特許第5886861号(P5886861)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886861
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】医療用分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 15/00 20060101AFI20160303BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20160303BHJP
【FI】
   B01D15/00 H
   A61M1/36 543
   B01D15/00 M
   B01D15/00 101B
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-535299(P2013-535299)
(86)(22)【出願日】2011年10月18日
(65)【公表番号】特表2014-503339(P2014-503339A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011005218
(87)【国際公開番号】WO2012055500
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月10日
(31)【優先権主張番号】102010049790.8
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ライネンバッハ ハンス−ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ゲルナー フランツ−ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】クーン シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シンツェル エッケハルト
(72)【発明者】
【氏名】プリースニッツ パトリック
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−509003(JP,A)
【文献】 特開昭53−060881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 15/00
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂面および底面がシールされている丸いハウジング(9)と、
流体入口(5)と、
流体出口(6)と、
分離媒体の充填連結具(7)と、を有する分離装置(1)において、
分離媒体の充填連結具(7)が、前記分離装置(1)の丸いハウジング(9)に対して接線方向に取付けられている、
ことを特徴とする分離装置(1)。
【請求項2】
前記接線方向の充填連結具(7)は丸いハウジング(9)の側面に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の分離装置(1)。
【請求項3】
前記分離装置(1)に充填するホースライン(8)が、接線方向充填連結具(7)に取付けられている、
請求項1または2記載の分離装置(1)。
【請求項4】
前記中空円筒状ハウジング(2)の頂面および底面は、ハウジング端キャップ(3、4)の形態に設計されており、ハウジング端キャップ(3、4)は、前記丸いハウジング(9)に栓止またはねじ止めされ、ハウジング端キャップ(3、4)は半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)を有して、
請求項1記載の分離装置(1)。
【請求項5】
前記上方および下方のハウジング端キャップ(3、4)は、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が所定方向を向くように、前記丸いハウジング(9)に取付けられている、
請求項4記載の分離装置(1)。
【請求項6】
前記丸いハウジング(9)には、上下のハウジング端キャップ(3、4)をロックするための、クリップ、スナップまたはフック連結具の形態に設計された取付け要素(17)が設けられている、
請求項5記載の分離装置(1)。
【請求項7】
前記ハウジング端キャップ(3、4)の縁領域には、前記丸いハウジング(9)に取付けられた取付け要素(17)を受入れるための凹部または窪みの形態をなす受入れ要素(18)が設けられて、
請求項6記載の分離装置(1)。
【請求項8】
