特許第5886779号(P5886779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886779
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】タイヤ製造方法、及び空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20160303BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20160303BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20160303BHJP
   B29D 30/06 20060101ALI20160303BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20160303BHJP
【FI】
   B29C33/02
   B29C35/02
   B60C13/00 A
   B29D30/06
   B29L30:00
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-49485(P2013-49485)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172360(P2014-172360A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2014年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】戸川 修
(72)【発明者】
【氏名】上ノ薗 久順
(72)【発明者】
【氏名】三浦 広貴
(72)【発明者】
【氏名】南 伸明
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−1353(JP,A)
【文献】 特開2005−88517(JP,A)
【文献】 実開平4−126838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/02
B29C 35/02
B29D 30/06
B60C 13/00
B29L 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部の外面に凸状の標識を設けたタイヤを形成するタイヤ製造方法であって、
タイヤのサイドウォール部の外面を成形するサイド成形面を有する加硫金型を用いて生タイヤを加硫成形する加硫工程を含み、
かつ前記加硫金型は、標識形成用のステンシルプレートと、前記サイド成形面に凹設され内部に前記ステンシルプレートが取り付けられるプレート取付け凹部とを具え、
しかも前記ステンシルプレートは、厚さt0が0.2〜0.8mm、かつタイヤ周方向の長さがタイヤ半径方向の巾よりも大な横長の金属板からなるとともに、
前記ステンシルプレートは、その表面に、打刻によって凹設された標識形成用の凹状刻印部と、前記打刻による変形により前記凹状刻印部と略同深さで裏面側に突出する膨出部と、巾方向両端部が裏面側に斜めに折れ曲がって突出する折曲がり部とを具え、
しかも前記折曲がり部の前記表面からの折れ曲がり量H2は、前記凹状刻印部の前記表面からの刻印深さH1との差が0.3mm以下であることを特徴とするタイヤ製造方法。
【請求項2】
前記凹状刻印部の刻印深さH1は、0.3〜1.3mmであることを特徴とする請求項1記載のタイヤ製造方法。
【請求項3】
前記ステンシルプレートの表面は、前記サイド成形面から突出していることを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ製造方法。
【請求項4】
前記ステンシルプレートの表面の、前記サイド成形面からの突出高さH3は、前記折れ曲がり量H2とステンシルプレートの厚さt0との和(H2+t0)より小であることを特徴とする請求項3記載のタイヤ製造方法。
【請求項5】
前記ステンシルプレートの表面の、前記サイド成形面からの突出高さH3は、前記刻印深さH1より小であることを特徴とする請求項3又は4記載のタイヤ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドウォール部の外面に凸状の標識を有するタイヤを形成するタイヤ製造方法、及び空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)に示すように、タイヤTのサイドウォール部Tsの外面には、文字、図形、記号等からなる標識eが形成されている。この標識eは、一般に、加硫金型のサイド成形面に交換可能に取り付くステンシルプレートによって形成されている(特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、図6(B)に概念的に示すように、加硫金型aのサイド成形面a1に、プレート取付け凹部bを形成するとともに、その内部に標識形成用のステンシルプレートcを、ビス、接着剤などを用いて取り付けている。前記プレート取付け凹部bの深さは、前記ステンシルプレートcの厚さとほぼ等しく、またステンシルプレートcの表面には、標識eを反転した形状の刻印部c1が凸設されている。これにより加硫成型時、サイドウォール部Tsの外面に、標識eが、前記刻印部c1の転写によって凹状に形成される。同図には、便宜上、標識eおよび刻印部c1が円形状に描かれている。
