特許第5886871号(P5886871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5886871動作シリンダを研削機械に配置するための方法とその方法を実施する研削機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886871
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】動作シリンダを研削機械に配置するための方法とその方法を実施する研削機械
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/00 20060101AFI20160303BHJP
   B24B 5/04 20060101ALI20160303BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20160303BHJP
【FI】
   B24B5/00 A
   B24B5/04
   B24B41/06 J
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-545090(P2013-545090)
(86)(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公表番号】特表2014-504216(P2014-504216A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2011006359
(87)【国際公開番号】WO2012084155
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】MI2010A002348
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509201724
【氏名又は名称】テノヴァ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】トレヴィサン クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】トレンティ エラスモ
(72)【発明者】
【氏名】アンデルソン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンツィーニ マテオ
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−262342(JP,A)
【文献】 特開2005−169530(JP,A)
【文献】 特表2005−537140(JP,A)
【文献】 英国特許出願公告第00142977(GB,A)
【文献】 実開昭63−053653(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 5/00 − 5/04
B24B 41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作シリンダを研削機械(10)上に位置決めする方法であって、少なくとも、
a.前記シリンダの長手方向中心線の横断面を、前記研削機械(10)の可動ピースホルダ・ヘッド(13)と可動心押し台センタ(12)の間に配置された基準点に対応するように位置決めするステップと、
b.前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)を、前記シリンダの方向に、前記シリンダ自体を連行及び/又は支持するための相互結合が生じるまで移動させるステップと、
を実行するステップを含み、
前記基準点は、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)から等距離に配置され、
前記ステップbの前記移動させるステップは、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)を同一の量、同一の直線上の方向、且つ逆向きに移動させるステップであり、
前記移動させるステップは移動手段によって実行され、前記移動手段は、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)に結合されたエンドレスねじ(16)を備え、前記ねじ(16)は、単一ピースで構成され、逆巻き螺旋ねじを有する2つのねじ部(160、161)を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
A1.研削される圧延シリンダを準備するステップと、
A.前記シリンダの長手方向中心線の横断面を、研削機械の可動ピースホルダ・ヘッドと可動心押し台センタの間に配置され、前記シリンダの支持ルネット(20)に一致する基準点に対応して位置決めするステップと、
B.前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び心押し台センタ(12)を前記シリンダと結合するまで移動させるステップと、
