【文献】
杉山 浩平,ネットワーク分析手法を用いた企業間の取引関係ネットワーク分析,電子情報通信学会技術研究報告 Vol.105 No.113,日本,社団法人電子情報通信学会,2005年 6月 9日,p.83-88
【文献】
遠藤 龍生,液晶部材市場における取引関係,映像情報メディア学会技術報告 Vol.32 No.51,日本,(社)映像情報メディア学会,2008年11月19日,p.37-42
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各企業の企業名、所在地等の属性情報と、各企業の得意先企業及びその取引品目、各企業の仕入先企業及びその取引品目からなる取引関係情報とを、ユニークな企業コードに関連付けて複数格納しておく企業情報記憶手段と、
この企業情報記憶手段を参照してマップ情報を生成するマップ情報生成手段と、
このマップ情報に基づいて取引関係マップを生成すると共に、この取引関係マップを表示する領域を備えたマップ画面を外部に出力するマップ出力手段とを備えた取引関係マップ生成システムであって、
上記マップ情報生成手段が、特定の企業を分析対象として指定する表示条件が入力された場合に、上記企業情報記憶手段を参照して当該企業に係る必要な属性情報及び取引関係情報を抽出する処理と、
上記企業情報記憶手段を参照して当該企業の得意先企業及び仕入先企業に係る必要な属性情報を少なくとも抽出する処理と、
当該企業を特定する情報、当該企業に係る属性情報、当該企業の得意先企業及び取引品目を特定する情報、当該企業の仕入先企業及び取引品目を特定する情報を少なくとも含むマップ情報を生成する処理を実行し、
上記マップ出力手段が、上記マップ情報に基づいて、少なくとも平面上に配置された各企業の存在を示すドット状シンボルと、各ドット状シンボル間を繋ぐ各企業間の取引関係を示すリンク線と、各ドット状シンボルが選択された際に少なくとも対応する企業名を表示するためのポップアップウィンドウを備えた取引関係の概要マップを生成すると共に、この概要マップを含む概要マップ画面を外部に出力する処理と、
この概要マップ画面に設けられた詳細マップボタンが選択された場合に、各企業の存在を示すシンボルが平面上に配置されると共に、各企業の企業名及び必要な属性情報が各シンボル中に表示されており、また企業間の取引関係の存在が各シンボル間を繋ぐリンク線によって表現されており、また取引の方向が各リンク線の先端に付与された矢印によって示されており、また上記取引品目を表す文字列が各リンク線の近傍に配置されている取引関係の詳細マップを生成すると共に、この詳細マップを含む詳細マップ画面を外部に出力する処理と、
この詳細マップ画面に設けられた概要マップボタンが選択された場合に、上記の概要マップ画面を外部に出力する処理を実行することを特徴とする取引関係マップ生成システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、この発明に係る取引関係マップ生成システム10の全体構成を示すブロック図であり、信用調査報告書記憶部12と、企業情報生成部14と、企業情報記憶部16と、産業別関連企業情報記憶部18と、マップ情報生成部20と、マップ情報記憶部22と、マップ出力部24とを備えている。
このシステム10には、通信ネットワークを介してWebサーバ26が接続されている。また、Webサーバ26には、Webブラウザプログラムを搭載したPC等よりなる複数のクライアント28が、インターネット等の通信ネットワークを介して接続されている。
【0023】
上記の企業情報生成部14、マップ情報生成部20及びマップ出力部24は、サーバコンピュータのCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って所定の処理を実行することで実現される。
また、上記の信用調査報告書記憶部12、企業情報記憶部16、産業別関連企業情報記憶部18及びマップ情報記憶部22は、同コンピュータのハードディスク内に設けられている。
【0024】
上記の信用調査報告書記憶部12には、信用調査会社によって作成された多数の調査対象企業に関する信用調査報告書データが、年度毎に過去数十年分蓄積されている。
この信用調査報告書データは、各企業の基本情報(企業コード、商号、代表者、所在地、電話番号、企業URL、上場区分、設立年月日、資本金、事業内容、取引銀行、従業員数等)の他に、役員構成、株主構成、親子会社関係、過去の業績、今後の業績見通し、取引先(仕入先及び得意先)、財務諸表等を含む膨大なテキストデータであり、一企業/一年分で数十頁にも及ぶものである。
図2は、この信用調査報告書データのイメージを示すものであり、ある調査対象企業の取引先(仕入先及び得意先)に関する頁が例示されている。
【0025】
この信用調査報告書データ中に登場する各企業には、調査対象企業はもちろん、取引先や得意先、親会社/子会社に至るまで、その規模の大小を問わず全てについて独自のコード体系に基づく9桁のユニークな企業コードが付与されている。
