(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886777
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】ペン、入力装置及び入力方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20160303BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20160303BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20160303BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20160303BHJP
【FI】
G06F3/03 400D
G06T1/00 400H
G06T1/00 400L
G06F3/041 560
G06F3/041 620
G06F21/32
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-46389(P2013-46389)
(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公開番号】特開2014-174713(P2014-174713A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 憲一
【審査官】
若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−039741(JP,A)
【文献】
特開2012−063844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041
G06F 21/32
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンと、利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよび前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末とから構成される入力装置において、
前記ペンは、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部と、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と
を含み、
前記端末は、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定部
を含む
ことを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記端末における前記ペン入力および指入力判定部は、前記利用者による前記ペンを用いた情報の入力中に、
前記ペンから受信した前記握りパターン一致情報が、不一致を示す情報となった場合に、前記ペン入力検出パネルの出力を前記指入力検出パネルの出力に切り替え、
一致を示す情報となった場合に、前記指入力検出パネルの出力を前記ペン入力検出パネルの出力に切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
ペンと、利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよび前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末とから構成される入力装置において、
前記ペンは、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部
を含み、
前記端末は、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者によるペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定部と
を含む
ことを特徴とする入力装置。
【請求項4】
前記端末における前記ペン入力および指入力判定部は、前記利用者による前記ペンを用いた情報の入力中に、
前記端末における前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、不一致を示す情報となった場合に、前記ペン入力検出パネルの出力を前記指入力検出パネルの出力に切り替え、
一致を示す情報となった場合に、前記指入力検出パネルの出力を前記ペン入力検出パネルの出力に切り替える
ことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記指紋および握りパターン記憶部への前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータの登録は、前記指紋および握りパターン検出部に特定の触れ方をした者のみに許可される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記指紋およびペンの握りパターン検出部は、感圧センサ、画像センサまたは静電容量センサから構成される
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
利用者の指紋パターンおよび該利用者によるペン本体の握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部と、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペン本体の握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、端末にペン自身による情報入力を選択させ、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記端末に指による情報入力を選択させる入力方法選択情報を前記端末に送信する入力方法送信部と
から構成されたことを特徴とするペン。
【請求項8】
前記利用者による前記ペンを用いた情報の入力中に、
前記握りパターン一致情報が、不一致を示す情報となった場合に、前記入力方法送信部により、前記端末に指による情報入力を選択させる前記入力方法選択情報を前記端末に送信し、
一致を示す情報となった場合に、前記入力方法送信部により、前記端末にペンによる情報入力を選択させる前記入力方法選択情報を前記端末に送信する
ことを特徴とする請求項7に記載のペン。
【請求項9】
利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよびペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末にペンまたは指で情報を入力する入力方法において、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて指紋および握りパターン記憶部に予め記憶する指紋および握りパターン記憶ステップと、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出ステップと、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定ステップと、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定ステップと