C.前記シリンダの少なくとも2つの側方支持ルネット(21、22)を、前記基準点から同一距離に位置決めするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
動作シリンダ用の研削機械(10)であって、基部(11)と、ピースホルダ・ヘッド(13)と、研削されるシリンダを回転させるために前記シリンダの対向する端部に結合される心押し台センタ(12)と、を備え、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)は前記基部(11)に対して平行移動することができ
前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)は、移動手段に結合され、相互の接近及び後退のための直線平行移動ができ、
前記移動手段は、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)に結合されたエンドレスねじ(16)を備え、前記ねじ(16)は、単一ピースで構成され、逆巻き螺旋ねじを有する2つのねじ部(160、161)を備えることを特徴とする
ることを特徴とする、研削機械。
【請求項4】
前記移動手段は、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)を同一の直線上の方向、同一の量、逆きに移動させることを特徴とする請求項に記載の研削機械。
【請求項5】
前記シリンダ中央に対して対称となるように位置決めするルネット(20)と、前記シリンダを側方において対称的に位置決めする及び/又は支持するための少なくとも2つの側方ルネット(21、22)を備え、前記ルネット(20)は、前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)から等距離の位置に配置されることを特徴とする、請求項3又は4に記載の研削機械。
【請求項6】
前記ピースホルダ・ヘッド(13)及び前記心押し台センタ(12)に対する前記移動手段は、同一の直線上の方向、同一の量、逆向きに相互移動させるために、前記側方ルネット(21、22)に結合されることを特徴とする請求項に記載の研削機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作シリンダを研削機械に配置するための方法とその方法を実施する研削機械に関する。「動作シリンダ」という用語は、例えば、金属の圧延のための圧延工場のシリンダ、製紙工場で使用されるシリンダ、油圧機械に使用されるシリンダ、船舶電動機の軸、及び、一般に、工業用の金属及び非金属材料で製造された全てのシリンダを指すことに留意されたい。
【背景技術】
【0002】
上記のシリンダ、特に圧延工場又は製紙工場のシリンダの研削は、先ず、相当に大きくなることが多いシリンダの架高及び重量に関連して、種々の欠点を有する。
【0003】
実際、これらのシリンダは、直径が40mm乃至2,300mm、長さが1,000mm乃至12,000mm及び重量が数十daN乃至230−250トンに及ぶ。
【0004】
これらのシリンダに求められる機能に対しては、シリンダを千分の数ミリメートル単位の精密性及び正確性で加工することを必要とする。
【0005】
従って、これらのシリンダに使用することができる研削機械は特定の特性を有し、小さく且つ伝統的な旋盤又は類似の機械と混同してはならず、この意味で、旋盤等は研削プロセスを実行することができない。
【0006】
シリンダの研削は、その前に研削機械上のシリンダの予備位置決め段階を経る必要があり、この段階は、研削するシリンダをピースホルダ・ヘッドと心押し台センタの間に挿入し、次に、ヘッド及び心押し台センタと関連する研削機械の中心の間にシリンダを支持することによって実行する。さらに、必要な場合には、シリンダは、ルネットとも呼ばれる固定装置(コントラスト装置、contrast devices)で締めつけて支持し、場合によって、これによりシリンダの重量を完全に支えて、ヘッド及び心押し台センタの支持機能を無くすことができる。研削するシリンダの種類及び実行する加工により、何れかの方策が選択される。
【0007】
例えば、いわゆる「肉薄」シリンダ、すなわち直径/長さの比が特に小さいシリンダ(典型的な例は、「Sendzimir社」圧延工場、より一般的には、「クラスタ」圧延工場のシリンダ)の加工の場合、既知の技術では、まずシリンダを搭載装置(例えば、ガントリクレーン、ジブクレーン又は自動搭載装置)を用いて研削機械に搭載し、次いで端部の一つをピースホルダ・ヘッドの中心により支持し、次いで心押し台をシリンダの対向する端部を支持するまで動かし、最後にルネットつまり固定装置をシリンダに沿って動かして、研削するシリンダの部分に対して正しく配置させる。
【0008】
ルネットつまり固定装置は、通常、研削砥石が加工する部品に及ぼす推力に対抗するために好適な支持体として製造され、通常はシリンダに沿って一定の間隔で配置され、研削工程中の研削抵抗に均一に対抗する。
【0009】
ピースホルダ・ヘッドが固定されているので、全ての重要な距離はピースホルダ・ヘッドから測定し、従って心押し台及びルネットつまり固定装置は、この基準との関連で配置され、シリンダの長さに応じて、心押し台及びルネットは基準に向かって或いは離れるように軸方向に動かされる。
