(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
貫通した保持孔を備えた保持枠を含む被軸支体、及び、前記保持孔の開口を貫通方向両側でそれぞれ開閉するように前記被軸支体に対して移動可能に構成されるとともに、前記保持孔の閉鎖時に前記保持孔に臨む吸引口を備えた一対のフィンガを有する物品保持ユニットと、
回転軸線を中心として前記被軸支体を回転可能に軸支する支持機体と、
前記物品保持ユニットを回転駆動する回転駆動機構と、
前記物品保持ユニットの回転姿勢に応じて前記一対のフィンガを移動させることにより
前記保持孔を貫通方向両側で交代的に開閉させるフィンガ駆動機構と、
前記吸引口に物品に対する吸着力を生じさせる吸引手段と、
を具備し、
前記吸引手段は、
前記物品保持ユニットに設けられ、前記吸引口に連通する回転側吸引経路と、
前記支持機体に設けられ、前記被軸支体との間において前記回転軸線の周りに同軸に形成された円筒摺接面を介して前記回転側吸引経路に接続される支持側吸引経路と、
を備えることを特徴とする物品姿勢変更装置。
貫通した保持孔を備えた保持枠を含む被軸支体、及び、前記保持孔の開口を貫通方向両側でそれぞれ開閉するように前記被軸支体に対して移動可能に構成されるとともに、前記保持孔の閉鎖時に前記保持孔に臨む吸引口を備えた一対のフィンガを有する物品保持ユニットと、
回転軸線を中心として前記被軸支体を回転可能に軸支する支持機体と、
前記物品保持ユニットを回転駆動する回転駆動機構と、
前記物品保持ユニットの回転姿勢に応じて前記一対のフィンガを移動させることにより前記保持孔を貫通方向両側で交代的に開閉させるフィンガ駆動機構と、
前記吸引口に物品に対する吸着力を生じさせる吸引手段と、
を具備し、
前記一対のフィンガは、前記保持孔の開放時に前記保持孔上から基端側へ退避する先端部を有し、
前記一対のフィンガにおける前記保持孔の開閉時に前記保持孔上を通過する先端縁には、前記保持枠から離反するに従って張り出すように構成された傾斜面が設けられ、
前記傾斜面は前記先端縁に形成された縦溝内に形成される、
ことを特徴とする物品姿勢変更装置。
前記一対のフィンガは、前記被軸支体に対して前記回転軸線に沿って移動可能に取り付けられるとともに、前記保持孔の開放時に前記保持孔上から基端側へ退避する先端部を有し、
前記フィンガ駆動機構は、前記一対のフィンガにそれぞれ取り付けられたカムフォロアが前記回転軸線の周りに同軸に形成されたカム面に対して前記一対のフィンガの前記基端側から当接する端面カムと、前記一対のフィンガに対して前記先端部の側へ弾性復元力を与える弾性体と、を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の物品姿勢変更装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の反転ユニットでは、下方のフィンガの先端部を保持孔の下に配置した状態で物品の供給を受け、その後、一対のフィンガの先端部を保持孔の両側に配置して閉鎖してから物品保持部を反転させるとともに、反転が完了した後に、上になったフィンガの先端部を保持孔上から退避させて物品を露出させるようにしているため、反転動作の前後にフィンガの動作時間が必要になることから、物品の反転処理のタクトタイムを短縮することができないという問題点がある。
【0005】
一方、上記特許文献2に記載の反転ユニットでは、反転動作の開始後に上方のフィンガの先端部が保持孔を閉鎖し始め、反転動作の終了前に上方のフィンガの先端部が保持孔を開放し始めるため、反転動作の前後の所要時間を削減することにより、特許文献1の反転ユニットよりも物品の反転処理のタクトタイムを短縮することが可能になる。しかしながら、この反転ユニットでは、タクトタイムを短縮するために、フィンガによる保持孔の閉鎖動作を反転動作の開始後にゆっくりと行ったり、フィンガによる開放動作を反転動作の終了前に迅速に行ったりすると、物品保持部の回転中に保持孔の一方が開放された状態となるため、物品の姿勢不良や脱落が生ずるおそれが高くなり、特に、物品保持部の回転速度を高めると、その遠心力により、物品が保持孔とフィンガの間に挟まれて物品、保持枠、フィンガ等が損傷したり、物品が弾き飛ばされて保持孔から脱落しやすくなったりするという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、保持孔を備えた保持枠の両側に一対のフィンガをスライド可能に配置してなる物品保持ユニットが回転可能に構成された物品姿勢変更装置において、物品の姿勢変