特許第5886892号(P5886892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社吉田構造デザインの特許一覧

<>
  • 特許5886892-防護用ネット 図000002
  • 特許5886892-防護用ネット 図000003
  • 特許5886892-防護用ネット 図000004
  • 特許5886892-防護用ネット 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5886892
(24)【登録日】2016年2月19日
(45)【発行日】2016年3月16日
(54)【発明の名称】防護用ネット
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20160303BHJP
【FI】
   E01F7/04
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-78527(P2014-78527)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-200086(P2015-200086A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2015年9月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397034327
【氏名又は名称】有限会社吉田構造デザイン
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−350432(JP,A)
【文献】 特開2008−274754(JP,A)
【文献】 特開2000−282418(JP,A)
【文献】 特開2000−248514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 3/00− 8/00
E01F 13/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロープ材をネット状に編成して構成した防護用ネットであって、
ロープ材で構成する複数の連続輪要素と、
前記複数の連続輪要素を形成するための複数の閉鎖用緩衝具と、
隣り合う前記複数の連続輪要素の間を連結するための複数の連結用緩衝具とを具備し、
前記連続輪要素は互いに絡み合わさずに間隔を隔てて形成した複数の単体輪と、
隣り合う各単体輪の間に位置する複数の橋絡部とにより構成し、
前記複数の単体輪が拡縮するように、ロープ材の交差部に該ロープ材の摺動を許容する閉鎖用緩衝具を取り付け、
隣り合う連続輪要素の単体輪中間地点と橋絡部とを向かい合わせに配置するとともに、該単体輪の中間地点と橋絡部との間を連結用緩衝具で連結し
前記単体輪を千鳥状に配置したことを特徴とする、
防護用ネット。
【請求項2】
前記複数の連続輪要素を横向きにして多段的に配置したことを特徴とする、請求項1に記載の防護用ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は雪崩や落石、土石流、崩土、津波等の各種の衝撃エネルギーを効率良く減衰して受け止める防護用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロープ材を使用して無端のリング体を形成し、上下左右に隣り合う各リング体を係合させて鎖状に形成した防護用ネットが特許文献1,2に開示されている。
特許文献1,2に開示されたネットは、図4(A)に示すように各リング体aが周囲4個または6個のリング体aとそれぞれ係合していて、受撃時にリング体aの形状が円形から四角形または六角形に変更する際の変形抵抗で以て衝撃を吸収する。
【0003】
また、ロープ材をループさせて複数の単体輪を形成し、各単体輪を形成するロープ材の重合部と、隣り合う単体輪の交差部にそれぞれ緩衝具を組み付けた防護用ネットが特許文献3に開示されている。
特許文献3に開示されたネットは、各単体輪の変形抵抗と、ロープ材の摺動抵抗との複合作用により衝撃を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−53814号公報
【特許文献2】特開平10−88527号公報