少なくとも2つのハウジング外壁セグメント(11)からなるハウジング外壁(10)またはハウジング外壁セグメント(11)は、前記丸いハウジング(9)を包囲するか、前方に配置される、
請求項1または2記載の分離装置(1)。
【請求項9】
前記ハウジング外壁(10)は、上下のハウジング端キャップ(3、4)の間にクランプされるか、ロックされている、
請求項8記載の分離装置(1)。
【請求項10】
分離装置には、接線方向に配置された充填連結具(7)のホースピース(8)を介して分離媒体が充填され、
接線方向の充填連結具(7)のホースピース(8)が、分離媒体が充填された後に切断されかつ切断要素により閉鎖され
ホースピース(8)の残留ピースが前記丸いハウジング(9)の周囲に配置される、
医療用分離装置の製造方法。
【請求項11】
ハウジング外壁(10)またはハウジング外壁セグメント(11)が、次に、前記丸いハウジング(9)の前方に配置される、
請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
部分的に組立てられた分離装置(20)には、1つまたは2つ以上のハウジング外壁セグメント(11)が予め取付けられる、
請求項11記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空円筒状ハウジングを有する医療用分離装置であって、ハウジングは、頂面および底面が閉塞されかつ流体入口および流体出口並びに分離媒体用の充填連結具を備えている医療用分離装置に関する。分離装置は、技術分野、分析分野または製薬分野での使用にも適している。
【背景技術】
【0002】
医療用分離装置、より詳しくは吸着器が使用される種々の治療方法が従来技術で使用されておりかつ知られている。例えば、ガラスで作られた小体積ハウジングまたは複雑な大型ハウジングのいずれかを用いたシステムが免疫フェレーシスに使用されている。使用される吸着器は、半径方向入口ラインを介して分離媒体または吸着器媒体が充填されかつシーリングプラグによりシールされる。半径方向入口ラインはハウジングから突出しているため、例えば落下、衝撃または他の何らかの外因により損傷を受ける危険性がある。
【0003】
また、容易に手に振れることができ、シーリングプラグが開く可能性があるため、シーリングプラグが不適正な取扱いから保護されないことも欠点である。シーリングプラグが開く虞があるため、吸着器が適正に患者ラインに連結されないこと、または吸着器の気密性および/または安定性が失われることがある。
【0004】
半径方向の充填連結具を備えた既存のシステムでは、この連結具は、充填の後にシーリングプラグによりシールされる。このような設計は、分離媒体の充填およびストッパによるシーリングを首尾よく行うには、適当な長さの充填連結具を必要とする。この結果、他の有害な問題が生じる。なぜならば、ハウジングの直径が小さくて、充填連結具の長さに対するハウジングの長さの比がかなり好ましくないものとなってしまうからである。これは、吸着器ハウジングのコンパクトな設計を達成する努力を妨げる。コンパクトな設計は、分離装置が最小限のスペース、最小のリパッケージング、および最小の輸送および保管スペースで済むという特徴を有する。
【0005】
或る吸着器モデルでは、ねじカバーおよび/または底カバーが別々に固定されていないため、吸着器を完全に分解できないという危険性もある。したがって、このような分離装置ではその全寿命に亘って確実性を確保することができない。
【0006】
上記有害なファクタは、分離装置を患者に使用するときに完全には保証されないという事実をもたらす。
【0007】
また、分離媒体と一緒に吸着器を如何に使用するかの種々の方法も従来技術から知られている。
【0008】
下記特許文献1には、最終パッケージを殺菌する装置、より詳しくは最終パッケージが半径方向入口ラインを介して吸着器ハウジングに連結されている吸着器が開示されている。分離媒体は最終パッケージ内に貯蔵される。殺菌後、吸着器ハウジングおよび最終パッケージは、半径方向入口ラインを介して殺菌ユニットを形成する。この構成は、所与の時間に殺菌環境内で吸着器ハウジング内に分離媒体を入れることを可能にする。
【0009】
他の方法では、吸着器ハウジングに直接分離媒体が充填される。充填後、充填された分離装置を、例えばα線、β線またはγ線等の高エネルギイオン化放射線により殺菌する必要がある。
【0010】
下記特許文献2には、分離すべき溶液の入口チューブが好ましくは側面に取付けられた生物学的物質の分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2008 053 131(A1)号明細書
