特許第5886813号(P5886813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886813銀行システムおよび銀行システムによって実行される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886813
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】銀行システムおよび銀行システムによって実行される方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/10 20120101AFI20160303BHJP
【FI】
   G06Q20/10 100
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-236834(P2013-236834)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-97013(P2015-97013A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】397077955
【氏名又は名称】株式会社三井住友銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 通喬
【審査官】 川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−067583(JP,A)
【文献】 特開2000−082101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行システムであって、
外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBと、
第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納する振込処理手段と、
予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応じて、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別する照合手段であって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、照合手段と、
前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約する口座解約手段と
を備え
前記照合手段によって前記請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、前記照合手段は、前記読み出した振込入金明細データの振込金額が前記請求明細データの請求金額よりも大きいかどうかをさらに判定し、
前記読み出した振込入金明細データの振込金額が前記請求明細データの請求金額よりも大きい場合、前記口座解約手段は、前記読み出した振込入金明細データおよび前記請求明細データのセットを、前記請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する前記第1の口座を解約することを特徴とする銀行システム。
【請求項2】
銀行システムであって、
外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBと、
第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納する振込処理手段と、
予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応じて、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別する照合手段であって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、照合手段と、
前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約する口座解約手段と
を備え、
前記照合手段によって前記請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、前記銀行システムは、前記読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と前記請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かを判定し、
許容範囲であると判定された場合、前記口座解約手段は、前記読み出した振込入金明細データおよび前記請求明細データのセットを、前記請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する前記第1の口座を解約することを特徴とする銀行システム
【請求項3】
前記読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と前記請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かの判定は、予め定められた変換パターンを格納したテーブルに基づいて実行されることを特徴とする請求項に記載の銀行システム。
【請求項4】
前記読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と前記請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かの判定の結果、許容範囲ではないと判定された場合、前記照合手段は、前記読み出した振込入金明細データ内の振込人名が他の請求明細データに存在するか否かを検索し、他の請求明細データが存在するかどうかをさらに判定することを特徴とする請求項に記載の銀行システム。
【請求項5】
他の請求明細データが存在すると判定された場合、前記口座解約手段は、前記読み出した振込入金明細データおよび前記他の請求明細データのセットを、前記請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および存在した他の請求明細データが、前記読み出した振込入金明細データに対応する消し込み候補として消し込み可能であることを示す命令を受信した場合、前記口座解約手段は、受信した前記命令に基づいて前記他の請求明細データによって示される第1の口座を解約することを特徴とする請求項に記載の銀行システム。
【請求項6】
