(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
温度限界値が治療容積において60℃から100℃まで、好ましくは、70℃から90℃までの範囲内、特に80℃の所定の温度最大値に関連している、請求項2記載の方法。
第1の計算段階(「T選択」)において計算された場強度値が所定の最大場強度値、特に、印加装置に設定可能な最大場強度値より大きいとき、第1の計算段階(「T選択」)からの計算結果が、第3の計算段階(「H選択」)を自動的に実行するための基準として利用され、期待される温度分布が、該所定の最大場強度値に対して第3の計算段階(「H選択」)において計算される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
温度限界値が第2の計算段階(「Hコントローラ」、「高速Hコントローラ」)および/または第3の計算段階(「H選択」)における計算に使用されない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
第2の計算段階(「Hコントローラ」)における計算が印加装置に設定され得る複数の所定の場強度値、好ましくは、3kA/mから20kA/m、特に好ましくは、5kA/mから10kA/mに対して実行される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
第2の計算段階(「Hコントローラ」、「高速Hコントローラ」)が第1の計算段階(「T選択」)、および、おそらく第3の計算段階(H選択)の後に、ユーザ入力により開始される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
探索される場強度値に反復的に到達するように、選択された場強度値から温度分布が計算される反復を、第1の計算段階(「T選択」)において設定される場強度値の計算が含まない、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)が、第1の計算段階を越えて少なくとも一つのさらなる使用(「高速Hコントローラ」)のために供給される、請求項11記載の方法。
第2の計算段階(「高速Hコントローラ」)において、所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、供給された(第1の計算段階で予め計算された)基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または供給された(第1の計算段階で予め計算された)相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)が使用される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
第2の計算段階(「Hコントローラ」)において、所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、2個以下の温度分布、すなわち、基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)が計算される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
第2の計算段階(「Hコントローラ」、「高速Hコントローラ」)において、期待される温度分布が、計算されたまたは供給された相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)の、電力吸収に基づく拡大縮小(「K」)を用いて計算される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、供給された(T選択段階で予め計算された)基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または供給された(T選択段階で予め計算された)相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)が使用される(「高速Hコントローラ」)、請求項19記載の方法。
所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、2個以下の温度分布、すなわち、基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)が計算される(「Hコントローラ」)、請求項19記載の方法。
所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、供給された(mainsubroutine_sim_t_voxel_winで予め計算された)基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または供給された(mainsubroutine_sim_t_voxel_winで予め計算された)相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)を使用するために(「高速Hコントローラ」)、前記コンポーネント(「mainsubroutine_sim_hr_voxel_win」)が、期待される温度分布を計算するために設計されている、請求項28記載のコンピュータ装置。
所定のおよび/またはユーザ定義された場強度値の個数とは無関係に、2個以下の温度分布、すなわち、基底温度分布(「T0(x,y,z)」)および/または相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)を計算するために(「Hコントローラ」)、期待される温度分布を計算するための前記コンポーネント(「sim_hr.exe」)が設計されている、請求項28記載のコンピュータ装置。
【発明を実施するための形態】
【0059】
発明の例示的態様
以下のテキストは、本発明によるシミュレーションツールの第1の例示的態様についてより詳細に説明する。
図1は、NanoTherm(登録商標)療法を支援する目的で開発された一つのシミュレーションソフトウェアの形式で、本発明によるシミュレーション方法からのプログラムサイクルの概略的表現を表す。
【0060】
ソフトウェアは、必要とされる治療温度および磁場強度をモデルを記述するBHTEに基づいて推定するために、治療する医師(神経外科医、放射線科医)に、脳腫瘍のような悪性腫瘍の温熱療法中にオリエンテーション支援を提供する。
【0061】
治療場強度を推定するために、ソフトウェアは、例えば、MRIおよびCTスキャンからDICOMフォーマットで画像データを取り込み、登録する機会を提供する。使用される全ての画像ファイルに輪郭演算(セグメンテーション)を実行することが同様に可能である。
【0062】
ソフトウェアは、所要のパラメータを問い合わせることによりユーザを結果に到達させる。これは、最初に、腫瘍、カテーテルおよびナノ粒子堆積物のような輪郭化されたエリアを明らかにする3D可視化を含む。次に、場強度および治療時間に基づいて表示されたエリア内の温度分布の推定が表される。このことは、限定された程度に限り治療され得るエリア、例えば、頭部内で前頭蓋底上の視神経交叉のエリア(視床下部)において、中大脳動脈の血管樹が走るシルビウス裂、脳梁または脳幹に対して特に重要である。
【0063】
入力されたデータと生成されたシミュレーションとは、記憶され、印刷され得、様々なシーンが患者毎に生成され得る。シミュレーションツールは、このようにして、治療計画を準備する医師またはユーザを支援する。一例として、治療計画は、印刷された治療提案に対し責任がある医師からの署名により公表される。治療提案に提示されたシミュレーション結果は、オリエンテーション目的のため使用され得、正確さに関して特定の要望を行う必要はない。
【0064】
シミュレーションソフトウェアは、顧客自身のハードウェア上で動かすことができ、適切な最小限の要件が満たされることが必要である。周囲条件は、医療ソフトウェアのアプリケーションのための環境の条件に対応する。
【0065】
第1の例示的態様の概要
プログラムパッケージとして、ソフトウェアは、「温度シミュレータ」(以下、「シミュレータ」とも略称される)を含む。腫瘍への磁性流体の導入に続いて、シミュレータは、治療器具(印加装置)の磁場強度に基づいて身体エリア内の温度分布のシミュレーションを可能にする。シミュレータは、強制力のない勧告の一部として特定の場強度を計算する。治療を実行するために、治療中に温度測定値を利用することがさらに可能であり、これの結果として、シミュレーション結果と温度測定値とが一体となって医師による治療の評価の基礎を築くことができ、上記温度測定値は、好ましくは、影響力がある。当然ながら、シミュレーション結果は、治療が実行され得るための必要条件ではなく、遂行のための拘束でもない。
【0066】
図1は、プログラムサイクルの主要段階を表す。「シミュレータ」プログラムパッケージは、主要段階「温度シミュレーション」において呼び出される。以下の主要なタスクがシミュレータにより実行される。
・簡略化された物理モデルを前提とした、例えば、超常磁性またはフェリ磁性ナノ粒子への磁場の印加の結果としておそらく生じる
3次元温度分布のシミュレーション(以下でより正確に説明される)、および
・例えば、患者モデルに対する特定の温度選択に基づく
H場強度の推定
【0067】
シミュレーションパッケージは、シミュレーションソフトウェアのコアのそのままの一部ではなく、むしろ、外部SOUP(「開発過程が不明なソフトウェア(Software of Unknown Provenance)」)の一部として明確に定義された外部I/Oインターフェースを用いてコアにリンクされている。
【0068】
シミュレータパッケージは、FORTRAN77で記述された3つの独立したシミュレータプログラムsim_t、sim_hおよびsim_hr(実行プログラム「sim_t.exe」、「sim_h.exe」および「sim_hr.exe」)を含む。シミュレータプログラムの呼び出しおよびシミュレータデータの管理の命令は、この場合、「メイン・プログラム・コア」と称されるシミュレーションソフトウェアのコアにより行われる。メイン・プログラム・コアは、特に画像融合、セグメンテーションなどの
図1に表された全てのその他の主要な段階をさらに管理する。この第1の例示的態様では、プログラム終了メッセージの出力を含む、コアとシミュレータとの間のデータ交換は、ハード・ディスク・ディレクトリからの読み出し/ハード・ディスク・ディレクトリへの書き込みにより達成される。
【0069】
「温度シミュレーション」プログラム主要段階詳細
「温度シミュレーション」主要段階におけるシミュレータプログラムの呼び出しの時間系列は、メイン・プログラム・コアから制御または管理され、
図2に表されるような仕組みに基づいて行われ得る。
【0070】
セグメンテーションメニューから温度シミュレーションメニューへの変更の際に、GUI(「グラフィカル・ユーザ・インターフェース(Graphical User Interface)」)におけるユーザのそれぞれの変更後、T選択プログラムsim_t.exeがこのメニューで最初に開始すること(モード=1)が規定される。このプログラムは、遵守すべき以下の2つの限界温度選択肢を自動的に(すなわち、ユーザによる入力なしに)有している。
・PTVの外側での最大値43℃(「非PTV限界43℃」)
・その他のあらゆる場所、すなわち、事実上、PTVの内側での最大値80℃(「全身限界80℃」)
【0071】
この場合、PTV(「計画標的容積(planning target volume)」)は、治療エリア/治療容積、すなわち、治療される、または、加熱される容積を意味する。これは、セグメンテーション主要段階においてユーザにより規定され得る。(シミュレーションソフトウェアは、例えば、手動で行われた腫瘍輪郭化に基づいて、治療容積、例えば、境界を加えた腫瘍容積を提案し得、この治療容積は、例えば、ユーザにより承認または変更され得、すなわち、例えば、制限または拡張され得る)。温度値43℃は、閾値温度として実施され、この閾値温度より高い温度では、できる限り回避される必要がある健全な組織への損傷が益々起こる可能性がある。温度値80℃は、身体の至る場所で、すなわち、例えば、腫瘍容積内でも越えられるべきではない一般的な温度限界として実施され、これは、全体として身体による電力吸収を同時に制限する。2つの限界条件のうち、より低いH場強度で現れる限界条件が有効になる。
【0072】
しかし、限界値43℃および80℃が、例えば、ヒトの頭部のような身体容積内の腫瘍の治療に適用されることを注意しておく。前立腺エリアのようなその他の身体容積に関連している温熱療法治療は、その他の限界値の順守に適応させられることがある。一例として、PTVにおける限界値は、前立腺腫瘍への温熱療法に対し、80℃ではなく、100℃でもよい。
【0073】
sim_t.exeの実行に続いて、シミュレーションソフトウェアは、何よりも先に、内部的に、すなわち、ユーザがGUIにより値を通知されることなく、sim_t出力として内部的に出力されるH場強度値のレベルが何であるかを調べる。この値が15kA/m(キロアンペア毎メートル)より大きい場合、sim_h.exeのパス(モード2)が自動的に(ユーザが何ら入力することを必要とはせずに)選択15kA/m(H選択)から開始し、ここで、15kA/mは、磁場印加装置に設定され得る最大H場強度値である。
【0074】
sim_t.exe出力値が15kA/m以下である場合、sim_h.exeプログラムランが自動的に開始される必要がなく、次の段階が直ちに後に続く。
【0075】
この次の段階において、温度分布および以下の値がGUIに図式的に出力される:
・H場強度勧告値(sim_t.exeからの出力または自動的なsim_h.exeランからの15kA/m)、この出力はGUIウィンドウに供給される。
・PTVの外側で到達した最大温度、さらに治療エリア内で到達した最大温度、および、さらにおそらくさらなる出力変数、この出力はポップアップウィンドウに供給される。
【0076】
具体的には、PTV内の限界条件80℃が、より低いH場強度値に既に到達しているとき、PTVの外側での所定の温度、例えば43℃に到達しない場合があり得る。
【0077】
前述されたように初期結果の出力に基づいて、ユーザは、「Hコントローラ」または場強度コントローラsim_hr.exe(モード=3)が開始されることを指令し得る(その他の例示的態様では、場強度コントローラは、自動的に開始されることもできる)。システムは、バックグラウンドでこれらの計算を実行するので、ユーザは、その間に、最初に確認された温度分布を観察する機会がある。任意選択的に、ユーザは、Hコントローラの開始を省略することが可能であり、または、型通りに計算を終了することが可能である。
【0078】
本明細書に記載されたコンフィギュレーション実施例では、Hコントローラは、H場強度の以下の固定値:5kA/m、6kA/m、7kA/m、8kA/m、9kA/m、10kA/m、11kA/m、12kA/m、13kA/mおよび14kA/mに対して、10個の温度分布を計算する(多重H選択)。これは、1kA/mの段階において本実施例で使用される印加装置に対する設定値の全範囲を含む。パスが行われるとき、ユーザは、関連するバー上の位置の設定を用いて、これらのH場強度値に対する温度分布を観察する機会が提供される。
【0079】
指示されたH場強度値のリストは、例えば、頭部内の膠芽細胞腫の治療に関連している。その他の値は、その他の身体エリアまたは容積内での治療のため規定され得る。一例として、前立腺腫瘍の治療のため、ちょうど0.5kA/mのステップ幅が2kA/m、2.5kA/m、・・・、8kA/mの間の値のため規定され得る。
【0080】
Hコントローラは、(最初のランにおけるsim_t.exe以外に)到達する温度に対する限界がない。その結果、到達する温度が計算エリアにおける80℃より高い(または低い)、および/または、PTV外側での43℃より高い(および/または低い)場合があり得る。
【0081】
ユーザが、sim_t.exeの場強度勧告と、おそらくHコントローラに対する10個の結果の他に、さらになお一層の再検討を取得することを希望する場合、ユーザは、望ましい入力H場強度値をGUIウィンドウに手動でタイプ入力する選択肢がある。計算は、その後、H選択モードで開始する(sim_h.exe)。ユーザは、必要に応じてこれを繰り返すことが可能である。
【0082】
H選択モードでは、(最初のランにおけるsim_t.exe以外に)到達する温度に関して限界がない。その結果、到達する温度が計算または治療エリアにおける80℃より高くなる(または低くなる)、および/または、PTVの外側での43℃より高くなる(および/または低くなる)場合があるかもしれない。
【0083】
さらに、ユーザは、PTVに関する修正および/またはその他のセグメンテーション修正を行うためにいつでもセグメンテーション段階に戻ることができる。この場合、シミュレータは、初期状態に変化する。新しいセグメント化されたデータレコード(いわゆる「ラベル付き容積」またはLVデータレコード、以下を参照されたい)が利用可能であり、ユーザがセグメンテーション段階から温度計算メニューに変更するとすぐに、手続き全体が繰り返され、すなわち、シミュレータは、sim_t.exe初期ランから始まる。
【0084】
全体的な技術的アプローチ
磁場内のナノ粒子による温度上昇の生成は、概念的に以下の2つの段階に分割される。
1. 第1の段階では、磁場内のナノ粒子は、電力吸収密度(W/m
3)または電力吸収率(W/kg)により示される、本例では一般にSAR(「特異吸収率」)によって表示される局部的な電力吸収を促す。
2. 第2の段階では、このSARは、温度上昇の(主要な)原因として作用する。
【0085】
H場強度の値から取得される温度のシミュレーションは、シミュレーションにおいて以下の2つの主要な段階に分割される。
1. 本明細書において「SARソルバ」(すなわち、適切な計算コンポーネントまたは計算モジュール)として示されるものによる、所与のH場強度に対するSAR分布の確認。
2. SAR分布(いわゆる「Tソルバ」における)からの温度分布(「T分布」)の確認。
【0086】
上記導入されたSARソルバでは、SARは、例えば、標識磁性流体堆積物(以下を参照されたい)を用いたCT(コンピュータ断層撮影法)データレコードと、度量衡学的に確認されたH場強度への鉄心SARの依存性とに基づいて、度量衡学的データから決定される。例えば、Gneveckow et al. 2004に提示されているように、物理的近似が実装のため使用され得る。
【0087】
Tソルバでは、磁性流体を用いるアプリケーションの特定の状況を考慮して有限差分を使用して、時間依存性BHTEが数値的に解かれる。Tソルバは、例えば、Nadobny et al. 2007の別表に記載されているように、明示的な温度勾配を使用し得る。
【0088】
シミュレータパッケージでは、SARソルバおよびTソルバは、別個のプログラムユニットを形成するのではなく、むしろ、ジョイントプログラムを形成するためにマージされ、SARソルバコンポーネントとTソルバコンポーネントとは、選択モードに依存してプログラムサイクルにおいて相互に様々な方法で「混合」されている。このことは、以下でより正確に説明される。
【0089】
SAR分布(およびその結果として温度分布)の幾何学的形状は、組織内にラッチされたナノ粒子または磁性流体の堆積物(「ナノ堆積物」、「堆積容積」)の幾何学的位置に高度に依存する。これらのナノ粒子位置は、SARを決定するために入力としてシミュレータに通知される必要がある。このため、計画CTに基づいて生成された標識ナノ粒子を用いてセグメント化された(例えば、バイナリ)3次元データレコード(この場合、「LV.raw」と表示され、LVは、「ラベル付き容積」の略語であり、以下を参照されたい)は、先行する主要な段階「セグメンテーション」においてシミュレータで利用できるようにされる必要がある。さらに、ナノ粒子の場所でのハウンズフィールド単位の値が公知である必要がある。これは、バイナリCTファイルCT.rawを読み込むことにより達成される。
【0090】
磁場内のナノ粒子の電力吸収は、様々な方法でシミュレータにおいて表現され得る。特異電力吸収は、ワット毎キログラムまたはグラム(W/kgまたはW/g)の単位で電力吸収率(「特異吸収率」、SAR)により定量化され得、この場合に設定されるべき質量は、磁気的有効質量、すなわち、磁性流体の質量であり(この場合、SARは、通常はW/kgで指示される)、または、例えば、鉄心を含むナノ粒子の場合、鉄質量である(この場合、SARは、通常は、W/gで指示される)。率を使用する代わりに、特異電力吸収は、ワット毎立方メートルまたは立方センチメートルの単位(W/m
3またはW/cm
3)で電力吸収密度により同様に示すこともできる。特異電力吸収密度が関与する場合、容積は、近似的に磁性流体の容積になるであろう。
【0091】
特異基準電力吸収率または密度は、例えば、キャリアを含む磁性流体(例えば、水)と、このキャリア中に「溶解」しているナノ粒子との(測定された)電力吸収に関連し得る。この場合、キャリア中のナノ粒子の量は、このような基準測定に対して(例えば、モル質量で)非常に正確に分かっている。基準記述は、このようにして、注入前の基準状態における磁性流体に関連している。ここで使用される鉄心SAR「SAR_fe」は、通常は、鉄質量に基づき、W/gで指示されるこのような基準記述の一つである。
【0092】
組織中の実際の電力吸収(「吸収された電力率」または「吸収された電力密度」、APD、単位W/m
3)は、上記組織内に存在する磁気的に有効なナノ粒子(の質量)の密度に依存している。それ故に、組織内の実際の、または、組織に固有の電力吸収は、このように、密度に基づいて特異基準電力吸収と比較して変更され、一般に、組織内のナノ粒子は、(「希釈された」)基準磁性流体より低い密度で存在する。使用される用語の量を限定するために、APDの使用は、回避されるべきである。実際の電力吸収に対する場合でさえ、例えば、厳密に言えば、単位W/m
3が使用されるべき場合でも、その結果、SARまたは空間SAR分布SAR(x,y,z)を参照し続ける。言語使用は、SARからAPDへ、または、その逆の変換がシミュレータに簡単な事項である限り正当化され、CTデータ(例えば、HUでのグレイスケール値)から導出された1ボクセル当たりのナノ粒子(の鉄質量)の実際の密度が公知である。(特異/実際の)電力吸収率および電力吸収密度は、それぞれ、密度因子(注入に続く磁性流体/組織における磁気的に有効な質量密度)により互いに変換されることも可能である。この意味では、この場合、容積SARに言及する。それ故に、「SAR」および「容積SAR」という用語は、電力吸収密度という用語に等価であり、データがシミュレータにより維持される形式の問題は、「(基準)電力吸収率」、例えば、W/g単位でナノ粒子の質量に基づいているSAR_feの場合とは異なって、数値最適化の一つである。
【0093】
換言すると、ここで使用されるように「電力吸収密度」という用語は、(容積)SARに関連しているが、「(基準)電力吸収率」という用語は、SAR_feのような身体の外側(生体外)で度量衡学的に決定された基準変数に関連している。
【0094】
容積SARは、このように、身体に堆積したW/kg単位の電力吸収率、または、例えば、身体に堆積したW/m
3(ワット毎立方メートル)単位の電力吸収密度のいずれかを意味すると理解され得る。その上、例えば、W/kg(ワット毎キログラム)、W/g(ワット毎グラム)などの単位で指示された(基準)SAR率または(基準)電力吸収率がさらに使用される。
【0095】
一般的な言語使用によれば、補助的な「分布」は、時には省略される。提示は、このように、ロケーション依存分布、すなわち、SAR(x,y,z)、または、ロケーション依存値、例えば、容積SARのような平均電力吸収密度SAR_averでもよい。分布が存在するか否かは、一般的な状況から当業者に明らかである。
【0096】
第1の例示的態様における個々のコンポーネントまたはモジュールの機能性に関して
入力または選択モードに依存して、シミュレータ実効プログラム「sim_t.exe」、「sim_h.exe」または「sim_hr.exe」が時間的に特定の順序でシミュレーションソフトウェアのメインプログラムから呼び出される。考えられる順序は、既に前述されている。
【0097】
シミュレータは、絶対的な温度分布を確認する(シミュレートする)以下の2つの方法または選択肢を提供する。
・「H選択」(「H」はH場強度を表す)を使用する。場強度Hの絶対値が(典型的にkA/m単位)規定される。温度分布T(x,y,z)(℃単位)で探索される。
・「T選択」(「T」は温度を表す)を使用する。温度限界値T_limit(℃単位)が規定され、場強度値H(kA/m単位)および関連付けられた温度分布T(x,y,z)(℃単位)が探索される。
【0098】
T選択は、実行プログラム「sim_t.exe」を使用して実施され、H選択は、実行プログラムsim_h.exeを使用して実施される。第3のプログラムモジュールsim_hr.exeは、(多重)H選択をさらに使用する。sim_t.exeおよびsim_h.exeは、それぞれ、1個の温度分布を計算し、一方、sim_hr.exe(「Hコントローラ」)の場合、10個の温度分布がH場強度の10個の値に対して1サイクル中に確認される。
【0099】
値モード=1、「H選択」(sim_h.exe)モード=2、および、「Hコントローラ」(sim_hr.exe)モード=3を有する転送パラメータ(またはシミュレータの観点からの入力値)「モード」が計算タイプ「T選択」(sim_t.exe)に割り当てられる。
【0100】
以下のテキストは、一例として、(一つずつが独立型のプログラムとしても利用可能である)3つのシミュレータ・プログラム・モジュールのより正確な説明をこれらの機能性と共に提供する。
【0101】
H選択(モード=2、sim_h.exe)
プログラムモジュールsim_h.exeのサイクルの概略的実例が
図3に表される。H場強度Hの絶対値が規定される。温度分布T(x,y,z)が探索される。
【0102】
第一に、ナノ堆積容積(堆積容積)またはナノ粒子容積(「V_NP」)と、V_NP内の値HU(x,y,z)の全てからの平均HU値「HU_aver」とは、(LV.rawを介して読み込まれた)幾何学的ナノ粒子分布の評価と、ハウンズフィールド単位(CT.rawを介して読み込まれた「HU(x,y,z)」)の比較とから形成される。
【0103】
次に、平均鉄濃度が平均「HU_aver」から推定され、これから、V_NP内の鉄質量「m_fe」(より一般的に:粒子質量)が推定され、この場合、ナノ粒子は磁気的に有効な成分として鉄心を有することが仮定されている。このアプローチは、このようにして、複数の近似に基づき、つまり、m_feが平均鉄濃度から推定され、この平均鉄濃度が平均HU値から推定される。患者への注入に続くナノ粒子の濃度は、CTデータから決定される。注入された粒子のおよそ50%だけが体内に留まり、これらは、予測することが困難である凝縮または分布の状態で「ナノ堆積」の中に存在する。
【0104】
これとは独立に、シミュレータは、H場強度から鉄心SAR「SAR_fe」を導出する。これは、例えば、鉄質量に基づく、W/g単位の基準電力吸収率であり、無希釈の基準状態のナノ粒子に対する測定された電力吸収、すなわち、例えば、患者への注入に先立つ、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体(無希釈のバッチ)の電力吸収率を示す。