【0010】
かかる作業の実行は、典型的には設定という用語で定義され、手動又は自動とすることができる。手動の場合は、正しさを検証するために正確に実行する必要がある一連の作業が必要であるため、設定期間が極めて重要である。自動の場合は、ルネット及び心押し台が共に好適な移動装置及び関連する制御装置を備える必要があるため、設定時間の減少により機械の簡潔性及び信頼性を損ねるおそれがある。
【0011】
既知の技術に関連する別の欠点は、研削機械に正しく位置決めするために、搭載中に、シリンダを3方向、中でも長手方向軸に沿って動かす必要があり、この調節移動には搭載装置の使用が必要なことである。手動プラントでは、この搭載装置は、典型的にはガントリクレーン又はジブクレーンであり、シリンダを移動して位置決めするためには精度が必要であるため、長い位置決め時間、熟練作業者を必要とし、間違った操作を行うとシリンダ又は研削機械又は両方を破損しかねないリスクを伴う。自動プラントでは、シリンダの移動は3軸搭載システムによって行われ、このシステムは一方で、作業時間を減らし、作業の安全性を高めるが、他方で3軸に沿って搭載物を移動させる機械を必要とするので、必然的に複雑、高価であり、整備を必要とする。ルネット及び心押し台センタの位置決めは、それらをシリンダに沿って移動させて正しく位置決めする必要があるという意味で、伝統的な技術では相当に長い時間がかかり、ピースホルダ・ヘッドに一体にされるシリンダの側方からの距離を測定する必要があることに注意が必要である。この場合、一方で手動の解決策が経済的であっても他方で作業者に時間及び正確性が必要であり、これに対して、自動の解決策は作業速度及び精度を保証するが、心押し台センタ及び各ルネットに対する移動及び制御機構を必要とする
【0012】
手動研削機械の場合、この問題は、異なる長さを有するシリンダを連続して研削する必要が多く、設定作業を各々の加工毎に、相当な時間をかけて行う必要があるという事実によってさらに深刻になる。
【0013】
具体的には、毎回ピースホルダ・ヘッド(基準の役割を果たす)からの距離を測定する必要があり、従って全てのルネットをシリンダに沿って動かす必要があるので、毎回、心押し台センタだけでなくルネットも動かす必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の一般的な目的は、既知の技術のこの及び他の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、本説明の必須部分と考えられるべき添付する独立請求項において特定される特徴を有する研削方法及び研削機械によって達成される。
【0016】
少なくとも以下のステップ、すなわち、
シリンダの横方向・長手方向中心線面を研削機械の可動ピースホルダ・ヘッドと心押し台との間に配置された基準点に対応して位置決めするステップと、
ピースホルダ・ヘッドと心押し台の両方をシリンダと結合するまで移動するステップと
を含むシリンダのための位置決め方法が考案された。
【0017】
ピースホルダ・ヘッドと心押し台の移動は、同一の量だけ同じ方向しかし逆巻きであることが好ましい。
【0018】
このやり方で、基準システムは、既知の技術のようにシリンダの端部の一つではなく、シリンダの横方向・長手方向中心線面により特定される。
【0019】
この目的のため、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台は、例えば同じねじで結合するなどにより、研削機械のフレームに対して一体に平行移動し、ねじを回転させるとピースホルダ・ヘッド及び心押し台には同じ方向しかし逆巻きの同じ動きが生じる。
【0020】
これにより得られる優位性は明らかである。第一に、シリンダを研削機械上でピースホルダ・ヘッド上に配置するために軸方向に動かす必要がなく、従って手動式であれ自動式であれより単純でより安価な運動軸が2軸の装着装置を用いれば済む。
【0021】
さらに、中央基準システムは、シリンダの長手方向中心線面と一致し、他の優位性も与える。例えば、奇数のルネット(1つ、3つ等)を用いる場合、ルネットつまり中央固定装置を毎回位置決めし直す必要がなく、ルネットはシリンダが組み立てられる中央線における位置で研削機械に固定することが好ましい。
【0022】
仮にルネットの数が偶数(2つ、4つ等)であっても、シリンダの中央線に対してルネットを対称的に位置決めする必要があるため、類似の優位性が得られる。
【0023】
この設定時間の削減という意味での優位性は、各処理において明らかであり、同一研削機械で異なる長さを有するシリンダを連続して加工する必要がある場合は、さらに顕著である。後者の場合、既知の技術では、毎回中央ルネットを再配置する必要があり、一方本発明においては、中央ルネットは常に同じ位置にとどまる。
【0024】
シリンダの中央線に配置された基準システムを使用することにより、さらに追加の優位性が得られる。経験では、同一研削機械上で連続して加工する必要があるシリンダの寸法が約0.5メータの範囲で変化する場合は、実際はルネットを動かす必要がない。
