特許第5886789号(P5886789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886789電気自動車のリレー接点診断装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886789
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】電気自動車のリレー接点診断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   B60L3/00 J
【請求項の数】12
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-106971(P2013-106971)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2013-243919(P2013-243919A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2013年5月21日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0054264
(32)【優先日】2012年5月22日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】チョ ドク ユン
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−109872(JP,A)
【文献】 特開2009−234559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車のリレー接点診断方法であって、
高電圧バッテリを介してインバータに入力される第1の電圧を測定するステップと、
前記測定された第1の電圧と、前記高電圧バッテリを介して出力された第2の電圧とを比較するステップと、
前記第1の電圧が前記第2の電圧以上であると、前記電気自動車の始動のオン時点から測定される前記第1の電圧の検出時間を確認するステップと、
前記検出時間が確認されると、前記インバータに電圧が入力されてからの電圧の安定化時間と、前記検出時間とを比較するステップと、
前記比較結果により、前記高電圧バッテリの出力電圧を断続する高電圧リレーの異常があるか否かを判定するステップと、
を含むことを特徴とするリレー接点診断方法。
【請求項2】
前記第1の電圧を測定するステップは、
前記電気自動車の始動のオン時点で行われるステップであり、
前記検出時間は、前記始動のオン時点から前記第1の電圧が検出された時点までの経過時間であることを特徴とする請求項1に記載のリレー接点診断方法。
【請求項3】
前記判定するステップは、
前記検出時間が前記安定化時間と同一であるか大きいと、前記高電圧リレーを正常として判定するステップを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のリレー接点診断方法。
【請求項4】
前記判定するステップは、
前記検出時間が前記安定化時間よりも小さいと、前記高電圧リレーに融着が発生したと判定するステップを含むことを特徴とする請求項3に記載のリレー接点診断方法。
【請求項5】
前記高電圧リレーの融着が判定されると、前記高電圧リレーの融着による診断情報を格納するステップを、更に含むことを特徴とする請求項4に記載のリレー接点診断方法。
【請求項6】
前記高電圧リレーの融着が判定されると、前記高電圧リレーの融着による診断情報を表示するステップを、更に含むことを特徴とする請求項4又は5に記載のリレー接点診断方法。
【請求項7】
前記第1の電圧が前記第2の電圧よりも低いと、一定時間の待機後、前記インバータに入力される第1の電圧を再測定するステップを、更に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のリレー接点診断方法。
【請求項8】
主電源である高電圧バッテリと、
前記高電圧バッテリから直流電源を供給され、前記供給された直流電源を相変換して、モータを駆動させるインバータと、
前記高電圧バッテリとインバータとの間に形成され、前記高電圧バッテリを介して出力される直流電源を断続する高電圧リレーとを含み、
前記インバータは、前記直流電源の供給によるDCリンク電圧の電圧値が、前記高電圧バッテリの電圧値以上になる時点を検出し、前記時点が検出されると、前記インバータに電圧が入力されてからの電圧の安定化時間と、電気自動車の始動のオン時点から前記検出された時点までの前記DCリンク電圧の検出時間とを比較して、前記高電圧リレーの異常があるか否かを判定し、前記判定の結果により、前記モータに入力される電源を断続することを特徴とする電気自動車のリレー接点診断装置。
【請求項9】
前記インバータは、
前記高電圧バッテリを介して出力されるDCリンク電圧を入力されるDCリンク入力部と、