【0004】
これに対して、近年、サイドウォール部Tsの外面に、標識eを凸状に形成することが望まれている。
【0005】
そのため、前記ステンシルプレートcの表面に、刻印部c1を彫刻などによって凹状に形成することが提案される。しかし彫刻の場合、形成時間や形成コストの大幅な増加を招くという問題が生じる。
【0006】
そこで本発明者は、ステンシルプレートとして薄い金属板を用い、その表面側から打刻することによって凹状の刻印部を形成することを提案した。この場合、形成時間や形成コストを低減でき、しかも刻印部を、ステンシルプレートの厚さ以上の深さで容易に形成しうるという利点も得られる。
【0007】
しかし打刻による場合、図7(A)に示すように、ステンシルプレートcの裏面側に、膨出部fが打刻による変形によって形成される。従って、このようなステンシルプレートcをプレート取付け凹部bに取り付けた場合、不安定となって、図7(B)に示すように、ステンシルプレートcが加硫中に傾き易くなる。そのため、ステンシルプレートcと加硫金型aとの間に隙間gが生じ、そこからゴムが流入して膜状のバリが発生するなどの成形不良を招くという新たな問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平4−126838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで発明は、ステンシルプレートの巾方向両端部を、裏面側に折れ曲がる折曲がり部として形成し、かつその折れ曲がり量を規制することを基本として、打刻によって凹状の刻印部を形成した場合にも、ステンシルプレートの取り付けの安定性を確保することが可能となり、打刻による利点を発揮しながら成形不良を抑制しうるタイヤ製造方法、及び空気入りタイヤを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち請求項1記載の発明は、サイドウォール部の外面に凸状の標識を設けたタイヤを形成するタイヤ製造方法であって、
タイヤのサイドウォール部の外面を成形するサイド成形面を有する加硫金型を用いて生タイヤを加硫成形する加硫工程を含み、
かつ前記加硫金型は、標識形成用のステンシルプレートと、前記サイド成形面に凹設され内部に前記ステンシルプレートが取り付けられるプレート取付け凹部とを具え、
しかも前記ステンシルプレートは、厚さt0が0.2〜0.8mm、かつタイヤ周方向の長さがタイヤ半径方向の巾よりも大な横長の金属板からなるとともに、
前記ステンシルプレートは、その表面に打刻によって凹設された標識形成用の凹状刻印部と、前記打刻による変形により前記凹状刻印部と略同深さで裏面側に突出する膨出部と、巾方向両端部が裏面側に斜めに折れ曲がって突出する折曲がり部とを具え、
しかも前記折曲がり部の前記表面からの折れ曲がり量H2は、前記凹状刻印部の前記表面からの刻印深さH1との差が0.3mm以下であることを特徴としている。
【0011】
また請求項2では、前記凹状刻印部の刻印深さH1は、0.3〜1.3mmであることを特徴としている。
【0012】
また請求項3では、前記ステンシルプレートの表面は、前記サイド成形面から突出していることを特徴としている。
【0013】
また請求項4では、前記ステンシルプレートの表面の、前記サイド成形面からの突出高さH3は、前記折れ曲がり量H2とステンシルプレートの厚さt0との和(H2+t0)より小であることを特徴としている。
【0014】
また請求項5では、前記ステンシルプレートの表面の、前記サイド成形面からの突出高さH3は、前記刻印深さH1より小であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は叙上の如く、ステンシルプレートの凹状刻印部を、打刻によって形成している。従って、彫刻等の場合に比して、凹状刻印部の形成時間や形成コストを低減しうる。しかも凹状刻印部を、ステンシルプレートの厚さ以上の刻印深さで容易に形成することも可能となる。
【0017】
又、ステンシルプレートの巾方向両端部を、裏面側に折れ曲がる折曲がり部とし、その折れ曲がり量H2と刻印深さH1との差を0.3mm以下に規制している。ここで、打刻によって凹状刻印部の裏側に生じる膨出部の突出量は、刻印深さH1とほぼ等しい。従って、膨出部の下面とステンシルプレートの両端下面とは、ほぼ同高さとなる。そのため、プレート取付け凹部内にステンシルプレートを装着した場合のステンシルプレートの安定性が高まり、加硫中の傾きが抑えられる結果、バリ等の発生(成形不良)を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の製造方法によって形成された空気入りタイヤ1の一実施例の断面図である。
図2】加硫工程に用いる加硫金型を概念的に示す断面図である。
図3】ステンシルプレートの正面図である。