更処理のタクトタイムの短縮或いは姿勢変更動作の高速化を図るとともに、物品の保持不良による物品、保持枠、フィンガ等の損傷若しくは保持孔からの物品の脱落を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる実情に鑑み、本発明の物品姿勢変更装置は、貫通した保持孔を備えた保持枠を含む被軸支体、及び、前記保持孔の開口を貫通方向両側でそれぞれ開閉するように前記被軸支体に対して移動可能に構成されるとともに、前記保持孔の閉鎖時に前記保持孔に臨む吸引口を備えた一対のフィンガを有する物品保持ユニットと、回転軸線を中心として前記被軸支体を回転可能に軸支する支持機体と、前記物品保持ユニットを回転駆動する回転駆動機構と、前記物品保持ユニットの回転姿勢に応じて前記一対のフィンガを移動させることにより前記保持孔を貫通方向両側で交代的に開閉させるフィンガ駆動機構と、前記吸引口に物品に対する吸着力を生じさせる吸引手段と、を具備することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記一対のフィンガの保持孔に臨む吸引口を備えたことにより、いずれか一方のフィンガが保持孔を閉鎖していれば、当該一方のフィンガの吸引口に物品が吸着されるため、物品保持ユニットの回転中に他方のフィンガが保持孔の開口を少なくとも部分的に開放している時点においても、物品が脱落したり、物品が保持枠と他方のフィンガとの間に挟まれて物品や保持枠が損傷を受けたりするおそれを低減できる。したがって、物品保持ユニットの回転時に双方のフィンガが保持孔の貫通方向両側を共に閉鎖した状態に維持する必要がなくなるため、フィンガによる保持孔の開閉動作と物品保持ユニットの回転動作とを並行して行うことで物品の姿勢変更処理のタクトタイムを短縮させやすくなるとともに、上記吸着力により遠心力にも対応できるようになるため物品保持ユニットの回転速度自体も高速化できる。また、他方のフィンガが保持孔を開放した状態でも一方のフィンガの吸引口に吸着されることで物品を保持することができるため、下方のフィンガが保持孔を閉鎖するとともに上方のフィンガが保持孔を開放している必要がなくなるから、物品保持ユニットの回転動作の開始時及び終了時の物品保持ユニットの姿勢に制約がなくなり、物品の姿勢を任意の角度姿勢間で変更することが可能になる。
【0009】
本発明において、前記吸引手段は、前記物品保持ユニットに設けられ、前記吸引口に連通する回転側吸引経路と、前記支持機体に設けられ、前記被軸支体との間において前記回転軸線の周りに同軸に形成された円筒摺接面を介して前記回転側吸引経路に接続される支持側吸引経路とを備えることが好ましい。これによれば、フィンガの吸引口に連通する回転側吸引経路は、被軸支体と支持機体との間において回転軸線の周りに同軸に設けられる円筒摺接面を介して支持側吸引経路と接続されるため、吸引口で物品に対する吸着力を生じさせるための吸引経路の取り回しを容易に構成することができる。
【0010】
本発明において、前記回転側吸引経路は、前記円筒摺接面に入口開口を有するとともに前記被軸支体の前記一対のフィンガが対向していない表面部位に出口開口をそれぞれ有する、前記被軸支体の内部に形成された被軸支体内吸引経路部と、前記被軸支体内吸引経路部の前記出口開口に接続されるとともに前記一対のフィンガにそれぞれ接続される一対の可撓性チューブと、前記一対の可撓性チューブの接続箇所と前記吸引口とを連通する、前記一対のフィンガの内部にそれぞれ形成された通気孔と、を有することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記回転側吸引経路は、前記円筒摺接面に入口開口を有するとともに前記被軸支体の前記一対のフィンガとの間の摺接面に出口開口をそれぞれ有する、前記被軸支体の内部に形成された被軸支体内吸引経路部と、前記被軸支体内吸引経路部の前記出口開口に対して少なくとも前記フィンガが前記保持孔を閉鎖したときにそれぞれ接続されるとともに、前記吸引口に連通するように前記一対のフィンガの内部にそれぞれ構成された一対のフィンガ内吸引経路部と、を有することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記一対のフィンガは、前記保持孔の開放時に前記保持孔上から基端側へ退避する先端部を有し、前記一対のフィンガにおける前記保持孔の開閉時に前記保持孔上を通過する先端縁には、前記保持枠から離反するに従って張り出すように構成された傾斜面が設けられることが好ましい。