【0026】
上記の企業情報記憶部16には、企業情報生成部14が信用調査報告書データから抽出した企業情報が、所定のファイル形式(例えばCSV形式)で多数格納されている。
図3は、この企業情報の一例を示すものであり、企業名、企業コード、所在地、上場区分、証券コード、業種名、業種コード、売上高、利益率、従業員数、仕入先/品目、得意先/品目、親会社、…報告年月日等のデータ項目を備えている。
図示の企業情報は、1企業のある年度におけるデータに相当するものであり、企業情報記憶部16には多数の企業に係る複数年分のデータが格納されている。
また、図示は省略したが、仕入先や得意先、親会社が複数存在する場合には、該当項目が複数設けられる。
【0027】
信用調査報告書データは、基本的にフリーワードで記載されたテキスト形式のデータであり、予め構造化されていないため、企業情報生成部14は信用調査報告書中に記述された所定のキーワードを検索し、当該キーワードと一定の位置関係を有する文字列を、必要データとして抽出する。
例えば、企業情報生成部14は「■主要得意先」をキーワードにして
図2に示した頁に辿り着いた後、企業名+企業コードの文字列の直前に配置されている「切削工具」の文字列を、当該企業の「得意先品目」として抽出する。
【0028】
上記の産業別関連企業情報記憶部18には、
図4に示すように、「電気自動車関連」や「環境関連」、「石油関連」のように、予め設定された複数の産業分野と、各産業分野に関係する企業の企業名及び企業コードと、各企業に付与されている分類との対応関係を定義したレコードが格納されている。
図においては、各企業の分類として「業種大分類」、「業種中分類」、「機能分類」の3つが挙げられているが、他の分類項目(例えば「業種細分類」)を設定しておくこともできる。
因みに、「業種大分類」は一般的な産業分類の大分類に相当し、「業種中分類」はその中分類に相当する。また「機能分類」は、一般的な産業分類とは別に、当該産業分野において各企業が実質的に果たしている機能(役割)を設定する分類項目であり、「素材メーカ」や「コンサル」、「商社」等の分類名が、経験を積んだ分析者によって付与される。
【0029】
つぎに、
図5のフローチャートに従い、取引関係マップの生成及び表示に係る処理手順を説明する。
まず、クライアント28がWebサーバ26にログインすると(S10)、Webサーバ26からクライアント28に対して検索画面が送信され(S12)、Webブラウザ上に表示される(S14)。
【0030】
図6に示すように、この検索画面30は、企業名入力欄32、企業コード入力欄34、及び産業分野選択欄36が設けられている。
ここでユーザが企業名入力欄32に「ABC工業」を入力し、検索ボタン38をクリックすると、「企業名=ABC工業」の検索条件がWebサーバ26に送信される(S16)。
【0031】
Webサーバ26を介してこの検索条件を取得したマップ情報生成部20は、「ABC工業」をキーに企業情報記憶部16を検索し、この検索条件にマッチする企業情報を抽出する(S18)。
なお、複数の「ABC工業」がヒットした場合には、マップ情報生成部20によって各「ABC工業」の企業コード及び所在地が列記された企業選択画面(図示省略)が生成され、Webサーバ26経由でクライアント28に送信される。
これに対しユーザは、複数の候補企業中から意中の「ABC工業」のラジオボタンにチェックを入れ、検索対象企業を選択する。
【0032】
ターゲット企業が特定された時点で、マップ情報生成部20は以下の情報を抽出する。
(1)「ABC工業」自身の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)
(2)「ABC工業」の仕入先企業(企業名及び企業コード)及び仕入先品目
(3)「ABC工業」の得意先企業(企業名及び企業コード)及び得意先品目
この(1)〜(3)の情報は、「ABC工業」自身の属性情報と、ABC工業の視点に立った取引関係情報に該当する。
【0033】
つぎにマップ情報生成部20は、以下の情報を抽出する。
(4)「ABC工業」が「得意先」として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び得意先品目
(5)「ABC工業」が「仕入先」として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び仕入先品目
このように、「ABC工業」を取引先としている企業側の属性情報及び取引関係情報を抽出することにより、「ABC工業」が認識していない企業(主として中小零細企業)との間における取引関係を抽出することが可能となる。
【0034】
つぎにマップ情報生成部20は、以下の情報を抽出する。
(6) 上記の(4)及び(5)の企業が得意先として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び得意先品目