【0025】
シリンダの長手方向寸法の変動が上記の範囲内であれば、全ルネット(もし含まれている場合は中央ルネット、及び両側のルネットの両方)は同じ位置に保持することができ、従って設定時間が大幅に削減される。
【0026】
さらに、距離は中央基準システムにより測定されるので、側方ルネットの位置決めは断純化される。すなわち、シリンダの中央線により移動が単純になりかつ誤りを回避することができる。
【0027】
本発明の構造的及び機能的特徴、及び既知の技術に対する利点は、本発明の可能な実際的実施形態を示す添付の図面を参照しながら、以下の説明を読むことにより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明による研削機械を示す。
図2図1の研削機械の詳細を示す。
図3図1の研削機械の詳細を示す。
図4図1の研削機械の詳細を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
第一に、本発明の目的である位置決め方法は、常に以下のステップ、すなわち、
A−シリンダの横方向・長手方向中心線平面を、研削機械の可動ピースホルダ・ヘッドと心押し台との間に配置された基準点に対応して位置決めするステップと、
B−ピースホルダ・ヘッドと心押し台の両方をシリンダと結合し、シリンダを支持するまで移動するステップと、を含む。
【0030】
位置決め方法の完全バージョンは、以下のステップ、すなわち、
A1:研削する圧延シリンダを準備するステップと、
A:シリンダの横方向・長手方向中心線面を、研削機械の可動ピースホルダ・ヘッドと可動心押し台センタの間に配置された基準点に対応して位置決めするステップと、
B:ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの両方をシリンダと結合し、シリンダを支持するまで移動させるステップと、
C:少なくとも2つの側方ルネットつまりシリンダの固定装置を、中央固定ルネットから同一距離に位置決めするステップと、
を含む。
【0031】
上記のステップAに記載した基準点は、研削機械のフレーム及び/又は側方ルネットに対して固定されたルネットに対応して、シリンダの横方向・長手方向中心線面の位置決めと一致する場合がある。
【0032】
明らかに、上述の方法に対して、全て本発明の対象である種々の変形を加えることができ、その際本方法のステップの幾つかは、逆に行うことができ(例えば、ステップBとステップCを入れ替えることができる)、又は研削機械の2次調節に関連して他のステップを加えることができ、又はシリンダの具体的形態及び幾何学的形状により中央ルネットを使用しなくてもよい。
【0033】
ステップAを参照すると、基準点は研削機械上に固定され、ルネットつまり固定装置、特に中央ルネットと一致することが好ましく、明らかに、このルネットを取り外して具体的形態及び幾何学的形状を有するシリンダの研削を可能にすることができる。
【0034】
ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタは両方とも、常に基準点から等距離となるように移動できることが好ましい。換言すれば、その移動は同じ量であり、常に同じ方向しかし逆巻きに行われる。
【0035】
また、側方ルネット、すなわち、基準点と一致する中央ルネットの両側に配置されるルネットに関しては、有利なことに、これらを同じ方向しかし逆巻きに同じ程度移動させることができる。側方ルネットは1つ又はそれ以上存在できるが、必ず中央ルネットに対して両側に同じ数だけ存在する必要がある。
【0036】
このように、全体の位置決め段階に対する基準点が、もはやシリンダの端部ではなくその中心線であるので、既知の技術の欠点を克服して、前述の優位性が得られる。
【0037】
研削機械に関しては、図1及び図2を参照されたい。
【0038】
研削機械10は、基部11を備え、その上にピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12が移動可能に取付けられ、これらが、研削作業中、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の間に配置されるシリンダ14を移動させ及び場合により支持する役割を果たす。
【0039】
より具体的には、研削機械10は、加工するシリンダが、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12に配置された2つの回転センタ81及び83によって支持され型のものである。
【0040】
ルネット20、21、22はシリンダと接触して配置され、シリンダの加工によって引き起こされる可能性があるシリンダの曲がりに対する抵抗を提供する機能を有する。
【0041】
研削機械10は、同様に、ルネットが上記の機能を有することに加えて、加工中のシリンダの全重量を支持する機能を有し、他方、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタがシリンダを回転させる機能のみを有し、シリンダの研削を研削砥石又は同等の工具の部分の上で行わせるような異なる型とすることもできる。