これによれば、保持孔が開放された状態で当該保持孔内の物品が当該保持孔の開口から部分的に飛び出した不良姿勢にあるときでも、フィンガが移動(スライド)して保持孔を閉鎖する際に先端縁の傾斜面によって上記不良姿勢にある物品が保持孔の内側へ案内され、反対側のフィンガの吸引口に近づくように導かれるため、当該物品の不良姿勢が傾斜面による案内作用とフィンガによる吸引作用とによって修正されることで、物品が保持枠とフィンガの先端部との間に挟み込まれることを抑制できるとともに、物品の姿勢を保持孔内における正規の収容姿勢に戻すことが可能になる。この場合に、前記傾斜面は前記先端縁に形成された縦溝内に形成されることが望ましい。これによれば、フィンガの先端縁の縦溝内に傾斜面が形成されることにより、傾斜面によって案内される物品の導かれる方向が縦溝の内部側面によって幅方向に規制されるため、当該物品をより安定的に保持孔の内側へ向けて案内することができる。
【0013】
本発明において、前記一対のフィンガは、前記被軸支体に対して前記回転軸線に沿って移動可能に取り付けられるとともに、前記保持孔の開放時に前記保持孔上から基端側へ退避する先端部を有し、前記フィンガ駆動機構は、前記一対のフィンガにそれぞれ取り付けられたカムフォロアが前記回転軸線の周りに同軸に形成されたカム面に対して前記一対のフィンガの前記基端側から当接する端面カムと、前記一対のフィンガに対して前記先端部の側へ弾性復元力を与える弾性体と、を有することが好ましい。これによれば、フィンガ駆動機構を端面カムと弾性体の組み合わせによって構成することにより、回転駆動機構によって物品保持ユニットを回転駆動するだけで、端面カムのプロファイルに応じて自動的に既定の態様で一対のフィンガを回転軸線に沿って移動(スライド)させることができる。また、この端面カムではカムフォロアがカム面に対してフィンガの基端側から当接するため、保持孔を閉鎖するためにフィンガが弾性体の弾性復元力によってフィンガの先端部の側へ移動(スライド)する際に、物品が保持枠とフィンガの先端部との間に挟み込まれることなどにより弾性復元力を越える駆動抵抗を受けたときには、フィンガのそれ以上の移動(スライド)は停止する。したがって、弾性体の弾性復元力を適宜に設定することにより、物品、保持枠、フィンガ等が損傷を受けることを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、物品の姿勢変更処理のタクトタイムの短縮、或いは、姿勢変更動作の高速化を図るとともに、物品の保持不良による物品、保持枠、フィンガ等の損傷若しくは保持孔からの物品の脱落を抑制することができるという優れた効果を奏し得る。
【0015】
特に、フィンガの先端縁に傾斜面を設けることにより、傾斜面によって物品が保持孔の内側へ案内され、反対側のフィンガの吸引口に近づくことで、一時的に物品の保持不良が発生しても物品が保持枠とフィンガの先端部との間に挟み込まれることを抑制できるとともに、物品の不良姿勢を正規の姿勢に戻すことが可能になる。したがって、タクトタイムの短縮、或いは、姿勢変更動作の高速化と、物品、保持枠、フィンガ等の損傷若しくは保持孔からの物品の脱落の抑制とを、さらに高い次元で両立させることが可能になる。
【0016】
また、フィンガ駆動機構を端面カムと弾性体の組み合わせで構成することにより、保持孔を閉鎖するためにフィンガが先端側へ移動(スライド)する際に、物品が保持枠とフィンガの先端部との間に挟み込まれることなどによってフィンガが弾性復元力を越える駆動抵抗を受けると、そのスライド移動が停止するため、物品、保持枠、フィンガ等に損傷が生ずることを抑制できる。この場合にも、タクトタイムの短縮、或いは、姿勢変更動作の高速化と、物品、保持枠、フィンガ等の損傷若しくは物品の脱落の抑制とをさらに高い次元で両立させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、
図1及び
図2を参照して第1実施形態の物品姿勢変更装置の全体構成について説明する。
図1は第1実施形態の側面図、
図2は第1実施形態の平面図であり、それぞれ一部を断面として表している。
【0019】
第1実施形態の物品姿勢変更装置は、被軸支体11、及び、この被軸支体11に対して移動可能に取り付けられた一対のフィンガ12A,12Bを備えた物品保持ユニット10と、この物品保持ユニット10がその回転軸線10Xを中心として回転可能となるように被軸支体11を軸支する支持機体20と、回転軸線10Xを中心として物品保持ユニット10を回転駆動する回転駆動機構30と、一対のフィンガ12A、12Bを被軸支体11に対して移動させるフィンガ駆動機構40とを具備する。