前記DCリンク入力部を介して、前記入力されたDCリンク電圧の電圧値を入力され、前記DCリンク電圧の電圧値が、前記高電圧バッテリの電圧値以上になる時間と、前記DCリンク電圧の安定化時間とを基準に、前記高電圧リレーの異常があるか否かを診断する主制御部と、
前記主制御部の診断結果により、選択的に前記モータに電源を供給するモータ制御出力部と、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の電気自動車のリレー接点診断装置。
【請求項10】
前記主制御部は、
前記電気自動車の始動がオンとなる時点で、前記DCリンク電圧を検出し、前記オンとなった時点から前記高電圧バッテリの電圧値以上のDCリンク電圧が検出された時点までの経過時間を基準に、前記高電圧リレーの異常があるか否かを診断することを特徴とする請求項9に記載の電気自動車のリレー接点診断装置。
【請求項11】
前記主制御部は、
前記検出時間が前記安定化時間と同一であるか、大きいと、前記高電圧リレーを正常として判定し、前記検出時間が前記安定化時間よりも小さいと、前記高電圧リレーの融着を判定することを特徴とする請求項10に記載の電気自動車のリレー接点診断装置。
【請求項12】
前記インバータは、
前記主制御部の判定結果により、前記高電圧リレーの融着による診断情報を格納するメモリと、
前記高電圧リレーの融着による診断情報を表示する表示部とを、更に含むことを特徴とする請求項11に記載の電気自動車のリレー接点診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条及び365条の下で、韓国特許出願第10-2012-0054264号(2012年5月22日出願)に基づく優先権を主張するものであり、その全ての内容がここに包含される。
【0002】
本発明は、電気自動車用インバータに連結される診断装置に関し、特に、モータ制御器が連結されるパワーラインに設けられて、主電源を連結するか、遮断する高電圧リレー接点の融着可否を診断するリレー接点診断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
環境にやさしい自動車などに用いられるモータ制御器であるインバータは、高電圧の直流電源を、モータ制御のための交流又は直流電源に変換させる役目をするESA(Electric/Electronic Sub Assembly、電気/電子部品)であって、車両の電動機具に属する主要部品である。
【0004】
このような環境にやさしい自動車には、モータとインバータを含むモータ制御器別に高電圧リレーがパワーラインに接続され、高電圧リレーは、主電源であるバッテリの連結あるいは遮断を行い、3つのモータとモータ制御器のうち、2つで故障が生じた非常運転状況でも、モータ及び電力遮断により、車両を駆動することのできる非常運転制御機能が提供される。
【0005】
すなわち、パワーラインに接続される高電圧リレーは、運行中に、過電圧あるいは過電流により、モータ制御器に含まれるインバータであるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)の絶縁破壊あるいは問題が発生する場合、該当モータ及びモータ制御器に供給される電力を遮断し、正常状態を維持する残りのモータ及びモータ制御器を用いて、非常運転を行わせる。
【0006】
前記モータ及びモータ制御器に供給される電源を断続する高電圧リレーは、両方向に大電流が通電するので、温度上昇及び製品不良による融着可能性が非常に高く、融着が発生した状態では、問題が生じたモータ及びモータ制御器に供給される電力を遮断することができないので、モータの回転による逆起電力が、残りの駆動可能なモータ及びモータ制御器に影響して、持続的な電流流れを発生することになり、更に大きい問題を発生するという不都合がある。
【0007】
図1は、従来技術によるリレー接点診断方法を、ステップ別に示すフローチャートである。これは、先行文献(出願番号:10-2009-0118728)に示されている。
【0008】
図1を参照すると、燃料電池車両の始動がオンを維持した状態で(S101)、燃料電池スタックが、車両の始動オフによる正常なシャットダウンが行われるかを判断する(S102)。
【0009】
前記ステップS102において、燃料電池スタックの正常なシャットダウンが行われる判断すると、主制御器は、第1、2、3のリレー(Ry1、Ry2、Ry3)をまず、オフして、燃料電池スタックとスーパーキャパシタの出力電源を遮断してから、高電圧リレーである第4のリレーをオフして、モータ制御器に供給される電源を遮断する。
【0010】
この時、周辺補助装置は、燃料電池スタックのアノードに供給される水素供給を遮断し、セル内部の残存水素をなくすため酸素を供給するが、正常な電源の供給がないため、内部キャパシタ(C)のエネルギを用いて駆動するので、電圧変動が発生する。
【0011】
そして、第4のリレー(Ry4)のオフにより、モータ制御器に供給される電源が遮断されると、内部抵抗(R)により、キャパシタ(C1)の電圧減少は、一定に発生する。
