(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電源電力を、モータを制御する交流又は直流電力に変換する役割をする電気/電子部品(Electric/Electronic Sub Assembly,ESA)であって、車両の電動器具に属する主要部品である。
【0003】
上述した環境にやさしい自動車に駆動手段として適用されるモータは、制御器のパルス幅変調(PWM)信号によって直流電圧を三相電圧に変換するインバータから第1高電圧電力ケーブルを介して伝達される相電流によって駆動される。
【0004】
また、前記インバータはメインリレーの開閉によって第2高電圧電力ケーブルを介して伝達されるDCリンク電圧を三相電圧に変換する。
【0005】
よって、インバータとモータとを接続する第1電力ケーブル、又は高電圧バッテリとインバータとを接続する第2電力ケーブルのうちいずれか一つの電力ケーブルが分離されると、モータの駆動が円滑に行われないだけでなく、高圧/高電流がシステムに誘起されてインバータの全体システムを破損する致命的な問題が発生する。
【0006】
図1は、従来技術によるインバータシステムにおける電力ケーブルの分離検出装置を示す図である。
【0007】
図1を参照すると、従来の電力ケーブルの分離検出装置は、電力ケーブル10と、コネクタ20と、電力ケーブル10とコネクタ20との間に形成され、電力ケーブル10とコネクタ20との間の分離有無に応じた信号を伝送するセンサ30とを含む。
【0008】
センサ30は電力ケーブル10とコネクタ20との間(接触部分)に接続され、コネクタ20に電力ケーブル10が接続されているか否かに応じたデジタル信号を制御器に伝達する。
【0009】
すなわち、従来は電力ケーブル10又はコネクタ20にハードウェアごとに電力ケーブル10の分離有無を確認するセンサが設置されており、センサから出力されるデジタル信号を利用して電力ケーブル10の分離有無をリアルタイムで確認していた。
【0010】
しかし、上記のような電力ケーブルの分離検出装置は、電力ケーブルの分離有無をハードウェア的に検出するため、価格の側面だけでなく空間的な制約を伴う問題がある。
【0011】
また、上記のような電力ケーブルの分離検出装置は、振動などの外部要因によって誤動作する可能性が高く、これは運転者の安全を脅かす要因として作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
電気自動車用インバータシステムにおいて、駆動中又は停車中に振動及び外部要因によって電力ケーブルの断線及びコネクタの不接続が発生したとき、高電圧ケーブルの状態を知ることができないため、電気的接点が露出して電気的に不安定な状態になるため、事故の恐れがある。よって、それを迅速に検出して安全に車両を停止させる必要がある。
【0013】
また、電力ケーブルの断線及びコネクタの不接続が発生した場合、電力ケーブルの状態を確認するために作業者又は運転者が直流端コンデンサが充電された状態で車両に接近すると重大な人身事故につながる恐れがある。
【0014】
よって、実施例では別途のハードウェアを追加することなくソフトウェア的な方法によって電力ケーブルの状態を感知し、それに応じて電力ケーブルに異常が発生したとき、適切な構成の放電ロジックを介して安全に車両を停止させるインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
提案される実施例で解決しようとする技術的課題は上述した技術的課題に限られず、言及されていない更に他の技術的課題は、以下の記載から提案される実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者には明確に理解されるであろう。
【0016】
実施例によるインバータシステムにおけるケーブルの状態検出方法は、インバータ内に含まれた直流端コンデンサに対する直流端電圧値を検出するステップと、インバータに直流電力を供給するバッテリ電圧値を検出するステップと、直流端電圧値とバッテリ電圧値とを比較するステップと、直流端電圧値とバッテリ電圧値との差の値が予め設定された範囲を超えたとき、インバータとバッテリとの間を接続する電力ケーブルの状態が異常状態であると判断するステップと、を含む。
【0017】
また、インバータとバッテリとの間に形成され、インバータに供給される直流電力を管理するメインリレーの状態を確認するステップが更に含まれ、電力ケーブルの状態を判断するための動作は、メインリレーの状態がオン状態である場合に行われる。
【0018】