【0020】
被軸支体11は、支持機体20において回転軸線10X方向の前後に設けられた軸受部21,22によって回転軸線10Xを中心として回転自在に軸支されている。被軸支体11は、軸受部21に軸支される円盤状の拡径部11aと、この拡径部11aの中心から後方(すなわち物品保持ユニット10の基端側)へ伸びる円柱状の軸部11bと、上記拡径部11aの中心から前方(すなわち物品保持ユニット10の先端側)へ突出する突起部11cとを有する後部回転体11Aを備えている。また、被軸支体11は、後部回転体11Aの上記突起部11cに嵌合する嵌合部11dと、この嵌合部11dからさらに前方(物品保持ユニット10の先端側)へ伸びる先端支持部11eとを有する前部回転体11Bを備えている。この前部回転体11Bの上記先端支持部11eの先端段差面上には板状の保持枠11fが取り付け固定されている。
図2に示すように、保持枠11fには、上記先端支持部11eの先端段差面にねじ等により固定された基部から前方へ突出した部分に、上下両面に貫通した保持孔11kが形成されている。保持孔11kの平面形状(開口形状)は任意であるが、保持すべき物品が嵌合する形状(当該物品を収容可能な相似形状)とすることが好ましい。
【0021】
フィンガ12A、12Bは、上記後部回転体11Aの軸部11bの外面上に固定されたガイドレールとこのガイドレールに対して直線に沿ってスライド移動可能に構成されるスライダとからなるガイド機構11g、11hを介して回転軸線10Xの方向にスライド移動可能に取り付けられる。
図1に示す状態では、フィンガ12Aは図示上方に配置され、フィンガ12Bはフィンガ12Aと反対側の図示下方に配置される。フィンガ12A、12Bは、上記ガイド機構11g、11hにそれぞれ取り付けられた基端部から、上記被軸支体11の拡径部11aに設けられた挿通用開口11i、11jを通過して、回転軸線10Xに沿って前方(物品保持ユニット10の先端側)へ伸びる直線状の基部12a,12bと、この基部12a,12bの前端に接続された先端部12c,12dとを備えている。
【0022】
フィンガ12A,12Bの先端部12c、12dは、上記先端支持部11eの上下両面においてそれぞれ回転軸線10Xに沿って形成された案内溝(凹溝)11zに案内されて回転軸線10Xの前後に移動し、保持枠11fの上下両面上をそれぞれ摺動することにより保持孔11kを開閉できるように構成される。一方、フィンガ12A,12Bの基部12a,12bの基端には、回転軸線10Xと直交する回転軸周りに回転自在に構成されたローラ構造を有するカムフォロア12e,12fが半径方向外側へ突出する姿勢でそれぞれ取り付けられている。また、
図3(b)に示すように、フィンガ12A、12Bの先端縁には、保持枠11fから離反するほどに物品保持ユニット10の先端側へ張り出すように構成された傾斜面12i、12jが形成されている。これらの傾斜面12i、12jは上記先端縁に形成された縦溝12Lと12Mの内底面に相当する部位にそれぞれ形成されている。
【0023】
物品保持ユニット10には回転側吸引経路10vが構成される。この回転側吸引経路10vは、支持機体20に構成される支持側吸引経路20vと接続され、支持側吸引経路20vを介して接続された図示しない排気装置を稼働させることにより、フィンガ12A、12Bの先端部12c、12dに設けられる後述する吸引口12g、12h(
図3参照)に物品を吸着できるように構成される。上記軸受部22による軸部11bの軸支箇所に隣接する位置には、軸部11bが回転可能に摺接する軸孔を備えた接続板23が設置され、この接続板23内には上記支持側吸引経路20vの一部を構成する吸引経路部23aが形成される。この吸引経路部23aは上記軸孔の内周面23bに開口している。一方、回転側吸引経路10vは、被軸支体11内に形成された吸引経路部11vと、この吸引経路部11vと、フィンガ12A、12B(の先端部12c、12d)との間に接続された可撓性チューブ13A、13Bとを有する。
【0024】
吸引経路部11vは、接続板23の円筒状の内周面23bと摺接する軸部11bの円筒状の外周面11pに開口する入口開口11vaを備える。ここで内周面23bと外周面11pは上記円筒摺接面を構成する。この入口開口11vaは、上記外周面11pにおいて環状に構成された凹溝11qと、この凹溝11qの内部と軸部11bの中心に設けられた吸引経路11vとを連通する半径方向に伸びる接続孔11rを介して、軸部11b内で回転軸線10Xに沿って延在する吸引経路部11vの部分に連通している。なお、図示例では一対の接続孔11rが対向位置に直線上に連結して形成された貫通孔が構成されている。また、吸引経路部11vは、軸部11a内を回転軸線10Xに沿って延在し、拡径部11a内を通過して突起部11cの先端から嵌合部11dの外周面に形成される出口開口11vbを備えている。この出口開口11vbは上記可撓性チューブ13A,13Bの一端に接続される。また、上記フィンガ12A、12Bの先端部12c、12dの内部には、