【0012】
したがって、主制御器は、内部キャパシタ(C)の電圧変動[△(LDC)]を検出し(S103)、モータ制御器の内部キャパシタ(C1)の電圧変動([△(MCU)]を検出した後(S104)、検出された2つの電圧変動値を比較する(S105)。
【0013】
前記検出された主電圧変動値が同一の値を有するかを判断して(S106)、電圧変動が互いに一致しないと、パワーラインに連結された高電圧リレー(Ry4)は、正常として判定する(S109)。
【0014】
しかし、電圧変動が互いに一致すると、モータ制御器のパワーラインに連結される高電圧リレー(Ry4)の融着により、モータ制御器の内部キャパシタ(C1)の電圧を、周辺補助装置で使用していることと判定する(S107)。
【0015】
前記のように、パワーラインに連結される高電圧リレー(Ry4)の融着が判定されると、診断コードをメモリに格納して、運転手にとって、迅速な修理交換が行われるようにする。
【0016】
前記のように、従来技術によるリレー接点診断方法は、リレー融着検出のため、別の電装品(LDC)で始動をシャットダウンする時点で行われている。
【0017】
しかし、前記従来技術によるリレー接点診断方法は、前記接点診断のため、別の電装品(LDC)との連携が必要であり、この診断時点も、シャットダウンがなされる瞬間に行われる。しかし、前記シャットダウン瞬間に前記別の電装品が故障した状態であると、前記リレー診断を正常に行うことができなく、これにより、運転手を危険に遭遇するような状況が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明による実施形態では、別の電装品との連携なしに、モータ制御器自体でリレー接点状態を診断できるようにしたリレー接点診断装置及び方法を提供する。
【0019】
また、本発明による実施形態では、シャットダウン時点ではなく、始動オン時点でリレー接点状態を診断して、自動車部品の異常による非常状況を未然に防止するようにする。
【0020】
提案される実施形態において、解決しようとする技術的課題は、以上で記述した技術的課題に限るものではなく、記述していない他の技術的課題は、下記の記載から提案される実施形態が属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の実施形態によるリレー接点診断方法は、電気自動車のリレー接点診断方法において、高電圧バッテリを介してインバータに入力される第1の電圧を測定するステップと、前記測定された第1の電圧と、前記高電圧バッテリを介して出力された第2の電圧とを比較するステップと、前記第1の電圧が第2の電圧以上であると、前記第1の電圧の検出時点を確認するステップと、前記確認した検出時点を基準に、前記高電圧バッテリの出力電圧を断続する高電圧リレーの異常可否を判定するステップとを含む。
【0022】
また、本発明の実施形態による電気自動車のリレー接点診断装置は、主電源である高電圧バッテリと、前記高電圧バッテリから直流電源を供給され、前記供給された直流電源を相変換して、モータを駆動させるインバータと、前記高電圧バッテリとインバータとの間に形成され、前記高電圧バッテリを介して出力される直流電源を断続する高電圧リレーとを含み、前記インバータは、前記直流電源の供給によるDCリンク電圧値が、前記高電圧バッテリの電圧値以上となる時点を基準に、前記高電圧リレーの異常可否を判定し、前記診断結果により、前記モータに入力される電源を断続する。
【発明の効果】
【0023】
本発明による実施形態よると、電気自動車において、パワーラインに設けられる高電圧リレーの融着可否を診断して、運転手に指示することにより、運行前に迅速な修理交換が提供されて、安全性及び信頼性を向上することができる。
【0024】
また、本発明による実施形態では、他の電装品に依存することなく、インバータ自体で高電圧リレーの融着可否を診断することにより、前記電装品の故障による危険状況に対処することができる。
【0025】
更に、本発明による実施形態では、電気自動車の始動オンが行われる時、リレーの融着可否を診断することにより、前記高電圧リレーの融着が行われた状態で、前記電気自動車が行われる状況を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、従来技術によるリレー接点診断方法を、ステップ別に示すフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施形態による電気自動車を示す図である。
図3図3は、図2に示されているインバータの詳細構成図である。
図4図4は、本発明の実施形態による正常動作での電圧変化を示す図である。
図5図5は、本発明の実施形態による異常動作での電圧変化を示す図である。