銀行システムによって実行される方法であって、
前記銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBを備え、前記銀行システムは、
第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納するステップと、
予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応答して、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別するステップであって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、ステップと、
前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約するステップと
前記請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、前記読み出した振込入金明細データの振込金額が前記請求明細データの請求金額よりも大きいかどうかをさらに判定するステップと、
前記読み出した振込入金明細データの振込金額が前記請求明細データの請求金額よりも大きい場合、前記読み出した振込入金明細データおよび前記請求明細データのセットを、前記請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する前記第1の口座を解約するステップと
を備えことを特徴とする方法。
【請求項7】
銀行システムによって実行される方法であって、
前記銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBを備え、前記銀行システムは、
第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納するステップと、
予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応答して、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別するステップであって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、ステップと、
前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約するステップと、
前記請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、前記読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と前記請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かを判定するステップと、
許容範囲であると判定された場合、前記読み出した振込入金明細データおよび前記請求明細データのセットを、前記請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する前記第1の口座を解約するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行システムおよび銀行システムによって実行される方法に関する。より詳細に言えば、本発明は、銀行システムにおいて適切な振込人から被振込専用口座に振込があったらその他の誤った振込が当該口座に入らないように当該口座を即時に解約する被振込専用口座即時解約システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、日々の入金照合作業を効率化するための仕組みとして、請求先ごとに個別の被振込専用口座の口座番号を用意し、それぞれの請求先に送付する請求書に個別の被振込専用口座番号を割り当てることにより、振込人が割り当てられた口座番号を用いて振込を行うシステムが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このシステムでは、図1に示すように、各請求先の支払人からそれぞれの被振込専用口座に対して振込が行われる。例えば、「ワカクサタロウ」から「被振込専用口座6000001」に対して振込が行われる。この振り込まれた資金は、被振込専用口座6000001に入金された後の振替処理によって、あるいは被振込専用口座6000001に入金されずに、請求書を送付した企業などの請求元の入金口座に入金される。図2は、この入金口座の振込入金明細データの一例を示す。この例では、それぞれの振込入金明細データに被振込専用口座番号が付加されているので、請求元(企業など)が保管している請求明細データと銀行システム内にある振込入金明細データとを被振込専用口座番号をマッチングキーにして突き合わせることにより、入金照合作業を効率的に行うことができる。入金照合については、両データを送受信することにより、銀行システム内で行うこともできるし、あるいは、請求元のシステム内で行うこともできる。
【0004】
また、振込には、企業間の取引に伴う代金の受け渡しなどのように所定期間の間継続して行われる振込もあれば、通信販売の代金受け渡しなどのように一度きりで終わってしまう振込もあることが知られている。
【0005】
さらに、振込については、口座番号相違などを起因とする誤振込が一定程度の確率で発生することも知られている。このような誤振込を防止するためのシステムとして、特許文献1、2に記載されているようなシステムと類似の構成において、ワンタイム口座への振込および本口座への振替処理が完了したらワンタイム口座を閉鎖して使用できなくするシステムが知られている(特許文献3参照)。ここで、振替処理とは、ある口座の資金を別の口座に移動させることをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3029421号
【特許文献2】特許第3391753号