図4】ステンシルプレートの取り付き状態を示す巾方向の断面図である。
図5】標識が形成されたタイヤのサイドウォール部の断面図である。
図6】(A)は、従来タイヤの側面図、(B)は従来の標識の形成方法を示す加硫金型の部分断面斜視図である。
図7】(A)、(B)は、打刻によってステンシルプレート表面に凹状の刻印部を形成した場合の問題点を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の製造方法によって形成された空気入りタイヤ1の一実施例の断面図である。空気入りタイヤ1の内部構造としては特に規制されないが、本例では、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内部かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具えた場合が例示される。
【0020】
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば75゜〜90゜の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るトロイド状のプライ本体部6aの両端に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを有する。前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外側に先細状にのびるビード補強用のビードエーペックスゴム8が配される。
【0021】
又前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜程度で配列した複数枚、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性が高まり、トレッド部2の略全巾がタガ効果を有して補強される。
【0022】
又サイドウォール部3の外面3sには、例えば、タイヤのサイズ、製造番号、製造年月日、メーカー名、ブランド名などを表示するための文字、記号、図形等からなる凸状の標識9が形成される。
【0023】
次に、前記空気入りタイヤ1の製造方法は、図2に概念的に示すように、生タイヤ1Nを加硫金型10を用いて加硫成形する加硫工程を含む。なお加硫工程以外は、従来の製造工程が好適に採用しうる。
【0024】
前記加硫金型10は、トレッド部2の外面2s(以下、トレッド面2sという場合がある。)を成形するトレッド成形面Saを有するトレッドモールド10Aと、サイドウォール部の外面3s(以下、サイドウォール面3sという場合がある。)を成形するサイド成形面Sbを有するサイドモールド10B、及びビード部4の外面4s(以下、ビード面4sという場合がある。)を成形するビード成形面Scを有するビードモールド10Cとを含んで構成される。
【0025】
そして、前記サイドモールド10Bは、標識形成用のステンシルプレート11と、前記サイド成形面Sbに凹設されプレート取付け凹部12とを具え、このプレート取付け凹部12内に、前記ステンシルプレート11が取り付けられる。
【0026】
前記ステンシルプレート11は、図3、4に示すように、厚さt0が0.2〜0.8mm、かつタイヤ周方向の長さLがタイヤ半径方向の巾Wよりも大な横長の薄い金属板から形成される。金属材料としては、例えばアルミ、鉄などが好適に使用できる。
【0027】
そして、タイヤ側を向く前記ステンシルプレート11の表面11sには、表面側からの打刻によって形成される標識形成用の凹状刻印部13が配される。この凹状刻印部13は、標識9を反転した形状をなし、本例の場合、前記表面11sからの刻印深さH1は0.3〜1.3mmの範囲に設定されている。
【0028】
ここで、前記薄い金属板に打刻した場合、凹状刻印部13の裏側には、打刻による変形が膨出部15となって現れる。この膨出部15の突出量は、前記刻印深さH1とほぼ同じである。従って、そのままステンシルプレート11を取り付けた場合には、安定性が著しく損なわれる。そこで本発明では、ステンシルプレート11の巾方向両端部11Eを、裏面側に斜めに折れ曲がって突出する折曲がり部16として形成している。本例では、前記折曲がり部16が、ステンシルプレート11の全周に亘って形成される。
【0029】
この時、前記折曲がり部16の前記表面11sからの折れ曲がり量H2と、前記刻印深さH1との差(|H2−H1|)は0.3mm以下、即ち、前記折れ曲がり量H2が前記刻印深さH1とほぼ等しく設定される。従って、膨出部15の下面とステンシルプレートの両端下面とは、ほぼ同高さとなる。そのため、プレート取付け凹部12内にステンシルプレート11を装着した場合のステンシルプレート11の安定性を大幅に高めることができる。
【0030】
本例のステンシルプレート11は、前記プレート取付け凹部12の底面にビス、本例では皿ビスによって固定される。図3の符号17は、ビス挿通孔であって、その周囲には皿ビスの頭部(皿部分)が入るテーパ状の絞り部17aが形成される。しかしこれ以外にも、例えば接着剤を用いる、或いはプレート取付け凹部12に圧入して固定するなど種々な固定方法が採用できる。
【0031】