図3に示すように、可撓性チューブ13A,13Bの他端の接続箇所から上記吸引口12g,12hに通じる通気孔12vが形成されている。なお、可撓性チューブ13A、13Bは、嵌合部11dの外周面の出口開口11vbからフィンガ12A、12Bに設けられた長円状の開口範囲を有する開口部12s,12tを通して外周側へ導出され、半円弧状に湾曲して先端部12c,12dの外面に接続される。
【0025】
回転駆動機構30は、サーボモータ等よりなる駆動源31と、この駆動源31の出力軸31aを上記被軸支体11の軸部11bに連結し、駆動源31の回転を被軸支体11に伝達する軸継手32とを有する。図示例では軸継手としてオルダムカップリングを用いている。駆動源31を稼働させると、軸継手32を介して被軸支体11が回転軸線10Xを中心に回転し、これによって物品保持ユニット10の全体が支持機体20に対して回転駆動される。
【0026】
フィンガ駆動機構40は、フィンガ12A,12Bの基部12a,12bに取り付けられたカムフォロア12e、12fと、物品保持ユニット10を内側に収容する態様で支持機体20に固定された円筒状のカム部材41と、フィンガ12A,12Bの基部12a,12bの基端の両側面にそれぞれ設けられた取付箇所と後部回転体11Aの拡径部11aの後面にそれぞれ設けられた取付箇所との間に接続された引張ばねからなるそれぞれ二本の弾性体42A、42Bとを有する。上記カム部材41の端面には回転軸線10Xの周りに同軸に形成されたカム面41aが設けられ、上記カムフォロア12e,12fが上記弾性体42A,42Bの弾性復元力によりカム面41aに回転軸線10Xの後方側(フィンガ12A,12Bの基端側)から当接することにより端面カムが構成される。この端面カムのカムプロファイルは、一対のフィンガ12A、12Bの先端部12cと12dが交代的に保持孔11kを開閉するように構成される。ここで、本明細書に言う「交代的」とは、フィンガ12Aの先端部12cによる保持孔11kに対する開閉タイミングと、フィンガ12Bの先端部12dによる保持孔11kに対する開閉タイミングとが交互に生ずる場合を広く包含する。本実施形態では、フィンガ駆動機構40により、先端部12cが保持孔11kを開放している状態で先端部12dが保持孔11kを閉鎖している時点が存在し、かつ、先端部12dが保持孔11kを開放している状態で先端部12cが保持孔11kを閉鎖している時点が存在するように動作する。また、後述する図示例の場合には、先端部12cと12dが同時に保持孔11kを両側から閉鎖している全閉時点も存在するように動作する。ただし、本発明では、全閉時点は必ずしも設けなくてもよい。
【0027】
以上のように構成される第1実施形態の物品姿勢変更装置は以下のように動作する。まず、
図3に示すように、下方にあるフィンガ12Bの先端部12dが保持孔11kを閉鎖し、上方にあるフィンガ12Aの先端部12cが保持孔11kを開放する初期状態になっているとする。このとき、フィンガ12Aは物品保持ユニット10の基端側の待機位置に配置され、フィンガ12Bは物品保持ユニット10の先端側の繰出位置に配置される。また、物品保持ユニット10は保持枠11fが水平となる初期姿勢にある。この状態で、本発明の物品に相当する部品Pを図示しない搬送装置(例えば、吸着ヘッドを備えたピックアンドプレース機構など)により保持孔11k内に供給すると、保持孔11kを閉鎖している先端部12dの上面に開口する吸引口12hは保持孔11kの内部に臨んでいるため、供給された部品Pは吸引口12hにより先端部12dの上面に吸着保持される。
【0028】
次に、
図4に示すように、回転駆動機構30により物品保持ユニット10が回転軸線10Xを中心として回転を開始し、同時に、フィンガ12Aが物品保持ユニット10の先端側(
図4(b)の左側)へスライド移動を開始する。