また、バッテリ電圧値を検出するステップは、第1電子制御ユニットからバッテリ電圧値を受信するステップを更に含み、第1電子制御ユニットはバッテリ管理システム(BMS)及び低電圧DC−DC変換器(LDC)のうちいずれか一つである。
【0019】
また、受信したバッテリ電圧値が有効な値であるか否かを判断するステップを更に含み、比較ステップはバッテリ電圧値が有効な値である場合に行われる。
【0020】
また、バッテリ電圧値が有効な値でないとき、第2電子制御ユニットからバッテリ電圧値を再受信するステップを更に含み、第2電子制御ユニットはバッテリ管理システム(BMS)及び低電圧DC−DC変換器(LDC)のうち第1電子制御ユニットと異なるユニットである。
【0021】
また、受信したバッテリ電圧値が有効な値でないとき、検出した直流端電圧値及び予め設定された低電圧トリップレベルを利用して電力ケーブルの状態を検出するステップを更に含む。
【0022】
また、検出した直流端電圧値及び予め設定された低電圧トリップレベルを利用して電力ケーブルの状態を検出するステップは、低電圧トリップレベルに0から1までの間に存在する値を乗じた結果値と直流端電圧値とを比較するステップと、直流端電圧値が結果値より小さいとき、電力ケーブルの状態が異常状態であると判断するステップと、を含む。
【0023】
電力ケーブルの状態が異常状態であると判断されたとき、直流端コンデンサに蓄積された電圧を強制放電するステップを更に含む。
【0024】
また、強制放電するステップは、インバータの電流制御が可能であるか否かを判断するステップと、電流制御が可能なとき、同期座標系のd軸電流指令値を利用して直流端コンデンサを強制放電するステップと、電流制御が不可能なとき、同期座標系又は静止座標系のd軸電圧指令値を利用して直流端コンデンサを強制放電するステップを含む。
【0025】
一方、他の実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの状態検出方法は、インバータ内に含まれた直流端コンデンサに対する直流端電圧値を検出するステップと、検出した直流端電圧値と予め設定された低電圧トリップレベルとを比較するステップと、直流端電圧値が低電圧トリップレベルより小さいとき、インバータとバッテリとの間を接続する電力ケーブルの状態が異常状態であると判断するステップと、を含む。
【0026】
また、比較するステップは、低電圧トリップレベルに0から1までの範囲にある値を乗じるステップと、乗じた結果値と直流端電圧値とを比較するステップと、を含む。
【0027】
また、電子制御ユニットから受信したバッテリ電圧値及び直流端電圧値が予め設定された範囲を超過するか否かに応じて、電力ケーブルの状態を検出するステップを更に含み、電子制御ユニットはBMS及びLDCのうち少なくともいずれか一つである。
【0028】
本発明の実施例によると、直流端ケーブルの断線及びコネクタの不接続が発生したとき、車両駆動中でも該当異常を別途のハードウェアを追加することなくリアルタイムで検出することができ、故障が判断されると適切な強制放電ロジックを介して安全に車両を停止して運転者の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の内容は単に本発明の原理を例示する。よって、当業者はたとえ本明細書に明確に説明されていないか、図示されていない場合であっても、本発明の原理を具現し本発明の概念と範囲に含まれる多様な装置を発明することができる。また、本明細書に列挙されたすべての条件付用語及び実施例は、原則的に本発明の概念を理解させる目的だけに明白に意図され、このように特別に列挙された実施例及び状態に制限的ではないと理解されるべきである。
【0031】
また、本発明の原理、観点及び実施例だけでなく特定実施例を列挙するすべての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的均等物を含むように意図されると理解されるべきである。また、このような均等物は現在公知の均等物だけでなく、将来に開発される均等物、すなわち、構造とは関係なく同じ機能を行うように発明されたすべての要素を含むと理解されるべきである。
【0032】
図2は、本発明の実施例によるインバータシステムを示す図である。
【0033】
図2を参照すると、インバータシステムはバッテリ110、メインリレー120、インバータ130、電力ケーブル140、制御部150、第1電子制御ユニット200及び第2電子制御ユニット300を含む。
【0034】
バッテリ110は電気駆動移動体(例えば、電気自動車)に駆動電力を供給する。
【0035】
特に、バッテリ110はインバータ130の内部に具備された直流端コンデンサに直流電力を供給する。