(7) 上記の(4)及び(5)の企業が仕入先として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び仕入先品目
【0035】
つぎにマップ情報生成部20は、以下の情報を抽出する。
(8) 上記の(6)及び(7)の企業が得意先として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び得意先品目
(9) 上記の(6)及び(7)の企業が仕入先として登録されている企業の属性情報(企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分、証券コード、売上高、従業員数等)及び仕入先品目
【0036】
以後もマップ情報生成部20は、上記の(4)〜(9)に記した処理を継続し、「ABC工業」の一次取引先、二次取引先、三次取引先…というように、「ABC工業」を出発点として取引関係の階層を深化させていき、多数企業の属性情報及び取引関係情報を抽出する。
ただし、階層が一段深まる度に、抽出される企業の数は幾何級数的に増大していくため、抽出すべき企業数に予め一定の限界を設けておき、これを超える前に抽出処理を停止するように、マップ情報生成部20の動作は制御されている。
一対の企業間において取引関係情報が重複して抽出された場合、マップ情報生成部20は所定の選定ルールに従って何れか一の取引関係情報のみを採用し、残りの取引関係情報は破棄する。
【0037】
つぎにマップ情報生成部20は、これらの抽出情報に基づいてマップ情報を生成し、マップ情報記憶部22に格納する(S20)。
図7は、このマップ情報の一例を示すものであり、各企業の属性情報については、同図(a)に示すように、企業コードに続けて企業名、所在地、業種コード、業種名、上場区分、売上高、従業員数が記述されている。
【0038】
また、一対の企業間の取引関係については、同図(b)に示すように、「企業コード−>企業コード」によって取引の方向を表現すると共に、取引品目については「[label=品目(各種金属等)]」によって表現されている。
【0039】
マップ情報生成部20によってマップ情報が生成されると、マップ出力部24が起動し、マップ情報に基づいて概要マップを生成する(S22)。
つぎに、この概要マップを含む画面(Htmlファイル)が、Webサーバ26からクライアント28に送信され(S24)、Webブラウザ上に表示される(S26)。
【0040】
図8は、この概要マップ画面40を示すものであり、画面40の中心にはマップ表示領域41が設けられている。
このマップ表示領域41においては、分析対象企業の存在が黒色のドット状シンボル42によって表現されると共に、他の取引関係企業の存在が白色のドット状シンボル43によって表現され、各企業間の取引関係がドット状シンボル間を繋ぐリンク線44によって表現された「概要マップ45」が表示されている。
【0041】
この概要マップ45は、多数の企業間における取引関係の全体像を俯瞰するためのものであり、表示内容は極めてシンプルに抑えられているが、ユーザが任意のドット状シンボル42, 43にマウスポインタ46を翳すとポップアップウィンドウ47が開き、企業名が表示される。
もちろん、企業名以外の情報(所在地、売上高、従業員数等)を、ポップアップウィンドウ47中に表示させるようにしてもよい。
【0042】
ユーザは、マップ表示領域41の任意の箇所で左クリックをしながらマウスポインタ46の位置を上下左右に移動させることにより、概要マップ45の表示範囲を自由に変更することができる。
【0043】
ドット状シンボル43の配置数やリンク線44の分岐具合によって、企業間の取引関係の全体像を把握したユーザは、詳細マップボタン48をクリックし、詳細マップ画面の表示をWebサーバ26にリクエストする(S28)。
【0044】
Webサーバ26経由でこのリクエストを受け取ったマップ出力部24は、マップ情報記憶部22内に格納されたマップ情報に基づいて詳細マップを生成する(S30)。
つぎに、この詳細マップを含む画面(Htmlファイル)が、Webサーバ26からクライアント28に送信され(S32)、Webブラウザ上に表示される(S34)。
【0045】
図9は、この詳細マップ画面50を示すものであり、画面50の中心にはマップ表示領域41が設けられている。
図10は、このマップ表示領域41に表示された詳細マップ51の拡大図であり、各企業の存在が矩形状シンボル53によって表現されている。
【0046】
各矩形状シンボル53内には、企業名、企業コード、所在地、業種コード、業種名、上場区分(証券市場または未上場)、証券コード(上場の場合のみ)、売上高、従業員数が記述されており、ユーザは一目で各企業の概要を認識することができる。
この矩形状シンボル53内に表記される企業属性の項目は上記に限定されるものではなく、他の属性情報を表記することもできる。