図6図6は、本発明の実施形態によるリレー接点診断方法を、ステップ別に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の内容は、単に、本発明の原理を例示する。それで、当業者は、たとえ、本明細書に明確に説明・図示していなくても、本発明の原理を具現し、本発明の概念と範囲に含まれる様々な装置を発明することができる。また、本明細書で挙げている全ての用語及び実施形態は、原則的に、本発明の概念が理解されるようにするための目的でのみ明らかに意図され、このように特別に挙げている本発明の実施形態及に限られるものではないことと理解されるべきである。
【0028】
また、本発明の原理、観点、及び実施形態だけではなく、特定の実施形態を挙げる全ての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的な均等物を含むように意図されることと理解されるべきである。また、このような均等物は、現在の公知されている均等物だけでなく、将来に開発される均等物、即ち、構造と関係なく同一の機能を行うように発明された全ての素子を含むことと理解されるべきである。
【0029】
本発明による実施形態では、他の電装品に依存することなく、インバータ自体でリレーの融着可否を診断し、前記診断した融着可否により、危険状況に予め対処するようにする。
【0030】
図2は、本発明の実施形態による電気自動車を示す図である。
【0031】
図2を参照すると、電気自動車200は、高電圧バッテリ210と、高電圧リレー220と、インバータ230と、モータ240とを含む。
【0032】
高電圧バッテリ210は、電気自動車200に駆動電源を供給する。特に、電気自動車200内のキャパシタ(C)に直流電源を供給する。
【0033】
このような、高電圧バッテリ210は、複数の単位セルの集合で形成されることができる。複数の単位セルは、一定の電圧を維持するために、バッテリ管理システム(BMS: Battery Management System)により管理されることができ、バッテリ管理システムにより、一定の電圧を放出することができる。
【0034】
例えば、バッテリ管理システムは、高電圧バッテリ210の電圧を検出し、これを、電子制御部(図示せず)、又は、電気自動車200内のインバータ230に伝達することができ、バッテリ電圧が下限値以下に下降する場合、電気自動車200内のキャパシタに貯蔵された直流電源をバッテリに供給することができる。また、バッテリ電圧が上限値以上に上昇する場合、電気自動車200内のキャパシタ(C)に直流電源を供給することもできる。
【0035】
高電圧バッテリ210は、充電及び放電が可能な2次電池で構成されることが望ましいが、これに限定されない。
【0036】
高電圧リレー220は、前記高電圧バッテリ210と連結される所定のパワーラインに連結されて、前記高電圧バッテリ210を介して出力される直流電源を断続する。
【0037】
特に、高電圧リレー220は、第1の高電圧リレー及び第2の高電圧リレー220を含むことができる。第1の高電圧リレーは、高電圧バッテリ210の正の端子に連結され、直流電源を断続する。第2の高電圧リレーは、高電圧バッテリ210の負の端子に連結され、直流電源を断続する。
【0038】
インバータ230は、前記高電圧リレー220の状態により、高電圧バッテリ210から直流電源を供給される。インバータ230は、高電圧バッテリ210から供給された直流電源を、交流電源に変換して、モータ240に供給する。前記インバータ230により変換される交流電源は、3相交流電源であることが望ましい。
【0039】
インバータ230は、別の3相ケーブルを介して、前記3相交流電源をモータ240に供給する。前記3相ケーブルは、3つのケーブルにそれぞれ分離区分され、これとは逆に、1つのケーブル内に、3つのケーブルが備えられることもできる。
【0040】
特に、インバータ230は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)からなり、後述する制御手段で印加される制御信号により、PWM(Pulse Width Modulation)スイッチングを行って、前記高電圧バッテリ210から供給される電源を相変換して、モータ240を駆動させる。
【0041】
モータ240は、回転せず、固定される固定子(図示せず)と、回転する回転子(図示せず)とを含む。モータ240は、インバータ230を介して供給される交流電源を印加される。モータ240は、例えば、3相モータであることができ、各相の固定子のコイルに、電圧可変/周波数可変の各相の交流電源が印加される場合、印加される周波数により、回転子の回転速度が可変することになる。
【0042】
モータ240としては、誘導モータ、BLDCモータ(blushless DC motor)、リラクタンスモータ(reluctance motor)などの様々な形態が可能である。
【0043】
一方、モータ240の一側には、駆動ギアー(図示せず)が備えられることができる。駆動ギアーは、モータ240の回転エネルギをギアー比により変換させる。駆動ギアーから出力される回転エネルギは、前輪及び/又は後輪に伝達されて、電気自動車200が動くようにする。