【0036】
このようなバッテリ110は高電圧バッテリであって、複数個の単位セルの集合で形成される。
【0037】
複数の単位セルは一定な電圧を維持するために電子制御ユニット(例えば、バッテリ管理システム(BMS)によって管理され、バッテリ110は電子制御ユニットの制御下で一定の直流電力を放出する。
【0038】
また、電子制御ユニットはバッテリ110の電圧を検出し、それを後述する制御部150に伝達する。電子制御ユニットについては以降より詳しく説明する。
【0039】
このようなバッテリ110は、動作状態に応じて充電状態及び放電状態に変化可能な二次電池で構成されることが好ましい。
【0040】
メインリレー120はバッテリ110と接続される所定の電力線に配置され、バッテリ110を介して出力される直流電力を管理する。
【0041】
図面上では電力線に一つのメインリレーだけが配置されるように示しているが、これは一実施例に過ぎず、配置されるメインリレー120の数は増加してもよい。
【0042】
例えば、メインリレーはポジティブ端子に接続されて直流電源を管理する第1メインリレーと、ネガティブ端子に接続されて直流電源を管理する第2メインリレーとを含んで構成される。
【0043】
インバータ130は、メインリレー120のスイッチング状態に応じてバッテリ110から直流電力を供給される。
【0044】
また、インバータ130はバッテリ110から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力をモータに供給する。
【0045】
インバータ130によって変換された交流電力は三相交流電力であることが好ましい。
【0046】
特に、インバータ130は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)によって形成され、後述するインバータ制御部150から印加される制御信号に応じてPWMスイッチングを実行し、バッテリ110から供給される直流電力を相変換してモータを駆動する。
【0047】
モータは回転せずに固定される固定子(図示せず)及び回転する回転子(図示せず)を含む。モータはインバータ130を介して供給される交流電力を印加される。
【0048】
モータは例えば三相モータであってもよく、各相の固定子のコイルに電圧可変/周波数可変の各相交流電力が印加される場合、印加される周波数に応じて回転子の回転速度が変化する。
【0049】
モータは誘導モータ、ブラシレス直流(BLDC)モータ、リラクタンスモータなど多様な形態であってもよい。
【0050】
一方、モータの一側には駆動ギア(図示せず)が具備される。駆動ギアはモータの回転エネルギをギアビアによって変換する。駆動ギアから出力される回転エネルギは前輪及び/又は後輪に伝達されて電気自動車を動かす。
【0051】
一方、図示されていないが、電気自動車は電気自動車全般の電子装置の制御のための電子制御部を更に含む。電子制御部(図示せず)は各装置が動作、表示などをするように制御する。また、上述したバッテリ管理システムを制御してもよい。
【0052】
また、電子制御部は電子自動車の傾斜角を感知する傾斜角感知部(図示製図)、電気自動車の速度を感知する速度感知部(図示せず)、ブレーキペダルの動作に対応するブレーキ感知部(図示せず)、アクセルペダルの動作に対応するアクセル感知部(図示せず)等からの感知信号に基づき、多様な運転モード(走行モード、後進モード、中立モード、駐車モードなど)による運転指令値を生成する。この際運転指令値は、例えばトルク指令値又は速度指令値であってもよい。
【0053】
一方、本発明の実施例による電気自動車は、バッテリ及びモータを利用した純粋電気自動車はもちろん、エンジンを使用しながらバッテリ及びモータを利用するハイブリッド電気自動車を含む概念であってもよい。
【0054】
この際、ハイブリッド電気自動車はバッテリ及びエンジンのうち少なくともいずれか一つを選択可能な切替手段及び変速機を更に具備してもよい。一方、ハイブリッド電気自動車はエンジンから出力される機械エネルギを電気エネルギに変換してモータを駆動する直列方式と、エンジンから出力される機械エネルギ及びバッテリでの電気エネルギを同時に利用する並列方式とに分けられる。
【0055】
制御部140はインバータ130の全般的な動作を制御する。
【0056】
例えば、制御部150はモータに供給される電流を利用してモータを駆動させる駆動値を計算し、計算した駆動値に応じてインバータ130を制御するためのスイッチング信号(PWM信号)を発生する。
【0057】