【特許文献2】欧州特許第0 507 245(B1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、分離装置のハウジングが、分離媒体を充填する側に充填連結具を有する医療用分離装置であって、コンパクトなハウジング設計を有しかつパッケージングを低減させ並びに輸送および貯蔵スペースを減少させてコスト低減できる医療用分離装置を利用できるようにすることにある。
【0013】
また、本発明は、ハウジング上の構造要素により、ハウジングの確実性が保証され、したがって、患者への分離装置の使用時の安全性が高められる点に特徴を有するべきである。
【0014】
本発明による分離装置は、分離装置に分離媒体を直接充填できかつ殺菌できるべきである。また、本発明は、別体容器を備えかつ一部が予め組立てられたハウジングを有し、これにより、非殺菌環境内でのハウジング、チュービングシステムおよび分離媒体の殺菌後にハウジングの最終充填を行うことができるべきである。
【0015】
本発明による分離装置では、迅速かつ安価な方法で個々のコンポーネンツを取付けることができるようにしかつ取扱いが容易な分離装置を使用者に提供するためには、個々のコンポーネンツはできる限り機能的に設計されなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、本発明によれば、特許請求の範囲の請求項1、10および13に記載の特徴により達成され、分離物質用の充填連結具はハウジングに接線方向に取付けられる。本発明の有利な実施形態は、特許請求の範囲の実施態様項に記載されている。
以下、本発明による装置を、添付図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による分離装置の外部の設計を示す断面図である。
図2】分離装置の内部の設計を示す断面図であり、側面の接線方向充填連結具、ハウジング端キャップ、および該ハウジング端キャップを取付ける取付け要素を示すものである。
図2a】分離装置の内部の設計を示す斜視図であり、側面の接線方向充填連結具、ハウジング端キャップ、および該ハウジング端キャップを取付ける取付け要素を示すものである。
図3】ハウジングの外壁セグメントを連結するキャッチ機構を示す図面である。
図4】ハウジングの内壁上の取付け要素および周囲のうね溝すなわち溝を備えたハウジング端キャップを示す詳細図である。
図5】分離装置に分離媒体を充填する方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1図2および図2aに示すように、ハウジング端キャップ(3、4)により頂面および底面が密封された中空円筒状ハウジング(2)を備えた医療用分離装置(1)は、流体入口(5)と、流体出口(6)と、医療用分離装置(1)に分離媒体(分離媒体は吸着剤または固体相とも呼ばれる)を充填するための充填連結具(7)とを有している。充填連結具(7)は、本質的に丸く、より詳しくは円筒状で、丸く膨らんだ凹状または凸状の医療用分離装置(1)に対して接線方向に取付けられている。
【0019】
ホースライン(8)は、分離媒体が充填される分離容器すなわち貯蔵容器(図示せず)と、充填連結具(7)との間の流体連結を確立する多くの方法で充填連結具(7)に連結されている。ホースライン(8)は、充填連結具(7)に対し、好ましくは溶接され、連結され、栓止またはねじ止めされるか、挿入される。分離媒体を充填した後、容器と本発明による装置(1)との間のホースライン(8)は適当な長さに切断されかつシールされる。
【0020】
好ましい実施形態では、充填連結具(7)が、より詳しくは内側ハウジング(9)上に横方向で接線方向に配置されているため、コンパクトで省スペースの設計が可能になる。
本発明による分離装置(1)のこのような設計を実施できるようにするため、接線方向充填連結具(7)は、内側ハウジング(9)から、0-20mm、好ましくは0-18mm、特に好ましくは0-16mmの長さだけ突出している。内側ハウジング(9)自体は、3-15cm、好ましくは4-12cm、特に好ましくは5-10cmの直径を有している。
【0021】
内側ハウジング(9)および充填連結具(7)が互いに釣合いのとれた関係になるようにするため、内側ハウジング(9)から突出する充填連結具(7)の長さに対する内側ハウジング(9)の直径の比は、7.5/1まで、好ましくは6.7/1まで、特に好ましくは6.25/1までである。
【0022】
他の好ましい実施形態では、充填連結具(7)上に残るホースライン(8)の残部は、内側ハウジング(9)の周囲に置くのが便利である。