【0044】
一方、図面では示していないが、電気自動車200は、電気自動車全般の電子装置の制御のための電子制御部を更に含むことができる。電子制御部(図示せず)は、各装置が動作、表示などをするように制御する。また、上述したバッテリ管理システムを制御することもできる。
【0045】
また、電子制御部は、電気自動車200の傾斜角を感知する傾斜角感知部(図示せず)、電気自動車200の速度を感知する速度感知部(図示せず)、ブレーキペダルの動作によるブレーキ感知部(図示せず)、アクセルペダルの動作によるアクセル感知部(図示せず)などからの感知信号に基づいて、様々な運転モード(走行モード、後進モード、中立モード、及び駐車モードなど)による運転指令値を生成することができる。ここでの運転指令値は、例えば、トルク指令値、又は速度指令値である。
【0046】
一方、本発明の実施形態による電気自動車200は、バッテリ及びモータを用いた純粋電気自動車は、勿論、エンジンを使用しながら、バッテリ及びモータを用いるハイブリッド電気自動車を含む概念であることができる。
【0047】
この時、ハイブリッド電気自動車は、バッテリとエンジンの少なくとも1つを選択可能な切換手段、及び変速器を更に備えることもできる。一方、ハイブリッド電気自動車は、エンジンから出力される機械エネルギを電気エネルギに変換して、モータを駆動する直列方式と、エンジンから出力される機械エネルギと、バッテリでの電気エネルギとを同時に利用する並列方式とに分けられる。
【0048】
図3は、図2に示しているインバータの詳細構成図である。
【0049】
図3を参照して、本発明の実施形態によるリレー接点診断技術について、説明する事にする。
【0050】
図3を参照すると、インバータ230は、デジタル電源部231と、DCリンク入力部232と、メモリ233、主制御部234と、モータ制御出力部235と、表示部236とを含む。
【0051】
デジタル電源部231は、前記高電圧バッテリ210を介して供給される直流電源を降圧して、主制御部234及びメモリ233に駆動電源を供給する。
【0052】
前記デジタル電源部231は、DC−DCコンバータであることができる。すなわち、デジタル電源部231は、低電圧コンバータ(Low DC/DC Converter)で、前記高電圧バッテリ210から供給される高電圧を低電圧に変換して、前記電気自動車200に装着される様々な電装負荷に駆動電源を供給する。
【0053】
DCリンク入力部232は、直流電源の入力端に前記高電圧バッテリ210と連結されて、前記高電圧バッテリ210を介して供給される高電圧直流電源を入力される。
【0054】
メモリ233は、前記インバータ230の動作に必要なデータや、前記インバータ230の動作中に発生したデータを格納する。メモリ233は、ROM(Read Only Memory)(EEPROM)のようなタイプの記憶媒体で具現されることができる。
【0055】
特に、メモリ233は、前記インバータ230の動作中に行われた診断結果による診断情報を格納する。
【0056】
主制御部234は、前記高電圧バッテリ210の電圧生成のための諸般の動作を制御し、前記高電圧リレー220とインバータ230とを制御して、電気自動車200の運行のための諸般の動作を制御する。
【0057】
また、主制御部234は、電気自動車200の始動がオンとなる時点で、前記高電圧リレー220の動作を制御して、前記高電圧バッテリ210の直流電源が、前記インバータ230に出力するようにする。
【0058】
また、主制御部234は、電気自動車200の始動がオフとなる時点で、前記高電圧リレー220の動作を制御して、前記インバータ230に出力される電源を遮断する。
【0059】
すなわち、主制御部234は、電気自動車200の始動がオンとなる時点で、前記DCリンク入力部232に入力される第1の電圧と、前記高電圧バッテリ210を介して出力される第2の電圧とを比較して、前記高電圧リレー220の接点状態を診断する。
【0060】
すなわち、前記電気自動車200の始動がオンとなる時点で、前記主制御部234は、高電圧リレー220をオンして、前記高電圧バッテリ210に充電された直流電源が、前記インバータ230に供給されるようにする。
【0061】
この時、主制御部234は、前記高電圧バッテリ210を介して供給される第2の電圧のレベルと、前記インバータ230に入力される第1の電圧のレベルとを比較して、前記比較結果により、前記高電圧リレー220の融着可否を診断する。
【0062】
すなわち、前記高電圧リレー220がオンになる場合、前記高電圧バッテリ210に充電された直流電源は、前記インバータ230に供給される。この時、初期(前記高電圧リレー220がオンになった時点)に、前記インバータ230に供給される直流電源は、前記第2の電圧よりも低い第1の電圧が供給される。
【0063】
そして、電圧が安定化する時点による時間が経過すると、前記インバータ230に入力される直流電源は、前記高電圧バッテリ210を介して出力される直流電源と一致するようになる。