【0042】
ピースホルダ・ヘッド13は、単一の本体を備え、下部に好適な摺動式ブロックによって結合された2つの直線ガイド80の存在により、平行移動することができることが好ましい。
【0043】
回転センタ81は、ピースホルダ・ヘッド13の本体内部に収容することができ、いくつかの用途においては合、シリンダ14の支持具の形を取る。他方、後部には、モータ71を配置して、関連付けられたトランスミッションにより、シリンダ14を回転させることができる。
【0044】
心押し台センタ12も、好適な摺動式ブロックによって結合された構造体の下部に配置された2つの直線ガイド80の存在により平行移動することができる本体を備える。
【0045】
可動センタ83は、心押し台センタ12内に収容することができ、いくつかの用途においては、シリンダの第2の支持体を形成する。
【0046】
さらに、検証中の具体的用途に必要な場合は、心押し台センタ12は、ばね装置により予備装着を可能にする装置を下部に収容することができる。
【0047】
予備装着は、軸方向に作用し、シリンダと2つの可動センタ81、83との連続した接触を保証すると同時に、例えばいわゆる「肉薄」シリンダの研削の場合などの加工に必要な場合は、所望の軸方向予備装着を保証する。
【0048】
研削機械10は、シリンダの軸に対して平行に移動させることができる研削砥石も備えるが、簡潔にするため、及び、この型の研削機械自においてそれ自体が既知であるので、図示しない。
【0049】
ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12は両方とも、基部11に沿って直線的に動かし、互いに向かうように又は離れるように移動させて、様々な長さを有するシリンダを収容することができる。
【0050】
ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12は、同程度、同じ方向しかし逆巻きに、直線的に近づく又は離れる動きを可能にする移動手段に結合される。
【0051】
本例の移動手段は、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の両方に係合されたウォームねじ16を備え、図2に示すように、回転されると、ねじ16は、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12両方をねじ16の延長方向において同じ方向に近づくように又は離れるように動作させる。
【0052】
この目的に対して、ねじ16は、一体構造で製造され、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の対応する雌ねじが係合する2つのねじ部160及び161を有する。
【0053】
同一方向に同一の量だけ、しかし逆巻きに移動することを可能にするために、ねじ16の2つのねじ部160、161は、例えば、時計回りねじ及び反時計回りねじ等、同一ピッチを有することが好ましい、逆巻き螺旋ねじを有する。
【0054】
単一ねじ16の代りに、逆巻きのねじを有する2つの別個の螺旋ねじを含むことができ、又は、ねじ16は、一体型ではなく適切なジョイントに接続された2つの異なる区画に分離可能とすることができることに留意されたい。
【0055】
ねじ16は、モータ17、例えば、電動ブラシレスモータなどによって回転動作される。
【0056】
シリンダの横方向・長手方向中心線面が研削機械10の基準点と一致し、かつねじ16を動作させるように適正に配置することにより、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12はシリンダの端部に向かって動き、その後シリンダと結合して支持することができる。
【0057】
この方法によりピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の間の、一種のシリンダの自働調心が可能になり、実際には、シリンダが軸方向に沿って正しく配置されていなくても、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12は両方とも、共通の中央基準に対して、同一程度、同一方向にしかし逆巻きに動くので、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12が近づく動きによりシリンダの調心ができることに留意されたい。
【0058】
この具体的特徴は、一方でシリンダの手動装着を、より簡単、より安全かつより迅速にし、他方で、自動搭載システムの機構の採用を著しく計画しやすくする。
【0059】
研削機械10は、固定(contrast)又は支持ルネット20、21、22を備えることもできる。
【0060】