【特許文献3】特開平11−350432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の防護用ネットにあってはつぎのような問題点がある。
<1>図4に示すように、特許文献1,2に開示されたネットでは、4個のリング体aが絡み合う場合、変形前のリング体aの径dを100%とすると受撃時における径d(間隔)の増加量が115%と小さい。6個のリング体aを絡み合わせた場合には、間隔の増加量がこれより小さくなる。
このように従来のネットは各リング体aの変形量が小さいために、ネット全体の衝撃吸収性能が低い範囲に抑えられていた。
<2>特許文献1,2に開示されたネットは無端のリング体aを互いに絡み合せた特殊構造を呈するため、ネットの製造コストがきわめて高くつく。
<3>複数のリング体aが絡み合った特許文献1,2に開示されたネットは、受撃時に一部のリング体aが円形から多角形に変形するものの、荷重の伝達範囲が狭い範囲に限られ、衝撃荷重をネット全体で分散して吸収することが困難である。
リング体aが円形から多角形に変形する際に、隣り合うリング体a間における荷重伝達が不均一となるためである。
<4>特許文献3に開示されたネットは、実施工や各種の試験を行い特許文献1,2と比べて高い減衰性能を有することが確認されたものの、ロープ材の摺動性に改善すべき余地がある。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて成されたもので、その目的とするところは簡易な構造で以てネットの変形性(フレキシビリティー)を高めて、衝撃吸収性能を格段に高められる防護用ネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はロープ材をネット状に編成して構成した防護用ネットであって、ロープ材で構成する複数の連続輪要素と、前記複数の連続輪要素を形成するための複数の閉鎖用緩衝具と、隣り合う前記複数の連続輪要素の間を連結するための複数の連結用緩衝具とを具備し、前記連続輪要素は互いに絡み合わさずに間隔を隔てて形成した複数の単体輪と、隣り合う各単体輪の間に位置する複数の橋絡部とにより構成し、前記複数の単体輪が拡縮するように、ロープ材の交差部に該ロープ材の摺動を許容する閉鎖用緩衝具を取り付け、隣り合う連続輪要素の単体輪中間地点と橋絡部とを向かい合わせに配置するとともに、該単体輪の中間地点と橋絡部との間を連結用緩衝具で連結し、前記単体輪を千鳥状に配置したことを特徴とする。
換言すれば、本発明はロープ材をネット状に編成して構成し、所定の間隔を隔てて固定点に固定される防護用ネットであって、一本のロープに余長をもって曲げ開始点から屈曲させてループを構成し、ループの終点が開始点と一致した交点を、一定以上の張力が作用したときに、摺動可能な閉鎖用緩衝具で固定し、前記交点から一定間隔ロープを直線状に伸ばし、前記と同様な第2のループを前記の第1ループと交差させることなく構成し、順次、繰り返して多数のループを有する第1の連続体要素を作成し、同様な方法で第2の連続体要素を作成し、第2の連続体要素の直線部と第1の連続体要素のループ下部が一致するように第2の連続体要素を移動させ、前記の摺動可能な連結用緩衝具で両者を固定し、順次、第3、第4の連続体要素を連結して構成したことを特徴とする。
本発明の他の形態において、前記複数の連続輪要素を横向きにして多段的に配置する。

【発明の効果】
【0008】
本発明では複数の連続輪要素を構成する隣り合う左右の各単体輪の間が絡み合っていない。
しかも各単体輪の中間地点と橋絡部の間を連結した連結用緩衝具が単体輪の拡縮動作に悪影響を与えない。
そのため、各単体輪の縮径変形量が従来と比べて大幅に増大し、ネット全体の変形性(フレキシビリティー)が高まって衝撃吸収性能が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る防護用ネットの一部の正面図
図2図1に示した防護用ネットの部分拡大図
図3】受撃時における防護用ネットの一部の正面図
図4】従来の防護用ネットの説明図で、(A)は受撃前におけるネットの拡大モデル図、(B)は受撃後におけるネットの拡大モデル図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜3を参照しながら本発明を実施するための好適な形態について説明する。
【0011】
<1>防護用ネットの概要