【0064】
言い換えると、前記電圧が安定化する前には、前記インバータ230に入力される第1の電圧は、前記高電圧バッテリ210を介して出力される第2の電圧よりも低く、前記電圧の供給時間が増加するにことにつれ、前記電圧が安定化する時点では、前記第1の電圧と第2の電圧とが同一のレベルを維持するようになる。
【0065】
しかし、前記高電圧リレー220の融着による接点異常が発生すると、前記第1の電圧は、前記電圧が安定化する時点以前に、前記第2の電圧と一致するようになる。
【0066】
これは、前記高電圧リレー220の融着により、前記始動がオンになる前に、前記高電圧バッテリ210に充電された直流電源が、続けて前記インバータ230に印加されていたことを意味する。
【0067】
これにより、前記主制御部234は、前記第1の電圧が第2電圧と同一であるか、第2の電圧よりも大きくなる時点を基準に、前記高電圧リレー220の融着可否を診断する。
【0068】
主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧と同一であるか、第2の電圧よりも大きくなる時点が、前記安定化時点よりも大きいか、同一であると、前記高電圧リレー220の正常を判定する。
【0069】
しかし、主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧よりも大きいか、同一となる時点が、前記安定化時点よりも小さいと、前記高電圧リレー220の融着を判定し、これによる措置が行われるようにする。
【0070】
すなわち、主制御部234は、前記高電圧リレー220が正常として判定されると、モータ制御出力部235に制御信号を出力して、前記モータ240に駆動電源が供給されるようにする。
【0071】
しかし、主制御部234は、前記高電圧リレー220が融着として判定されると、前記モータ240の駆動を停止し(前記モータに供給される電源を遮断し)、これにより、前記高電圧リレー220の融着による診断情報をメモリ233に格納する。
【0072】
また、主制御部234は、前記高電圧リレー220の融着による措置が必要であるという情報を表示部236に表示する。これにより、表示部236は、前記主制御部234から提供される高電圧リレー220の融着情報を、運転手に指示する。この時、表示部236は、クラスタに備えられることができる。
【0073】
図4は、本発明の実施形態による正常動作での電圧変化を示す図である。
【0074】
図4を参照すると、高電圧リレー220が正常動作する状態で、前記インバータ230に入力される第1の電圧(DCリンク電圧)は、始動がオンとなる時点を基準に、逐次増加するようになる。
【0075】
すなわち、第1の時間(1T)乃至第7の時間(7T)の経過により、前記第1の電圧は、逐次増加するようになる。この時、前記第1の電圧は、前記第2の電圧(バッテリ電圧)よりも低い範囲内で逐次増加するようになる。
【0076】
以後、前記時間の経過により、電圧の安定化時点が渡来すると、前記第1の電圧は、前記第2の電圧と同じくなる。
【0077】
図5は、本発明の実施形態による異常動作での電圧変化を示す図である。
【0078】
図5を参照すると、高電圧リレー220が異常動作する状態(融着)で、前記インバータ230に入力される第1の電圧(DCリンク電圧)は、始動がオンとなる時点を基準に、急激に増加するようになる。これは、前記始動がオンになる以前から、前記インバータ230に直流電源が続けて供給されていたことを意味する。
【0079】
そして、時間経過により、前記第1の電圧は、前記電圧が安定化する時点よりも以前に(А)、前記第2の電圧と同一のレベルとなる。
【0080】
すなわち、前記インバータ230には、前記電圧が安定化する時点以前(А)に、前記高電圧バッテリ210から供給される電圧と一致するようになる。
【0081】
これにより、本発明では、前記第1の電圧が、第2の電圧の以上となる時点と、前記電圧の安定化時点とを基準に、前記高電圧リレー220の融着可否を診断し、前記診断結果により、選択的にモータ240に駆動電源を供給するようにする。
【0082】
前記のように、本発明の実施形態によると、電気自動車において、パワーラインに設けられる高電圧リレーの融着可否を診断し、運転手に指示することにより、運行前に迅速な修理交換が提供されて、安全性及び信頼性を向上することができる。
【0083】
また、本発明による実施形態では、他の電装品に依存することなく、インバータ自体で高電圧リレーの融着可否を診断することにより、前記電装品の故障による危険状況に対処することができる。
【0084】
また、本発明による実施形態では、電気自動車の始動オンが行われるとき、リレーの融着可否を診断することにより、前記高電圧リレーの融着が行われた状態で、前記電気自動車が運行される状況を未然に防止することができる。
【0085】
図6は、本発明の実施形態によるリレー接点診断方法をステップ別に示すフローチャートである。
【0086】