ルネットは、具体的にいわゆる「肉薄」シリンダを研削する場合、少なくとも1つのルネット20が存在する必要があり、一般的には少なくとも3つのルネット20、21及び22、通常は奇数個のルネットが存在する必要がある。シリンダの幾何学的形状が必要とするときの特別な場合においてのみ、偶数個のルネット、すなわち中央のルネットを除いた使用を含む。従って、この特定の場合を除いて、ルネットの組は、常に中央ルネット20を含み、又はより一般的に、中央ルネット並びに2つの側方ルネット21及び22、又は4つの側方ルネット等を含む。
【0061】
シリンダは、横方向・長手方向中央線面(「肉薄」つまりSendzimirシリンダの場合、共通重心を通りかつシリンダの母線に直角の対称平面と一致することが多い)が中央ルネット20に対応する位置に組み立てられる。
【0062】
中央ルネット20は、少なくとも上述の場合において、結果的に一般的に研削機械10又は地面に置かれる基部に対する位置に固定され、いずれの場合でも、シリンダの長手方向中央点が、常に中央ルネットに対応して組み立てられるので、異なる長さを有するシリンダを加工する際にも動かす必要がない。
【0063】
この点については、中央ルネット20は、例えばねじ又はボルトにより研削機械10に機械的に固定するか、又は基部12の少なくとも部分と一体に製造することができ、様々な寸法の測定及び計算に対する中央かつ専用基準点を表すことができる。
【0064】
例えば、3つのルネットの場合を考えてみると、側方ルネット21、22の位置は手動で調整するか、研削機械10のより発展した変形においては、特定にウォームねじ又はピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12を動作させる同じねじ16に接続して、それらが結合されたねじの単一かつ単純な動作により、同一程度、同一方向にしかし逆巻きに動かし、それによりピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の位置決めの間違いのリスクを低減又は除去することができる。このやり方においては、実際は、ピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12は中央ルネット20から異なる距離には配置できず、中央ルネット20からは常に等距離に置かれることが有利である。
【0065】
この点について、変形は、図3及び図4に示す、単一のねじ動作及び(動かす各装置に一つの)一連のねじスリーブ90により、ルネット20、21、22及びピースホルダ・ヘッド13及び心押し台センタ12の位置を制御することを含む。
【0066】
各スリーブ90は、円筒形マントルを備え、マントル内部のねじにより、ウォームねじ16に係合される。
【0067】
各スリーブ90は、好適な機構によって移動されるユニットに接続することもできる。原則として、以下で説明するブレーキブロックシステムに対する代替物として、本明細書で与えられる開示に鑑み、当業者には明らかなように、ブレーキブロックの代わりに、電磁石、又は、固定用ペグ、くさび、取外し可能障害外形物などの機械的結合手段、又は、他の類似品を備えることができる移動されるユニットのブロック手段など、他の異なる解決策を含むことができることに留意されたい。
【0068】
例証的且つ非限定的な目的で、これらの結合/分離手段のうちの1つを以下で説明する。
【0069】
位置決めする構成部品に対するスリーブの結合/分離手段は、移動させる構成部品(ピースホルダ・ヘッド、心押し台センタ及びルネット)の構造体に旋回可能に取付けられたアーム91、92を備え、各アームにはスリーブ90との係合端部93、94、及びアクチュエータ97に結合された対向する自由端部95、96が備えられる。
【0070】
アクチュエータ97は、線形アクチュエータ、例えばガス、空気圧、油圧、電気式アクチュエータであることが好ましく、非限定的な例示的実施形態においては、シリンダ及びシリンダから可変的に突き出るピストンを装備した油圧アクチュエータである。
【0071】
アクチュエータ97は、アーム91、92の自由端部95、96に、好ましくはヒンジで結合され、各アーム91、92の各係合端部93、94には、スリーブ90の外側円筒表面との結合のためのライニング付きのクランプが取付けられる。
【0072】
2つのアーム91、92は、本体に沿った点O’及びO”に振動するための支点を有し、2つの自由端部95、96が近づくと対向する端部93、94が離れ、逆もまた同様である。
【0073】
研削機械10は、好ましくは、単一のねじ16を備え、ヘッド13及び心押し台センタ12の両方並びにルネット20、21、22に、各々が特定の対応するスリーブを有する結合/分離手段が取付けられる。
【0074】
このように、各結合/分離手段毎に1つの、ねじの本体に沿って複数のスリーブが存在する。
【0075】
以上で説明したことから機能を導出することができる。結合/分離手段のうちの1つのアクチュエータを動作させて対応するスリーブ上のライニングを閉じると、研削機械の同じ構成部品(ヘッド、心押し台センタ又はルネット)は、ねじ16の回転の結果として制御されて平行移動し、実際に、ねじ16を回転させることによって、回転しないようにされているスリーブがねじ16に沿って移動し、アームが旋回可能に取付けられた要素を連行して平行移動する。
【0076】