【0105】
ナノ粒子は、磁性(すなわち、例えば、強磁性またはフェリ磁性)、常磁性、および/または、超常磁性でもよい。材料、サイズ分布などのパラメータに依存して、様々な磁性特性をもつ混合物が存在し得る。
【0106】
SAR_feは、磁性流体のため予め度量衡学的に決定された非線形特性曲線SAR_fe=f(H)を適用することにより計算される。特性曲線は、具体的な印加装置と具体的に使用されたナノ粒子(磁性流体)のため決定される。治療エリアは、印加装置の極片間の中心(例えば、+/-10センチメートル未満のエリア内)に位置していると仮定されるので、良好な近似では、同じ(最大)H場強度値がこのエリア内のどこでも使用され得る。複雑な管状表現を避けるために、特性曲線SAR_fe=f(H)は、3つの当てはめ係数a、b、cにより近似され得るため、この特性曲線は、
SAR_fe=aH
b+c (1)
の形式を仮定することが可能であり、SAR_feの単位はW/g(ワット毎グラム)であり、Hの単位はkA/mである。
【0107】
m_fe、SAR_feおよびV_NPは、今度は、ナノ堆積中のW/kg単位の組織質量(または、等価的に:W/m
3またはW/cm
3単位の特異局所密度が乗じられる)に基づく容積SAR(x,y,z)に対する平均「SAR_aver」を推定するために使用される。これは、したがって、ナノ粒子の堆積状態における平均電力吸収密度である。
【0108】
次に、ロケーション依存容積SAR分布が形成され、本発明は、良好な近似を用いて、V_NPでは、SAR値がHU値に比例すること、すなわち、
SAR(x,y,z)=HU(x,y,z)*SAR_aver/HU_aver V_NP内部 (2)
SAR(x,y,z)=0 V_NP外側 (3)
を仮定する。
【0109】
値HU(x,y,z)の全てがV_NP内で正であり、これは、物理的に不可能な負のSAR値が現れる可能性がないことを意味する。
【0110】
温度の供給源としてロケーション依存電力吸収「密度」分布SAR(x,y,z)を用いて、BHTE T(x,y,z)=f(SAR(x,y,z))が次に、例えば、Nadobny et al. 2007、式(1)-(2)に基づいて数値的に解かれ、この場合、Nadobny et al. 2007、式(8)-(15)に基づく明示的な温度勾配計算を用いる有限差分法が適用される。
【0111】
モデルを記述するBHTEは、動的であり、すなわち、時間依存性がある。しばらくしてから、印加磁場における電力吸収による熱の供給が血流、環境における冷却、灌流期間による熱散逸と同じである、安定状態条件に達する。経験に基づいて、このような条件は、およそ20分後に到達する。適切な安全余裕を考慮して、安定状態条件は、例えば、30分後に到達していると考えられるように意図されていることがシミュレータにおいて規定され得る(温熱療法治療は、例えば、1時間から1.5時間を要する可能性がある)。原則的に、ユーザは、初期フェーズで(安定状態に達する前に)治療される場合もある。シミュレータは、時間ドメインで動作し、その結果、20分または30分の値より前のどんな時間でも同様にモデル化し、提供(出力)することが可能である。
【0112】
H選択の選択肢(sim_h.exe)(モード=2)は、BHTE T(x,y,z)=f(SAR(x,y,z))を数値的に解くために、ちょうど1回のパスを必要とする。
【0113】
本発明は、H選択の場合、温度が制限されないこと、すなわち、H場強度のレベルに依存して、通常の温度限界値(例えば、健全な組織における43℃)を越えることもある任意の温度が身体内に生じることができることを提案する。
【0114】
T選択(モード=1、sim_t.exe)
図4は、T選択モードにおけるシミュレータのプログラムサイクルを概略的に表す。温度限界値T_limit(x,y,z)が規定され、場強度値Hおよび関連付けられた温度分布T(x,y,z)が探索される。
【0115】
第一に、sim_h.exeの場合と同様に、ナノ粒子分布がLV.rawから読み込まれ、ハウンズフィールド単位がCT.rawを介して読み込まれる。次に、sim_h.exeの場合と同様に、鉄濃度(一般的に、磁気的に有効な粒子質量)が決定され、ここから鉄質量m_feが決定される。これらの変数は、獲得されたH場強度から独立している。
【0116】
しかしながら、sim_t.exeのさらなる進行は、sim_h.exeの場合と異なり、場強度の絶対値が規定されないので、ここでは探索される。手続きは、規定された限界温度に「当てはまる」(W/kg単位で、または、任意選択的に、W/m
3単位で電力吸収密度として)適切な容積SARを計算することを含み、計算された容積SARからH場強度を見つけることをさらに含む。
【0117】
ここで説明される実施例では、同時に、かつ、同じ強制力で観察される必要がある限界温度選択T_limit(x,y,z)は、以下の通りである:
・「非PTV領域」(ブール演算に対し、「PTVを差し引いた身体容積」)に対して、最大許容温度値(=温度限界値)T_limit(非PTV)が規定される。一例として、この値は、シミュレーションソフトウェアのメインプログラムにおいて初期設定により43℃に設定されて、シミュレータに転送され得、このようにして、すなわち、T_limit(非PTV)=43℃であり得る。「非PTV」領域は、大まかに健全な組織、または、治療される予定がない組織に対応する。
・身体容積の至る場所での温度は、80℃を越えないことが意図されている。この値は、例えば、シミュレータにおいて内部的に規定され得る。上記限界値との相互作用において、非PTVが43℃を越えないことが意図されていることに基づいて、これは、治療エリアPTVに対する限界であり、その結果、T_limit(PTV)=80℃である。
【0118】
結果として得られる場強度Hは、両方の選択を観察すべきであり、すなわち、全ての温度T(x,y,z)がPTV内で80℃以下であり、同時に、PTVの外側で43℃以下であるために十分に低くなることが意図されている。換言すると、2つのT選択のうちの一つをそれぞれ観察する2つの場強度値のうちの低い方が出力される。
【0119】
これらのT選択を観察するために、sim_h.exeを複数回開始し、入力場強度を繰り返し再調整することが理論的に可能ということになるので、T選択は、このような反復過程の終わりに観察されるであろう。この反復的な、したがって、不正確かつ複雑なパス("iterative way" in Nadobny et al. 2007、1841ページを参照されたい)は、この場合に追求されない。
【0120】
リソース節約方式で、かつ、それにもかかわらず正確にH場強度値を直接的に決定するために、本発明による手法は、この場合相違する。この場合、SAR(および、それ故に温度)が非線形的にH場強度に依存するので、問題設定が決して些細ではないことが念頭に置かれるべきである。しかし、線形関係は、具体的には、SARと温度との間で、問題設定の少なくとも一部に対して示され得る("decomposition way" in Nadobny et al. 2007、1841ページ、式(5a), (5b), (6)を参照されたい)。このようにして、温度分布T(x,y,z)は、最初に、SARを用いることなく取得される基底成分T0(x,y,z)と、温度上昇成分T_rise(x,y,z)=K*ΔT(x,y,z)とに分離され、その結果として
T(x,y,z)=T0(x,y,z)+K*ΔT(x,y,z) (4)
であり、SARに対して、
SAR(x,y,z)=K*ΔSAR(x,y,z) (5)
が真である。
【0121】
Kは、スカラー倍率(モード=1において、「温度に基づく」倍率と称される)であり、ΔT(x,y,z)は、相対温度増加であり、ΔSAR(x,y,z)は、相対電力吸収密度とも称されることがあるか、または、相対電力吸収密度と等価な、相対SAR分布である。Sim_h.exeの場合とは異なり、絶対値SAR_averは、SAR_feから決定されないが、むしろ、相対容積SAR ΔSAR(x,y,z)に対する任意の(相対)テスト平均「ΔSAR_aver」が内部で規定される。一例として、このテスト平均は、シミュレータにおいてΔSAR_aver=100W/kgとして設定されしてもよい。式(2)における方法と同様の方法で、本発明は、以下のように、このテスト平均からロケーション依存ΔSAR(x,y,z)値を近似する。
ΔSAR(x,y,z)=HU(x,y,z)*ΔSAR_aver/HU_aver V_NP内部 (6)
ΔSAR(x,y,z)=0 V_NP外側 (7)
【0122】
次に、BHTEを数値的に解く2回のパス:T0(x,y,z)(但し、SAR(x,y,z)=0)に対する1回、および相対温度増加ΔT(x,y,z)=f(ΔSAR(x,y,z))に対する1回、が順番に開始される。次に、温度に基づく倍率が全てのサポート点またはボクセルx、y、zに亘る最小値探索:
K=Min(T_limit(x,y,z)-T0(x,y,z))/ΔT(x,y,z)) (8)
を使用して見つけられ、但し、非PTVにおいてT_limit(x,y,z)=80℃であり、PTV内で43℃である。
【0123】
温度に基づく倍率Kが見つけられたとき、BHTEがもう一度数値的に解かれることを必要とすることなく、式(5)および(4)を使用して絶対値SAR(x,y,z)およびT(x,y,z)を直ちに示すことが可能である。SAR(x,y,z)の平均に対して、以下が同様に真である。
SAR_aver=K*ΔSAR_aver (9)
【0124】
次に、本発明は、sim_h.exeからの最初の段階を逆順に実行し、最初に、鉄心SAR SAR_feが平均SAR_averおよび予め決定された鉄質量m_feから決定される。最後の段階は、逆の方向に、ほぼ非線形の特性曲線SAR_fe=f(H)を適用することであり、すなわち、値SAR_feがH場強度値を確認するために使用され、このH場強度値が次に、温度分布T(x,y,z)に加えて、出力としてユーザに最後に通知される。
【0125】
Hコントローラ(モード=3、sim_hr.exe)
図5は、Hレギュレータモードにおけるシミュレータのプログラムサイクルを概略的に表す。呼び出し中に、シミュレータプログラムsim_hr.exeは、多重H選択、すなわち、入力値として利用可能にされたHの様々な絶対値に対する複数の温度分布を直ちにシミュレートする。
【0126】
ここに記載された実施例では、10個の温度分布の組が10個の確実に規定された場強度値(5、6、7、8、9、10、11、12、13および14kA/m)の組に対して決定される。しかし、Hコントローラは、BHTEを数値的に解く10回のパスを用いて順番に10回実行されるsim_h.exeだけではない。計算時間を節約するために、sim_t.exeの場合と同様に、つまり、T0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)の場合と同様に、代わりに2回のパスのみが必要とされる。
【0127】
最初に、(LV.rawを介して読み込まれた)幾何学的なナノ粒子分布の評価と、(CT.rawを介して読み込まれた)ハウンズフィールド単位の比較とが、sim_h.exeの場合と同様に、この平均粒子または鉄濃度から、および、この粒子または鉄質量m_feから平均HU値HU_averを決定するために使用される。これらの値は、全てのH値に対して同じである。
【0128】
次に、ΔSAR_aver=100の相対値に対して、sim_t.exeの場合と同様に、上記式(6)および(7)に基づいて、ΔSAR_averが推定され、ΔSAR(x,y,z)が近似される。
【0129】
sim_t.exeの場合と同様に、2回のパスがT0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)に対してBHTEを数値的に解く目的のため次に実行される。
【0130】
次に、i=10回の繰り返しを有するループが始まる。毎回、相対H場強度値H(i) 、すなわち、例えば、1kA/mステップ幅で5...14kA/mが読み込まれる。式(1)に基づいて特性曲線SAR_fe=f(H)を適用することにより、sim_h.exeの場合と同様に、この値は、毎回関連値SAR_fe(i)を計算するために使用され、この値(および最初に決定された鉄質量m_fe)が容積SARの絶対平均SAR_aver(i)を推定するために使用される。
【0131】
それ故に、ループ繰り返し毎に、倍率K(i)(本発明によれば、モード=3において、「電力吸収に基づく」倍率と称される)が、本発明によれば
K(i)=SAR_aver(i)/ΔSAR_aver (10)
から決定され得る。
【0132】
電力吸収に基づく倍率K(i)を用いて、各iに対して、絶対温度分布:
T(x,y,z,i)=T0(x,y,z)+K(i)*ΔT(x,y,z) (11)
が取得され、次に出力される。それ故に、10個の絶対(拡大縮小された)温度分布が順番に出力されるが、2回のパスだけがBHTEを数値的に解くため必要とされた。
【0133】
Hコントローラ(モード=3)の場合に実行される電力吸収に基づく拡大縮小(式10による電力吸収に基づく倍率K)は、特異電力吸収率(SAR)に基づくので、(限界)温度(式8による温度吸収に基づく倍率K)に基づいてT選択(モード=1)において実行される拡大縮小とは根本的に異なることを指摘しておく。その上に、Hコントローラ(式10)の場合、電力吸収に基づく倍率Kは、特性曲線SAR_fe=f(H)の一般的に存在する非線形性により説明されるように、H値の比率を形成することにより簡単に形成され得ないことを注意しておく。
【0134】
バイナリ入力ファイルCT.raw