図4では、物品保持ユニット10が初期姿勢より45度回転し、フィンガ12Aの先端部12cが物品保持ユニット10の基端側から先端側へ移動して、保持孔11kを閉鎖しつつある状態を示している。このとき、上記搬送装置による供給位置のずれや、供給された際に先端部12dの上面に衝突したときの反発などにより、部品Pが保持孔11kの図示上方の開口面より外側に突出していた場合でも、上記傾斜面12iにより部品Pは保持孔11kの内側へ案内され、これによって先端部12dの吸引口12hに接近して吸着力を受けるため、正規の保持位置に戻される。また、上記傾斜面12iは縦溝12L内に形成されているため、縦溝12Lの両側の内側面により部品Pは幅方向にも規制され、保持孔11k内に案内される。ここで、縦溝12Lの両側の内側面も先端側に開くように傾斜した面で構成されていればさらに保持孔11k内への案内機能を高めることができる。
【0029】
次に、
図5に示すように、物品保持ユニット10が90度程度回転すると、フィンガ12Aはスライド移動を完了して繰出位置に配置され、その先端部12cは保持孔11kを完全に閉鎖する。これによって、保持孔11kは先端部12cと12dにより両側から完全に閉鎖された状態となる。このとき、吸引口12gと12hは共に保持孔11kに臨む位置にあるため、吸引口12gと12hの吸着力が同様であれば、密閉された保持孔11k内で部品Pに対する吸着状態は実質的に解除される。その後、物品保持ユニット10がさらに同じ方向に回転していくと、
図6に示すように、先端部12dが上方に配置され、先端部12cが下方に配置されるようになるとともに、今度はフィンガ12Bが物品保持ユニット10の基端側へスライド移動(退避動作)を開始し、先端部12dは保持孔11kを開放する。
図6に示す状態は物品保持ユニット10が135度程度回転した様子を示す。このとき、保持孔11kの先端部12dの側が開放されるため、部品Pは反対側の先端部12cの吸引口12gに吸着される。ここで、先端部12dの先端縁に形成された傾斜面12jは、
図3〜
図5に示す状態で得られる先端部12dの上面(吸引口12h)と部品Pとの吸着状態(貼り付き)を、
図6に示す段階で早期に解除し、反対側の先端部12cの吸引口12gに確実に吸着させるように機能する。この機能は、特に薄板状の部品Pにおいて生ずる貼り付きによる問題を解決する。
【0030】
その後、物品保持ユニット10が180度回転すると、
図7に示すように、フィンガ12Bはさらに基端側へスライド移動して退避位置に配置される。このとき、フィンガ12Aは繰出位置にあるので、先端部12cは保持孔11kを閉鎖したままである。これによって、物品保持ユニット10は、上記初期姿勢に対して上下反転した反転姿勢となるため、部品Pも反転した姿勢とされる。このとき、保持孔11kの下方にあるフィンガ12Aの先端部12cの上面にある吸引口12gにより部品Pは吸着保持された状態にある。そして、図示しない上記搬送装置により保持孔11k内の部品Pが取り出される。
【0031】
なお、上記搬送装置の吸着ヘッドの吸着力が吸引口12g、12hの吸着力よりも大きければ、部品Pの取出時に吸引口12g、12hの吸着力を一時的に低減したりなくしたりする必要は必ずしもない。ただし、部品Pの姿勢変更処理のタクトタイムが増大する虞はあるものの、部品Pの取り出しを容易にするために、回転側吸引経路10v又は支持側吸引経路20vの一部、或いは、両吸引経路間の接続部分を遮断して大気開放したり、図示しない電磁弁などにより排気装置と支持側吸引経路20vの間を遮断して大気開放したりして、吸着力を一時的に解除してもよい。
【0032】
上記のように、先端部12cが保持孔11kを閉鎖し、先端部12dが保持孔11kを開放している状態(反転姿勢)では、先端部12cが保持枠11fの下方に配置されているため、物品保持ユニット10が上記初期姿勢にあるときと同様に、新たな部品Pの供給を受けることができる。そして、その後は、上記の物品保持ユニット10の180度の回転と同様に、上記の説明とはフィンガ12Aと12Bを相互に逆になる態様で動作させることで、物品保持ユニット10を上記初期姿勢に戻すことができ、同時に保持されている部品Pの姿勢を反転させることができる。以後、反転動作は部品Pの供給を受ける度に繰り返し行うことができる。なお、この場合に、或る反転動作と、その次の反転動作の回転の向きを相互に同じにすることもでき、また、相互に逆向きにすることもできる。
【0033】