図1を参照して説明すると、防護用ネットは所定の間隔を隔てて立設した支柱等の固定点の間に取り付けられるネットであって、ロープ材20で構成する複数の連続輪要素10A,10B,10C・・・と、2本のロープ材20の摺動を許容して把持して各連続輪要素10A,10B,10C・・・のループ状の単体輪20a,20b,20c・・・を形成するための複数の閉鎖用緩衝具30と、2本のロープ材20の摺動を許容して把持して隣り合う複数の連続輪要素10A,10B,10C・・・の間を連結するための複数の連結用緩衝具40と、により構成する。
【0012】
本例では各単体輪20a,20b,20c・・・の最上位に閉鎖用緩衝具30を設け、防護用ネットの下辺に複数の連結用緩衝具40を介して連続した端ロープ25が水平に設けた形態を示す。
なお、端ロープ25は必須ではなく省略する場合がある。
また、本発明に係る防護用ネットの向きは図1に示す向きに限定されるものではなく、例えば図を180度、90度、又は45度回転した状態で使用してもよい。
【0013】
<2>連続輪要素
連続輪要素10Aは1本のロープ材20からなり、ロープ材20を複数のループ形状(又はスパイラルを展開した形状)に編成するとともに、ループさせたロープ材20の交差部を閉鎖用緩衝具30で把持して形成した複数の単体輪20a,20a・・・と、隣り合う左右の単体輪20a,20aの間に連続性を有して位置する複数の橋絡部21aとにより構成する。
他の連続輪要素10B,10C・・・についても同様に、1本のロープ材1をもとに連続して形成した複数の単体輪20b,20b・・・、20c,20c・・・と、複数の橋絡部21a,21b・・・、21c,21c・・・とにより構成する。
【0014】
<2.1>素材例
防護用ネットを構成するロープ材20や端ロープ25には、ワイヤロープが好適であるが、ワイヤロープ以外にPC鋼線、PC鋼より線や炭素繊維、アラミド繊維も使用可能である。
【0015】
<2.2>単体輪と橋絡部の形状
各単体輪20a,20b,20cは連続した1本のロープ材20の略円形、略楕円形等のループ状を呈する部位である。
各橋絡部21a,21b,21cは隣り合う左右の単体輪20a,20a(20b,20b、20c,20c)の間を連絡するロープであり、略直線形、または緩やかな円弧形を呈する。
【0016】
<2.3>単体輪の千鳥配置
各連続輪要素10A,10B,10C・・・はそれぞれ単体輪一つ分だけ左右にずれていて、各単体輪20a,20b,20c・・・が千鳥状に配置されている。
すなわち、最上位の連続輪要素10Aの単体輪20aの中間地点と、下位の連続輪要素10Bの橋絡部21bとが向かい合わせに配置され、該単体輪20aの中間地点と下位の橋絡部21bとの間を連結用緩衝具30が連結している。
二段目の連続輪要素10Bと三段目の連続輪要素10Cについても同様に単体輪20bの中間地点と、下位の橋絡部21cとが向かい合わせに配置され、該単体輪20bの中間地点と下位の橋絡部21cとの間を連結用緩衝具30が連結する。三段目以降についても同様である。
【0017】
<2.4>単体輪と橋絡部の寸法
各単体輪20a,20b,20c・・・と各橋絡部21a,21b,21c・・・は連続性を有する1本のロープ材で形成されている。
各単体輪20a,20b,20c・・・の径と設置間隔は適宜選択する。
また各橋絡部21a,21b,21c・・・の長さも適宜選択することができる。
【0018】
<2.5>左右に隣り合う単体輪の関係
同列上に位置し左右に隣り合う各単体輪20a,20a・・・の間(20b,20b・・・の間、20c,20c・・・の間)は連続性を有するが、互いの摺動を互いに干渉し合わないように絡み合ってはいない。
各単体輪20a(20b,20c・・・)を大径に形成した場合にあっても、左右に隣り合う各単体輪20a(20b,20c・・・)が重なり合うことはあっても絡み合うことはない。
左右に隣り合う各単体輪20a(20b,20c・・・)の絡み合いをなくしたのは、受撃時において互いに摺動を干渉し合わないようにして、各単体輪20a,20b,20c・・・の変位量を増大させるためである。
【0019】
<2.6>上下に隣り合う単体輪の関係
多段的に配置した複数の連続輪要素10A,10B,10C・・・を構成する上下の各単体輪20a,20b,20c・・・の間も互いに絡み合っていない。
【0020】
<2.7>上下に隣り合う単体輪と橋絡部の関係