【特許文献3】特開2007−042080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示されているシステムでは、ワンタイム口座への振込および本口座への振替処理が完了したという条件のみでワンタイム口座を閉鎖して使用できなくする構成となっている。このため、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤って該当のワンタイム口座に振り込んでしまった場合には、適切な振込人が当該ワンタイム口座に振り込むことができないという不都合があった。かかる場合には、振込人は請求書送付元の企業や銀行に連絡をとり、改めて新しい口座番号を通知してもらうか、一旦閉鎖された口座をもう一度使えるようにしなくてはならなかった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、図1に示すような被振込専用口座に対して振込を行った振込人が適切な振込人であるかどうかを、入金口座の振込入金明細データと請求元から受信した請求明細データとをマッチングさせることにより判定した上で、被振込専用口座の解約を行う被振込専用口座即時解約システムおよび方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明に係る銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBと、第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納する振込処理手段と、予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応じて、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別する照合手段であって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、照合手段と、前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約する口座解約手段とを備え、照合手段によって請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、照合手段は、読み出した振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きいかどうかをさらに判定し、読み出した振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きい場合、口座解約手段は、読み出した振込入金明細データおよび請求明細データのセットを、請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する第1の口座を解約することを特徴とする。
また、本発明に係る銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBと、第1の口座に振り込まれる資金を第1の口座に入金することなく第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、入金処理に伴う第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納する振込処理手段と、予め定められた条件を満たす第2の口座に入金処理が行われたことを検出することに応じて、振込入金明細DBから振込入金明細データを読み出し、読み出した振込入金明細データに含まれる第1の口座の口座番号に基づいて、請求明細DBに第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別する照合手段であって、第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、照合手段と、判定の結果、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって第1の口座を解約する口座解約手段を備え、照合手段によって前記請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、銀行システムは、読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と前記請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かを判定し、許容範囲であると判定された場合、口座解約手段は、読み出した振込入金明細データおよび請求明細データのセットを、請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する第1の口座を解約することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る方法は、銀行システムによって実行される方法であって、前記銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBを備え、前記銀行システムは、第1の口座に振り込まれる資金を前記第1の口座に入金することなく前記第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、前記入金処理に伴う前記第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納するステップと、予め定められた条件を満たす前記第2の口座に前記入金処理が行われたことを検出することに応答して、前記振込入金明細DBから前記振込入金明細データを読み出し、前記読み出した振込入金明細データに含まれる前記第1の口座の口座番号に基づいて、前記請求明細DBに前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別するステップであって、前記第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、前記読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と前記請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、前記請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、ステップと、前記判定の結果、消し込み可能と判定された前記請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって前記第1の口座を解約するステップと、請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、読み出した振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きいかどうかをさらに判定するステップと、読み出した振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きい場合、読み出した振込入金明細データおよび請求明細データのセットを、請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する第1の口座を解約するステップとを備えことを特徴とする。