それによって、インバータ130は制御部150から発生するスイッチング信号に応じて選択的にオンオフ動作を行い、直流電力を交流電力に変換する。
【0058】
一方、制御部150はインバータ130に供給された直流電力の状態に応じてバッテリ110とインバータ130との間を接続する電力ケーブル140の状態を判断し、電力ケーブル140の状態に応じてインバータ130の動作を制御する。
【0059】
電力ケーブル140はバッテリ110のポジティブ端子(+)及びネガティブ端子(−)にそれぞれ接続され、それによって接続されたバッテリ110を介して供給される直流電力をインバータ130に供給する。
【0060】
この際、電力ケーブル140に問題が発生したとき(例えば、ケーブルの断線、不接続、分離など)、インバータ130は正常的な直流電力が供給されず、それによってモータの駆動に問題が発生する可能性がある。
【0061】
したがって、制御部150は電力ケーブル140の状態を検出し、電力ケーブル140の状態に異常が発生したとき、インバータ130及びモータに供給される電力を遮断する。
【0062】
制御部150によって行われる電力ケーブル140の状態検出方法は以降詳細に説明する。
【0063】
第1電子制御ユニット200及び第2電子制御ユニット300は、電力ケーブル140の状態検出のための情報を取得し、取得した情報を制御部150に伝達する。
【0064】
この際、第1電子制御ユニット200はBMSであってもよく、第2電子制御ユニット300はLDCであってもよい。
【0065】
バッテリ管理システムはバッテリ110の全般的な動作を管理するためのものであり、例えば、バッテリ110が複数個の単位セルで構成されることによって、複数個の単位セルが一定の電圧を維持するようにする。
【0066】
また、バッテリ管理システムはバッテリ110に充電された電圧がメインリレー120及び電力ケーブル140を経てインバータ130に供給されるようにする。
【0067】
バッテリ管理システムはバッテリ110の諸般的な状態を管理し、それに応じてバッテリ110の状態情報(例えば、バッテリの温度、電圧電流、充電状態(State of Charge,SOC)などを取得する。
【0068】
LDCはバッテリ110の電力を整流して直流にするDC−DCコンバータであり、このLDCは一般直流電力をスイッチングして交流にし、この交流をコイル、トランス、コンデンサなどを利用して昇圧又は降圧してから更に整流して直流にし、各フィールド負荷で使用される電圧に合わせて電気を供給する役割をする。
【0069】
第1電子制御ユニット200はバッテリ110だけでなく、メインリレー120のスイッチング状態に制御する。
【0070】
それによって、第1電子制御ユニット200はバッテリ110の情報及びメインリレー120の状態情報を知り、それに応じてバッテリ情報及びメインリレー情報を制御部150に伝達する。
【0071】
第1電子制御ユニット200と制御部150(実質的にはインバータ)とは、制御器域網(CAN)通信を介して情報を交換する。
【0072】
すなわち、制御部150は第1電子制御ユニット200からバッテリ110の電圧及びメインリレー120のスイッチング状態に対する情報を受信する。
【0073】
一方、第2電子制御ユニット300もバッテリ110の情報(バッテリ電圧)を知り、それに応じてバッテリ電圧に対する情報を制御部150に伝達する。
【0074】
第2電子制御ユニット300と制御部150(実質的にはインバータ)とはCAN通信を介して情報を交換する。
【0075】
以下、添付した図面を参照して制御部150で行われる電力ケーブルの状態検出動作及び電力ケーブルに異常が発生した際に行われる強制放電ロジックについて説明する。
【0076】
図3は本発明の第1実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの検出方法をステップごとに説明するためのフローチャートであり、
図4は本発明の第2実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの検出方法をステップごとに説明するためのフローチャートであり、
図5は本発明の第3実施例によるインバータシステムにおける電力ケーブルの検出方法をステップごとに説明するためのフローチャートであり、
図6は本発明の実施例によるインバータシステムにおける強制放電ロジックをステップごとに説明するためのフローチャートである。
【0077】
以下、
図2に示した構成要素と結び付けて
図3乃至
図5に示した内容を説明する。
【0078】
まず
図3を参照すると、制御部150はメインリレー120のスイッチング状態情報を取得する(ステップ101)。すなわち、制御部150は現在メインリレー120がオン状態であるか、オフ状態であるかを確認する。