【0023】
充填連結具(7)およびホースライン(8)を外的影響から保護するため、特に好ましい実施形態では、ハウジング外壁(10)は内側ハウジング(9)の前方に置くことができる。これにより、医療用分離装置(1)のコンパクト性および安全性にも寄与できる。
【0024】
内側ハウジング(9)から突出する充填連結具(7)を有する内側ハウジング(9)をハウジング外壁(10)により包囲できるようにするため、内側ハウジング(9)とハウジング外壁(10)との間の距離は、2.0-10mm、好ましくは1.5-8mm、特に好ましくは4.5-6.8mmである。
【0025】
ハウジング外壁(10)は、ハウジング外壁セグメントすなわちパネル(11)からなる。ハウジング外壁(10)は、好ましくは、2つ、4つまたは6つのハウジング外壁セグメント(11)からなり、これらは、好ましくは、分離装置(1)の内側ハウジング(9)を包囲するか、内側ハウジング(9)の前方に置かれる。
【0026】
個々のハウジング外壁セグメント(11)を互いに結合できるようにするため、ハウジング外壁セグメント(11)は図3に示すようなキャッチ機構(12)を有し、該キャッチ機構(12)はハウジング外壁セグメント(11)の外側に配置するのが好ましい。キャッチ機構(12)は、クリップ、スナップまたはフック連結具の形態に具現できる。各ハウジング外壁セグメント(11)は、少なくとも1つのキャッチ要素(13)および少なくとも1つの受入れ要素(14)を有することは自明である。
【0027】
充填連結具(7)およびホースライン(8)を備えた内側ハウジング(9)は、ハウジング外壁(10)の形態をなすクラッディングを有している。好ましくは、ハウジング外壁セグメント(11)は、本発明による装置(1)の外側に、半径方向に突出する充填ラインすなわち閉キャップを設ける必要を全く無くすことを可能にする長所を有している。分離装置(1)が不意に落下しても、充填連結具(14)は、ハウジング外壁(10)の後方に配置されているため、例えば充填連結具(7)またはその一部が脱落または欠けることにより、損傷から保護される。分離装置(1)は、他の破壊的外因例えば衝撃作用からハウジング外壁(10)により依然として保護される。ハウジング外壁(10)がホースライン(8)をもカバーし、したがって、もはや外方に突出する閉キャップは存在しない。このため、例えば、分離装置(1)の不適正な取扱いおよび患者ラインへの誤った連結または閉キャップの脱落を防止できる。これらの構造的手段により、分離装置(1)の確実性が確保されかつ患者に使用されたときに大きい信頼性が得られる。
他の特に好ましい実施形態では、ハウジングの外壁、好ましくはハウジング外壁セグメント(11)は、上下のハウジング端キャップ(3、4)の間にクランプまたはロックされている。ハウジング端キャップ(3、4)は、好ましくは、ハウジング外壁(10)好ましくは周方向うね溝(peripheral furrow)すなわち溝の形態をなすハウジング外壁セグメント(11)を受入れるように設計されている。この実施形態は、図2および図4に示されている。
【0028】
この場合には、内側ハウジング(9)および充填連結具(7)の寸法は、これらの両方がハウジング端キャップ(3、4)の半径より小さくて、ハウジング外壁(10)を前方に置くのに充分なスペースが残るように選択すべきである。ハウジング端キャップ(3、4)のサイズは、個々のコンポーネンツの上記寸法に基づいて定められる。
【0029】
本発明による分離装置(1)では、図1および図2に示すように、分離装置(1)の上面および下面がハウジング端キャップ(3、4)により閉じられている。ハウジング端キャップ(3、4)は、ハウジング(2)、好ましくは内側ハウジング(9)上に栓止またはねじ止めされる。流体入口(5)および流体出口(6)は、好ましくは、ハウジング端キャップ(3、4)に半径方向に配置される。
【0030】
好ましい実施形態では、分離装置(1)は、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が所定方向を向くように設計され、流体連結具(5、6)は、互いに上下に配置されるのが特に好ましい。
【0031】
ねじ蓋を備えたハウジング端キャップの実施形態の場合には、ハウジング(2)または内側ハウジング(9)およびハウジング端キャップ(3、4)のねじの始点の位置は特に重要である。ねじの始点の位置は、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が、好ましくはこれらを互いに上下に配置することにより所定の方向を向くように選択すべきである。
