、水平方向移動不能かつ上方移動可能に突起部38と係合する被係合部としてのスリット33および凹部34を有する。したがって、ブラケット31,32が棒部材13を介して敷板41および敷板上の乳幼児を支持しつつ、乳幼児の体重を利用して棒部材13がブラケット31,32から外れることを防止する外れ止めにもなり、乳幼児を安定して支持することができる。
【0074】
また本実施例によれば、敷板41の上面から15cm以上立ち上がって四方を包囲する壁板51〜54をさらに備える。これにより、敷板41は、柔らかく変形自在な布状部材12ではなく、硬質の壁板51〜54に囲繞される。したがって、敷板41上に幼児用布団を敷き幼児用布団の上で乳幼児が睡眠中に、乳幼児の頭部が布状部材12と幼児用布団との間に挟まれる懸念を解消することができる。
【0075】
また本実施例によれば、壁板は、敷板41の第1辺に取り付けられる板片である第1壁板51と、敷板41の第2辺に取り付けられる板片である第2壁板52と、敷板41の第3辺に取り付けられる板片である第3壁板53と、敷板41の第4辺に取り付けられる板片である第4壁板54とを含む。これら敷板41および壁板51〜54によって構成される箱状体61は立体構造であり、敷板のみの平板構造と比較して強度が大きいため、敷板41の強度を従来のプレイヤードの敷板よりも大きくすることが可能となる。
【0076】
また本実施例によれば、第1壁板51は敷板41の第1辺を折れ変形可能な境界線55として敷板41と接続し、第2壁板52は敷板41の第2辺を折れ変形可能な境界線55として敷板41と接続する。このように敷板と壁板が連続することから、プレイヤード10の折り畳み作業および組み立て作業を円滑に行うことができる。
【0077】
また本実施例によれば、敷板41は、第3辺に固定されてこの辺と平行に延びる布または柔らかいシート製の筒状部材56と、第4辺に固定されてこの辺と平行に延びる布または柔らかいシート製の筒状部材57とを有し、第3壁板53は第3辺の筒状部材56に取り外し可能に挿通され、第4壁板54は第4辺の筒状部材57に取り外し可能に挿通される。これにより、筒状部材56,57は壁板53,54が挿通されない状態で屈曲線43に追従して容易に折り畳まれる。したがって、敷板41を容易に折り畳むことができる。またプレイヤード10の使用状態で、壁板53,54が屈曲線42と直交して敷板41と連結されることから、敷板41の曲げ変形を一層防止することができる。
【0078】
また本実施例によれば、敷板41は、第3辺に固定されてこの辺と平行に延びるとともに両端が第1壁板51および第2壁板52にそれぞれ固定される布または柔らかいシート製の筒状部材56と、第4辺に固定されてこの辺と平行に延びるとともに両端が第1壁板51および第2壁板52にそれぞれ固定される布または柔らかいシート製の筒状部材57を有する。したがって敷板41および壁板51〜54が、上面を有しない5面の箱状体61を構成することが可能となり、乳幼児を好適に支持して収容することができる。
【0079】
また本実施例によれば、フレーム構造体11の外周を包囲する布状部材12をさらに備え、壁板は、敷板41の第1辺に沿って配置される板片である第1壁板51と、敷板41の第2辺に沿って配置される板片である第2壁板52と、敷板41の第3辺に沿って配置される板片である第3壁板53と、敷板41の第4辺に沿って配置される板片である第4壁板54とを含み、これら第1〜第4壁板51〜54は、布状部材12の外側面に取り付けられる。したがって、第1〜第4壁板51〜54が乳幼児収容空間の外に配置され、乳幼児が第1〜第4壁板51〜54の上縁に触ることがない。
【0080】
また本実施例によれば、布状部材12の外周面には、第1〜第4壁板51〜54をそれぞれ収容するポケット71〜74およびポケット81〜84が設けられる、したがって、ポケット71〜74およびポケット81〜84で壁板51〜54を保持することができ、壁板51〜54をフレーム構造体11に確実に取り付けることができる。
【0081】
また本実施例によれば、布状部材12の内側に位置する敷板41と、布状部材12の外側に位置する第1〜第4壁板51〜54とを互いに連結する面ファスナ75あるいはスライドファスナ76をさらに有する。したがって、第1〜第4壁板51〜54を敷板41に確実に連結することができ、敷板41上の乳幼児が第1〜第4壁板51〜54を押しても、壁板と敷板との間に隙間が生じない。
【0082】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。