また、本発明に係る方法は、銀行システムによって実行される方法であって、銀行システムは、外部から受信した請求明細データを格納する請求明細DBを備え、銀行システムは、第1の口座に振り込まれる資金を第1の口座に入金することなく第1の口座に関連する第2の口座に入金する入金処理を行い、入金処理に伴う第2の口座への入金情報である振込入金明細データを振込入金明細DBに格納するステップと、予め定められた条件を満たす第2の口座に入金処理が行われたことを検出することに応答して、振込入金明細DBから振込入金明細データを読み出し、読み出した振込入金明細データに含まれる第1の口座の口座番号に基づいて、請求明細DBに第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在するかどうかを識別するステップであって、第1の口座の口座番号を含む請求明細データが存在する場合、読み出した振込入金明細データの予め定められたデータ項目と請求明細データの対応するデータ項目のそれぞれが一致するかどうかに基づいて、請求明細データが消し込み可能かどうかが判定される、ステップと、判定の結果、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる第1の口座の口座番号に対応する第1の口座の解約フラグに任意の値を設定することによって第1の口座を解約するステップと、請求明細データが消し込み可能ではないと判定された場合、読み出した振込入金明細データに含まれる振込人名と請求明細データに含まれる請求先の相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かを判定するステップと、許容範囲であると判定された場合、読み出した振込入金明細データおよび請求明細データのセットを、請求明細データの消し込み可否を照会するために送信し、および消し込み可能を示す命令を受信したことに応答して、消し込み可能と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する第1の口座を解約するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被振込専用口座に対して振込を行った振込人が適切な振込人であるかどうか、および振込金額が適切であるかどうかを、入金口座の振込入金明細データと請求元から受信した請求明細データとをマッチングさせることにより判定した上で、被振込専用口座の解約(換言すれば、閉鎖)を行うことができるようになる。このため、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤ってその被振込専用口座に振り込んでしまった場合には、適切な振込人が当該被振込専用口座に振り込むことができないという不都合を解消することが可能となる。そして、振込人が請求書送付元の企業や銀行に連絡をとり、改めて新しい口座番号を通知してもらうか、一旦閉鎖された口座をもう一度使えるようにしなくてはならないという不便さも解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来技術である入金照合作業効率化のための仕組みを説明する図である。
図2】入金口座の振込入金明細データの一例を示す図である。
図3】本発明に係る銀行システム、および銀行システムとやり取りを行う企業、顧客、仕向銀行との関係の概要を説明する図である。
図4】本発明に係る銀行システムのシステム構成図である。
図5】契約DBの一例を示す図である。
図6】請求明細データの一例を示す図である。
図7】本発明に係る銀行システムの機能ブロック図である。
図8】本発明に係る銀行システムにおける処理フローを説明する図である。
図9】本発明に係る銀行システムにおける処理フローを説明する図である。
図10】本発明に係る銀行システムにおける処理フローを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下では、本発明の特定の実施形態に関連して説明するが、本発明は、このような特定の実施形態に限定されず、また、本発明の思想から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態に変更、追加、削除を行うことができ、そのような態様の実施形態も本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0014】
図3は、本発明に係る銀行システム100、および銀行システム100とやり取りを行う企業110(企業システム111を含む)、顧客120、仕向銀行130との関係の概要を説明する図である。
【0015】
銀行システム100は、図1および図2を参照して説明した入金照合作業を効率化するためのシステムを備えている。銀行システム100は、顧客120が企業110から送付された請求書に記載された被振込専用口座情報を用いて仕向銀行130を介して行った振込を行うと、被振込専用口座に対して入金されるべき資金を被振込専用口座に入金することなく即座に請求元の入金口座に入金する。図3において、被振込専用口座宛ての資金(振込)を示す矢印が被振込専用口座の箇所において点線として表され、被振込専用口座から入金口座へは実線で表されているのは、被振込専用口座宛ての資金が被振込専用口座には入金されずに、即座に請求元の入金口座に入金されることを示している。
【0016】
銀行システム100は、企業システム111との間で被振込専用口座情報および請求明細データを送受信する。さらに、銀行システム100は、受け入れた振込に誤りがある場合に仕向銀行130に対して照会を行う。銀行システム100のさらなる詳細な構成については後述する。
【0017】
企業110および顧客120は、商品等の販売・購入などの取引を行う。企業110は、その取引の内容に応じて顧客120に対して請求書を電子的に、あるいは郵送などの周知の手段によって送信または送付する。請求書には、その顧客120に割り当てられた被振込専用口座情報が含まれる。被振込専用口座情報は、銀行システム100から企業システム111に送信されたものである。
【0018】
企業システム111は、顧客120に送信・送付する請求書を、自システムで保持する請求明細データに基づいて作成する。また、企業システム111は、銀行システム100から被振込専用口座情報を受信し、および請求明細データを銀行システム100に送信する。後述するように、請求明細データは、銀行システム100内に格納される。