上下に隣接する各連続輪要素10A,10B,10C・・・の間は、複数の連結用緩衝具40が連結してあって、荷重の伝達が可能である。
具体的には、隣接させた上位の各単体輪20a,20b,20c・・・の中間地点である底部のロープと、下位の橋絡部21a,21b,21c・・・を構成するロープの間を、連結用緩衝具40が連結する。
各単体輪20a,20b,20c・・・の中間地点と、下位の橋絡部21a,21b,21c・・・の間を連結したのは、各単体輪20a,20b,20c・・・を絡み合せずに上下に隣接する各連続輪要素10A,10B,10C・・・間に連続性を持たせて荷重伝達を可能に構成するためである。
このように本発明では千鳥状に配置した単体輪20a,20b,20c・・・が直接絡み合うことはないので、各単体輪20a,20b,20c・・・の大きさを任意に設定することができる。
【0021】
<3>閉鎖用緩衝具
閉鎖用緩衝具30は各単体輪20a,20b,20c・・・のループ形状(閉鎖形状)を維持するためと、受撃時に各単体輪20a,20b,20c・・・の拡縮を許容する摩擦摺動式の緩衝装置である。
閉鎖用緩衝具30としては、例えば公知のワイヤクリップや、ロープ材を挟持可能な複数の挟持板と、これらの挟持板を締め付けるボルト、ナットを組み合せた緩衝装置を適用することができる。設定した把持力(摺動摩擦抵抗)を越えると2本のロープ材の摺動を許容する緩衝装置であれば適用可能である。
【0022】
<4>連結用緩衝具
連結用緩衝具40は上下に隣り合う連続輪要素10Aと10B間、10Bと10C間・・・を連結するため摩擦摺動式の緩衝装置である。
具体的には隣接させた上位の各単体輪20a,20b,20cの中間地点と下位の橋絡部21a,21b,21cの間に取り付ける。
連結用緩衝具40としては、例えば公知のワイヤクリップや、ロープ材を挟持可能な複数の挟持板と、これらの挟持板を締め付けるボルト、ナットを組み合せた緩衝装置を適用することができる。
【0023】
[防護用ネットの製作方法]
防護用ネットの製作方法の一例について説明する。
【0024】
<1>連続輪要素の製作
1本のロープ材20を使用してループを連鎖的に形成し、各ループの交差部を閉鎖用緩衝具30で固定しながら、複数の単体輪20a,20a・・・が横列した最上段の連続輪要素10Aを製作する。同様に2段目以降の連続輪要素10B,10C・・・を製作する。
【0025】
すなわち、一本のロープ材20に余長をもって曲げ開始点から屈曲させてループ状を呈する複数の単体輪20a,20a・・・を形成し、ループの終点がループの開始点と一致した交点を、一定以上の張力が作用したときに、摺動可能な閉鎖用緩衝具30で固定する。
前記したループの交点から一定間隔のロープを直線状に伸ばし、前記と同様な第2のループ(単体輪)を前記の第1ループ(単体輪)と交差させることなく構成し、順次、繰り返して多数のループを有する第1の連続体要素10Aを作成する。同様の方法で第2、第3・・・の連続体要素10C,10D・・・を作成する。
【0026】
<2>連続輪要素間の連結
つぎに複数の連続輪要素10A,10B,10C・・・を多段的に配置し、隣接させた上位の各単体輪20a,20b,20c・・・と下位の橋絡部21a,21b,21c・・・との間を連結用緩衝具40で連結して、防護用ネットの組み立てを完了する。
【0027】
すなわち、第2の連続体要素10Bの直線部(橋絡部)と第1の連続体要素10Aのループ(単体輪)の下部が一致するように第2の連続体要素10Bを移動させ、摺動可能な連結用緩衝具40で両者を固定する。
順次、第3、第4の連続体要素10C,10D・・・の間を連結する。
【0028】
また防護用ネットの他の組み立て方法として、各連続輪要素10A,10B,10C・・・の製作過程で連結用緩衝具40を取り付けて組み立ててもよい。
本例では複数本のロープ材20と、複数の緩衝具30,40を用いるだけで防護用ネットを簡単かつ低コストに製作できる。
防護用ネットは一本の連続したロープ材20を互いに絡み合わさずにネット状に編成するだけであるから、防護用ネットの製作に特別高度な製作技術は不要であり、さらに特殊構造の製造装置も不要である。
【0029】
[衝撃吸収作用]
つぎに周辺を固定した防護用ネットの中央に落石等の衝撃が作用した場合の衝撃吸収作用について説明する。