本実施形態では、保持孔11kを両側から開閉可能に構成された一対のフィンガ12A、12Bに吸引口12g、12hを形成し、保持孔11k内に物品を吸着保持するように構成したことにより、フィンガ12A、12Bのいずれか一方が保持孔11kを閉鎖した状態となっていれば、物品が保持孔11k内から脱落しにくくなるとともに、物品が不良姿勢となることも抑制できる。このため、フィンガ12A、12Bの開閉動作を物品保持ユニット10の回転中に行うことも可能になるため、物品の姿勢変更処理のタクトタイムを短縮できる。また、物品保持ユニット10を高速で回転させても遠心力により物品が跳ね飛ばされるおそれを低減できるため、物品保持ユニット10の回転速度自体を高速化することも可能になる。さらに、本実施形態では供給時及び排出時において物品が吸着保持されるため、物品保持ユニット10の初期姿勢や反転姿勢は図示のような保持孔11kの開放された側が上方を向く水平姿勢に限定される必要がなく、傾斜姿勢や保持孔11kの開放された側が下方に向く姿勢でも用いることができる。さらに言えば、本実施形態のような反転動作に限らず、45度、90度などの他の角度で姿勢を変更する態様で用いても支障がない。
【0034】
本実施形態において、吸引口12g、12hに吸着力を発生させるための吸引経路は、支持側吸引経路20vと回転側吸引経路10vとで構成され、両吸引経路10vと20vは、物品保持ユニット10が支持機体20に対して回転する際に相互に摺接する接続板23の円筒状の内周面23bと後部回転体11Aの軸部11bに形成された円筒状の外周面11pとによって構成される円筒摺接面を介して接続される。これによって、物品保持ユニット10の回転動作に影響を受けない状態で吸引経路を常時構成できるため、装置構造の簡易化を図ることができる。ただし、上述のように吸引経路が特定の位置及び姿勢のときにのみ接続されるように構成してもよい。例えば、凹溝11qを形成せずに接続孔11rのみを外周面11pに開口させることで、物品保持ユニット10が初期姿勢と反転姿勢にあるときにのみ吸引経路が形成されるようにすることも可能である。
【0035】
ここで、上記の円筒摺接面では、上記内周面23b上の吸引経路部23aの開口は、上記外周面11pに開口する環状の凹溝11qに臨み、凹溝11qは軸部11bを貫通するように構成される一対の接続孔11rを介して吸引経路部11vに連通している。このため、物品保持ユニット10の回転姿勢に応じて吸引経路の通気抵抗が増減する。すなわち、接続孔11rの開口が上記内周面23b上の吸引経路部23aの開口位置と対向する角度位置にあるときには、吸引経路部23aと接続孔11rの内部とが直接連通するために吸引経路の通気抵抗が最も低くなり、接続孔11rの開口が上記内周面23b上の吸引経路部23aの開口位置と直交する角度位置にあるときには、吸引経路部23aと接続孔11rの内部とが凹溝11qの90度分の長さ部分を介して接続されるために吸引経路の通気抵抗が最も高くなる。したがって、本実施形態の場合には、物品保持ユニット10の反転動作の開始時点(初期姿勢)と終了時点(反転姿勢)において吸引経路の通気抵抗が最も低くなるために吸引口12g、12hの吸着力は最大となり、当該反転動作の開始時点と終了時点の間においては吸引経路の通気抵抗が増大するために吸着力は減少する。特に、
図5に示す両時点の中間時点である90度の時点では、上述のように通気抵抗が最も高くなるために吸着力は最小となる。ここで、上記反転動作の開始時点及び終了時点では、保持孔11kの一方は開放されているとともに、物品の供給と排出が行われるため、供給された物品の確実な吸着保持と物品が排出された後の吸引作用の継続を図るためにも、吸引経路の通気抵抗の低減は重要である。したがって、本発明の上記構成によれば、上記開始時点及び終了時点では、物品の確実な吸着作用を確保できる。一方、上記中間時点では保持孔11kの両側が共に閉鎖されているために、吸引経路の通気抵抗が増大しても支障はない。ただし、この中間時点でも吸引経路自体は確保されているため、その後の初期姿勢や反転姿勢になった際における吸着力の発生タイミングの遅れを防止できるから、物品保持ユニット10を高速回転させても吸着力不足による問題が発生することを回避できる。
【0036】
本実施形態ではさらに、回転側吸引経路10vが被軸支体11内の吸引経路部11vと、被軸支体11とフィンガ12A、12Bとの間に接続された可撓性チューブ13A、13Bとによって構成されるため、被軸支体11とフィンガ12A、12Bとの間のスライド移動方向の相対的移動量を可撓性チューブ13A、13Bの可撓性によって吸収できる。このため、吸引経路部11vと吸引口12g、12hの間の吸引経路の気密性を高めることができるから、確実な吸着作用を確保することができる。特に、図示のように半円弧状に可撓性チューブ13A、13Bを取り回すことで、上記相対的移動量の吸収特性を確保しつつコンパクトに構成できる。また、可撓性チューブ13A、13Bはフィンガ12A、12Bの回転軸線10Xに沿った距離変動を吸収すれば足りるので、物品保持ユニット10の回転動作に影響を受けず、また、物品保持ユニット10の回転態様にも制約を与えない。例えば、フィンガ12A、12Bに接続される可撓性チューブを支持側吸引経路20vとの間に直接接続することも可能ではあるが、この場合には、物品保持ユニット10の回転態様を、反転動作の回転方向が交互に逆向きの回転になるようにしなければならず、また、可撓性チューブの変形も大きくなるために耐久性にも問題が生ずる可能性がある。本実施形態では、上記のように反転動作の度に交互に逆向きに回転させてもよいが、物品保持ユニット10を連続して同じ回転の向きに回転させ続けることも可能である。