【0047】
また、企業間の取引関係が、矩形状シンボル53間を繋ぐリンク線54によって表現されている。この結果ユーザは、リンク線54で繋がれた矩形状シンボル53に記述された企業間において、何らかの取引関係が存することを認識することができる。
また、各リンク線54の先端に設けられた矢印により、ユーザは取引の方向を理解することができる。例えば、「タクマプレス」の矩形状シンボル53から「ABC工業」の矩形状シンボル53に向けてリンク線が張られているため、タクマプレスはABC工業の仕入先であり、逆にABC工業はタクマプレスの得意先であることを、ユーザは理解する。
さらに、リンク線54上あるいはその近傍に、取引品目(取引対象商品・サービス)を示す文字列55が表示されているため、ユーザは取引の具体的内容までも把握することが可能となる。
【0048】
この場合もユーザは、マップ表示領域41の任意の箇所で左クリックをしながらマウスポインタ46の位置を上下左右に移動させることにより、詳細マップ51の表示範囲を自由に変更することができる。
また、ユーザは概要マップボタン56をクリックすることにより、概要マップ画面40に戻り、全体のイメージを再確認することもできる。
【0049】
ユーザが任意の矩形状シンボル53をダブルクリックすると、図示は省略したが、当該企業の詳細情報や、財務関連の時系列情報が記載された画面がマップ出力部24より送信され、クライアント28のWebブラウザ上に表示される。
この結果ユーザは、必要な企業のさらに詳細な情報を確認することができる。
【0050】
上記のように、ユーザは概要マップ45という簡略化された表示形式によって、まずはターゲット企業の取引関係を概観した後、詳細マップ51を通じてより具体的な情報を閲覧するという、2段階の表示形式を辿ることにより、複雑な取引関係の全体像と、それぞれの詳細情報とを効率よく把握することが可能となる。
【0051】
ただし、各画面における表示内容については上記の概要マップ45及び詳細マップ51に限定されるものではなく、中間的な表示レベルの画面を採用することもできる。
例えば、
図11に示すように、企業名のみを表示した小判型シンボル58によって企業の存在を示すと共に、各シンボル58間を繋ぐ矢印付のリンク線59によって、企業間の取引関係の有無及び取引の方向を表す中間マップ60を生成することもできる。
この中間マップ60のリンク線59上に、取引品目の文字列を表示させてもよい。
【0052】
この中間マップ60は、上記した概要マップ45の代わりに表示させることもできるが、概要マップ45と詳細マップ51との間に組み入れて、「概要マップ45→中間マップ60→詳細マップ51」のように3段階で表示レベルが切り替わるように構成してもよい。
【0053】
図8に示したように、概要マップ画面40中には年度指定欄62が設けられており、▼ボタンをクリックしてプルダウンメニュー中から他の年度(例えば1999年)を選択し直し、再表示ボタン63をクリックすると、Webサーバ26経由で1999年当時の概要マップの表示リクエストが、マップ情報生成部20に送信される。
【0054】
これを受けたマップ情報生成部20は、企業情報記憶部16から1999年度の企業情報を抽出してマップ情報を生成し、マップ情報記憶部22に格納する。
つぎにマップ出力部24が起動し、この新たなマップ情報に基づいて概要マップ画面40を生成する。
この概要マップ画面40は、Webサーバ26経由でクライアント28に送信される。
この結果、クライアント28のWebブラウザ上には、ABC工業に関する10年前の取引関係マップが表示される。
【0055】
ユーザが、概要マップ画面40中の印刷ボタン64をクリックすると、クライアント28に接続されたプリンタ(図示省略)から概要マップ45がプリントアウトされる。
またユーザが、概要マップ画面40中の保存ボタン65をクリックすると、マップ出力部24によって概要マップ40の画像ファイル(GIFやBMP等)が生成され、クライアント28のハードディスクにダウンロードされる。
【0056】
ユーザは、絞り込み設定欄66において表示条件を設定することにより、概要マップ45に表示される企業数を抑制することができる。
例えば、ユーザが売上高設定部67において、「売上高:10百万円以上」と選択入力して再表示ボタン63をクリックすると、上記の条件に合致する企業のみが概要マップ45中に表示された概要マップ画面40が再生成され、クライアント28のWebブラウザ上に表示されることになる。
同様に、ユーザが利益率設定部68において、「利益率20%以上」と選択入力して再表示ボタン63をクリックすると、上記の条件に合致する企業のみが概要マップ45中に表示された概要マップ画面40が再生成され、クライアント28のWebブラウザ上に表示されることになる。
ユーザが売上高または利益率の上限と下限の両方に条件を設定した場合には、この条件範囲に該当する企業のみが概要マップ45中に再表示される。