図6を参照すると、まず、電気自動車200の状態が始動オン状態となる(S601)。これは、運転手が、前記電気自動車200の始動をオンする時点である。
【0087】
以後、主制御部234は、前記電気自動車200の始動がオンとなる時点で、高電圧バッテリ210を介して出力された直流電源により、インバータ230に入力されるDCリンク電圧(第1の電圧)を測定する(S602)。
【0088】
前記主制御部234は、前記第1の電圧が測定されると、前記測定した第1の電圧と、前記高電圧バッテリ210を介して出力された第2の電圧とを比較して、前記第1の電圧が第2の電圧以上であるか否かを判断する(S603)。すなわち、主制御部234は、前記第1の電圧が前記第2の電圧よりも大きいか、前記第2の電圧と同一であるかを判断する。
【0089】
以後、前記の判断結果(S603)、前記主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧よりも小さいと、現時点を、電圧の安定化時点の以前として判断して、前記第1の電圧の測定時間を増加する(S604)。言い換えると、主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧よりも小さいと、一定時間の間待機し、既設定された時間(△T)を経過すると、前記ステップ(S602)に復帰して、前記第1の電圧を再測定する。
【0090】
一方、前記の判断結果(S603)、前記主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧と同一であるか、前記第2の電圧よりも大きいと、前記第1の電圧の測定時点を確認する(S605)。言い換えると、主制御部234は、前記第1の電圧が第2の電圧と同一であるか、大きいと、前記始動オン時点から現時点までの経過時間を確認する。
【0091】
以後、主制御部234は、前記確認した測定時点が、既設定された電圧安定化時点と同一であるか、大きいかを判断する(S606)。すなわち、主制御部234は、前記第2の電圧以上で、第1の電圧が到逹した時点が、前記安定化時点の以前に行われたか否かを判断する。
【0092】
主制御部234は、前記安定化時点の以後に、前記第2の電圧以上のレベルで前記第1の電圧が到逹した場合、前記高電圧リレー220の正常を判定する(S607)。
【0093】
しかし、主制御部234は、前記安定化時点の以前に、前記第2の電圧以上のレベルで前記第1の電圧が増加すると、前記高電圧リレー220の融着を判定する(S608)。
【0094】
以後、主制御部234は、メモリ233に、前記高電圧リレー220の融着による診断情報を格納する(S609)。
【0095】
また、主制御部234は、前記高電圧リレー220の診断結果による情報をディスプレイする(S610)。
【0096】
本発明による実施形態によると、電気自動車において、パワーラインに設けられる高電圧リレーの融着可否を診断して、運転手に指示することにより、運行前に迅速な修理交換が提供されて、安全性及び信頼性を向上することができる。
【0097】
また、本発明による実施形態では、他の電装品に依存することなく、インバータ自体で高電圧リレーの融着可否を診断することにより、前記電装品の故障による危険状況に対処することができる。
【0098】
また、本発明による実施形態では、電気自動車の始動オンが行われるとき、リレーの融着可否を診断することにより、前記高電圧リレーの融着が行われた状態で、前記電気自動車が運行される状況を未然に防止することができる。
【0099】
上述した本発明による映像処理方法は、コンピュータで実行されるためのプログラムにて製作されて、コンピュータが読み取ることが可能な記録媒体に格納されることができ、コンピュータが読み取ることが可能な記録媒体の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ格納装置などがあり、また、キャリアウェーブ(例えば、インターネットを通じた送信)の形態で具現されることも含む。
【0100】
コンピュータが読み取ることが可能な記録媒体は、ネットワークで連結されたコンピュータシステムに分散されて、分散方式でコンピュータが読み取ることが可能なコードが格納され、実行されることができる。そして、前記方法を具現するための機能的なプログラム、コード、及びコードセグメントは、本発明が属する技術の分野におけるプログラマーにとって、容易に推論されることができる。
【0101】
また、以上では、本発明の望ましい本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した特定の実施形態に限るものではなく、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者にとって、様々な変形・実施が可能であることは勿論、これらの変形・実施は、本発明の技術的思想から個別に理解されてはいけないだろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6