この3Dデータレコードは、規則的な3Dグリッドを表現し得、これの要素(画素)は、CT密度値(「ショート」数として、ハウンズフィールド単位)が関連付けられている。CTグリッド内の要素の位置(x,y,z)の幾何学的基準は、x、y、zインデックスと、シミュレータに付加的に転送される境界ボックスに関連している提示とを用いて取得される。x座標は、最も速く変化し(内側ループ)、z座標は、最も遅い(外側ループ)。CTデータレコードは、術後の計画CTに対応し、(磁性流体の注入に続いて)ナノ粒子を含有することが必要である。シミュレータは、ナノ粒子画素内のCT値に特に関心がある。これらの値に対し、シミュレータは、SARおよび/または温度の計算に関連性がある(体内の注入後に存在している)現在鉄濃度に関する情報を導出する。
【0135】
バイナリ入力ファイルLV.raw
このデータレコード(LVは、「ラベル付き容積」を表す)は、同様に、規則的な3Dグリッドを表現し得、これの要素は、符号化されたラベル(「バイト」数)が関連付けられている。LVグリッド内の要素の3D位置(x,y,z)の幾何学的基準は、インデックスと、境界ボックスに関連している提示とを用いて取得される。LV.rawの境界ボックスは、CT.rawの境界ボックスと同一でもよい。データレコードLV.rawは、例えば、計画CTに基づいて、先行のプログラムの主要な段階「セグメンテーション」で生成される。ラベルは、以下の3つのタイプの領域を記述/符号化するために使用される:
・幾何学的な解剖学的領域(外部、「頭部」、腫瘍):この情報は、温度分布の計算を実行するために必要とされる。一例として、シミュレータは、身体と外部との間の熱界面をモデル化し、その結果、関連性のある幾何学的性質が既知でなければならない。シミュレータがセグメント化された腫瘍を用いることなく同様に計算できるとしても、医師が腫瘍をプロットすることがさらに期待される。身体(部分)容積、すなわち、例えば、「頭部」と、治療容積(PTV)、すなわち、例えば、「腫瘍と腫瘍の周りの境界」と、堆積容積、すなわち、ナノ粒子を含有する一つ以上(多数)のボクセルとの間が区別される。「非PTV」は、このようにして、実施例では、「腫瘍(境界を含む)を差し引いた頭部」ということになる。
・ナノ粒子エリア(供給元容積):組織にラッチされたナノ粒子または磁性流体の堆積物(「ナノ堆積物」、堆積容積)の幾何学的位置(ラベルとして標識化)である。これらのナノ粒子位置は、SARを決定するために入力としてシミュレータに通知されることが必要である。SARは、ナノ粒子の位置だけで生成される。ナノ粒子エリアは、幾何学的な解剖学的領域および熱限界条件領域に重なり合う可能性がある。堆積容積または複数の堆積容積の内側にあるナノ粒子の幾何学的分布は、例えば、TソルバまたはHコントローラ内で計算のため重要である。
・熱限界条件領域:特定の温度T_limit(x,y,z)が越えることを意図されていない領域または器官である。一例として、治療エリア(「PTV」、「計画標的容積」)と健全な組織に対応する頭部の残り(「非PTV領域」、すなわち、治療エリアの外側の領域)との間が区別される。限界条件領域は、幾何学的な解剖学的領域とナノ粒子エリアとの上に重なる可能性がある。標準的な選択肢として、セグメンテーションエディタは、PTVとして、1cmの腫瘍境界を加えた腫瘍を供給する。
【0136】
LV.rawの符号化は、各8ビットラベルに対し、6ビットが幾何学的な解剖学的情報を符号化するため使用され、1ビットがナノ粒子(はい/いいえ)およびPTV(はい/いいえ)を符号化するため使用されるように実施される。
【0137】
本発明によるシミュレーションツールの第2の例示的態様が以下でより正確に説明される。プログラムパッケージは、癌治療を支援する目的で開発された一つのシミュレーションソフトウェアの一部である温度シミュレータ(時には、以下で単に「シミュレータ」と称される)を実施する。前述された第1の例示的態様と同様に、第2の例示的態様は、頭部エリア内のシミュレーションのためさらに提供される。
【0138】
腫瘍エリアへの磁性流体の導入(「注入」または「埋め込み」)の結果として、「ナノ粒子堆積物」または「ナノ堆積物」として公知であるものがこのエリア内で見つけられ得る。治療中に、これらのナノ粒子は、高レベル低周波数外部磁場を用いて活性化され得、すなわち、磁場の影響が局部温度上昇をもたらし得る。CTデータに基づいて、シミュレータは、治療器具(磁場活性化装置)の磁場強度に基づく頭部エリア内の温度分布のシミュレーション(保護)を生成する。これは、注入の
後であるが、治療の
前に行われる。シミュレータにより供給される結果は、治療が実行され得るための必要条件ではなく、例えば、シミュレータにより計算された特定の印加場強度に関連した上記治療の遂行のための拘束でもない。一例として、治療の遂行は、治療中に行われた温度測定による影響を受ける可能性がある。この温度測定は、医師にとって、シミュレーション結果より本質的に重大である。シミュレーション結果と、温度測定(極めて重大)とは、治療を支援する示唆を医師に提供し得る。
【0139】
第1の例示的態様の場合と同様に、シミュレーションは、特に、以下の主要なタスクを実行する。
・簡略化された物理モデルを前提とした、ナノ粒子への磁場の印加を通じておそらく取得されるような、
3次元温度分布のシミュレーション、および
・患者モデルに対する特定の温度選択に基づく
磁場強度(H場強度)の推定
【0140】
第1の例示的態様の場合と同様に、シミュレータは、この場合、メイン・プログラム・コアの一部ではなく、むしろ、外部SOUP(「開発過程が不明なソフトウェア」)の一部としてメイン・プログラム・コアにリンクされている。しかし、シミュレータとメイン・プログラム・コアとの間のデータ交換は、外部の融通の利かないディレクトリインターフェース(ハードディスクを介するデータの完全な書き出しおよび読み込み)を介して行われることがなく、むしろ、シミュレータは、プログラムライブラリとしてリンクされ、その結果、データ交換がメインメモリを介して行われる。この異なるソフトウェア構造またはアーキテクチャの結果として生じる重要な変更は、以下を含む。
- sim_t.exe、sim_h.exeおよびsim_hr.exeのような実行プログラムに代わるプログラムライブラリとしてのシミュレータのリンク付け;
- 「Hコントローラ」に代わる「高速Hコントローラ」の導入;
- FORTRAN配列のための動的メモリロケーション管理
【0141】
Hコントローラの修正は、以下で詳細に説明される。さらに、プログラムライブラリとしてのリンク付けが次に簡単に取り扱われる。
【0142】
第1の例示的態様の場合、シミュレータは、3つの別個のFORTRAN実行プログラム「sim_t.exe」、「sim_h.exe」および「sim_hr.exe」により構成され、各プログラムは、特定の選択モード(モード1、2および3)を担当した。その結果、値モード=1をもつ転送パラメータ(またはシミュレータの観点からの入力値)「モード」が計算タイプ「T選択」(「温度」を表す「T」;sim_t.exeプログラム)に転送され、モード=2は、「H選択」(「H」は「磁性」、すなわち、H場強度の選択を表す;sim_h.exeプログラム)に転送され、モード=3は、「Hコントローラ」(複数の望ましい場強度値、sim_hr.exeプログラム)に割り当てられた。
【0143】
ここで検討される第2の例示的態様では、3つのモードへの基本的なプログラムの分離は維持され(モード=1、モード=2およびモード=3)、モード=3がソフトウェアに関して修正されている(さらに以下を参照されたい)。しかし、シミュレータは、もはや3つの別個の実行プログラムを含むことがなく、むしろ、プログラムライブラリとしての機能を果たす。それ故に、メイン・プログラム・コアとシミュレータとの間の通信またはデータ交換は、外部ディレクトリインターフェースを介して行われることがなく、むしろ、メインメモリを介して行われる。この解決策の利点は、特に、大量のデータが外部ディレクトリを介して(すなわち、ハードディスクから、または、ハードディスクへ)読み出されること、および、読み込まれることをもはや必要とすることがなく、それにより、プログラム実行速度が増加され、および/または、考え得るエラーの原因が取り除かれることである。
【0144】
プログラムライブラリとして実施されるシミュレータは、メイン・プログラム・コアから呼び出され得る。プログラムライブラリのメインプログラムは、メイン・プログラム・コアへのインターフェースを形成し、すなわち、第1の例示的態様においてCT.raw、LV.rawを確実に供給する第1の例示的態様における「SOUP終端」での外部インターフェースのタスクを担う。
【0145】
第1の例示的態様における全てのメインプログラム、すなわち、sim_t.exe(モード=1に対し、T選択)、sim_h.exe(モード=2に対し、H選択)およびsim_hr.exe(モード=3に対し、Hコントローラ)は、第2の例示的実施形態では、FORTRAN(メイン)サブルーチンとして提供され、これらは、その結果、全部がメインプログラムにより(モードに依存して)順番に呼び出される。これらのカスタマイズされたメインサブルーチンは、ここでは、「mainsubroutines」と称される。シミュレータモードが呼び出され、シミュレータデータが管理される順番は、メイン・プログラム・コアから引き続き制御され、管理される。
【0146】
以下のメインサブルーチンが存在する。
- 「mainsubroutine_sim_t_voxel_win」(モード=1に対し、T選択)、
- 「mainsubroutine_sim_h_voxel_win」(モード=2に対し、H選択)、および
- 「mainsubroutine_sim_hr_voxel_win」(モード=3に対し、高速Hコントローラ)
【0147】
CTデータおよびセグメント化されたラベルデータは、第1の例示的態様の場合と同様に、バイナリ・データ・レコードCT.raw(CTデータレコード)およびLV.raw(符号化されたラベル付きのデータレコード)としてメイン・プログラム・コアによりハードディスクに書き込まれて、その後、シミュレータのため再びバイナリ入力としてハードディスクにより読み込まれることはない。その代わり、これらのデータは、この場合、シミュレータを介してメインメモリに配列として転送される。
【0148】
テキストファイルSimInput.txt(これは、シミュレータの第1の例示的形態のための入力を提供する)は、この場合に必要とされない。全ての入力パラメータがメイン・プログラム・コアからシミュレータのメインプログラムへの引数リストの中で、3つのメインサブルーチンへ搬送される。これは、特に以下の入力パラメータ:モード(1,2,3)と、望ましいH場強度(kA/m単位で指定されたH=磁場強度)と、非PTVエリア内の望ましい最大温度と、モル濃度および当てはめ係数a、b、c(特性曲線SAR_fe=f(H)のプロファイル)と、全てのCTファイル次元パラメータ(要素の個数、境界ボックス、使用された座標系に関連している提示(m、cm、mm)、領域の個数)とに関連している。
【0149】
この場合も同様に、シミュレータからハードディスクに書き込まれて、その後、メイン・プログラム・コアに読み込まれる出力温度データレコードは、存在しない。その代わり、適切な配列がシミュレータのメインプログラムからメインメモリを介してメイン・プログラム・コアに転送される。
【0150】
シミュレーションプログラムの第1の例示的態様で計算されて、その後、出力ファイルSimOutput.txtに書き込まれた全ての出力パラメータは、この場合、メインサブルーチンからシミュレータのメインプログラムへの引数リストを用いて、シミュレーションプログラムから、メインメモリを介して、メイン・プログラム・コアに転送される。最も重要な出力パラメータは、モード(1,2,3)と、結果として得られるH場強度と、非PTVエリア内で結果として得られる最大温度と、PTVエリア内で結果として得られる最大温度と、結果として得られる温度が39度より高い腫瘍占有百分率と、ナノ粒子容積と、腫瘍容積と、結果として得られる平均容積SARと、ナノ粒子容積内の結果として得られる平均ハウンズフィールド単位値と、平均鉄心SARとである。
【0151】
以下の付加的なパラメータ:エラーメッセージ、およびメインサブルーチンの呼び出しの順序を監視するパラメータ、がメインサブルーチンからシミュレータのメインプログラムへの引数リスト状態で転送される(モード=3は、モード=1より前に呼び出されるべきではなく、これについては、以下を参照されたい)。
【0152】
第2の例示的態様におけるサイクルの概要
シミュレータは、絶対温度分布を確認する以下の2つの選択肢をユーザに提供する。
- H選択を使用:H場強度の絶対値が(kA/m単位で)規定され、温度分布T(x,y,z)が(℃単位で)探索される、および
- T選択使用:温度限界値T_limitが(℃単位で)規定され、場強度値H(kA/m単位)および関連付けられた温度分布T(x,y,z)(℃単位)が探索される
【0153】
T選択(モード=1)は、メインサブルーチンmainsubroutine_sim_t_voxel_winの呼び出しを用いて実施される。H選択(モード=2)は、その他のメインサブルーチンmainsubroutine_sim_h_voxel_winが呼び出されることを必要とする。原則的にH選択でもある高速Hコントローラ(モード=3)は、メインサブルーチンmainsubroutine_sim_hr_voxel_winの呼び出しを用いて実施されるが、入力としてmainsubroutine_sim_t_voxel_winからの出力を使用するので、事前にmainsubroutine_sim_t_voxel_winの少なくとも1回の呼び出しを必要とする。
【0154】
シミュレータプログラムの呼び出しの時間的系列は、メイン・プログラム・コアから制御または管理され、