【0079】
次に、判断の結果(ステップ101)、メインリレー120のスイッチング状態情報がオン状態のとき、制御部150はインバータの直流端電圧Vdcを検出する(ステップ102)。言い換えると、制御部150はインバータ130の内に含まれたコンデンサCにかかる電圧を検出する。
【0080】
また、制御部150は電子制御ユニットからバッテリ110に関する情報、詳しくは、バッテリの電圧Vbatを受信する(ステップ103)。この際、電子制御ユニットはバッテリ管理システムであってもよく、それとは異なってLDCであってもよい。
【0081】
制御部150は、バッテリ電圧Vbatが受信されると受信されたバッテリ電圧Vbatが有効な値であるか否かを判断する(ステップ104)。すなわち、制御部150はバッテリ電圧Vbatが予め設定された正常範囲以内に属する値であるか否かを判断する。
【0082】
これは、インバータシステムの故障によって電子制御ユニットが異常動作を行い、電子制御ユニットから誤ったバッテリ電圧Vbatが伝送された可能性があるためである。そのため、本実施例では物理的に可能な範囲にある値(バッテリ電圧)が伝送された場合にだけ選択的に電力ケーブル140の状態を検出する。
【0083】
バッテリ電圧Vbatが有効な値のとき、制御部150は取得した直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差の値の絶対値が予め設定された一定電圧より高いか否かを判断する(ステップ105)。
【0084】
言い換えると、制御部150は直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差が正常範囲条件を超えるか否かを判断する。
【0085】
次に、制御部150は直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差の値が正常範囲条件を越えたとき、電力ケーブル140が異常に接続されたと判断する。
【0086】
また、制御部150は電力ケーブル140の異常状態に応じて強制放電ロジックを実施し、コンデンサ内に残っている電圧を放電する(ステップ107)。
【0087】
強制放電ロジックに対しては
図6を参照して以降詳しく説明する。
【0088】
上記のように、本発明の第1実施例では電子制御ユニットから供給されるバッテリ電圧Vbatと、インバータから検出した直流端電圧Vdcとの比較によって、電力ケーブルの状態を容易に検出することができる。
【0089】
一方、バッテリ電圧が有効でない値のときは、
図5に示した本発明の第3実施例に対応する方法を適用して電力ケーブルの状態を検出することが好ましく、第3実施例に対する方法を適用する前に
図4に示した本発明の第2実施例による方法を適用することが好ましい。
【0090】
次に
図4を参照すると、制御部150はメインリレー120のスイッチング状態情報を取得する(ステップ201)。すなわち、制御部150は現在メインリレー120がオン状態であるか、オフ状態であるかを確認する。
【0091】
次に、判断結果(ステップ201)、メインリレー120のスイッチング状態情報がオン状態のとき、制御部150はインバータの直流端電圧Vdcを検出する(ステップ202)。言い換えると、制御部150はインバータ130の内に含まれたコンデンサCにかかる電圧を検出する。
【0092】
また、制御部150は第1電子制御ユニットからバッテリ110に関する情報、詳しくは、バッテリの電圧Vbatを受信する(ステップ203)。この際、第1電子制御ユニットはバッテリ管理システム及びLDCのうちいずれか一つであってもよい。
【0093】
制御部150はバッテリ電圧Vbatが受信されると、受信されたバッテリ電圧Vbatが有効な値であるか否かを判断する(ステップ204)。すなわち、制御部150はバッテリ電圧Vbatが予め設定された正常範囲以内に属する値であるか否かを判断する。
【0094】
これは、インバータシステムの故障によって電子制御ユニットが異常動作し、電子制御ユニットから誤ったバッテリ電圧Vbatが伝送された可能性があるためである。したがって、本実施例では物理的に可能な範囲にある値(バッテリ電圧)が伝送された場合にだけ、選択的に電力ケーブル140の状態を検出する。
【0095】
バッテリの電圧Vbatが有効な値でないとき、制御部150は第2電子制御ユニットからバッテリ電圧Vbatを受信する(ステップ205)。
【0096】