を含むことを特徴とする入力方法。
【請求項10】
前記利用者による前記ペンを用いて情報を入力中の前記ペン入力および指入力判定ステップにおいて、
前記ペンから受信した前記握りパターン一致情報が、不一致を示す情報となった場合に、前記ペン入力検出パネルの出力を前記指入力検出パネルの出力に切り替え、
一致を示す情報となった場合に、前記指入力検出パネルの出力を前記ペン入力検出パネルの出力に切り替える
ことを特徴とする請求項9に記載の入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン、入力装置および入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、情報端末等の電子機器は、専用のペンや指等により情報や指示を入力できる入力手段と、許可された者のみが該電子機器を使用できるようにする指紋認証機能等の生体認証機能を有する生体認証手段とを備えるものが増えている。
【0003】
特許文献1には、タッチパネル等の入力装置に付属するスタイラスペンが備える指紋センサにより、利用者の指紋パターンと予め登録された指紋パターンとの指紋照合を行い、両パターンが一致し、当該利用者が該入力装置の利用を許可された利用者であると認証されれば、当該利用者によるスタイラスペンを用いた手書き入力を許可する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、表面に非接触センサを備えた携帯情報端末を利用者が握ろうとして該端末の表面に手や指を接近させた際の、該端末表面の静電容量分布である握り方情報を予め登録しておき、実際に利用者が携帯情報端末を握った際の握り方情報が、登録された握り方情報と一致する場合に、当該利用者に該端末の使用を許可する認証技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、入力ペンの軸と直交する複数に分割された線状電極に触れた指による線状電極間の電気抵抗の分布に基づく利用者の指の情報である指情報と、予め登録済みの指情報とを比較することにより正当な利用者を認証する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−18426号公報
【特許文献2】特開2004−259107号公報
【特許文献3】特開平10−254615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1乃至3には、ペン入力機能及び指入力機能の両方を備え、且つ、複数種類の認証機能を利用してそれらの入力機能のうちのどちらを有効にするかを決定する技術については何ら開示されていない。
【0008】
本発明の目的は、複数種類の認証機能を利用してペン入力機能及び指入力機能のうちのどちらを有効にするかを決定することが可能なペン、入力装置および入力方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の入力装置は、
ペンと、利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよび前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末とから構成される入力装置であって、
前記ペンは、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部と、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と
を含み、
前記端末は、
利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルと、
前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルと、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定部と
を含む。
【0010】
また、本発明の他の入力装置は、
ペンと、利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよび前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末とから構成される入力装置であって、
前記ペンは、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部
を含み、
前記端末は、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定部とを含む。
【0011】
さらに、本発明のペンは、
利用者の指紋パターンおよび該利用者によるペン本体の握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出部と、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペン本体の握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて予め記憶した指紋および握りパターン記憶部と、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定部と、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、端末にペン自身による情報入力を選択させ、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記端末に指による情報入力を選択させる入力方法選択情報を前記端末に送信する入力方法送信部と
から構成される。
【0012】
また、本発明の入力方法は、
利用者の指が接近したときに該指の位置を示す位置情報を出力する指入力検出パネルおよび前記ペンが接近したときに該ペンの位置を示す位置情報を出力するペン入力検出パネルを有する端末にペンまたは指で情報を入力する方法であって、
利用者の指紋パターンのデータである指紋パターンデータと該利用者による前記ペンの握り方のパターンのデータである握りパターンデータとを対応付けて指紋および握りパターン記憶部に予め記憶する指紋および握りパターン記憶ステップと、
利用者の指紋パターンおよび該利用者による前記ペンの握り方である握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして検出する指紋および握りパターン検出ステップと、