図6に表された固定の仕組みに基づいて達成される。
【0155】
GUIセグメンテーションエディタからGUI温度シミュレーションエディタへの切り替えの後に、モード=1、すなわち、T選択サブルーチンmainsubroutine_sim_t_voxel_winが、最初に常に自動的に、すなわち、ユーザによる入力を要求または必要とすることなく開始されることが強制的に規定されている。このプログラムは、以下の2つの固定した限界温度選択を観察する。
- PTVの外側での最大値43℃(「非PTV限界43℃」)
- その他のあらゆる場所、すなわち、事実上、PTVの内側での最大値80℃(「全身限界80℃」)
【0156】
非PTV限界43℃に関連して、この値は、閾値温度として考えられ、この閾値温度より高い温度で、健全な組織への損傷が益々起こる可能性があることを注意しておく。そうではなく、全身限界80℃を選択することもでき、例えば、50℃から100℃の間、好ましくは、60℃と90℃との間の範囲内の値を選択することができる。2つの限界条件のうち、より低いH場強度で現れる限界条件が有効になる。
【0157】
モード=1における第1の、すなわち、自動パスの遂行後、メイン・プログラム・コアは、シミュレータ・プログラム・ライブラリのメインプログラムからの出力として内部的に出力されるH場強度値のレベルが何であるかを(GUIを用いて供給される出力なしで)内部的に調べる。この値が15kA/mより大きい場合、モード=2におけるパスは、H選択15kA/m、または、一般的に、磁場印加装置に物理的に設定可能な最大H場強度値を用いて再び自動的に開始する。モード=1からの出力値が15kA/m以下である場合、プログラムランがモード=2で開始されることは必要ではなく、次の段階が直ちに後に続く。
【0158】
前述された通りの自動パスの終了の後に続いて、以下のデータがGUIに出力される:
- 温度分布
- H場強度勧告値、すなわち、
○ H<15kA/mであるとき、モード=1からの出力、または、
○ 値15kA/m(モード=2における制限的なパスが実行された)
- PTVの外側で到達する最大温度、計算エリア全体で到達する最大温度、およびさらなる変数。
【0159】
具体的には、一例として、限界条件80℃がPTV内で到達されたとき、PTVの外側での最大温度が最大許容温度(例えば、43℃)より低い場合が存在することがある。
【0160】
モニター上のこの初期結果(自動パスからの結果)を考慮した後、ユーザは、自分が結果に満足しているか否かを判定する。満足していない場合、ユーザは、望ましいH場強度値をタイプ入力し、必要に応じて何回でもこの値に対するモード=3(高速Hコントローラ)における温度分布の高速計算を開始することができる。
【0161】
高速Hコントローラは、初期パスにおけるT選択とは異なって、到達する温度に関して全く制限がない。その結果、到達する温度が計算エリアにおいて80℃より高くなり(または低くなり)、および/または、PTVの外側で43℃より高くなる(および/または低くなる)場合が存在することがある。
【0162】
ユーザは、PTVに関する修正のようなセグメンテーション修正を行うためにいつでもプログラム主要段階「セグメンテーション」に戻ることができる。この場合、シミュレータは、初期状態に変化する。セグメンテーションのための出力として新しいLVデータが存在し、ユーザがプログラム主要段階「セグメンテーション」から温度計算エディタに変更するとすぐに、前述された手続きが繰り返され、すなわち、シミュレータは、初期パス「T選択」などで始まる。代替的に、モード=1における初期パスは、GUIボタン「自動温度シミュレーション再開始」を使用することによりセグメンテーションエディタに戻ることなく開始することができる。この場合も、シミュレータが初期パス「T選択」などで始まる手続きが繰り返される。
【0163】
3つのシミュレータモードは、これらの目的および機能に応じて後述される。
【0164】
モード=2(H選択、呼び出しがmainsubroutine_sim_h_voxel_winに進む)
H場強度の絶対値が規定される。温度分布T(x,y,z)が探索される。
図7に概略的に表されたサイクルを参照されたい。第一に、患者モデルが生成される。これは、以下の2つのデータレコード(配列)の組み合わせに依存している:
- 読み込まれるべき患者データの一部としてシミュレーションプログラムにより読み込まれたCTデータレコード(配列)(これに関して、
図3を参照されたい。この基本サイクルにおいて、第1および第2の例示的態様は非常に類似している)。
- LVデータレコード(配列)(「LV」は「ラベル付き容積」を表す)、すなわち、セグメンテーション中にシミュレーションプログラムにより生成された符号化されたラベル配列(
図3を参照されたい)。
【0165】
患者モデルのため使用される基礎は、LV要素(「ラベル」)であり、このLV要素において、以下の情報がボクセル毎に符号化される:
- 幾何学的な解剖学的領域(「頭部」、「腫瘍」など)。
- 熱的に関連性がある領域(治療エリア、PTVとも称される「計画標的容積」)。
- ナノ粒子(NP)の幾何学的分布。
【0166】
NP分布の評価は、NP容積V_NPの確認という結果になる。CTデータレコードとの比較がその後に行われ、平均ハウンズフィールド単位(HU)値「HU_aver」が、V_NPに分類されるHU(x,y,z)の値に対する平均を形成することにより決定されている。
【0167】
次に、平均HU_averが平均鉄濃度を、そして、このため、V_NP内の平均鉄質量m_feを推定するために使用される。
【0168】
独立して、例えば、これらの段階と並列に、シミュレータは、H場強度から鉄心SAR(「SAR_fe」)を導出する。これは、使用される磁性流体に対して経験的に決定されたほぼ非線形の特性曲線SAR_fe=f(H)を適用することにより達成される。この場合、治療エリアは、良好な近似のために同じ(最大、一定)H場強度が存在する磁場印加装置の極片間の中心に位置していることが仮定されている。複雑な管状の例示を避けるために、特性曲線SAR_fe=f(H)は、例えば、以下のように、3つの当てはめ係数a、b、cにより近似され得る:
SAR_fe=aH
b+c (12)
但し、SAR_feの単位はW/g(ワット毎グラム)であり、Hの単位はkA/m(キロアンペア毎メートル)である。
【0169】
m_fe、SAR_feおよびV_NPは、今度は、ナノ堆積中の容積SAR(x,y,z)の平均「SAR_aver」を推定するために使用され、例えば、Gneveckow et al. 2004の式(2)を参照されたい。
【0170】
次に、V_NPにおいてSAR値がHU値に比例すること、すなわち、
SAR(x,y,z)=HU(x,y,z)*SAR_aver/HU_aver V_NP内 (13)
SAR(x,y,z)=0 V_NPの外側 (14)
を仮定して、ロケーション依存容積SAR分布が形成される。
【0171】
全ての値HU(x,y,z)は、V_NP内で正であることが意図されているので、物理的に不可能な負のSAR値が現れることはない。このことは、例えば、適切な当てはめ、または、閾値設定を用いて、セグメンテーションエディタと同様に早期に確保され得、おそらくシミュレータにおいて再びチェックされ得る。
【0172】
温度の供給源としてロケーション依存SAR(x,y,z)を用いて、BHTE T(x,y,z)=f(SAR(x,y,z))がその後に数値的に解かれ、これについては、Nadobny et al. 2007の式(1)-(2)を参照されたい。これは、例えば、Nadobny et al. 2007の式(8)-(15)に記載されるように、明確な温度勾配計算を用いた有限差分法を使用することにより解かれ得る。
【0173】
モード=1およびモード=3の場合とは異なり、モード=2では、モデルを記述するBHTEは、絶対H選択値から導出されたSARの絶対値に対して解かれる。H選択の任意選択モード=2は、その結果、モード=1およびモード=3の場合とは異なり、BHTE T(x,y,z)=f(SAR(x,y,z)を数値的に解くちょうど一つのパスを必要とする。
【0174】
H選択の場合、温度は限定されることがなく、すなわち、H場強度に依存して、通常の温度限界値(例えば、健全な組織内の43℃)を同様に上回る任意の温度が身体内に生じる可能性がある。
【0175】
モード=1(T選択、呼び出しがmainsubroutine_sim_t_voxel_winに進む)
温度限界値T_limit(x,y,z)が規定され、場強度値Hおよび関連付けられた温度分布T(x,y,z)が探索され、これについては、
図8における概略的実例を参照されたい。第1の例示的態様におけるT選択に対比して、特定のデータレコードがモード=3(高速Hコントローラ)に対する後の呼び出しのため出力され、一時的にメインメモリに供給される。
【0176】
最初に、モード=2の場合と同様に、患者モデルがLVおよびCTデータから生成され、その後、HU_averおよびm_feがNP容積に対し決定される(これらの変数は、印加されたH場強度から独立している)。モード=1における残りのサイクルは、場強度の絶対値が規定されず、むしろ、探索されるので、モード=2の場合と異なる。規定された限界温度に対応する適切な容積SARを確認する手続きは、ナノ粒子の塗布のため追加された付加的な段階、すなわち、容積SARからのH場強度の計算をさらに有している。
【0177】
同時に、かつ、等しい強制力で観察される必要がある限界温度選択T_limit(x,y,z)は、以下の通りである:
- 「非PTV」領域は、健全な組織または治療される必要がない組織にほぼ対応する。ブーリアンの意味で「PTVを差し引いた身体」または「PTVを差し引いた頭部」であるこの非PTV領域のため、最大許容温度値(=温度限界値)T_limit(非PTV)が規定される。この値は、ユーザにより変更され得ることがあり、または、さもなければ、確実に規定されることがある。値は、初期設定により43℃に設定されることもあり、すなわち、T_limit(非PTV)=43℃である。
- 身体内の温度は、例えば、どこでも最大値80℃を越えることが意図されていない。この値は、例えば、シミュレータにおいて確実に規定されることがある。非PTVは、同時に43℃を越えないことが意図されているので、第2の限界は、治療エリアPTVに対し有効であり、すなわち、T_limit(PTV)=80℃である。
【0178】
結果として得られる場強度Hは、両方の選択を観察すべきであり、すなわち、全ての温度T(x,y,z)がPTV内で80℃以下であり、同時に、PTVの外側で43℃以下であるために十分に低くなることが意図されている。2つのT選択のうちの一つをそれぞれ観察する2つの場強度値のうちの低い方が出力される。
【0179】
これらのT選択を観察するために、モード=2を複数回開始し、入力場強度が繰り返し再調整されることが可能ということになるので、T選択は、このような反復過程の終わりに観察されるであろう。この反復的な、したがって、不正確または複雑なパス("iterative way" in Nadobny et al. 2007、1841ページを参照されたい)は、この場合に追求されない。
【0180】
リソース節約方式で、かつ、それにもかかわらず正確にH場強度値を直接的に決定するために、本発明による手法は、この場合相違する。この場合、SAR(および、それ故に温度)が非線形的にH場強度に依存するので、問題設定が決して些細ではないことが念頭に置かれるべきである。しかし、線形関係は、具体的には、SARと温度との間で、問題設定の少なくとも一部に対して示され得る("decomposition way" in Nadobny et al. 2007、1841ページ、式(5a), (5b), (6)を参照されたい)。このようにして、温度分布T(x,y,z)は、最初に、(SARを用いることなく取得されるように)基底成分T0(x,y,z)と、温度上昇成分T_rise(x,y,z)=K*ΔT(x,y,z)とに分離され、但し、
T(x,y,z)=T0(x,y,z)+K*ΔT(x,y,z) (15)
であり、SARに対して、
SAR(x,y,z)=K*ΔSAR(x,y,z) (16)
が真である。
【0181】
Kは、確認される必要があるスカラー倍率(モード=1において、「温度に基づく」倍率と称される)であり、ΔT(x,y,z)は、相対温度増加であり、ΔSAR(x,y,z)は、相対SAR分布である。
【0182】
第1の例示的態様と対照的に、mainsubroutine_sim_t_voxel_winのための出力は、実際の温度分布T(x,y,z)だけではなく、分布T0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)もまた含む。これらの温度分布は、以下の通り詳細に特徴付けられる:
- T(x,y,z):特定の制約を順守するために必要である特定の絶対SARに対応する結果として得られる絶対温度分布であり、例えば、モード=1では、限界温度がこのような制約である。T(x,y,z)は、第1の例示的態様に従ってシミュレーションプログラムにおいてさらに出力される。T(x,y,z)は、シミュレーションプログラムのGUI(「グラフィカル・ユーザ・インターフェース」)に可視化されるデータに属する。
- T0(x,y,z):SARなしで取得されるような絶対「基底」温度分布であり;時間依存BHTEを数値的に解く初期温度および基底温度は、T(x,y,z)に基づく解法の場合と同じである。この温度分布は、メインメモリに一時的に記憶され、その後、高速Hコントローラのための入力として利用可能である。
- ΔT(x,y,z):相対温度上昇(=温度増加)の分布であり、上記分布は、任意の、確実に規定された、および/または、ユーザ定義されたSARレベル(