【0037】
次に、
図8を参照して、本発明に係る物品姿勢変更装置の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、基本的に上記第1実施形態と同様の物品保持ユニット10、支持機体20、回転駆動機構30及びフィンガ駆動機構40を備えているので、それらの図示及び説明は省略する。本実施形態では、物品保持ユニット10を構成する被軸支体11のうち、前部回転体11B′及びフィンガ12A′,12B′の構造が第1実施形態とは異なり、また、回転側吸引経路10vのうち、被軸支体11(前部回転体11B′)からフィンガ12A′,12B′へ接続される吸引経路部分が第1実施形態とは異なる。
【0038】
本実施形態では、吸引経路部11v′は、後部回転体11Aの突起部11cから嵌合部11d′を介して先端支持部11e′の内部へそのまま回転軸線10Xに沿って延在する。そして、吸引経路部11v′の出口開口11vb′は、先端支持部11e′とフィンガ12A′、12B′の先端部12c′,12d′との摺接部分である、先端支持部11e′の上下両側の案内溝(凹溝)11z′の内底面に開口している。一方、先端部12c′,12d′の内部には、上記吸引口12g′,12h′に接続可能に構成された吸引経路部12v′がそれぞれ形成されている。このフィンガ内の吸引経路部12v′は、先端部12c′,12d′が保持孔11kを閉鎖したときに上記出口開口11vb′と連通する接続開口12va′をそれぞれ備えている。
【0039】
本実施形態においては、回転側吸引経路10vを構成する被軸支体11内の吸引経路部11v′と、フィンガ12A′,12B′内の吸引経路部12v′とが、被軸支体11とフィンガ12A′及び12B′の摺接部において、先端部12c′,12d′が保持孔11kを閉鎖する際には接続され、先端部12c′,12d′が保持孔11kを開放する際には遮断されるように構成される。これによって、吸引口12g′,12h′が保持孔11k内に臨む際には確実に物品を吸着することができる。ここで、保持孔11kを開放している側(図示上側)の吸引経路部11v′の出口開口11vb′と、吸引経路部12v′の接続開口12va′とが共に摺接面によって閉鎖されるため、保持孔11kを閉鎖している側(図示下側)の吸引口(図示では12h′)の吸着力に影響を与えないように構成できる。また、本実施形態では、第1実施形態のような可撓性チューブを用いる必要がないため、物品保持ユニット10の先端部分のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0040】
尚、本発明の物品姿勢変更装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、吸引経路部23aと接続される吸引経路部11vの入口開口11vaを、軸部11bの外周部11pの形成領域に設けた凹溝11qと対向配置された一対の接続孔11rによって構成しているが、凹溝11qの深さを増大させる、吸引経路部11vを軸部11bの中心より半径方向にずらして凹溝11q内に開口するように形成するなどの構成によって、接続孔11rを設けずに吸引経路部23aを凹溝11qのみを介して吸引経路部11vに接続するように構成しても構わない。この場合には物品保持ユニット10の角度姿勢による通気抵抗の増減を低減できる。また、多数の接続孔11rを設けることによっても、同様に通気抵抗の増減を緩和できる。
【0041】
また、上記各実施形態では、一対のフィンガ12Aと12Bが被軸支体11に対して物品保持ユニット10の回転軸線10Xに沿って移動するように構成しているが、例えば、一対のフィンガ12Aと12Bを上記とは異なる方向、例えば、上記回転軸線10Xと直交する方向に移動するように構成してもよい。この場合には、物品の姿勢を変更した際の前後の位置が回転軸線10Xに対して異なる方位に配置されることとなるが、これを利用することにより、物品の姿勢を変更しつつ同時に物品を空間的に移送することも可能になる。