もちろんユーザは、売上高と利益率の両者について、同時に表示条件を設定することもできる。
【0057】
ユーザはまた、色分け設定欄69において「独立/系列」のチェックボックス70にチェックを入れると共に、独立及び系列それぞれの色彩を選択入力することにより、当該企業が独立系か系列系か(企業情報に親会社の登録があるか否か)に応じて、白一色で表現されたドット状シンボル43を、異なった色彩(例えば、独立系→ブルー/系列系→ピンク)で色分け表示させることが可能となる。
色分けの基準はこれ(独立系/系列系)に限定されるものではなく、他の基準によって色分けできるようにしてもよい。また、色分けの数も2色に限定されるものではなく、3色以上に色分けするように構成することもできる。
【0058】
図9に示したように、詳細マップ画面50中にも年度指定欄62が設けられているため、ユーザはこの年度指定欄62において他の年度を指定し、再表示ボタン63をクリックすることにより、詳細マップ51に表示させる企業の属性情報及び企業間の取引情報を、他の年度のものに差し替えることができる。
【0059】
またユーザが、絞り込み設定欄66の売上高設定部67において所定の売上高を選択入力し、再表示ボタン63をクリックすると、この表示条件に合致する企業のみが詳細マップ51中に表示された詳細マップ画面50が再生成され、クライアント28のWebブラウザ上に表示される。
同様に、ユーザが利益率設定部68において所定の利益率を選択入力し、再表示ボタン63をクリックすると、この条件に合致する企業のみが詳細マップ51中に表示された詳細マップ画面50が再生成され、クライアント28のWebブラウザ上に表示される。
【0060】
ユーザはまた、色分け設定欄69において「独立/系列」のチェックボックス70にチェックを入れると共に、独立及び系列それぞれの色彩を選択入力することにより、当該企業が独立系か系列系かに応じて、矩形状シンボル53を異なった色彩で表示させることが可能となる。
【0061】
ユーザが詳細マップ画面50中の印刷ボタン64をクリックすると、クライアント28に接続されたプリンタ(図示省略)から詳細マップ51がプリントアウトされる。
またユーザが、詳細マップ画面50中の保存ボタン65をクリックすると、マップ出力部24によって詳細マップ51の画像ファイル(GIFやBMP等)が生成され、クライアント28のハードディスクにダウンロードされる。
【0062】
ユーザが、
図6の検索画面30において企業名や企業コードを指定する代わりに、産業分野選択欄36において特定の産業分野(例えば「電気自動車」)を選択入力すると、マップ情報生成部20は産業別関連企業情報記憶部18を参照し、産業分野として電気自動車が設定されている企業名及び企業コードを特定する。
【0063】
つぎにマップ情報生成部20は、企業情報記憶部16からこれらの企業の属性情報や取引関係情報を抽出し、マップ情報を生成する。
この際、各企業の取引先(得意先及び仕入先)として「電気自動車」の産業分野が設定されていない企業も当然に抽出されるが、マップ情報生成部20はこれらの企業を破棄し、「電気自動車」の産業分野が設定されている企業のみを取引先として残す。
【0064】
マップ出力部24は、このマップ情報に基づいて概要マップ画面40や詳細マップ画面50を生成し、クライアント28に送信する。
この結果、図示は省略したが、クライアント28のWebブラウザ上には特定の産業分野に属する企業間の取引関係が表示される。
【0065】
ユーザが特定の産業分野を選択した際に、いきなり個々の企業レベルの取引関係マップを生成・表示するのではなく、企業分類レベルで各企業間の取引関係を抽象化させた取引関係マップを生成・表示することにより、ユーザに当該産業分野の全体構造を俯瞰させることもできる。
【0066】
図12は、マップ表示領域41に表示された第1の産業分野別取引関係マップ71を示すものであり、業種大分類の存在が矩形状シンボル72によって集約的に表現されている。
各矩形状シンボル72内には、分類名(「F 製造業」等)、企業数、売上高合計、従業員数合計が記述されており、ユーザは一目で各分類の当該産業分野に占める大きさ(存在感)を認識することができる。
この矩形状シンボル72内に表記される企業属性の項目は上記に限定されるものではなく、他の属性情報を表記することもできる。
【0067】
この第1の産業分野別取引関係マップ71においては、各分類に属する企業間の取引関係の存在が、矩形状シンボル72間を繋ぐリンク線73によって表現されている。この結果ユーザは、リンク線73で繋がれた矩形状シンボル72に記述された分類間(分類に属する企業間)において、何らかの取引関係が存することを認識することができる。
また、リンク線73の近傍には、取引企業数の集計値を示す文字列(数値)74が表示されているため、ユーザは取引関係の多寡までも把握可能となる。
さらに、各リンク線73の先端に設けられた矢印により、ユーザは取引の方向を理解することができる。