図8における「固定値」)のために取得される。この場合にシミュレーションされるのは、温度ではなく、温度増分であるので、時間依存BHTEを数値的に解く初期温度および基底温度は、零に等しい。この温度分布は、同様に一時的にメインメモリに記憶され、その後、高速Hコントローラのための入力として利用可能である。
【0183】
モード=2の場合とは異なり、絶対値SAR_averは、SAR_feから決定されるのではなく、むしろ、相対容積SAR ΔSAR(x,y,z)に対する任意の(相対)テスト平均「ΔSAR_aver」が、「
固定値」(一定、これについては、
図8を参照されたい)として内部的に規定される(シミュレータにおいて、このテスト平均は、「ΔSAR_aver=100W/kgとして設定される」。式(13)の場合に類似した方法で、これは、以下の通り、ロケーション依存ΔSAR(x,y,z)値を近似するために使用される。
ΔSAR(x,y,z)=HU(x,y,z)*ΔSAR_aver/HU_aver V_NP内 (17)
ΔSAR(x,y,z) V_NPの外側 (18)
【0184】
次に、BHTEを数値的に解く2回のパス:T0(x,y,z)=f(SAR=0)に対する1回、そして、相対温度増加ΔT(x,y,z)=f(ΔSAR(x,y,z))に対する1回、が順番に始められる。この倍率は、次に、全てのサポート点(ボクセル)x、y、zに亘る最小値探索(「温度に基づく倍率」):
K=Min(T_limit(x,y,z)-T0(x,y,z))/ΔT(x,y,z)) (19)
を使用して見つけられ、但し、非PTVにおいてT_limit(x,y,z)=80℃であり、PTV内で43℃である。
【0185】
温度に基づく倍率Kが見つけられたとき、絶対SAR(x,y,z)およびT(x,y,z)は、BHTEをもう一度数値的に解くことを必要とすることなく、式(16)および(15)を使用して直ちに指示されることが可能である。SAR(x,y,z)の平均に対して、以下が同様に真である。
SAR_aver=K*ΔSAR_aver (20)
【0186】
モード=2からの初期段階は、その後、逆順に実行される:i)鉄心SAR SAR_feが平均SAR_averおよび予め決定された鉄質量m_feから決定され、ii)非線形特性曲線SAR_fe=f(H)(Gneveckow et al. 2004、
図5を参照されたし)が逆方向に適用され、すなわち、H場強度値が値SAR_feから確認される。上記H場強度値は、mainsubroutine_sim_t_voxel_winからプログラムライブラリのメインプログラムへの出力として、メイン・プログラム・コアまたはGUIに転送される。3つのデータレコードT(x,y,z)、T0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)は、mainsubroutine_sim_t_voxel_winの出力を形成するが、T(x,y,z)だけがGUIに渡される。T0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)は、モード=3においてmainsubroutine_sim_hr_voxel_winのための入力として続いて供給されるように、一時的にメインメモリに記憶される。
【0187】
モード=3(「高速Hコントローラ」、mainsubroutine_sim_hr_voxel_winへの呼び出しが行われる)
モード=3では、温度分布は、例えば、BHTEを解くことを必要とすることなく、有限差分プログラムを使用して、数秒間のうちに任意のH選択に対して確認される。前提条件は、T0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)がmainsubroutine_sim_hr_voxel_winのための入力として読み込まれることである。これらの温度データレコードは、メインメモリ内に既に存在しているべきであり、すなわち、モード=1が、例えば、所与の患者モデルに対して、少なくとも1回呼び出されて終了されることが既に成功し、このことについては、
図9を参照されたい。
【0188】
最初に、患者モデルは、モード=1またはモード=2の場合と同様に、LVおよびCTデータから生成される。次に、HU_averおよびm_feがNP容積に対し決定される。これらの変数は、印加されたH場強度から独立している。平均鉄質量m_feは、モード=1(T選択)において既に計算されている。再計算に対する代替案として、平均鉄質量m_feは、モード=3(高速Hコントローラ)によるアクセスのためモード=1(T選択)における計算の後に続いてメインメモリ内に維持されるものとさらに考えられる。基礎となる患者モデルは、モードとは無関係に常に同じであるため、平均鉄質量m_feのための計算のような計算は、例えば、セグメンテーション段階(
図1を参照されたい)に完全に再配置されることも可能である。しかし、このような変数の局部的計算は、例えば、プログラムパッケージのモジュラ構造、ソフトウェアタスクの性能などの局面に関して、有利になることがある。
【0189】
平均鉄質量の計算とは無関係に、GUIにおいてユーザにより入力された場強度値Hは、モード=2の場合と同様に読み込まれ、鉄心SAR SAR_feの関連値が特性曲線SAR_fe=f(H)を適用することにより計算される。この値から、そして、予め決定された鉄質量m_feから、容積SARの絶対平均SAR_averが次に確認される。同時に、ΔSAR_aver=100W/kgの相対固定値がモード=1の場合と同様に規定され、モード=3における固定値ΔSAR_averは、モード=1における固定値ΔSAR_averと同一であることが必要である。
【0190】
本発明は、その結果、倍率Kが(本発明によれば、モード=3において「電力吸収に基づく」倍率と称される)、以下から決定されることを可能にする。
K=SAR_aver/ΔSAR_aver (21)
【0191】
計算された電力吸収に基づく倍率Kと、モード=1において予め計算され、メインメモリに存在するT0(x,y,z)およびΔT(x,y,z)とは、式(15)が適用されたとき、探索された温度分布T(x,y,z)をもたらし、上記温度分布は、その後、GUIに出力される。BHTEは、高速Hコントローラの場合に解かれる必要がないので、前述の方法は、数秒間のうちに標準的なプロセッサを用いて実行される。
【0192】
高速Hコントローラ(モード=3)の場合に実行される電力吸収に基づく拡大縮小(式21による電力吸収に基づく倍率K)は、特異電力吸収率(SAR)に基づき、その結果、(限界)温度に基づくT選択(モード=1)で実行される拡大縮小(式19による温度に基づく倍率K)とは基本的に異なることを指摘しておく。その上、電力吸収に基づく倍率Kは、高速Hコントローラの場合のH値の比率(式21)を単に形成することにより形成され得ないものであり、このことは、一般的に特性曲線SAR_fe=f(H)に存在する非線形性により説明されることを注意しておく。
【0193】
ここに記載された第2の例示的態様は、モード=1(T選択)における基底温度分布および相対温度増加分布を計算することと、引き続き呼び出されることがある高速Hコントローラ(モード=3)の基礎として上記分布をメインメモリ内に供給することとを含む。その他の例示的態様が同様に考えられる。一例として、2つの温度分布が、高速Hコントローラが最初に呼び出されたときに(限り)、計算されかつメインメモリに供給され得る。この場合、シミュレータは、高速Hコントローラの最初の呼び出しに対しよりゆっくり反応することになり、高速Hコントローラの引き続く呼び出しは、非常に素早く、すなわち、実質的に待ち時間なしで、入力されたH場強度から生じる温度分布の出力を伴って、反応されることになるであろう。
【0194】
ここに記載された第2の例示的態様は、所定の、または、ユーザ定義されたH場強度値に基づいて、すなわち、H選択(モード=2)に関して1回、そして、さらに(高速)Hコントローラに関して1回ずつ特異温度分布を計算する2つのプログラムコンポーネントを有している。別の例示的態様では、(高速)Hコントローラだけが設けられることも考えられる。しかし、H選択は、基底温度分布および相対温度増加分布とは独立に特異温度分布を計算することを注意しておく。一つのプログラムパッケージ内の2回の独立した計算パスの存在は、例えば、テスト目的のため、そして、保守およびさらなる開発のため有利であり得る。
【0195】
2つの計算のパスのうちの一方は、具体的な環境、例えば、ハードウェア環境に、または、具体的な要件に応じてより良好に適合し得る。
【0196】
このようにして、一つの特定の例示的態様では、シミュレータは、例えば、設定可能な設計のものであり得る。経験のあるユーザは、一例として、メインメモリを節約するために基底温度分布および相対温度増加分布がモード=1(T選択)において書き込まれないようにシミュレータを設定するであろう。ユーザの経験およびT選択(モード=1)からの出力から、ユーザは、とにかく特定のH値を既に好み、すなわち、結果として得られる最終的な温度分布がH選択を1回呼び出すことにより計算され得る。メインメモリ要件はこの場合に限定されているので、このような構成は、その結果としてリソースが同様に限定されているハードウェア構成のため適していることもある。
【0197】
さらに別の変形では、T選択(モード=1)の自動起動が省かれる。その代わり、シミュレータは、ユーザ入力を待つ。このユーザ入力が適切なコマンドを含む場合、T選択の計算は、例えば、所定の温度限界値に基づいて始まり得る。ユーザ入力がH場強度値を含む場合、H選択、または、高速Hコントローラ(これは、今度は、利用可能なハードウェアリソースに依存し得る)が起動され得る。後者の基底温度分布および相対温度増加分布が未だ利用できない場合、これらは、最初の呼び出しの際に生成されるべきである。
【0198】
温度シミュレータとメイン・プログラム・コアとの間のインターフェース
第1の例示的態様では、シミュレータに対する入力値がメイン・プログラム・コアから外部テキスト・ディレクトリ・インターフェースを介してシミュレータに転送された。このため、特定の確実に定義されたラインに基づく構造を有するテキストファイルSimInput.txtが形成された。入力値は、実行プログラムが呼び出されたとき、SimInput.txtから読まれた。(第2の例示的態様において)ここに記載されたシミュレータでは、SimInput.txtは、もはや存在せず、データは、メインメモリを介してメイン・プログラム・コアとシミュレータ・プログラム・ライブラリとの間にある内部インターフェースを介して転送され、すなわち、データは、内部プログラムインターフェースを介して転送される。
【0199】
シミュレータの終わりで、このインターフェースは、引数リストを用いて実施される。シミュレータ入力は、メイン・プログラム・コアから(例えば、C++で)生成され、引数リストを用いてFORTRANシミュレーションライブラリに転送される。一例として、入力配列および入力パラメータは以下を含む:
- CTデータ、すなわち、HU値を含む1-D配列。
- LVデータ、すなわち、セグメント化されたラベルを含む1-D配列。
- 第1の例示的態様による前述のテキストファイルSimInput.txtからの入力パラメータに匹敵する引数リスト内の入力パラメータ。
【0200】
シミュレータ出力はFORTRANライブラリで生成され、引数リストを用いてメイン・プログラム・コアまたはGUIに転送される。一例として、出力配列またはパラメータは以下を含む:
- 温度値T(x,y,z)を含む1-D配列。
- GUIで治療計画を生成するため必要とされ得る引数リスト内の出力パラメータ(これらのパラメータの一部は、第1の例示的態様において出力ファイルSimOutput.txtに書き込まれる)。
【0201】
3D CTデータは、「患者データ」段階および「セグメンテーション」段階において、メイン・プログラム・コアに読み込まれ得る動的な1D FORTRAN配列の形で表現され得る。
【0202】
配列は、CT密度値(「ハウンズフィールド単位」値、すなわち、「HU値」)が関連付けられた要素(画素)をもつ規則的な3Dグリッドのための3D CTデータを表現することができる。CTグリッド内の要素の位置(x,y,z)に対する幾何学的基準は、x、y、zインデックスと、メイン・プログラム・コアからメインメモリ内のシミュレータに転送された境界ボックスに関連している提示とにより取得される。CTデータレコードは、術後CT計画に対応し、(磁性流体の注入の後に)ナノ粒子に関する画像情報を含有すべきである。シミュレータにとっては、詳しくは、ナノ粒子内のHV値に着目する。これらの値から、シミュレータは、注入の後に、身体内に存在する鉄濃度に関する情報を導出する。この情報は、SAR、および、その後の温度の計算に関連性がある。
【0203】
さらなる配列は、計画CTに基づいてセグメンテーションの結果として生成された符号化された「ラベル付き容積」(LV)データ(ラベル)を表現し得る。幾何学的サービスでは、この配列は、符号化されたラベル(番号)が関連付けられた要素をもつ規則的な3Dグリッドをマッピングする。LVグリッド内の要素の3D位置(x,y,z)に対する幾何学的基準は、インデックスと、境界ボックスに関連している提示とを用いて取得される。このようなLVデータレコードまたはグリッドの境界ボックスは、CTデータレコードの境界ボックスに同一である。LVデータ(ラベル)は、以下の3つの領域のカテゴリーを記述するために使用される:
- 幾何学的な解剖学的領域(外部、「頭部」、「腫瘍」):この情報は、温度分布を計算するため必要とされる。特に、身体と外部との間の熱界面は、シミュレータ内でモデル化され、その結果、熱界面の幾何学的性質は既知であることが必要である。腫瘍は、同様に表現されるべきであるが、シミュレータは、セグメント化された腫瘍なしでも計算できる。正確な意味で、「頭部」領域は、「腫瘍を差し引いた頭部」を意味する。