従って、簡単且つ正確なシステムにより、ヘッド、心押し台及びルネットを移動させて基部11上に正しく位置決めし、研削機械10の設定時間を大幅に減らすことが可能である。
【0077】
さらに、このやり方で、単一の命令により、ルネットとヘッド及び心押し台との両方を同時に又は別々に動作させることができ、研削機械の自由度を非常に高くできる。
【0078】
端的にいえば、各雌ねじと、それと一体の動かそうとする部品との間の接続は、以下のように動作するシステムにより得られる。ある部品、例えば心押し台センタを動かす場合、ブロックシステムがねじスリーブ90(つまり雌ねじ)を心押し台センタ自体の本体に拘束し、同時に回転することを防止するため、ひとたび起動すると、ねじが回転し、雌ねじは心押し台センタに拘束されているので、該ねじと一体に回転できず、従って心押し台センタは平行移動させられる。
【0079】
対照的に、心押し台センタが拘束され、ピースホルダ・ヘッドを動かそうとする場合、心押し台センタの本体から特定のスリーブを外し、同時にピースホルダ・ヘッドのスリーブを拘束するだけで十分であり、これにより、ひとたびねじが回転を始めると(この場合はピースホルダ・ヘッドを動かそうとして)、心押し台センタのスリーブは、ねじと一体に回転し、スリーブ自体を同じ軸方向位置に維持し、従って心押し台センタは全く動かさない。
【0080】
このように、ルネット又はピースホルダ・ヘッド又は心押し台センタは、いずれも簡単にかつ迅速に、同時に又は別個に起動して、シリンダを好適に位置決めし支持することができる。
【0081】
従って、構成部品の移動には様々な条件があり得るので、条件は上記の方法の不可欠な部分と見なす必要があり、その例を以下にあげる。
1)ルネット、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの、研削機械の中央基準に対する対称的な位置決め:両方のルネットの雌ねじだけがねじと係合する場合、それらは、ウォームねじの構造的形式により同じ距離だけ逆巻きに移動する。同時に、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの雌ねじはねじから分離し、これら2つのグループは静止したままである。ルネットを位置決めした後、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタは、これらの雌ねじを係合させ、ルネットの雌ねじを分離することによって、位置決めされる。この位置決め手順は、例えば、対称シリンダ(例えばSendzimirシリンダ)の研削の場合に有用である。
2)ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの非対称的位置決め−ルネットの対称的位置決め:この場合、ルネットは同時に位置決めされ、ルネットの雌ねじの両方をねじと係合させる。このように、ねじを動作させることによって、ルネットは同じ距離だけ反対向きに移動する。これら2つのグループを位置決めした後、ルネットの雌ねじをねじから取り外す。この時点で、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの雌ねじが代りにねじと係合し、初めに一方のグループ次いで他方のグループを移動させる。
3)ルネット、ピースホルダ・ヘッド及び心押し台センタの、シリンダの中心線に対する非対称的な位置決め:この場合、1つのグループの雌ねじをねじと係合させるたびに、グループが位置決めされ、ここで移動に関与しない他のグループの雌ねじは外される。この手順は、非対称シリンダ(典型的には、熱延又は冷延シリンダなど)の研削の場合、又は、ピースホルダ・ヘッドが固定されたままである用途、例えば、一般にSendzimirシリンダの研削を除く全ての用途において、上記構成部品を移動させるのに非常に有用である。
【0082】
これまでに説明した研削機械10に対する多くの代替物が可能であり、その全てが本発明の一体の部分と考えられる。
【0083】
例えば、ヘッド13用及び心押し台センタ12用及び/又はルネット用の移動手段を、例えばトロリに結合された搬送ベルトを用いて、異なるように製造し、上述のようにヘッド13及び心押し台センタ12及び/又はルネットの移動を可能にすることができる。
【0084】
移動手段は、研削機械のコストがより高くなるものの、2つの分離したねじ及び2つのモータを備えることも同等に可能である。
【0085】
研削機械10全体の中央線は、中央ルネット20と一致し、シリンダの位置決めをさらに簡単に直感的にできることが有利である。
【0086】
従って、本説明の序に述べた目的が達成される。
【0087】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0088】
10:研削機械
11:基部
12:心押し台センタ
13:ピースホルダ・ヘッド
14:シリンダ
16:ねじ(エンドレスねじ)
17、71:モータ
20、21、22:ルネット
80:直線ガイド
81、83:回転センタ
90:スリーブ
91、92:アーム
93、94:アームの係合端部
95、96:アームの自由端部
97:アクチュエータ
160、161:ねじ部
図1
図2
図3
図4