なお、防護用ネットの取付ける固定点は支柱に限定されず、立木や他の反力部材を含む。また防護用ネットに作用する衝撃も落石に限定されず、雪崩、土石流、崩土等を含む。
【0030】
<1>衝撃の伝達
防護用ネットの一部に衝撃が作用すると、この衝撃は連結用緩衝具40を介して上下方向に連続性を持たせた連続輪要素10A,10B,10C・・・に伝達され、さらに各連続輪要素10A,10B,10C・・・においては閉鎖用緩衝具30を介して横方向に連続性を持たせた単体輪20a,20b,20cに伝達される。
このように防護用ネットの一部に作用した衝撃がネット全体に伝達される。
【0031】
<2>単体輪の拡縮変形
図3は防護用ネットの中央部に衝撃が作用した形態を示す。
衝撃作用前の防護用ネットは各単体輪20a,20b,20c・・・は整然と千鳥状に配列されているが、衝撃が作用すると受撃位置からの距離によって各単体輪20a,20b,20c・・・の変形形態が相違する。
すなわち、衝撃が作用した部位の近傍に位置する単体輪は縮径し、その外側に位置する単体輪は拡径するように変形する。
本発明に係る防護用ネットは、隣り合う左右の各単体輪20a,20a・・・(20b,20b・・・、20c,20c・・・)の間が絡み合っていないので、各単体輪20a,20a・・・(20b,20b・・・、20c,20c・・・)の拡縮が阻害されず、効率よく衝撃を吸収することができる。
以下に各単体輪20a,20b,20c・・・の拡縮変形について詳しく説明する。
【0032】
<2.1>単体輪の縮径
図示した形態について説明すると、中央に位置する連続輪要素10Cを構成する橋絡部21bに引張力が作用する。この引張力が閉鎖用緩衝具30の把持力を越えるとロープ材20が摺動して各単体輪20bが縮径する。
各単体輪20b,20b・・・の縮径量は衝突位置が最も大きく、衝突位置から離れるにしたがって縮径量が小さくなる。
各単体輪20bの底部が連結用緩衝具40を介して下段の橋絡部21cに連結されているが、各単体輪20bの連結位置が単体輪20bの中間地点であるため、連結用緩衝具40は単体輪20bの拡径に悪影響を与えない。
他の連続輪要素10B,10Dについても上記と同様である。
【0033】
<2.2>単体輪の拡径
最外方に位置する10A,10Eについては、各単体輪20a,20eに引張力が作用する。
この引張力が閉鎖用緩衝具30の把持力を越えると各単体輪20a,20eは拡径する。
各単体輪20a,20eの拡径量は衝突位置から離れるにしたがって大きくなる。
各単体輪20bの底部(中間地点)が連結用緩衝具40を介して下段の橋絡部21cに連結されているので、連結用緩衝具40は単体輪20bの拡径に悪影響を与えない。
【0034】
<3>縦横方向へ向けたネットの伸長量
複数の連続輪要素10A,10B,10C・・・を横向きにして多段的に配置することで、防護用ネットは縦方向の伸長量に対して横方向へ向けた伸長量が卓越する。
防護用ネットを防護柵の防護ネットに適用した場合、上記した特性はネットの上下辺の柵高変位を小さく抑制できるとともに、ネットの横方向へ向けた撓み変形量を大きく確保できてネットによる衝撃吸収性能の向上が可能となる。
【0035】
<4>ネットの変形性
複数のリング体を絡み合わせた従来の防護用ネットは、リング体の変形量が小さいために、ネット全体の変形性に問題があった。
これに対して本発明では、各単体輪20a,20b,20c・・・の縮径変形量が従来と比べて大幅に増大するため、ネット全体の変形性(フレキシビリティー)が高まって衝撃吸収性能が格段に向上する。
【0036】
<5>防護ネットの用途例
防護ネットは落石防護柵に限定されるものではなく、支柱を具備しない土石流、崩土、津波等の減衰用途に適用することも可能である。
用途が何れであっても、防護ネットの相対向する一対の側辺、または四辺を反力部材に固定して使用する。
【符号の説明】
【0037】
10A,10B,10C・・・連続輪要素
20・・・・・ロープ材
20a・・・・連続輪要素10Aを構成する単体輪
20b・・・・連続輪要素10Bを構成する単体輪
20c・・・・連続輪要素10Cを構成する単体輪
21a・・・・連続輪要素10Aを構成する橋絡部
21b・・・・連続輪要素10Bを構成する橋絡部
21c・・・・連続輪要素10Cを構成する橋絡部
21・・・・・コンクリート基礎の天端
25・・・・・端ロープ
30・・・・・閉鎖用緩衝具
40・・・・・連結用緩衝具
図1
図2
図3
図4