【0032】
ハウジング端キャップ(3、4)がハウジング(2)または内側ハウジング(9)に栓止される場合には、栓止装置は、上記流体連結具(5、6)の整合が実施できるように当業者により設計されるべきである。
【0033】
上下のハウジング端キャップ(3、4)を取付ける取付け要素(17)が好ましくは内側ハウジング(9)に設けられるという事実により、分離装置(1)の更に改善された精度を達成できる。取付け要素(17)は、クリップ、スナップまたはフック連結具の形態に設計できる。内側ハウジング(9)には、少なくとも1つ、好ましくは2つまたは3つの取付け要素(17)が設けられ、特に好ましくは対をなして設けられる。また、取付け要素(17)は、互いに垂直方向に整合して配置される。ハウジング端キャップ(3、4)を好ましくは内側ハウジング(9)に堅固に固定するための凹部、窪みの形態または他の可能な設計の受入れ要素(18)が、好ましくはハウジング端キャップ(3、4)の取付け要素(17)と対向するように、好ましくはハウジング端キャップ(3、4)の縁領域に配置される。
【0034】
上記実施形態は、ハウジング端キャップ(3、4)が、これらを壊すことなくハウジング(2)または内側ハウジング(9)から取外すことができないため、装置の確実性を確保でき、したがって患者に使用したときの安全性が高められるという長所を有している。
【0035】
取付け要素(17)によりハウジング(2)好ましくは内側ハウジング(9)にロックでき、かつ受入れ要素(18)によりハウジング端キャップ(3、4)にロックできるため、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)を所定方向、好ましくは流体入口(5)および流体出口(6)を互いに上下に配置することもできる。
【0036】
このような実施形態は、分離装置(1)の保持機構および個々のコンポーネンツが互いに強固に連結されており、均一の装置(1)の個々の部品が均一の予応力を受けるため、簡単な組立ておよび優れた気密性を確保できる。
【0037】
上記実施形態は、製造および組立ての簡単化をもたらす。なぜならば、本発明による分離装置(1)の組立てに異なる条件を必要とせずかつ使用者が分離装置(1)の特定設置方向に注意を払う必要がなく容易に取扱うことができる装置を提供できる同一部品を使用できるからである。
【0038】
また、本発明は、医療用分離装置(1)のハウジング、好ましくは、ハウジングに接線方向に配置された充填連結具(7)を備えた吸着器ハウジングであって、充填連結具(7)が好ましくは分離装置(1)の内側ハウジング(9)に横方向に取付けられた吸着器ハウジングを製造する方法に関する。中空円筒状ハウジング(2)は、上下のハウジング端キャップ(3、4)により閉鎖され、これらのハウジング端キャップ(3、4)は内側ハウジング(19)に栓止またはねじ止めされる。ねじ山(16)は、ハウジング端キャップ(3、4)に配置された半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が所定方向に整合されるように設計される。ハウジング端キャップ(3、4)は、好ましくは、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が上下に配置されるように取付けられる。
【0039】
ハウジング端キャップ(3、4)を強固かつ確実に取付けることができるようにするため、ハウジング端キャップは取付け要素(17)に連結される。ハウジング端キャップ(3、4)を固定するため、少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の取付け要素(17)が設けられる。簡単な組立体に関しては、ハウジング端キャップ(3、4)が、互いに垂直方向に対向する対をなして内側ハウジング(9)に配置された取付け要素(17)に連結できるように、ハウジング端キャップ(3、4)を取付けるのが有利である。ハウジング端キャップ(3、4)は、クリップ、スナップまたはフック連結具の形態をなす取付け要素(17)により内側ハウジング(9)にロックされる。取付け要素(17)が嵌合またはロックされる凹部、窪みまたは他の可能な実施形態の形態をなす受入れ要素(18)は、取付け要素(17)に対向して、ハウジング端キャップ(3、4)、好ましくはハウジング端キャップ(3、4)の縁領域に配置される。
【0040】
