【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
穿孔機において、
穿孔加工を受ける被加工物に取り外し可能に取り付けられる下面壁部、及び該下面壁部に連接し該下面壁部から上方に延びて該下面壁部とともにL型をなす前面壁部を有するフレームと、
穿孔工具を回転駆動するためのモータを有する穿孔駆動部であって、前記前面壁部の前側に取り付けられ、前記下面壁部が前記被加工物に固定された状態で、前記穿孔工具を該被加工物に対して近づけたり離したりするために前記前面壁部に沿って上下動される穿孔駆動部と、
前記フレームとは別体に用意され、該フレームに取り付けられて、前記モータの駆動電源としてのバッテリを、前記前面壁部の後側で且つ前記下面壁部の上側の位置に保持するためのバッテリハウジングと、
を備え、
前記フレームは、前記穿孔工具による前記穿孔加工の際に生じる負荷を支持する強度を有するようにされた、穿孔機を提供する。
【0007】
当該穿孔機においては、穿孔駆動部を支持するとともに穿孔工具による穿孔加工の際に生じる負荷を支持する強度を有するようにされたフレームと、該フレームに取り付けられるバッテリハウジングとを別体の部材として構成することで、バッテリハウジングの機械的強度は小さいものでよいこととなる。従って、前述したような鋳物などで作る必要はなく樹脂などで造ることも可能となり、また、形状の選択の自由度も大きくなり、当該穿孔機を、より小型且つ軽量なものにすることが可能となる。
【0008】
好ましくは、前記フレームと前記バッテリハウジングとの間に前記モータを制御する駆動制御回路を配置するための内部空間が形成されるようにすることができる。
【0009】
好ましくは、前記バッテリハウジングが右側部分及び左側部分からなり、該右側部分及び左側部分のそれぞれが前記フレームに取り付けられるようにすることができる。
【0010】
バッテリハウジングを左右に分割した構造をすることで、内部に回路や配線等を組み付ける際の作業性を向上させることが可能となる。
【0011】
また好ましくは、前記下面壁部の下面に取り付けられ、前記下面壁部を前記被加工物に対して取り外し可能に固定する固定部をさらに備えるようにすることができる。
【0012】
好ましくは、前記固定部が前記バッテリに接続された電磁石式固定部であるようにすることができる。
【0013】
さらに好ましくは、前記電磁石式固定部を起動するための電磁石スイッチと、前記モータを起動するためのモータスイッチとをさらに備え、前記電磁石スイッチと前記モータスイッチとが、前記バッテリハウジングの左右の異なる側の側面に設けられているようにすることができる。
【0014】
2つのスイッチを左右の異なる側の側面に配置することで、スイッチへの配線が干渉しにくくなり、装置をより小型にすることが可能となる。また、組み付け性も向上する。
【0015】
また好ましくは、前記駆動制御回路が、前記内部空間内において前記フレームの前記前面壁部又は前記下面壁部と並行に配置されるようにすることができる。
【0016】
駆動制御回路をこのような配置とすることにより、無駄な空間が少なくなり、当該穿孔機をさらに小型なものにすることが可能となる。
【0017】
好ましくは、前記フレームが金属製であり、前記バッテリハウジングが樹脂製であるようにすることができる。
【0018】
比較的に重量があり且つ穿孔加工中に穿孔工具から大きな力を受ける穿孔駆動部を支持するL型のフレームは金属製として十分な強度を持たせつつ、あまり大きな力がかからないバッテリハウジングは樹脂製とすることで装置全体としての軽量化を図ることが可能となる。また、バッテリを保持するバッテリハウジングを樹脂製とすることで、バッテリの接続端子の金属部材への接触による短絡を防止するとともに、通常は樹脂の筐体で覆われているバッテリがバッテリハウジングに対して着脱されたときにバッテリが摩耗したり傷ついたりすることを防止することも可能となる。
【0019】
好ましくは、前記フレームが、前記下面壁部および前記前面壁部の左右の両側縁間に設けられた左右のリブを有するようにすることができる。
【0020】
左右のリブを設けることでフレームの強度を向上させることができる。
【0021】
また好ましくは、前記バッテリハウジングが、前記前面壁部の後側で該前面壁部から離れて並行に延びる中間壁部と、該中間壁部の左右の両側縁から後方に延びる左右の側壁部とを有し、前記中間壁部と前記左右の側壁部とによって前記バッテリを着脱可能に収容するバッテリ収納空間を画定するようにすることができる。
【0022】
バッテリを収容するためのバッテリ収容空間が穿孔駆動部が取り付けられる前面壁部から後方に離れた位置にあり、比較的に重量のある駆動制御部とバッテリとが前後方向で離れた位置に配置されるので、装置全体の重量バランスが良くなり、装置が転倒しにくくなると共に、持ち運び時にも安定した姿勢を保つことが可能となる。また、発熱体であるモータとバッテリが離れた位置に配置となるので、効率的な廃熱と冷却も可能となる。
【0023】
さらに好ましくは、前記バッテリ収容空間は前記左右の側壁部に挟まれた底面壁部をさらに有し、該底面壁部が前方から後方に向かって下方に傾斜しているようにすることができる。
【0024】
このような構造により、バッテリ収容空間内に水が入ったときにその水が自然に排出されるようになる。
【0025】
好ましくは、前記ハウジングの前記右側部分の上部には右側取っ手部が設けられ、前記ハウジングの前記左側部分の上部には左側取っ手部が設けられており、前記右側部分及び左側部分が前記フレームに取り付けられたときに前記右側取っ手部及び左側取っ手部が一つの取っ手を形成し、該右側取っ手部から左側取っ手部にまで延在するネジにより前記右側取っ手部及び左側取っ手部が連結固定されているようにすることができる。
【0026】
当該穿孔機を持ち運ぶ際に大きな力がかかる取っ手内にネジを延在させることにより、該ネジの強度を利用して取っ手の強度を高めることが可能となる。
【0027】
好ましくは、前記フレームの前記前面壁部の前面にアリ溝が設けられ、前記穿孔駆動部に前記アリ溝と摺動係合するスライダが設けられているようにすることができる。
【0028】
フレームの前面壁部に直接アリ溝を設けるようにすることにより、部品点数を減らすと共に装置をより小型にすることが可能となる。
【0029】
好ましくは、前記駆動制御回路は前記内部空間内の下方位置に配置され、前記内部空間内の上方位置には前記駆動制御回路と配線接続された回路部材が設けられており、前記バッテリハウジングは、前記駆動制御回路と前記回路部材との間で前記内部空間を上下に分割する仕切り板を有し、該仕切り板には上下方向に連通する開口部が設けられ、前記開口部には該開口部と密封係合するシール部材が設けられており、前記配線は、前記開口部を通って配線されて前記シール部材によって前記仕切り板に対して密封されているようにすることができる。
【0030】
内部空間の上方に位置する回路部材の周囲に水が浸入した場合でも、駆動制御回路が配置される内部空間の下方にまで水が侵入することを防止することが可能となる。
【0031】
以下、本発明に係る穿孔機の実施形態を添付図面に基づき説明する。