指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータおよび前記握りパターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータおよび対応する前記握りパターンデータとがそれぞれ一致するか否かを判定し、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記指紋パターンデータと前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記指紋パターンデータとが一致すると判定された場合には、一致した当該指紋パターンデータと対応付けて前記指紋および握りパターン記憶部に記憶された前記握りパターンデータと、前記指紋および握りパターン検出部により検出された前記握りパターンデータとが一致するか否かを示す握りパターン一致情報を出力する指紋および握り判定ステップと、
前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの一致を示している場合には、前記ペン入力検出パネルの出力を選択し、一方、前記指紋および握り判定部から出力される前記握りパターン一致情報が、前記握りパターンデータの不一致を示している場合には、前記指入力検出パネルの出力を選択するペン入力および指入力判定ステップと
を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明には、利用者がペン入力と指入力とを簡単に選択することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る電磁誘導式ペン30の構成を表す図である。
【
図2】本発明の実施形態における端末60の構成を表す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るペン30において、利用者の指紋および握りパターンを判定し、指紋パターン一致および握りパターン一致情報を送信する処理の流れを表すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態における端末60において、受信した指紋パターン一致および握りパターン一致情報に基づいて入力手段を切替える処理の流れを表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る電磁誘導式ペン30(以下、単に、「ペン30」とも言う。)の構成を表す図である。また、
図2は、本発明の実施形態における端末60の構成を表す図である。
【0017】
本実施形態は、ペン30と、端末60とから構成される。
【0018】
まず、
図1を参照してペン30の構成を説明する。
【0019】
ペン30は、利用者の指紋パターンを検出する機能と利用者のペン30の握り方のパターン(以下、「握りパターン」と言う。)を検出する機能とを有する指紋および握りパターン検出部9と、指紋および握りパターン記憶部8と、指紋および握り判定部6と、パターン記憶開始ボタン3と、パターン記憶開始ランプ4と、セキュリティパターン記憶部7と、セキュリティパターン判定部5と、ペン30のペン先が位置する座標情報を端末60へ入力するための共振回路部10と、無線送信部1と、ペン側アンテナ部2と、ペン30内の各種回路に電力を供給するための電池50とから構成される。
【0020】
検出部9は、ペン30を利用者が手で握った際に、利用者の指紋パターンおよび握りパターンを検出可能な感圧フィルムから成り、該感圧フィルムはペン30の表面部に貼り付けられている。
【0021】
検出部9は、上述した感圧フィルムに限定されず、指紋および握りパターンを検出できれば画像センサや静電容量センサ等でもよい。
【0022】
次に、
図2を参照して端末60の構成を説明する。
【0023】
端末60は、握りパターン一致情報記憶部23と、ペン入力および指入力判定部24と、指先の位置を静電容量により検出する静電容量検出部11及びタッチパネル座標検出部12を含む周知の静電容量式タッチパネル13と、ペン30のペン先の位置を電磁誘導により検出する電磁誘導式ペン30のペン先を検出可能なアンテナコイル群を有する周知の電磁誘導式ペン検出パネル15と、アンテナコイル切替信号16と、交流ドライバ回路部17と、受信回路部18と、ペン入力座標検出部19と、ペン側アンテナ部2から送信される情報を受信する端末側アンテナ部21と、無線受信部20と、画像を表示する液晶表示パネル14とから構成される。
【0024】
静電容量式タッチパネル13の下には、液晶表示パネル14が設けられ、パネル14の下には、電磁誘導式ペン検出パネル15が設けられている。
【0025】
尚、本実施形態に用いる静電容量式タッチパネル13は、一例であり、他の指入力方式のタッチパネルでもよく、これらのタッチパネルを総称して指入力検出パネルとも言う。
【0026】
また、本実施形態に用いる電磁誘導式ペン検出パネル15は、一例であり、他のペン入力方式のパネルでもよく、これらのペン入力方式のパネルを総称してペン入力検出パネルとも言う。
【0027】
次に、
図3及び
図4を用いて本実施形態の動作を説明する。
【0028】
図3は、本実施形態に係るペン30における処理の流れを示すフローチャートである。
【0029】
また、
図4は、本実施形態に係る端末60における処理の流れを示すフローチャートである。
【0030】
図3を参照すると、まず、ペン30のパターン記憶開始ボタン3が利用者により押下されたか否かが確認される(ステップS26)。
【0031】
利用者によってパターン記憶開始ボタン3が押下されると(ステップS26にてYESと判定)、パターン記憶開始ランプ4が点滅する。
【0032】
次に利用者は、パターン記憶開始ランプ4が点滅中に、予め決めた特定の触れ方で検出部9に触れ、その触れ方をセキュリティパターンデータとして検出部9から取り込む(ステップS37)。
【0033】
ここで、特定の触れ方(セキュリティパターン)としては、利用者がペン30の側面を指で5回だけ軽くたたいたり、ペンの側面を上下方向に指で2往復なでたりする等がある。そして、この特定の触れ方はセキュリティパターンデータとしてキュリティパターン記憶部7に予め登録されている。
【0034】
次に、ペン30は、指紋および握りパターン検出部9から取り込まれたセキュリティパターンデータと、セキュリティパターン記憶部7に記憶されているセキュリティパターンデータとをセキュリティパターン判定部5において比較する(ステップS38)。
【0035】
ステップS38において、指紋および握りパターン検出部9からのセキュリティパターンデータと、セキュリティパターン記憶部7に記憶されているセキュリティパターンデータとが一致した場合(ステップS38にてYESと判定)、パターン記憶開始ランプ4が緑色に点灯する(ステップS40)。
【0036】
これにより利用者は、セキュリティパターンの入力が成功したことを知る。
【0037】
続いて、利用者は、ペン30における指紋および握りパターン検出部9を自然な握り方で握る。その結果、指紋および握りパターン検出部9は、利用者の指紋パターンおよび握りパターンを読取り、読み取った指紋パターンおよび握りパターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握りパターンデータとして指紋および握りパターン記憶部8に記憶する(ステップS41)。