特に好ましい実施形態では、取付け要素(17)および受入れ要素(18)は、半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が所定方向を向くように、より詳しくは半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)が互いに上下方向に配置されるように取付けられる。
【0041】
中空円筒状ハウジング(2)および/またはハウジング端キャップ(3、4)には、通常、分離要素が使用される。これらの分離要素は、通常、スクリーンまたはメッシュであり、これらは、安定化を図る支持構造体に取付けられ、分離媒体を予め形成した空間内に隔離すべく機能しかつ最適な流体分散を確保する。
【0042】
ホースラインは、最初に部分的に組立てられた分離装置(20)の充填連結具(7)に取付けられる。装置(20)は、できるならば装置(20)の内部に必要とされる内側ハウジング(19)、ハウジング端キャップ(3、4)および分離要素からなる。ホースライン(8)は、溶接、栓止または好ましくは簡単な方法で充填連結具(7)内に挿入される。分離媒体を保持する容器を、部分的に組立てられた分離装置(20)の内側ハウジング(9)の充填連結具(7)の内側ハウジング(9)の充填連結具(7)に連結する他の変更例を考え得ることはもちろんである。
【0043】
部分的に組立てられた分離装置(20)に分離媒体が充填された後、ホースライン(8)が、適当な長さに切断されかつシールされる。ホースライン(8)の開端部は、クランプ機構、ストッパまたは遮断要素を用いて閉鎖されるか、他の何らかの適当な方法により閉鎖される。部分的に組立てられた分離装置(20)を簡単かつ安価に製造するには、ホースライン(8)を溶接により切断し、かつ同時にホースライン(8)を滅菌してシールするのが好ましい。この場合、充填連結具(7)に依然として残っているホースライン(8)の残部は、ハウジング内壁(9)の周囲に配置するのが便利である。チューブの長さは、ホースが次の取付け要素(17)の前に終端するように選択するのが好ましい。
【0044】
方法の他の段階では、好ましくはハウジングの外壁セグメントの形態をなすハウジング外壁(10)が、内側ハウジング(9)の周囲に配置される。ハウジング外壁(10)またはハウジング外壁セグメント(11)が嵌合されるうね溝または溝(15)は、ハウジング端キャップ(3、4)に設けるのが好ましい。ハウジング外壁(10)は、好ましくは少なくとも2つのハウジング外壁セグメントまたはパネル(11)からなる。個々のハウジング外壁セグメント(11)は、キャッチ機構(12)により互いに連結される。この目的のため、好ましくは、クリップ、スナップまたはフック連結具(11)の形態をなすキャッチ要素(13)および受入れ要素(14)がハウジング外壁セグメント(11)の外面に設けられる。個々の各ハウジング外壁セグメント(11)は、少なくとも1つのキャッチ要素(13)並びに少なくとも1つの受入れ要素(14)を介して交互に他のハウジング外壁セグメント(11)に連結されかつハウジング端キャップ(3、4)に嵌合されまたは好ましくはロックされる。安定化のため、本質的に内側ハウジング(9)とハウジング外壁(10)との間および/または外壁セグメント(11)との間の距離に一致するスペーサ要素(19)が、ハウジング外壁(10)または外壁セグメント(11)上に規則的間隔で設けられる。
【0045】
今やハウジング外壁(10)またはハウジング外壁セグメント(11)により完全に包囲された分離装置(1)は、例えば分離装置(1)が患者に使用する吸着器として提供される場合には、次に、蒸気または例えばUV、X線、α線、γ線または電子ビーム放射等の高エネルギイオン化放射線による殺菌を受ける。
【0046】
他の好ましい実施形態では、部分的に組立てられた分離装置(20)は、ハウジング外壁(10)が、一方のハウジング外壁(11)が予め取付けられ2つのハウジング外壁セグメント(11)から構成されるように設計される。これにより、分離媒体が充填されかつホースライン(8)が溶接された後に必要なことは、最後のハウジング外壁(11)を所定位置に嵌合させることだけである。このように組立てられた分離装置(1)はまた、前述のように、患者に使用される前に殺菌を受ける。
【0047】
第2の好ましい実施形態では、分離媒体は、別の隔室または容器(21)内に貯蔵されかつ部分的に組立てられた分離装置(20)にホースライン(8)を介して連結される。分離媒体が充填された容器(21)並びに部分的に組立てられた装置(26)は最初に一緒に殺菌され、分離媒体は、部分的に組立てられた装置(20)に適時搬送される。この場合、分離装置(20)および容器(21)の殺菌ユニットは触れられていないので、分離媒体は、非殺菌環境内にあっても部分的に組立てられた分離装置(20)に搬送される。ホースライン(8)の切断および溶接後、ここで再びハウジング外壁(10)または最後のハウジング外壁セグメント(1)が所定位置に嵌合される。