ここで、固定状態において、前記ステンシルプレート11の表面11sは、前記サイド成形面Sbから突出していることが好ましい。又その時、前記表面11sのサイド成形面Sbからの突出高さH3は、前記折れ曲がり量H2とステンシルプレートの厚さt0との和(H2+t0)よりも小であることが好ましく、特に、前記折れ曲がり量H2よりも小であるのがより好ましい。これにより、ステンシルプレート11の両端部11Eが、プレート取付け凹部12内に完全に入り込み、取り付けを確実化しうる。さらには、バリの発生抑制にも役立つ。なお前記プレート取付け凹部12の深さH0は、前記ステンシルプレート11の前記厚さt0以上、かつ前記折れ曲がり量H2以下が好ましい。
【0032】
又タイヤ側においては、図5に示すように、ステンシルプレート11の表面11sがサイド成形面Sbから突出することで、サイドウォール面3sに凹部20が形成された後、その凹部20底面から前記標識9が立ち上がる。従って、視認性を十分に確保しながら、標識9のサイドウォール面3sからの突出高さH4を低く抑えることができる。その結果、加硫時のゴム流れ不良による標識9の傷の発生等を抑制できる。
【0033】
又前記突出高さH3を前記折れ曲がり量H2より小とした場合には、タイヤ側においては、前記凹部20の周囲に、サイドウォール面3sから小高さで突出する縁取り状のリブ21が形成される。これにより外観性を向上しうる。又前記突出高さH3を前記刻印深さH1より小とした場合、標識9がサイドウォール面3sから突出することになるため、視認性を高めることができる。
【0034】
なお前記刻印深さH1が0.3mmを下回ると、視認性が低下する。しかし刻印深さH1が1.3mmを越える場合には、打刻による撓みが過大となってステンシルプレート11の形成精度の低下を招く。又、凹状刻印部13内へのゴム流れ不良となって標識9の傷の発生傾向となる。
【0035】
又前記凹状刻印部13が大きすぎても、撓みが大きくなってステンシルプレート11の変形を招く。そのために、凹状刻印部13のステンシルプレートの長さ方向の大きさ、及びステンシルプレートの巾方向の大きさは、それぞれ10mm以下が好ましい。又ステンシルプレート11が長すぎても、又巾が広すぎても、ステンシルプレート11が強度不足となって初期形状を保つことが難しくなり、加硫中に変形して成形不良を招く。従って、ステンシルプレート11の長さLは100mm以下、巾Wは20mm以下が好ましい。又前記ステンシルプレートの厚さt0が0.2mmを下回る場合にも強度不足となる。又厚さt0が0.8mmを越えると、打刻の際、撓みが大きくなってステンシルプレート11の変形を招く。
【0036】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0037】
本発明の効果を確認するため、図4に示す断面形状のステンシルプレートを用い、凸状の標識を有するタイヤ(LT245/70R15)を表1の仕様に基づいて、それぞれ1万本ずつ加硫成形した。そして、その時の成形不良の発生状況等を確認した。表1に記載以外は、実質的に同仕様である。なおステンシルプレートの凹状刻印部は、それぞれ打刻によって形成した。従って、凹状刻印部の裏側には、打刻による膨出部が、刻印深さH1とほぼ等しい高さで突出している。
【0038】
(1)成形不良:
目視によって成形不良の有無を判断した。「バリ」は、膜状のバリであって、ステンシルプレートが加硫中に傾くことにより生じる。又「標識の傷」は、加硫中のゴム流れ不良、充填不良により生じる。
【0039】
(2)視認性:
標識の視認性を、目視判断し、5段階で評価した。数値が大なほど優れている。
【0040】
(3)外観性:
ステンシルプレートの捻れ、撓みなどの変形に基づく外観不良の状況を、目視によって3段階(○、△、×)で判断した。
【0041】
【表1】
【0042】
表に示す如く、実施例は、ステンシルプレートの取り付けの安定性が高まり、膜状のバリの発生を抑制しうるのが確認できる。なお実施例4では、刻印深さH1が過小なため、視認性を低下させている。実施例7では、刻印深さH1が過大なため、凹状刻印部内へのゴム流れが不足傾向となり、標識の傷が生じている。又打刻による歪みが大きくなり、プレートの形成精度が低下し外観性に影響を与えている。又実施例11、13では、ステンシルプレートの巾、長さが過大のため、強度不足となって加硫中に変形し易くなり外観性に影響を与えている。又参考例1では、ステンシルプレートの厚さt0が薄すぎて加硫中に変形が生じ外観性を損ねている。又参考例2では、ステンシルプレートの厚さt0が、プレート取り付け凹部の深さH0よりも大となるため外観性を損ねている。なおt0≦H0の場合、ステンシルプレートの厚さt0が0.8mmまでは外観性に問題ないが、0.8mmを越えると打刻の際の撓みが大きくなってしまい外観性の低下を招く。
【符号の説明】
【0043】
1 空気入りタイヤ
1N 生タイヤ
3 サイドウォール部
3s 外面
9 標識
10 加硫金型
11 ステンシルプレート
11E 両端部
11s 表面
12 プレート取付け凹部
13 凹状刻印部
16 折曲がり部
Sb サイド成形面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7