【0068】
例えば、「F 製造業」の矩形状シンボル72と「D 鉱業」の矩形状シンボル72との間には、「F 製造業」から「D 鉱業」に向かうリンク線73と、「D 鉱業」から「F 製造業」に向かうリンク線73とが表示されているため、ユーザは両分類間では双方向の取引が存在することを認識できる。また、前者の取引企業数が「10社」であるのに対し、後者の取引企業数が「2社」であることから、「F 製造業」→「D 鉱業」の取引関係の方が活発であることも把握できる。
【0069】
なお、同一分類に属する企業間の取引関係の有無は、矩形状シンボル72に付加されたUターン状矢印線75によって表現されており、その近傍に配置された文字列(数値)74によって取引企業数が表現されている。
この結果、ユーザは「F 製造業」に属する1741社間において、同業種内取引が存在していることを認識可能となる。
【0070】
以下、
図13のフローチャートに従い、この第1の産業分野別取引関係マップ71の生成に係る処理手順を説明する。
まず、マップ情報生成部20は産業別関連企業情報記憶部18を参照し、ユーザが選択入力した特定の産業分野(例えば「電気自動車」)に属する企業(「電気自動車」が「産業分野」として設定されている企業)の企業名、企業コード、業種大分類を取得する(S50)。
つぎにマップ情報生成部20は、企業情報記憶部16からこれらの企業の属性情報(売上高、従業員数等)や取引関係情報を抽出する(S51)。
この際、各企業の取引先(得意先及び仕入先)として「電気自動車」の産業分野が設定されていない企業も当然に抽出されるが、マップ情報生成部20はこれらの企業を破棄し、「電気自動車」の産業分野が設定されている企業のみを取引先として残す。
【0071】
つぎにマップ情報生成部20は、各企業に設定された「業種大分類」に基づいて各企業を仕分けし(S52)、分類単位で所属企業数をカウントする(S53)。
【0072】
つぎにマップ情報生成部20は、分類単位で所属企業の売上高及び従業員数を集計した後(S54)、それぞれの集計値を予め設定された換算テーブルに当てはめることにより、売上高合計と従業員数合計の範囲帯を決定する(S55)。
例えば、「L サービス業」に属する全企業の売上高合計が「5,200億円」であった場合、マップ情報生成部20は上記の換算テーブルに従い、これを「1000〜10000億円」の表示用文字列に変換する。また、「L サービス業」に属する全企業の従業員数合計が「6,807人」であった場合、マップ情報生成部20は上記の換算テーブルに従い、これを「5000〜9999人」の表示用文字列に変換する。
なお、売上高及び従業員数の集計値を上記のような範囲帯に変換することなく、そのまま矩形状シンボル72中に表示させてもよい。
【0073】
つぎにマップ情報生成部20は、各企業間の取引関係を分類単位で集計する(S56)。
例えば、「F 製造業」に属する企業甲の取引関係情報に、仕入先として「D 鉱業」に属する企業乙が記載されていた場合、マップ情報生成部20は「F 製造業→D 鉱業:1社」の取引関係を抽出する。同様に、「F 製造業」に属する企業丙の取引関係情報に、仕入先として「D 鉱業」に属する企業丁が記載されていた場合、マップ情報生成部20は「F 製造業→D 鉱業:1社」の取引関係を抽出する。
これに対し、「F 製造業」に属する企業の取引関係情報に、得意先として「D 鉱業」に属する企業が記載されていた場合には、マップ情報生成部20は「D 鉱業→F 製造業:1社」の取引関係を抽出する。
そして最後に、全ての「F 製造業→D 鉱業:1社」を集計することによって「F 製造業→D 鉱業:10社」の取引企業数が求められ、全ての「D鉱業→F 製造業:1社」を集計することによって「D 鉱業→F 製造業:2社」の取引企業数が求められる。
【0074】
つぎにマップ情報生成部20は、上記の演算結果(分類毎の企業数、売上高合計、従業員数合計、分類間の取引方向及び取引企業数)を反映させた所定形式のマップ情報を生成し、マップ情報記憶部22に格納する(S57)。
【0075】
つぎに、マップ出力部24がこのマップ情報に従って、
図12に示した第1の産業分野別取引関係マップ71を生成する(S58)。
最後に、この第1の産業分野別取引関係マップ71を含む画面(Htmlファイル)が、Webサーバ26からクライアント28に送信され(S59)、Webブラウザ上に表示される。
【0076】
図14は、第2の産業分野別取引関係マップ76を示すものであり、特定の産業分野に属する企業間の取引関係が、機能分類の存在を示す円形状シンボル77によって集約的に表現されている。
各円形状シンボル77内、または円形状シンボル77の近傍に配置された吹き出しウィンドウ78内には、分類名(「素材メーカ」等)及び企業数が記述されている。
また、各円形状シンボル77の大きさ(直径)は、各分類に属する全企業の売上高合計に対応して大きくなるように表示されているため、ユーザは一目で各分類の当該産業分野に占める大きさ(存在感)を認識することができる。