次に、制御部150は第2電子制御ユニットから受信したバッテリ電圧Vbatが有効な値であるか否かを判断する(ステップ206)。この際、第1及び第2電子制御ユニットから受信したバッテリ電圧Vbatがすべて有効な値でないときは、正常な電力ケーブルの状態検出動作を行うことができないため終了してもよく、好ましくは
図5に示した方法を適用する。
【0097】
また、第1及び第2電子制御ユニットから受信したバッテリ電圧Vbatのうちいずれか一つが有効な値であるときは、制御部150は取得した直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差の値の絶対値が予め設定された一定電圧より高いか否かを判断する(ステップ207)。
【0098】
言い換えると、制御部150は直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差が正常範囲条件を超えるか否かを判断する。
【0099】
次に、制御部150は直流端電圧Vdcとバッテリ電圧Vbatとの差の値が正常範囲条件を越えたとき、電力ケーブル140が異常に接続されたと判断する(ステップ208)。
【0100】
また、制御部150は電力ケーブル140の異常状態によって強制放電ロジックを実施し、コンデンサ内に残っている電圧を放電する(ステップ209)。
【0101】
上記のように、本発明の第2実施例では複数の電子制御ユニットからバッテリ電圧Vbatが供給されて電力ケーブルの状態動作に対する信頼性を上げる。
【0102】
次に
図5を参照すると、制御部150はメインリレー120のスイッチング状態情報を取得する(ステップ301)。すなわち、制御部150は現在メインリレー120がオン状態であるか、オフ状態であるかを確認する。
【0103】
次に、判断結果(ステップ301)、メインリレー120のスイッチング状態情報がオン状態のとき、制御部150はインバータの直流端電圧Vdcを検出する(ステップ302)。言い換えると、制御部150はインバータ130内に含まれたコンデンサCにかかる電圧を検出する。
【0104】
次に、制御部150は検出した直流端電圧Vdcとインバータ直流端に対して予め設定された低電圧トラップレベルVLVとを比較する(ステップ303)。この際、制御部150は低電圧トリップレベルVLVに0から1までの範囲を有する値Aを乗じて得た結果値と直流端電圧値Vdcとを比較する。一般に、インバータ内部には直流端コンデンサがあり、直流端コンデンサの電圧を測定する回路が具備されている。インバータは測定した電圧を利用してPWM電圧を出力する。この際、測定された電圧が低い場合には歪んだ電圧が出力される可能性があるため、望みの精度を有する制御をするために電圧に対する低電圧トリップレベルを設定する。
【0105】
すなわち、結果値は低電圧トリップレベルVLVより小さい値であり、制御部140は低電圧トリップレベルVLVより小さい値よりも直流端電圧値Vdcが更に低いか否かを判断する。
【0106】
次に、制御部150は直流端電圧Vdcが結果値より小さいときは、電力ケーブル120が異常状態であると判断し(ステップ304)、それによって強制放電ロジックを実施する(ステップ305)。
【0107】
次に
図6を参照すると、制御部150は上記のような方法を介して電力ケーブルの異常状態が検出されたとき、メインリレーの状態を確認する(ステップ401)。好ましくは、制御部150はメインリレーの状態がオン状態であるか否かを判断する。
【0108】
次に、制御部150はメインリレーの状態がオン状態のとき、メインリレーの状態をオフ状態に変更する(ステップ402)。
【0109】
次に、制御部150はインバータ130の電流制御が可能であるか否かを判断する(ステップ403)。すなわち、制御部150はインバータ内に含まれたIGBPの正常動作が可能であるか、又はセンサなどの故障によってIGBTの正常動作が不可能であるかを判断する。
【0110】
次に、制御部150はインバータの電流制御が可能なとき、同期座標系のd軸の電流指令値を発生し、直流端コンデンサに蓄積された電圧を強制放電する(ステップ404)。同期座標系は回転子が作る磁束の軸から見た座標系である。
【0111】
一方、制御部150はインバータの電流制御が不可能なとき、同期座標系又は静止座標系のd軸の電流指令値を発生し、直流端コンデンサに蓄積された電圧を強制放電する(ステップ405)。
【0112】
本発明の実施例によれば、直流端ケーブルの断線及びコネクタの不接続が発生したとき、車両駆動中でも該当の異常を別途のハードウェアを追加することなくリアルタイムで検出することができ、故障と判断されたときは適切な強制放電ロジックを介して安全に車両を停止して運転者の安全性を向上させることができる。