【0019】
顧客120は、周知のやり方に従って、割り当てられた被振込専用口座の口座番号宛てに仕向銀行130を通じて振込を行う。なお、仕向銀行とは、2つの銀行間で資金移動がある際に資金の送付元となる銀行のことをいう。
【0020】
図4は、本発明に係る銀行システム100のシステム構成図である。銀行システム100は、一般的なコンピュータと同様に、周知のバス410などによって相互に接続された制御部401、主記憶部402、補助記憶部403、I/F部404および出力部405を備え、さらに、銀行システム100は、振込入金明細406、契約DB407および請求明細408を備える。
【0021】
制御部401は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれ、銀行システム100内の各構成要素の制御やデータの演算を行い、また、補助記憶部403に格納されている各種プログラムを主記憶部402に読み出して実行する。主記憶部402は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、コンピュータ実行可能な命令および当該命令による演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部403は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置であり、データやプログラムを長期的に保存する際に使用される。
【0022】
I/F部404は、他のシステムや装置との間でデータを送受信する際のインターフェースの役割を果たし、また、システムオペレータから各種コマンドや入力データ(各種マスタ、テーブルなど)を受け付けるインターフェースを提供する。出力部405は、処理されたデータを出力する。
【0023】
振込入金明細406は、企業110の入金口座に対して行われた振込の振込入金明細データを格納する。振込入金明細406は、図2に例示されるように、被振込専用口座番号、振込人名、振込金額、取扱銀行(すなわち、仕向銀行)、取扱店名の情報を含む。
【0024】
契約DB407は、企業110との間で締結された契約情報を格納する得意先データベースであり、本発明に係る銀行システム100において、被振込専用口座を予め定められた条件の下で即時解約するかどうかを示すフラグを有する。
【0025】
図5は、契約DB407の一例を示す図である。契約DB407は、企業コード、企業名称、口座番号(図1の入金口座に相当)、被振込専用口座番号、および即時口座解約フラグを有する。即時口座解約フラグに予め定められた値が設定されている企業は、銀行システム100において、被振込専用口座に対して振込を行った振込人が適切な振込人であるかどうかを、入金口座の振込入金明細データと企業110などの請求元から受信した請求明細データとをマッチングさせることにより判定した上で、被振込専用口座の閉鎖を行う機能を使用することができる。
【0026】
請求明細408は、企業110および顧客120の間の取引の内容に応じて、企業システム111によって生成された請求明細データである。請求明細データは、企業システム111から銀行システム100に対して送信され、銀行システム100内で請求明細408に格納される。
【0027】
図6は、請求明細408の一例を示す図である。図6では、請求明細408は、請求元(例えば、企業X社)、請求先(例えば、企業A社)、請求金額、および口座番号(すなわち、請求先に割り当てられた被振込専用口座番号)を備えるが、これ以外の情報を含めるように構成されてもよい。例えば、振込手数料は、自行宛て振込や他行宛て振込により異なることが知られており、振込の際に手数料を差し引いた上で振込を行うことがあることも知られている。このため、請求金額と実際の振込金額に手数料分を勘案した差異を認めるかどうかのフラグを持つように請求明細408を構成してもよい。
【0028】
図7は、本発明に係る銀行システム100の機能ブロック図である。銀行システム100は、振込処理部701、照合部702、口座解約部703、仕向銀行照会部704、振込入金明細406、契約DB407および請求明細408を備える。以下、これらの機能について説明するが、振込入金明細406、契約DB407および請求明細408は、図4を参照しながら説明した構成と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0029】
振込処理部701は、被振込専用口座に振り込まれた資金を被振込専用口座に入金することなく、請求元の入金口座に入金する処理を行い、入金口座の振込入金明細データを生成する。生成された振込入金明細データは、振込入金明細406に格納される。なお、本明細書では主として、被振込専用口座宛てに振り込まれた資金を被振込専用口座に実際に入金することなく(すなわち、被振込専用口座の入出金明細ファイルに対する書き込みがなされない)、請求元の入金口座に入金する実施形態について説明する。このような実施形態は、入出金明細ファイルへの書き込み処理および同ファイルからの読み出し処理が発生しないため、システムに対する負荷の観点から言えば好ましい実施形態である。
【0030】
照合部702は、契約DB407の即時口座解約フラグに予め定められた値が設定されている口座番号(図1の入金口座)に振込処理部701によって入金処理がなされることを検出すると、振込入金明細406および請求明細408からそれぞれデータを読み出し、予め定められたマッチングキーに基づいて一致するデータが存在するかどうかを判定する。予め定められたマッチングキーは、被振込専用口座番号および振込人名の少なくとも一つである。
【0031】
本明細書において、照合部702によって照合されるデータ項目は、振込入金明細データの「被振込専用口座番号、振込人名、振込金額」の3項目と請求明細データの「口座番号、請求先、請求金額」の3項目のそれぞれのデータ項目である。なお、振込の際に振込手数料を差し引いて振込を行うケースが想定されることから、照合部702は、振込金額と請求金額のデータ項目に関しては、振込手数料分の相違については一致すると判断するように構成されてもよい。
【0032】
口座解約部703は、処理対象の振込入金明細データと請求明細データのセットを照合した結果、消し込み可と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する被振込専用口座を解約する。より具体的に言えば、口座解約部703は、当該被振込専用口座の解約フラグに任意の値を設定することにより、当該被振込専用口座番号宛ての振込をできなくする。このような処理をすることにより、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤って当該被振込専用口座に振り込んでしまった場合であっても、適切な振込人が当該被振込専用口座に振り込むことができるようになる。