【0077】
この第2の産業分野別取引関係マップ76においては、各分類に属する企業間の取引関係の存在が、円形状シンボル77間を繋ぐリンク線79によって表現されている。この結果ユーザは、リンク線79で繋がれた円形状シンボル77に記述された分類間(分類に属する企業間)において、何らかの取引関係が存することを認識することができる。
また、リンク線79の近傍には、取引企業数の集計値を示す文字列74が表示されているため、ユーザは取引関係の多寡までも把握可能となる。
さらに、各リンク線79の先端に設けられた矢印により、ユーザは取引の方向を理解することができる。
しかも、各リンク線79の太さは取引企業数に対応して太くなるように表示されているため、ユーザは一目で分類間における取引の活発度を認識することができる。
【0078】
以下、
図15のフローチャートに従い、この第2の産業分野別取引関係マップ76の生成に係る処理手順を説明する。
まず、マップ情報生成部20は産業別関連企業情報記憶部18を参照し、ユーザが選択入力した特定の産業分野(例えば「電気自動車」)に属する企業の企業名、企業コード、機能分類を取得する(S60)。
つぎにマップ情報生成部20は、企業情報記憶部16からこれらの企業の属性情報(売上高等)や取引関係情報を抽出する(S61)。
この際、各企業の取引先(得意先及び仕入先)として「電気自動車」の産業分野が設定されていない企業も当然に抽出されるが、マップ情報生成部20はこれらの企業を破棄し、「電気自動車」の産業分野が設定されている企業のみを取引先として残す。
【0079】
つぎにマップ情報生成部20は、各企業に設定された「機能分類」に基づいて各企業を仕分けし(S62)、分類単位で所属企業数をカウントする(S63)。
【0080】
つぎにマップ情報生成部20は、分類単位で構成企業の売上高を集計した後(S64)、それぞれの集計値を予め設定された「売上高範囲−直径」換算テーブルに当てはめることにより、売上高合計に対応した円の直径を決定する(S65)。
例えば、「素材メーカ」に属する全企業の売上高合計が「8,000億円」であった場合、マップ情報生成部20は上記の換算テーブル中の「売上高合計5,000〜9,999億円:直径200ピクセル」を参照し、これに「200ピクセル」の直径を割り当てる。
【0081】
つぎにマップ情報生成部20は、上記と同様の手順により、各企業間の取引関係を分類単位で集計した後(S66)、それぞれの集計値(取引企業数)を予め設定された「取引企業数−太さ」換算テーブルに当てはめることにより、取引企業数に対応したリンク線の太さを決定する(S67)。
例えば、「商社」から「素材メーカ」に向かう取引関係の企業数が「210社」であった場合、マップ情報生成部20は上記の換算テーブル中の「200社以上:10pt」を参照し、これに「10pt」の太さを割り当てる。
【0082】
つぎにマップ情報生成部20は、上記の演算結果(分類毎の企業数、売上高合計に対応した円形状シンボルの直径、分類間の取引方向、取引企業数、取引企業数に対応したリンク線の太さ)を反映させたマップ情報を生成し、マップ情報記憶部22に格納する(S68)。
【0083】
つぎに、マップ出力部24がこのマップ情報に従って、
図14に示した第2の産業分野別取引関係マップ76を生成する(S69)。
この際、マップ出力部24は、各分類に割り当てられた直径を備えた円形状シンボル77を描画すると共に、当該分類の分類名及び企業数を表す文字列を円形状シンボル77内に記述する。ただし、円形状シンボル77の直径が所定値よりも短く、内部に分類名及び企業数が収まりきれない場合には、吹き出しウィンドウ78を円形状シンボルに付加し、その内部にこれらの文字列を記述する。同時にマップ出力部24は、リンク線79を分類間における取引企業数に対応した太さで描画する。
【0084】
最後に、この第2の産業分野別取引関係マップ76を含む画面(Htmlファイル)が、Webサーバ26からクライアント28に送信され(S70)、Webブラウザ上に表示される。
【0085】
ところで、信用調査報告書中には、各企業の業種コードや業種名が記述されているが、産業分野までは明記されていない。このため、産業別関連企業情報は、基本的には信用調査報告書の記述に基づいて、人間が抽出する必要がある。
すなわち、「電気自動車」に関わりのある企業を抽出するために、「電気自動車」をキーワードに設定して信用調査報告書記憶部12を検索したとしても、「…電気自動車に対する研究開発の出遅れが響き…」のような、反対の意味を表す一文が含まれている信用調査報告書もヒットしてしまう。また逆に、信用調査報告書中に「電気自動車」という文言が含まれていない企業であっても、他の記述内容から実質的には電気自動車に関わりの深い企業と認定すべき場合もある。