- ナノ粒子エリア(供給元容積):組織にラッチされたナノ粒子(「ナノ堆積物」)の幾何学的位置(ラベルとして標識化)である。これらのナノ粒子位置は、SARを決定する入力としてシミュレータに通知されることが必要である。SARは、ナノ粒子の位置だけで生成される。ナノ粒子エリアは、幾何学的な解剖学的領域と、例えば、熱的限界条件が付いている領域とに重なる可能性がある。セグメント化されたナノ粒子領域が存在しない場合、プログラムは終了させられる。
- 熱的限界条件領域:特定の温度T_limit(x,y,z)を越えることが意図されていない領域(例えば、器官)である。第2の例示的態様では、治療エリア(PTV)と、頭部の残りの部分(非PTV領域)、すなわち治療エリアの外側の領域、したがって健全な組織との間だけが区別される。限界条件領域は、幾何学的な解剖学的領域とナノ粒子エリアとの上に重なる可能性がある。標準的な選択肢として、PTV領域は、望ましい幅をもつ腫瘍境界を加えた腫瘍としてセグメンテーションエディタ内に生成され得る。セグメント化されたPTV領域が存在しない場合、プログラムは終了させられる。
【0204】
LVデータの符号化は、8ビットラベルの各要素に対し、幾何学的な解剖学的情報を符号化する6ビットと、ナノ粒子(はい/いいえ)およびPTV(はい/いいえ)をそれぞれ符号化する1ビットとを使用して、主要段階「セグメンテーション」において実施され得る。
【0205】
第1の例示的態様と第2の例示的態様との間の相違に関して
図2から
図5に関連して説明された第1の例示的実施態様は、
図6から
図9に関連して説明された第2の例示的実施形態と、特に以下の局面において相違する:
- プログラムライブラリとしての温度シミュレータのリンク付け(「SOUP統合」)。
- Hコントローラまたは高速Hコントローラのその他のプログラミング/実施。
【0206】
第1の例示的態様では、温度シミュレータは、別個/自立的な実行プログラムの形式で実施される。第2の例示的態様では、温度シミュレータは、プログラムライブラリとして実施される。この場合、温度シミュレータプログラムは、外部ディレクトリインターフェースを介して別個の実行ファイルとして呼び出されないが、メイン・プログラム・コアから直接的に作動され得る内部インターフェースを使用してメイン・プログラム・コアにリンクされたプログラムライブラリの方法として管理される必要がある。この解決策の利点の一つは、大量のデータが(第1の例示的態様の場合のように)外部ディレクトリを介してハードディスクに書き込まれる、または、ハードディスクから読み出されることを必要としないことである。それ故に、比較的遅いハードディスクの書き込みおよび読み出し動作が省かれ、これは、シミュレータの実行速度を上昇させ得る。考えられるエラーの原因は、このようにして同様に取り除かれる。
【0207】
第2の例示的態様の「高速Hコントローラ」と対比した第1の例示的態様における「Hコントローラ」の動作に関連して、簡単なHコントローラは、モード=1における動作と同様に、BHTEを2回解くことにより、2つの温度分布、すなわち、基底温度分布および相対温度増加分布の数値計算を含むことを注意しておく。ループは、その結果、例えば、i=10回のパスを用いて呼び出される。各パスに対して、所定のH場強度値H(i)が入力としての機能を果たすので、例えば、5kA/mから14kA/mまでの全部で10個のH場強度値に対する計算は、1kA/mステップ幅で実行される。各ループパスi=1...10は、温度増加分布が乗じられる際に用いる電力吸収に基づく倍率K(i)を含む。さらに前述された拡大縮小の仕組みに基づいて形成された、i=10個の結果として得られる温度分布が取得される。これらのi=1...10個の温度分布は、その後、順番に外部ハード・ディスク・ディレクトリに書き込まれる。この外部ハード・ディスク・ディレクトリから、温度分布は、必要に応じて、ユーザによりロードされ得る。
【0208】
この解決のためのアプローチの背後には、10個の分布(i=1...10)が(バッチジョブと同じように)バックグラウンドで計算され得、その間に、ユーザは、スクリーン上で1回目の自動パス(モード=1)において確認された温度分布を観察している、という仮定が存在する。これは、ユーザが時間を無駄にすることなく、ユーザは、温度分布の観察を完了したとき、設定され得るH場強度範囲全体を網羅する10個のさらなる温度分布を利用できることを意味する。ユーザは、その結果、これらの温度分布の間で切り替えることが可能である。ユーザが確実に規定されたH(i)値の間にある特異値に関心がある場合、ユーザは、この値に対してもう一度モード=2(H選択)を用いてパスを計算することができる。
【0209】
実際的なアプリケーションでは、これは、全部で10個の分布を記憶するために、大量のデータレコードのためハードディスク上に比較的大量のメモリ空間を必要とし、この場合の典型的な値は、2GBytesの規模である。10個の温度分布をハードディスクに書き込み、そして、ハードディスクから読み取ることは、相当する長い時間を要する。ハードディスクから温度データレコードを順次にロードすることは、例えば、輪郭をロードし、カテーテルのスプラインを計算するなどの一連の演算と関連付けられ、これらの一連の演算は、おそらく、リソース消費の観点からはBHTEのパスに匹敵する。時には、様々な予め計算されたデータレコードの間の切り替えの利点は、このようにして、尽きることがない。
【0210】
第1の例示的態様に基づく「簡単な」Hコントローラは、確実に予め定義されたH場強度に対する温度分布だけを提供する。予め定義された値の間の値に関心がある場合、例えば、H選択(モード=2)を使用して温度シミュレータパスを開始することが必要である。このことは、少なくとも1回のBHTEの数値的解法、すなわち、時間集約的な計算を意味する。
【0211】
第2の例示的態様は、この場合、「高速Hコントローラ」と称されるHコントローラのための異なるアプローチを実現する。これは、BHTEの数値的解法を必要とすることなく、与えられた(T選択段階において予め計算された)相対温度増加分布を拡大縮小するので、速度によって簡単なHコントローラと区別される。換言すると、高速Hコントローラは、単一のH場強度値に対する電力吸収に基づく倍率Kを確認し、それぞれの温度分布がその後に前述された拡大縮小アプローチに基づいて形成される。
【0212】
高速Hコントローラは、その結果、時間のかからない、かつ、メモリ空間集約的な複数(例えば、10個)の分布についての事前計算を実行するので、例えば、大量のデータレコードのため特に適している。どれでも望ましいH場強度値が設定され得、リソース節約方式で計算され得る。しかし、高速Hコントローラは、モード=1において事前パスを必要とする。ここで計算された2つの温度分布は、入力として高速Hコントローラで利用できることが必要である。適切なメインメモリ空間が利用できることが必要である。
【0213】
シミュレーションツールのためのシミュレータの第1の例示的態様は、その結果、より長い実行時間を必要とする傾向があり、さらにより多くのハード・ディスク・メモリを必要とするが(これは、通常は、現在では通例になっているシステムにとっての問題ではない)、より少ないメインメモリしか必要としない。それ故に、このシミュレータは、PC、例えば、スタンドアローン型PC、または、そうでなければ、ノートブックなどのモバイルコンピュータ上での実行のため特に適していることがある。対照的に、第2の例示的態様は、特に、ユーザにより入力されたH場強度値を処理するため、より素早く機能する傾向があり、そして、より少ないハード・ディスク・メモリ空間しか必要としないが、より大規模なメインメモリを必要とする。それ故にシミュレーションツールのためのシミュレータの第2の例示的態様は、ワークステーションのような強力なコンピュータ上、または、メインフレームシステム内での使用のため適している傾向がある。
【0214】
第1の例示的態様および第2の例示的態様について説明された機能性の間のハイブリッド形式ということになる例示的態様のさらなる変更が考えられる。したがって、第1の例示的態様からのsim_t.exeのような実行可能ファイルは、基底温度分布および相対温度増加分布をハードディスクに書き込むことが考えられ、この分布は、第1の例示的態様に記載されているように、sim_hr.exeのような別の実行可能ファイルによりこのハードディスクから再び読み込まれ得る。このようにして、BHTEを再び数値的に解くことなく「高速Hコントローラ」を提供することが可能であるが、ハードディスクへのデータの書き込み、および、ハードディスクからのデータの読み出しは、サイクルを減速するかもしれない。それにもかかわらず、この変更は、特にソフトウェア構成、ハードウェア構成、および/または、アプリケーション全般に対して有利になることがある。
【0215】
本発明は、ここに記載された例示的態様、および、例示的態様の中で強調された局面に限定されることがなく、それどころが、当業者の対策の範囲内にある多数の変更が添付の特許請求の範囲により指示されたエリア内で考えられる。
【0216】
完全を期するために、優先権を証明する特許出願の主題が簡単に要約された形式で以下に繰り返される。
主題1. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、
該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、
身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得る、
温熱療法の計画を支援するためのコンピュータ支援シミュレーション方法であって、以下の段階:
- 第1の計算段階(「T選択」)における、ナノ粒子の幾何学的分布と、加温治療により越えられることが意図されていない少なくとも一つの所定の温度限界値とに基づいて、印加装置に設定される必要がある場強度値を計算する段階;
- 任意選択的な第2の計算段階(「Hコントローラ」)における、複数の所定の場強度値からの各場強度値に関して、身体容積の少なくとも一部に対し期待される温度分布を計算する段階;ならびに
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された場強度値、および、任意選択的に、計算された温度分布を供給する段階
を含む、前記コンピュータ支援シミュレーション方法。
主題2. 温度限界値または複数の温度限界値のうちの一つが加熱される治療容積の内部に限られる最大温度に関連している、主題1に記載の方法。
主題3. 温度限界値が治療容積において60℃から100℃まで、好ましくは、70℃から90℃までの範囲内、特に80℃の所定の温度最大値に関連している、主題2に記載の方法。
主題4. 温度限界値または複数の温度限界値のうちの一つが加熱される治療容積の外側での最大温度に関連している、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題5. 温度限界値が治療容積の外側での40℃から45℃までの範囲内、特に43℃の所定の温度最大値に関連している、主題4に記載の方法。
主題6. それぞれが異なる容積に関連している2つの温度限界値が第1の計算段階(「T選択」)で使用される、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題7. 第1の計算段階(「T選択」)において計算された場強度値が所定の最大場強度値、特に、印加装置に設定可能な所定の最大場強度値より大きいとき、第1の計算段階(「T選択」)からの計算結果が、第3の計算段階(「H選択」)を自動的に実行するための基準として利用され、期待される温度分布が、該所定の最大場強度値に対して第3の計算段階(「H選択」)において計算される、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題8. 温度限界値が第2の計算段階(「Hコントローラ」)および/または第3の計算段階(「H選択」)における計算に使用されない、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題9. 第2の計算段階(「Hコントローラ」)における計算が印加装置に設定され得る複数の所定の場強度値、好ましくは、3から20場強度値、特に好ましくは、5から10場強度値に対して実行される、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題10. 第2の計算段階(「Hコントローラ」)が第1の計算段階(「T選択」)、および、おそらく第3の計算段階(H選択)の後に、ユーザ入力により開始される、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題11. 計算結果の出力の後に、第4の計算段階(「H選択」)が続けられ、フィールド強度のユーザ入力が受け取られ、受け取られた場強度に基づいて、期待される温度分布が計算される、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題12. 探索された場強度値に反復的に到達するために、選択された場強度値から温度分布が計算される反復を、第1の計算段階(「T選択」)に設定される場強度値の計算が含まない、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題13. 第1の計算段階(「T選択」)が以下の段階:
- 相対電力吸収密度がナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて計算され、電力吸収なしで基底温度分布を取得するために、所定の生体伝熱方程式が正確に1回だけ数値的に解かれ、かつ相対電力吸収密度に基づいて相対温度増加分布を取得するために、該生体伝熱方程式が正確に1回だけ数値的に解かれ、相対電力吸収密度が、少なくとも一つの所定の温度限界値、基底温度分布、および、相対温度増加分布に基づいて取得される倍率により拡大縮小される、堆積容積内の印加装置磁場における平均電力吸収密度(「SAR_aver」)を計算する段階;
- ナノ粒子の計算された平均電力吸収密度および計算質量に基づいて、例えば、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率(「SAR_Fe」)を計算する段階;ならびに
- 計算された基準電力吸収率、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて、場強度値を計算する段階
を有している、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題14. 第2の計算段階(「Hコントローラ」)における温度分布の計算が所定の場強度値の個数とは無関係に温度分布の正確に2回の計算を含む、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題15. 第2の計算段階(「Hコントローラ」)が以下の段階:
- ナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて相対電力吸収密度分布(「ΔSAR(x,y,z)」)および相対平均電力吸収密度(「ΔSAR_aver」)を計算する段階;
- 電力吸収なしの所定の生体伝熱方程式の数値的解法に基づく基底温度分布(「T0(x,y,z)」)を供給し、かつ計算された相対電力吸収密度分布(「ΔSAR(x,y,z)」)を用いる生体伝熱方程式の数値的解法に基づく相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)を供給する段階;
- 複数の所定の場強度値からの各場強度値に対して、以下の段階:
○ 例えば、それぞれの場強度値、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率(「SAR_Fe(i)」)を計算する段階、
○ 堆積容積内のナノ粒子の基準電力吸収率(「SAR_Fe(i)」)および計算質量に基づいて、平均電力吸収密度(「SAR_aver(i)」)を計算する段階、
○ それぞれの平均電力吸収密度(「SAR_aver(i)」)および相対平均電力吸収密度(「ΔSAR_aver」)に基づいて、倍率(「K(i)」)を計算する段階、
○ 基底温度分布(「T0(x,y,z)」)、相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)および倍率(「K(i)」)に基づいて、それぞれの温度分布(「T(x,y,z,i)」)を計算する段階
を実行する段階
を有している、前記主題のいずれか一つに記載の方法。
主題16. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得、ナノ粒子の幾何学的分布と、加温治療により越えられることが意図されていない少なくとも一つの所定の温度限界値とに基づく、印加装置に設定される必要がある場強度の計算(T選択)に関連している、温熱療法の計画を支援するためのコンピュータ支援シミュレーション方法(「T選択」)であって、以下の段階:
- 相対電力吸収密度がナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて計算され、電力吸収なしで基底温度分布を取得するために、所定の生体伝熱方程式が正確に1回だけ解法され、かつ相対電力吸収密度に基づいて相対温度増加分布を取得するために、該生体伝熱方程式が正確に1回だけ解かれ、相対電力吸収密度が、少なくとも一つの所定の温度限界値、基底温度分布および相対温度増加分布に基づいて取得された倍率により拡大縮小される、堆積容積内の印加装置磁場において平均電力吸収密度(「SAR_aver」)を計算する段階;
- ナノ粒子の計算された平均電力吸収密度および計算質量に基づいて、例えば、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率(「SAR_Fe」)を計算する段階;
- 計算された基準電力吸収率、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて場強度値を計算する段階;ならびに
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された場強度値を供給する段階
を有している、前記コンピュータ支援シミュレーション方法。
主題17. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得、複数の所定の場強度値からの各場強度値に関して、身体容積の少なくとも一部に対し期待される温度分布の計算に関連している(「Hコントローラ」)、温熱療法の計画を支援するためのコンピュータ支援シミュレーション方法(「Hコントローラ」)であって、以下の段階:
- ナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて相対電力吸収密度分布(「ΔSAR(x,y,z)」)および相対平均電力吸収密度(「ΔSAR_aver」)を計算する段階;
- 電力吸収なしの所定の生体伝熱方程式の解法に基づく基底温度分布(「T0(x,y,z)」)を供給し、かつ計算された相対電力吸収密度(「ΔSAR(x,y,z)」)を用いる生体伝熱方程式の解法に基づく相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)を供給する段階;
- 複数の所定の場強度値からの各場強度値に対して、以下の段階:
○ 例えば、それぞれの場強度値、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率(「SAR_Fe(i)」)を計算する段階、
○ 堆積容積内のナノ粒子の基準電力吸収率(「SAR_Fe(i)」)および計算質量に基づいて、平均電力吸収密度(「SAR_aver(i)」)を計算する段階、
○ それぞれの平均電力吸収密度(「SAR_aver(i)」)および相対電力吸収密度(「ΔSAR_aver」)に基づいて、倍率(「K(i)」)を計算する段階、
○ 基底温度分布(「T0(x,y,z)」)、相対温度増加分布(「ΔT(x,y,z)」)および倍率(「K(i)」)に基づいて、それぞれの温度分布(「T(x,y,z,i)」を計算する段階
を実行する段階;
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された温度分布を供給する段階
を有している、前記コンピュータ支援シミュレーション方法。
主題18. プログラム可能なコンピュータ装置で実行されるとき、前記主題のいずれか一つに記載の方法を実施するためのコンピュータプログラム。
主題19. 主題18に記載のコンピュータプログラムが記録されているデータ記憶媒体。
主題20. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、
該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、
身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得る、温熱療法の計画を支援するために設計されているコンピュータ装置であって、以下のコンポーネント:
- ナノ粒子の幾何学的分布と、加温治療により越えられることが意図されていない少なくとも一つの所定の温度限界値とに基づいて、印加装置に設定される必要がある場強度値を計算するために設計されている、第1の計算コンポーネント(「sim_t.exe」);
- 複数の所定の場強度値からの各場強度値に関して、身体容積の少なくとも一部に対し期待される温度分布を任意選択的に計算するために設計されている第2の計算コンポーネント(「sim_hr.exe」);ならびに
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された場強度値、および、任意選択的に計算された温度分布を供給するためのコンポーネント
を備えるコンピュータ装置。
主題21. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得、ナノ粒子の幾何学的分布と、加温治療により越えられることが意図されていない少なくとも一つの所定の温度限界値とに基づいて、印加装置に設定される必要がある場強度を計算するために設計されているコンポーネント(「sim_t.exe」)を有している、温熱療法の計画を支援するために設計されているコンピュータ装置であって、上記コンポーネント(「sim_t.exe」)が以下のモジュール:
- 相対電力吸収密度がナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて計算され、電力吸収なしで基底温度分布を取得するために、所定の生体伝熱方程式が正確に1回だけ解法され、かつ相対電力吸収密度に基づいて相対温度増加分布を取得するために、該生体伝熱方程式が正確に1回だけ解かれ、相対電力吸収密度が、少なくとも一つの所定の温度限界値、基底温度分布、および相対温度増加分布に基づいて取得される倍率により拡大縮小される、堆積容積内の印加装置磁場における平均電力吸収密度を計算するためのモジュール;
- ナノ粒子の計算された平均電力吸収密度および計算質量に基づいて、例えば、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率を計算するためのモジュール;
- 計算された基準電力吸収率、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて、場強度値を計算するためのモジュール;ならびに
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された場強度値を供給するためのモジュール
を有している、コンピュータ装置。
主題22. 温熱療法がヒトの体の身体容積内の腫瘍容積の加温治療を含み、該加温治療が磁場印加装置による治療容積における磁場の印加を含み、身体内に堆積した磁性、常磁性および/または超常磁性ナノ粒子を用いて、熱エネルギーが、印加された磁場内の電力吸収により少なくとも一つの堆積容積の中に導入され得、
複数の所定の場強度値からの各場強度値に関して、身体容積の少なくとも一部に対し期待される温度分布を計算するために設計されているコンポーネント(「sim_hr.exe」)を有している、温熱療法の計画を支援するために設計されているコンピュータ装置であって、上記コンポーネント(「sim_hr.exe」)が以下のモジュール:
- ナノ粒子の測定された幾何学的分布に基づいて相対電力吸収密度分布および相対平均電力吸収密度を計算するためのモジュール;
-電力吸収なしの所定の生体伝熱方程式の解法に基づく基底温度分布を供給し、かつ計算された相対電力吸収密度分布を用いる生体伝熱方程式の解法に基づく相対温度増加分布を供給するためのモジュール;
- 複数の所定の場強度値からの各場強度値に対して、以下の段階:
○ 例えば、それぞれの場強度値、および、基準電力吸収率と印加された場強度との間の関係に関連している所定の特性曲線に基づいて、ナノ粒子を含有する無希釈の磁性流体の特異電力吸収率を示す基準電力吸収率を計算する段階、
○ 堆積容積内のナノ粒子の基準電力吸収率および計算質量に基づいて、平均電力吸収密度を計算する段階、
○ それぞれの平均電力吸収密度および相対電力吸収密度に基づいて、倍率を計算する段階、
○ 基底温度分布、相対温度増加分布および倍率に基づいて、それぞれの温度分布を計算する段階、
を実行するためのモジュール;
- 温熱療法を計画するユーザを支援するために、計算された温度分布を供給するためのモジュール
を有している、コンピュータ装置。
主題23. 主題20から22のいずれか一つに記載のコンピュータ装置と磁場印加装置とを備える、システム。
主題24. 主題18に記載のコンピュータプログラムと、主題19に記載のデータ記憶媒体と、主題20から22のいずれか一つに記載のコンピュータ装置または主題23に記載のシステムとを備え、磁性ナノ粒子を含有する磁性流体をさらに備える、システム。
主題25. 以下の段階:
A)磁性、常磁性および/または超常磁性粒子を器官容積または組織容積に導入する段階、
B)器官容積または組織容積内の粒子量および/または分布を確認する段階、
C)主題1から16のいずれか一つに記載の方法に基づいて設定されることが可能である場強度を計算する、または主題17に記載された方法に基づいて温度分布を計算する段階、
D)印加された場強度が計算された場強度または計算された温度分布から導出された場強度に対応し、いずれの場合も+/-10%、好ましくは、+/-5%、特に、+/-1%の偏差を伴う磁場の印加を用いて熱エネルギーを蓄積する段階
を含む、器官または組織の制御された加熱のための方法。
主題26. 以下の段階:
A)磁性、常磁性および/または超常磁性粒子を腫瘍容積の中に導入する段階、
B)腫瘍容積内の粒子量および/または分布を確認する段階、
C)主題1から16のいずれか一つに記載の方法に基づいて設定されることが可能である場強度を計算する、または主題17に記載された方法に基づいて温度分布を計算する段階、
D)印加された場強度が計算された場強度または計算された温度分布から導出された場強度に対応し、いずれの場合も+/-10%、好ましくは、+/-5%、特に、+/-1%の偏差を伴う磁場の印加を用いて熱エネルギーを蓄積する段階
を含む、患者の腫瘍を治療するための方法。