【0033】
また、口座解約部703は、どの請求明細データを消し込むことができたのかを示す消し込み結果ファイルを企業システム111に送信する。消し込み結果ファイルの送信は、消し込み処理の都度行っても良いし、予め定められたタイミングでまとめて行っても良い。
【0034】
仕向銀行照会部704は、振込人が誤って当該被振込専用口座に振り込んでしまった場合に、対象となっている振込入金明細データに含まれる振込人に関する情報を仕向銀行130のシステムに問い合わせを行う。
【0035】
図8は、本発明に係る銀行システム100にて実行される処理フローを説明する図である。なお、本処理フローの前提として、図1に示されるような、入金照合作業を効率化するための仕組み、つまり、請求先ごとに個別の被振込専用口座の口座番号を用意し、それぞれの請求先に送付する請求書に個別の被振込専用口座番号を割り当てることにより、振込人が割り当てられた口座番号を用いて振込を行うシステムが使用されるものとする。そして、銀行は、企業110からの依頼に基づいて被振込専用口座を用意し、企業110側に提供する。企業110と顧客120の間で商取引が成立すると、企業110は企業システム111によって請求明細データを生成し、顧客120に請求書を送付する。請求書には、請求先の名称、請求金額、振込先の名称、被振込専用口座番号が記載される。
【0036】
S801にて、銀行システム100は、企業システム111から請求明細データを受信し、受信した請求明細データを請求明細408に格納する。
【0037】
S802にて、振込処理部701は、顧客120に送付された請求書の内容に基づく被振込専用口座番号への振込を受け付ける。すなわち、顧客120は、受け取った請求書に記載されている金額を被振込専用口座番号宛てに仕向銀行130を介して振込を行う。
【0038】
S803にて、振込処理部701は、被振込専用口座に振り込まれる資金を被振込専用口座に入金することなく、企業110の入金口座に入金する処理を行う。入金口座に資金が入ると、振込処理部701は、入金口座の振込入金明細406に、図2に示すような振込入金明細データを書き込む。なお、本明細書において「入金処理」「入金する処理」とは、資金が口座に入金されたことを示すデータが、当該口座に関連付けられている入出金明細ファイルに書き込まれることをいう。
【0039】
S804にて、照合部702は、契約DB407の即時口座解約フラグに予め定められた値が設定されている入金口座に振込処理部701によって入金処理が行われたことを検出すると、振込入金明細406から当該入金口座の振込入金明細データを1件ずつ読み出す。照合部702は、読み出した振込入金明細データに含まれる被振込専用口座番号をマッチングキーとして、請求明細408から請求明細データを読み出して一致する口座番号のデータが存在するかどうかを識別する。
【0040】
一致する口座番号のデータが存在する場合、照合部702は、振込入金明細データに含まれるデータ項目「被振込専用口座番号、振込人名、振込金額」と請求明細データに含まれるデータ項目「口座番号、請求先、請求金額」のそれぞれを比較する。なお、上述したように、本発明に係る銀行システム100は、振込金額と請求金額に関しては、振込手数料分の相違については一致すると判断されるように構成されてもよい。
【0041】
S805にて、銀行システム100は、照合の結果、それぞれのデータ項目が一致するかどうかに基づいて、当該請求明細データを消し込みすることができるかどうかを判定する。なお、上記S804の照合処理において、口座番号が一致するデータのセットが2件以上抽出された場合であって、上記したデータ項目の3つともが一致するものは消し込み可と判定する(但し、かかるケースは、適切な振込人による二重振込の可能性があるので企業110に連絡する)。また、口座番号は一致しているが、名義や金額の点で相違する場合には、消し込み不可と判定する。
【0042】
当該判定にて、消し込み可との判定がなされた場合には本処理フローはS806に処理が進む。一方、消し込み不可との判定がなされた場合には本処理フローは図9または図10に記載の処理フローに進む。より詳細に言えば、口座番号と振込人名は一致していたが、振込金額が異なっているケース(金額相違)では図9の処理フローに進み、一方、口座番号と振込金額は一致していたが、振込人名が異なっているケース(名義相違)では図10の処理フローに進む。
【0043】
S806にて、口座解約部703は、消し込み可と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する被振込専用口座を解約する。より具体的に言えば、口座解約部703は、当該被振込専用口座の解約フラグに任意の値を設定することにより、当該被振込専用口座番号宛ての振込をできなくする。このような処理をすることにより、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤って当該被振込専用口座に振り込んでしまった場合であっても、適切な振込人が当該被振込専用口座に振り込むことができるようになる。このため、特許文献3におけるシステムでは、請求書送付元企業に連絡をして口座番号の再発行を依頼しなければならないという不都合、あるいは銀行側に依頼して当該口座を再利用できるようにしてもらわなければならないという不都合が存在していたが、本発明を利用することにより、それらの不都合を解消することができるようになる。
【0044】
S807にて、口座解約部703は、どの請求明細データを消し込むことができたのかを示す消し込み結果ファイルを企業システム111に送信する。
【0045】
図9は、S805の判定の結果、口座番号と振込人名は一致していたが、振込金額が異なっているケースの処理フロー図である。上述したように、本発明では振込金額と請求金額に関して振込手数料分の相違があるケースが存在するので、当該処理フローは、振込手数料の金額よりも金額差があるケースが対象となる。
【0046】
S901にて、照合部702は、振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きいかどうかを判定する。振込入金明細データの振込金額が請求明細データの請求金額よりも大きければ(すなわち、請求金額よりも多く振り込まれるケース)、S902に処理が進み、一方、小さければ(すなわち、請求金額よりも少なく振り込まれるケース)、仕向銀行照会部704は、仕向銀行130に振込依頼人に関する情報を照会することとなる。