【0038】
その後、パターン記憶開始ランプ4は消灯する(ステップS45)。
【0039】
一方、ステップS38において、指紋および握りパターン検出部9からのセキュリティパターンデータと、セキュリティパターン記憶部7に記憶されたセキュリティパターンデータとが一致しない場合(ステップS38にてNOと判定)には、パターン記憶開始ランプ4が所定の期間、赤色に点灯する(ステップS43)。
【0040】
該所定の期間経過後、パターン記憶開始ランプ4は消灯する(ステップS45)。
【0041】
これにより利用者は、セキュリティパターンの入力に失敗したことを知る。
【0042】
以上の説明から分かるように、ペン30に指で上記特定の触れ方をした利用者のみが自身の指紋パターンおよび握り方パターンをそれぞれ指紋パターンデータおよび握り方パターンデータとして記憶部8に登録することができ、上記特定の触れ方を知らない者は自身の指紋パターンおよび握り方パターンのデータを記憶部8に登録することができない。
【0043】
なお、指紋パターンデータおよび握り方パターンデータの記憶部8への登録を許可する方法は、上述したようなペン30に特定の触れ方をするという方法には限定されず、これ以外にも種々の方法が考えられる。
【0044】
次に、利用者によってパターン記憶開始ボタン3が押されていない場合(ステップS26にてNOと判定)には、利用者は、端末60へ入力するための許可を得るために、一旦、ペン30を握る。そして利用者により握られるペン30から入力される指紋が、指紋および握りパターン記憶部8に記憶された指紋と一致するか否かが確認される(ステップS28)。
【0045】
ステップS28にて、利用者により入力される指紋と、指紋および握りパターン記憶部8に記憶された指紋とが一致しない場合(ステップS28にてNOと判定)には、ステップS26に戻り、パターン記憶開始ボタン3の押下が再度確認される。
【0046】
一方、ステップS28にて、利用者により入力される指紋と、指紋および握りパターン記憶部8に記憶された指紋とが一致する場合(ステップS28にてYESと判定)には、ペン30の指紋および握りパターン検出部9に触れている利用者の握りパターンが指紋および握りパターン検出部9から握りパターンデータとして出力される(ステップS31)。
【0047】
次に、検出部9から出力された握りパターンデータと、指紋および握りパターン記憶部8に記憶された握りパターンデータとが、指紋および握り判定部6において比較され、握りパターンが一致したか否かを示す握りパターン一致情報が判定部6から出力される(ステップS32)。
【0048】
判定部6から出力された握りパターン一致情報は無線送信部1へ入力され、ペン側アンテナ部2より、端末60へ送信される(ステップS33)。
【0049】
尚、ステップS32及びステップS33において、握りパターンデータを、指紋および握り判定部6において比較し、その比較結果である握りパターン一致情報を、無線送信部1へ入力し、該情報を電波として送信するペン側アンテナ部2を総称して入力方法送信部とも言う。
【0050】
また、ペン30は、ペン30が使用されない場合は、図示していない例えば電源スイッチを用いて利用者により電源を切ることができるようにしてもよい。
【0051】
次に、
図4を参照して端末60での処理について説明する。
【0052】
端末60は、端末側アンテナ部21および無線受信部20を介して、一定時間間隔毎にペン30から受信する握りパターン一致情報を握りパターン一致情報記憶部23に記憶する(ステップS46)。
【0053】
ステップS46において受信した握りパターン一致情報が、握りパターンデータが一致したことを示しているか否かを判定し(ステップS52)、一致したことを示している場合(ステップS52にてYESと判定)には、端末60に対して、ペン30による入力を許可するとともに、指による入力は禁止する(ステップS54)。
【0054】
具体的には、利用者の指が静電容量式タッチパネル13に触れて、その指が触れた位置がタッチパネル座標検出部12で検出され、その触れた位置の座標データが検出部12からペン入力および指入力判定部24に送られて来たとしても、判定部24はその座標データを無視し、ペン入力座標検出部19により検出されたペン30の位置を示す座標データのみが判定部24に取り込まれる。
【0055】
一方、ステップS52において、握りパターン一致情報が、握りパターンデータが一致しなかったことを示している場合(ステップS52にてNOと判定)には、端末60に対する指による入力を許可するとともに、ペン30による入力を禁止する(ステップS56)。
【0056】
具体的には、利用者の指が静電容量式タッチパネル13に触れて、その指が触れた位置がタッチパネル座標検出部12で検出され、その触れた位置の座標データのみが検出部12からペン入力および指入力判定部24に取り込まれ、一方、判定部24はペン入力座標検出部19からの出力は無視する。
【0057】
こうして、端末60は、ペン30側から受信した握りパターン一致情報に基づいて、ペン入力と指入力とを排他的に切替えることができる。
【0058】
尚、ペン30側における指紋および握りパターン検出部9の出力データである、指紋パターンデータ及び握りパターンデータを端末60に送って、端末60側に設けた指紋および握りパターン記憶部8において対応付けて記憶された指紋パターンデータ及び握りパターンデータを、端末60側に設けた指紋および握り判定部6においてそれぞれ比較し、一致するか否かの判定を行うようにしてもよい。
【0059】
また、握りパターン一致情報は、該握りパターン一致情報により、入力手段を選択するために使っているので、入力方法選択情報とも言う。
【0060】
以上、本発明には、利用者がペン入力と指入力とを簡単に選択することができるという効果がある。
【0061】
その理由は、端末60は、利用者がペン30を握っていればペン入力、利用者がペン30を机に置くなどして握っていないか、または、通常の(登録された)握り方と異なる握り方していれば、指入力というように、端末60側でペン入力と指入力とを排他的に切替えるためである。
【符号の説明】
【0062】
1 無線送信部
2 ペン側アンテナ部
3 パターン記憶開始ボタン
4 パターン記憶開始ランプ
5 セキュリティパターン判定部
6 指紋および握り判定部
7 セキュリティパターン記憶部
8 指紋および握りパターン記憶部
9 指紋および握りパターン検出部
10 共振回路部
11 静電容量検出部
12 タッチパネル座標検出部
13 静電容量式タッチパネル
14 液晶表示パネル
15 電磁誘導式ペン検出パネル
16 アンテナコイル切替信号
17 交流ドライバ回路部
18 受信回路部
19 ペン入力座標検出部
20 無線受信部
21 端末側アンテナ部
23 握りパターン一致情報記憶部
24 ペン入力および指入力判定部
30 電磁誘導式ペン
50 電池
60 端末