しかしながら、全ての信用調査報告書を人間がチェックして産業別関連企業情報を生成するとなると膨大な時間と労力を要するため、これを半自動化するシステムを案出した。
【0086】
図16は、この産業別関連企業情報生成支援システム80の全体構成を示すブロック図であり、信用調査報告書記憶部12及び産業別関連企業情報記憶部18の他に、検索処理部82と、検索結果記憶部84と、教示データ記憶部86と、傾向解析部88と、モデルデータ記憶部90と、産業別関連企業抽出部92とを備えている。
【0087】
上記の検索処理部82、傾向解析部88及び産業別関連企業抽出部92は、コンピュータのCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って所定の処理を実行することで実現される。
また、上記の検索結果記憶部84、教示データ記憶部86及びモデルデータ記憶部90は、同コンピュータのハードディスク内に設けられている。
この産業別関連企業情報生成支援システム80には、通信ネットワークを介して、PCよりなる設計端末94が接続されている。
【0088】
以下、この産業別関連企業情報生成支援システム80における処理手順を説明する。
まず設計者は、検索キーワード(例えば「電気自動車」)を指定した検索リクエストを、設計端末94からシステム80に対して送信する。
これを受けた検索処理部82は、指定された検索キーワードが文書中に含まれる信用調査報告書を信用調査報告書記憶部12から抽出し、検索結果記憶部84に格納すると共に、検索結果リストを設計端末94に送信する。
【0089】
図示は省略したが、この検索結果リストには、企業名、企業コード、所在地、業種名、業種コード、上場区分、売上高、従業員数といった属性情報の他に、信用調査報告書中の抜粋文が含まれている。この抜粋文としては、「事業内容」や「会社の特色」、「最新期の業績」といった、企業の事業内容が記述されている項目の文章が該当する。
【0090】
設計者は、ディスプレイに表示された検索結果リストをチェックし、リストアップされた個別企業に対して、「T(true)」または「F(false)」のフラグを設定していく。
すなわち、企業名や抜粋文の内容を精査し、自己の経験・知識から真に「電気自動車関連企業」であると判断した場合には「T」の値を、また実質的には「電気自動車関連企業」ではないと判断した場合には「F」の値を選択する。
そして、検索結果リスト中の所定件数(例えば100社程度)についてフラグを設定し終えた段階で、設計者はこの判定結果を教示データとして教示データ記憶部86に格納する。
【0091】
つぎに、傾向解析部88が起動し、設計者によってT/Fのフラグが設定された教示データを解析する。
傾向解析部88は、具体的には以下の処理を実行する。
(1) 教示データに含まれる各企業の抜粋文を、形態素単位に分解する。
(2) 各種辞書類(企業名辞書、人名辞書、商品名辞書、サービス名辞書等)を参照し、マッチする形態素に対してその種類(企業名、人名、商品名、サービス名等)を示す識別コードを付与する。
(3) 各企業の抜粋文から、商品名やサービス名など所定種類の識別コードが付与された形態素を抽出する。
(4) リスト中に列記された企業を、「T」が設定されたグループと、「F」が設定されたグループに分割する。
(5) 各グループ単位で、同一形態素の出現頻度を算出する。
(6) 各グループにおける形態素単位の出現頻度データに対して所定の統計処理を施すことにより、モデルデータを生成し、モデルデータ記憶部90に格納する。
【0092】
つぎに、産業別関連企業抽出部92が起動し、上記のモデルデータを検索結果記憶部84に格納された大量の検索結果データの抜粋文に対して適用し、各検索結果データに対して「T」または「F」のフラグを付与する。
産業別関連企業抽出部92は、具体的には以下の処理を実行する。
(1) 検索結果データに含まれる各企業の抜粋文を、形態素単位に分解する。
(2) 各種辞書類(企業名辞書、人名辞書、商品名辞書、サービス名辞書等)を参照し、マッチする形態素に対してその種類(企業名、人名、商品名、サービス名等)を示す識別コードを付与する。
(3) 各企業の抜粋文から、商品名やサービス名など所定種類の識別コードが付与された形態素を抽出する。
(4) 企業毎に同一形態素の出現頻度を算出する。
(5) 各企業の算出結果に対して上記のモデルデータを適用することにより、「T」または「F」の判定フラグを付与する。
(6) 「T」の判定フラグが付与された企業の企業名、企業コード、及び産業分野を設定した産業別関連企業情報を生成し、産業別関連企業情報記憶部18に格納する。
【0093】
上記においては、取引関係マップ生成システム10をWebシステム上において実現した例を示したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えばこのシステム10を実現するため機能構成を備えたコンピュータによって、いわゆるスタンドアロン構成として実現することも当然に可能である。