【0047】
S902にて、口座解約部703は、振込入金明細データおよび請求明細データのセットを企業システム111に送信し、請求金額よりも多く振り込まれるケースにおいて請求明細データの消し込みを行ってもよいかどうかを企業システム111に照会する。口座解約部703は、企業システム111から消し込み可の指示(請求明細データの口座番号の情報を含む)を受信したら、消し込み可と判定された請求明細データに含まれる口座番号に対応する被振込専用口座を解約する。詳細に言えば、上記したように、口座解約部703は、当該被振込専用口座の解約フラグに任意の値を設定することにより、当該被振込専用口座番号宛ての振込をできなくする。
【0048】
S903にて、口座解約部703は、どの請求明細データを消し込むことができたのかを示す消し込み結果ファイルを企業システム111に送信する。
【0049】
図10は、S805の判定の結果、口座番号と振込金額は一致していたが、振込人名が異なっているケースの処理フローである。なお、後述するように、本ケースには、実際には口座番号相違のケースも含まれることがある。
【0050】
S1001にて、銀行システム100は、振込入金明細データに含まれる振込人名と請求明細データに含まれる請求先の名義相違の程度が消し込みを行うのに許容できるものか否かを判定する。例えば、名義相違が、「カブシキカイシャ」を「(カブ)」とする場合など予め定められた用語の相違だけである場合などは、銀行システム100は、名義相違が消し込みを行うのに許容できる範囲のものであると判定する。当該判定の結果、許容範囲であると判定されればS1002に処理が進み、一方、許容範囲ではないと判定されればS1004に処理が進む。
【0051】
なお、予め定められた用語の相違については、システム内に予め定められた変換パターンを記録したテーブルを用意しておき、銀行システム100がそのテーブルを参照することにより、名義相違が消し込みを行うのに許容できる範囲のものであるか否かを判定するように構成されてよい。
【0052】
S1002にて、口座解約部703は、名義相違である振込入金明細データおよび請求明細データのセットを企業システム111に送信し、当該請求明細データを消し込みしてもよいかどうかの指示を企業システム111から受信する。消し込み可/不可の指示には、請求明細データの口座番号の情報が含まれている。
【0053】
消し込み可の指示を受信した場合には、口座解約部703は、受信した消し込み可の指示に基づいて該当する口座番号に対応する被振込専用口座を解約する。より具体的に言えば、口座解約部703は、当該被振込専用口座の解約フラグに任意の値を設定することにより、当該被振込専用口座番号宛ての振込をできなくする。このような処理をすることにより、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤って当該被振込専用口座に振り込んでしまった場合であっても、適切な振込人が該当の被振込専用口座に振り込むことができるようになる。
【0054】
S1003にて、口座解約部703は、どの請求明細データを消し込むことができたのかを示す消し込み結果ファイルを企業システム111に送信する。
【0055】
S1004にて、照合部702は、名義相違であるとされた振込入金明細データ内の振込人名が他の請求明細データに存在するか否かを検索する。当該検索は、口座番号など他の項目はマッチングキーとしないことに留意されたい。顧客120が被振込専用口座に対する振込を行った際に口座番号を間違えていた可能性があるためである。
【0056】
S1005にて、照合部702は、S1004の検索処理の結果、他の請求明細データが存在するかどうかを判定する。存在すると判定される場合には、S1006に処理が進み、一方、存在しないと判定される場合には、S1010に処理が進む。S1010では、仕向銀行照会部704は、仕向銀行130に振込依頼人に関する情報照会する。
【0057】
S1006にて、口座解約部703は、名義相違であるとされた振込入金明細データおよび存在すると判定された他の請求明細データのセットを、当該他の請求明細データの消し込み可否を照会するために企業システム111に送信する。その後、口座解約部703は、企業システム111から消し込み可/不可のいずれかの指示を受信する。
【0058】
S1007にて、銀行システム100は、受信した指示が消し込み可または消し込み不可のいずれであるかを判定する。消し込み可であると判定される場合には、S1008に処理が進み、一方、消し込み不可であると判定される場合には、S1011に処理が進む。S1011では、仕向銀行照会部704は、仕向銀行130に振込依頼人に関する情報を照会する。
【0059】
S1008にて、消し込み可の指示(S1005にて存在すると判定された他の請求明細データの口座番号の情報を含む)を受信した場合には、口座解約部703は、受信した消し込み可の指示に基づいて該当する口座番号に対応する被振込専用口座を解約する。より具体的に言えば、口座解約部703は、当該被振込専用口座の解約フラグに任意の値を設定することにより、当該被振込専用口座番号宛ての振込をできなくする。このような処理をすることにより、適切な振込人が振り込むよりも前に別の振込人が誤って当該被振込専用口座に振り込んでしまった場合であっても、適切な振込人が該当の被振込専用口座に振り込むことができるようになる。
【0060】
S1009にて、口座解約部703は、どの請求明細データを消し込むことができたのかを示す消し込み結果ファイルを企業システム111に送信する。
【0061】
以上、例示的な実施形態を参照しながら本発明の原理を説明したが、本発明の要旨を逸脱することなく、構成および細部において変更する様々な実施形態を実現可能であることを当業者は理解するだろう。すなわち、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 銀行システム
110 企業
111 企業システム
120 顧客
130 仕向銀行
401 制御部
402 主記憶部
403 補助記憶部
404 インターフェース(I/F)部
405 出力部
406 振込入金明細
407 契約DB
408 請求明細
701 振込処理部
702 照合部
703 口座解約部
704 仕向銀行照会部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10