【0048】
図5は、部分的に組立てられた医療用分離装置(20)の充填方法の一例を示す。分離媒体は、別体の隔室または容器(21)内に存在する。容器(21)は、ホースライン(8)を介して内側ハウジング(9)に接線方向に配置された充填連結具(7)に連結されている。吸着剤すなわち分離媒体が、ポンプにより、部分的に組立てられた分離装置(20)の内側ハウジング(9)に圧送される。充填作業が完了したならば、流体の流れ(8)が停止されかつポンプ(22)が取外される。内側ハウジング(9)内に残留している全ての残留空気が、流体入口(5)および/または流体出口(6)を介して内側ハウジング(9)に連結されたポンプ(23)により、充填連結具(7)を通して排出することにより除去される。これにより、ハウジングのエアレス充填が可能になる。流体経路は、ホースクランプ(24)により開閉される。次に、ホースライン(8)が充填連結具で適当長さに切断される。好ましい方法では、ホースライン(8)は溶接により切断され、同時に殺菌態様でシールされる。容器(26)を備えたポンプ(23)を含むホースシステム(25)が取外される。充填連結具(7)に残るホースライン(8)の一部は、好ましくは取付け要素(17)に最も近くで内側ハウジング(19)の周囲に置かれ、最後に見失った(last missing)ハウジング外壁セグメント(11)が挿入される。
【0049】
本発明による分離装置(1)は、技術分野、好ましくは分析、医療および製薬分野での使用に適している。
【0050】
分離装置(1)は、特に、物質混合物から物質の濃度を低下させること、好ましくはペプチドまたはプロテイン、特に好ましくはサイトカイン、低密度リポプロテイン(LDL)、毒性異物プロテイン例えば動物毒の濃度低下に適している。また、分離装置(1)は、抗体の濃度を低下させる機能を有し、抗体として、内因性または外因性抗体例えば治療活性を有する抗体がある。また、濃度を低下させるべき物質として、バクテリア原点すなわちグラム陰性およびグラム陽性の両バクテリア、例えばエンドトキシン(リポポリサッカリド)またはエンテロトキシン、例えば有毒ショックシンドロームトキシン-1(TSST-1)並びに黄色ブドウ球菌およびブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)がある。
【0051】
濃度の低下は、全血または血漿に行うのが特に好ましい。
【0052】
以下、好ましい寸法を用いた非制限的な例に基づいて、本発明による装置(1)を説明する。
【0053】
分離装置(1)は、平均6.2cmの直径をもつ中空円筒状の内側ハウジング(9)を有する。分離装置(1)に分離媒体すなわち吸収剤を充填する充填連結具(7)が、内側ハウジング(9)に接線方向に配置されている。充填連結具(7)は、内側ハウジング(9)から16.5mmの長さだけ突出している。分離装置を充填するため、ホースライン(8)が充填連結具(7)に挿入される。取付け要素(17)に加え、互いに対をなして垂直方向に対向して配置されかつ半径方向流体入口(5)および半径方向流体出口(6)を上下方向に整合させる機能を有するスナップ連結具も内側ハウジング(9)に取付けられている。したがって、取付け要素(17)の受入れ要素(18)がハウジング端キャップ(3、4)に取付けられている。切断されかつ溶接されたホースライン(8)が、せいぜいその長さから反対側の取付け要素(17)まで延びている。内側ハウジング(9)およびホースライン(8)は、2つのハウジング外壁セグメント(11)により包囲される。2つのハウジング外壁セグメント(11)は、キャッチ機構(12)を介してスナップ連結具の形態に互いに連結され、各ハウジング外壁セグメント(11)はキャッチ要素(13)および受入れ要素(14)を有している。内側ハウジング(9)とハウジング外壁セグメント(11)との間の距離は6.4mmである。ハウジング外壁セグメント(11)を安定化させるため、ハウジング外壁セグメント(11)を、内側ハウジング(9)とハウジング外壁セグメント(11)との間の距離に本質的に一致させるスペーサ要素が内部に設けられている。
【符号の説明】
【0054】
1 医療用分離装置
2 中空円筒状ハウジング
3、4 ハウジング端キャップ
5 流体入口
6 流体出口
7 充填連結具
8 ホースライン
9 内側ハウジング
11 ハウジング外壁セグメント
17 取付け要素
20 部分的に組立てられた分離装置
図1
図2
図2a
図3
図4
図5